説明

写真測量システム、写真測量方法、及び、写真測量プログラム

【課題】 一枚の写真の画像データから簡単に建物各部の位置座標や屋根の傾斜角を算出することができる写真測量システム、写真測量方法、及び、写真測量プログラムを提供する。
【解決手段】 仮想的な空間座標系で設定した基準直方体を、建物の写真画像のワイヤフレームとともにモニタ画面上に合成して表示し、モニタ画面上で基準直方体の各稜線を前記ワイヤフレームの直方体部分に合わせるように、基準直方体の向きを回転させる操作と、幅、高さ、奥行きの3方向の長さを伸縮させる操作と、モニタ画面上に設定される透視座標系の左右両側2つの消失点の位置を移動させる操作とを操作部から行うとともに、基準直方体の上面をワイヤフレームの屋根面に一致するように回転させて前記空間座標系における建物の位置と屋根の傾斜を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真撮影によって得た一枚の2次元画像データから直方体形状の建物の各部の位置座標や屋根の傾斜角度を得るための写真測量装置及び写真測量方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー需要の増大や地球温暖化等の環境問題に対処するために太陽光発電システムの研究・開発が盛んに行われるようになってきている。
一般的な太陽発電システムは、太陽電池パネルを複数並べて太陽電池アレイとして、日の当たる建物の屋根の上などに設置しているが、その発電量は、太陽の位置や周囲の建物等の障害物によって大きく影響される。
【0003】
従って、このような太陽光発電システムの発電量を予測するためには、システムが設置されている場所の緯度や経度、方角、及び、太陽電池パネルが傾斜した屋根の上に設置されている場合にはその傾斜角度等の情報が必要となる。
【0004】
従来では、太陽光発電システムが設置されている建物の位置の座標や屋根の傾斜角のデータは、建物の図面から読み取る方法の他、例えば、特許文献1に記載されているような、異なる位置から撮影した複数枚の写真(ステレオ写真)に基づいて算出する方法から得ていた。
【特許文献1】特開2002−31527
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図面から読み取る方法については、図面作成後に建物の増築や改築等の変更が行われると確認する手段がなく、また、ステレオ写真から算出する方法では、複数の位置から写真撮影した鮮明な画素情報を取り扱うために、膨大な画像データが必要となるとともに、複雑な計算処理を必要とする問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、大半の建物が直方体の輪郭を有していることに着目し、一枚の写真の画像データから簡単に建物各部の位置座標や屋根の傾斜角を算出することができる写真測量システム、写真測量方法、及び、写真測量プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的のために提供される、本発明の写真測量システムは、建物の直方体状部分の2つの側面が見える位置から撮影された一枚の写真画像にエッジ抽出処理を行って、建物のワイヤフレームを作成し、前記ワイヤフレームをモニタ画面に表示する画像処理部と、仮想的な空間座標系において設定した基準直方体の各頂点の座標値を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した前記基準立方体の各頂点の座標値を前記モニタ画面上に仮想的に設定した左右2つの消失点を有する透視座標系上の座標値に座標変換して前記基準直方体の透視図を前記モニタ画面上に前記建物のワイヤフレームに合成して表示する座標変換部と、前記空間座標系に対して、前記基準直方体の向きを回転させる操作と、幅、高さ、奥行きの3方向の長さを伸縮させる操作と、前記透視座標系の左右両側2つの消失点の位置を移動させる操作とをそれぞれ行うとともに、前記空間座標系に対して、前記基準直方体の上面の周囲の稜線の一つを軸として前記上面を回転操作するための操作部とを備えており、前記操作部の操作により、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの直方体部分に、前記基準直方体の各稜線を一致させることで、前記建物の直方体部分の前記空間座標系における位置を決定するとともに、前記建物のワイヤフレームの屋根部分に、前記基準直方体の上面を一致させることにより、前記空間座標系に対する前記建物の屋根の傾斜角度を決定するようにしたものである。
【0008】
また、本発明の写真測量方法は、建物の直方体状部分の2つの側面が見える位置から撮影された一枚の写真画像にエッジ抽出処理を行って、建物のワイヤフレームを作成する第1のステップと、前記ワイヤフレームをコンピュータのモニタ画面に表示する第2のステップと、仮想的な空間座標系において設定した基準直方体の各頂点の座標値を、前記モニタ画面上に仮想的に設定した、左右2つの消失点を有する透視座標系上の座標値に座標変換して、前記基準直方体の透視図を前記モニタ画面上に前記建物のワイヤフレームと合成して表示する第3のステップと、前記空間座標系に対して、前記基準直方体の向きを回転させる操作と、幅、高さ、奥行きの3方向の長さを伸縮させる操作と、前記透視座標系の左右両側2つの消失点の位置を移動させる操作とをそれぞれ行うことにより、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの直方体部分に、前記基準直方体の各稜線を一致させる第4のステップと、前記モニタ画面上で前記建物のワイヤフレームの直方体部分と前記基準立方体の各稜線が一致したときの前記空間座標系に対する基準直方体の各頂点の座標値により、前記建物の直方体部分の前記空間座標系における位置を決定する第5のステップと、前記空間座標系に対して、前記基準直方体の上面の周囲の稜線の一つを軸として前記上面を回転操作することにより、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの屋根部分に、前記基準直方体の上面を一致させる第6のステップと、前記空間座標系に対する前記基準直方体上面の傾斜角度から前記建物の屋根の傾斜角度を決定する第7のステップとからなるものである。
【0009】
また、本発明の写真測量プログラムは、コンピュータに、建物の直方体状部分の2つの側面が見える位置から撮影された一枚の写真画像にエッジ抽出処理を行わせ、前記建物のワイヤフレームを作成させる第1のステップと、前記ワイヤフレームを前記コンピュータのモニタ画面に表示させる第2のステップと、前記コンピュータのメモリに記憶された仮想的な空間座標系において設定した基準直方体の各頂点の座標値を前記メモリから読み出し、前記モニタ画面上に仮想的に設定した、左右2つの消失点を有する透視座標系上の座標値に座標変換して、前記基準直方体の透視図を前記モニタ画面上に前記建物のワイヤフレームに合成して表示させる第3のステップと、前記コンピュータの操作部の操作に応答して、前記空間座標系に対して、前記基準直方体の向きを回転させ、幅、高さ、奥行きの3方向の長さを伸縮させ、前記透視座標系の左右両側2つの消失点の位置を移動させて、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの直方体部分に、前記基準直方体の各稜線を一致させる第4のステップと、前記モニタ画面上で前記建物のワイヤフレームの直方体部分と前記基準立方体の各稜線が一致したときの前記空間座標系に対する前記基準直方体の各頂点の座標値を前記メモリに記憶し、前記各座標値により、前記建物の直方体部分の空間座標系における位置を決定する第5のステップと、前記操作部の操作に応答して、前記基準直方体の上面の周囲の稜線の一つを軸として前記上面を回転操作することにより、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの屋根部分に、前記基準直方体の上面を一致させる第6のステップと、前記モニタ画面上で、前記建物のワイヤフレームの屋根部分に前記基準直方体の上面が一致したときの前記空間座標系に対する前記基準直方体上面の傾斜角度を前記メモリに記憶し、前記傾斜角度により前記空間座標系における前記建物の屋根の傾斜角度を決定する第7のステップとを実行させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、建物各部の位置座標や屋根の角度を一枚の写真画像に基づいて容易に算出することができるので、建物各部の位置座標をステレオ写真画像から算出する場合のように、複数の位置から写真撮影を行う必要がない。
【0011】
また、本発明は、実写した画像データに対して、幾何学的な計算手法で処理を行っているため、従来のステレオ写真画像処理のような膨大な画素に対し、複数枚の画素データどうしを比較演算するような処理を必要としないので、ノイズが発生しにくく、建物各部の位置座標や屋根の傾斜角度を高い精度で簡単に求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の写真測量システムの概略構成図であって、写真測量システム1は、本実施形態においては、バスライン2により相互に接続されたCPU3、記憶部としてのメモリ4、ハードディスク等の外部記憶装置5、入力インターフェイス6、出力インターフェイス7、入力インターフェイス6に接続される操作部としてのキーボード8やマウス9、出力インターフェイス7に接続されるモニタ10やプリンタ11等を有しており、汎用のパーソナルコンピュータを利用して構成されている。
【0013】
また、入力インターフェイス6には、写真画像データを取り込むためのデジタルカメラ12やスキャナ13、ビデオ14等の機器が接続できるようになっている。
【0014】
外部記憶装置5には、本システムを動作させるためのOS(Operating System)の他、写真測量プログラムが格納されていて、CPU3が写真測量プログラムを外部記憶装置5からメモリ4に読み出して実行することにより、パーソナルコンピュータを写真測量システム1として動作させるようにしている。
【0015】
図1において、メモリ4はRAM(Random Access Memory)で構成されており、図示していないが、バスライン2には、BIOS等を格納したROM(Read Only Memory)も接続されている。
【0016】
なお、本実施形態においては、本発明の写真測量システムを構成している画像処理部及び座標変換部は、メモリ4に読み込まれた写真測量プログラムをCPU3が実行することによってソフトウェア的に実現しているが、本発明の写真測量システムは、画像処理部や座標変換部を独立した回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0017】
次に、本発明の写真測量システム1が行う処理の手順について説明する。
本発明の写真測量システム1で扱う建物の写真画像データは、デジタルカメラ12で撮影した画像や光学カメラで撮影した写真をスキャナ13で取り込んだ画像、あるいは、ビデオ14から取り込んだデジタル画像データであり、壁面が直方体状の建物を対象としている。
【0018】
写真画像データは、写真測量の対象となる建物をその直方体状部分の2つの側面が見える位置から撮影したもので、入力インターフェイス6を介して写真測量システム1に取り込み、外部記憶装置5に保存しておく。
【0019】
図2は、本発明の写真測量システム1が行う処理フローを示すものであって、写真測量システム1の外部記憶装置5にインストールされている写真測量プログラムが起動されると、この外部記憶装置5に保存されている写真画像データがメモリ4に読み込まれてエッジ抽出処理が実行され、前記写真画像のワイヤフレームが作成される。(ステップS1)
【0020】
本実施形態においては、メモリ4に読み込まれた写真画像は、まず、出力インターフェイス7を介してモニタ10に表示され、本発明における操作部としてのキーボード8やマウス9からのエッジ抽出処理開始の指令入力によって、写真測量プログラムは写真画像データのエッジ抽出処理を実行し、建物写真の輪郭をワイヤフレームとしてモニタ10に表示する。(ステップS2)
【0021】
図3は、モニタ10の画面に表示される、一般的な切り妻型の屋根を有する建物のワイヤフレームであって、2点透視図のように表示されており、ワイヤフレームの各頂点をA,B,C,F,G,H,I,Jとすると、線分AF と線分BCの延長線上に消失点D1が存在し、また線分FHと線分CGの延長線上に消失点D2が存在する。これらの消失点D1,D2の位置は、建物の大きさや、建物と視点(カメラ位置)との間の距離によって変化する。
【0022】
本実施形態の写真測量システム1においては、操作部としての、キーボード8またはマウス9の操作によって、建物写真の画像にワイヤフレームの一部または全体を合成してモニタ10の画面に表示したり、ワイヤフレームのみを表示させることが選択できるようになっている。図4は、モニタ10の画面に建物写真の画像と、その直方体部分のみのワイヤフレームとを合成して表示している状態を示している。
【0023】
次に、写真測量プログラムは、メモリ4内に仮想的な基準直方体を設定し、モニタ10の画面に前記基準直方体を2点透視法による透視図として、ワイヤフレームと合成して表示する。(ステップS3)
【0024】
この基準直方体は、図5に示すように空間座標系の一つであるデカルト座標系(x,y,z)内で初期形状がa,b,c,d,e,f,g,h を頂点とする立方体として、各頂点の座標値がメモリ4に記憶される。
【0025】
図6は、前記基準直方体がデカルト座標系から透視座標系に座標変換されてモニタ10の画面に透視図として表示された状態を示すものであって、この透視図においては、基準直方体の稜線adと稜線bcの延長線上の交点に消失点d1が、稜線dhと稜線cgの延長線上の交点に消失点d2が存在する。
【0026】
このようにして、透視図としてモニタ10の画面に表示されている基準直方体は、操作部としての、キーボード8やマウス9により、図7に示すように、デカルト座標系の各座標軸(x,y,z)回りに向きを回転する操作、図8に示すように、初期形状の基準直方体a,b,c,d,e,f,g,hを基準直方体a',b',c',d',e',f',g',h'にデカルト座標系で各座標軸 (x,y,z)方向に伸縮拡大する操作を行うことができ、このような変更が行われると、写真測量プログラムは、メモリ4に記憶されている基準直方体のデカルト座標系における各頂点の座標値を更新するとともに、これらの座標値を透視座標系における座標値に座標変換してモニタ10の画面上に透視図として表示する。
【0027】
モニタ10の画面上に透視図として表示された基準直方体は、図9に示すように操作部の操作によって、左右両側の消失点の位置d1、d2を位置d1'、d2'に変えることができるようになっており、この操作によって、デカルト座標系と透視座標系の対応関係を変更することができる。
【0028】
前述したように操作部を操作して、モニタ10の画面に合成して表示されている建物の写真画像データのワイヤフレームの直方体部分の線分に一致するように、基準直方体の向きの回転、伸縮を行うとともに、モニタの表示画面上の建物のワイヤフレームの直方体部分の上下の稜線に合わせて、基準直方体の上下の稜線の傾きを調整する。
【0029】
このような操作により、透視図として表示されている基準直方体の左右の消失点d1',d2'が建物のワイヤフレーム画像の左右の消失点D1,D2に一致し、モニタ10の画面に設定される仮想的な透視座標系が特定されるともに、建物の直方体部分のデカルト座標系における各頂点の座標値が、これに一致させた基準直方体の各頂点a,b,c,d,e,f,g,hの座標値として決定される。(ステップS5)
【0030】
次に、建物の屋根の傾斜角を求める。この操作は、操作部から操作することによって、図10に示すように、モニタ10の画面上で、建物の直方体部分のワイヤフレーム画像と一致させた基準直方体の上面a',d',e',h'を、稜線a',d'を軸に角度θ回転させて傾斜面a',d',i',j'としてワイヤフレーム表示されている屋根面に一致させる。(ステップS6)
【0031】
こうして、モニタ10の画面において、屋根面に基準直方体の上面が一致したときの上面の傾斜角度をデカルト座標系において算出して屋根の傾斜角度θを決定する。(ステップS7)
【0032】
次に、図11は、2点透視法により表示された寄せ棟の屋根の建物を示す図である。
このような形状の屋根の場合は、図12に示すように、操作部の操作によって、モニタ10の画面上で基準直方体の上面を稜線a'd'回りに上方に回転させるとともに、線分i,jの中点をkとして、一点鎖線の補助線a'kと補助線d'kを表示させて、稜線a'd'に対して線分ijを平行に接近・離間調整し、これらの一点鎖線a'k,d'kをモニタ10の画面に基準直方体と合成して表示されている屋根のワイヤフレームの両側の稜線に一致させる。
【0033】
このような操作により、寄せ棟の屋根の場合においても、切り妻型の屋根の場合と同様にしてデカルト座標系における屋根の各部分の傾斜角度を決定することができる。
【0034】
また、図13に示すように、複数の棟を組み合わせた形状の建物においては、図14に示すように各棟毎にワイヤフレーム表示をして、それぞれの部分毎に基準直方体を合わせて前述した操作を同様に行うことにより、建物の各部分の配置や屋根の各部分の傾斜を決定することができる。
【0035】
なお、前述した実施形態においては、便宜上、基準直方体の各頂点位置を設定する空間座標系を最も一般的なデカルト座標系(直交直線座標系)としたが、デカルト座標系と座標変換により相互に座標変換可能な他の空間座標系を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、建物に設置される太陽光発電システムの発電量の予測に用いることができる他、建物の陰による日照状態の予測や建物間を通過する風の向き等の予測にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の写真測量システムの1実施形態における概略ブロック図である。
【図2】本発明の写真測量システムの処理フローを示す図である。
【図3】モニタ画面に2点透視法で描かれた透視図のように表示されたワイヤフレームを示す図である。
【図4】モニタ画面に建物の写真画像とワイヤフレームの直方体部分とが合成して表示された状態を示す図である。
【図5】デカルト座標系において表示された基準直方体を示す図である。
【図6】2点透視法により描かれた参照6面体を示す図である。
【図7】2点透視法により表示された空間内での参照6面体の回転を示す図である。
【図8】2点透視法により表示された空間内での参照6面体の伸縮変形を示す図である。
【図9】2点透視法によりワイヤフレーム表示された参照6面体と建物の消失点を一致させる操作を説明する図である。
【図10】ワイヤフレーム表示された建物の屋根の傾斜に参照6面体の上面を一致させて屋根の傾斜角を求める操作を説明する図である。
【図11】2点透視法により表示された寄せ棟の屋根の建物を示す図である。
【図12】寄せ棟の屋根の場合の屋根の傾斜を求める方法を説明する図である。
【図13】2点透視法により表示された複雑な形状の建物の透視図である。
【図14】図13の建物をワイヤフレーム表示した図である。
【符号の説明】
【0038】
1 写真測量システム
2 バスライン
3 CPU(中央処理装置)
4 メモリ
5 外部記憶装置
6 入力インターフェイス
7 出力インターフェイス
8 キーボード
9 マウス
10 モニタ
11 プリンタ
12 デジタルカメラ
13 スキャナ
14 ビデオ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の直方体状部分の2つの側面が見える位置から撮影された一枚の写真画像にエッジ抽出処理を行って、建物のワイヤフレームを作成し、前記ワイヤフレームをモニタ画面に表示する画像処理部と、
仮想的な空間座標系において設定した基準直方体の各頂点の座標値を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記基準立方体の各頂点の座標値を前記モニタ画面上に仮想的に設定した左右2つの消失点を有する透視座標系上の座標値に座標変換して前記基準直方体の透視図を前記モニタ画面上に前記建物のワイヤフレームに合成して表示する座標変換部と、
前記空間座標系に対して、前記基準直方体の向きを回転させる操作と、幅、高さ、奥行きの3方向の長さを伸縮させる操作と、前記透視座標系の左右両側2つの消失点の位置を移動させる操作とをそれぞれ行うとともに、前記空間座標系に対して、前記基準直方体の上面の周囲の稜線の一つを軸として前記上面を回転操作するための操作部とを備え、
前記操作部の操作により、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの直方体部分に、前記基準直方体の各稜線を一致させることで、前記建物の直方体部分の前記空間座標系における位置を決定するとともに、前記建物のワイヤフレームの屋根部分に、前記基準直方体の上面を一致させることにより、前記空間座標系に対する前記建物の屋根の傾斜角度を決定することを特徴とする写真測量システム。
【請求項2】
建物の直方体状部分の2つの側面が見える位置から撮影された一枚の写真画像にエッジ抽出処理を行って、建物のワイヤフレームを作成する第1のステップと、
前記ワイヤフレームをコンピュータのモニタ画面に表示する第2のステップと、
仮想的な空間座標系において設定した基準直方体の各頂点の座標値を、前記モニタ画面上に仮想的に設定した、左右2つの消失点を有する透視座標系上の座標値に座標変換して、前記基準直方体の透視図を前記モニタ画面上に前記建物のワイヤフレームと合成して表示する第3のステップと、
前記空間座標系に対して、前記基準直方体の向きを回転させる操作と、幅、高さ、奥行きの3方向の長さを伸縮させる操作と、前記透視座標系の左右両側2つの消失点の位置を移動させる操作とをそれぞれ行うことにより、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの直方体部分に、前記基準直方体の各稜線を一致させる第4のステップと、
前記モニタ画面上で前記建物のワイヤフレームの直方体部分と前記基準立方体の各稜線が一致したときの前記空間座標系に対する基準直方体の各頂点の座標値により、前記建物の直方体部分の前記空間座標系における位置を決定する第5のステップと、
前記空間座標系に対して、前記基準直方体の上面の周囲の稜線の一つを軸として前記上面を回転操作することにより、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの屋根部分に、前記基準直方体の上面を一致させる第6のステップと、
前記空間座標系に対する前記基準直方体上面の傾斜角度から前記建物の屋根の傾斜角度を決定する第7のステップからなることを特徴とする写真測量方法。
【請求項3】
コンピュータに、建物の直方体状部分の2つの側面が見える位置から撮影された一枚の写真画像にエッジ抽出処理を行わせ、前記建物のワイヤフレームを作成させる第1のステップと、
前記ワイヤフレームを前記コンピュータのモニタ画面に表示させる第2のステップと、
前記コンピュータのメモリに記憶された仮想的な空間座標系において設定した基準直方体の各頂点の座標値を前記メモリから読み出し、前記モニタ画面上に仮想的に設定した、左右2つの消失点を有する透視座標系上の座標値に座標変換して、前記基準直方体の透視図を前記モニタ画面上に前記建物のワイヤフレームに合成して表示させる第3のステップと、
前記コンピュータの操作部の操作に応答して、前記空間座標系に対して、前記基準直方体の向きを回転させ、幅、高さ、奥行きの3方向の長さを伸縮させ、前記透視座標系の左右両側2つの消失点の位置を移動させて、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの直方体部分に、前記基準直方体の各稜線を一致させる第4のステップと、
前記モニタ画面上で前記建物のワイヤフレームの直方体部分と前記基準立方体の各稜線が一致したときの前記空間座標系に対する前記基準直方体の各頂点の座標値を前記メモリに記憶し、前記各座標値により、前記建物の直方体部分の空間座標系における位置を決定する第5のステップと、
前記操作部の操作に応答して、前記基準直方体の上面の周囲の稜線の一つを軸として前記上面を回転操作することにより、前記モニタ画面上に表示されている前記建物のワイヤフレームの屋根部分に、前記基準直方体の上面を一致させる第6のステップと、
前記モニタ画面上で、前記建物のワイヤフレームの屋根部分に前記基準直方体の上面が一致したときの前記空間座標系に対する前記基準直方体上面の傾斜角度を前記メモリに記憶し、前記傾斜角度により前記空間座標系における前記建物の屋根の傾斜角度を決定する第7のステップとを実行させることを特徴とする写真測量プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−220591(P2006−220591A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35782(P2005−35782)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電システム共通基盤技術研究開発 太陽光発電システム評価技術の研究開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(591019911)財団法人日本品質保証機構 (4)
【Fターム(参考)】