説明

冷え性改善剤

【課題】 本発明は価格、安全性、嗜好性の問題を解決しつつ、高い冷え性改善効果を有する長期的に摂取が可能な健康食品を提供することを目的とする。
【解決手段】 シナモン抽出物を含有することを特徴とする冷え性改善用健康食品に関するものであり、該シナモン抽出物がシナモンの樹皮を蒸気蒸留処理または熱水抽出処理し得られる溶解性が改善されたシナモン抽出物であること特徴とする冷え性改善用健康食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シナモンを含有し、冷え性に対し改善作用を示す健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年冷房機器等の普及に伴い、冷え性は冬のみではなく通年的に多くのヒトを悩ませる病態となっている。現在までにも冷え性の治療を目的として多くの薬剤、漢方薬が処方されてきたが、多くは暫時的な対症療法に過ぎず長期的な体質の改善を行うには安全性に問題があった。
【0003】
また食品としても多くの飲食物が提案されている(特開2003−40788号公報)が、価格、安全性、嗜好性の面全てにおいて需要者を満足させるに足る飲食物は提供されていない。
【特許文献1】特開2003−40788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は価格、安全性、嗜好性の問題を解決しつつ、高い冷え性改善効果を有する長期的に摂取が可能な健康食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
シナモン抽出物を含有することを特徴とする冷え性改善剤に関するものであり、該シナモン抽出物がシナモンの樹皮を蒸気蒸留処理または熱水抽出処理し得られる溶解性が改善されたシナモン抽出物であること特徴とする冷え性改善剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、安価で安全かつ嗜好性に優れた冷え症改善効果を有する健康食品を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0008】
本発明で使用されるシナモンとは熱帯に生育するクスノキ科ニッケイ属の常緑樹(学名:Cinnamomum zeylanicum)であり、またその樹皮から作られる香辛料である。
【0009】
本発明で使用されるシナモン抽出物は特に制限されるものではないが、好ましくはシナモン樹皮を蒸気蒸留処理および熱水抽出処理し得られる、溶解性が改善されたシナモン抽出物が用いられる。
【0010】
シナモン樹皮の産地、形状については特に制限はなく、通常入手可能なシナモンが全て用いられる。
【0011】
蒸気蒸留処理および熱水抽出処理の方法としては特に制限はなく、常法として用いられる手法が用いられる。
【0012】
蒸気蒸留処理および熱水抽出処理により得られたシナモン抽出物は、好ましくは乾燥、粉末化されたものである。
【0013】
シナモン抽出物の乾燥方法としては特に制限はなく、凍結乾燥法や加熱乾燥法などの常法が用いられる。
【0014】
シナモン抽出物の粉末化の方法は特に制限されるものではなく、常法が用いられる。
【0015】
本発明に記載のシナモン抽出物の摂取方法は特に制限されるものではないが、粉末、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、散剤、液剤等の固形または溶液の形態で摂取される。
【0016】
本発明に記載のシナモン抽出物の摂取方法は特に好ましくは、シナモン抽出物を水に分散させた液剤であり、更に好ましくは65℃以上の水に分散させた液剤である。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0018】
市販のシナモンを熱水抽出処理し、得られたエキスを乾固させシナモン抽出物とした。
【0019】
冷え性を自覚している女性10名を被験者として以下の試験を行った。
【0020】
試験期間は前観察期間(7日間)、試験食摂取期間(7日間)の計14日間で行った。前観察期間には対照食として65℃の水50mlを、試験食摂取期間にはシナモン抽出物500mgを65℃の水50mlに溶かした被験食を1日1回摂取させた。
【0021】
測定前日夜から測定当日にかけて、生活リズムを一定にして過ごす(睡眠時間、起床時間)。また、試験当日は起床後から試験終了時まで禁煙とする。
【0022】
室温24℃に設定した検査室に被験者を入室させ、試験食を摂取させる。
【0023】
そのまま安静に手を動かさないようにして、30分間過ごし馴化させた。
【0024】
馴化終了後、手背側指先温度の測定を行った。
【0025】
15℃の冷水に両手とも手首まで1分間つけさせる(冷水負荷)。その後、素早く手についた水をタオルでふき取り、負荷後0分、5分、10分、20分、30分の測定を行った。
【0026】
(実施例1)
前観察期間7日目、試験食摂取期間7日目に、上記の条件でサーモグラフィーによる指先温度測定を行った。
【0027】
(解析方法)手背側指先温度(両手10本)の平均値を測定値として用いた。
【0028】
実施例1の結果(表1)、(図1)、(表2)、(図2)に示す。
【0029】
(表1)

【0030】
(図1)

【0031】
(表2)

【0032】
(図2)

【0033】
(実施例2)
試験期間中の測定日を除いて毎日、「試験食摂取後1時間」の冷え性に対する体感性について、Visual Analogue Scale(以下VASとする)アンケートに記入させた。
【0034】
測定日には、「測定前」、「測定後(試験食摂取後1時間)」「測定日1日を通して」の冷え性に対する体感性について、VASアンケートに記入させた。
【0035】
VASアンケート項目は「身体全体が冷えてつらい」、「手足など、身体の末端が冷えてつらい」、「クーラーの冷風がつらい」、「身体全体が温かい」、「手足など、身体の末端が温かい」、「身体が冷えて寝つきが悪かった」、「負荷水が冷たくてつらい」の7項目とし、結果に示すような組み合わせで回答を得た。
【0036】
実施例2の結果を(表3)、(表4)、(表5)、(表6)に示す。
【0037】
(表3)

【0038】
(表4)

【0039】
(表5)

【0040】
(表6)

【0041】
シナモン抽出物500mgの摂取は、冷水負荷前後での指先温度を高め、負荷後の
指先温度の回復を早めた。
【0042】
体感性に関するアンケートでは、シナモン500mg摂取1時間後、測定後および測定日1日を通しての冷え性の体感性においても改善が見られた。また、シナモン抽出物の連続摂取による重篤な有害事象は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のシナモン抽出物は、安全かつ簡便に摂取することが可能であり、冷え性を改善する冷え性改善用健康食品として利用することが出来る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シナモン抽出物を含有することを特徴とする冷え性改善剤。
【請求項2】
前記シナモンが、シナモンの樹皮を蒸気蒸留処理または熱水抽出処理し得られる溶解性が改善されたシナモン抽出物であること特徴とする、請求項1に記載の冷え性改善剤。
【請求項3】
請求項1および2に記載の冷え症改善剤を含む食品。


【公開番号】特開2009−106245(P2009−106245A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284577(P2007−284577)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】