説明

写真入りIDカードの製造方法

【目的】 写真入りIDカードの製造方法において、写真と文字データ等の整合を確実に行い得る製造方法を提供する。
【構成】 氏名等の表示データ12、バーコード14を表示した名札10を作製し、被撮影者本人が名札10のデータを確認した後、名札10を持って撮影を行う。撮影された印画紙20の写真22をスキャナー30によって読み取るとともに、バーコードリーダ32によってバーコード14を読みとり、読みとったバーコードからその人物の属性データを検索する。読みとられた写真とともに属性データがカード40上にプリント出力される。撮影者が名札を照合するから、写真とデータの整合を確実に行い得る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真入りIDカードの製造方法に関し、特に、写真とともに人物のIDデータを正確に表示する写真入りIDカードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】写真入りのIDカードは所持者を特定するために有効なものとして広く使用されている。このような写真入りのIDカードにおいては、所持者の写真とともに所持者に関する種々のIDデータが昇華転写法等によってカード面に表示される。たとえば、社員証として用いられるカードの場合には、社員番号、氏名、生年月日等が写真とともに表示され、さらに必要に応じて社員コードを表すバーコードやこれらのデータの磁気記録が施される。
【0003】このように写真により表示される人物の属性を表示する文字データ、バーコードまたは磁気記録データを写真とともにIDカードに表示する場合には、これらのデータと写真とのマッチング、すなわち写真の人物と表示される属性データとが正確に対応していることが要求される。
【0004】従来、上記のようなIDカードを製造する方法としては、写真、バーコード、文字データ、磁気データ等を別々に作製し、これらを人手または機械で照合、検索し、合致したものをIDカード上に合成していた。例えば、文字データ、バーコードが表示された台紙に撮影された写真を貼り合わせ、これを基にしてIDカードを製造していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、文字データ、バーコードが表示された台紙に撮影された写真を貼り合わせ、これを基にしてIDカードを製造する場合においては、貼り合わせ作業を本人以外の人手により行う場合が多いため、写真とデータを正確に照合することが難しく、貼り違いにより生じる不一致を発見することができなかった。したがって、この台紙を基にして写真と文字データ、バーコードの一致しないIDカードが作製されるという問題があった。また、貼り合わせ作業によって作製された台紙からの写真の脱落、台紙の破損等が発生した場合にも写真と文字データ等との照合を行うことができないという問題があった。
【0006】本発明は、上記のような問題点を解消し、写真と文字データ、バーコード等との照合を正確に行うことのできる写真入りIDカードの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、写真入りIDカードの製造方法は、撮影される人物のデータが表示されたデータ表示体を作製する工程と、被撮影者がデータ表示体に表示された自己のデータを確認する工程と、被撮影者を、被撮影者によって確認されたデータ表示体とともに撮影する工程と、撮影されたデータ表示体に表示されたデータを読み取り、データから人物の属性データを検索する工程と、検索された属性データを撮影された被撮影者の写真とともにカードに表示する工程とを有するものである。
【0008】
【実施例】次に添付図面を参照して本発明による写真入りIDカードの製造方法の実施例を詳細に説明する。
【0009】図4には、本発明による写真入りIDカードの製造方法の一実施例の工程が示されている。まず、図1に示すように、氏名や社員番号などの表示データ12およびバーコード14を拡大出力した名札10を作製する(ステップ102)。この名札10は後述するように、写真を撮影される本人が名札10を持って撮影を行い、その後、撮影された名札10に表示された表示データ12やバーコード14を読み取るために使用されるから、表示データ12やバーコード14等は十分大きく表示されなければならない。したがって、表示データ12やバーコード14等は、例えば漢字プリンタにより大きな文字、記号またはバーコードをプリントして形成するか、被撮影者が手書きで大きな文字等を作製するようにすればよい。なお、通常の大きさに形成されたバーコード14等を拡大して撮影用名札10を作製するようにしてもよい。
【0010】次に、図2に示すように、撮影される本人がこの名札10を手に持ち、もしくは名札10を図示しないスタンドにセットし、本人の顔写真とともに名札10を撮影する(ステップ104)。この撮影の際に、本人が名札10との整合性、すなわち名札10に表示された氏名等のデータ12が自分のものであるか否かを確認する。したがって、撮影される本人によって確実にチェックされた名札10が顔写真とともに撮影され、図3に示すように、印画紙20上に形成される。図3に示す印画紙20において、例えば写真22の大きさは約22mm四方、バーコード14は長さ約22mmの大きさに形成される。
【0011】上記のようにして顔写真22と氏名等の表示データ12、バーコード14が形成された印画紙20をスキャナー30にセットし、顔写真22を画像データとして読み取るとともに、スキャナー30に組み込んだバーコードリーダ32によってバーコード14を読み取る(ステップ106)。なお、読み取りの能率は落ちるが、バーコード14をハンドスキャナーによって一点づつ読み取るようにしてもよい。
【0012】次に、読み取られたバーコード14が表す社員コードから、検索処理部34はあらかじめ登録されたデータファイル36を検索し(ステップ108)、氏名、生年月日その他の属性データを求め、これらのデータをプリント部38へ出力する。プリント部38はこれらのデータをIDカード40上に文字データとしてプリント出力する。同時にプリント部38は、顔写真の画像データを内部処理によって顔写真の部分のみをトリミングし、IDカード40上にプリント出力する(ステップ110)。
【0013】その後、図示しない保護層をオーバープリントし(ステップ112)、IDカードが形成される。
【0014】なお、磁気カードの場合には、読み取られたバーコード14により表される社員コードをキーとしてデータファイル36から必要なデータを検索し、これらのデータをエンコードして磁気記録を行い、写真入り磁気カードとする(ステップ114)。
【0015】本方法によれば、撮影時に本人が名札10のデータと自己との整合性を確認して撮影するから、印画紙20に形成された顔写真22とバーコード14等のデータの照合性が確実である。したがって、従来のように撮影された写真と文字データ等を貼り合わせてカードを作製する場合のように写真とデータの不一致が生じることがない。また、バーコード14を読み取ってこれによりデータファイル36から必要なデータを検索するから、データの検索処理も容易である。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、撮影時に本人がデータ表示体に表示された自己のデータの整合性を確認して撮影するから、印画紙に形成された顔写真とバーコード等のデータの照合が確実に行われる。したがって、従来のように撮影された写真と文字データ等を貼り合わせてカードを作製する場合のように写真とデータの不一致が生じることがない。また、データ表示体に表示されたデータを読み取ってこれにより人物の属性データを検索するから、データの検索も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用される名札を示す図である。
【図2】本発明の方法による撮影工程を示す図である。
【図3】本発明の方法によるカードの作製を示す図である。
【図4】本発明の方法による工程を示す図である。
【符号の説明】
10 名札
12 表示データ
14 バーコード
20 印画紙
22 写真
30 スキャナー
32 バーコードリーダ
34 検索処理部
36 データファイル
38 プリント部
40 IDカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮影される人物のデータが表示されたデータ表示体を作製する工程と、被撮影者が前記データ表示体に表示された自己のデータを確認する工程と、前記被撮影者を、被撮影者によって確認された前記データ表示体とともに撮影する工程と、撮影された前記データ表示体に表示されたデータを読み取り、該データから人物の属性データを検索する工程と、検索された属性データを前記撮影された被撮影者の写真とともにカードに表示する工程とを有することを特徴とする写真入りIDカードの製造方法。
【請求項2】 請求項1に記載の方法において、該方法はさらに、前記検索された人物の属性データを磁気記録データとして前記カードに表示する工程を有することを特徴とする写真入りIDカードの製造方法。
【請求項3】 請求項1または2に記載の方法において、前記データ表示体に表示されたデータはバーコードを含み、前記データ表示体に表示されたデータを読み取る工程は、バーコードリーダを含むスキャナーによって行われることを特徴とする写真入りIDカードの製造方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate