説明

冶金の間仕切式還元方法及びその設備

【課題】還元炉の温度の昇降時間を大幅に短縮し、効率と生産量を高め、エネルギー節約と地球環境を守る目的を達成する冶金の間仕切式還元方法及びその設備を提供する。
【解決手段】本発明は、冶金の間仕切式還元方法及びその設備に関し、主に、還元炉に結合する間仕切り可能な冷却装置を用いて、間仕切式還元の冶金設備を構成する。前記設備によって、冶金還元プロセス全体の冶金製錬及び冷却プロセスを、別々の空間に間仕切りして同時に処理を行なう。これにより、冶金製錬と冷却プロセスを完全に還元炉内に制限して行なうために引き起こされる長すぎる待ち時間や大量のエネルギー源の浪費が、生産エネルギーを効果的に高められない欠点となっている伝統的な冶金還元炉の作業を大幅に改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金の間仕切式還元方法及びその設備に関し、特に、冶金プロセスの冶金製錬と冷却プロセスを間仕切りした別々の空間で同時に行なう方法及びその設備であり、これにより、還元炉の冶金製錬及び冷却プロセスにおいて、同一空間内に温度の昇降操作を行う場合に消耗する待ち時間及びエネルギーを明らかに減少させ、全体の作業時間を大幅に短縮し、産業エネルギーを上昇させ、必要エネルギーの消耗を効果的に抑えることを可能にする冶金の間仕切式還元方法及びその設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業の発展は特定材料の充分な供給及び運用に頼っている。特に、金属材料の冶金製錬技術は、人類社会の進歩レベルに影響を与え続けている。現在、人類社会において最も成長を遂げているのは電子工業であり、その発展に最も重要な材料は、ケイ素(Si)である。ケイ素製素子の販売量は、全世界における半導体素子の95%を占める。しかし、自然界において、ケイ素材料は、単純元素の形態で存在しているのではなく、シリカ(silica,不純なSiO2)及びケイ酸塩(silicate)の形態で存在する。よって、いかにして自然形態の原料の中から、前記ケイ素製品に応用可能な材料を効果的に且つ経済効果を備えた製錬を行うかが、現在の科学技術の発展に直接影響を及ぼす鍵となる。
【0003】
前記材料中の金属級シリコン(Metallurgical−Grade Si, MG−Si)は、太陽電池の材料であり、主に、単結晶シリコン、多結晶シリコン、及びアモルファスシリコンの3つに大きく分類される。多結晶シリコン或いは単結晶シリコンを製造する原初の製錬材料は、高純度(>97%)のケイ砂を主とする。それはまた、二酸化ケイ素(SiO2)の結晶体でもある。前記ケイ砂の中からケイ素を還元することが、高純度多結晶シリコン製造の最初のステップである。一般の生産プロセスでは、ケイ砂、コークス(Coke)、石炭(Coal)及び木屑(wood)などの原料を混合し、黒鉛アークの加熱還元炉内に置き、1500℃〜2000℃の高温で加熱し、酸化ケイ素をケイ素に還元する。主な化学反応は次のとおりである。
SiO2+C → Si + CO2
SiO2+2C → Si + 2CO
【0004】
しかし、公知の還元技術において、還元炉は、前記シリカまたはケイ砂等の還元材料を入れた後、環境温度に近い温度から、徐々に1500℃〜2000℃の高温に達するまで加熱してこそ、還元待ち材料に対する溶融還元を行なうことが可能となる。また、前記還元作業を完了した後は、還元炉の温度を約250℃前後になるまで下げてこそ(環境温度にほぼ近い温度)、中の還元生成物を取り出して、温度の急変化と、設備、生成物の品質、或いは作業環境に対する悪影響を防ぐことができる。生成物を還元炉から取り出した後、次の回の還元待ち材料を還元炉内に入れることができ、その後、還元炉を再び前述の環境に近い温度から1500℃〜2000℃まで徐々に上げていき、溶融還元を行なう。上述の作業プロセスにおいて、還元炉の温度を上げたり下げたりする作業を繰り返し行わなければならないことの理由は、主に、還元炉が1500℃〜2000℃の高温状態にある時に起動する故にある。炉体と環境温度差が大きすぎると、爆発発生の危険性を有するだけでなく、大量の高温流体が作業環境に入り込むことから、操作環境や現場人員に対する熱汚染や傷害を引き起こし、更には、冶金製錬還元の完了した高温ケイ素材料生成物が急激な温度下降を受けて、構造上の破損を生じる可能性が極めて高く、また、環境中の雑質による汚染を必然的に受けて、更なる運用を行なうことができない。
【0005】
実際の計算に基づき、上述した公知の冶金還元方法を用いて、1サイクル(材料投入→温度上昇→還元→温度下降→炉から取り出す)のケイ素還元は、約32時間の長時間を浪費しなければならない。また、還元炉の温度を約250℃から1500℃〜2000℃に上げ続けて冶金製錬を行なった後、再び徐々に温度を約250℃まで下げ、還元後の生成物を取り出し易くするが、これによって熱能量の大量消失と浪費を引き起こす。すぐに続いて、前述のとおり、還元炉の還元温度を250℃から1500℃〜2000℃に上げると、再び大量の電気エネルギーを消耗する。よって、この種の公知の冶金還元方法は、非常に長い作業時間の浪費であるばかりでなく、全作業のプロセスにおいて、環境を破壊し続け、且つ大量のエネルギー源を浪費するため、非常に不経済であり、且つ、環境保護コンセプトに符合しない工業技術である。
【0006】
上記の欠点に対し、現階段においては、大幅に全作業時間を短縮し、効率と生産量を高め、作業プロセスにおけるエネルギー源の損耗率を低下させる全く新しい冶金還元方法及び設備をいかに提供するかが、本業界の改善が待たれる非常に大きな課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前述した問題点と欠点に鑑みて成されたもので、長年に渡り積み重ねた経験を用い、想像力と創造力を発揮し、試作と修正を繰り返した後、ついに、本発明の冶金の間仕切式還元方法及びその設備を完了させ、上述の伝統的な金属冶金製錬還元技術の欠点を確実に効果的に解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主な目的は、冶金の間仕切式還元方法及びその設備を提供することにある。それは、少なくとも一つの還元炉と間仕切り可能な冷却装置の結合及び組み合わせにより、特に、還元待ち材料の冶金製錬還元作業と還元後生成物の冷却作業を、二つの別々の空間に区切って同時進行するものであるため、前記還元炉の温度の昇降時間を大幅に短縮し、全還元作業時間も効果的に節約することにより、効率と一定時間の生産量を高め、作業の1サイクルのエネルギー源消耗を大幅に抑え、エネルギー節約と地球環境を守る目的を達成する。
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明では冶金の間仕切式還元方法及びその設備を開示する。その内、還元設備には、少なくとも一つの還元炉と冷却装置とを含む。前記還元炉は、高温を提供し、内部に入れた還元待ち材料に対し溶融還元を行ない、前記の間仕切り可能な冷却装置は、還元炉に連結した材料出口通路に対応し、還元の終わった生成物を材料出口通路から中に送り、還元炉と間仕切りされている別々の空間において生成物を冷却する作業を行う。
【0010】
前記冷却装置に備える少なくとも一つの充填室は、還元炉の下方に配置し、充填室と還元炉の間には材料出口通路を配置する。よって、充填室の内部空間と還元炉の内部空間は材料出口通路によって相互に繋がり、材料出口通路には更に材料出口ゲートを配置して、材料出口通路の開閉を制御する。
【0011】
また、充填室の一方側には、充填室に繋がる少なくとも一つの予熱室を備え、その間は、第一装填ゲートの開閉によって、その間を繋げられるか間仕切りするかをコントロールし、予熱室の外側には積載器進入ゲートを備えて、これより積載装置を進入させる。
【0012】
更に、充填室の他の一方側には、充填室に繋がる少なくとも一つの冷却室を配置し、その間は、第二装填ゲートによって繋がらせか間仕切りするかをコントロールし、且つ、冷却室の外側には積載器退出ゲートを備える。また、上述した予熱室の積載器進入ゲートの他、輸入ゲートに沿って予熱室に入り、更に第一装填ゲートに沿って充填室に入り、更に第二装填ゲートに沿って冷却室に入り、その後、積載器退出ゲートを経て冷却室の外に出る全工程の通路には、相互に繋がり連続し、積載装置を移動させるための積載器運搬装置を配置する。これにより、還元を終えた生成物を載せる積載装置は、区分けした予熱室、充填室、冷却室間で進入及び退出を行い、還元を完了させた生成物に対し、間仕切り式で予熱及び冷却操作を行なう。
【0013】
また、材料投入装置は、還元炉の上に配置し、材料投入装置と還元炉の間には相互に繋がる材料投入通路を設け、並びに、材料投入通路内には材料投入ゲートを配置して、材料投入通路を開いて貫通させるか閉じて塞ぐのをコントロールする。
【0014】
前記材料投入装置の内部空間は、還元待ちの材料を予めストックするのに用い、並びに、還元待ち材料は、材料投入通路によって還元炉内に投入される。
【発明の効果】
【0015】
上述したとおり、本発明は、冶金製錬還元作業と冷却作業の空間を相互に間仕切りし、同一時間にそれぞれ作業を行うことのできる還元方法及び設備であり、冶金の還元作業及び冷却作業のスケジュールを重ね合わせ、同時に回を分けて実施するため、毎回の作業間隔を大幅に短縮し、生産効率及び生産エネルギーを高めることができる。また、特に、還元炉及び冷却装置を間仕切りしており、冷却装置内では区分毎に間仕切りした状態で積載装置の移動作業を行うため、生成物の品質を効果的に維持できる他、さらに、エネルギー源の消耗を大幅に削減し、エネルギー節約と環境保護の目的を達成する特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好ましい実施例に関する構造の正面図である。
【図2】本発明の好ましい実施例に関する構造の側面図である。
【図3】本発明の好ましい実施例に関し、材料投入装置が還元待ち材料をストックしている状態を示す図である。
【図4】本発明の好ましい実施例に関し、材料投入装置が還元待ち材料を還元炉へ投入している状態を示す図である。
【図5】本発明の好ましい実施例に関し、還元炉が加熱溶融還元作業を行っている状態を示す図である。
【図6】本発明の好ましい実施例に関し、予熱ずみの積載装置が充填室まで移動した状態を示す図である。
【図7】本発明の好ましい実施例に関し、還元炉が還元を終えた生成物を充填室に入れている状態を示す図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】本発明の好ましい実施例に関し、還元炉が生成物の充填を終え、新しい材料を投入し、充填室内の積載装置及び生成物を冷却室に移動させようとしている状態を示す図である。
【図10】本発明の好ましい実施例に関し、生成物を載せた積載装置が冷却室へ移動し冷却され、新しく予熱室中に移動した空の積載装置が予熱されている状態を示す図である。
【図11】本発明の好ましい実施例に関し、冷却完了後の積載装置及び生成物が冷却室から外方向に移動している状能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に図面を用いて本発明の好ましい実施例について詳しく説明する。
【0018】
まず、図1及び図2に示した、本発明の好ましい実施例に関する冶金用間仕切式還元設備図において、その還元設備には、少なくとも一つの還元炉10及び冷却装置20を備える。
【0019】
その内、還元炉10の内部空間には還元待ち材料30(図3参照)を入れる。実施形態においては、図に示した通り、還元待ち材料30を支えるための還元ポット11を配置する。還元炉10は、還元材料30を溶融還元するために、1500℃〜2000℃の高温を提供可能である。その内、還元待ち材料の種類は、シリカ、ケイ砂などのケイ素原料、クロム原料、タングステン原料、マグネシウム原料、鉄原料、銅原料、またはその他の冶金製錬可能な金属原料等とし、高温溶融によって各種反応を行なう原料はすべて本発明に応用して還元させることが可能である。還元炉10の加熱方式は、炉内に加熱装置13を備えることが可能であり、還元炉10の内部空間に対して均等加熱を行う。その内、加熱装置13の加熱方式は、アーク加熱、高周波加熱、またはその他の適当な加熱方式とする。還元待ち材料30が還元炉10において均等に熱を受けて溶融されるように、還元炉10方向に撹拌装置14を配置する。還元待ち材料の加熱プロセスでは、撹拌装置14は、還元炉10(或いは還元ポット11)内に延伸し、還元待ち材料30に対する撹拌を持続的に行ない、これによって、原料が受ける熱を均等化する。また、還元炉10の内外壁面101、102の間には、隔熱装置15(好ましいのは液冷式または水冷式)を配置し、これによって、還元炉10内部の高温が炉体の外に伝えられて浸透し、炉体外部環境の熱汚染が引き起こされるのを防ぐため、適当な熱エネルギーをリサイクルし応用することができる。
【0020】
材料投入装置17は、還元炉10の上方に配置し、材料投入装置17と還元炉10の間には材料投入通路171を備え、材料投入装置17の内部空間と還元炉10の内部空間をこれによって繋ぐ。材料投入通路171には、更に、材料投入ゲート172を備え、材料投入通路171を開いて材料を通過させたり閉じて材料の通過を停止させたりする。前記材料投入装置17の内部には、還元待ち材料を装填する空間を設け、材料投入通路171の材料投入ゲート172が開かれると、投入した還元待ち材料30は還元炉10の内部(或いは還元ポット11)に入る。材料投入装置17の上方には材料入口173を備える。また、材料入口173の開閉を操作する上蓋174を設け、材料投入装置17内部に装填する還元待ち材料30が外部環境にある雑質の汚染を受けないようにする。しかも、還元待ち材料30を材料投入装置17に装填する作業は、ベルトコンベアを用いて、定時定量方式で自動的に材料を装填することも可能であり、これにより人工運搬による複雑性及び不便性を減少させることができる。
【0021】
冷却装置20は、還元炉10の材料出口通路16を予め配置した下方に設ける。冷却装置20には、充填室21を備え、充填室21と還元炉10の間は、材料出口通路16によって二者(10、21)の内部空間が相互に繋がる。また、材料出口通路16中には、材料出口通路16の開閉をコントロールする材料出口ゲート161を備える。次に、充填室21の内部空間は、予め少なくとも一つの積載装置40を進入させる。積載装置40は、前記材料出口通路16の出口に対応し、材料出口通路16から来る材料を受け止める。
【0022】
予熱室22は、充填室21の一方側に配置し、第一装填ゲート221の開閉によって互いに繋がるか封鎖し間仕切りした状態かをコントロールし、積載装置40の通過に役立てる。
【0023】
更に、予熱室22は外向きに積載器進入ゲート222を配置し、外側からの積載装置40進入に役立てる。予熱室22の内部には更に、内部に対して加熱作業を行う加熱装置223を配置する。予熱室22の主な作用は、前述の進入する積載装置40に対し、事前に温度を加えて予熱することにあり、予熱後に、還元生成物を充填室21に注ぎ込む。充填室21に進入する際は、積載装置40の温度と還元生成物の温度の差が大きすぎることにより、装填プロセスに悪影響を与えたり事故の発生を防ぐ。
【0024】
冷却室23は、充填室21の他の一方側に取り付け、予め配置した第二装填ゲート231の開閉によって、相互間が開いて繋がったり封鎖して間仕切りしたりするのをコントロールし、積載装置40の通過に役立てる。冷却室23内には、ファン232またはその他の循環冷却装置に類似するものを配置し、冷却効率を加速する。また、冷却室23には更に積載器退出ゲート233を配置し、冷却の完了した還元生成物と積載装置40を、これより冷却室23の外部に送り出すのに役立てる。
【0025】
上述した積載装置40の運搬を便利にするために、上述の予熱室22、充填室21、冷却室23の内部、及び以上各室に関連するゲートには、連続するかパートに分かれた状態の運搬装置24を形成する。これにより、積載装置40は、運搬装置24によって、外部から積載器進入ゲート222を通過し、予熱室22内に進入し、更に、第一装填ゲート221を通過して充填室21内に移動し、更に、第二装填ゲート231から冷却室23内に送られ、最後に、積載器退出ゲート233から外部に運搬される。こうして、簡便で連続(一貫)して積載装置40(或いは還元生成物)を運搬する効果を達成する。
【0026】
また、予熱室22の積載器進入ゲート222と冷却室23の積載器退出ゲート233の外に、更に、積載器運搬台車50を組み合わせることも可能であり、これによって、積載装置40の進入と運搬装置24からの排出を便利にする。上述のとおり、予熱室22、充填室21、冷却室23、運搬装置24間は、相互に組み合わせ、区間毎に間仕切りし、連続的に運搬作業のできる冷却装置となる。
【0027】
上述の冷却装置20のそれぞれの区間を間仕切りした空間の内外壁の間には、内部の高熱が外方向に伝わり浸透するのを防ぐために、隔熱装置25を備えることも可能で(好ましくは、液冷式または水冷式)、高熱が外に伝わり汚染するのを阻止する。また、上述の還元炉10及び冷却装置20の各内部空間が動作する時、原料またはその生成物に対する汚染を避けるために、無塵(または真空)状態で行ない、作業品質の安定を確保する。
【0028】
前述した本発明の好ましい実施例の説明に基づく作業方式は、図3〜図11に示す通りであり、本発明の間仕切式還元方法は主に、次のステップを含む。
【0029】
まず、還元待ち材料30を材料投入装置17内に入れ、必要な材料を準備する(ステップ201)。その後、材料投入ゲート172を開くと、還元待ち材料30は材料投入通路171を通り、一定量が還元炉10の内部空間(または還元ポット11)内に投入される(ステップ202)。次に、材料投入ゲート172と材料出口ゲート161が閉じ、還元炉10内には封鎖空間が形成される(ステップ203)。更に、還元炉10の加熱装置13によって炉内が高温加熱され、還元待ち材料30を溶融還元する(ステップ204)。このステップにおいて、還元炉10の提供する高温は、1500℃〜2000℃に達し、並びに、還元待ち材料30は、熱を受けて溶融するのと同時に、撹拌装置14を用いて加熱中の還元待ち材料30を均等に撹拌し、これを生成物301に還元する。還元ステップの完了後、すぐに、運搬装置24を用いて、予熱室22内で予熱がすでに完了している積載装置40を充填室21内に送り、材料出口通路16の下方に対応させ、並びに、第一装填ゲート221と第二装填ゲート231を閉じた後、材料出口ゲート161を開くと、還元の完了した生成物301は材料出口通路16を通って充填室21内に注ぎ込まれる。内部空間の積載装置40内におさめられると、即刻、生成物301の移動作業の完了となる(ステップ205)。生成物301の移動作業を終えると、材料出口ゲート161は閉じる。前述のとおり、材料投入装置17は還元炉10に対して次の回の還元待ち材料30を投入後、再び加熱還元作業を始め、これと同時に、冷却装置20によって第二装填ゲート231が開かれ、生成物301を装填したばかりの積載装置40は、充填室21から冷却室23に移動し、冷却を始める(ステップ206)。この時、積載器退出ゲート233が閉じるのと同時に(またはその後)積載器進入ゲート222が開かれ、外部(台車50)から到着した積載装置40は、予熱室22に入り、予熱される(ステップ207)。その後、前記ステップ205を再び実施する以前に、予め充填室21内に移動させる(ステップ208)。前述で冷却室23内に送られた生成物301は、外部環境に近い設定温度にまで冷却されると、積載器退出ゲート233が開き、冷却後の生成物301及び積載装置は冷却室23の外に移動する(ステップ209)。前記設定温度は、現在の常態作業に基づき、150℃〜100℃以下に設定し、並びに、ステップ206からステップ208の間は、ファン232またはその他の冷却器具を用いて、生成物301及び生成物301を載せた積載装置40の冷却を加速させる。また、無塵または真空状態での作業を維持する他、冷却プロセスと同時に惰性気体を放出することも可能であり、これにより、還元後の生成物301は、冷却プロセスにおいて安定した状態を保つことができる。以上のステップによって、一回の作業プロセスを完了する。
【0030】
以上の説明に基づくと、本発明の還元炉10は、還元待ち材料30に対する加熱還元作業と、還元後の生成物301に対する冷却作業を、二つの別々の空間内に完全に分けて、それぞれを同時に行なっていることが分かる。しかも、材料出口通路16及び各通路のゲートは、その開閉が有効的なプロセスによって制御されるという条件のもと、還元炉10の炉温は、持続的な高温状態を維持するようコントロールされるため、伝統的なまたは一般の還元炉において炉温の昇降を繰り返し操作する必要はない。また、エネルギー源の消耗量を大幅に低下でき、且つ、毎回、炉内環境を還元作業に必要な温度まで高める時間を大幅に短縮するため、生産効率は必然的に向上する。更に、前述したとおり、区分を間仕切りした空間での作業は、還元及び冷却等の個別段階の環境品質に対し、個別調節の要望に応じた敏捷性と便利性を提供するため、生成物301の高品質を確保することができる。
【0031】
上述の本発明に対する詳細な説明により本発明は次のような特徴を有する。
(1)本発明の提供する間仕切式還元方法及びその設備は、還元待ち材料を別々の空間に分けて処理する方式を採り、熱還元作業と冷却作業を同時に行うため、還元プロセスでの炉温昇降による待ち時間及びエネルギー消耗を大幅に削減し、生産効率及び大量のエネルギー源の節約を大幅に向上できる。
(2)本発明の間仕切式熱還元作業及び冷却作業は、材料投入→還元→冷却→生成物取得等のステップを一貫的且つ連続的な作業の流れとして行い、炉を停止させる、温度を下げて材料を取り出す、材料待ち、再起動によって炉温を上げる等の時間を減らして、生産エネルギーを大幅に向上させる。
(3)本発明の独特な冷却装置は、還元炉に連結して生成物に対する単独冷却作業を行う。これは、還元炉のプロセス全体において、生成物を冷却させるために温度下降を繰り返し行なう必要がないため、炉内の熱エネルギーの消耗を減少させ、更に、炉温を繰り返し上昇させるために求められる電気エネルギーを減らし、エネルギー節約及び炭素減少の環境保護目標に符合するものとなる。
(4)本発明は、区間に分けて間仕切りし、連続的に冷却作業を行う方法を採用し、これにより、更に完全で安定した冷却環境を生成物に与え、この段階で外界の雑質に起因する汚染を減らし、且つ、個々の段階においては、異なる特性を有する環境制御条件を便利に提供し、生成物の品質を更に高められる大きな特徴を備える。よって、エネルギー節約と好ましい作業状態を達成することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 還元炉
101、102 内外壁面(未図示)
11 還元ポット
13 加熱装置
14 撹拌装置
15、25 隔熱装置
16 材料出口通路
161 材料出口ゲート
17 材料投入装置
171 材料投入通路
172 材料投入ゲート
173 材料入口
174 上蓋
20 冷却装置
21 充填室
22 予熱室
221 第一装填ゲート
222 積載器進入ゲート
223 加熱装置
23 冷却室
231 第二装填ゲート
232 ファン
233 積載器退出ゲート
24 運搬装置
30 還元材料
301 生成物
40 積載装置
50 積載器運搬台車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間及び外側から内側に向かう材料投入通路と、内側から外側に向かう材料出口通路を備え、前記内部空間は還元待ち材料をおさめるもので、高温を提供して還元待ち材料に対する還元を行なう還元炉と、
還元炉の一方側に配置し、内部に至る材料出口通路に連結し、前記材料出口通路には材料出口通路を開いて貫通させるか閉じて塞ぐのをコントロールする材料出口ゲートを設ける冷却装置と、を備える冶金の間仕切式還元設備。
【請求項2】
前記冷却装置には、少なくとも一つの充填室を備え、その内部には、材料出口通路に対応する少なくとも一つの積載装置を配置し、材料出口通路から排出される還元後の生成物を受け止め、また、充填室の外側に向き合う箇所には少なくとも一つの装填ゲートを備え、積載装置を進入及び退出させることを特徴とする請求項1に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項3】
前記充填室の外方向にそれぞれ第一装填ゲート及び第二装填ゲートを備えることを特徴とする請求項2に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項4】
前記冷却装置は更に予熱室を備え、予熱室と充填室の装填ゲートは連接し互いに繋がり、積載装置はここを通過して二室の間を出入することを特徴とする請求項2または3に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項5】
前記冷却装置は更に冷却室を備え、冷却室と充填室の装填ゲートは連接し互いに繋がり、積載装置はここを通過して二室の間を出入することを特徴とする請求項2または3に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項6】
前記充填室は、第一装填ゲートによって予熱室に繋がり、第二装填ゲートによって冷却室に繋がり、積載装置は前記ゲートから各室の間を出ることを特徴とする請求項3に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項7】
前記間仕切式還元設備は、さらに、還元炉の上部に配置し、還元炉の還元待ち材料を事前に装填するのに用いる材料投入装置を備え、材料投入装置と還元炉の間には、材料投入通路を備え、材料投入装置の内部空間と還元炉の内部空間は相互に繋がり、しかも材料投入通路中には材料投入ゲートを配置して、材料投入通路を開いて貫通させるか閉じて塞ぐかを制御することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項8】
前記還元炉内には、還元待ち材料を装填するための還元ポットを配置することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項9】
前記還元炉内には、少なくとも一つの加熱装置を備えて、炉内に対して加熱を行なうことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項10】
前記冷却装置内には運搬装置を設け、少なくとも一つの積載装置の移動に用いることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項11】
前記還元炉には内外炉壁を設け、内外炉壁の間には隔熱装置を配置することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項12】
前記冷却装置内にはファンまたは加速循環冷却装置を配置することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項13】
前記冷却装置には内外壁を設け、内外壁の間には隔熱装置を配置することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元設備。
【請求項14】
還元待ち材料を還元炉に入れて還元するステップ(1)と、
還元を終えた生成物を、還元炉内から還元炉とは間仕切りし外側が封鎖された冷却装置も入れるステップ(2)と、
還元炉と冷却装置との間に間仕切りをするステップ(3)と、
次の回の還元待ち材料を還元炉内に投入し還元するのと同時に、前述で冷却装置内に移動させた還元生成物を冷却するステップ(4)と、
冷却完了後の還元生成物を冷却装置から出すステップ(5)とを含むことを特徴とする冶金の間仕切式還元方法。
【請求項15】
前記ステップ(1)は、同時に還元炉内の還元待ち材料に対して撹拌作業を行うことを特徴とする請求項14に記載の冶金の間仕切式還元方法。
【請求項16】
前記ステップ(2)は、生成物をまず還元炉から充填室に移動し、ステップ(3)で還元炉と冷却装置との間に間仕切りを完了させた後、さらにステップ(4)に基づいて、生成物を充填室から冷却室内に移動して冷却を行うことを特徴とする請求項14または15に記載の冶金の間仕切式還元方法。
【請求項17】
前記ステップ(2)において、冷却装置は、積載装置を予熱室から充填室内に移動させ、充填室と外界を封鎖した後、還元生成物を封鎖状態にある充填室の積載装置内に移すことを特徴とする請求項14乃至16の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元方法。
【請求項18】
前記ステップ(4)ではさらに、ファンまたは循環冷却装置によって加速冷却作業を行うことを特徴とする請求項14乃至17の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元方法。
【請求項19】
前記ステップ(4)ではさらに、冷却装置内に惰性気体を放出し、生成物の冷却状態を安定化することを特徴とする請求項14乃至18の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元方法。
【請求項20】
前記ステップ(1)乃至ステップ(4)中の少なくとも一つのステップは、無塵または真空状態において行なわれることを特徴とする請求項14乃至19の何れか一項に記載の冶金の間仕切式還元方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−2639(P2013−2639A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130452(P2011−130452)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(511142017)
【Fターム(参考)】