説明

再生装置

【課題】複数の記録媒体についての操作を受け付ける再生装置において、トレイの出し入れのためのキーを共用にする。
【解決手段】再生装置は、液晶表示部3、ビデオユニット5、ディスクユニット6、信号処理部7、操作部8、制御部9を備える。操作部8は、ビデオモードキー81、DVDモードキー82、および、1つの排出キー83を備える。排出キー83が押されると、ビデオユニット5、ディスクユニット6のうちいずれのユニットに対する操作であるかの確認を促すために、液晶表示部3を点滅させる。ビデオモードキー81が押されると、ビデオユニット5の排出/搬入機構部51を動作させる。DVDモードキー82が押されると、トレイ駆動部62を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つ以上の記録媒体を挿入できる再生装置録画装置に関し、特に記録媒体を排出するトレイまたは記録媒体自体の、排出手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の記録媒体を挿入して、選択的に再生を行ったり、ダビングを行ったりする再生装置、いわゆるダブルデッキが開発されている。
【0003】
図1を用いて従来の再生装置100について説明する。再生装置100は、装置本体のパネルに、ビデオテープやDVDを挿入するためのビデオテープ挿入口101と、DVDトレイ102を備える。また、これらの記録媒体のいずれかに対する再生等の操作がアクティブになるように切り換えるVHSモードキー103(Vertical Helical Scan or Video Home System)、DVDモードキー104が設けられている。また、これらの記録媒体を排出するためのビデオテープ排出キー105、DVD排出キー106を備える。また、再生装置100の状態を示すための液晶表示部108を備えている。このように、従来の再生装置100は、各記録媒体にそれぞれ、排出キーを設けていた。
【0004】
また、特許文献1〜2には、トレイの開閉ボタンを共用にした再生装置等が開示されている。
【特許文献1】実開平1−71391号公報
【特許文献2】特開2006−338748公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の録画装置100は、トレイ開閉するための排出キーが別々に設けられているので、キーを複数用意する必要があり、費用が増す虞があった。
【0006】
また、特許文献1の構成は、機構的にスイッチを制御しており、構造が複雑である問題があった。特許文献2の構成は、リモコンに切換キーを備えている。しかし、記録媒体を取り出したいユーザとしては、リモコンでなく装置本体に近寄って操作することが予想されるから、ユーザにリモコンでの操作を要求することは、必ずしも操作性が良くない問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、複数の記録媒体についての操作を受け付ける再生装置において、トレイの出し入れのためのキーを共用にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、以下の構成を備えることができる。
【0009】
(1) 複数の記録媒体を各々収納する収納部と、
記録媒体を載置するトレイまたは前記記録媒体自体を、前記収納部各々から外部へ取り出し可能にする記録媒体排出機構であって、電気的入力によって動作する記録媒体排出機構と、を備えた再生装置において、
装置本体に設けられた1つの排出キーと、
前記排出キーが押された場合に、どの記録媒体排出機構を動作させるかを選択する操作を、装置本体に設けられたキーの入力で代用し、前記排出キーが押された後、当該キーによる操作がなされると、当該キーに対応する記録媒体排出機構を動作させる選択手段と、を備えた。
【0010】
この構成では、排出キーを1つにしているのでコストダウンに寄与する。また、装置本体の設けられたキーにより、どの記録媒体排出機構を動作させるかの選択を、装置本体のキー操作で代用し、このキーの入力が複数の操作を兼ねているので、排出キーを1つにしても、いずれの記録媒体に対する操作であるかを特定できる。
【0011】
そして、排出キーを押すことにより、そのいずれの記録媒体に対する操作であるかを特定する操作モードに入ると選択手段のためのキーとして機能するから、当該兼ね備えているキーの本来の機能の障害となることがない。そして、これらのキーは、装置本体に設けられたキーを用いている。したがって、リモコンを用いているものと異なり、操作が装置本体で完結しているから、操作性を犠牲にしなくても済む。
【0012】
(2) 前記記録媒体に対応して装置本体に各々設けられたモードキーであって、当該記録媒体に対する操作がアクティブになるよう切り換えるためのモードキーを備え、
前記選択手段で用いるキーは、前記モードキーである。
【0013】
この構成では、本来どの記録媒体をアクティブにして操作を受け付けるかを決定するのに用いるモードキーを用いているので、キー操作を兼ね備えることができる。選択手段で用いるモードキーの操作は、排出キーが押された場合に有効になるから、モードキーの本来有する機能の障害となることがない。したがって、操作性を犠牲にしなくても済む。
【0014】
(3) 装置本体に表示部を備え、
前記選択手段において、前記選択する操作で用いるキーは、前記排出キーであり、
前記選択手段は、
前記排出キーが最初に押されると、前記表示部の表示を、前記記録媒体の名称の各々またはそのユニットの名称の各々に順次切換を行い、
当該切換を行っている間に前記排出キーが再び押されると、前記記録媒体排出機構のうち、当該排出キーが押されたときの表示部の表示に対応する記録媒体排出機構を動作させる。
【0015】
この構成では、モードキーを備えなくても、排出キーだけで選択手段の決定ができるので、表示部を備える再生装置であれば、コストダウンになる。ユーザとしても、同じキーを押すので、操作に違和感が少ない。
【0016】
(4) 前記記録媒体排出機構は、
記録媒体の排出時のみ、前記電気的入力により動作する第1の排出機構を1以上備えると共に、記録媒体の排出時のみならず、搬入時においても、前記電気的入力により、記録媒体を載置するトレイを出し入れする第2の排出機構を1つ備え、
前記第1の排出機構に対応する収納部のいずれにも記録媒体が入っていないときは、
前記選択手段は、排出キーが最初に押されると、その後のキー操作を受けなくとも、前記第2の排出機構を動作させる。
【0017】
この構成では、第1の排出機構については、前記電気的入力による手段では、排出することしかできないから、記録媒体が収納部に入っていないときは、無効になる。即ち、選択手段でいずれの記録媒体をとりだすかを選択する余地はないから、第2の排出機構が1つの場合には、その後のキー操作を受けなくとも(その後のキー操作を受けてもよいがそれに関係なく)、第2の排出機構を動作させる。したがって、ユーザに無意味な操作を要求しないので、操作性の犠牲が少なくて済む。
【0018】
(5) 前記第2の排出機構のトレイが排出状態にある場合であって、前記第1の排出機構に対応する収納部に記録媒体が入っていないときは、
前記選択手段は、排出キーが最初に押されると、その後のキー操作を受けなくとも、前記第2の排出機構を動作させて、前記トレイを前記再生装置内部に搬入させる。
【0019】
この構成では、第1の排出機構については、前記電気的入力による手段では、排出することしかできないから、記録媒体が収納部に入っていないときは、無効になる。即ち、選択手段でいずれの記録媒体を搬入、排出するのかを選択する余地はないから、第2の排出機構が1つの場合には、その後のキー操作を受けなくとも(その後のキー操作を受けてもよいがそれに関係なく)、第2の排出機構を動作させる。したがって、ユーザに無意味な操作を要求しないので、操作性の犠牲が少なくて済む。
【0020】
(6) 前記第1の排出機構は、ビデオテープを排出する排出機構であって、
前記第2の排出機構は、光ディスクのトレイの排出、搬入機構であるとすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トレイの出し入れのためのキーを共用にしているので、コストダウンに寄与する。装置本体の操作子でその代用をしているので、操作の犠牲が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図2を用いて、再生装置1の外観について説明する。再生装置1は、ビデオテープ、DVD(またはCD)の2つの記録媒体について再生を行う装置である。図2(A)に示すように、前面パネルにビデオテープ挿入口52、DVDトレイ61、VHSモードキー81、DVDモードキー82、排出キー83(即ち、いわゆるイジェクトボタン)、液晶表示部3を備える。これらは、それぞれ、従来技術を示す図1の101〜104、108に対応する。また、再生装置1は、ビデオテープ排出キー105、DVD排出キー106の代わりに、これらを共用する排出キー83を備える。
【0023】
ビデオテープ挿入口52は、ビデオテープが挿入される挿入口で、前面に内部保護用の扉がついている。DVDトレイ61は、DVDを下支えするトレイである。VHSモードキー81、DVDモードキー82は、各々の記録媒体に対する操作をアクティブにするよう切り換えるキーである。例えばVHSモードキー81を押すと、ビデオテープに対する操作をアクティブにし、再生、早送り、巻き戻し等の操作を受け付けると、ビデオテープに対する操作としてこれらを実行する。液晶表示部3は、再生装置1本体の状態を示す。例えば、再生時間、現在のアクティブなモード、録画中、再生中などの状態を表示する。
【0024】
排出キー83が押された場合には、液晶表示部3の表示を点滅させて、ビデオテープ、DVDのいずれに対する操作であるかの決定をユーザに促す。VHSモードキー81、DVDモードキー82のいずれかが押されると、それに対応する記録媒体について、排出または搬入の動作を行う。なお、排出キー83を現在のモードに対する操作として受け付けることも装置として可能であるが、ユーザは現在アクティブでない記録媒体についても取り出す場合があるので、この方法よりも前述したように排出キー83が押されてから、キー操作によりユーザに選択させるほうが好ましい。
【0025】
図2(B)は、DVDトレイ61の排出状態の様子を表わしている。この様子は、本発明の排出時に相当する。
【0026】
ここで、排出キー83を1つに共用できるかは、電気的入力を受け付けるキー操作で排出機構を起動できるか否かにかかる。例えば、SDカード(商標)用の特定のソケットのように、スイッチを押すとこれと機構的に直結したロックが外されて排出される排出機構は、そのスイッチの機構がロックを外すためだけに用いられる。したがって、この搬出機構には、スイッチと1対1で対応しており、その記録媒体の排出のためのスイッチを他と共有することはできない。これに対し、電気入力が与えられることを契機として、電磁的手段によりそのロックを外したり、モータによりトレイを排出することができ、その記録媒体の排出機構の入力操作を他と共有することができる可能性がある。例えば、マイコン制御やパソコンのソフトウェアの制御により、また、論理回路、アナログ回路によりなしうる。
【0027】
本実施形態の記録媒体(ビデオテープ、DVD)は、この点について以下のとおりである。ビデオテープを挿入するときは、ユーザがビデオテープ挿入口52に押し付けて挿入する。ビデオテープを排出するときは、排出キー83等の所定のキー操作を受けて、ビデオテープを外部へ放出する。このように、ビデオテープの挿入はキー、ボタン、スイッチといった電気的入力を用いないが、これを排出するときは、上述した排出キー83等による電気的入力により行う。DVDトレイ61は、挿入時、排出時とも内部のモータを含む駆動部により、DVDトレイ61が前後進する。これらの挿入、排出動作は、いずれも、上述した排出キー83等の所定のキー操作、即ち電気的入力を受けることを契機としてなされる。
【0028】
次に、図3を用いて、再生装置1内部の構成について説明する。再生装置1は、液晶表示部3、放送受信部4、VHSユニット5、ディスクユニット6、信号処理部7、操作部8、制御部9を備える。また、再生装置1の外部に表示器109を接続している。なお、図中、点線の矢印は、制御部9との間の制御信号の送受信を表わす。
【0029】
液晶表示部3は、文字を表示する。例えば、装置の各種の状態を表わす文字を表示する。液晶表示部3の構成としては文字を表示できれば良く、必ずしもドットマトリクス形式でなくても良く、数字、アルファベットなど固定の文字の組み合わせを表示してもよい。
【0030】
放送受信部4は、放送を受信する。例えば、放送受信部4は、デジタル放送受信部、アナログ放送受信部のいずれか、または両方の構成、およびチューナ制御部を備える。
【0031】
デジタル放送受信部は例えば以下のように構成できる。受信部には、アンテナが接続されており、アンテナは、電波を受信する。受信部は、チューナパック、地上デジタルモジュール、チューナ制御部、復調回路、誤り訂正回路を備えている。チューナパックは、IFフィルタ、IFアンプ等を備えている。IFフィルタ(intermediate frequency)はチューナ制御部から指示された所定の物理チャンネルの信号を通す。IFアンプは、この信号を増幅する。これにより、チューナパックは、チューナ制御部により指定されたチャンネルの放送信号を抽出する。また、復調回路は、入力された放送信号をデジタルデータであるTS(トランスポートストリーム)にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調し、誤り訂正回路に出力する。誤り訂正回路は入力されたTS(トランスポートストリーム)の誤り情報を訂正して、地上デジタルモジュールに出力する。地上デジタルモジュールは、マルチプレクサ、バッファメモリを備えている。TSには複数の仮想チャンネルの番組が多重化されて送信されている。デマルチプレクサは、これらの仮想チャンネルのうちの1チャンネルのパケットを抽出して、抽出したパケットに格納されているデータをバッファメモリに記憶させる。
【0032】
アナログ放送受信部は、例えば以下のように構成できる。アナログ放送受信部は、IFフィルタ、IFアンプ等、映像処理部を備える。IFフィルタ(intermediate frequency)はチューナ制御部から指示された所定の物理チャンネルの信号を通す。IFアンプは、この信号を増幅する。これにより、所定のチャンネルの放送信号を抽出する。映像処理部は、表示データ生成部、同期検出回路、フレームメモリを備える。色信号再生部は、カラー映像信号から色信号を取り出し、RGBの3原色信号を生成する。同期検出回路は、カラー映像信号から水平同期信号、垂直同期信号を取り出す。表示データ生成部は、3原色信号をA/D変換し、水平同期信号、垂直同期信号に基づいて、映像処理部33内のフレームメモリに記憶する。
【0033】
VHSユニット5は、ビデオテープに対する記録、読み出しを行う。ユニット5は、排出/搬入機構部51、テープ駆動部、磁気ヘッド、テープ検出部などを備える。排出/搬入機構部51は、上述したように、搬入時にはユーザの手によりビデオテープ挿入口52に押し込まれると、テープ検出部がこれを検出して、ビデオテープを引き込む。排出時には、排出キー83等の所定の操作を受けた場合に、テープ検出部がテープを検出するとモータを駆動して排出する。テープ駆動部は、テープの回転を制御する。磁気ヘッドは、周知のVHS(Vertical Helical Scan)形式により記録、再生を行う。即ち、ヘッドが回転しつつ、テープ走行面に対し、斜めの短冊状に記録を行い、その記録を読み出す。
【0034】
放送受信部4、VHSユニット5は、その出力のうち、音声については、信号処理部7の出力部に入力する。また、放送受信部4、VHSユニット5は、その映像出力を画像調整部に入力する。ただし、アナログ形式の映像信号については、図示しないA/D変換器によりデジタルフレーム画像に変換する。
【0035】
エンコーダは、入力部2で入力したアナログ形式の映像信号および音声信号をデジタル信号に変換して、これらをエンコードする。符号化部3は、このエンコードしたデータをディスクドライブ4に出力する。
【0036】
ディスクユニット6は、DVDトレイ61、トレイ駆動部62、光学系、ディスク駆動部、記録再生信号生成部を備える。DVDトレイ61は、ディスクを下支えするトレイであり、前面パネルから突出したり(排出状態、図2(B)参照。)、後退したりする。なお、トレイは、ディスクを下支えしなくても、トレイから突出した爪によりディスクを立てかけても良い。
【0037】
トレイ駆動部62は、DVDトレイ61の移動を駆動するモータ、モータに電流を供給するアンプを含む。光学系は、ピックアップヘッド(不図示)に含まれ、対物レンズ、半導体レーザ、シリンドリカルレンズ、ハーフミラー、受光素子などを含んでいる。これらの構成により、光学系は、DVDディスク表面にレーザ光を照射して、反射光を受光素子に導く。受光素子は、反射光の強度を検出して電気信号に変換し、ユニット6は、この電気信号に基づいて、ディスク表面のデータを読み取る。ディスク駆動部は、ディスク回転を支持する支持部、ディスク回転用モータ、半径方向にピックアップを移動させるスレッド方向移動用モータ、フォーカス、トラッキングそれぞれの方向の調整を行うアクチュエータ、トラックとの誤差からアクチュエータを制御する信号を生成するサーボ制御部を備える。これにより、ディスクユニット6は、ディスク駆動部、サーボ制御部を用いて、DVD10のトラックに追従させる。
【0038】
信号処理部7は、復調部、デコーダ、OSD合成部、出力部、エンコーダを備えている。復調部は、ディスクドライブ4が読み取ったRF信号から、映像データと音声データを復調し、誤り訂正を行う。デコーダは、ディスクユニット6等に記録された、デジタル形式で圧縮されたデジタル映像データとデジタル音声データをデコードする。デコーダは、映像データについては、画像調整部に出力する。デコーダは、音声信号については、デコーダの出力を出力部に出力する。
【0039】
画像調整部は、デコーダ、放送受信部4、VHSユニット5等から出力された(アナログ映像信号については、上述のとおり適宜A/D変換された)映像信号を入力する。画像調整部は、入力した映像信号の色相、スケール、アスペクト比の調整を行う。
【0040】
OSD合成部53は、文字、キャラクタ等を表示するためのメモリを備えており、このメモリを用いてOSD(On Screen Display)を合成する。制御部9は、内部で生成した文字データを基にして、種々のOSDを合成するようOSD合成部にコマンドを発行する。デコーダから映像信号が出力されている場合には、この映像信号とOSDを合成し、出力部6に出力する。また、この映像信号の出力を禁止して、OSDのみを出力してもよい。
【0041】
信号処理部7の出力部は、D/A変換器等を備え、信号処理部5で処理された映像信号、音声信号をD/A変換する。出力部は、D/A変換した映像信号、音声信号を同期させて、表示器109に出力する。信号処理部7のエンコーダは、記録媒体に記録できる形式に変換する。例えば、MPEG形式に変換する。
【0042】
操作部8は、リモコン信号受信部80、本体操作キー(VHSモードキー81、DVDモードキー82、排出キー83)を備え、装置本体に対する操作を指示する入力を受け付ける。リモコン信号受信部80は、リモコン85から送信されたリモコン信号を受信する。操作部8は、リモコン信号、本体操作キーの信号をリモコン信号として制御部9に伝達する。リモコン85は、複数の操作子を備え、操作子が押されるとリモコン信号を送信する。なお、操作部8は、本体操作子のスイッチのオンオフを、リモコン信号として制御部9へ送信するのではなく、ハイ、ローの信号として、制御部9の端子に直接入力しても良い。
【0043】
制御部9は、マイコンで構成し、CPU、RAM、制御データ格納用のROMを備える。制御部9は、操作部8で受け付けた入力に基づいて、以上で示した装置のうち3〜8の各部の動作を制御する。また、制御部9のROMは、排出処理94、記録媒体の再生処理、再生装置1の初期設定を受け付ける初期設定処理、記録媒体をダビングするためのダビング処理等を実行するためのサブルーチンを記憶している。
【0044】
排出処理94は、排出キー83が押された後の制御を行う処理である。その後のキー操作に応じて、ビデオテープを排出したり、DVDを排出したりする。また、DVDトレイ61が搬出状態にある場合(図2(B)参照)には、DVDを内部へ搬入したりする。
【0045】
表示器109は、信号処理部7の出力部から出力された映像信号に基づいて映像を表示する。表示器109に付属のスピーカは、出力部から出力された音声信号を増幅して音声を放出する。
【0046】
図4を用いて、排出処理94を実行するときの液晶表示部3の表示例1〜3(図4(A)〜図4(C))について説明する。排出処理94は、前述のとおり、排出キー83が押された場合に実行する処理である。排出キー83が押されると、例えば、表示例1〜3のいずれかを表示する。図4(A)の表示例1は、「VHSモード」31、「DVDモード」32を所定時間間隔で、交互に表示する。これにより、ビデオテープ、DVDのいずれを排出するかの選択をユーザに促す。図4(B)の例2では、「VHSモード」33、「DVDモード」34を所定時間間隔で、位置を変えながら、交互に表示する。
【0047】
図4(C)の例3では、「VHSモード or DVDモード」などと表示して、ビデオテープ、DVDのいずれを排出するかの選択をユーザに促す。このような表示をしているときに、VHSモードキー81、DVDモードキー82のいずれかが押されると、制御部9は、これらのキーに対応する側の記録媒体の排出または搬入を指示する。
【0048】
なお、図4の「VHSモード」31,33の代わりに、「ビデオテープ排出」、「DVDモード」32,34の代わりに「DVD排出」または「ディスク排出」でもよい。また、「図4(A)、図4(B)の例では、いずれを先に表示しても良い。また、図4(C)の例では、点滅して表示するなど、ユーザの注意を引く表示にして、判断を促すようにしても良い。
【0049】
また、以上の実施形態では、モードキー81、82により、いずれを排出するかを決定した。しかし、図4(A)、図4(B)の例の代替的表示方法としては、「VHSモード」31、33を表示している間に再度排出キー83が押されると、ビデオテープが排出され、かつ、「DVDモード」32、34が表示している間に再度排出キー83が押されると、DVDが排出または搬入されるようにしても良い。即ち、排出キー83が押されたときの表示部3の表示(「VHSモード」、「DVDモード」のいずれか)に対応する記録媒体の排出機構を動作させるようにする。
【0050】
次に、図5、図6のフロー図を用いて、装置1の排出処理94の例1、例2について説明する。
【0051】
例1について説明する。
ST1:排出処理94は、前述のとおり、排出キー83が押された場合に実行する処理であり、排出キー83が押されるまでは(ST1のNO)、待機する。排出キー83が押されると(ST1のYES)、ST2以下を実行する。
ST2:DVD/VHSのいずれを排出するかの決定をユーザに促す表示をする。例えば、液晶表示部3は、図4の例で示したように点滅する(ST2)。
ST3、ST5:DVDモードキー82、排出キー83のキー入力があるかどうか調べる。ST3、ST5で、キー入力がない限り(ST3のNO、ST5のNO)、ST2、ST3〜ST5を繰り返す。VHSモードキー81、DVDモードキー82のいずれかのキー入力がある(ST3のYES、ST5のYES)とそれに応じて、ビデオテープ排出(ST4)、またはDVDトレイ61排出を行う(ST6)。
【0052】
なお、ST5において、DVDトレイ61が排出状態にあるときは、DVDトレイ61を内部に搬入する。この場合、ST2の表示は、DVDを搬入するか、VHSを排出するかのいずれかの決定を促す表示になる。
【0053】
例2について説明する。例2は、例1の応用例である。この処理例は、ST1の後に、ST11が追加されたことのみが異なり、その他のステップは、例1と同じなので、同じ符号を用いて、以上の説明を準用する。この例では、ビデオテープの排出/搬入機構部51が、ビデオテープの排出時のみ電気的入力により動作することに着目して、フローの合理化を行っている。
【0054】
ST11では、制御部9は、ビデオテープが入っているかどうかを確認する。この確認は、接触式、光学的、磁力的センサ等で検出することにより行う。ビデオテープが入っていないときは、排出することができない。前述のとおり、ビデオテープの排出/搬入機構部51が、ビデオテープの排出時のみ電気的入力により動作する。ビデオテープが入っていないときは、電気的入力を受けても、排出/搬入機構部51は、動作することがなく、無効になる。この場合には、ST2〜ST4で、ビデオテープ、DVDのいずれの搬出をするかという選択をユーザにさせるのは、意味がない。そこで、ビデオテープが入っていないことをテープ検出部により検出して、これを検出した場合には(ST11のNO)、DVDに対する指示と推定できるから、制御部9は、ST2〜ST4を行うことなく、トレイ駆動部62に指示して、DVDトレイ61を排出させる。
【0055】
他方、ST11で、制御部9がビデオテープが入っていると判断したときは(ST11のYES)、ST2に進む。この場合には、ビデオテープの排出か、DVDの排出か(または、DVDを搬入するために空のDVDトレイ61を排出させるか)どうかは、ユーザの指示を仰がないとユーザの意図が分からない。そこで、図5のフローと同様、ST2以下を行う。
【0056】
なお、図6のフローは、DVDトレイ61が排出状態にあるときも有効である。即ち、排出状態にある場合にビデオテープが入っていないと、ビデオテープの排出/搬入機構部51は働かないから、ST2以下の選択を受け付ける意味がない。したがって、ユーザの意図は、DVDトレイ61の搬入であると推認できる。そこで、DVDトレイ61が排出状態にある場合も、図6のフローを実行する。ST6においては、DVDトレイ61の排出の代わりに、DVDトレイ61の搬入を行う。
【0057】
以上の実施形態について補足する。
【0058】
制御部9の排出処理94、操作部8は、本発明の選択手段に相当する。本実施形態では、制御部9をマイコンで構成した。しかし、選択手段の作用としては、VHSユニット5の排出/搬入機構部51、ディスクユニット6のトレイ駆動部62の一方に、動作を指示する入力が入ればよい。したがって、制御部9の代替手段としては、パソコンのソフトウェア上で実行しても良いし、論理回路、アナログ回路で構成しても良い。排出処理94を行う上では、液晶表示部3および図4で示した表示がある方が望ましいが、これがなくても本発明の1実施形態として成立する。また、本発明の実施形態における液晶表示部3の意義は、ユーザに報知することであり、表示形態は、図4の表示例のみならず、表示器109に表示するものでもよいし、代替手段としては、音声で報知するものでもよい。
【0059】
以上の図3の説明では、機能ごとに分離したブロックで説明したが、実装上は、これらの機能のうち、いずれかが複数の機能が一体となったシステムICで構成してもよいし、一つのブロックを複数に分離して構成してもよい。例えば、制御部9と、信号処理部7とを一体にしたシステムICで構成しても良い。
【0060】
VHSユニット5の排出/搬入機構部51、ディスクユニット6のトレイ駆動部62は、本発明の記録媒体排出機構に相当する。ディスクユニット6のDVDトレイ61や、VHSユニット5のビデオテープ挿入口52の内部は、本発明の収納部に相当する。記録媒体のドライブユニットは、VHSユニット5、ディスクユニット6以外でも良い。ただし、本発明の実施形態として、排出キー83を1つにまとめて動作させるためには、排出または挿入の動作と操作キーとの関係が1対1ではなく、他の入力で代替し、条件に応じて切換できる構成が必要になる。実際的には、電気的入力を契機として行われるものを用いることが必要になる。なお、本発明の実施形態としては、上記電気的入力を用いない排出機構を備えるソケットに格納する記録媒体や、取り出すことがない記録媒体(例えばハードディスク)のソケットや、読み出し部を付加的に設けても良い。この場合、このソケットの排出キーは、キー83と別に設けることになる。
【0061】
ディスクユニット6のトレイ駆動部62は、第2の排出機構に相当する。本実施形態では、DVDを再生するとしたが、光ディスクを再生する構成であればよい。ディスクユニット6は、DVDを再生するとしたが、例えば、ブルーレイや、コンパクトディスクを再生する構成であっても良い。
【0062】
また、光ディスクユニットのトレイ排出機構であっても、本発明の第2の排出機構に相当するとは限らず、第1の排出機構に相当する場合がありうる。例えば、薄型のディスクユニットとしては、モータを用いず、電磁的開閉手段により、ロックを外す構成とすることが可能である(必ずしも薄型でなくても良い。)。この構成の場合、ロックが外れると、ばね力によりディスクを排出し、ユーザの手によりトレイを装置内部に搬入して再生装置へ押し付けるとロックがかかる。即ち、この構成は、排出時だけ電気入力を受けるので第1の排出機構に相当する。
【0063】
放送受信部4、リモコン85、リモコン信号受信部80は、本発明の実施形態としては、必須ではない。信号処理部7の構成は一例であり、本発明の実施形態としては、少なくとも再生するための信号処理をすることができる構成があれば足りる。例えば、画像調整部、OSD合成部、エンコーダは必須ではない。
【0064】
また、本実施形態では、記録媒体のドライブユニットとして、ユニット5、62つであるとして説明したが、3つ以上であっても良い。この場合、記録媒体それぞれに対応してモードキーを設け、ST2の後、モードキーの入力を受け付ける。また、図4(A)、図4(B)のように各記録媒体について点滅させるようにすることができる。この場合には、その記録媒体が表示されているときに再度排出キー83の入力を受け付けてもよい。この場合、排出処理94を行う上では、各記録媒体に対応して、モードキーを設けることが不要になる。
【0065】
また、記録媒体のドライブユニットが3つ以上である場合に、記録媒体の排出時のみならず搬入時においても、前記電気的入力により記録媒体を載置するトレイを出し入れする第2の排出機構が1つとすれば、図6のフローを準用できる。即ち、図6のST2のNOの分岐を「第1の排出機構の収納部のいずれに記録媒体が入っていないとき」とする。この場合、第1の排出機構の動作はすべて無効となる。したがって、排出すべきトレイが第2の排出機構1つに特定される。したがって、ST2,ST3、ST5のユーザからの入力は不要になり、図6のフローを準用することができる。
【0066】
本発明の「収納部のいずれにも」において、第1の排出機構が1つであれば、その1つを意味する。
【0067】
外部に接続する表示器109は、テレビでもよい。表示手段としては、例えば、液晶モニタ、プラズマモニタ、ELモニタ、ブラウン管、プロジェクタなどで構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】従来形態の再生装置の外観図である。
【図2】本実施形態の再生装置の外観図である。
【図3】本実施形態の再生装置内部の構成を示す図である。
【図4】本実施形態の再生装置の液晶表示部の表示例を示す。
【図5】本実施形態の再生装置の排出処理のフローを表わす。
【図6】本実施形態の再生装置の排出処理のフローを表わす。
【符号の説明】
【0069】
100−再生装置、 101−ビデオテープ挿入口、 102−DVDトレイ、
103−VHSモードキー、 104−DVDモードキー、
105−ビデオテープ排出キー、 106−DVD排出キー、
108−液晶表示部、 109−表示器、
1−再生装置、 3−液晶表示部、 4−放送受信部、
5−VHSユニット、 51−排出/搬入機構部、 52−ビデオテープ挿入口、
6−ディスクユニット、 61−DVDトレイ、 62−トレイ駆動部、
7−信号処理部、 8−操作部、 80−リモコン信号受信部、
81−VHSモードキー、 82−DVDモードキー、 83−排出キー、
85−リモコン、 9−制御部、 91−CPU、 92−RAM、
93−ROM、 94−排出処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録媒体を各々収納する収納部と、
記録媒体を載置するトレイまたは前記記録媒体自体を、前記収納部各々から外部へ取り出し可能にする記録媒体排出機構であって、電気的入力によって動作する記録媒体排出機構と、を備えた再生装置において、
装置本体に設けられた1つの排出キーと、
前記排出キーが押された場合に、どの記録媒体排出機構を動作させるかを選択する操作を、装置本体に設けられたキーの入力で代用し、前記排出キーが押された後、当該キーによる操作がなされると、当該キーに対応する記録媒体排出機構を動作させる選択手段と、を備えた再生装置。
【請求項2】
前記記録媒体に対応して装置本体に各々設けられたモードキーであって、当該記録媒体に対する操作がアクティブになるよう切り換えるためのモードキーを備え、
前記選択手段で用いるキーは、前記モードキーである請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
装置本体に表示部を備え、
前記選択手段において、前記選択する操作で用いるキーは、前記排出キーであり、
前記選択手段は、
前記排出キーが最初に押されると、前記表示部の表示を、前記記録媒体の名称の各々またはそのユニットの名称の各々に順次切換を行い、
当該切換を行っている間に前記排出キーが再び押されると、前記記録媒体排出機構のうち、当該排出キーが押されたときの表示部の表示に対応する記録媒体排出機構を動作させる請求項1に記載の再生装置。
【請求項4】
前記記録媒体排出機構は、
記録媒体の排出時のみ、前記電気的入力により動作する第1の排出機構を1以上備えると共に、記録媒体の排出時のみならず、搬入時においても、前記電気的入力により、記録媒体を載置するトレイを出し入れする第2の排出機構を1つ備え、
前記第1の排出機構に対応する収納部のいずれにも記録媒体が入っていないときは、
前記選択手段は、排出キーが最初に押されると、その後のキー操作を受けなくとも、前記第2の排出機構を動作させる請求項1〜3のいずれかに記載の再生装置。
【請求項5】
前記第2の排出機構のトレイが排出状態にある場合であって、前記第1の排出機構に対応する収納部に記録媒体が入っていないときは、
前記選択手段は、排出キーが最初に押されると、その後のキー操作を受けなくとも、前記第2の排出機構を動作させて、前記トレイを前記再生装置内部に搬入させる請求項4に記載の再生装置。
【請求項6】
前記第1の排出機構は、ビデオテープを排出する排出機構であって、
前記第2の排出機構は、光ディスクのトレイの排出、搬入機構である請求項4〜5のいずれかに記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−217910(P2009−217910A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61982(P2008−61982)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】