説明

冷凍機、冷蔵ショーケース及び自動販売機

【課題】
凝縮器が故障したり、凝縮器周辺の外気が高温となった場合であっても、冷媒を十分に冷却し、冷媒中でのフラッシュガスの発生を抑制することができる冷凍機を提供する。
【解決手段】
圧縮機1と、凝縮器2と、凝縮器2で冷却された冷媒をさらに冷却する第1熱交換器3と、第1熱交換器3を通過した冷媒を減圧する第1流量調整手段4及び第2流量調整手段5と、第2流量調整手段5によって減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器6と、第1流量調整手段4を通過した冷媒を駆動流とし、蒸発器6を通過した冷媒を吸引流とし、これらの冷媒を圧縮機1に供給するエジェクタ7と、を含んで構成され、第1熱交換器3は、第1流量調整手段4を通過した冷媒を、エジェクタ7に駆動流として導入される前に、凝縮器2で冷却された冷媒と熱交換させることで、凝縮器2で冷却された冷媒をさらに冷却するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮器で冷却された冷媒を熱交換器でさらに冷却する冷凍機に関し、詳しくは、前記凝縮器で冷却された冷媒を、前記熱交換器で冷却された冷媒と熱交換させて冷却することにより、冷媒中へのガスの混入を抑制することができる冷凍機、並びにこの冷凍機を備えた冷蔵ショーケース及び自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍機として、冷媒を昇圧する圧縮機と、前記圧縮機で昇圧された冷媒を熱交換により放熱させる凝縮器と、前記凝縮器を通過した冷媒を断熱膨張させる第1減圧手段および第2減圧手段と、前記第1減圧手段によって減圧された冷媒と、前記第2減圧手段によって減圧される前の冷媒とを熱交換させる内部熱交換器と、前記第2減圧手段によって減圧された冷媒を熱交換により蒸発させる蒸発器と、前記第1減圧手段および内部熱交換器を通過した冷媒を高圧の一次流体とし、前記内部熱交換器および第2減圧手段を通過した冷媒を低圧の二次流体として、これら一次流体と二次流体とを混合して圧縮機に導入するエジェクタと、を備えたものがあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような冷凍機は、凝縮器を通過した冷媒を、エジェクタの駆動流となる前記一次流体として導入される冷媒と、吸引流となる前記二次流体として導入される冷媒と、の2つに分岐し、前記駆動流側の冷媒を第1減圧手段によって減圧し、前記吸引流側の冷媒と内部熱交換器で熱交換させることにより、前記吸引流側の冷媒を冷却している。このように、従来の冷凍機は、凝縮器を通過した吸引流側の冷媒を内部熱交換器でさらに冷却することにより、冷媒中へのガスの混入を抑制していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の冷凍機においては、凝縮器周辺の外気が高温となったり、凝縮器の性能が低下した場合、凝縮器を通過した冷媒中にガスが混入するおそれがあった。前記冷媒中にガスが混入した場合、管路抵抗の増加により冷媒循環量が減少し、第1減圧手段に流入した冷媒の内部熱交換器における熱交換量が減少する。これにより、エジェクタを駆動する前記一次流体が減少し、エジェクタ効率が低下するおそれがあった。また、前記冷媒による冷却エネルギーが低下するおそれがあった。
【0006】
さらに、前記冷却エネルギーは、内部熱交換器において、前記第2減圧手段に流入する冷媒中に混入したガスを液化するために使用されることとなる。このため、前記第2減圧手段に流入する冷媒の冷却が不十分となるおそれがあった。冷媒の冷却が不十分であると、冷媒の過冷却度が小さくなり、多量のガスが混入した冷媒が蒸発器に流入し、蒸発器での熱交換量を減少させるおそれがあった。
【0007】
以上のような問題により、冷凍機の効率が低下するおそれがあった。このような問題は、二酸化炭素のような液化しない冷媒が使用された場合でも同様に生じるおそれがあった。
【0008】
そこで、このような問題点に対処し、本発明が解決しようとする課題は、凝縮器周辺の外気が高温となったり、凝縮器の性能が低下した場合であっても、凝縮器を通過した冷媒を十分に冷却し、冷媒中へのガスの混入を抑制することができる冷凍機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明による冷凍機は、冷媒を昇圧する圧縮機と、前記圧縮機で昇圧された冷媒を冷却する凝縮器と、前記凝縮器で冷却された冷媒をさらに冷却する第1熱交換器と、前記第1熱交換器を通過した冷媒を減圧する第1流量調整手段及び第2流量調整手段と、前記第2流量調整手段によって減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記第1流量調整手段を通過した冷媒を駆動流とし、前記蒸発器を通過した冷媒を吸引流とし、これらの冷媒を圧縮機に供給するエジェクタと、を含んで構成される。前記第1熱交換器は、前記第1流量調整手段を通過した冷媒を、前記エジェクタに駆動流として導入される前に、前記凝縮器で冷却された冷媒と熱交換させることで、前記凝縮器で冷却された冷媒を冷却する。
【0010】
また、本発明による冷蔵ショーケース及び自動販売機は、本発明による冷凍機により冷却される。
【発明の効果】
【0011】
本発明による冷凍機によれば、凝縮器を通過した冷媒を冷却するための熱交換流体として、凝縮器を通過した後に第1熱交換器でさらに冷却された冷媒を使用するため、第1熱交換器での熱交換量が減少せず、第1熱交換器の熱交換効率の低下を抑制することができる。したがって、凝縮器周辺の外気が高温となったり、凝縮器の性能が低下した場合であっても、凝縮器を通過した冷媒を十分に冷却することが可能となり、第1熱交換器を通過した冷媒中へのガスの混入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による冷凍機の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】前記冷凍機の第1実施形態における冷媒の状態を示すP−h線図である。
【図3】前記冷凍機の第1実施形態のエジェクタを示す断面図である。
【図4】本発明による冷凍機の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図5】前記冷凍機の第2実施形態における冷媒の状態を示すP−h線図である。
【図6】本発明による冷凍機の第3実施形態を示す概略構成図である。
【図7】前記冷凍機の第3実施形態における冷媒の状態を示すP−h線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による冷凍機の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による冷凍機の第1実施形態を示す図である。この冷凍機は、冷凍サイクルを実施するものであって、圧縮機1と、凝縮器2と、第1熱交換器3と、第1流量調整手段4と、第2流量調整手段5と、蒸発器6と、エジェクタ7と、冷媒配管8a〜8hとを備える。この冷凍機は、食品や飲み物を収納する冷蔵ショーケース内を冷却するために使用されているが、自動販売機の機内の冷却のために使用されてもよく、冷蔵庫や空調等のヒートポンプや、エコキュート(登録商標)に使用されてもよい。この冷凍機の冷媒は、代替フロン、二酸化炭素、炭化水素、アンモニア及び空気等、一般に冷媒として使用されている単冷媒が使用される。なお、冷媒として、複数種類の冷媒を混合した混合冷媒が使用されてもよい。以下、本発明による冷凍機の冷媒が、気化及び液化する冷媒の場合について説明する。
【0014】
前記圧縮機(コンプレッサ)1は、気体冷媒を圧縮して高温高圧となった冷媒を吐出するものであって、冷媒配管8a,8hが接続されている。この圧縮機1は、モーターやエンジン(図示省略)により駆動される。
【0015】
この圧縮機1により気体冷媒が断熱圧縮されて昇圧されると、冷媒の状態は、図2に示すように、等エントロピー線Aに沿ってhからaまで移動する。
【0016】
前記圧縮機1に対して冷媒進行の下流側(以下単に「下流側」という。)には、図1に示すように、凝縮器(コンデンサ)2が設けられている。この凝縮器2は、圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒を外気と熱交換させて冷却し、液冷媒にする熱交換器であって、冷媒配管8a,8bが接続されている。凝縮器2は、ファン21を備えており、ファン21により送風することで冷媒と外気との熱交換を促進させることができる。なお、凝縮器2は、冷媒を冷却可能であればよく、外気との熱交換に限らず、熱交換流体やその他の方法によるものでもよい。
【0017】
この凝縮器2により冷媒が冷却されると、冷媒の状態は、図2に示すように、等圧力線Bに沿ってaからbまで移動する。冷媒が混合冷媒である場合には、冷媒の状態は、等圧力線Bから上下にずれて移動する。この際の等圧力線Bからのずれは、混合された冷媒の種類や混合の割合に応じて変化する。凝縮器2が正常に動作している場合、冷媒は過冷却液となり、前記bは、飽和液線αより左側の領域にプロットされる。
【0018】
前記凝縮器2の下流側には、図1に示すように、第1熱交換器3が設けられている。この第1熱交換器3は、凝縮器2を通過した冷媒をさらに冷却するためのカスケード熱交換器(内部熱交換器)であって、冷媒配管8b〜8eが接続されている。凝縮器2を通過した冷媒は、冷媒配管8bから第1熱交換器3に流入し、第1熱交換器3で熱交換により冷却され、冷媒配管8cに流出する。
【0019】
この第1熱交換器3により冷媒が冷却されると、冷媒の状態は、図2に示すように、等圧力線Bに沿ってbからcまで移動する。したがって、凝縮器周辺の外気が高温となったり、凝縮器の性能が低下することにより、凝縮器2を通過した冷媒が十分に冷却されなかった場合であっても、冷媒を確実に過冷却液にすることができる。したがって、第1熱交換器3を通過し、冷媒配管8cに流出した冷媒中における、ガスの混入を抑制することができる。また、冷媒が過冷却液となっているため、後述するエジェクタ7の駆動流となる冷媒の減少を抑制でき、エジェクタ7の効率の低下を防止することができる。さらに、この冷媒による、第1熱交換器3における冷却エネルギーの低下を抑制することができる。
【0020】
前記第1熱交換器3の下流側に接続された前記冷媒配管8cは、図1に示すように、冷媒配管8cと冷媒配管8cとに分岐している。冷媒配管8cの下流側には第1流量調整手段4が、冷媒配管8cの下流側には第2流量調整手段5が設けられている。この第1流量調整手段4及び第2流量調整手段5は、前記第1熱交換器3を通過した冷媒を、流量を調整することにより減圧する。第1流量調整手段4には冷媒配管8c,8dが、第2流量調整手段5には冷媒配管8c,8fが接続されている。この第1流量調整手段4及び第2流量調整手段5は、冷媒を減圧可能であればよく、例えば、減圧弁、膨張弁又はキャピラリチューブ等を使用してもよい。
【0021】
第1熱交換器3を通過した冷媒は、この冷媒配管8c及び8cに分岐して流入する。冷媒配管8cに流入した冷媒は第1流量調整手段4に流入して減圧される。冷媒配管8cに流入した冷媒は第2流量調整手段5に流入して減圧される。
【0022】
第1流量調整手段4により冷媒が減圧されると、冷媒の状態は、図2に示すように、等比エンタルピー線Cに沿ってcからdまで移動する。また、第2流量調整手段5により冷媒が減圧されると、冷媒の状態は、等比エンタルピー線Dに沿ってcからfまで移動する。
【0023】
第1流量調整手段4により減圧された冷媒は、図1に示すように、冷媒配管8dを通り、再び第1熱交換器3に流入し、凝縮器2を通過して冷媒配管8bから流入した冷媒を冷却するための熱交換流体として使用される。これにより、冷媒は熱を得て気化し、凝縮器2を通過して冷媒配管8bから流入した冷媒は、熱を奪われて冷却される。
【0024】
このように、凝縮器2を通過した冷媒を冷却するための熱交換流体として、凝縮器2で冷却され、さらに第1熱交換器3で冷却された、ガスを含まない冷媒が使用されるため、第1熱交換器3の熱交換効率の低下を抑制することができる。したがって、凝縮器2が故障したり、凝縮器2の周辺の外気が高温となることにより、凝縮器2を通過した冷媒中にガスが混入した場合であっても、凝縮器2を通過した冷媒を第1熱交換器3により十分に冷却することが可能となり、第1熱交換器3を通過した冷媒中へのガスの混入を抑制することができる。
【0025】
第1熱交換器3で冷媒が気化すると、気化した冷媒の状態は、図2に示すように、等圧力線Eに沿ってdからeまで移動する。冷媒は過熱蒸気となり、eは飽和蒸気線βより右側の領域にプロットされる。
【0026】
前記第2流量調整手段5の下流側には、図1に示すように、蒸発器(エバポレータ)6が設けられている。この蒸発器6は、第2流量調整手段5によって減圧された冷媒を蒸発させ、熱を奪うことにより冷蔵ショーケース9のショーケース内を冷却するものであって、冷媒配管8f,8gが接続されている。
【0027】
蒸発器6により冷媒が気化すると、冷媒の状態は、図2に示すように、等圧力線Fに沿ってfからgまで移動する。冷媒は過熱蒸気となり、gは飽和蒸気線βより右側の領域にプロットされる。
【0028】
前記蒸発器6の下流側かつ前記第1熱交換器3の下流側には、図1に示すように、エジェクタ7が設けられている。このエジェクタ7は、前記第1熱交換器3を通過した気体冷媒及び前記蒸発器6を通過した気体冷媒を、混合して前記圧縮機1に供給するものであって、図3に示すように、ノズル71と、吸引部72と、混合部73と、ディフューザ74とを含んで構成される。
【0029】
ノズル71は、差圧を発生させるための駆動流の導入口であり、冷媒配管8eと接続されている。前記第1熱交換器3を通過した気体冷媒は、冷媒配管8eを通ってノズル71から駆動流として導入される。この駆動流は、ノズル71により加速され、減圧される。
【0030】
この減圧により生じた差圧により、吸引部72から吸引流が導入される。この吸引部72は、吸引流を導入するための導入口であり、冷媒配管8gと接続されている。蒸発器6を通過した気体冷媒は、冷媒配管8gを通って吸引部72から吸引流として導入される。
【0031】
上記駆動流及び吸引流は、混合部73で混合される。混合部73で混合された駆動流と吸引流とは、昇圧されてディフューザ74に送られる。
【0032】
上記混合された冷媒は、混合部73から下流側に向けて径が拡大するように形成されたディフューザ74で減速され、さらに昇圧される。このディフューザ74は、冷媒配管8hと接続されており、昇圧された冷媒は、冷媒配管8hを通じて圧縮機1に供給される。このように、エジェクタ7を使用することにより、成績係数(COP:coefficient of performance)を向上させることができる。
【0033】
エジェクタ7から冷媒が吐出されると、冷媒の状態は、図2に示すように、hの状態となる。冷媒はその後、再び前記圧縮機1に供給され、上記の冷凍サイクルを繰り返す。
【0034】
次に、本発明による冷凍機の第2実施形態を図4,5に基づいて説明する。
図4に示すように、この冷凍機は、第1熱交換器3と第1流量調整手段4との間に、第2熱交換器10をさらに備える。この第2熱交換器10は、第1熱交換器3で冷却された冷媒と冷蔵ショーケース9のショーケース内の空気とを熱交換させるものであって、冷蔵ショーケース9内に設けられ、冷媒配管8c,8iが接続されている。
【0035】
第1熱交換器3で冷却され、冷媒配管8cを通じて流入した冷媒は、第2熱交換器10でショーケース内の空気と熱交換されて熱を得る。これにより、冷媒の状態は、図5に示すように、等圧力線Bに沿ってcからiまで移動する。この際、第2熱交換器10での熱交換量は、冷媒が過冷却液の状態を維持できる範囲内で任意に設定される。
【0036】
第2熱交換器10で熱を得た冷媒は、図4に示すように、冷媒配管8iを通じて第1流量調整手段4に供給され、減圧された後、第1熱交換器3で熱交換流体として使用される。第1流量調整手段4で減圧されることにより、冷媒の状態は、図5に示すように、等比エンタルピー線Cに沿ってiからdまで移動する。
【0037】
このように、第1熱交換器3で熱交換流体として使用される冷媒に、事前に熱を与えることによって、第1流量調整手段4での膨張エネルギーを増加させることができ、第1熱交換器3における熱交換効率を向上させることができる。
【0038】
また、第2熱交換器10の周辺の空気は、冷媒によって熱を奪われ、冷却される。したがって、冷蔵ショーケース9のショーケース内の冷却効率を向上させることができる。
【0039】
さらに、本発明による冷凍機の第3実施形態を図6,7に基づいて説明する。
図6に示すように、この冷凍機は、前記第2熱交換器10を備え、さらに第1流量調整手段4と第1熱交換器3との間に第3熱交換器11をさらに備える。この第3熱交換器11は、第2熱交換器10で熱を得た冷媒を2つに分岐し、分岐した一方の冷媒と他方の冷媒との間で熱交換する内部熱交換器であって、冷媒配管8d,8i,8j,8kが接続されている。
【0040】
冷媒配管8iは、冷媒配管8iと冷媒配管8iとに分岐しており、第2熱交換器10で熱を得た冷媒は、上記2本の冷媒配管8i,8iに分岐して流入する。冷媒配管8iに流入した冷媒は、前記第3熱交換器11で冷却され、冷媒配管8kを通じて第2流量調整手段5に供給される。
【0041】
冷媒配管8iに流入した冷媒が第3熱交換器11で冷却されると、冷媒の状態は、図7に示すように、等圧力線Bに沿ってiからkまで移動する。この冷媒が第2流量調整手段5により減圧されると、冷媒の状態は、等比エンタルピー線Dに沿ってkからfまで移動する。
【0042】
冷媒配管8iに流入した冷媒は、図6に示すように、第1流量調整手段4により減圧され、冷媒配管8dを通じて第3熱交換器11に流入する。第1流量調整手段4により冷媒が減圧されると、冷媒の状態は、図7に示すように、等比エンタルピー線Cに沿ってiからdまで移動する。
【0043】
この冷媒が第3熱交換器11に流入すると、冷媒配管8iから流入した冷媒を冷却するための熱交換流体として使用される。これにより、冷媒の少なくとも一部が気化し、冷媒の状態は、図7に示すように、等圧力線Eに沿ってdからjまで移動する。この際、第3熱交換器11での熱交換量は、冷媒が湿り飽和蒸気の状態を維持できる範囲内で任意に設定される。
【0044】
前記第3熱交換器11を通過した冷媒は、図6に示すように、冷媒配管8jを通じて第1熱交換器3に流入し、前記凝縮器2を通過した冷媒を冷却するための熱交換流体として使用され、冷媒配管8eから流出する。これにより、冷媒の状態は、図7に示すように、等圧力線Eに沿ってjからeまで移動する。
【0045】
なお、本発明による冷凍機において、蒸発器6を複数備える構成とし、この複数の蒸発器6をそれぞれ異なった冷蔵ショーケース9内に設けるようにしてもよい。このように構成することで、1つの冷凍機により複数の冷蔵ショーケース9を冷却することができる。
また、エジェクタ7と圧縮機1との間に、エジェクタ7から吐出された冷媒を気体と液体に分離する気液分離器(図示省略)を設けてもよい。これにより、冷凍機の一部が故障し、エジェクタ7から吐出される冷媒に液冷媒が含まれるようになった場合であっても、液冷媒が圧縮機1に流入するのを防止することができる。
【0046】
また、本発明による冷凍機において、二酸化炭素等のように液化しない冷媒が使用された場合であっても、同様の効果を奏する。このばあい、冷媒は液冷媒とならず、超臨界流体となる場合がある。
【0047】
さらに、本発明による冷蔵ショーケース及び自動販売機の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
本発明による冷蔵ショーケース9は、本発明による冷凍機によってショーケース内部の空気を冷却し、収納された食品や飲み物等を冷却した状態で保管する。この冷蔵ショーケース9は、前記冷凍機の構成のうち、少なくとも前記蒸発器6を備える。必要に応じて冷凍機の他の構成を備えてもよく、冷凍機全てを備えてもよい。
【0048】
このように、冷蔵ショーケース9は、本発明による冷凍機によって冷却されるため、冷凍機の凝縮器が故障等した場合であっても、確実にショーケース内を冷却することができる。
【0049】
また、本発明による自動販売機は、本発明による冷凍機によって内部の空気を冷却し、収納された食品や飲み物等を冷却した状態で保管するものである。この自動販売機は、前記冷凍機の構成のうち、少なくとも前記蒸発器6を備える。必要に応じて冷凍機の他の構成を備えてもよく、冷凍機全てを備えてもよい。
【0050】
このように、自動販売機は、本発明による冷凍機によって冷却されるため、冷凍機の凝縮器が故障等した場合であっても、確実に内部を冷却することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…圧縮機
2…凝縮器
21…ファン
3…第1熱交換器
4…第1流量調整手段
5…第2流量調整手段
6…蒸発器
7…エジェクタ
8a〜8h,8c,8c,8i,8i…冷却配管
9…冷蔵ショーケース
10…第2熱交換器
11…第3熱交換器
A…等エントロピー線
B,E,F…等圧力線
C,D…等比エンタルピー線
α…飽和液線
β…飽和蒸気線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を昇圧する圧縮機と、
前記圧縮機で昇圧された冷媒を冷却する凝縮器と、
前記凝縮器で冷却された冷媒をさらに冷却する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器を通過した冷媒を減圧する第1流量調整手段及び第2流量調整手段と、
前記第2流量調整手段によって減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記第1流量調整手段を通過した冷媒を駆動流とし、前記蒸発器を通過した冷媒を吸引流とし、これらの冷媒を圧縮機に供給するエジェクタと、
を含んで構成され、
前記第1熱交換器は、前記第1流量調整手段を通過した冷媒を、前記エジェクタに駆動流として導入される前に、前記凝縮器で冷却された冷媒と熱交換させることで、前記凝縮器で冷却された冷媒を冷却することを特徴とする冷凍機。
【請求項2】
前記第1熱交換器と前記第1流量調整手段との間に、第2熱交換器をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍機。
【請求項3】
前記第1流量調整手段と前記第2流量調整手段とは、減圧弁又は膨張弁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍機。
【請求項4】
前記エジェクタと前記圧縮機との間に、エジェクタを通過した冷媒を気体冷媒と液冷媒とに分離する気液分離手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷凍機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍機により冷却されることを特徴とする冷蔵ショーケース。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍機により冷却されることを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−88032(P2013−88032A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229219(P2011−229219)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)