説明

再起動装置及び再起動方法

【課題】所定のタイミングで不揮発性メモリに退避させるデータを削減することで、電源ON時の再起動時間を短縮することが可能な再起動部を提供する。
【解決手段】再起動部408は、所定のタイミングが検知されると、当該タイミングが検知された時点からの経過時間が、予め設定された所定の監視時間を超過するまで、制御手段506のプログラムの実行を維持させる動作手段507と、揮発性メモリ505に記憶されたデータのうち、制御手段506のプログラムの実行により使用されたデータを使用データとして検知する検知手段510と、前記経過時間が前記監視時間を超過すると、検知された使用データを不揮発性メモリ504に退避させる退避手段512と、電源ONが検知されると、不揮発性メモリ504に記憶された使用データを揮発性メモリ505に書き込む書込手段503とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再起動装置及び再起動方法に関し、詳しくは、所定のタイミングで不揮発性メモリに退避させるデータを削減することで、電源ON時の再起動時間を短縮することが可能な再起動装置及び再起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブック型あるいはノート型と呼ばれる持ち運び可能なパーソナルコンピュータではレジューム機能と呼ばれるシステム再起動装置が実現されている。この機能は、システムに内蔵されたバッテリを使用して、作業の途中で電源を切っても、次に電源を入れた時には以前と同じ状態が再現され作業を続行できるというものである。
【0003】
前記レジューム機能がある場合、使用者は、電源OFF前に作成文書を保存し、ワープロソフト(文書作成用プログラム)を終了するという処理が不要になり、電源ON後には、オペレーティングシステムを起動する、ワープロソフトを起動する、保存した文章を呼び出すという処理が不要になるという利便性がある。
【0004】
しかしながら、前記レジューム機能を実現する場合、電源OFF状態となっても、CPUの状態やメモリ上のデータなど作業の再開に必要な状態を保存するために、制御ボードにはバッテリからの電源が供給され続けることになる。そのため、バッテリが必要であり、コストの増加、重量の増加が懸念されるという問題がある。更に、基本的にバッテリからの電源供給に頼っているため、状態を維持できる時間がバッテリ容量によって制限されてしまうという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、特開平4−362716号公報(特許文献1)には、CPUと、メモリと、制御装置と、不揮発性メモリと、システム終了検出手段と、システム起動検出手段と、システム状態退避処理手段と、システム状態再現処理手段と、再表示要求発行手段とを備えたことを特徴とするシステム再起動装置が開示されている。当該システム再起動装置では、先ず、前記システム状態退避処理手段が、前記システム終了検出手段がシステムの終了要求を検出した時、前記CPUと前記メモリと前記制御装置のそれぞれの状態およびシステムの終了直前の状態が前記不揮発性メモリに格納されていることを示す再起動可能フラグを前記不揮発性メモリに書き込む。次に、前記システム状態再現処理手段が、前記システム起動検出手段がシステムの起動要求を検出した時、前記不揮発性メモリに前記再起動可能フラグが格納されているかを判別し、格納されている場合は前記不揮発性メモリに格納された前記CPUと前記メモリと前記制御装置の状態を読みだし前記CPUと前記メモリと前記制御装置の状態をシステム終了直前の状態に復元する。そして、前記再表示要求発行手段が、システム状態復元後稼働しているウィンドウシステムに対してウィンドウ再表示要求を発行する。これにより、CPUとメモリと制御装置の状態をバッテリから電源を供給して保持するのではなく、電源OFF前に不揮発性メモリに退避し、電源ON時に退避した状態を不揮発性メモリから読みだしてCPUとメモリと制御装置の状態を復元することにより電源OFF前の作業の再開を可能とするとしている。
【0006】
又、特開平10−3738号公報(特許文献2)には、キャッシュメモリを有するディスク装置の起動時に起動時信号を出力する起動検出手段と、この起動検出手段によって起動時信号が出力された時に前記キャッシュメモリを制御する起動キャッシュ制御部と、前記磁気ディスク装置の起動時に上位装置から読み出されるデータのアドレスを予め記憶した記憶手段とを備えたディスク装置の起動制御装置が開示されている。当該起動制御装置では、前記起動キャッシュ制御部が、前記起動検出手段によって起動時信号が出力されたときに前記記憶手段に格納されたアドレス情報に従って前記ディスク装置からデータを読み出す制御をする起動時データ読み出し制御機能と、この起動時データ読み出し制御機能によって読み出されたデータを前記キャッシュメモリに格納する起動時データ格納制御機能とを備えている。これにより、ディスク装置が起動したときに実際に上位装置からアクセスされる以前に上位装置が必要とするデータであるとして予め記憶手段に指定されたデータを先読みすることが出来る。更に、起動時データがキャッシュメモリに格納されるため、ディスク装置での読み出し処理が不要となり、キャッシュメモリを用いた高速アクセスが可能となる。その結果、起動時のキャッシュ制御を高効率とし、起動時の読込を高速化することのできる従来にない優れたディスク装置の起動制御装置を提供することが出来るとしている。
【0007】
又、特開2003−85041号公報(特許文献3)には、不揮発性メモリとディスク装置を備えたディスクキャッシュシステムにおいて、システムの電源がOnされたとき、ハードディスクが交換されたかを検出し、前記不揮発性メモリにキャッシュされたデータが有効かどうかを判断するようにしたことを特徴とするディスクキャッシュシステムが開示されている。これにより、電源Off後、再度起動した場合であっても物理的にハードディスクにアクセスする前にキャッシュの内容を使用することができ、起動処理を速やかに実行出来るとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−362716号公報
【特許文献2】特開平10−3738号公報
【特許文献3】特開2003−85041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1−3に記載の技術では、システムの終了時に、CPUとメモリと制御装置のそれぞれの状態及びシステム終了直前の状態(データ)を全て不揮発性メモリに書き込むため、当該不揮発性メモリの記憶容量が大きくなるという問題がある。又、システムの起動時に、前記不揮発性メモリに格納された前記CPUと前記メモリと前記制御装置の状態(データ)を読み出して、システムの終了直前の状態に復元するため、当該データ量が大きければ、それに対応して、再起動時間が長期化するという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、所定のタイミングで不揮発性メモリに退避させるデータを削減することで、電源ON時の再起動時間を短縮することが可能な再起動装置及び再起動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器の再起動装置は、電子機器が所定のタイミングを検知すると、当該電子機器の揮発性メモリに記憶されたデータを不揮発性メモリに退避させ、前記電子機器が電源ONされたことを検知すると、前記不揮発性メモリに記憶されたデータを揮発性メモリに書き込む電子機器の再起動装置である。
【0012】
当該再起動装置において、前記タイミングが検知されると、当該タイミングが検知された時点からの経過時間が、予め設定された所定の監視時間を超過するまで、前記電子機器のプログラムの実行を維持させる動作手段と、前記揮発性メモリに記憶されたデータのうち、前記電子機器のプログラムの実行により使用されたデータを使用データとして検知する検知手段と、前記経過時間が前記監視時間を超過すると、検知された使用データを不揮発性メモリに退避させる退避手段と、電源ONが検知されると、前記不揮発性メモリに記憶された使用データを前記揮発性メモリに書き込む書込手段とを備える。
【0013】
当該構成により、所定のタイミング直近で電子機器のプログラム実行により使用していないデータは不揮発性メモリに記憶されずに、使用データが不揮発性メモリに記憶されることとなるため、不揮発性メモリの記憶容量を削減することが可能となる。又、電源ONが検知された場合に、揮発性メモリに書き込むデータ量を削減することとなり、電源ONが検知された時点からの再起動に要する時間を短縮することが可能となる。
【0014】
更に、前記検知手段は、前記使用データを検知した場合、当該使用データを記憶するメモリ領域の領域識別情報を管理テーブルに記憶させ、前記退避手段は、前記管理テーブルの領域識別情報に対応するメモリ領域の使用データを、当該領域識別情報とともに前記不揮発性メモリに退避させ、前記書込手段は、前記使用データと関連付けられた領域識別情報に対応するメモリ領域に、当該使用データを書き込む構成を採用することが出来る。
【0015】
更に、前記検知手段が、前記使用データが使用されたプログラムの種類を、前記領域識別情報とともに前記管理テーブルに記憶させ、前記退避手段が、前記プログラムの種類を、前記使用データと、前記領域識別情報とに関連付けて前記不揮発性メモリに退避させ、前記書込手段が、前記領域識別情報に対応するメモリ領域に前記使用データを書き込むとともに、前記プログラムの種類に対応するプログラムを揮発性メモリに書き込む構成を採用することが出来る。
【0016】
又、当該再起動装置は、画像形成装置に適用することが出来る。
【0017】
当該構成により、画像形成装置に搭載する不揮発性メモリの記憶容量を削減することが可能となるとともに、画像形成装置の再起動時間を短縮することが出来、画像形成装置を利用するユーザへの利便性の向上、コストパフォーマンスの向上を図ることが出来る。
【0018】
尚、本発明は、電子機器が所定のタイミングを検知すると、当該電子機器の揮発性メモリに記憶されたデータを不揮発性メモリに退避させ、前記電子機器が電源ONされたことを検知すると、前記不揮発性メモリに記憶されたデータを揮発性メモリに書き込む電子機器の再起動方法として提供することが出来る。当該再起動方法において、前記タイミングが検知されると、当該タイミングが検知された時点からの経過時間が、予め設定された所定の監視時間を超過するまで、前記電子機器のプログラムの実行を維持させる動作ステップと、前記揮発性メモリに記憶されたデータのうち、前記電子機器のプログラムの実行により使用されたデータを使用データとして検知する検知ステップと、前記経過時間が前記監視時間を超過すると、検知された使用データを不揮発性メモリに退避させる退避ステップと、電源ONが検知されると、前記不揮発性メモリに記憶された使用データを前記揮発性メモリに書き込む書込ステップとを含むことを特徴とする電子機器の再起動方法を提供出来る。当該構成としても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【0019】
又、本発明は、電気通信回線などを介して個別に流通する、コンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することができる。この場合、中央演算処理装置(CPU)が、本発明のプログラムに従ってCPU以外の各回路と協働して制御動作を実現する。
【0020】
又、前記プログラム及びCPUを用いて実現される各手段は、専用のハードウェアを用いて構成することもできる。又、当該プログラムは、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で流通させることも可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電子機器の再起動装置及び再起動方法によれば、所定のタイミングで不揮発性メモリに退避させるデータを削減することで、電源ON時の再起動時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る画像読取部の拡大図である。
【図3】本発明に係る操作部の全体構成を示す概念図である。
【図4】本発明に係る複合機及び再起動部の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図5】本発明の複合機及び再起動部の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
【図7】本発明に係る揮発性メモリに記憶されたデータの一例を示す図(図7(A))と、本発明において電源OFFの検知直前の揮発性メモリに記憶されたデータの一例を示す図(図7(B))である。
【図8】本発明に係る管理テーブルの一例を示す図(図8(A))と、本発明において電源ONの検知直後の揮発性メモリに記憶されたデータの一例を示す図(図8(B))である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、添付図面を参照して、本発明の再起動装置を備えた画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0024】
<画像形成装置及び再起動装置>
以下に、本発明に係る再起動装置(例えば、再起動部)を備えた画像形成装置(例えば、複合機)について説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0026】
本発明の複合機100は、例えばプリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。尚、一例として複合機を利用して原稿のコピー機能を提供する際の複合機100の動作を簡単に説明する。
【0027】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿Pの印刷を行う場合、複合機100の電源を投入すると、複合機100の再起動部(図示せず)が、不揮発性メモリ(例えば、HDDなど)に揮発性メモリ(例えば、キャッシュメモリなど)へ記憶させるデータがあるか否か判定する。当該判定の結果、揮発性メモリへ記憶させるデータがあれば、再起動部が不揮発性メモリから揮発性メモリにデータを記憶させて、複合機100の制御部(図示せず)を起動させる。一方、前記判定の結果、揮発性メモリへ記憶させるデータがなければ、再起動部は、複合機100の制御部を起動させる。
【0028】
複合機100の制御部が起動すると、画像形成に関するオペレーションシステム、ウィンドウシステム、アプリケーションシステム等が順次起動し、以下に示す各部(駆動部)が、画像形成を実行可能な通常状態へ遷移(移行)したり、操作部103が、画像形成に関する画面(初期画面)を表示したりする。
【0029】
さて、ユーザは、前記初期画面を見ながら、原稿Pを図1に示す原稿台101、或いは載置台102に載置し、前記初期画面を介して前記操作部103にコピー条件を入力し、印刷の指示を行う。前記操作部103の構成については後述する。当該印刷の指示があると、前記駆動部が動作することで、印刷が行われる。
【0030】
本発明の複合機100は、図1に示すように、本体104と、本体104の上方に取り付けられたプラテンカバー105を備える。本体104の上面は原稿台101が設けられており、原稿台101は、プラテンカバー105によって開閉されるようになっている。プラテンカバー105は、自動原稿給紙装置106と載置台102と排紙台107が設けられている。
【0031】
自動原稿給紙装置106は、プラテンカバー105の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー105の内部に備えられたピックアップローラ109や搬送ローラ110A、110B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台102から、本体104に設けられた画像読取部111にて読み取りが行なわれる読取位置Xを経由して、排紙台107に通じる原稿の搬送路である。
【0032】
自動原稿給紙装置106は、載置台102に載置された複数の原稿から1枚ずつ原稿をピックアップローラ109で搬送路内108に引き出し、搬送ローラ等によって引き出した原稿を、読取位置Xを通過させて、搬送ローラ110Bにより排紙台107に排紙する。読取位置Xを通過する時に原稿は画像読取部111にて読み取られる。
【0033】
前記画像読取部111は、原稿台101の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。画像読取部111は、原稿台101を照射する主走査方向に長い光源112と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット113と、原稿台からの光を導くミラー114とを備える第一の移動キャリッジ115や、第一の移動キャリッジ115からの反射光を再度反射するミラー116A、116Bを備える第二の移動キャリッジ117、更にミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群118、当該レンズ群118より補正された光を受光する撮像素子119、撮像素子119にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正処理・画質処理・圧縮処理などを行う画像データ生成部120とで構成されている。
【0034】
自動原稿給紙装置106上の原稿を読み取る場合には、光源112は、読取位置Xを照射できる位置に移動して発光する。光源112からの光は、原稿台101を透過して読取位置Xを通過する原稿にて反射し、スリット113、ミラー114、116A、116B、レンズ群118によって撮像素子119に導かれる。撮像素子119は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部120に送信する。画像データ生成部120には、上記撮像素子119にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部120では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正処理、画質処理、圧縮処理等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0035】
又、画像読取部111は、自動原稿給紙装置106で搬送される原稿だけでなく、原稿台101に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台101に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ114は、光源112を発光しながら副走査方向に移動し、光源112から撮像素子119までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ117は第一の移動キャリッジ115の1/2の速度で撮像素子119方向に移動する。
【0036】
撮像素子119は、自動原稿給紙装置106に搬送された原稿のときと同様に、ミラー114、116A、116Bに導かれた光に基づいて原稿台101に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部120が画像データを生成し、画像記憶部120Bに記憶する。
【0037】
本体104の画像読取部111の下方には、画像データを印刷する画像形成部121を備えている。画像形成部121が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部120にて生成されたものや、その他、複合機100とLAN等のネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ等の端末から通信部(ネットワークインターフェイス、図示せず)を介して受信したものである。尚、通信部は、ファクシミリ送受信機能、電子メール送受信機能等で用いられる。
【0038】
さて、画像形成部121が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム122を帯電器123で一様に帯電させ、その後レーザ124で感光ドラム122を照射して感光ドラム122に潜像を形成し、現像器125で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を転写媒体に転写する方式である。
【0039】
尚、フルカラー画像に対応した複合機では、上記現像器(ロータリー現像器)125が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム122の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム122上の潜像が、現像器125が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト126Aに転写される。なお、現像器125は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット125(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記中間転写ベルト126Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト126A上にフルカラー画像が形成される。
【0040】
可視像が印刷される転写媒体、即ち用紙は、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0041】
画像形成部121が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから転写媒体1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した転写媒体を搬送ローラ136やレジストローラ137で中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込む。
【0042】
画像形成部121は、中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込んだ転写媒体に、上記中間転写ベルト126A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト127で定着部128(定着装置)に転写媒体を送る。定着部128は、ヒータが内蔵された加熱ローラ129と、所定の圧力で加熱ローラ129に押し当てられた加圧ローラ130とで構成されている。加熱ローラ129と加圧ローラ130の間を転写媒体が通過すると、熱と転写媒体への押圧力によって可視像が転写媒体に定着する。定着が行われた転写媒体は排紙トレイ131に排紙される。
【0043】
上記手順により、複合機100はコピー機能の処理をユーザに提供する。
【0044】
尚、何らかの理由(例えば、電源キーが押下された、コンセントが抜かれた等)により、複合機100の電源がOFFされた場合、複合機100の再起動部が、揮発性メモリに記憶されたデータを不揮発性メモリに退避させる。これにより、電源がOFFされた時点における複合機100の制御部のプログラム実行(動作状態)を示すデータ(サスペンドデータともいう)は、不揮発性メモリに退避され、電源OFFされても当該データは保存される。
【0045】
図3は、本発明に係る操作部の全体構成を示す概念図である。
【0046】
ユーザは、前記操作部103を用いて、上述のような画像形成についての設定条件等を入力したり、入力された設定条件等を確認したりする。前記設定条件等が入力される場合、前記操作部103に備えられたタッチパネル301(操作パネル)、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
【0047】
前記タッチパネル301には、アナログ抵抗膜方式が採用され、透光性を有する上部フィルムと下部ガラス基板とがスペーサを介して重ね合わされた構成となっており、上部フィルムと下部ガラス基板との各々の対向面には、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明電極層が設けられている。更に、上部フィルムがユーザにより押下されると、当該押下位置に対応する上部フィルム側の透明電極層と下部ガラス基板側の透明電極層とが接触するよう構成されている。上部フィルム又は下部ガラス基板に電圧を印加し、下部ガラス基板又は上部フィルムから押下位置に対応する電圧値を取り出すことにより、当該電圧値に対応する座標値(押下位置)を検出する。検出された押下位置が、タッチパネル上に表示された画面内の設定条件キー等の表示領域内に含まれると、当該設定条件等が入力される。
【0048】
又、下部ガラス基板の下方には、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部が設けられており、当該表示部が、例えば、初期画面等の画面を表示することにより、タッチパネル上に特定の画面が表示される。これにより、タッチパネル301には、設定条件等を入力する機能と前記画面を表示する機能が兼ね備えられる。
【0049】
又、タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、当該接触位置(押下位置)に対応する座標値が、上記と同様に出力され、ユーザはタッチペン302により、表示されたキー等を押下・選択することが可能となる。
【0050】
更に、タッチパネル301近傍には、所定数の操作キー303が設けられ、例えば、テンキー304、スタートキー305、クリアキー306、ストップキー307、リセットキー308、電源キー309が備えられている。
【0051】
次に、図4を用いて、複合機100及び再起動部の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、本発明に係る複合機及び再起動部の制御系ハードウェアの構成を示す図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0052】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、各駆動部に対応するドライバ405を内部バス406によって接続している。前記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、前記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ405、操作部103、再起動部408からのデータや指示を授受し、上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、前記駆動部以外の後述する各手段(図5に示す)についても、前記CPU401がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。
【0053】
又、制御回路の内部バス406には、内部インターフェイス407も接続されており、当該内部インターフェイス407は、再起動部408の制御回路と複合機100の制御回路とを接続する。CPU401は、内部インターフェイス407を介して再起動部408の制御回路からの命令信号を受信したり、再起動部408の制御回路へ命令信号、データ等を送信したりする。
【0054】
又、再起動部408の制御回路には、内部バス412に、CPU409、ROM410、RAM411、内部インターフェイス413を備える。再起動部408のCPU409、ROM410、RAM411の機能も上記と同様であり、後述する各手段(図5に示す)についても、前記CPU409がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。前記ROM410、RAM411には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0055】
<本発明の実施形態>
次に、図5、図6を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。図5は、本発明の複合機及び再起動部の機能ブロック図である。図6は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
【0056】
<電源OFF時の処理(サスペンド処理)>
まず、ユーザが、複合機100の電源501を投入すると(例えば、電源キー309がONされた、コンセントが所定の差込口に差し込まれたなど)、複合機100が起動するとともに、再起動部408の電源検知手段502が、複合機100の電源ONを検知して(図6:S101)、その旨を書込手段503に通知する。当該通知を受けた書込手段503は、不揮発性メモリ504を参照し、電源ON時に当該不揮発性メモリ504から揮発性メモリ505へ記憶させるデータ(サスペンドデータ)が存在するか否かを判定する(図6:S102)。
【0057】
前記揮発性メモリ505へ記憶させるデータが存在しない場合(図6:S102NO)、書込手段503は、その旨を複合機100の制御手段506に通知する。当該通知を受けた制御手段506は、不揮発性メモリ504に記憶された画像形成(コピーサービス)に関するプログラムを読み出し、当該プログラムを揮発性メモリ505に書き込む(一時記憶させる)(図6:S103)。
【0058】
一方、前記揮発性メモリへ記憶させるデータが存在する場合は(図6:S103YES)、後述する。
【0059】
さて、揮発性メモリ505には、図7(A)に示すように、書き込まれるプログラム毎に複数のメモリ領域が予め設けられる。例えば、メモリ領域のうち、オペレーションシステム領域701には、オペレーションシステムのプログラム702(テキスト/データ)が、ウィンドウシステム領域703には、ウィンドウシステムのプログラム704(テキスト/データ)が、アプリケーションシステム領域705には、アプリケーションシステムのプログラム706(テキスト/データ)がそれぞれ書き込まれる。
【0060】
又、揮発性メモリ505には、更に、各プログラムの実行に対応して使用されるデータ(例えば、パラメータなど)が随時記憶されるディスクキャッシュ領域707が設けられる。前記ディスクキャッシュ領域707は、所定数(例えば、7つ)のメモリ領域708−714に区分され、区分されたメモリ領域708−714毎に領域識別情報708a−714a(例えば、番号が付された「領域1」708aなど)が付されている。
【0061】
各プログラムを揮発性メモリ505に記憶させると、制御手段506は、各プログラムを実行する(図6:S104)。ここで、制御手段506が、オペレーションシステムのプログラム702、ウィンドウシステムのプログラム704、アプリケーションシステムのプログラム706を順次実行する場合、様々な種類のデータ(上述したパラメータなど)を、一度、ディスクキャッシュ領域707の所定のメモリ領域に一時記憶させる。そして、前記制御手段506は、当該メモリ領域のデータを使用(参照)して、各プログラムを実行していく。
【0062】
尚、ディスクキャッシュ領域707の所定のメモリ領域に所定のデータを一時記憶させる方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、制御手段506が、領域識別情報708a−714aの番号の早い順番で、メモリ領域に所定のデータを順次記憶させる方法が採用される。
【0063】
前記プログラムの実行が進み、ディスクキャッシュ領域707における全てのメモリ領域に所定のデータがそれぞれ一時記憶され、前記制御手段506が所定のデータを新たに一時記憶させる必要が生じた場合、当該制御手段506が、例えば、メモリ領域に一時記憶させた時間が最も長いデータを消去し、消去したメモリ領域に所定のデータを新たに一時記憶させる。そのため、プログラムの実行が進むと、それに伴い、ディスクキャッシュ領域707に一時記憶されるデータは、順次書き換えられることになる。
【0064】
さて、制御手段506が、プログラムを実行している際に、何らかの原因により(例えば、ユーザによる電源キー309のOFFの押下、前記コンセントが前記差込口から抜き出されたなど)、複合機100の電源501がOFFされると、再起動部408の電源検知手段502が、複合機100の電源OFFを所定のタイミングとして検知して(図6:S105)、その旨を動作手段507に通知する。当該通知を受けた動作手段507は、当該タイミングが検知された時点からの経過時間が、予め設定された所定の監視時間を超過するまで、前記制御手段506のプログラムの実行を維持させる。
【0065】
具体的には、動作手段507が、前記通知を受けると、予備電源、無停電電源などを用いて前記複合機100(前記制御手段506)や前記再起動部408に供給される所定の電力を確保し、予め備えられたタイマ508を起動して、前記タイミング(電源OFF)が検知された時点からの経過時間を計時する(図6:S106)。次に、動作手段507は、所定のメモリ509に予め記憶された監視時間(例えば、5秒)を取得して、前記経過時間が前記監視時間を超過するか否かを判定する(図6:S107)。
【0066】
当該判定の結果、前記経過時間が前記監視時間を超過していない場合(図6:S107NO)、動作手段507は、例えば、前記制御手段506へプログラム実行のリセット再起動命令(装置の動作状態を初期状態に戻す命令)命令の送信を留保し、当該制御手段506によるプログラムの実行を維持させる(図6:S108)。
【0067】
尚、前記監視時間は、搭載されたCPUの能力、オペレーションシステムを含むプログラムの種類、予備電源などの電源供給能力等に応じて任意に設定されるものの、例えば、1秒−10秒の範囲であると好ましい。当該構成とすると、所定のタイミング(電源OFF)が検知されてから、電源の供給が停止するまでに要する電力及び時間を削減することが出来るとともに、後述する検知手段510が、前記タイミング(電源OFF)以前に作動していたプログラムに使用のデータを漏れなく検知(把握)し易いため、好ましい。
【0068】
次に、前記動作手段507が、制御手段506によるプログラムの実行を維持させると(図6:S108)、その旨を検知手段510に通知する。当該通知を受けた検知手段510は、前記揮発性メモリ505に記憶されたデータのうち、前記制御手段506のプログラムの実行により使用されたデータを使用データとして検知する(図6:S109)。ここで、前記使用データは、実行中のプログラムを抜き出したデータ、所謂、スナップショットに対応する。
【0069】
具体的には、前記検知手段510が、管理テーブル記憶手段511に予め記憶された管理テーブル内のデータ(従前の電源OFFの検知時に記憶された領域識別情報、後述する)を消去し、前記揮発性メモリ505のディスクキャッシュ領域707を参照する。
【0070】
ここで、前記ディスクキャッシュ領域707のメモリ領域708−714には、例えば、図7(B)に示すように、制御手段506が電源OFFの検知直前で使用したデータ708b−714b(例えば、「データA」708b−「データG」714b)がそれぞれ一時記憶されていたとする。
【0071】
そこで、前記検知手段510が、前記動作手段507からの通知を受けると、前記ディスクキャッシュ領域707のメモリ領域708−714にそれぞれ記憶されたデータ708b−714bの使用状況を監視し、当該データ708b−714bが前記制御手段506により使用されたか否かを検知する。
【0072】
ここで、所定のメモリ領域(例えば、「領域1」708aのメモリ領域708)に一時記憶された所定のデータ(例えば、「データA」708b)が、所定のプログラム(例えば、オペレーションシステムのプログラム702)の実行により使用された場合、前記検知手段510は、当該データが使用されたことを検知し(図6:S109YES)、当該データ(使用データ)を一時記憶するメモリ領域の領域識別情報(「領域1」708a)を取得して(図6:S110)、当該領域識別情報を前記管理テーブルに記憶させる(図6:S111)。これにより、後述する退避手段512は、前記使用データが一時記憶されたメモリ領域を特定することができる。
【0073】
上述のような前記検知手段510によるデータの使用状況の監視は、前記経過時間が前記監視時間を超過するまでの間、継続される(図6:S107NO)。例えば、前記経過時間が前記監視時間を超過するまでに、前記管理テーブル800には、図8(A)に示すように、所定数の領域識別情報801(例えば、「領域1」708a、「領域2」709a、「領域7」714a)が記憶されたとする。
【0074】
そして、前記動作手段507による前記判定の結果、前記経過時間が前記監視時間を超過した場合(図6:S107YES)、当該動作手段507は、制御手段506にプログラム実行のリセット再起動命令を送信することで当該制御手段506によるプログラム実行をリセットさせる(図6:S112)。この際、前記動作手段507は、その旨を前記検知手段510に通知し、当該通知を受けた検知手段510は、データの使用状況の監視を終了する。
【0075】
前記リセット再起動命令を受信した制御手段506は、更に、再起動し(図6:S113)、その旨を前記動作手段507を介して退避手段512に通知する。当該通知を受けた退避手段512は、検知された使用データを不揮発性メモリ504に退避させる(記憶させる)(図6:S113)。
【0076】
先ず、前記退避手段512が、前記管理テーブル記憶手段511に記憶された管理テーブル800を参照し、当該管理テーブル800の領域識別情報801(例えば、「領域1」708a)を取得する。次に、退避手段512が、揮発性メモリ505を参照し、取得した領域識別情報(「領域1」708a)に対応するメモリ領域708の使用データ(「データA」708b)を、当該領域識別情報(「領域1」)とともに、不揮発性メモリ504に記憶させる。このような使用データ及び領域識別情報の記憶を、前記退避手段512は、前記管理テーブル800の領域識別情報801(「領域2」709a、「領域7」714a)毎に実行する。すると、前記不揮発性メモリ504には、使用データ(「データA」708b、「データB」709b、「データG」714b)、領域識別情報(「領域1」708a、「領域2」709a、「領域7」714a)がそれぞれ関連付けられて記憶される。
【0077】
これにより、所定のタイミング(ここでは、電源OFF)の直近で制御手段506が使用した使用データのみが不揮発性メモリ504に記憶され、使用されていないデータ(例えば、「データC」710b、「データD」711bなど)は、不揮発性メモリ504に記憶されない(消去される)ため、使用されないデータを無駄に不揮発性メモリ504に記憶させることなく、不揮発性メモリ504の記憶容量を削減することが可能となる。
【0078】
例えば、削減される不揮発性メモリ504の記憶容量は、プログラムの種類、使用データの種類などに応じて異なるものの、従来技術において上述したデータの記憶に要する不揮発性メモリ504の記憶容量が1MBである場合、本発明において対応する不揮発性メモリ504の記憶容量は約0.5MBとなる。
【0079】
尚、前記退避手段512は、更に、必要に応じて、前記使用データが使用されたプログラム(例えば、オペレーションシステムのプログラム702、ウィンドウシステムのプログラム704、アプリケーションシステムのプログラム706)を前記不揮発性メモリ504に退避させてもよい。但し、前記プログラムは、既に不揮発性メモリ504に予め記憶されているプログラムであるため、前記プログラムを退避させる構成は、例えば、多種多様のプログラムが不揮発性メモリ504に記憶され、電源ON時に特定のプログラムのみ再起動させる場合などに有効である。
【0080】
又、所定のタイミング(電源OFF)の直近で使用されていないデータは、前記検知手段510により前記監視時間内に検知されなかった場合、前記不揮発性メモリ504に退避されないことになる。退避されなかったデータは、再度、制御手段506が、不揮発性メモリ504に予め記憶されている、画像形成に関するプログラムを読み取り、当該プログラムを実行することにより、揮発性メモリ505に記憶させることになる。
【0081】
さて、前記退避手段512は、使用データ、領域識別情報を全て不揮発性メモリ504に退避させると、その旨を制御手段506に通知する。当該通知を受けた制御手段506は、動作を停止し、電源OFFの状態(停止状態)となる(図6:S115)。
【0082】
<電源ON時の処理(レジューム処理)>
さて、例えば、ユーザが、前記複合機100の電源501を投入すると、複合機100が起動するとともに、再起動部408の電源検知手段502が、複合機100の電源ONを検知して(図6:S101)、その旨を書込手段503に通知する。当該通知を受けた書込手段503は、不揮発性メモリ504を参照し、電源ON時に当該不揮発性メモリ504から揮発性メモリ505へ記憶させるデータ(前記使用データなど)が存在するか否かを判定する(図6:S102)。
【0083】
ここで、上述のように、退避手段512により前記揮発性メモリ505にデータが記憶されているため、書込手段503は、前記揮発性メモリ505へ記憶させるデータが存在する場合と判定し(図6:S102YES)、不揮発性メモリ504を参照して、当該不揮発性メモリ504に記憶されたデータを揮発性メモリ505に書き込む(図6:S115)。
【0084】
前記書込手段503が、不揮発性メモリ504に記憶された使用データを揮発性メモリ505に書き込む場合、図8(B)に示すように、前記使用データとともに記憶された領域識別情報(「領域1」708a、「領域2」709a、「領域7」714a)を参照し、参照した領域識別情報(「領域1」708a、「領域2」709a、「領域7」714a)に対応するディスクキャッシュ領域707のメモリ領域708、709、714に、当該使用データ(「データA」708b、「データB」709b、「データG」714b)を書き込む。
【0085】
これにより、ディスクキャッシュ領域707は、所定のタイミング(電源OFF)の直近で使用された使用データ(「データA」708b、「データB」709b、「データG」714b)が、対応するメモリ領域708、709、714に記憶された状態となり、前記タイミング(電源OFF)の直近の状態となる。又、使用されていないデータ(例えば、「データC」710bなど)は、一切記憶されないため、電源ONが検知された時点から揮発性メモリ505にデータが全て書き込まれる時点までに要する時間、つまり、再起動に要する時間(再起動時間)を短縮することが可能となる。
【0086】
例えば、上述した再起動時間は、揮発性メモリ505に書き込まれるデータの量、メモリへのアクセス速度などに応じて異なるものの、従来技術における再起動時間が10秒である場合、本発明における再起動時間は5秒−8秒の範囲内となる。
【0087】
又、書込手段503は、図8(B)に示すように、前記使用データが使用されたプログラム、例えば、オペレーションシステムのプログラム702を、オペレーションシステム領域701に、ウィンドウシステムのプログラム704を、ウィンドウシステム領域703に、アプリケーションシステムのプログラム706をアプリケーションシステム領域705に書き込む。
【0088】
さて、書込手段503がデータを書き込むと、その旨を制御手段506に通知する。当該通知を受けた制御手段506は、揮発性メモリ505に記憶されたプログラムを参照するとともに、不揮発性メモリ504に予め記憶された画像形成に関するプログラムを参照し、両者のプログラムの種類が一致するか否か判定する(図6:S116)。
【0089】
当該判定の結果、両者のプログラムの種類が一致する場合は(図6:S116YES)、揮発性メモリ505に、画像形成に関するプログラムが全て記憶されたこととなるため、前記制御手段506は、揮発性メモリ505に記憶されたプログラムを実行することになる(図6:S103)。ここで、揮発性メモリ505に記憶されたプログラム、当該プログラムの実行に使用される使用データは、既に揮発性メモリ505に記憶された状態であるため、制御手段506は、当該揮発性メモリ505のプログラムに基づいて実行すれば、前記タイミング(電源OFF)の直近の状態と同様の状態で、プログラム実行を即時に再開することが可能となる。
【0090】
一方、前記判定の結果、両者のプログラムの種類が一致しない場合は(図6:S116NO)、前記制御手段506は、前記揮発性メモリ505に記憶されていないプログラムを、前記不揮発性メモリ504から読み取って、前記揮発性メモリ505に記憶させる(図6:S117)そして、前記制御手段506は、当該揮発性メモリ505のプログラムを実行することになる(図6:S103)。これにより、例えば、前記監視時間が短すぎて、前記検知手段510が検知した使用データが少なく、当該使用データが使用されたプログラム以外のプログラムが、画像形成に関するプログラムを構成している場合、画像形成に関するプログラムを、電源ON時に全て揮発性メモリ505に書き込むことが出来ないこととなるが、上述した判定により、画像形成に関するプログラムを全て揮発性メモリ505に書き込む(記憶する)ことが可能となる。
【0091】
このように、本発明に係る再起動部408は、所定のタイミング(電源OFF)が検知されると、当該タイミング(電源OFF)が検知された時点からの経過時間が、予め設定された所定の監視時間を超過するまで、前記制御手段506のプログラムの実行を維持させる動作手段507と、前記揮発性メモリ505に記憶されたデータのうち、前記制御手段506のプログラムの実行により使用されたデータを使用データとして検知する検知手段510と、前記経過時間が前記監視時間を超過すると、検知された使用データを不揮発性メモリ504に退避させる退避手段512と、電源ONが検知されると、前記不揮発性メモリ504に記憶された使用データを前記揮発性メモリ505に書き込む書込手段503とを備える。
【0092】
これにより、前記タイミング(電源OFF)直近で制御手段506のプログラム実行により使用していないデータは不揮発性メモリ504に記憶されずに、使用データが不揮発性メモリ504に記憶されることとなるため、不揮発性メモリ504の記憶容量を削減することが可能となる。又、電源ONが検知された場合に、揮発性メモリ505に書き込むデータ量を削減することとなり、電源ONが検知された時点からの再起動に要する時間を短縮することが可能となる。
【0093】
尚、本発明の実施形態に係る再起動部408では、複合機100の画像形成(コピーサービス)に関するプログラムの処理について採用したが、例えば、ファクシミリ送受信サービス、プリントサービス等に対しても採用できる。更に、本発明の実施形態では、再起動部408を複合機100に適用した場合について説明したが、再起動部408(再起動装置)を備えた各種画像形成装置、各種画像処理装置、各種画像加工装置、各種画像表示装置等に適用しても、同一の作用効果を奏する。
【0094】
又、本発明の実施形態では、前記タイミングを、電源OFF時としたが、これに限定される必要はなく、ユーザ等により予め決定されるタイミング(前記使用データを取得したいタイミング)でよく、所定の機能のレディ時、例えば、コピーレディ時、ファクシミリ送受信レディ時、プリントレディ時などでも構わない。
【0095】
又、本発明の実施形態に係る検知手段510は、前記使用データを検知した場合、当該使用データを記憶するメモリ領域の領域識別情報を管理テーブル800に記憶させ、前記退避手段512は、前記管理テーブル800の領域識別情報に対応するメモリ領域の使用データを、当該領域識別情報とともに前記不揮発性メモリ504に退避させ、前記書込手段503は、前記使用データと関連付けられた領域識別情報に対応するメモリ領域に、当該使用データを書き込むよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、検知手段510が、前記使用データが使用されたプログラムの種類を、前記領域識別情報とともに前記管理テーブル800に記憶させ、前記退避手段512が、前記プログラムの種類を、前記使用データと、前記領域識別情報とに関連付けて前記不揮発性メモリ504に退避させ、前記書込手段503が、前記領域識別情報に対応するメモリ領域に前記使用データを書き込むとともに、前記プログラムの種類に対応するプログラムを揮発性メモリ505に書き込むよう構成してもよい。当該構成により、前記書込手段503が、前記使用データと、当該使用データが使用されるプログラムの種類とを対応して揮発性メモリ505に書き込むことが可能となる。上述した構成は、特に、不揮発性メモリ505に記憶されるプログラムの数が膨大に及ぶ場合に有効である。
【0096】
又、本発明の実施形態に係る制御手段506は、再起動時に、揮発性メモリ505のプログラムの種類と、不揮発性メモリ504のプログラムの種類とを照合して、両者が一致するか否かを判定する構成を採用したが、他の構成でも構わない。例えば、前記監視時間が十分に長い場合は、前記検知手段510が、前記タイミング(電源OFF)以前に作動していたプログラムに使用のデータを十分に検知することが可能となり、画像形成に関するプログラムが揮発性メモリ505に全て記憶される。その場合は、前記制御手段506による上述した判定を省略しても問題ない。
【0097】
又、本発明の実施形態では、電子機器を複合機100としたが他の機器でもよく、例えば、携帯電話、通信装置、測定装置等でも構わない。
【0098】
又、本発明の実施形態では、再起動部408が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを再起動部408或いは複合機100に読み出させ、その再起動部408或いは複合機100が前記各手段を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明に係る再起動装置及び再起動方法は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ等に有用であり、所定のタイミングで不揮発性メモリに退避させるデータを削減することで、電源ON時の再起動時間を短縮することが可能な再起動装置及び再起動方法として有効である。
【符号の説明】
【0100】
100 複合機
408 再起動部
501 電源
502 電源検知手段
503 書込手段
504 不揮発性メモリ
505 揮発性メモリ
506 制御手段
507 動作手段
508 タイマ
509 メモリ
510 検知手段
511 管理テーブル記憶手段
512 退避手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が所定のタイミングを検知すると、当該電子機器の揮発性メモリに記憶されたデータを不揮発性メモリに退避させ、前記電子機器が電源ONされたことを検知すると、前記不揮発性メモリに記憶されたデータを揮発性メモリに書き込む電子機器の再起動装置において、
前記タイミングが検知されると、当該タイミングが検知された時点からの経過時間が、予め設定された所定の監視時間を超過するまで、前記電子機器のプログラムの実行を維持させる動作手段と、
前記揮発性メモリに記憶されたデータのうち、前記電子機器のプログラムの実行により使用されたデータを使用データとして検知する検知手段と、
前記経過時間が前記監視時間を超過すると、検知された使用データを不揮発性メモリに退避させる退避手段と、
電源ONが検知されると、前記不揮発性メモリに記憶された使用データを前記揮発性メモリに書き込む書込手段と
を備えることを特徴とする電子機器の再起動装置。
【請求項2】
更に、前記検知手段は、前記使用データを検知した場合、当該使用データを記憶するメモリ領域の領域識別情報を管理テーブルに記憶させ、
前記退避手段は、前記管理テーブルの領域識別情報に対応するメモリ領域の使用データを、当該領域識別情報とともに前記不揮発性メモリに退避させ、
前記書込手段は、前記使用データと関連付けられた領域識別情報に対応するメモリ領域に、当該使用データを書き込む
請求項1に記載の電子機器の再起動装置。
【請求項3】
更に、前記検知手段が、前記使用データが使用されたプログラムの種類を、前記領域識別情報とともに前記管理テーブルに記憶させ、
前記退避手段が、前記プログラムの種類を、前記使用データと、前記領域識別情報とに関連付けて前記不揮発性メモリに退避させ、
前記書込手段が、前記領域識別情報に対応するメモリ領域に前記使用データを書き込むとともに、前記プログラムの種類に対応するプログラムを揮発性メモリに書き込む
請求項1又は2に記載の電子機器の再起動装置。
【請求項4】
請求項1−3のいずれか一項に記載の再起動装置を備えた画像形成装置。
【請求項5】
電子機器が所定のタイミングを検知すると、当該電子機器の揮発性メモリに記憶されたデータを不揮発性メモリに退避させ、前記電子機器が電源ONされたことを検知すると、前記不揮発性メモリに記憶されたデータを揮発性メモリに書き込む電子機器の再起動方法において、
前記タイミングが検知されると、当該タイミングが検知された時点からの経過時間が、予め設定された所定の監視時間を超過するまで、前記電子機器のプログラムの実行を維持させる動作ステップと、
前記揮発性メモリに記憶されたデータのうち、前記電子機器のプログラムの実行により使用されたデータを使用データとして検知する検知ステップと、
前記経過時間が前記監視時間を超過すると、検知された使用データを不揮発性メモリに退避させる退避ステップと、
電源ONが検知されると、前記不揮発性メモリに記憶された使用データを前記揮発性メモリに書き込む書込ステップと
を含むことを特徴とする電子機器の再起動方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器の再起動方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114555(P2013−114555A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261809(P2011−261809)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】