説明

写真プリント装置

【課題】 プリント媒体に無駄を生ずることなく、多種類のアルバムを処理に作製できる写真プリント装置を構成する。
【解決手段】 異なる厚さの印画紙で成るペーパーPを収容する複数のマガジンMと、夫々のマガジンMからのペーパーPを、カッター17をプリントサイズに切断して露光エンジン15に供給し、アルバムプリントを行う場合には、アルバム作製手段が、表紙に対応したペーパーPを露光エンジン15に送って表紙のイメージデータの露光を行い、各頁に対応したペーパーPを露光エンジン15に送って各頁のイメージデータの露光を行うことにより、1冊のアルバムの単位でパーパーPの露光処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給部からのプリント媒体をプリント部に供給し、このプリント部においてアルバムを構成する表紙及び各頁に設定されたイメージデータのプリントを行うアルバム作製手段を備えている写真プリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された写真プリント装置と関連するものとして、特許文献1に記載されるものが存在する。つまり、この特許文献1では、フィルムスキャナーで画像情報(本発明のイメージデータに相当)を取得し、汎用コンピュータにおいてプリントサイズと画像情報のレイアウトとの情報を設定し、インクジェット型や昇華型のプリント機構において指定されたカセットに収容したペーパー(本発明のプリント媒体)にプリントし、このプリント機構のパンチング部で複数の孔部を形成した後に送り出すよう処理形態が設定されている。このようにプリントされた後には、孔部にバインダーをセットしてアルバムを作製できるものとなる。
【0003】
【特許文献1】特開2002‐49106号公報 (段落番号〔0016〕〜〔0025〕、図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術によってアルバムを作製する処理を考えると、カセットに収容したペーパーを用いるので、使用するペーパーのサイズに対応したペーパーを準備する必要があった。つまり、アルバムに使用されるペーパーのサイズを考えると、特許文献1に記載されるようにペーパーの側部に余白を形成するものでは、この余白を含むサイズのペーパーを用いる必要がある。また、各頁の側端部に接着剤を塗布してアルバムを構成するものでは、同じサイズのイメージデータをプリントする場合でも、特許文献1に記載されたように余白を形成するものよりペーパーのサイズが小さくなる。また、アルバムとしては、特許文献1では表紙と裏表紙とが独立する構造のものの他に、表紙と裏表紙とが一体化したもの(通常は背表紙も一体化する)を用いた構造のものであっても良く、このように表紙と裏表紙とが一体化した構造のアルバムを作製する場合には、更に、表紙と裏表紙とが一体化したサイズのペーパーを準備しなくてはならず、ペーパーのストックを増大させる不都合に繋がるものであった。
【0005】
写真プリント装置として、マガジンに収容したロール状の銀塩式の印画紙をプリント媒体として用いるものを考えると、ミニラボと称されるものでは、1つの種類の印画紙に対して画像データのプリントを行うことだけを考慮して設計されていたので、プリント処理条件を設定するチャンネルでは1つのマガジンの指定しか許されず、異なる厚みの印画紙を用いてアルバムを作製する場合には、チャンネルを切り換える必要から、手間が掛かり、処理時間も長くなる点において改善の余地があった。
【0006】
更に、プリント後のプリント媒体からアルバムを作製する処理を考えると、特許文献1に記載されるように複数の孔部を形成してバインダーを用いて綴じる作業だけではなく、表紙と背表紙と裏表紙とが一体化したものに対して各頁を接着することや、ステープラで綴じる作業を必要とするものであり、複数冊のアルバムを作製する場合には、複数枚のペーパーを仕分けるための手間を軽減したい面が強いものであった。
【0007】
本発明の目的は、プリント媒体に無駄を生ずることなく、多種類のアルバムを作製できる写真プリント装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、媒体供給部からのプリント媒体をプリント部に供給し、このプリント部においてアルバムを構成する表紙及び各頁に設定されたイメージデータのプリントを行うアルバム作製手段を備えている写真プリント装置において、
該写真プリント装置は、異なる性質のロール状のプリント媒体を供給する複数の前記媒体供給部と、この複数の媒体供給部のうち選択されたものから送られるプリント媒体をカッターで設定されたサイズに切断して前記プリント部に供給する供給搬送部とを備えており、
前記アルバム作製手段は、前記表紙及び各頁に対応したプリント媒体を前記媒体供給部から送り出し、前記表紙及び各頁に対応したサイズに切断して前記プリント部に供給する処理と、ソースデータから前記表紙及び各頁にプリントすべき前記イメージデータを生成して前記プリント部においてプリントを実行する処理とを行うように構成した点にある。
【0009】
この構成により、アルバムを作製する場合には、アルバム作製手段が複数の媒体供給部の何れかから送られる記録媒体を設定されたサイズに切断した後に、プリント部でプリントできるので、アルバムの構造に対応して必要とするサイズのプリント媒体を用いてアルバムを作製できる。その結果、例えば、プリント媒体のサイズが異なる複数種のアルバムを作製する場合でも、予めプリントサイズに切断されたプリント媒体を用いるものと比較してプリント媒体の無駄をなくせるものとなった。
【0010】
本発明は、アルバムプリントチャンネルの選択によって、前記アルバム作製手段によるアルバム作製処理が実行されるよう処理形態が設定されると共に、このアルバムプリントチャンネルを選択した場合には、ディスプレイに対してプリントサイズの設定部、前記イメージデータの設定部、及び、プリント媒体種の設定部の操作画面を表示し、これらの設定部に対してオペレータが任意にデータの入力を行えるよう構成しても良い。
【0011】
この構成により、1つのアルバムプリントチャンネルを選択するだけで、ディスプレイの表示に基づいてプリントサイズの設定と、イメージデータの設定と、プリント媒体種の設定とを行えるものとなり、プリント媒体種を設定するために複数のプリントチャンネルを設定する必要がなく、設定の手間が省け、能率的な作業を行える。
【0012】
本発明は、前記アルバム作製手段として、複数冊のアルバムを作製する処理を実行する際には、アルバム1冊に対応した前記表紙及び前記各頁のプリントを1つの処理単位とし、この処理単位を複数冊に対応した回数だけ実行するよう処理のシーケンスを設定しても良い。
【0013】
この構成により、複数冊のアルバムを作製する場合には、アルバム1冊に対応した表紙及び各頁のプリントを1つの処理単位とし、この処理単位を複数冊に対応した回数だけ実行するので、プリントを終えた1冊分のプリント媒体から順次アルバムを作製することが可能となり、例えば、表紙を一括してプリントした後に、各頁を一括してプリントする処理と比較して能率的な処理を行える。
【0014】
本発明は、前記イメージデータの設定部として、前記表紙及び各頁における前記ソースデータのレイアウトを任意に設定する編集画面に表示するように構成しても良い。
【0015】
この構成により、編集画面での設定により、ソースデータを各頁の任意の位置に配置したアルバムを作製することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕図1に示すように、現像済みの写真フィルムF(以下、フィルムFと称する)の画像データのデジタル信号化を行い、デジタル信号化された画像データの処理を行い、システム全体の基本的な制御を行うオペレートユニットAを備えると共に、プリント媒体としての銀塩印画紙P(以下、ペーパーPと称する)に対して露光処理と現像処理とを行い、かつ、乾燥処理を行った後に送り出すプリントユニットBとを備えることによりデジタルミニラボと称せられる写真プリント装置が構成されている。
【0017】
〔オペレートユニット〕前記オペレートユニットAは、デスク状のコンソール部1に対してフィルムFの画像データを光電変換によりデジタル信号化して取り込むフィルムスキャナ2と、各種情報を表示するディスプレイ3と、画像処理と各種処理とを実現する汎用コンピュータで成る処理装置4とを配置し、コンソール部1の上面に情報を入力するためのキーボード5と、マウス6とを備えている。前記処理装置4にCDやDVD等のディスク型の記憶媒体MDからの情報を取得する、あるいは、記憶媒体MDに情報を書き込む(記憶する)メディアドライブ7を備え、内部に情報を保存する半導体メモリやハードディスク等(図示せず)を備えて構成されている。
【0018】
前記フィルムスキャナ2は、下部に発光ダイオードやハロゲンランプ等を有した光源部を配置し、中間部にズームレンズを配置し、上部にズームレンズからの画像データをR(赤)、G(緑)、B(青)三原色に色分解して取り込むラインCCD型の光電変換部を配置して構成されている。このフィルムスキャナ2では、フィルムFのスキャニングを行う場合には、そのフィルムFのサイズに適合したフィルムキャリア8を光源部の上面に装着してスキャニングを開始することにより、フィルムFを副走査方向(長手方向)に搬送する作動と同期して光電変換部においてフィルムFの撮影画像を主走査方向に沿ってデジタル信号化して取り込む処理が行われ、このように取り込まれた画像データは、前記処理装置4に転送され前記半導体メモリやハードディスクに保存される。
【0019】
前記処理装置4は、ディスプレイ3に表示された情報に従って各種の処理を前記キーボード5やマウス6の操作により実現するインタフェースを具備し、更に、前述のようにフィルムスキャナ2によって取り込んだ画像データ(ソースデータ)、あるいは、前記メディアドライブ7を介して取り込まれた記憶媒体MDからの画像データ(ソースデータ)を前記半導体メモリやハードディスクに対して保存する処理を行い、必要な処理を実現するソフトウエアがインストールされている。
【0020】
〔プリントユニット〕前記プリントユニットBは、図1及び図2に示すように、露光ブロックExと、現像ブロックDeと、乾燥ブロックDrとを筐体10に収納して成ると共に、筐体10に外部には、処理の後に筐体10の上部から送り出されるペーパーPを水平方向に送る搬送ベルト11を備え、この搬送ベルト11から送られるペーパーPをオーダ単位で仕分けて集積するよう複数のトレー12を有したソータ13を備え、更に、搬送ベルト11の下方位置には大きいサイズのペーパーPを受け止めるラック14を備えている。
【0021】
前記露光ブロックExは、下部に2つのマガジンM、M(媒体供給部の一例)を配置すると共に、上部位置には露光エンジン15(露光部の一例)を配置している。そして、この露光ブロックExでは、マガジンM、Mの一方に収納したロール状のペーパーPを圧着型のアドバンスローラ16によって引き出し、カッター17でプリントサイズに切断し、このように切断されたペーパーPの裏面側に印字ヘッド18によって必要な情報をプリントし、この後、ペーパーPを挟持搬送するチャックユニット19によって露光経路に送り込むよう構成されている。尚、前記アドバンスローラ16、カッター17、チャックユニット19夫々によって本発明の供給搬送部が構成されている。
【0022】
前記露光経路では、前記チャックユニット19からのペーパーPを受取ローラ20で受け取ると共に、このペーパーPを一対の駆動ローラ21と、これに対応する一対の従動ローラ22とで上方(副走査方向)に搬送しながら露光位置において、前記露光エンジン15からのレーザビームで主走査方向に露光を行うように構成されている。そして、この露光を終えたペーパーPは、複数の圧着ローラ23を備えた前搬送経路において搬送方向を水平方向に変換された後に、2つのチャッカー24を備えた振り分け経路において2列の振り分け経路に振り分け、更に、複数の圧着ローラ25を備えた後搬送経路から前記現像ブロックDeの圧着型の導入ローラ26に受け渡すよう構成されている。
【0023】
前記露光エンジン15は、R(赤)、G(緑)、B(青)の三原色のレーザ光源からの光線を音響光学式の変調手段によって光量を調節した後、縦軸芯で回転するポリゴンミラーのミラー面で反射させることにより主走査方向に走査する形態で露光位置のペーパーPに対して送り出すレーザ走査型のものを使用しているが、PLZT方式蛍光ビーム方式、液晶シャッター方式、DMD方式又はFOCRT等の使用が可能である。
【0024】
前記現像ブロックDeは、発色現像槽と漂白定着槽と安定槽とで成る複数の処理槽を一体形成した現像処理槽27を備えると共に、夫々の現像処理槽にペーパーPを供給する搬送機構28を備えている。前記乾燥ブロックDrは、現像ブロックDeから送り出されるペーパーPに対してヒータで加熱された空気を供給するブロワ29を備えている。
【0025】
このように説明した写真プリント装置は従来からのものと基本的に変わるものではなく、本発明では、前記画像データから生成したイメージデータをペーパーPにプリントする処理の他に、ペーパーPに必要なデータをプリントしてアルバムを作製し得る形態で出力できる点にある。
【0026】
〔制御系の構成〕図3に示すように、前記処理装置4は、マイクロプロセッサCPUに信号のアクセスを行う入出力インタフェース31に対して前記フィルムスキャナ2、ディスプレイ3、キーボード5、マウス6からの信号が入力する系と、前記メディアドライブ7とハードディスク32とに対して信号がアクセスする系とを形成してあり、また、マイクロプロセッサCPUのデータバスに半導体メモリRAM/ROM、オペレーティングシステム33、プリント実行手段34、アルバム作製手段35を接続している。ちなみに、この処理装置4において制御を実現するためにはデータバスの他にコントロールバスやアドレスバス等を必要とするものであるが、複雑化を避けるために図面にはコントロールバスやアドレスバス、あるいは、インタフェース類を示していない。
【0027】
前記オペレーティングシステム33は、ディスプレイ3に対して必要な情報を表示し、ディスプレイ3に表示された情報に基づき、この処理装置4にインストールされている各種のソフトウエアによるGUI(Graphical User Interface)型の処理を実現するものである。
【0028】
前記プリント実行手段34はソフトウエアで成り、前記フィルムスキャナ2や前記メディアドライブ7で取得した画像データ(ソースデータ)を一覧化してディスプレイ3に表示してプリントの可否の設定や、プリントサイズや、プリント枚数の設定を実現すると共に、このような設定情報と画像データ(ソースデータ)とを前記プリントユニットBに転送してプリント処理を実現する。
【0029】
前記アルバム作製手段35は、イメージデータ設定部とアルバムプリント部とを含むソフトウエアで成り、2つのマガジンM、Mをうちの一方に収容したペーパーPにイメージデータをプリントして表紙を作製し、2つのマガジンM、Mをうちの他方に収容したペーパーPにイメージデータをプリントして各頁を作製することにより、例えば、質感が異なる少なくとも表紙と各頁とを備えたアルバムを作製してアルバム1冊に対応するペーパーPを前記ソータ13のトレー12に回収する処理を実現する。
【0030】
本発明は、前記プリント実行手段34、アルバム作製手段35夫々をロジック等のハードウエアで構成することや、ハードウエアとの組み合わせで構成することも可能である。
【0031】
〔アルバム作製処理〕本発明で作製し得るアルバムとして、図4に示すように、表紙41、各頁42(複数の頁42)、裏表紙43を一方の端部においてステープラや、リベット類で綴じる締結構造のものと、図7に示すように、表紙41に裏表紙43と背表紙44とが一体的に形成され、表紙41と裏表紙43との間に各頁42を挟み込み、糊付けした接着構造のものとの2種を例に挙げることが可能である。
【0032】
前記締結構造のアルバムは、表紙41にはアルバムを示す文字やイラスト等のイメージデータがプリントされ、各頁42には左右の両端部に綴じシロのスペースを余白とし左右に振り分ける形態で前記上下2段に画像データ(ソースデータ)がプリントされ、裏表紙43にはプリントを行ったDP店の店名や電話番号等のイメージがプリントされ、アルバムを作製する際には、各頁42のイメージが外側に露出するように折りたたみ(所謂、山折り)、各頁42を表紙41と裏表紙43とで挟み込み、一方の端部側(余白が形成された側)をステープラや、リベット類で綴じる作業が行われる。
【0033】
前記接着構造のアルバムは、表紙41と裏表紙43と背表紙44とが1枚のペーパーPで形成されると共に、表紙41にはアルバムを示す文字やイラスト等のイメージデータがプリントされ、各頁42には左右の両端部に綴じシロのスペースを余白とし左右に振り分ける形態で前記上下2段に画像データ(ソースデータ)がプリントされ、裏表紙43にはプリントを行ったDP店の店名や電話番号等のイメージがプリントされ、背表紙44にはアルバムであることを示す文字やイラスト等のイメージデータがプリントされる。そして、アルバムを作製する際には、各頁42のイメージが外側に露出するように折りたたみ(所謂、山折り)、各頁42の端部に接着剤を塗布することや、各頁42の端部に両面に接着剤を含むテープを貼着した後、このように接着剤が塗布された部位、あるいは、テープが貼着された部位に背表紙44を接着した状態で、この各頁42を表紙41とで裏表紙43とで抱き込む形態で折り曲げる作業が行われる。
【0034】
この2種のアルバムを作製する際のアルバム作製手段35によるプリント処理の概要を図10のフローチャートのように示すことが可能である。つまり、前記オペレートユニットAにおいて図5に示す設定画面50からプリントチャンネルとして、チャンネル選択部51においてアルバムプリント(チャンネル)を選択し、ペーパー幅設定部52においてペーパー幅を設定し、表紙41と各頁42とのペーパー種をペーパー種設定部53において設定し、更に、プリント数(アルバム数)をアルバム数設定部54において設定する処理を行い(#101、#102ステップ)、前記フィルムスキャナ2や前記メディアドライブ7から画像データ(ソースデータの一例)を取得する(#103ステップ)。尚、締結構造のアルバムを作製する場合には、設定画面50で設定した表紙41のペーパー種が裏表紙43に使用される。
【0035】
次に、アルバム作製用のテンプレートの一覧から表紙41、裏表紙43、各頁42夫々に使用するテンプレートを選択し、これらのテンプレートに表紙41、裏表紙43、各頁42夫々のイメージをディスプレイ3で確認し、必要に応じて文字の入力や、画像データのレイアウトの変更等の編集を実行する(#104ステップ)。
【0036】
このようにテンプレートを一覧から選択する場合に、前記締結構造のアルバムと接着構造のアルバムとの選択が可能となり(他の構造のアルバムを選択することも可能)、選択したテンプレートに対応したサイズにペーパーPの目標サイズが設定される。
【0037】
つまり、この処理では、前記アルバム作製手段35のイメージデータ設定部が図6、図8に示すように、前記ディスプレイ3に対してプリントイメージ設定画面60を表示し、この画面に表示された一覧選択部61で選択したテンプレートを確認画面62に表示し、OKボタン63の操作でテンプレートが確定する。また、選択したテンプレートが締結構造に対応する場合には、イメージ画面64に対して表紙41のテンプレートT1、裏表紙43のテンプレートT3、各頁42のテンプレートT2のプリント用のイメージデータが表示され、選択したテンプレートが接着構造に対応する場合には、イメージ画面64に対して表紙41、裏表紙43、背表紙44が一体化した形態のテンプレートT1、各頁42のテンプレートT2のプリント用のイメージデータが表示される。
【0038】
表紙41や裏表紙43にプリントされるイメージデータは既製のテンプレートや、予め文字やイラストを合成したものを使用することも可能であるが、各頁42にプリントされるイメージデータは、選択したテンプレートT2の合成領域Sに画像データ(ソースデータ)を嵌め込む処理によって生成されるため、このプリントイメージ設定画面60では前頁ボタン65、あるいは、次頁ボタン66の操作で頁を切り換えることによりテンプレートT2の合成領域Sに画像データ(ソースデータ)を嵌め込んだイメージの確認を行え、また、編集を行う場合には編集すべきイメージデータを選択した状態で編集ボタン67を操作することにより、図9に示す編集画面70を表示してレイアウトの変更や調節、あるいは、色補正等の編集を行えるように構成されている。
【0039】
このプリントイメージ設定画面60でプリントのイメージを確認した後には、全てのイメージデータが前記ハードディスク32に保存され、OKボタン68を操作することにより、ハードディスク32に保存されたイメージデータを順次読み出し、露光エンジン15に転送する形態でプリント処理が開始される。
【0040】
これらの図面に示すように同じサイズの合成領域Sが形成される前記締結構造のアルバムと接着構造のアルバムとを比較した場合、各頁42における合成領域Sの内側の端部から折りたたみのライン部までの距離H1、H2の寸法は殆ど等しいが、合成領域Sの外側の端部から頁42の外側の端部までの余白として形成される部位では、締結構造のアルバムにおける余白が締結に必要な充分な距離を必要とするため、この余白の距離G1が、接着構造のアルバムにおける距離G2より長く設定される(G1>G2)。
【0041】
図9に示す編集画面70は、表示部71に対して選択した頁42のプリントイメージが表示され、この表示状態において位置調節ボタン72を操作することによりプリントイメージの位置と各頁42との相対的な位置関係(レイアウト)を確認しながら相対位置を調節でき、反映ボタン73を操作することで全ての頁に設定を反映させることも可能である。尚、このように1枚のペーパーPに対し、中央位置を基準にして対称となる位置関係でプリントイメージが配置されるものでは、左右のプリントイメージのうちの一方を選択した状態で調節ボタン72を操作した場合には、他方のプリントイメージも連係して調節が行われる。
【0042】
また、この編集画面70に表示された回転ボタン74を操作することにより、プリントイメージを90度単位で回転でき、削除ボタン75を操作することで、プリントイメージの削除が可能となり、また、プリントイメージを選択した状態で複数の補正ボタン76の何れかを操作した場合には、新たに補正ボックス76Aを表示して、必要とする補正を行えるものとなり、更に、戻るボタン77を操作することにより直前の設定をキャンセルでき、OKボタン78を操作することにより設定が完了する。
【0043】
そして、プリント処理を行う場合には、前記アルバム作製手段35を構成するアルバムプリント部が、アルバムの種類に対応したサイズにペーパーPを切断して、アルバム1冊分の表紙41と、裏表紙43(締結構造のアルバム)と、各頁42とのプリントを実行し、アルバム1冊分のペーパーPを1つのトレー12に回収する処理を設定された冊数のプリントが終了するまで繰り返して行う(#105、#106ステップ:処理のシーケンス)。
【0044】
締結構造のアルバムをプリントする際の処理形態を例に挙げると、表紙41と裏表紙43とのプリントを行う場合において、マガジンMを指定して設定された種類のペーパーP(厚手のペーパー)を、本発明の媒体供給部としての前記アドバンスローラ16で引き出し、カッター17で目標とするサイズに切断し、チャックユニット19を介して露光エンジン15に供給して表紙41と裏表紙43とに対応するイメージデータのプリントを行い、また、各頁42のプリントを行う場合には、マガジンMを指定して設定された種類のペーパーP(表紙41や裏表紙43より薄手のペーパー)を、本発明の媒体供給部としての前記アドバンスローラ16で引き出し、カッター17で目標とするサイズに切断し、チャックユニット19を介して露光エンジン15に供給し、各頁42のイメージデータのプリントを行い、これらの処理が継続する間、前記ソータ13のトレー12は1冊分のペーパーPを回収し終えるまで前記搬送ベルト11から送られるペーパーPを回収する位置に保持される。
【0045】
尚、接着構造のアルバムの作製時は、表紙41と裏表紙43と背表紙44とが一体的に形成されたペーパーPを用いる点において前記締結構造のアルバムの作製と異なるものであるが、基本的な処理形態は共通するものである。また、このプリント処理では、表紙41、各頁42、裏表紙43の順序でプリントを行う形態、あるいは、表紙41、裏表紙43、各頁42の順序でプリントを行う形態の何れであっても良い。
【0046】
このように本発明によると、アルバムを作製する場合には設定画面50のチャンネル選択部51からアルバムプリントを選択し、この設定画面50においてペーパーサイズとペーパー種とプリント数(冊数)を設定した後に、プリントイメージ設定画面60においてテンプレートを選択することにより、表紙41、裏表紙43、各頁42のプリントのイメージを視覚的に確認でき、必要な場合には編集として、プリントイメージのレイアウトの変更や補正も可能となる。
【0047】
次に、プリントを行う際には、表紙41及び各頁42に対応したペーパーP(プリント媒体)を、目標とするサイズに切断して前記露光エンジン15(プリント部)に供給する供給処理を実行し、設定された画像データ(ソースデータ)とテンプレートとから前記各頁42にプリントすべきイメージデータが決定され、このイメージデータを前記露光エンジン15に伝送してプリントが実行される。更に、アルバム1冊分のペーパーP(プリント媒体)をソータ13の1つのトレー12(仕分け部)に回収するため、複数冊のアルバムを作製する場合でもソータ13の1つのトレー12に回収したペーパーPを綴じる処理や接着する処理を行うだけで1冊のアルバムを作製することが可能となる。
【0048】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い(この別実施形態では前記実施の形態と同じ機能を有するものには、実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0049】
(イ)アルバムの構造として、表紙、裏表紙、背表紙を1枚のペーパーで構成したものや、表紙を1つだけ備えたものであっても良く、各頁を折り曲げない1枚のペーパーで構成しても良い。
【0050】
(ロ)インクジェット型のプリント部や昇華型のプリント部を用いることによりペーパーとして印画紙を用いずに写真プリント装置を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】写真プリント装置の斜視図
【図2】プリントユニットの縦断側面図
【図3】制御系のブロック回路図
【図4】アルバム構造と作製されたアルバムとを示す斜視図
【図5】設定画面を示す図
【図6】プリントイメージ設定画面を示す図
【図7】アルバム構造と作製されたアルバムとを示す斜視図
【図8】プリントイメージ設定画面を示す図
【図9】編集画面を示す図
【図10】アルバム作製ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
【0052】
3 ディスプレイ
15 プリント部・露光エンジン
17 カッター
35 アルバム作製手段
41 表紙
42 頁
M 媒体供給部・マガジン
P プリント媒体・ペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体供給部からのプリント媒体をプリント部に供給し、このプリント部においてアルバムを構成する表紙及び各頁に設定されたイメージデータのプリントを行うアルバム作製手段を備えている写真プリント装置であって、
該写真プリント装置は、異なる性質のロール状のプリント媒体を供給する複数の前記媒体供給部と、この複数の媒体供給部のうち選択されたものから送られるプリント媒体をカッターで設定されたサイズに切断して前記プリント部に供給する供給搬送部とを備えており、
前記アルバム作製手段は、前記表紙及び各頁に対応したプリント媒体を前記媒体供給部から送り出し、前記表紙及び各頁に対応したサイズに切断して前記プリント部に供給する処理と、ソースデータから前記表紙及び各頁にプリントすべき前記イメージデータを生成して前記プリント部においてプリントを実行する処理とを行うように構成されている写真プリント装置。
【請求項2】
アルバムプリントチャンネルの選択によって、前記アルバム作製手段によるアルバム作製処理が実行されるよう処理形態が設定されると共に、このアルバムプリントチャンネルを選択した場合には、ディスプレイに対してプリントサイズの設定部、前記イメージデータの設定部、及び、プリント媒体種の設定部の操作画面を表示し、これらの設定部に対してオペレータが任意にデータの入力を行えるよう構成してある請求項1記載の写真プリント装置。
【請求項3】
前記アルバム作製手段は、複数冊のアルバムを作製する処理を実行する際には、アルバム1冊に対応した前記表紙及び前記各頁のプリントを1つの処理単位とし、この処理単位を複数冊に対応した回数だけ実行するよう処理のシーケンスが設定されている請求項1又は2記載の写真プリント装置。
【請求項4】
前記イメージデータの設定部は、前記表紙及び各頁における前記ソースデータのレイアウトを任意に設定する編集画面に表示するように構成してある請求項2記載の写真プリント装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−56223(P2006−56223A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243434(P2004−243434)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】