説明

冷凍冷蔵庫

【課題】冷却器室の冷気はすべて低温室へ送られ、高温室を冷却する場合は、低温室の冷気を高温室へ送るようにすることにより、高温室を冷却する場合にも低温室の冷却効率が低下することのない冷凍冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】断熱仕切り壁2に仕切られて下方に低温室3が設けられ、上方に高温室4が設けられた冷凍冷蔵庫において、低温室3の奥側に設けられた冷却器室9の冷気をすべて低温室3に送る第1の送風機13と、高温室4の奥側に設けられた高温室ダクト15に低温室3の冷気を送る第2の送風機17を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵室が冷凍室より上方に配置され、庫内冷却用の循環送風機とは別に、冷蔵室へ冷気を送る冷蔵室冷却用の送風機を備えた冷凍冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大容量の、特に高温室(冷蔵室、野菜室など冷蔵温度帯の室)が低温室(冷凍室、製氷室など冷凍温度帯の室)より上方に配置され、低温室の奥側に庫内空気冷却用の冷却器を備え、冷却器により冷却された冷気を循環ファンにより循環させ庫内を冷却する方式の冷凍冷蔵庫においては、容積が大きく高さの高い高温室の最上段まで冷却することは、1台の循環ファンでは困難になってきており、高温室冷却用のファンを追加配置することによって、高温室の冷却をより効果的に行うようにした冷蔵庫が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4667307号公報(第5頁、図3−4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された冷蔵庫の風路構造は、低温室の背面の冷却器の出口近傍に設けられた庫内冷却用の循環ファンから吹き出した冷気は、低温室に流入する冷気と高温室に流入する冷気とに分けられ、高温室側に流入した冷気は、高温室の背面に設けられた高温室冷却用のファンにより高温室内に吹き出すようになっている。
【0005】
しかしながら、このような構造では、高温室を冷却する際に高温室冷却用のファンを回転駆動させると、図5に示すように、低温室へ供給する冷気を高温室冷却用に分配する形となってしまうため、低温室へ吹き出される冷気の風量が減少し、低温室の冷却効率が低下するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、冷却器室の冷気はすべて低温室へ送られ、高温室を冷却する場合は低温室の冷気を高温室へ送るようにすることにより、高温室を冷却する場合にも低温室の冷却効率が低下することのない冷凍冷蔵庫を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、断熱仕切り壁に仕切られて下方に低温室が設けられ、上方に高温室が設けられた冷凍冷蔵庫において、前記低温室の奥側に設けられた冷却器室の冷気をすべて前記低温室に送る第1の送風機と、前記高温室の奥側に設けられた高温室ダクトに前記低温室の冷気を送る第2の送風機を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷却器室の冷気は第1の送風機によりすべて低温室へ送られ、高温室を冷却する場合は第2の送風機により低温室の冷気を高温室へ送るようにしたので、高温室を冷却する場合にも低温室の冷却効率が低下することはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の扉を外した状態を示す概略説明図である。
【図2】一部を省略した図1のA−A断面図である。
【図3】本発明に係る冷凍冷蔵庫の冷気経路図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る冷凍冷蔵庫の要部の説明図である。
【図5】従来の冷凍冷蔵庫の冷気経路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る冷凍冷蔵庫の扉を外した状態を示す概略説明図、図2は一部を省略した図1のA−A断面図である。
両図において、1は前面が開口された冷蔵庫本体を構成する断熱箱体で、鋼板からなる外箱1a、樹脂成形品からなる内箱1b、及び外箱1aと内箱1bとの間に充填された断熱材1cからなっている。
【0011】
2は例えば冷凍室の如き低温室3と、冷蔵室の如き高温室4とを仕切る断熱仕切り壁で、低温室3は低温室仕切り壁5により2室に分割されている。なお、この低温室仕切り壁5を省略し、低温室3を1室で構成してもよい。6は低温室3の前面開口部を開閉する低温室扉、7は高温室4の前面開口部を開閉する高温室扉である。
【0012】
8は低温室3の奥側に設けられた低温室奥側断熱壁で、断熱箱体1の内箱1bとの間には冷却器室9が形成されており、この冷却器室9内には冷却器10が設置されている。11は低温室3の上部と冷却器室9とを連通する吹出しダクト、12は低温室3の下部と冷却器室9とを連通する戻りダクトである。13は吹出しダクト11内に設置された庫内冷却送風機(以下、第1の送風機という)である。
【0013】
14は高温室4の奥側に設けられた高温室奥側断熱壁で、断熱箱体1の内箱1bとの間には高温室ダクト15が形成されている。
16は断熱仕切り壁2に設けられた冷気導入ダクトで、一端は低温室3に開口して吸込み口16aを形成し、他端は高温室ダクト15に開口して吹出し口16bを形成している。
【0014】
17は冷気導入ダクト16の高温室ダクト15への吹出し口16b側に設けられた高温室冷却送風機(以下、第2の送風機という)である。なお、図1において、18は低温室奥側断熱壁8に設けられて、低温室3と冷却器室9とを連通する低温室冷気吹出し口、19は高温室奥側断熱壁14に設けられて、高温室4と高温室ダクト15とを連通する高温室冷気吹出し口である。
【0015】
次に、上記のように構成した冷凍冷蔵庫の冷却作用について説明する。
冷却器10によって冷却された冷却器室9内の空気(冷気)は、すべて第1の送風機13により吹出しダクト11及び低温室冷気吹出し口18から低温室3に吹き出され、低温室3内を冷却して戻りダクト12から冷却器室9に戻り、冷却器10により再び冷却される。
【0016】
また、高温室4内を冷却する場合は、第2の送風機17が回転駆動される。これにより、低温室3内の冷気が吸込み口16aから冷気導入ダクト16に吸い込まれ、吹出し口16bから高温室ダクト15に送られて、高温室奥側断熱壁14に設けられた高温室冷気吹出し口19から吹き出して高温室4内を冷却し、高温室戻りダクト(図示せず)から冷却器室9へ戻る。
【0017】
このように、本実施の形態においては、図3に示すように、冷却器室9で冷却された最も低温の冷気が、第1の送風機13によりすべて低温室3へ送られ、低温室3の冷却に用いられる。そして、高温室4の冷却には、冷気導入ダクト16から送られた低温室3の雰囲気の冷気を利用することになるが、この冷気は、第1の送風機13から吹き出した直後の冷気に比べれば温度は高いが、高温室4内を目標温度に冷却するには十分である。
【0018】
また、冷気導入ダクト16の吸込み口16aの近傍は低圧になるため、この吸込み口16aを低温室3の高温になり易い位置(例えば、低温室扉6の近傍)に設けることにより、第1の送風機13によって低温室3に吹き出された冷気を冷気導入ダクト16の吸込み口16aに導くことができ、低温室3内の温度ムラを改善することができる。
【0019】
さらに、冷却器室9内の冷気はすべて低温室6に送られる風路構成となっているため、高温室4を冷却する際に低温室3への冷気の風量が減少することがなく、低温室3内の温度上昇を最小に抑えることができる。
【0020】
[実施の形態2]
図4は本発明の実施の形態2に係る冷凍冷蔵庫の要部の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分には、同じ符号を付してある。
本実施の形態は、低温室3に図1に示すような低温室仕切り壁5を有する冷凍冷蔵庫に係り、低温室3の冷気が高温室4に導かれ冷気導入ダクト20が低温室仕切り壁5に設けられている。そして、一端には低温室3に開口する吸込み口20aが設けられ、他端は断熱仕切り壁2を貫通して高温室ダクト15に開口する吹出し口20bが設けられており、吹出し口20bには第2の送風機17が設置されている。
【0021】
本実施の形態においても実施の形態1の場合とほぼ同様の効果を得ることができるが、さらに、冷気導入ダクト20の大部分を低温室仕切り壁5に設けたので、低温室3と高温室4とを仕切る断熱仕切り壁2の断熱層の厚さが薄くなることがない。
また、低温室3の低温室仕切り壁5の両側の室は同じ温度帯であるため、両室間の断熱構造は不要か又はごく薄いものでよく、断熱減による庫内の温度の影響を考慮することなく、高温室4へのダクト面積を十分に確保することができる。
【0022】
さらに、図示してないが、低温室3の温度分布によっては、断熱仕切り壁2と低温室仕切り壁5の両方に、実施の形態1に係る冷気導入ダクト16と本実施の形態に係る冷気導入ダクト20を設けてもよい。
【0023】
[実施の形態3]
本実施の形態は、実施の形態1又は2の冷凍冷蔵庫において、断熱仕切り壁2又は低温室仕切り壁5に設けた冷気導入ダクト16,20の第2の送風機17の上流側に、風路を開閉するダンパー21(図2参照)を設けたものである。
本実施の形態によれば、ダンパー21を閉じることにより、低温室3から高温室4への冷気の流れを確実に遮断することができるので、低温室3の温度調整をより確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 断熱箱体、1a 外箱、1b 内箱、1c 断熱材、2 断熱仕切り壁、3 低温室、4 高温室、5 低温室仕切り壁、6 低温室扉、7 高温室扉、8 低温室奥側断熱壁、9 冷却器室、10 冷却器、11 吹出しダクト、12 戻りダクト、13 庫内冷却送風機(第1の送風機)、14 高温室奥側断熱壁、15 高温室ダクト、16,20 冷気導入ダクト、16a,20a 吸込み口、16b,20b 吹出し口、17 高温室冷却送風機(第2の送風機)、18 低温室冷気吹出し口、19 高温室冷気吹出し口、21 ダンパー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱仕切り壁に仕切られて下方に低温室が設けられ、上方に高温室が設けられた冷凍冷蔵庫において、
前記低温室の奥側に設けられた冷却器室の冷気をすべて前記低温室に送る第1の送風機と、
前記高温室の奥側に設けられた高温室ダクトに前記低温室の冷気を送る第2の送風機を設けたことを特徴とする冷凍冷蔵庫。
【請求項2】
前記低温室と高温室とを仕切る前記断熱仕切り壁に、前記低温室に開口する吸込み口を有し前記高温室ダクトに連通する冷気導入ダクトを設け、該冷気導入ダクトの前記高温室ダクトへの吹出し口に、前記第2の送風機を設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項3】
前記低温室に該低温室を左右に仕切る低温室仕切り壁を設け、該低温室仕切り壁に前記低温室に開口する吸込み口を有し前記高温室ダクトに連通する冷気導入ダクトを設け、該冷気導入ダクトの前記高温室ダクトへの吹出し口に前記第2の送風機を設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項4】
前記断熱仕切り壁と低温室仕切り壁の両者に前記請求項2及び請求項3に係る冷気導入ダクトを設け、該冷気導入ダクトの吹出し口に前記第2の送風機を設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項5】
断熱仕切り壁の下方に低温室が設けられ、該断熱仕切り壁の上方に高温室が設けられた断熱箱体を有し、
前記低温室の奥側に設けられた低温室奥側断熱壁と前記断熱箱体との間に冷却器を有する冷却器室を設け、前記低温室奥側断熱壁に前記低温室と冷却器室とを連通する吹出しダクト及び戻りダクトを設けて前記吹出しダクトに第1の送風機を設置し、
前記断熱仕切り壁又は前記低温室を左右に仕切る低温室仕切り壁の一端に前記低温室に開口する吸込み口を有し、他端に前記高温室の奥側に設けた高温室ダクトに開口する吹出し口を有する冷気導入ダクトを設け、該冷気導入ダクトの吹出し口側に第2の送風機を設置したことを特徴とする冷凍冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷気導入ダクトの吸込み口を前記低温室の低温室扉の近傍に設けたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の冷凍冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷気導入ダクトの第2の送風機の上流側にダンパーを設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の冷凍冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113451(P2013−113451A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257433(P2011−257433)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)