説明

冷凍味付麺食品の製造方法および冷凍味付麺食品

【課題】麺にコシのある味付麺料理を、食したいときに直ぐに食すことを可能とするための冷凍味付麺食品の製造方法および冷凍味付食品を提供する。
【解決手段】まず、調理者は第1工程および第2工程にて、鯖11を調味液で煮付けた後、冷却する。次に、調理者は第3工程にて、容器13内に凍結させた状態の調味液12を作る。次に、調理者は第4工程にて、そうめん14を茹で上がりに満たない範囲内で茹でる。次に、調理者は第5工程にて、そうめん14を調味液で茹で上がりに満たない範囲内で煮る。次に、調理者は第6工程にて、調味液で煮たそうめん14を冷却する。次に、調理者は第7工程にて、容器13内における調味液12上に調理したそうめん14および鯖11の盛り付けを行う。次に、調理者は第8工程にて、容器13内に盛付けられたそうめん14および鯖11を急速に凍結させてそうめん14、鯖11および調味液12が凍結状態の冷凍鯖そうめん10を完成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味付けされた麺を凍結させた冷凍味付麺食品の製造方法および冷凍味付麺食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、茹でた麺と具材とを出汁で煮ることにより、味付けされた麺と具材とからなる料理(以下、「味付麺料理」という)がある。例えば、茹でたそうめんと味付けされた焼き鯖とを鰹や昆布から抽出した出汁で煮て調理した「鯖そうめん」と称される味付麺料理が知られている。この場合、地方によっては、味付けされた焼き鯖に換えて他の魚(例えば、鯛、鰈など)や野菜(例えば、茄子)、または単に味付けされた魚(例えば、鯖、鯛、鰈など)や野菜(例えば、茄子)とともにそうめんを煮て調理した味付麺料理も知られている。
【0003】
しかし、このような味付麺料理は、調理後の時間経過とともに所謂コシと称される麺の弾力が急速に低下して食感が悪くなるため、予め作り置きする調理法は適さない。このため、味付麺料理は、食す直前に調理することが求められるが、麺を茹でる工程や麺に味を染み込ませる工程など調理に手間と時間が掛かるとともに各工程に応じた調理器具が必要であり、食したいときに手軽に食すことができないという問題がある。
【0004】
一方、下記特許文献1には、生麺を含水率約59.5%未満の範囲でボイルして凍結させる冷凍麺の製造方法が開示されている。しかし、下記特許文献1に開示された冷凍麺の製造方法においては、食すに際して麺を再度湯でボイルした後、味付麺料理を調理しなければならず、味付麺料理を食したいときに手軽に食すという前記問題点を解消することはできない。
【特許文献1】特開昭62−134053号公報
【0005】
また、下記特許文献2には、凍結させた濃縮出汁上に茹で上げた麺を配置して凍結させた冷凍食品が開示されている。しかし、下記特許文献2に開示された冷凍食品においては、麺が茹で上がった状態であるため食す際における電子レンジの加熱によって解凍した麺に解凍した濃縮出汁が染み込み、解凍後の麺が軟化してコシのない麺料理に仕上がってしまうという問題がある。
【特許文献2】特開平11−276128号公報
【0006】
また、下記特許文献3には、麺などの食品素材に調味料を和えてまたはかけて凍結させた冷凍食品、あるいは、前記食品素材と調味料と別々に凍結させた凍結物を重ねた冷凍食品に調味料をかけて更に凍結させる冷凍食品の製造方法が示唆されている。しかし、下記特許文献3に開示された冷凍食品においては、前記特許文献2と同様に、麺が茹で上がった状態であるため食す際における解凍加熱によって解凍した麺に解凍した調味料が染み込み、解凍後の麺が軟化してコシのない麺料理に仕上がってしまうという問題がある。
【特許文献3】特開2004−24117号公報
【発明の開示】
【0007】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、麺にコシのある味付麺料理を、食したいときに直ぐに食すことを可能とするための冷凍味付麺食品の製造方法および冷凍味付食品を提供することにある。
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、麺を湯で茹で上がりに満たない範囲内で茹でる茹で工程と、前記麺を第1の調味液で味付けする味付け工程と、味付けされた麺を冷却する冷却工程と、第1の調味液または同第1の調味液とは異なる第2の調味液を凍結させた凍結調味液を作る凍結調味液調理工程と、前記麺と凍結させた第1の調味液または同第1の調味液とは異なる第2の調味液とを容器内に配置する配置工程と、前記容器内に配置された前記麺を凍結させる麺凍結工程とを含むことにある。
【0009】
この場合、茹で工程における麺の茹で加減は、麺の茹で上がりに対して約8分までの範囲内で茹でるようにするとよい。
【0010】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、冷凍味付麺食品は、茹で上がりに満たない範囲で茹でられて味付けされた麺が冷却された後、凍結状態の調味液上に配置されて凍結されて製造される。そして、このように製造された冷凍味付麺食品は、電子レンジなどを用いて解凍することにより味付麺料理として食すことができる状態となる。この場合、冷凍味付麺食品の解凍時においては、解凍された調味液が解凍された麺に染み込むことによって麺の芯部の硬さが食すに適した状態となる。すなわち、解凍された麺の状態が味付麺料理における麺の茹で上がり状態と同等の状態となる。また、解凍された調味液が解凍された麺に染み込むことによって麺の外側部分に新たに味付けがなされる。これらにより、冷凍味付麺食品を電子レンジなどで加熱するのみで、従来の手間隙を掛けて調理された作り立ての味付麺料理と同等な味付麺料理が得られる。すなわち、本発明に係る冷凍味付麺食品によれば、麺にコシのある味付麺料理を、食したいときに直ぐに食すことができる。
【0011】
なお、本発明に係る冷凍味付麺食品は、冷凍されているため長期保存も可能である。この場合、冷凍味付麺食品は、冷凍味付麺食品を構成する素材の種類にもよるが概ね半年から1年間は食感、食味および風味を維持した状態で保存することができる。また、配置工程において、味付け工程における第1の調味液とは異なる第2の調味液、例えば、第1の調味液と異なる素材や異なる濃度の第2の調味液を用いることにより幅広い味付けの味付麺食品を作ることができる。
【0012】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記冷凍味付麺食品の製造方法において、味付け工程は、麺を第1の調味液で茹で上がりに満たない範囲内で煮ることにある。この場合、前記味付け工程においては、麺を麺の茹で上がりに対して約8分までの範囲内で煮るとよい。
【0013】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、茹で工程で茹でられた麺は、第1の調味液で茹で上がりに満たない範囲内で煮付けられる。これにより、第1の調味液が麺に染み込み、麺に調味液を和えるまたは掛けるより、より深く麺に味付けされた味付麺料理が簡単かつ短時間に得られる。
【0014】
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記冷凍味付麺食品の製造方法において、さらに、麺とともに食す具材を調理する具材調理工程を含み、配置工程は、麺とともに具材を容器内に配置し、凍結工程は、具材とともに麺を凍結させることにある。この場合、具材調理工程においては、前記調理済みの具材を冷却する具材冷却工程を含むとよい。
【0015】
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、麺と具材とからなる味付麺料理が簡単かつ短時間に得られる。すなわち、前記「鯖そうめん」に代表される味付けされた具材とそうめんなどの麺とからなる味付麺料理を食したいときに直ぐに食すことができる。
【0016】
さらに、本発明は、冷凍味付麺食品の製造方法の発明として実施できるばかりでなく、冷凍味付麺食品の発明としても実施できるものである。
【0017】
すなわち、請求項6に係る本発明の特徴は、茹で上がりに満たない状態に茹でられ、かつ第1の調味液で味付けされた凍結状態の麺と、凍結状態の第1の調味液または同第1の調味液とは異なる第2の調味液と、凍結状態にある麺と第1の調味液または第2の調味液とを収容する容器とを備えることにある。
【0018】
この場合、前記冷凍味付麺食品において、冷凍状態にある麺は、麺の茹で上がりに対して約8分までの範囲内で茹でられているとよい。
【0019】
また、これらの場合、前記冷凍味付麺食品において、さらに、麺とともに食す冷凍状態の具材を備え、前記容器は、麺および第1の調味液または第2の調味液に加えて前記具材を収容するようにしてもよい。これらによっても、前記冷凍味付麺食品の製造方法と同等な効果を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る冷凍味付麺食品の製造方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る冷凍味付麺食品としての冷凍鯖そうめん10の製造方法における主要な工程の流れを示すフローチャートである。また、図2は、冷凍鯖そうめん10の横断面の状態を模式的に示す概略断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。
【0021】
冷凍鯖そうめん10は、茹でたそうめんと味付けされた焼き鯖とを鰹や昆布から抽出した所謂出汁を主体とする調味液で煮て味付けした「鯖そうめん」の半調理済み食品である。
【0022】
まず、冷凍鯖そうめん10の調理者は、第1工程として、鯖11の煮物を作る。具体的には、調理者は、鯖11の切り身をオーブン等で焼いた後、出汁(鰹や昆布を煮出した液体)に、しょうゆ、ざらめ(砂糖)および酒などを加えた調味液で所定の時間煮ることにより鯖11を作る。この第1工程における鯖11の調理は、従来の「鯖そうめん」の調理と同じであり、鯖の煮物として調理を完成させるものである。次に、調理者は、第2工程として、調理した鯖11の煮物を冷却する。具体的には、調理者は、煮付けられた鯖11を真空冷却機を用いて急速に冷却する。本実施形態においては、煮付けられた鯖11を約10分以内に約20℃以下にまで急速に冷却する。
【0023】
なお、真空冷却機は、食品の芯部から熱を奪って食品を均一かつ急速に冷却することにより、雑菌の繁殖し易い温度を素早く通過させて食品の品質を良好に維持するための調理器である。したがって、第2工程における鯖11の冷却には真空冷却機を用いることが望まれるが、必ずしも、真空冷却機を用いなければならないものではなく、自然冷却であっても良いことは当然である。また、この第1工程および第2工程が、本発明に係る具材調理工程に相当する。
【0024】
次に、調理者は、第3工程として、凍結させた調味液12を作る。具体的には、調理者は、前記第1工程で鯖11を煮付けた調味液と同じ味付けの調味液12を作り、鯖そうめんを盛付ける容器13内に所定量だけ注ぐ。容器13は、有底筒状に形成された蓋付き(図示せず)の樹脂製の器である。本実施形態においては、直径が約200mm、深さが約60mmの容器13内に約40ccの調味液12を注ぐ。そして、調理者は、調味液12を注いだ容器13を図示しない冷凍機内に配置して同調味液12を凍結させる。この凍結させた調味液12が本発明に係る凍結調味液に相当する。すなわち、この第3工程が、本発明に係る凍結調味液調理工程に相当する。
【0025】
次に、調理者は、第4工程として、そうめん14を茹で上がりに満たない範囲内で茹でる。具体的には、調理者は、乾麺からなるそうめん14を沸騰したお湯に投入して麺の茹で上がりに対して約3分の茹で加減まで茹でる。本実施形態においては、約80gのそうめん14を約90秒間茹でることで約3分の茹で加減の状態となる。そして、調理者は、約3分の茹で加減で茹でられたそうめん14をザルに移してそうめん14に付着した水分を切る。この場合、「麺の茹で上がり」とは、麺を食すに最適な状態にまで火を通した状態をいう。したがって、第4工程を経たそうめん14は、麺の芯部まで完全に火が通っていない不完全な茹で加減であり、食すには未だ適さない状態である。
【0026】
次に、調理者は、第5工程として、茹でたそうめん14を調味液で煮る。具体的には、調理者は、前記第1工程における調味液および前記第3工程における調味液12と同じ味付けの調味液を作り、同調味液内に前記第4工程で茹でたそうめん14を投入して麺の茹で上がりに対して約6分の茹で加減まで煮る。本実施形態においては、約80gのそうめん14を約60秒間煮ることで約6分の茹で加減の状態となる。これにより、そうめん14に調味液が染み込んで味付けがなされる。そして、調理者は、煮ることにより味付けがなされたそうめん14をザルに移してそうめん14に付着した余分な煮汁を切る。すなわち、この第5工程が、本発明に係る味付け工程に相当する。なお、この第5工程を経たそうめん14は、第4工程を経たそうめん14に比べて麺の芯部にまで火が通った状態であるが、食すには火の通りが若干不十分な状態である。
【0027】
なお、この第5工程においてそうめん14を煮る調味液は、この第5工程において新規に作ってもよいが、前記第1工程、第3工程および第5工程で用いる調味液をまとめて作っておいて各工程ごとに分けて用いても良いことは当然である。すなわち、前記第1工程、前記第3工程および第5工程で用いた調味液が、本発明に係る第1の調味液に相当する。また、第5工程において前記第1工程で鯖11を煮付けた調味液(鯖の煮汁を含む調味液)を用いてそうめん14を煮てもよい。これによれば、鯖11の煮汁が染み込んで味付けされたそうめん14ができる。
【0028】
次に、調理者は、第6工程として、前記第5工程にて煮たそうめん14を冷却する。具体的には、調理者は、第5工程で調理したそうめん14を前記真空冷却機を用いて急速に冷却する。本実施形態においては、約10分以内に約20℃以下にまで急速に冷却する。これにより、そうめん14が余熱などにより伸びて所謂麺のコシが低下することを防止できる。なお、この第6工程においても、真空冷却機を用いることが好ましいが、素早く冷却することができれば、他の冷却装置または冷却方法を採用しても良いことは当然である。この場合、そうめん14は、約15分以内に約25℃以下に冷却することが望まれる。
【0029】
次に、調理者は、第7工程として、前記各工程でそれぞれ調理されたそうめん14および鯖11の盛り付けを行う。具体的には、調理者は、前記第3工程にて容器13内に凍結させた調味液12上に前記第6工程で冷却したそうめん14および前記第2工程で冷却した鯖11をそれぞれ配置する。この場合、容器13内の調味液12は凍結状態にあるとともにそうめん14が冷却されているため、そうめん14に調味液12が染み込むことはない。これにより、そうめん14の盛付け時におけるそうめん14の所謂コシと称される麺の弾力の低下が防止される。
【0030】
次に、調理者は、第8工程として、容器13内に盛付けられたそうめん14および鯖11を凍結させる。具体的には、調理者は、調味液12上にそうめん14および鯖11が盛付けられた容器13に図示しない蓋を被せた後、同容器13を図示しない冷凍機内に配置する。本実施形態においては、−25℃の雰囲気内で炭酸ガス(Co)を吹き掛けることにより容器13内に盛付けられたそうめん14および鯖11を急速冷凍する。これにより、容器13内においてそうめん14、鯖11、調味液12がそれぞれ凍結した状態の冷凍鯖そうめん10が完成する。
【0031】
なお、容器13内に盛付けられたそうめん14および鯖11は凍結し終えるまでの時間および過程での品質劣化を防止するため急速冷凍することが望まれるが、必ずしも、急速冷凍しなければならないものではなく、徐々に凍結するように冷凍することも可能である。
【0032】
このように製造された冷凍鯖そうめん10は、消費者によって食されるまでの間、冷凍庫内にて凍結状態で保存される。これにより、冷凍鯖そうめん10の鮮度、特に、そうめん14の伸びを防止して長期(概ね半年から1年)保存することができる。そして、この冷凍鯖そうめん10を食すに際しては、鯖そうめんの調理者は、前記冷凍庫内から冷凍鯖そうめん10を取り出して図示しない電子レンジを用いて加熱する。本実施形態においては、出力が900Wの電子レンジで約270秒(4分半)間加熱する。これにより、容器13内のそうめん14、鯖11および調味液12がそれぞれ熱せられて解凍されるとともに、更に加熱されることにより所謂熱々の状態となる。この場合、解凍した調味液12が解凍したそうめん14の芯部まで染み込み、そうめん14の芯部の硬さが食すに適した状態となるとともに、そうめん14の外側部分に新たに味付けがなされる。
【0033】
これにより、解凍されたそうめん14、鯖11および調味液12の状態が、本来の鯖そうめんの仕上がり状態と同等の外観および味付けされた状態となり、鯖そうめんが完成する。すなわち、冷凍鯖そうめん10を加熱するだけで食すに最適な状態の鯖そうめんが作られる。したがって、消費者は、容器13の蓋を外して熱々に熱せられた鯖そうめんを食すことができる。なお、冷凍鯖そうめん10の加熱には必ずしも電子レンジを用いる必要はなく、他の加熱装置や加熱方法によって冷凍鯖そうめん10を加熱してもよいことは当然である。例えば、容器13を耐熱性を有する容器としてオーブンなどを用いて直接加熱するようにしてもよいし、鍋や蒸機などを用いて冷凍鯖そうめん10を蒸して加熱するようにしてもよい。また、冷凍鯖そうめん10の加熱する程度は、消費者の好みに応じて決定されるものであるので、必ずしも熱々に加熱する必要はなく、最低限、そうめん14、鯖11および調味液12が解凍される程度にまで加熱すればよい。
【0034】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、冷凍鯖そうめん10は、茹で上がりに満たない範囲で茹でられて味付けされ冷却されたそうめん14が凍結状態の調味液12上に配置された後凍結されて製造される。そして、このように製造された冷凍鯖そうめん10は、電子レンジなどを用いて解凍され更に加熱されることにより鯖そうめんとして食すことができる状態となる。この場合、冷凍鯖そうめん10の解凍時においては、解凍された調味液12が解凍されたそうめん14に染み込むことによって麺の芯部の硬さが食すに適した状態となる。これにより、解凍されたそうめん14の状態が鯖そうめんにおける麺の茹で上がり状態と同等のコシのある状態となる。また、解凍された調味液12が解凍されたそうめん14に染み込むことによって麺の外側部分に新たに味付けがなされる。これらにより、冷凍鯖そうめん10を電子レンジで加熱するのみで、従来の手間隙を掛けて調理された作り立ての鯖そうめんと同等な鯖そうめんが得られる。すなわち、本発明に係る冷凍鯖そうめん10によれば、そうめん14にコシのある鯖そうめんを食したいときに直ぐに食すことができる。
【0035】
また、冷凍鯖そうめん10は、冷凍されているため長期保存が可能である。これにより、家庭、飲食店またはコンビニエンスストアーなどにおいて、鯖そうめんを食するまたは提供するまでの間、長期保存をすることができるとともに、鯖そうめんを食したいときには、手軽に直ぐ食すまたは提供することができる。
【0036】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0037】
例えば、上記実施形態においては、第1工程において鯖11の煮付けを作るための調味液、第3工程における冷凍状態の調味液12および第5工程においてそうめんを煮る調味液を同一の素材からなる同一の調味液とした。しかし、これらの各調味液は、必ずしも同一のものである必要はなく互いに異なる素材や濃度からなる調味液(本発明に係る第2の調味液)としてもよい。これによれば、幅広い食味・風味の鯖そうめんおよびその他の各種味付麺食品を作ることができる。
【0038】
また、上記実施形態においては、第5工程においてそうめん14を調味液で煮ることにより味付けを行った。しかし、そうめん14の味付けは他の方法で行うこともできる。例えば、上記実施形態における調味液または同調味液とは異なる第2の調味液中にそうめん14を漬けて味付けしてもよいし、これらの調味液をそうめん14に和えて味付けするようにしてもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0039】
また、上記実施形態においては、第3工程において調味液12を容器13内にて凍結させた。しかし、調味液12は必ずしも容器13内で凍結させる必要はなく、容器13とは異なる別の容器内で凍結させてもよいことは当然である。この場合、別の容器で凍結させた調味液12を第7工程においてそうめん14および鯖11とともに容器13内に盛付けるようにする。また、この場合、必ずしも、凍結した調味液12上にそうめん14および鯖11を配置する必要はなく、調味液12を単一のまたは複数のブロック状や粒状に凍結させてそうめん14および鯖11と並べて、またはそうめん14および鯖11上に載置した状態でそれぞれ配置してもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0040】
また、上記実施形態においては、第4工程にてそうめん14の茹で上がりに対して約3分の茹で加減で茹でるとともに、第5工程にてそうめん14の茹で上がりに対して約6分の茹で加減で煮るようにした。しかし、そうめん14の茹で加減は、第8工程でそうめん14を凍結させる前において、そうめん14の茹で上がりに対して概ね8分の茹で加減までの範囲で茹でられていれば良く、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。そうめん14の茹で加減は、そうめん14の茹で上がりに対して概ね8分の茹で加減までの範囲内でそうめん14の質、種類、断面形状および太さ、或いは茹でる季節などに応じて適宜決定されるものである。
【0041】
また、上記実施形態においては、茹でたそうめん14と味付けされた鯖11とを鰹や昆布から抽出した出汁を主体とする調味液で煮付けた鯖そうめんを冷凍味付麺食品の対象とした。しかし、冷凍味付麺食品の対象は必ずしも鯖そうめんに限定されるものではなく、他の味付麺料理を冷凍味付麺食品の対象としてもよいことは当然である。例えば、味付けされた焼き鯖に換えて他の魚(例えば、鯛、鰈など)や野菜(例えば、茄子、インゲン豆)、または単に煮付けられ味付けされたのみの魚(例えば、鯖、鯛、鰈など)や野菜(例えば、茄子、インゲン豆)とともにそうめんを煮て調理した味付麺料理を冷凍味付麺食品の対象としてもよい。これらの場合、冷凍味付麺食品の加熱の程度も味付麺料理の内容、消費者の好み、食す季節などに応じて適宜決定すればよい。例えば、上記実施形態における鯖そうめんを0〜10℃の範囲で解凍することにより、冷やし鯖そうめんとしてもよい。ただし、これらの場合においても、最低限、麺と調味液が解凍される程度にまで加熱する必要はある。
【0042】
また、味付麺料理における麺も必ずしもそうめんに限定されるものではなく、他の麺食品、例えば、うどん、そば、ひやむぎ、きしめん、ほうとう麺、中華麺またはマカロニやスパゲッティーなどパスタ類などであってもよい。さらに、また、鯖11などの具材を含まない麺と調味液とからなる味付麺料理であってもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0043】
なお、上記実施形態における各工程の順序は、一例を示したものであって上記実施形態に限定するものではない。例えば、冷凍された調味液12を作る工程を第1工程としてもよいし、そうめん14を茹でるとともに味付けした後に具材である鯖11の調理を行うようにしてもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0044】
また、冷凍鯖そうめん10における容器13の素材、形状および大きさなども上記実施形態に限定されるものではない。例えば、容器13は木製、陶器・磁器製であってもよいし、蓋のない椀形状であってもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷凍鯖そうめんの製造方法における主要な工程の流れを示すフローチャートである。
【図2】冷凍鯖そうめんの横断面の状態を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10…冷凍鯖そうめん、11…鯖、12…調味液、13…容器、14…そうめん。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺を湯で茹で上がりに満たない範囲内で茹でる茹で工程と、
前記麺を第1の調味液で味付けする味付け工程と、
前記味付けされた麺を冷却する冷却工程と、
前記第1の調味液または同第1の調味液とは異なる第2の調味液を凍結させた凍結調味液を作る凍結調味液調理工程と、
前記麺と前記凍結させた第1の調味液または同第1の調味液とは異なる第2の調味液とを容器内に配置する配置工程と、
前記容器内に配置された前記麺を凍結させる麺凍結工程とを含むことを特徴とする冷凍味付麺食品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された冷凍味付麺食品の製造方法において、
前記味付け工程は、前記麺を前記第1の調味液で茹で上がりに満たない範囲内で煮ることを特徴とする冷凍味付麺食品の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載された冷凍味付麺食品の製造方法において、
前記味付け工程は、前記麺を麺の茹で上がりに対して約8分までの範囲内で煮ることを特徴とする冷凍味付麺食品の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した冷凍味付麺食品の製造方法において、さらに、
前記麺とともに食す具材を調理する具材調理工程を含み、
前記配置工程は、前記麺とともに前記具材を前記容器内に配置し、
前記麺凍結工程は、前記具材とともに前記麺を凍結させることを特徴とする冷凍味付麺食品の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載された冷凍味付麺食品の製造方法において、
前記具材調理工程は、前記調理済みの具材を冷却する具材冷却工程を含むことを特徴とする冷凍味付麺食品の製造方法。
【請求項6】
茹で上がりに満たない状態に茹でられ、かつ第1の調味液で味付けされた凍結状態の麺と、
凍結状態の前記第1の調味液または同第1の調味液とは異なる第2の調味液と、
前記凍結状態にある前記麺と前記第1の調味液または前記第2の調味液とを収容する容器とを備えることを特徴とする冷凍味付麺食品。
【請求項7】
請求項6に記載された冷凍味付麺食品において、
前記冷凍状態にある前記麺は、麺の茹で上がりに対して約8分までの範囲内で茹でられていることを特徴とする冷凍味付麺食品。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載した冷凍味付麺食品において、さらに、
前記麺とともに食す冷凍状態の具材を備え、
前記容器は、前記麺および前記第1の調味液または前記第2の調味液に加えて前記具材を収容することを特徴とする冷凍味付麺食品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−142184(P2010−142184A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324817(P2008−324817)
【出願日】平成20年12月20日(2008.12.20)
【出願人】(508353477)株式会社冨久や (1)
【Fターム(参考)】