冷凍装置の運転制御装置
【目的】 冷凍装置の利用側熱媒体の利用側熱交換器出口温度の制御の追随性と安定性とを向上させる。
【構成】 多段ステップ調節形圧縮機1と、利用側熱交換器4とを設け、圧縮機の各ロ―ドステップに対応する入口温度と出口温度との対応媒体温度差を記憶手段9bに記憶させる。入口基準容量制御手段52により、圧縮機の容量を、入口温度と出口設定温度との温度差が最も近い対応媒体温度差に対応するロードステップに制御する。また、出口基準容量制御手段51により、ホールド領域ではロードを維持し、アップ領域ではロードアップし、ロードダウン領域ではロードダウンする制御をしながら、入口温度と出口設定温度との温度差が、そのロ―ドステップにおける対応媒体温度差よりも大きいときには、入口基準容量制御手段52の制御によって、圧縮機1の容量を強制的に増大させることもできる。
【構成】 多段ステップ調節形圧縮機1と、利用側熱交換器4とを設け、圧縮機の各ロ―ドステップに対応する入口温度と出口温度との対応媒体温度差を記憶手段9bに記憶させる。入口基準容量制御手段52により、圧縮機の容量を、入口温度と出口設定温度との温度差が最も近い対応媒体温度差に対応するロードステップに制御する。また、出口基準容量制御手段51により、ホールド領域ではロードを維持し、アップ領域ではロードアップし、ロードダウン領域ではロードダウンする制御をしながら、入口温度と出口設定温度との温度差が、そのロ―ドステップにおける対応媒体温度差よりも大きいときには、入口基準容量制御手段52の制御によって、圧縮機1の容量を強制的に増大させることもできる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍負荷に応じて圧縮機の容量を複数のステップに制御するようにした冷凍装置の運転制御装置に係り、特に、制御の安定性及び追随性の向上対策に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開昭59―185931号公報に開示される如く、複数のステップに調節可能な圧縮機を備えた空気調和装置において、室内の空気温度をその設定温度と所定の設定時間毎に比較して、設定温度付近のホ―ルド領域ではキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域ではロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域ではロ―ドダウン信号をそれぞれ出力し、その指令信号に応じて圧縮機の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する一方、装置の起動時のみ指令信号を出力するための設定時間を短くするよう変更することにより、室内温度を快適な温度範囲に維持しようとするものは公知の技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えばチラ―回路の冷却液を蒸発器で冷媒との熱交換により冷却するようにした冷凍装置に対しても、上記従来のもののように、圧縮機の運転容量を冷却液温度と設定温度との差温値に応じて増減調節することにより、冷却液温度を設定温度付近に維持することができるが、その場合、圧縮機の容量を増減調節する周期である設定時間は、長すぎると追随性が悪化し、短すぎると安定性が悪化するので、制御の安定性と追随性とのバランスをとって定められている。
【0004】しかしながら、そのように一定の周期で圧縮機の容量制御を行う場合、以下のような問題があった。
【0005】第1に、運転開始直後のプルダウン運転時に1ステップずつしかロ―ドアップしないので、圧縮機の容量が100%に到達するまでに時間が係り、そのためプルダウン時間が長くなる。
【0006】第2に、急激に負荷が増減変化した場合、すぐには負荷に見合ったステップまでロ―ド変化できないので温度制御の追随性がよくない。
【0007】第3に、チラ―回路の保有水量が多いときには、制御の応答が遅れ気味となるので、サンプリング時間が相対的に短すぎることになって、ホ―ルド領域から外れたときに圧縮機の容量が必要以上に頻繁に変更されるので、アップ領域で高容量になる結果、変動幅が過大になる虞れがあった。一方、チラ―回路の保有水量が少ないときには、制御の応答が速いので、サンプリング時間が相対的に長すぎることになって、追随性が悪化し、ホ―ルド領域からのオ―バ―シュ―トが過大になる虞れがあった。
【0008】本発明は、上述のような諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御される熱媒体温度の変化パタ―ンに応じて通常制御によるロ―ド変化とは異なる制御を行うことにより、制御の追随性の向上を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明の講じた手段は、図1に示すように(破線部分を含まず)、運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置を前提とする。
【0010】そして、冷凍装置の運転制御装置として、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の入口温度を検出する入口温度検出手段(Thi)と、該入口温度検出手段(Thi)及び上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、上記圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における上記利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶する記憶手段(9b)と、上記記憶手段(9b)の記憶内容に基づき、圧縮機(1)のロードステップを、上記入口温度検出手段(Thi)で検出される入口温度と出口設定温度との温度差に最も近い対応媒体温度差に対応するロードステップにするよう制御する入口基準容量制御手段(52)とを設ける構成としたものである。
【0011】請求項2の発明の講じた手段は、図2に示すように(破線部分を含まず)、上記請求項1の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、請求項1の発明と同様の出口温度検出手段(Tho)と、入口温度検出手段(Thi)と、記憶手段(9b)とを設ける。
【0012】さらに、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(8)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)と、上記入口温度検出手段(Thi)の出力を受け、入口温度と上記出口設定温度との温度差が上記記憶手段(9b)に記憶される各ロ―ドステップの高容量側のロ―ドステップにおける対応媒体温度差よりも高負荷側にあるときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を停止させて、ただちに当該高容量側のロ―ドステップまで上記圧縮機(1)の容量を増大させるよう変更する入口基準容量制御手段(52A)とを設ける構成としたものである。
【0013】請求項3の発明の講じた手段は、上記請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、上記請求項2の発明と同様の出口温度検出手段(Tho)と、信号出力手段(8)と、出口基準容量制御手段(51)と、入口温度検出手段(Thi)と、記憶手段(9b)とを設け、さらに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、あるロードステップにおける出口温度と出口設定温度との差温が上記記憶手段(9b)に記憶される高容量側のロードステップにおける対応媒体温度差と当該ロードステップにおける対応媒体温度差との偏差よりも大きいときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて圧縮機(1)の容量を当該高容量側のロ―ドステップまで変更させる入口基準容量制御手段(52B)とを設けたものである。
【0014】請求項4の発明の講じた手段は、上記請求項1,請求項2又は2の発明において、記憶手段(9b)を、利用側熱媒体の出口温度が出口設定温度に近いときに記憶するように構成したものである。
【0015】請求項5の発明の講じた手段は、上記請求項1,2,3又は4の発明において、図1又は図2の破線部分に示すように、入口温度検出手段(Thi)及び出口温度検出手段(Tho)により複数回検出された利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差の平均値を演算する演算手段(53)を設け、記憶手段(9b)を該演算手段(53)で演算された利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差の平均値を対応媒体温度差として記憶するように構成したものである。
【0016】請求項6の発明の講じた手段は、図3に示すように(破線部分を含まず点線部分を含む)、上記請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、請求項2の発明と同様の上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、信号出力手段(8)と、出口基準容量制御手段(51)とを設け、さらに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷減小方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値からホ―ルド領域の上端値に達するまでの降下時間を計測する降下時間計時手段(TM3)と、該降下時間計時手段(TM3)で計測される上記下降時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ低減させる強制容量低減手段(55)とを設ける構成としたものである。
【0017】請求項7の発明の講じた手段は、図3に示すように(点線部分を含まず破線部分を含む)、上記請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、請求項2の発明と同様の出口温度検出手段(Tho)と、信号出力手段(8)と、出口基準容量制御手段(51)とを設け、さらに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷増大方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値からホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値に達するまでの上昇時間を計測する上昇時間計時手段(TM4)と、該上昇時間計時手段(TM4)で計測される上記上昇時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ増大させる強制容量増大手段(56)とを設ける構成としたものである。
【0018】請求項8の発明の講じた手段は、上記請求項6の発明に加えて、請求項7の発明と同様の上昇時間計時手段(TM4)と、強制容量増大手段(56)とを設けたものである。
【0019】請求項9の発明の講じた手段は、図13に示すように、請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、請求項2の発明と同様の出口温度検出手段(Tho)と、上信号出力手段(8)と、出口基準容量制御手段(51)とを設け、さらに、利用側熱媒体の出口温度が定常の変化パタ―ンを繰り返す条件下において、出口温度の負荷減小方向への変化時、出口温度がホ―ルド領域を越えて、ホ―ルド領域の下端値よりも所定値だけ低負荷側に設定されたオ―バ―シュ―ト値に達した後、負荷増大方向に変化してアップ領域に達したときには、圧縮機(1)の最大ロ―ドをオ―バ―シュ―ト値に達する前のホ―ルド領域におけるロ―ドステップよりも1ステップだけ低減させるパタ―ン変更手段(58)を設けたものである。
【0020】請求項10の発明の講じた手段は、図15に示すように、請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを、ロード変化した運転状態が安定する最小時間程度に短く設定された設定時間毎に比較して、出口設定温度のごく近辺に設けられた狭幅のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(9b)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを設ける。
【0021】さらに、ダウン領域において圧縮機(1)の容量が最小ロードのときには、利用側熱媒体の出口温度が上記ホールド領域の下端から一定温度低い下限制御点に達するまで、上記出口基準容量制御手段(51)による圧縮機(1)のロードダウンを禁止するロードダウン禁止手段(59)を設けたものである。
【0022】
【作用】以上の構成により、請求項1の発明では、記憶手段(9b)に圧縮機(1)のロードステップとこれに対する入口温度−出口温度間の対応媒体温度差との関係が記憶され、この記憶内容に基づいて、入口基準容量制御手段(52)により、圧縮機(1)の容量が、入口温度と出口設定温度との温度差に最も近い対応媒体温度差を生ぜしめるロードステップにするよう制御される。すなわち、そのときの入口温度から圧縮機(1)のロードステップを変更したときに予想される出口温度が出口設定温度に近付くように制御される。
【0023】したがって、利用側熱媒体の流量が少ない条件下でも、その流量に応じたロードステップと対応媒体温度差との関係に基づき、出口温度が設定温度に近付くよう制御されるので、圧縮機(1)の発停が少なくなり、制御のハンチング状態が回避され、制御の精度及び安定性が向上することになる。
【0024】請求項2の発明では、冷凍装置の運転時、信号出力手段(8)により、出口温度検出手段(Tho)で検出される利用側熱媒体の利用側熱交換器(4)出口温度がその出口設定温度と設定時間毎に比較され、出口設定温度との差温に応じてロ―ドアップ信号、ロ―ドダウン信号又はキ―プ信号が出力され、出口基準容量制御手段(51)により、その信号に応じて圧縮機(1)のロ―ドステップが増減調節されて、利用側熱媒体の出口温度を設定温度付近に維持するよう制御される。
【0025】そのとき、設定時間毎に1ステップずつ圧縮機(1)のロ―ドステップの変更を行っていたのでは、外部条件の変化等により急激に負荷が変動すると制御の時間遅れが生じることがあるが、本発明では、入口温度検出手段(Thi)で検出される利用側熱媒体の利用側熱交換器(4)の入口温度と出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度との温度差について、圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における値が対応媒体温度差として記憶手段(9b)に記憶され、強制容量増大手段(52A)により、利用側熱媒体の入口温度と出口設定温度との温度差が、記憶手段(9b)に記憶されるいずれかのロ―ドステップの対応媒体温度差よりも大きいときには、出口基準容量制御手段(51)による制御を待つことなくただちに圧縮機(1)の容量増大が行われる。したがって、当該冷凍装置の特性を考慮して判断される適正なロ―ドステップに変更され、制御精度の向上を図りつつ、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間が短縮され、かつ制御の追随性が向上することになる。
【0026】請求項3の発明では、出口基準容量制御手段(51)により、上記請求項2の発明と同様の定常状態における圧縮機(1)の容量調節が行われる。そのとき、負荷が急激に増減して、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度との差温が、高容量側のロードステップにおける対応媒体温度差と当該ロードステップにおける対応媒体温度差との偏差よりも大きくなったときには、強制容量増大手段(52B)により、上記出口基準容量制御手段(51)の制御が強制的に停止され、圧縮機(1)のロ―ドが当該高容量側のロ―ドステップに変更されるので、急激な負荷の変化に対して制御遅れを招くことなく冷凍能力の制御が行われる。したがって、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間が短縮されるとともに、利用側熱媒体の出口温度のホ―ルド領域からのオ―バ―シュ―トが抑制されることになる。
【0027】請求項4の発明では、上記請求項2又は2の発明において、記憶手段(9b)により、利用側熱媒体の出口温度が出口設定温度に近いときにおける入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶するようにしたので、出口温度に大きく影響される冷凍装置の性能が略等しい条件下で対応媒体温度差が求められることになる。
【0028】請求項5の発明では、演算手段(53)により、入口温度検出手段(Thi)及び出口温度検出手段(Tho)により複数回検出された入口温度と出口温度との温度差が平均され、その平均値が対応媒体温度差として記憶手段(9b)に記憶されるので、外気温度や利用側熱媒体温度の変化で冷凍装置の性能が変化してもその影響を受けることがなく、また、負荷が急激に変動したときにも制御応答の遅れに起因する検出値のバラツキが均され、制御精度が著しく向上することになる。
【0029】請求項6の発明では、信号出力手段(8)及び出口基準容量制御手段(51)により、上記請求項2の発明と同様に、圧縮機(1)の容量が利用側熱媒体の出口温度に応じて増減調節される。
【0030】そして、下降時間計時手段(TM3)により、利用側熱媒体の出口温度が上限値からホ―ルド領域の上端値に達するまでに要する下降時間が計測され、この下降時間が一定時間よりも短いときには、強制容量低減手段(55)により、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ低減するよう制御される。すなわち、利用側熱媒体の出口温度が負荷減小方向に変化しているときに、負荷が急激に減小したときにも、負荷の急激な減小が下降時間から検知され、予め圧縮機(1)の容量が低減されるので、出口温度の下降速度が緩やかとなり、出口温度がホ―ルド領域から低負荷側に大きく外れるようなオ―バ―シュ―トの発生が未然に防止されることになる。
【0031】請求項7の発明では、上昇時間計時手段(TM4)により計測される出口温度がホ―ルド領域の上端値を越えてから上限値に達するまでに要する上昇時間が一定時間よりも短いときには、強制容量増大手段(56)により、出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させてただちに圧縮機(1)の容量を1ステップ増大させるよう制御される。すなわち、すなわち、利用側熱媒体の出口温度が負荷増大方向に変化しているときに、負荷が急激に増大したときにも、負荷の急激な増大が上昇時間から検知され、予め圧縮機(1)の容量が増大されるので、出口温度の上昇速度が緩やかとなり、出口温度がホ―ルド領域から高負荷側に大きく外れるようなオ―バ―シュ―トの発生が未然に防止されることになる。
【0032】請求項8の発明では、負荷の急激な減小又は増大が生じたときにも、強制容量低減手段(55)と強制容量増大手段(56)とにより、上記請求項6及び7の発明の作用が併せて得られることになる。
【0033】請求項9の発明では、信号出力手段(8)及び出口基準容量制御手段(51)により、上記請求項2の発明と同様に圧縮機(1)の容量が増減調節される。そのとき、出口温度が定常の変化パタ―ンを繰り返すような条件下で、出口温度がホ―ルド領域から負荷減小方向に変化してオ―バ―シュ―ト限界値に達した後、ふたたび負荷増大方向に変化してアップ領域に達したときには、パタ―ン変更手段(58)により、圧縮機(1)のロ―ドステップの最大値がオ―バ―シュ―ト限界値に達する前のロ―ドステップよりも1ステップだけ低減するように制御されるので、その後出口温度が緩やかに低負荷側に変化して、ホ―ルド領域を通過しても、オ―バ―シュ―ト限界値に達することなくふたたびホ―ルド領域側に戻る。したがって、利用側熱媒体の出口温度の変動範囲が小さくなり、利用側熱媒体の保有量如何に拘らず、制御が安定することになる。
【0034】請求項10の発明では、ホールド領域がごく狭い範囲に設定され、サンプリング時間がロード変化した運転状態が安定する最小時間程度にできるだけ短く設定されているので、急激な温度変化に対する追随性が向上するとともに、ロードダウン禁止手段(59)により、ダウン領域において最小ロードのときには、出口温度が下限制御点を越えるまでは圧縮機(1)のロードダウンつまり停止が禁止されるので、追随性の向上に伴う圧縮機(1)の頻繁な停止が回避され、制御の安定性が確保されることになる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0036】まず、請求項1、4および5の発明に係る第1実施例について、図4および図5に基づき説明する。図4は第1実施例における冷凍装置およびチラー回路の配管系統を示し、機械等の冷却液(水)が循環するチラ―回路(C)と、該チラ―回路(C)の冷却液を冷却するための冷凍装置(A)とが配置されている。該冷凍装置(A)は、圧縮機(1)と、熱源側熱交換器である凝縮器(2)と、減圧弁(3)と、蒸発器として機能し、制御対象としてのチラ―回路(C)の冷却液(利用側熱媒体)を冷却する利用側熱交換器である冷却器(4)とを備えていて、上記各機器(1)〜(4)をそれぞれ冷媒配管で接続してなる冷媒回路(5)が構成されている。
【0037】すなわち、冷凍装置(A)の運転時、圧縮機(1)から吐出された冷媒が凝縮器(2)で凝縮され、減圧弁(3)で減圧されて、冷却器(4)で蒸発した後、圧縮機(1)に戻るように循環することにより、冷却器(4)で冷媒との熱交換によりチラ―回路(C)の冷却液を冷却するようになされている。
【0038】ここで、上記圧縮機(1)は、図示しないがアンロ―ド機構又はインバ―タにより、その運転容量が定格容量の25,50,75,100%の4ステップに調節可能になされている。
【0039】そして、上記チラー回路(C)の冷却器(4)入口側の水配管には冷却液の入口温度Ti を検出する入口温度検出手段としての入口センサ(Thi)が配置され、チラー回路(C)の冷却器(4)出口側の水配管には冷却液の出口温度To を検出する出口温度検出手段としての出口センサ(Tho)が配置されている。
【0040】また、上記冷凍装置(A)には運転を制御するためのコントロ―ラ(9)が配置されており、該コントロ―ラ(9)には、CPU(9a)と、記憶手段としての記憶装置(9b)とが配設され、さらに、上記入口センサ(Thi)及び出口センサ(Tho)がそれぞれ信号線を介して接続されている。
【0041】ここで、上記コントロ―ラ(9)の制御内容について、図5のフロ―チャ―トに基づき説明する。図5は、25%ロ―ド運転中における冷却液の入口温度Tiと出口温度To との温度差(Ti −To )を媒体温度差ΔT25として記憶するための制御内容を示し、ステップST1で、上記出口センサ(Tho)で検出される冷却液の出口温度To が、安定領域の上限である第1設定温度Ts1と下限である第2設定温度Ts2との間になるまで待って、ステップST2で、後述の温度差Tn (n =1,2,3 )の更新を行い、ステップST3で、T1 =Ti −To として媒体温度差の演算をした後、ステップST4で、ΔT25=(T1 +T2 +T3 )/3として3回演算した値T1 ,T2 ,T3 の平均値を算出する。そして、ステップST5で、サンプリングタイムx秒が経過するまで待って、上記ステップST1に戻る。そして、上記の制御で得られた平均値ΔT25を対応媒体温度差として上記記憶装置(9b)に記憶するようになされている。なお、50%ロ―ド運転、75%ロ―ド運転、100%ロ―ド運転についても、上述と同じ手順により、対応媒体温度差ΔT50,ΔT75,ΔT100 が算出され、例えば、ΔT25=1.25(℃)、ΔT50=2.5(℃)、ΔT75=3.75(℃)、ΔT100 =5(℃)として、記憶装置(9b)に記憶するようになされている。
【0042】なお、チラー回路(C)の水量が異なると、同じ圧縮機(1)のロードステップに対応する対応媒体温度差ΔTnの値も変わってくるが、上記フローを絶えず繰り返すことで、そのときの水量における対応媒体温度差ΔTnの値が求められる。
【0043】上記フローにおいて、ステップST1からST2〜ST4に移行する制御により、請求項4の発明にいう記憶手段(9b)の機能が構成され、ステップST4の制御により、請求項5の発明にいう演算手段(53)が構成されている。
【0044】そして、上述の制御により求められた圧縮機(1)のロードステップと対応媒体温度差ΔTn(n=25,50,75,100)との関係は、例えば下記表1のごとく、上記記憶装置(9b)に記憶されている。
【0045】
【表1】
そして、上記コントローラ(9)により、この記憶内容に基づき、圧縮機(1)のロードステップが制御される。例えば現在50%ロードで、出口設定温度Tsが7℃のときに、入口温度To が13℃であったとすると、入口温度To と出口設定温度Tsとの温度差は、13−7=6(℃)となる。この温度差(6℃)に最も近い対応媒体温度差ΔTnは上記表1から6℃であり、そのときのロードステップは75%である。そこで、圧縮機(1)の容量を75%ロードに制御することにより、予測される出口温度To を設定出口温度Tsに最も近付けるようにしている。この制御により、請求項1の発明にいう入口基準容量制御手段(52)が構成されている。
【0046】したがって、上記第1実施例では、予め記憶装置(9b)に圧縮機(1)のロードステップとこれに対する入口温度Ti と出口温度To との温度差(対応媒体温度差ΔTn)との関係が記憶されており、この記憶内容に基づいて、入口基準容量制御手段(52)により、圧縮機(1)の容量が、入口温度Ti と出口設定温度Tsとの温度差に最も近い対応媒体温度差ΔTnを生ぜしめるロードステップにするよう制御される。すなわち、そのときの入口温度Ti から圧縮機(1)のロードステップを変更したときに予想される出口温度To が出口設定温度Tsに近付くように制御される。
【0047】ここで、単に出口温度To をサーモ制御するようしたものでは、水量が少ないときには、サンプリング中に温度が下がって停止することがしばしばあり、そのため、制御がハンチング状態となる虞れがある。一方、ハンチングを防止するにはディファレンシャルを大きくする必要があるが、反面ディファレンシャルを大きくすることで、ホールド領域の上限付近の設定温度Tsとは離れた温度で安定する虞れが生じる。したがって、運転状態によっては、水温を設定温度Tsに安定させることが困難となる。
【0048】それに対し、上記第1実施例では、そのときの水量に応じて記憶されるロードステップと入口温度Ti −出口温度To 間の対応媒体温度差ΔTnとの関係に基づいて、圧縮機(1)のロードステップが選択されるので、少ない水量範囲でも、出口温度To が設定温度Tsに近付くよう制御されることになる。したがって、圧縮機(1)の発停が少なくなり、制御のハンチング状態が回避され、水温制御の精度及び安定性が向上することになる。
【0049】また、上記図5のフロ―に示すように、冷却液の出口温度To が設定温度に近いときにおける入口温度Tiと出口温度To との温度差を対応媒体温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶するようにした場合、冷凍装置の性能は出口温度Toに大きく影響されることから、より正確な判断を行うことができる。
【0050】さらに、演算手段(53)により、入口センサ(Thi)及び出口センサ(Tho)により複数回検出された値を平均し、その平均値を対応媒体温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶装置(9b)に記憶するようにした場合、外気温度や冷却液温度の変化で冷凍装置の性能が変化してもその影響を受けることがない。さらに、負荷が急激に変動したとき、入口温度Ti は急激に上昇するが出口温度Toは未だ上昇していないので、そのときの温度差を対応媒体温度差として記憶すると、制御の精度が悪化する虞れが生じるが、複数回の検出値を平均することにより、そのような事態を回避し得る。よって、制御精度が顕著に向上することになる。
【0051】次に、請求項2の発明に係る第2実施例について、図6〜図8に基づき説明する。図6は第2実施例における冷凍装置及びチラ―回路の配管系統を示し、冷凍装置(A)の冷媒回路(5)およびチラー回路(C)の構成および配置されるセンサ類は上記図4に示す第1実施例の構成と同じである。
【0052】ここで、本第2実施例では、該出口センサ(Tho)の出力は、水温制御用サ―モスタットの制御部である温度調節器(8)に接続されている。すなわち、出口センサ(Tho)で検出される冷却液の冷却器(4)出口温度To を出口設定温度と設定時間(サンプリング時間)毎に比較して、温度調節器(8)から、上記圧縮機(1)の合計容量を増減変更するよう指令する指令信号を出力するようになされていて、該温度調節器(8)は信号出力手段としての機能を有するものである。一方、冷凍装置(A)のコントロ―ラ(9)には、CPU(9a)と、記憶手段としての記憶装置(9b)と、後述の第1〜第4タイマ(TM1)〜(TM4)とが配設され、さらに、上記入口センサ(Thi)及び温度調節器(8)がそれぞれ信号線を介して接続されている。
【0053】ここで、上記温度調節器(8)には、3つのスイッチ(Y1 )〜(Y3 )が配置されている。上記スイッチ(Y1 ),(Y2 )は、図7に示すように、水温の変化に対して互いに所定のディファレンシャルΔT(例えば2℃程度の温度差)を有する2つの第1,第2設定温度Ts1,Ts2(ただし、Ts1>Ts2で、それぞれ例えば7℃,5℃程度の値)に基づいて、該設定温度Ts1,Ts2とは所定の個別ディファレンシャル(例えば0.4℃程度の値) dT1 , dT2 をもってオン・オフを切換える2つの出力1,2を出力するものである。すなわち、出力1は、水温の上昇時には設定温度Ts1に達するとオンからオフに切換わる一方、水温の下降時には温度(Ts1− dT1 )に達するとオフからオンに切換わり、出力2は、水温の下降時には設定温度Ts2に達するとオンからオフに切換わる一方、水温の上昇時には温度(Ts2+ dT2 )に達すると、オフからオンに切換わるようになされている。
【0054】そして、この各スイッチ(Y1 ),(Y2 )の出力1,2の組合わせに応じて、温度調節器(8)からコントロ―ラ(9)に対して下記表2に示すような圧縮機(1)の容量制御のための指令信号を出力するようになされている。すなわち、出力1がオンで出力2がオフであれば、水温が低い状態にあるため圧縮機(1)の合計容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号を、出力1,2がいずれもオンであれば、水温が設定領域にあるため現在の合計容量を維持するよう指令するキ―プ信号を、出力1がオフで出力2がオンであれば、水温が高いため合計容量を増大するよう指令するロ―ドアップ信号を出力する。つまり、ディファレンシャルを無視した場合、上記設定温度Ts1−Ts2間はキ―プ信号が出力されるホ―ルド領域であり、該ホ―ルド領域の上端値(第1設定温度)Ts1よりも高温側つまり高負荷側の領域がアップ信号が出力されるアップ領域であり、ホ―ルド領域の下端値(第2設定温度)Ts2よりも低温側つまり低負荷側の領域がダウン信号が出力されるダウン領域となっている。
【0055】
【表2】
なお、上記表2で出力1,2がいずれもオフである場合つまり下限値Tl 以下の場合には、凍結防止のためのいわゆる凍防運転をするようなされている。
【0056】さらに、上記スイッチ(Y3 )は、図7に示すように、ホ―ルド領域の上端値である第1設定温度Ts1よりも所定温度幅B(例えば2.3℃程度の値)だけ高負荷側の上限値Tu と、ホ―ルド領域の下端値である第2設定値Ts2よりも所定温度幅Bだけ低負荷側の下限値Tb との間で出力値を切換える出力3を出力するようになされている。すなわち、設定温度付近ではオフであって、水温が上昇して高温領域に入り上限値Tu に達するとオンになり上限信号を発する一方、その状態から水温が下降して上記上限値Tu よりも所定のディファレンシャル dT3(例えば0.3℃程度の値)だけ低い値(Tu − dT3 )に達するとオフに切換わり上記上限信号を解除する。また、水温の低温領域において、水温が下降して上記下限値Tb に達するとオンになり下限信号を発する一方、その状態から水温が上昇して上記下限値Tb よりも所定のディファレンシャル dT4 (例えば0.3℃程度の値)だけ高い値(Tb + dT4 )に達するとオフに切換わり上記下限信号を解除するようになされている。
【0057】ここで、上記コントロ―ラ(9)により、上記図5のフロ―と同様の制御が行われ、複数回検出された入口温度Ti と出口温度To の温度差を平均して、その平均値を対応冷媒温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶装置(9b)に記憶するようになされている。
【0058】次に、図8のフロ―チャ―トは冷却運転時における制御内容を示し、ステップST11で、出口温度To と第2設定温度Ts2との大小関係を比較して、To <Ts2であれば、ダウン領域にあると判断して、ステップST12に進み、ロ―ドダウン用の第2タイマ(TM2)がカウントアップするまで待って、ステップST13で、例えば45秒程度の設定時間を有するロ―ドダウン用の第2タイマ(TM2)をリセットした後、ステップST14で、0%ロ―ドにつまり圧縮機(1)を停止させる。
【0059】また、上記ステップST11の判別で、To <Ts2でなければ、ステップST15に移行して、例えば180秒程度の設定時間を有するロ―ドアップ用の第1タイマ(TM1)がカウントアップしたか否かを判別し、第1タイマ(TM1)がカウントアップすると、ステップST16に進んで、To ≧Ts1か否かつまりアップ領域にあるか否かを判別し、To ≧Ts1でなければ、ホ―ルド領域にあると判断して、ステップST17で第1タイマ(TM1)をリセットして上記ステップST11に戻り、To ≧Ts1であれば、アップ領域にあると判断して、ステップST18で50%ロ―ド運転にするよう指令するロ―ドアップ信号を出力する。つまり、通常のル―チンにしたがった制御を行う。
【0060】一方、ステップST15の判別で、ロ―ドアップ用の上記第1タイマ(TM1)がカウントアップするまでの間、負荷が大きいのに冷却能力が小さくて制御の遅れが生じるのを防止すべく、ステップST19で、上記入口センサ(Thi)で検出される冷却液の入口温度Ti が、第1設定温度Ts1と上記図5の制御で求められ記憶装置(9b)に記憶される媒体温度差ΔT50とを加算した値(Ts1+ΔT50)以上か否かを判別する。そして、Ti ≧Ts +ΔT50であれば、能力が大きく不足していると判断して、ステップST20に移行し、上記第1タイマ(TM1)のカウントを無視してただちに50%ロ―ド運転に移行する。
【0061】上記フロ―において、ステップST11〜ST18の制御により、請求項2の発明にいう出口基準容量制御手段(51)が構成され、ステップST19からST20に移行する制御により、請求項2の発明にいう入口基準容量制御手段(52A)が構成されている。なお、上記実施例では、25%運転時について説明したが、50%,75%運転についても同様の制御が行われ、順次圧縮機(1)のロ―ドステップを増大するようになされている。
【0062】したがって、上記第2実施例では、冷凍装置の運転時、冷却器(4)において、冷媒との熱交換によってチラ―回路(C)の冷却水が冷却される。そのとき、温度調節器(信号出力手段)(8)により、出口センサ(Tho)で検出される冷却器(4)出口温度To が出口設定温度(Ts1及びTs2)と設定時間毎に比較され、出口温度To がアップ領域にあるときにはロ―ドアップ信号が、ダウン領域にあるときにはロ―ドダウン信号が、ホ―ルド領域があるときにはキ―プ信号が出力され、出口基準容量制御手段(51)により、その信号に応じて圧縮機(1)のロ―ドステップが増減変更されて、冷却液の冷却器(4)出口温度To が設定温度付近に維持するよう制御される。
【0063】そのとき、外部条件の変化等により急激に負荷が変動すると、設定時間毎に圧縮機(1)のロ―ドステップの変更を行っていたのでは、制御の時間遅れが生じることがある。特に、冷却液温度To (出口温度)が上昇し過ぎたときに出口設定温度付近にまで冷却する場合には、冷却のための時間が過大になる虞れがある。ここで、本発明では、入口センサ(Thi)で検出される冷却液の入口温度Tiと出口センサ(Tho)で検出される冷却液の出口温度To との温度差ΔTについて、圧縮機(1)の各ロ―ドステップ100%,75%,…での運転時における値が対応媒体温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶装置(9b)に記憶され、入口基準容量制御手段(52A)により、冷却液の入口温度Ti と出口設定温度(第1設定温度Ts1)との温度差(Ti −Ts1)が、記憶装置(9b)に記憶されるいずれかのロ―ドステップの対応媒体温度差ΔT100 ,ΔT75,…よりも大きいときには、出口基準容量制御手段(51)による制御を待つことなくただちに圧縮機(1)の容量増大が行われるので、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間が短縮されるとともに、制御の追随性が向上する。このとき、冷凍装置の実際の運転時における入口温度Ti −出口温度To 間の対応媒体温度差を考慮しているので、冷凍装置の据付け条件や冷媒充填量等の条件に応じた正確なデ―タから必要なロ―ドステップが判断されることになり、制御精度の向上を図ることができるのである。
【0064】次に、請求項3の発明に係る第3実施例について、図9に基づき説明する。本実施例においても、冷媒配管系統等の冷凍装置(A)の構成は上記第1実施例と同様である。また、上記図5のフロ―と同様の制御により、複数回検出された入口温度Ti と出口温度To の温度差を平均して、その平均値を対応冷媒温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶装置(9b)に記憶するようになされている。
【0065】図9は50%運転中における圧縮機(1)の容量制御の内容を示し、ステップSR1で、冷却液の出口温度To と第2設定温度Ts2とを大小比較し、To <Ts2でなければ、ホ―ルド領域又はアップ領域にあると判断して、ステップSR2以下の制御を行う。まず、ステップSR2で、ロ―ドアップ用の第1タイマ(TM1)がカウントアップしたか否かを判別し、カウントアップすると、ステップSR3に進んで、To ≧Ts1か否かを判別し、To ≧Ts1でなければホ―ルド領域にあると判断して、ステップSR4で第1タイマ(TM1)をリセットして上記ステップSR2の制御に戻り、To ≧Ts1になると、アップ領域に移行したと判断して、ステップSR5に移行し、圧縮機(1)の容量を75%にロ―ドアップする。
【0066】ここで、上記ステップSR2の判別で第1タイマ(TM1)がタイムアップするまでは、ステップSR6に移行し、ステップSR6で、To ≧Ts1+δ100-50(ただし、δ100-50=ΔT100 −ΔT50)か否か、つまり、出口温度To と出口設定温度(第1設定温度)Ts1との差温(To −Ts1)が、高容量側のロードステップの対応媒体温度差ΔT100 と当該ロードステップにおける対応媒体温度差ΔT50との偏差δ100-50よりも大きいか否かを判別し、To ≧Ts1+δ100-50(つまり、To −Ts1≧ΔT100 −ΔT50)であれば、急激に負荷が増大したと判断して、ステップSR7に移行して100%ロ―ド運転を行う。そして、To ≧Ts1+δ100-50でなければ、ステップSR8に進んで、To ≧Ts1+δ75-50 (ただし、δ75-50 =ΔT75−ΔT50)か否かを判別し、To ≧Ts1+δ75-50 であれば、ステップSR9に移行して75%ロ―ド運転を行う。また、To ≧Ts1+δ75-50 でなければ、ステップSR1に戻って、上記ステップSR1以下の制御を繰り返す。
【0067】一方、上記ステップSR1の判別で、To <Ts2であれば、ダウン領域にあると判断して、ステップSR10に移行し、ロ―ドダウン用の第2タイマ(TM2)がカウントアップしたか否かを判別し、第2タイマ(TM2)がカウントアップすると、能力を低減する必要があると判断して、ステップSR11で第2タイマ(TM2)をリセットした後、ステップSR12で25%ロ―ド運転を行う。そして、上記ステップSR10の判別で第2タイマ(TM2)がタイムアップするまでは、ステップSR13に進み、To <Ts2−δ50-25 (ただし、δ50-25 =ΔT50−ΔT25)か否かを判別し、To <Ts2−δ50-25 (つまり、Ts2−To >ΔT50−ΔT25)であれば、急激に負荷が減少したと判断して、ステップSR14に移行し、第2タイマ(TM2)のタイムアップを待つことなく25%ロ―ド運転を行う。
【0068】上記フロ―において、ステップSR1〜SR5及びステップSR10〜SR12の制御により、出口基準容量制御手段(51)が構成され、ステップSR6〜SR9の制御により、請求項3の発明にいう入口基準容量制御手段(52B)が構成されている。
【0069】したがって、上記第3実施例では、冷凍装置の運転中、出口基準容量制御手段(51)により、上記第2実施例と同様の圧縮機(1)の容量調節制御を行っている間に、負荷が急激に増減したときには、冷却液の出口温度To が急激に上昇又は下降し、出口温度To と出口設定温度との差温が増大するが、通常の出口基準容量制御手段(51)による制御では、容量を変更するには設定時間が経過するまで待たなければならず、しかも1ステップずつしか変更されないので、急激な負荷の変化に追随できずに制御性能が悪化する虞れがある。ここで、上記第3実施例では、入口基準容量制御手段(52B)により、あるロードステップ(例えば50%)における出口温度To と出口設定温度(上記実施例では第1設定温度Ts1)との差温が、高容量側のロ―ドステップ(例えば100%)における対応媒体温度差ΔT100 と当該容量における対応媒体温度差ΔT50との偏差δ100-50よりも大きいときには、強制的に圧縮機(1)の容量が高容量側のロードステップまで増大されるので、急激な負荷の変化に追随した冷却器(4)の能力制御を行うことができ、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間を短縮できるとともに、追随性の向上によりオ―バ―シュ―トを抑制することができるのである。
【0070】次に、請求項6〜8の発明に係る第4実施例について、図10〜図12に基づき説明する。本実施例においても、冷媒配管系統等の冷凍装置(A)の構成は上記第1実施例と同様である。ここで、図10は冷却液の出口温度To の時間変化を示し、図中Ts1,Ts2,Tu ,Tb は上記図6に示す温度調節器(8)の各スイッチ(Y1 )〜(Y3 )からの出力1〜3の変化範囲に対応するものである。
【0071】図11は圧縮機(1)の容量をロ―ドステップ100%からロ―ドダウンさせる場合の制御内容を示し、冷却液の温度を低下させるプルダウン運転中、出口温度To が図10の実線(l1 )に示すごとく低下して上限値Tu 以下になり(図10のD点)、ステップSP1で上限警報が出力されると、ステップSP2で、上記第3タイマ(TM3)のカウントを開始し、さらに、ホ―ルド領域の上端値Ts1以下になると(図10のE点)、ステップSP3で上記温度調節器(8)の出力1がオンとなり、ステップSP4で、第3タイマ(TM3)のカウントを停止させ、ステップSP5で、このときの第3タイマ(TM3)のカウント時間t1 を上限値Tu からホ―ルド領域の上端値Ts1に達するまでに要する時間(下降時間)t1 として入力する。そして、ステップSP6で、上記下降時間t1 と予め設定された一定時間td とを比較し、t1 <td でなければそのままのロ―ドステップで圧縮機の運転を継続する一方、t1 <td であれば、ステップSP7で、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップだけ低下させる。
【0072】上記フロ―において、ステップSP7の制御により、強制容量低減手段(55)が構成されている。
【0073】次に、図12は圧縮機(1)の容量をロ―ドステップ50%からロ―ドアップさせる場合の制御内容を示し、圧縮機(1)をロ―ドステップ50%で運転中、図8の破線(l2 )に示すように、ステップSP11で、冷却液の出口温度Toがホ―ルド領域の上端値Ts1を越えると(図10のI点)、温度調節器(8)の出力1がオフとなり、ステップSP12で、第4タイマ(TM4)のカウントを開始し、冷却液の出口温度To が上限値Tu 以上になると(図10のJ点)、ステップSP13で、上限警報が出力され、ステップSP14で、第4タイマ(TM4)のカウントを停止させ、ステップSP15で、そのときの第4タイマ(TM4)のカウント値を上昇時間t2 として入力する。そして、ステップSP16で、t2 <tu (tu は一定時間)か否かを判別し、t2 <tu でなければそのままのロ―ドで圧縮機(1)を運転する一方、t2 <tu になると、ステップSP17で、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップだけ増大させる(つまり、75%ロ―ドにする)。
【0074】以上のフロ―において、ステップSP17の制御により、請求項7の発明にいう強制容量増大手段(56)が構成されている。
【0075】したがって、上記第4実施例では、信号出力手段である温度調節器(8)により、冷却液の出口温度To がホ―ルド領域よりも高いアップ領域まで上昇すると、圧縮機(1)の容量を増大させるアップ信号が出力され、ホ―ルド領域よりも低いダウン領域まで低下すると、圧縮機(1)の容量を低減させるダウン信号が出力され、ホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号が出力されて、出口基準容量制御手段(51)により、設定時間毎にその指令に応じて圧縮機(1)の容量が増減調節される。
【0076】その場合、図10の実線(l1 )に示すごとく緩やかに出口温度To が変化する場合には、ホ―ルド領域に入った後(図中のE点)、ホ―ルド領域の下端値Ts2に達すると(図中のF点)、ダウン信号が出力されて、圧縮機(1)の容量が低減され、その後出口温度To が上昇してホ―ルド領域から大きく外れることなく制御される。しかし、負荷の急激な減小により出口温度To が急激に低下した場合、例えば図10の破線(l2 )に示すごとくアップ領域からホ―ルド領域に突入したときにも、圧縮機(1)の容量をそのまま維持すると、出口温度To がホ―ルド領域を越えて大きなオ―バ―シュ―トを生じ、引いては下限値Tb に達して凍結防止サ―モが作動する虞れがある。
【0077】ここで、上記第4実施例では、第3タイマ(下降時間計時手段)(TM3)で計測される上限警報解除(図中のG点)からホ―ルド領域突入(図中のH点)までに要する下降時間t1 が一定時間td よりも短いとき、強制容量低減手段(55)により、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ低減するよう制御されるので、図10の破線(l2 )に示すごとく、平均的な出口温度To の下降速度が緩やかとなり、オ―バ―シュ―トが有効に防止されることになる。
【0078】同様に、負荷が急激に増大して冷却液の出口温度To が急上昇する場合、出口基準容量制御手段(51)により、設定時間毎に出口温度To と設定温度Ts1及びTs2とを比較して、圧縮機(1)の容量を制御していたのでは、図8の破線(l2 )に示すようにホ―ルド領域の上端値Ts1から外れても、設定時間が経過してからでないと圧縮機(1)がロ―ドアップされないので、その間に出口温度To がホ―ルド領域からアップ領域側に大きくオ―バ―シュ―トする虞れがある。
【0079】ここで、上記第4実施例では、第4タイマ(上昇時間計時手段)(TM4)により計測される出口温度To がホ―ルド領域の上端値Ts1を越えてから(図8のI点)、上限値Tu に達するまで(図中のJ点)に要する時間(上昇時間)t2 が一定時間tu よりも短いときには、強制容量増大手段(56)により、設定時間が経過するまで待つことなくただちに圧縮機(1)の容量を1ステップ増大させるよう制御されるので、冷凍能力が増大し、急激な負荷の増大が生じたときにも、出口温度To がホ―ルド領域から大きく外れるのを未然に防止することができるのである。
【0080】次に、請求項9の発明に係る第5実施例について、図14に基づき説明する。本実施例においても、冷凍装置(A)の冷媒配管系統,温度調節器(8)及びコントロ―ラ(9)等の構成は上記第1,第2実施例と同様である。
【0081】ここで、上記温度調節器(8)及びコントロ―ラ(9)による制御の内容について説明する。図14R>4に示すように冷却液の出口温度To が一定の上昇,低下パタ―ンを繰り返しているとき、圧縮機(1)がロ―ドステップ100%でアップ領域からホ―ルド領域に突入した後(図中のL点)、ホ―ルド領域の下限値Ts2を越えてダウン領域に突入すると(図中のM点)、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップだけダウンし(75%)、その後ダウン領域内でロ―ドダウン用の第2タイマ(TM2)がタイムアップする毎に(図中のN点及びO点)圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップずつ低減させ、最終的に圧縮機(1)のロ―ドステップを25%に低減する。そして、出口温度To が上昇してホ―ルド領域に入った後アップ領域に入ると(図中のP点)、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップだけ増大させるアップ信号を出力し(50%)、さらに、アップ領域への滞在中にサンプリング時間が経過すると、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップずつ増大させるアップ信号を出力し、その後ロ―ドアップ用の第1タイマ(TM1)がタイムアップする毎に圧縮機(1)のロ―ドステップを75%,100%と1ステップずつ増大する(それぞれ図中のQ,R点)。そして、その後、上述の仮定と同様の出口温度To の変化パタ―ンが繰り返される。
【0082】ここで、請求項9の発明の特徴として、冷却液の出口温度To が上述のようにホ―ルド領域,アップ領域及びダウン領域の間で一定の上昇,下降パタ―ンを繰り返している条件下において、出口温度To の下降時、出口温度To がホ―ルド領域を越えて、ホ―ルド領域の下端値Ts2よりも所定値だけ低負荷側に設定されたオ―バ―シュ―ト値Tssに達したときには、そのことを記憶装置(9b)に記憶し、その後出口温度To が上昇してアップ領域に達したときには、圧縮機(1)の最大ロ―ドをオ―バ―シュ―ト値Tssに達する前のホ―ルド領域におけるロ―ドステップ、つまり100%よりも1ステップだけ低減させ、75%とするようにしている。この制御により、請求項9の発明にいうパタ―ン変更手段(58)が構成されている。
【0083】その場合、上記のような温度調節器(8)により、冷却液の出口温度To を設定時間毎にサンプリングして、出口基準容量制御手段(51)により圧縮機(1)の容量を増減調節すると、その定常状態における変化パタ―ンは主としてチラ―回路(C)の保有水量に依存する。すなわち、サンプリング時間は一定であるので、冷却液の保有水量が少ないときには相対的にサンプリング時間が長いのと同様の効果を示し、冷却液温度To がホ―ルド領域以下に低下したときに、容量の低減が遅れる結果、出口温度To がオ―バ―シュ―ト限界値Tssを越えて、図12の凍結防止サ―モの作動値Tb に達する虞れがある。また、保有水量が多いときには、相対的にサンプリング時間が短いときと同様の効果を示し、例えば出口温度To がアップ領域にある間にロ―ドアップされる頻度が高くなる結果、容量が過大になり、出口温度To が低下するときにホ―ルド領域を急速に通過して、凍結防止サ―モを作動させる虞れがある。
【0084】それに対して、上記第5実施例では、出口温度To が定常の変化パタ―ンを繰り返すような条件下で、出口温度To がホ―ルド領域から低下してオ―バ―シュ―ト限界値Tssに達した後、ふたたび上昇してアップ領域に達したときには、パタ―ン変更手段(58)により、容量制御手段(57)の制御を強制的に停止させて、圧縮機(1)のロ―ドステップの最大値をオ―バ―シュ―ト限界値Tssに達する前のロ―ドステップよりも1ステップだけ低減するように制御されるので、出口温度To は、その後、図14の破線に示すように、緩やかに低下してホ―ルド領域に入り、ホ―ルド領域の下端値Ts2に達してから(図中のS点)、オ―バ―シュ―ト限界値Tssに達することなくふたたびホ―ルド領域に戻ることになる。したがって、冷却液の出口温度To の変動範囲が小さくなり、その安定化を図ることができる。
【0085】次に、請求項10の発明に係る第6実施例について、図16に基づき説明する。本第6実施例においても、冷凍装置(A)、コントローラ(B)及びチラー回路(C)の構成は上記第1,第2実施例と同様である。
【0086】図16は、第6実施例におけるステップ制御の内容を示し、出口温度の設定値Tsに対し、Ts±0.5℃のごく狭い範囲がホールド領域となり、その下端値Ts−0.5(℃)以下が圧縮機(1)のロードステップを1ステップずつ低減させるダウン領域となっている。そして、Ts−1(℃)の点を下限制御点とし、圧縮機(1)のロードステップが最低ロード(25%)であるときには、下限制御点Ts−1(℃)以下になるまでロードダウンを禁止するようにしている。なお、このホールド領域を無くすようにしてもよい。
【0087】ここで、図16に基づき具体的な制御手順を説明する。この制御では、サンプリング時間をできるだけ短くし、ロード変化したときに運転状態が安定する最小時間程度として、急激な温度変化に対応しうるようにしている。そして、Ts+0.5(℃)以上のアップ領域では、100%にロードに達するまではサンプリング時間が経過するごとに1ステップずつロードアップし、出口温度To が下降して、ホールド領域に突入すると(図中の時刻t1 )、ロードステップはそのままに維持し、ダウン領域に達した後(図中の時刻t2 )は、サンプリング時間が経過するごとに1ステップずつロードダウンする。一方、出口温度To が上昇する際には、下降時と同様に、ホールド領域Ts±0.5(℃)ではそのままのロードステップを維持し、アップ領域に達すると(図中の時刻t3 )、サンプリング時間が経過するごとに1ステップずつロードアップする。さらに、このような出口温度To のアップダウンを繰り返しているうちに、ダウン領域で、圧縮機(1)が最小ロード(25%ロード)になると(図中の時刻t4 )、その後はサンプリング時間が経過してもロードダウンつまり停止をさせることなく、最小ロードを維持する(図中の時刻t5 ,t6 )。
【0088】ただし、図中の破線で示すように、最小ロードの状態で下限制御点Ts−1(℃)を越えると、圧縮機(1)を停止させる。
【0089】以上の制御において、ダウン領域で最小ロード(25%ロード)のときには圧縮機(1)のロードをそのままに維持する制御により、請求項10の発明にいうロードダウン禁止手段(59)が構成されている。
【0090】したがって、上記第6実施例では、ホールド領域がごく狭い範囲に設定され、サンプリング時間がロード変化した運転状態が安定する最小時間程度にできるだけ短く設定されているので、急激な温度変化に対する追随性が向上するとともに、ロードダウン禁止手段(59)により、ダウン領域において最小ロードのときには、出口温度To が下限制御点を越えるまでは圧縮機(1)のロードダウンつまり停止が禁止されるので、追随性の向上に伴う圧縮機(1)の頻繁な停止を回避することができ、制御の安定性が確保されることになる。
【0091】なお、上記各実施例では、冷媒との熱交換を行う利用側熱媒体をチラ―回路(C)の冷却液とした場合について説明したが、本発明の利用側熱媒体は斯かる実施例に限定されるものではなく、例えば給湯設備の温水を利用側熱交換器で加熱するような場合や、室内空気を加熱又は冷却する冷暖房運転を行うようにした空気調和装置についても適用し得るものである。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機と、熱源側熱交換器と利用側熱交換器とを備えた冷凍装置の運転制御装置として、圧縮機の各ロ―ドステップでの運転時における利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶し、この記憶内容に基づいて、圧縮機の容量を、入口温度と出口設定温度との温度差に最も近い対応媒体温度差を生ぜしめるロードステップにするようにしたので、そのときの入口温度から圧縮機のロードステップを変更したときに予想される出口温度が出口設定温度に近付くように制御され、利用側熱媒体の流量が少ない範囲でも、出口温度が設定温度に近付くよう制御されることで、圧縮機の発停頻度を低減し、制御のハンチング状態を回避することができ、よって、制御の精度及び安定性の向上を図ることができる。
【0093】請求項2の発明によれば、運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機と、熱源側熱交換器と利用側熱交換器とを備えた冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、その信号に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、圧縮機の各ロ―ドステップでの運転時における利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶し、利用側熱媒体の入口温度と出口設定温度との温度差が、記憶されるいずれかのロ―ドステップの対応媒体温度差よりも大きいときには、ただちに圧縮機をそのロ―ドステップに変更させるようにしたので、当該冷凍装置の実際の性能を考慮して判断される適正なロ―ドステップで運転され、制御精度の向上を図りつつ、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間を短縮し、かつ制御の追随性の向上を図ることができる。
【0094】請求項3の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、この指令に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、圧縮機の各ロ―ドステップにおける利用側熱媒体の出口温度と入口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶し、あるロードステップにおける利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度との差温が、高容量側のロードステップにおける対応媒体温度差と当該ロ―ドステップにおける対応媒体温度差との偏差よりも大きくなったときには、圧縮機のロ―ドを当該高容量側のロ―ドステップまで変更するようにしたので、急激な負荷の変化に対して制御遅れを招くことなく冷凍能力の制御が行われ、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間を短縮し得るとともに、出口温度のホ―ルド領域からのオ―バ―シュ―トを抑制することができる。
【0095】請求項4の発明によれば、上記請求項1,2又は3の発明において、利用側熱媒体の出口温度が出口設定温度に近いときにおける入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶するようにしたので、出口温度により影響を受ける冷凍装置の性能が略等しい条件下で、温度差の大小関係を比較することができ、より正確な判断を行うことができる。
【0096】請求項5の発明によれば、上記請求項1,2,3又は4の発明において、複数回検出した入口温度と出口温度との温度差を平均し、その平均値を対応媒体温度差として記憶するようにしたので、外気温度や冷却液温度の変化による冷凍装置の性能の変化の影響を受けることなく、負荷の急激な変動による制御応答の遅れに起因する検出値のバラツキを均すことができ、よって、制御精度の顕著な向上を図ることができる。
【0097】請求項6の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、この指令に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、利用側熱媒体の出口温度の負荷減小方向への変化時、出口温度が所定の上限値からホ―ルド領域の上端値に達するまでの下降時間が一定時間よりも短いときには、ただちに圧縮機の容量を1ステップだけ低減するようにしたので、負荷が急に減小したようなときにも、大きなオ―バ―シュ―トの発生を未然に防止することができる。
【0098】請求項7の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、この指令に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、出口温度がホ―ルド領域の上端値を越えてから上限値に達するまでに要する上昇時間が一定時間よりも短いときには、ただちに圧縮機の容量を1ステップ増大させるようにしたので、負荷が急に増大したようなときにも、大きなオ―バ―シュ―トの発生を未然に防止されることになる。
【0099】請求項8の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、上記請求項6の発明と同様の圧縮機の容量の増減調節を行うとともに、利用側熱媒体の出口温度の急激な負荷減小方向への変化時には上記請求項6の発明と同様の容量低減を行い、さらに、出口温度の急激な負荷増大方向への変化時に請求項7の発明と同様の容量増大を行うようにしたので、上記請求項6及び7の発明の作用を併せて得ることができる。
【0100】請求項9の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、設定時間毎に、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、この指令に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、出口温度が定常の変化パタ―ンを繰り返すような条件下で、出口温度がホ―ルド領域から低負荷側に変化してオ―バ―シュ―ト限界値に達した後、ふたたび負荷増大側に変化してアップ領域に達したときには、圧縮機のロ―ドステップの最大値をオ―バ―シュ―ト限界値に達する前のロ―ドステップよりも1ステップだけ低減するようにしたので、その後出口温度が緩やかに低負荷側に変化してホ―ルド領域を通過しても、オ―バ―シュ―ト限界値に達することなくふたたびホ―ルド領域側に戻すことができ、よって、利用側熱媒体の出口温度の変動範囲を小さく抑制して、その安定化を図ることができる。
【0101】請求項10の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、出口温度と出口設定温度とを、ロード変化した運転状態が安定する最小時間程度に短く設定された設定時間毎に比較して、出口設定温度のごく近辺に設けられた狭幅のホ―ルド領域では圧縮機の容量をそのまま維持し、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機の容量を1ステップずつ増大させ、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機の容量を1ステップずつ低減させるとともに、ダウン領域において圧縮機が最小ロードのときには、出口温度が下限制御点に達するまで、圧縮機のロードダウンを禁止するようにしたので、急激な温度変化に対する追随性の向上を図ることができるとともに、追随性の向上に伴う圧縮機の頻繁な停止を回避することで、制御の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1又は5の発明の構成を示すブロック図である。
【図2】請求項2〜5の発明の構成を示すブロック図である。
【図3】請求項6〜7の発明の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施例に係る冷凍装置及びチラー回路の配管系統図である。
【図5】第1実施例に係る対応媒体温度差の平均値算出のための制御内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図6】第2実施例に係る冷凍装置の及びチラー回路の配管系統図である。
【図7】第2実施例に係る温度調節器のスイッチの切換特性図である。
【図8】第2実施例に係る圧縮機の25%ロ―ド運転における容量制御の内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図9】第3実施例に係る圧縮機の50%ト―ド運転における容量制御の内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図10】第4実施例に係る冷却液出口温度の時間変化を示す図である。
【図11】第4実施例に係る圧縮機の100%ロ―ド運転における容量低減制御の内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図12】第4実施例に係る圧縮機の50%ロ―ド運転における容量増大制御の内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図13】請求項9の発明の構成を示すブロック図である。
【図14】第5実施例に係る冷却液出口温度の時間変化を示す図である。
【図15】請求項10の発明の構成を示すブロック図である。
【図16】第6実施例に係る制御による出口温度の時間変化を示す図である。
【符号の説明】
1 圧縮機
2 熱源側熱交換器
4 利用側熱交換器
8 温度調節器(信号出力手段)
9b 記憶装置(記憶手段)
51 出口基準容量制御手段
52 入口基準容量制御手段
53 演算手段
55 強制容量低減手段
56 強制容量増大手段
58 パタ―ン変更手段
59 ロードダウン禁止手段
Thi 入口センサ(入口温度検出手段)
Tho 出口センサ(出口温度検出手段)
TM3 第3タイマ(下降時間計時手段)
TM4 第4タイマ(上昇時間計時手段)
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍負荷に応じて圧縮機の容量を複数のステップに制御するようにした冷凍装置の運転制御装置に係り、特に、制御の安定性及び追随性の向上対策に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開昭59―185931号公報に開示される如く、複数のステップに調節可能な圧縮機を備えた空気調和装置において、室内の空気温度をその設定温度と所定の設定時間毎に比較して、設定温度付近のホ―ルド領域ではキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域ではロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域ではロ―ドダウン信号をそれぞれ出力し、その指令信号に応じて圧縮機の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する一方、装置の起動時のみ指令信号を出力するための設定時間を短くするよう変更することにより、室内温度を快適な温度範囲に維持しようとするものは公知の技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えばチラ―回路の冷却液を蒸発器で冷媒との熱交換により冷却するようにした冷凍装置に対しても、上記従来のもののように、圧縮機の運転容量を冷却液温度と設定温度との差温値に応じて増減調節することにより、冷却液温度を設定温度付近に維持することができるが、その場合、圧縮機の容量を増減調節する周期である設定時間は、長すぎると追随性が悪化し、短すぎると安定性が悪化するので、制御の安定性と追随性とのバランスをとって定められている。
【0004】しかしながら、そのように一定の周期で圧縮機の容量制御を行う場合、以下のような問題があった。
【0005】第1に、運転開始直後のプルダウン運転時に1ステップずつしかロ―ドアップしないので、圧縮機の容量が100%に到達するまでに時間が係り、そのためプルダウン時間が長くなる。
【0006】第2に、急激に負荷が増減変化した場合、すぐには負荷に見合ったステップまでロ―ド変化できないので温度制御の追随性がよくない。
【0007】第3に、チラ―回路の保有水量が多いときには、制御の応答が遅れ気味となるので、サンプリング時間が相対的に短すぎることになって、ホ―ルド領域から外れたときに圧縮機の容量が必要以上に頻繁に変更されるので、アップ領域で高容量になる結果、変動幅が過大になる虞れがあった。一方、チラ―回路の保有水量が少ないときには、制御の応答が速いので、サンプリング時間が相対的に長すぎることになって、追随性が悪化し、ホ―ルド領域からのオ―バ―シュ―トが過大になる虞れがあった。
【0008】本発明は、上述のような諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御される熱媒体温度の変化パタ―ンに応じて通常制御によるロ―ド変化とは異なる制御を行うことにより、制御の追随性の向上を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明の講じた手段は、図1に示すように(破線部分を含まず)、運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置を前提とする。
【0010】そして、冷凍装置の運転制御装置として、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の入口温度を検出する入口温度検出手段(Thi)と、該入口温度検出手段(Thi)及び上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、上記圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における上記利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶する記憶手段(9b)と、上記記憶手段(9b)の記憶内容に基づき、圧縮機(1)のロードステップを、上記入口温度検出手段(Thi)で検出される入口温度と出口設定温度との温度差に最も近い対応媒体温度差に対応するロードステップにするよう制御する入口基準容量制御手段(52)とを設ける構成としたものである。
【0011】請求項2の発明の講じた手段は、図2に示すように(破線部分を含まず)、上記請求項1の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、請求項1の発明と同様の出口温度検出手段(Tho)と、入口温度検出手段(Thi)と、記憶手段(9b)とを設ける。
【0012】さらに、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(8)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)と、上記入口温度検出手段(Thi)の出力を受け、入口温度と上記出口設定温度との温度差が上記記憶手段(9b)に記憶される各ロ―ドステップの高容量側のロ―ドステップにおける対応媒体温度差よりも高負荷側にあるときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を停止させて、ただちに当該高容量側のロ―ドステップまで上記圧縮機(1)の容量を増大させるよう変更する入口基準容量制御手段(52A)とを設ける構成としたものである。
【0013】請求項3の発明の講じた手段は、上記請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、上記請求項2の発明と同様の出口温度検出手段(Tho)と、信号出力手段(8)と、出口基準容量制御手段(51)と、入口温度検出手段(Thi)と、記憶手段(9b)とを設け、さらに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、あるロードステップにおける出口温度と出口設定温度との差温が上記記憶手段(9b)に記憶される高容量側のロードステップにおける対応媒体温度差と当該ロードステップにおける対応媒体温度差との偏差よりも大きいときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて圧縮機(1)の容量を当該高容量側のロ―ドステップまで変更させる入口基準容量制御手段(52B)とを設けたものである。
【0014】請求項4の発明の講じた手段は、上記請求項1,請求項2又は2の発明において、記憶手段(9b)を、利用側熱媒体の出口温度が出口設定温度に近いときに記憶するように構成したものである。
【0015】請求項5の発明の講じた手段は、上記請求項1,2,3又は4の発明において、図1又は図2の破線部分に示すように、入口温度検出手段(Thi)及び出口温度検出手段(Tho)により複数回検出された利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差の平均値を演算する演算手段(53)を設け、記憶手段(9b)を該演算手段(53)で演算された利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差の平均値を対応媒体温度差として記憶するように構成したものである。
【0016】請求項6の発明の講じた手段は、図3に示すように(破線部分を含まず点線部分を含む)、上記請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、請求項2の発明と同様の上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、信号出力手段(8)と、出口基準容量制御手段(51)とを設け、さらに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷減小方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値からホ―ルド領域の上端値に達するまでの降下時間を計測する降下時間計時手段(TM3)と、該降下時間計時手段(TM3)で計測される上記下降時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ低減させる強制容量低減手段(55)とを設ける構成としたものである。
【0017】請求項7の発明の講じた手段は、図3に示すように(点線部分を含まず破線部分を含む)、上記請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、請求項2の発明と同様の出口温度検出手段(Tho)と、信号出力手段(8)と、出口基準容量制御手段(51)とを設け、さらに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷増大方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値からホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値に達するまでの上昇時間を計測する上昇時間計時手段(TM4)と、該上昇時間計時手段(TM4)で計測される上記上昇時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ増大させる強制容量増大手段(56)とを設ける構成としたものである。
【0018】請求項8の発明の講じた手段は、上記請求項6の発明に加えて、請求項7の発明と同様の上昇時間計時手段(TM4)と、強制容量増大手段(56)とを設けたものである。
【0019】請求項9の発明の講じた手段は、図13に示すように、請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、請求項2の発明と同様の出口温度検出手段(Tho)と、上信号出力手段(8)と、出口基準容量制御手段(51)とを設け、さらに、利用側熱媒体の出口温度が定常の変化パタ―ンを繰り返す条件下において、出口温度の負荷減小方向への変化時、出口温度がホ―ルド領域を越えて、ホ―ルド領域の下端値よりも所定値だけ低負荷側に設定されたオ―バ―シュ―ト値に達した後、負荷増大方向に変化してアップ領域に達したときには、圧縮機(1)の最大ロ―ドをオ―バ―シュ―ト値に達する前のホ―ルド領域におけるロ―ドステップよりも1ステップだけ低減させるパタ―ン変更手段(58)を設けたものである。
【0020】請求項10の発明の講じた手段は、図15に示すように、請求項2の発明と同様の冷凍装置を前提とし、冷凍装置の運転制御装置として、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを、ロード変化した運転状態が安定する最小時間程度に短く設定された設定時間毎に比較して、出口設定温度のごく近辺に設けられた狭幅のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(9b)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを設ける。
【0021】さらに、ダウン領域において圧縮機(1)の容量が最小ロードのときには、利用側熱媒体の出口温度が上記ホールド領域の下端から一定温度低い下限制御点に達するまで、上記出口基準容量制御手段(51)による圧縮機(1)のロードダウンを禁止するロードダウン禁止手段(59)を設けたものである。
【0022】
【作用】以上の構成により、請求項1の発明では、記憶手段(9b)に圧縮機(1)のロードステップとこれに対する入口温度−出口温度間の対応媒体温度差との関係が記憶され、この記憶内容に基づいて、入口基準容量制御手段(52)により、圧縮機(1)の容量が、入口温度と出口設定温度との温度差に最も近い対応媒体温度差を生ぜしめるロードステップにするよう制御される。すなわち、そのときの入口温度から圧縮機(1)のロードステップを変更したときに予想される出口温度が出口設定温度に近付くように制御される。
【0023】したがって、利用側熱媒体の流量が少ない条件下でも、その流量に応じたロードステップと対応媒体温度差との関係に基づき、出口温度が設定温度に近付くよう制御されるので、圧縮機(1)の発停が少なくなり、制御のハンチング状態が回避され、制御の精度及び安定性が向上することになる。
【0024】請求項2の発明では、冷凍装置の運転時、信号出力手段(8)により、出口温度検出手段(Tho)で検出される利用側熱媒体の利用側熱交換器(4)出口温度がその出口設定温度と設定時間毎に比較され、出口設定温度との差温に応じてロ―ドアップ信号、ロ―ドダウン信号又はキ―プ信号が出力され、出口基準容量制御手段(51)により、その信号に応じて圧縮機(1)のロ―ドステップが増減調節されて、利用側熱媒体の出口温度を設定温度付近に維持するよう制御される。
【0025】そのとき、設定時間毎に1ステップずつ圧縮機(1)のロ―ドステップの変更を行っていたのでは、外部条件の変化等により急激に負荷が変動すると制御の時間遅れが生じることがあるが、本発明では、入口温度検出手段(Thi)で検出される利用側熱媒体の利用側熱交換器(4)の入口温度と出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度との温度差について、圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における値が対応媒体温度差として記憶手段(9b)に記憶され、強制容量増大手段(52A)により、利用側熱媒体の入口温度と出口設定温度との温度差が、記憶手段(9b)に記憶されるいずれかのロ―ドステップの対応媒体温度差よりも大きいときには、出口基準容量制御手段(51)による制御を待つことなくただちに圧縮機(1)の容量増大が行われる。したがって、当該冷凍装置の特性を考慮して判断される適正なロ―ドステップに変更され、制御精度の向上を図りつつ、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間が短縮され、かつ制御の追随性が向上することになる。
【0026】請求項3の発明では、出口基準容量制御手段(51)により、上記請求項2の発明と同様の定常状態における圧縮機(1)の容量調節が行われる。そのとき、負荷が急激に増減して、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度との差温が、高容量側のロードステップにおける対応媒体温度差と当該ロードステップにおける対応媒体温度差との偏差よりも大きくなったときには、強制容量増大手段(52B)により、上記出口基準容量制御手段(51)の制御が強制的に停止され、圧縮機(1)のロ―ドが当該高容量側のロ―ドステップに変更されるので、急激な負荷の変化に対して制御遅れを招くことなく冷凍能力の制御が行われる。したがって、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間が短縮されるとともに、利用側熱媒体の出口温度のホ―ルド領域からのオ―バ―シュ―トが抑制されることになる。
【0027】請求項4の発明では、上記請求項2又は2の発明において、記憶手段(9b)により、利用側熱媒体の出口温度が出口設定温度に近いときにおける入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶するようにしたので、出口温度に大きく影響される冷凍装置の性能が略等しい条件下で対応媒体温度差が求められることになる。
【0028】請求項5の発明では、演算手段(53)により、入口温度検出手段(Thi)及び出口温度検出手段(Tho)により複数回検出された入口温度と出口温度との温度差が平均され、その平均値が対応媒体温度差として記憶手段(9b)に記憶されるので、外気温度や利用側熱媒体温度の変化で冷凍装置の性能が変化してもその影響を受けることがなく、また、負荷が急激に変動したときにも制御応答の遅れに起因する検出値のバラツキが均され、制御精度が著しく向上することになる。
【0029】請求項6の発明では、信号出力手段(8)及び出口基準容量制御手段(51)により、上記請求項2の発明と同様に、圧縮機(1)の容量が利用側熱媒体の出口温度に応じて増減調節される。
【0030】そして、下降時間計時手段(TM3)により、利用側熱媒体の出口温度が上限値からホ―ルド領域の上端値に達するまでに要する下降時間が計測され、この下降時間が一定時間よりも短いときには、強制容量低減手段(55)により、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ低減するよう制御される。すなわち、利用側熱媒体の出口温度が負荷減小方向に変化しているときに、負荷が急激に減小したときにも、負荷の急激な減小が下降時間から検知され、予め圧縮機(1)の容量が低減されるので、出口温度の下降速度が緩やかとなり、出口温度がホ―ルド領域から低負荷側に大きく外れるようなオ―バ―シュ―トの発生が未然に防止されることになる。
【0031】請求項7の発明では、上昇時間計時手段(TM4)により計測される出口温度がホ―ルド領域の上端値を越えてから上限値に達するまでに要する上昇時間が一定時間よりも短いときには、強制容量増大手段(56)により、出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させてただちに圧縮機(1)の容量を1ステップ増大させるよう制御される。すなわち、すなわち、利用側熱媒体の出口温度が負荷増大方向に変化しているときに、負荷が急激に増大したときにも、負荷の急激な増大が上昇時間から検知され、予め圧縮機(1)の容量が増大されるので、出口温度の上昇速度が緩やかとなり、出口温度がホ―ルド領域から高負荷側に大きく外れるようなオ―バ―シュ―トの発生が未然に防止されることになる。
【0032】請求項8の発明では、負荷の急激な減小又は増大が生じたときにも、強制容量低減手段(55)と強制容量増大手段(56)とにより、上記請求項6及び7の発明の作用が併せて得られることになる。
【0033】請求項9の発明では、信号出力手段(8)及び出口基準容量制御手段(51)により、上記請求項2の発明と同様に圧縮機(1)の容量が増減調節される。そのとき、出口温度が定常の変化パタ―ンを繰り返すような条件下で、出口温度がホ―ルド領域から負荷減小方向に変化してオ―バ―シュ―ト限界値に達した後、ふたたび負荷増大方向に変化してアップ領域に達したときには、パタ―ン変更手段(58)により、圧縮機(1)のロ―ドステップの最大値がオ―バ―シュ―ト限界値に達する前のロ―ドステップよりも1ステップだけ低減するように制御されるので、その後出口温度が緩やかに低負荷側に変化して、ホ―ルド領域を通過しても、オ―バ―シュ―ト限界値に達することなくふたたびホ―ルド領域側に戻る。したがって、利用側熱媒体の出口温度の変動範囲が小さくなり、利用側熱媒体の保有量如何に拘らず、制御が安定することになる。
【0034】請求項10の発明では、ホールド領域がごく狭い範囲に設定され、サンプリング時間がロード変化した運転状態が安定する最小時間程度にできるだけ短く設定されているので、急激な温度変化に対する追随性が向上するとともに、ロードダウン禁止手段(59)により、ダウン領域において最小ロードのときには、出口温度が下限制御点を越えるまでは圧縮機(1)のロードダウンつまり停止が禁止されるので、追随性の向上に伴う圧縮機(1)の頻繁な停止が回避され、制御の安定性が確保されることになる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0036】まず、請求項1、4および5の発明に係る第1実施例について、図4および図5に基づき説明する。図4は第1実施例における冷凍装置およびチラー回路の配管系統を示し、機械等の冷却液(水)が循環するチラ―回路(C)と、該チラ―回路(C)の冷却液を冷却するための冷凍装置(A)とが配置されている。該冷凍装置(A)は、圧縮機(1)と、熱源側熱交換器である凝縮器(2)と、減圧弁(3)と、蒸発器として機能し、制御対象としてのチラ―回路(C)の冷却液(利用側熱媒体)を冷却する利用側熱交換器である冷却器(4)とを備えていて、上記各機器(1)〜(4)をそれぞれ冷媒配管で接続してなる冷媒回路(5)が構成されている。
【0037】すなわち、冷凍装置(A)の運転時、圧縮機(1)から吐出された冷媒が凝縮器(2)で凝縮され、減圧弁(3)で減圧されて、冷却器(4)で蒸発した後、圧縮機(1)に戻るように循環することにより、冷却器(4)で冷媒との熱交換によりチラ―回路(C)の冷却液を冷却するようになされている。
【0038】ここで、上記圧縮機(1)は、図示しないがアンロ―ド機構又はインバ―タにより、その運転容量が定格容量の25,50,75,100%の4ステップに調節可能になされている。
【0039】そして、上記チラー回路(C)の冷却器(4)入口側の水配管には冷却液の入口温度Ti を検出する入口温度検出手段としての入口センサ(Thi)が配置され、チラー回路(C)の冷却器(4)出口側の水配管には冷却液の出口温度To を検出する出口温度検出手段としての出口センサ(Tho)が配置されている。
【0040】また、上記冷凍装置(A)には運転を制御するためのコントロ―ラ(9)が配置されており、該コントロ―ラ(9)には、CPU(9a)と、記憶手段としての記憶装置(9b)とが配設され、さらに、上記入口センサ(Thi)及び出口センサ(Tho)がそれぞれ信号線を介して接続されている。
【0041】ここで、上記コントロ―ラ(9)の制御内容について、図5のフロ―チャ―トに基づき説明する。図5は、25%ロ―ド運転中における冷却液の入口温度Tiと出口温度To との温度差(Ti −To )を媒体温度差ΔT25として記憶するための制御内容を示し、ステップST1で、上記出口センサ(Tho)で検出される冷却液の出口温度To が、安定領域の上限である第1設定温度Ts1と下限である第2設定温度Ts2との間になるまで待って、ステップST2で、後述の温度差Tn (n =1,2,3 )の更新を行い、ステップST3で、T1 =Ti −To として媒体温度差の演算をした後、ステップST4で、ΔT25=(T1 +T2 +T3 )/3として3回演算した値T1 ,T2 ,T3 の平均値を算出する。そして、ステップST5で、サンプリングタイムx秒が経過するまで待って、上記ステップST1に戻る。そして、上記の制御で得られた平均値ΔT25を対応媒体温度差として上記記憶装置(9b)に記憶するようになされている。なお、50%ロ―ド運転、75%ロ―ド運転、100%ロ―ド運転についても、上述と同じ手順により、対応媒体温度差ΔT50,ΔT75,ΔT100 が算出され、例えば、ΔT25=1.25(℃)、ΔT50=2.5(℃)、ΔT75=3.75(℃)、ΔT100 =5(℃)として、記憶装置(9b)に記憶するようになされている。
【0042】なお、チラー回路(C)の水量が異なると、同じ圧縮機(1)のロードステップに対応する対応媒体温度差ΔTnの値も変わってくるが、上記フローを絶えず繰り返すことで、そのときの水量における対応媒体温度差ΔTnの値が求められる。
【0043】上記フローにおいて、ステップST1からST2〜ST4に移行する制御により、請求項4の発明にいう記憶手段(9b)の機能が構成され、ステップST4の制御により、請求項5の発明にいう演算手段(53)が構成されている。
【0044】そして、上述の制御により求められた圧縮機(1)のロードステップと対応媒体温度差ΔTn(n=25,50,75,100)との関係は、例えば下記表1のごとく、上記記憶装置(9b)に記憶されている。
【0045】
【表1】
そして、上記コントローラ(9)により、この記憶内容に基づき、圧縮機(1)のロードステップが制御される。例えば現在50%ロードで、出口設定温度Tsが7℃のときに、入口温度To が13℃であったとすると、入口温度To と出口設定温度Tsとの温度差は、13−7=6(℃)となる。この温度差(6℃)に最も近い対応媒体温度差ΔTnは上記表1から6℃であり、そのときのロードステップは75%である。そこで、圧縮機(1)の容量を75%ロードに制御することにより、予測される出口温度To を設定出口温度Tsに最も近付けるようにしている。この制御により、請求項1の発明にいう入口基準容量制御手段(52)が構成されている。
【0046】したがって、上記第1実施例では、予め記憶装置(9b)に圧縮機(1)のロードステップとこれに対する入口温度Ti と出口温度To との温度差(対応媒体温度差ΔTn)との関係が記憶されており、この記憶内容に基づいて、入口基準容量制御手段(52)により、圧縮機(1)の容量が、入口温度Ti と出口設定温度Tsとの温度差に最も近い対応媒体温度差ΔTnを生ぜしめるロードステップにするよう制御される。すなわち、そのときの入口温度Ti から圧縮機(1)のロードステップを変更したときに予想される出口温度To が出口設定温度Tsに近付くように制御される。
【0047】ここで、単に出口温度To をサーモ制御するようしたものでは、水量が少ないときには、サンプリング中に温度が下がって停止することがしばしばあり、そのため、制御がハンチング状態となる虞れがある。一方、ハンチングを防止するにはディファレンシャルを大きくする必要があるが、反面ディファレンシャルを大きくすることで、ホールド領域の上限付近の設定温度Tsとは離れた温度で安定する虞れが生じる。したがって、運転状態によっては、水温を設定温度Tsに安定させることが困難となる。
【0048】それに対し、上記第1実施例では、そのときの水量に応じて記憶されるロードステップと入口温度Ti −出口温度To 間の対応媒体温度差ΔTnとの関係に基づいて、圧縮機(1)のロードステップが選択されるので、少ない水量範囲でも、出口温度To が設定温度Tsに近付くよう制御されることになる。したがって、圧縮機(1)の発停が少なくなり、制御のハンチング状態が回避され、水温制御の精度及び安定性が向上することになる。
【0049】また、上記図5のフロ―に示すように、冷却液の出口温度To が設定温度に近いときにおける入口温度Tiと出口温度To との温度差を対応媒体温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶するようにした場合、冷凍装置の性能は出口温度Toに大きく影響されることから、より正確な判断を行うことができる。
【0050】さらに、演算手段(53)により、入口センサ(Thi)及び出口センサ(Tho)により複数回検出された値を平均し、その平均値を対応媒体温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶装置(9b)に記憶するようにした場合、外気温度や冷却液温度の変化で冷凍装置の性能が変化してもその影響を受けることがない。さらに、負荷が急激に変動したとき、入口温度Ti は急激に上昇するが出口温度Toは未だ上昇していないので、そのときの温度差を対応媒体温度差として記憶すると、制御の精度が悪化する虞れが生じるが、複数回の検出値を平均することにより、そのような事態を回避し得る。よって、制御精度が顕著に向上することになる。
【0051】次に、請求項2の発明に係る第2実施例について、図6〜図8に基づき説明する。図6は第2実施例における冷凍装置及びチラ―回路の配管系統を示し、冷凍装置(A)の冷媒回路(5)およびチラー回路(C)の構成および配置されるセンサ類は上記図4に示す第1実施例の構成と同じである。
【0052】ここで、本第2実施例では、該出口センサ(Tho)の出力は、水温制御用サ―モスタットの制御部である温度調節器(8)に接続されている。すなわち、出口センサ(Tho)で検出される冷却液の冷却器(4)出口温度To を出口設定温度と設定時間(サンプリング時間)毎に比較して、温度調節器(8)から、上記圧縮機(1)の合計容量を増減変更するよう指令する指令信号を出力するようになされていて、該温度調節器(8)は信号出力手段としての機能を有するものである。一方、冷凍装置(A)のコントロ―ラ(9)には、CPU(9a)と、記憶手段としての記憶装置(9b)と、後述の第1〜第4タイマ(TM1)〜(TM4)とが配設され、さらに、上記入口センサ(Thi)及び温度調節器(8)がそれぞれ信号線を介して接続されている。
【0053】ここで、上記温度調節器(8)には、3つのスイッチ(Y1 )〜(Y3 )が配置されている。上記スイッチ(Y1 ),(Y2 )は、図7に示すように、水温の変化に対して互いに所定のディファレンシャルΔT(例えば2℃程度の温度差)を有する2つの第1,第2設定温度Ts1,Ts2(ただし、Ts1>Ts2で、それぞれ例えば7℃,5℃程度の値)に基づいて、該設定温度Ts1,Ts2とは所定の個別ディファレンシャル(例えば0.4℃程度の値) dT1 , dT2 をもってオン・オフを切換える2つの出力1,2を出力するものである。すなわち、出力1は、水温の上昇時には設定温度Ts1に達するとオンからオフに切換わる一方、水温の下降時には温度(Ts1− dT1 )に達するとオフからオンに切換わり、出力2は、水温の下降時には設定温度Ts2に達するとオンからオフに切換わる一方、水温の上昇時には温度(Ts2+ dT2 )に達すると、オフからオンに切換わるようになされている。
【0054】そして、この各スイッチ(Y1 ),(Y2 )の出力1,2の組合わせに応じて、温度調節器(8)からコントロ―ラ(9)に対して下記表2に示すような圧縮機(1)の容量制御のための指令信号を出力するようになされている。すなわち、出力1がオンで出力2がオフであれば、水温が低い状態にあるため圧縮機(1)の合計容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号を、出力1,2がいずれもオンであれば、水温が設定領域にあるため現在の合計容量を維持するよう指令するキ―プ信号を、出力1がオフで出力2がオンであれば、水温が高いため合計容量を増大するよう指令するロ―ドアップ信号を出力する。つまり、ディファレンシャルを無視した場合、上記設定温度Ts1−Ts2間はキ―プ信号が出力されるホ―ルド領域であり、該ホ―ルド領域の上端値(第1設定温度)Ts1よりも高温側つまり高負荷側の領域がアップ信号が出力されるアップ領域であり、ホ―ルド領域の下端値(第2設定温度)Ts2よりも低温側つまり低負荷側の領域がダウン信号が出力されるダウン領域となっている。
【0055】
【表2】
なお、上記表2で出力1,2がいずれもオフである場合つまり下限値Tl 以下の場合には、凍結防止のためのいわゆる凍防運転をするようなされている。
【0056】さらに、上記スイッチ(Y3 )は、図7に示すように、ホ―ルド領域の上端値である第1設定温度Ts1よりも所定温度幅B(例えば2.3℃程度の値)だけ高負荷側の上限値Tu と、ホ―ルド領域の下端値である第2設定値Ts2よりも所定温度幅Bだけ低負荷側の下限値Tb との間で出力値を切換える出力3を出力するようになされている。すなわち、設定温度付近ではオフであって、水温が上昇して高温領域に入り上限値Tu に達するとオンになり上限信号を発する一方、その状態から水温が下降して上記上限値Tu よりも所定のディファレンシャル dT3(例えば0.3℃程度の値)だけ低い値(Tu − dT3 )に達するとオフに切換わり上記上限信号を解除する。また、水温の低温領域において、水温が下降して上記下限値Tb に達するとオンになり下限信号を発する一方、その状態から水温が上昇して上記下限値Tb よりも所定のディファレンシャル dT4 (例えば0.3℃程度の値)だけ高い値(Tb + dT4 )に達するとオフに切換わり上記下限信号を解除するようになされている。
【0057】ここで、上記コントロ―ラ(9)により、上記図5のフロ―と同様の制御が行われ、複数回検出された入口温度Ti と出口温度To の温度差を平均して、その平均値を対応冷媒温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶装置(9b)に記憶するようになされている。
【0058】次に、図8のフロ―チャ―トは冷却運転時における制御内容を示し、ステップST11で、出口温度To と第2設定温度Ts2との大小関係を比較して、To <Ts2であれば、ダウン領域にあると判断して、ステップST12に進み、ロ―ドダウン用の第2タイマ(TM2)がカウントアップするまで待って、ステップST13で、例えば45秒程度の設定時間を有するロ―ドダウン用の第2タイマ(TM2)をリセットした後、ステップST14で、0%ロ―ドにつまり圧縮機(1)を停止させる。
【0059】また、上記ステップST11の判別で、To <Ts2でなければ、ステップST15に移行して、例えば180秒程度の設定時間を有するロ―ドアップ用の第1タイマ(TM1)がカウントアップしたか否かを判別し、第1タイマ(TM1)がカウントアップすると、ステップST16に進んで、To ≧Ts1か否かつまりアップ領域にあるか否かを判別し、To ≧Ts1でなければ、ホ―ルド領域にあると判断して、ステップST17で第1タイマ(TM1)をリセットして上記ステップST11に戻り、To ≧Ts1であれば、アップ領域にあると判断して、ステップST18で50%ロ―ド運転にするよう指令するロ―ドアップ信号を出力する。つまり、通常のル―チンにしたがった制御を行う。
【0060】一方、ステップST15の判別で、ロ―ドアップ用の上記第1タイマ(TM1)がカウントアップするまでの間、負荷が大きいのに冷却能力が小さくて制御の遅れが生じるのを防止すべく、ステップST19で、上記入口センサ(Thi)で検出される冷却液の入口温度Ti が、第1設定温度Ts1と上記図5の制御で求められ記憶装置(9b)に記憶される媒体温度差ΔT50とを加算した値(Ts1+ΔT50)以上か否かを判別する。そして、Ti ≧Ts +ΔT50であれば、能力が大きく不足していると判断して、ステップST20に移行し、上記第1タイマ(TM1)のカウントを無視してただちに50%ロ―ド運転に移行する。
【0061】上記フロ―において、ステップST11〜ST18の制御により、請求項2の発明にいう出口基準容量制御手段(51)が構成され、ステップST19からST20に移行する制御により、請求項2の発明にいう入口基準容量制御手段(52A)が構成されている。なお、上記実施例では、25%運転時について説明したが、50%,75%運転についても同様の制御が行われ、順次圧縮機(1)のロ―ドステップを増大するようになされている。
【0062】したがって、上記第2実施例では、冷凍装置の運転時、冷却器(4)において、冷媒との熱交換によってチラ―回路(C)の冷却水が冷却される。そのとき、温度調節器(信号出力手段)(8)により、出口センサ(Tho)で検出される冷却器(4)出口温度To が出口設定温度(Ts1及びTs2)と設定時間毎に比較され、出口温度To がアップ領域にあるときにはロ―ドアップ信号が、ダウン領域にあるときにはロ―ドダウン信号が、ホ―ルド領域があるときにはキ―プ信号が出力され、出口基準容量制御手段(51)により、その信号に応じて圧縮機(1)のロ―ドステップが増減変更されて、冷却液の冷却器(4)出口温度To が設定温度付近に維持するよう制御される。
【0063】そのとき、外部条件の変化等により急激に負荷が変動すると、設定時間毎に圧縮機(1)のロ―ドステップの変更を行っていたのでは、制御の時間遅れが生じることがある。特に、冷却液温度To (出口温度)が上昇し過ぎたときに出口設定温度付近にまで冷却する場合には、冷却のための時間が過大になる虞れがある。ここで、本発明では、入口センサ(Thi)で検出される冷却液の入口温度Tiと出口センサ(Tho)で検出される冷却液の出口温度To との温度差ΔTについて、圧縮機(1)の各ロ―ドステップ100%,75%,…での運転時における値が対応媒体温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶装置(9b)に記憶され、入口基準容量制御手段(52A)により、冷却液の入口温度Ti と出口設定温度(第1設定温度Ts1)との温度差(Ti −Ts1)が、記憶装置(9b)に記憶されるいずれかのロ―ドステップの対応媒体温度差ΔT100 ,ΔT75,…よりも大きいときには、出口基準容量制御手段(51)による制御を待つことなくただちに圧縮機(1)の容量増大が行われるので、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間が短縮されるとともに、制御の追随性が向上する。このとき、冷凍装置の実際の運転時における入口温度Ti −出口温度To 間の対応媒体温度差を考慮しているので、冷凍装置の据付け条件や冷媒充填量等の条件に応じた正確なデ―タから必要なロ―ドステップが判断されることになり、制御精度の向上を図ることができるのである。
【0064】次に、請求項3の発明に係る第3実施例について、図9に基づき説明する。本実施例においても、冷媒配管系統等の冷凍装置(A)の構成は上記第1実施例と同様である。また、上記図5のフロ―と同様の制御により、複数回検出された入口温度Ti と出口温度To の温度差を平均して、その平均値を対応冷媒温度差ΔT100 ,ΔT75,…として記憶装置(9b)に記憶するようになされている。
【0065】図9は50%運転中における圧縮機(1)の容量制御の内容を示し、ステップSR1で、冷却液の出口温度To と第2設定温度Ts2とを大小比較し、To <Ts2でなければ、ホ―ルド領域又はアップ領域にあると判断して、ステップSR2以下の制御を行う。まず、ステップSR2で、ロ―ドアップ用の第1タイマ(TM1)がカウントアップしたか否かを判別し、カウントアップすると、ステップSR3に進んで、To ≧Ts1か否かを判別し、To ≧Ts1でなければホ―ルド領域にあると判断して、ステップSR4で第1タイマ(TM1)をリセットして上記ステップSR2の制御に戻り、To ≧Ts1になると、アップ領域に移行したと判断して、ステップSR5に移行し、圧縮機(1)の容量を75%にロ―ドアップする。
【0066】ここで、上記ステップSR2の判別で第1タイマ(TM1)がタイムアップするまでは、ステップSR6に移行し、ステップSR6で、To ≧Ts1+δ100-50(ただし、δ100-50=ΔT100 −ΔT50)か否か、つまり、出口温度To と出口設定温度(第1設定温度)Ts1との差温(To −Ts1)が、高容量側のロードステップの対応媒体温度差ΔT100 と当該ロードステップにおける対応媒体温度差ΔT50との偏差δ100-50よりも大きいか否かを判別し、To ≧Ts1+δ100-50(つまり、To −Ts1≧ΔT100 −ΔT50)であれば、急激に負荷が増大したと判断して、ステップSR7に移行して100%ロ―ド運転を行う。そして、To ≧Ts1+δ100-50でなければ、ステップSR8に進んで、To ≧Ts1+δ75-50 (ただし、δ75-50 =ΔT75−ΔT50)か否かを判別し、To ≧Ts1+δ75-50 であれば、ステップSR9に移行して75%ロ―ド運転を行う。また、To ≧Ts1+δ75-50 でなければ、ステップSR1に戻って、上記ステップSR1以下の制御を繰り返す。
【0067】一方、上記ステップSR1の判別で、To <Ts2であれば、ダウン領域にあると判断して、ステップSR10に移行し、ロ―ドダウン用の第2タイマ(TM2)がカウントアップしたか否かを判別し、第2タイマ(TM2)がカウントアップすると、能力を低減する必要があると判断して、ステップSR11で第2タイマ(TM2)をリセットした後、ステップSR12で25%ロ―ド運転を行う。そして、上記ステップSR10の判別で第2タイマ(TM2)がタイムアップするまでは、ステップSR13に進み、To <Ts2−δ50-25 (ただし、δ50-25 =ΔT50−ΔT25)か否かを判別し、To <Ts2−δ50-25 (つまり、Ts2−To >ΔT50−ΔT25)であれば、急激に負荷が減少したと判断して、ステップSR14に移行し、第2タイマ(TM2)のタイムアップを待つことなく25%ロ―ド運転を行う。
【0068】上記フロ―において、ステップSR1〜SR5及びステップSR10〜SR12の制御により、出口基準容量制御手段(51)が構成され、ステップSR6〜SR9の制御により、請求項3の発明にいう入口基準容量制御手段(52B)が構成されている。
【0069】したがって、上記第3実施例では、冷凍装置の運転中、出口基準容量制御手段(51)により、上記第2実施例と同様の圧縮機(1)の容量調節制御を行っている間に、負荷が急激に増減したときには、冷却液の出口温度To が急激に上昇又は下降し、出口温度To と出口設定温度との差温が増大するが、通常の出口基準容量制御手段(51)による制御では、容量を変更するには設定時間が経過するまで待たなければならず、しかも1ステップずつしか変更されないので、急激な負荷の変化に追随できずに制御性能が悪化する虞れがある。ここで、上記第3実施例では、入口基準容量制御手段(52B)により、あるロードステップ(例えば50%)における出口温度To と出口設定温度(上記実施例では第1設定温度Ts1)との差温が、高容量側のロ―ドステップ(例えば100%)における対応媒体温度差ΔT100 と当該容量における対応媒体温度差ΔT50との偏差δ100-50よりも大きいときには、強制的に圧縮機(1)の容量が高容量側のロードステップまで増大されるので、急激な負荷の変化に追随した冷却器(4)の能力制御を行うことができ、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間を短縮できるとともに、追随性の向上によりオ―バ―シュ―トを抑制することができるのである。
【0070】次に、請求項6〜8の発明に係る第4実施例について、図10〜図12に基づき説明する。本実施例においても、冷媒配管系統等の冷凍装置(A)の構成は上記第1実施例と同様である。ここで、図10は冷却液の出口温度To の時間変化を示し、図中Ts1,Ts2,Tu ,Tb は上記図6に示す温度調節器(8)の各スイッチ(Y1 )〜(Y3 )からの出力1〜3の変化範囲に対応するものである。
【0071】図11は圧縮機(1)の容量をロ―ドステップ100%からロ―ドダウンさせる場合の制御内容を示し、冷却液の温度を低下させるプルダウン運転中、出口温度To が図10の実線(l1 )に示すごとく低下して上限値Tu 以下になり(図10のD点)、ステップSP1で上限警報が出力されると、ステップSP2で、上記第3タイマ(TM3)のカウントを開始し、さらに、ホ―ルド領域の上端値Ts1以下になると(図10のE点)、ステップSP3で上記温度調節器(8)の出力1がオンとなり、ステップSP4で、第3タイマ(TM3)のカウントを停止させ、ステップSP5で、このときの第3タイマ(TM3)のカウント時間t1 を上限値Tu からホ―ルド領域の上端値Ts1に達するまでに要する時間(下降時間)t1 として入力する。そして、ステップSP6で、上記下降時間t1 と予め設定された一定時間td とを比較し、t1 <td でなければそのままのロ―ドステップで圧縮機の運転を継続する一方、t1 <td であれば、ステップSP7で、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップだけ低下させる。
【0072】上記フロ―において、ステップSP7の制御により、強制容量低減手段(55)が構成されている。
【0073】次に、図12は圧縮機(1)の容量をロ―ドステップ50%からロ―ドアップさせる場合の制御内容を示し、圧縮機(1)をロ―ドステップ50%で運転中、図8の破線(l2 )に示すように、ステップSP11で、冷却液の出口温度Toがホ―ルド領域の上端値Ts1を越えると(図10のI点)、温度調節器(8)の出力1がオフとなり、ステップSP12で、第4タイマ(TM4)のカウントを開始し、冷却液の出口温度To が上限値Tu 以上になると(図10のJ点)、ステップSP13で、上限警報が出力され、ステップSP14で、第4タイマ(TM4)のカウントを停止させ、ステップSP15で、そのときの第4タイマ(TM4)のカウント値を上昇時間t2 として入力する。そして、ステップSP16で、t2 <tu (tu は一定時間)か否かを判別し、t2 <tu でなければそのままのロ―ドで圧縮機(1)を運転する一方、t2 <tu になると、ステップSP17で、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップだけ増大させる(つまり、75%ロ―ドにする)。
【0074】以上のフロ―において、ステップSP17の制御により、請求項7の発明にいう強制容量増大手段(56)が構成されている。
【0075】したがって、上記第4実施例では、信号出力手段である温度調節器(8)により、冷却液の出口温度To がホ―ルド領域よりも高いアップ領域まで上昇すると、圧縮機(1)の容量を増大させるアップ信号が出力され、ホ―ルド領域よりも低いダウン領域まで低下すると、圧縮機(1)の容量を低減させるダウン信号が出力され、ホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号が出力されて、出口基準容量制御手段(51)により、設定時間毎にその指令に応じて圧縮機(1)の容量が増減調節される。
【0076】その場合、図10の実線(l1 )に示すごとく緩やかに出口温度To が変化する場合には、ホ―ルド領域に入った後(図中のE点)、ホ―ルド領域の下端値Ts2に達すると(図中のF点)、ダウン信号が出力されて、圧縮機(1)の容量が低減され、その後出口温度To が上昇してホ―ルド領域から大きく外れることなく制御される。しかし、負荷の急激な減小により出口温度To が急激に低下した場合、例えば図10の破線(l2 )に示すごとくアップ領域からホ―ルド領域に突入したときにも、圧縮機(1)の容量をそのまま維持すると、出口温度To がホ―ルド領域を越えて大きなオ―バ―シュ―トを生じ、引いては下限値Tb に達して凍結防止サ―モが作動する虞れがある。
【0077】ここで、上記第4実施例では、第3タイマ(下降時間計時手段)(TM3)で計測される上限警報解除(図中のG点)からホ―ルド領域突入(図中のH点)までに要する下降時間t1 が一定時間td よりも短いとき、強制容量低減手段(55)により、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ低減するよう制御されるので、図10の破線(l2 )に示すごとく、平均的な出口温度To の下降速度が緩やかとなり、オ―バ―シュ―トが有効に防止されることになる。
【0078】同様に、負荷が急激に増大して冷却液の出口温度To が急上昇する場合、出口基準容量制御手段(51)により、設定時間毎に出口温度To と設定温度Ts1及びTs2とを比較して、圧縮機(1)の容量を制御していたのでは、図8の破線(l2 )に示すようにホ―ルド領域の上端値Ts1から外れても、設定時間が経過してからでないと圧縮機(1)がロ―ドアップされないので、その間に出口温度To がホ―ルド領域からアップ領域側に大きくオ―バ―シュ―トする虞れがある。
【0079】ここで、上記第4実施例では、第4タイマ(上昇時間計時手段)(TM4)により計測される出口温度To がホ―ルド領域の上端値Ts1を越えてから(図8のI点)、上限値Tu に達するまで(図中のJ点)に要する時間(上昇時間)t2 が一定時間tu よりも短いときには、強制容量増大手段(56)により、設定時間が経過するまで待つことなくただちに圧縮機(1)の容量を1ステップ増大させるよう制御されるので、冷凍能力が増大し、急激な負荷の増大が生じたときにも、出口温度To がホ―ルド領域から大きく外れるのを未然に防止することができるのである。
【0080】次に、請求項9の発明に係る第5実施例について、図14に基づき説明する。本実施例においても、冷凍装置(A)の冷媒配管系統,温度調節器(8)及びコントロ―ラ(9)等の構成は上記第1,第2実施例と同様である。
【0081】ここで、上記温度調節器(8)及びコントロ―ラ(9)による制御の内容について説明する。図14R>4に示すように冷却液の出口温度To が一定の上昇,低下パタ―ンを繰り返しているとき、圧縮機(1)がロ―ドステップ100%でアップ領域からホ―ルド領域に突入した後(図中のL点)、ホ―ルド領域の下限値Ts2を越えてダウン領域に突入すると(図中のM点)、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップだけダウンし(75%)、その後ダウン領域内でロ―ドダウン用の第2タイマ(TM2)がタイムアップする毎に(図中のN点及びO点)圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップずつ低減させ、最終的に圧縮機(1)のロ―ドステップを25%に低減する。そして、出口温度To が上昇してホ―ルド領域に入った後アップ領域に入ると(図中のP点)、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップだけ増大させるアップ信号を出力し(50%)、さらに、アップ領域への滞在中にサンプリング時間が経過すると、圧縮機(1)のロ―ドステップを1ステップずつ増大させるアップ信号を出力し、その後ロ―ドアップ用の第1タイマ(TM1)がタイムアップする毎に圧縮機(1)のロ―ドステップを75%,100%と1ステップずつ増大する(それぞれ図中のQ,R点)。そして、その後、上述の仮定と同様の出口温度To の変化パタ―ンが繰り返される。
【0082】ここで、請求項9の発明の特徴として、冷却液の出口温度To が上述のようにホ―ルド領域,アップ領域及びダウン領域の間で一定の上昇,下降パタ―ンを繰り返している条件下において、出口温度To の下降時、出口温度To がホ―ルド領域を越えて、ホ―ルド領域の下端値Ts2よりも所定値だけ低負荷側に設定されたオ―バ―シュ―ト値Tssに達したときには、そのことを記憶装置(9b)に記憶し、その後出口温度To が上昇してアップ領域に達したときには、圧縮機(1)の最大ロ―ドをオ―バ―シュ―ト値Tssに達する前のホ―ルド領域におけるロ―ドステップ、つまり100%よりも1ステップだけ低減させ、75%とするようにしている。この制御により、請求項9の発明にいうパタ―ン変更手段(58)が構成されている。
【0083】その場合、上記のような温度調節器(8)により、冷却液の出口温度To を設定時間毎にサンプリングして、出口基準容量制御手段(51)により圧縮機(1)の容量を増減調節すると、その定常状態における変化パタ―ンは主としてチラ―回路(C)の保有水量に依存する。すなわち、サンプリング時間は一定であるので、冷却液の保有水量が少ないときには相対的にサンプリング時間が長いのと同様の効果を示し、冷却液温度To がホ―ルド領域以下に低下したときに、容量の低減が遅れる結果、出口温度To がオ―バ―シュ―ト限界値Tssを越えて、図12の凍結防止サ―モの作動値Tb に達する虞れがある。また、保有水量が多いときには、相対的にサンプリング時間が短いときと同様の効果を示し、例えば出口温度To がアップ領域にある間にロ―ドアップされる頻度が高くなる結果、容量が過大になり、出口温度To が低下するときにホ―ルド領域を急速に通過して、凍結防止サ―モを作動させる虞れがある。
【0084】それに対して、上記第5実施例では、出口温度To が定常の変化パタ―ンを繰り返すような条件下で、出口温度To がホ―ルド領域から低下してオ―バ―シュ―ト限界値Tssに達した後、ふたたび上昇してアップ領域に達したときには、パタ―ン変更手段(58)により、容量制御手段(57)の制御を強制的に停止させて、圧縮機(1)のロ―ドステップの最大値をオ―バ―シュ―ト限界値Tssに達する前のロ―ドステップよりも1ステップだけ低減するように制御されるので、出口温度To は、その後、図14の破線に示すように、緩やかに低下してホ―ルド領域に入り、ホ―ルド領域の下端値Ts2に達してから(図中のS点)、オ―バ―シュ―ト限界値Tssに達することなくふたたびホ―ルド領域に戻ることになる。したがって、冷却液の出口温度To の変動範囲が小さくなり、その安定化を図ることができる。
【0085】次に、請求項10の発明に係る第6実施例について、図16に基づき説明する。本第6実施例においても、冷凍装置(A)、コントローラ(B)及びチラー回路(C)の構成は上記第1,第2実施例と同様である。
【0086】図16は、第6実施例におけるステップ制御の内容を示し、出口温度の設定値Tsに対し、Ts±0.5℃のごく狭い範囲がホールド領域となり、その下端値Ts−0.5(℃)以下が圧縮機(1)のロードステップを1ステップずつ低減させるダウン領域となっている。そして、Ts−1(℃)の点を下限制御点とし、圧縮機(1)のロードステップが最低ロード(25%)であるときには、下限制御点Ts−1(℃)以下になるまでロードダウンを禁止するようにしている。なお、このホールド領域を無くすようにしてもよい。
【0087】ここで、図16に基づき具体的な制御手順を説明する。この制御では、サンプリング時間をできるだけ短くし、ロード変化したときに運転状態が安定する最小時間程度として、急激な温度変化に対応しうるようにしている。そして、Ts+0.5(℃)以上のアップ領域では、100%にロードに達するまではサンプリング時間が経過するごとに1ステップずつロードアップし、出口温度To が下降して、ホールド領域に突入すると(図中の時刻t1 )、ロードステップはそのままに維持し、ダウン領域に達した後(図中の時刻t2 )は、サンプリング時間が経過するごとに1ステップずつロードダウンする。一方、出口温度To が上昇する際には、下降時と同様に、ホールド領域Ts±0.5(℃)ではそのままのロードステップを維持し、アップ領域に達すると(図中の時刻t3 )、サンプリング時間が経過するごとに1ステップずつロードアップする。さらに、このような出口温度To のアップダウンを繰り返しているうちに、ダウン領域で、圧縮機(1)が最小ロード(25%ロード)になると(図中の時刻t4 )、その後はサンプリング時間が経過してもロードダウンつまり停止をさせることなく、最小ロードを維持する(図中の時刻t5 ,t6 )。
【0088】ただし、図中の破線で示すように、最小ロードの状態で下限制御点Ts−1(℃)を越えると、圧縮機(1)を停止させる。
【0089】以上の制御において、ダウン領域で最小ロード(25%ロード)のときには圧縮機(1)のロードをそのままに維持する制御により、請求項10の発明にいうロードダウン禁止手段(59)が構成されている。
【0090】したがって、上記第6実施例では、ホールド領域がごく狭い範囲に設定され、サンプリング時間がロード変化した運転状態が安定する最小時間程度にできるだけ短く設定されているので、急激な温度変化に対する追随性が向上するとともに、ロードダウン禁止手段(59)により、ダウン領域において最小ロードのときには、出口温度To が下限制御点を越えるまでは圧縮機(1)のロードダウンつまり停止が禁止されるので、追随性の向上に伴う圧縮機(1)の頻繁な停止を回避することができ、制御の安定性が確保されることになる。
【0091】なお、上記各実施例では、冷媒との熱交換を行う利用側熱媒体をチラ―回路(C)の冷却液とした場合について説明したが、本発明の利用側熱媒体は斯かる実施例に限定されるものではなく、例えば給湯設備の温水を利用側熱交換器で加熱するような場合や、室内空気を加熱又は冷却する冷暖房運転を行うようにした空気調和装置についても適用し得るものである。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機と、熱源側熱交換器と利用側熱交換器とを備えた冷凍装置の運転制御装置として、圧縮機の各ロ―ドステップでの運転時における利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶し、この記憶内容に基づいて、圧縮機の容量を、入口温度と出口設定温度との温度差に最も近い対応媒体温度差を生ぜしめるロードステップにするようにしたので、そのときの入口温度から圧縮機のロードステップを変更したときに予想される出口温度が出口設定温度に近付くように制御され、利用側熱媒体の流量が少ない範囲でも、出口温度が設定温度に近付くよう制御されることで、圧縮機の発停頻度を低減し、制御のハンチング状態を回避することができ、よって、制御の精度及び安定性の向上を図ることができる。
【0093】請求項2の発明によれば、運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機と、熱源側熱交換器と利用側熱交換器とを備えた冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、その信号に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、圧縮機の各ロ―ドステップでの運転時における利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶し、利用側熱媒体の入口温度と出口設定温度との温度差が、記憶されるいずれかのロ―ドステップの対応媒体温度差よりも大きいときには、ただちに圧縮機をそのロ―ドステップに変更させるようにしたので、当該冷凍装置の実際の性能を考慮して判断される適正なロ―ドステップで運転され、制御精度の向上を図りつつ、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間を短縮し、かつ制御の追随性の向上を図ることができる。
【0094】請求項3の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、この指令に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、圧縮機の各ロ―ドステップにおける利用側熱媒体の出口温度と入口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶し、あるロードステップにおける利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度との差温が、高容量側のロードステップにおける対応媒体温度差と当該ロ―ドステップにおける対応媒体温度差との偏差よりも大きくなったときには、圧縮機のロ―ドを当該高容量側のロ―ドステップまで変更するようにしたので、急激な負荷の変化に対して制御遅れを招くことなく冷凍能力の制御が行われ、プルダウン運転時にはプルダウンに要する時間を短縮し得るとともに、出口温度のホ―ルド領域からのオ―バ―シュ―トを抑制することができる。
【0095】請求項4の発明によれば、上記請求項1,2又は3の発明において、利用側熱媒体の出口温度が出口設定温度に近いときにおける入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶するようにしたので、出口温度により影響を受ける冷凍装置の性能が略等しい条件下で、温度差の大小関係を比較することができ、より正確な判断を行うことができる。
【0096】請求項5の発明によれば、上記請求項1,2,3又は4の発明において、複数回検出した入口温度と出口温度との温度差を平均し、その平均値を対応媒体温度差として記憶するようにしたので、外気温度や冷却液温度の変化による冷凍装置の性能の変化の影響を受けることなく、負荷の急激な変動による制御応答の遅れに起因する検出値のバラツキを均すことができ、よって、制御精度の顕著な向上を図ることができる。
【0097】請求項6の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、この指令に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、利用側熱媒体の出口温度の負荷減小方向への変化時、出口温度が所定の上限値からホ―ルド領域の上端値に達するまでの下降時間が一定時間よりも短いときには、ただちに圧縮機の容量を1ステップだけ低減するようにしたので、負荷が急に減小したようなときにも、大きなオ―バ―シュ―トの発生を未然に防止することができる。
【0098】請求項7の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、この指令に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、出口温度がホ―ルド領域の上端値を越えてから上限値に達するまでに要する上昇時間が一定時間よりも短いときには、ただちに圧縮機の容量を1ステップ増大させるようにしたので、負荷が急に増大したようなときにも、大きなオ―バ―シュ―トの発生を未然に防止されることになる。
【0099】請求項8の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、上記請求項6の発明と同様の圧縮機の容量の増減調節を行うとともに、利用側熱媒体の出口温度の急激な負荷減小方向への変化時には上記請求項6の発明と同様の容量低減を行い、さらに、出口温度の急激な負荷増大方向への変化時に請求項7の発明と同様の容量増大を行うようにしたので、上記請求項6及び7の発明の作用を併せて得ることができる。
【0100】請求項9の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、利用側熱媒体の出口温度がホ―ルド領域,アップ領域,ダウン領域のいずれにあるかによって、設定時間毎に、キ―プ信号,アップ信号,ダウン信号を出力し、この指令に応じて圧縮機の容量を増減調節するとともに、出口温度が定常の変化パタ―ンを繰り返すような条件下で、出口温度がホ―ルド領域から低負荷側に変化してオ―バ―シュ―ト限界値に達した後、ふたたび負荷増大側に変化してアップ領域に達したときには、圧縮機のロ―ドステップの最大値をオ―バ―シュ―ト限界値に達する前のロ―ドステップよりも1ステップだけ低減するようにしたので、その後出口温度が緩やかに低負荷側に変化してホ―ルド領域を通過しても、オ―バ―シュ―ト限界値に達することなくふたたびホ―ルド領域側に戻すことができ、よって、利用側熱媒体の出口温度の変動範囲を小さく抑制して、その安定化を図ることができる。
【0101】請求項10の発明によれば、冷凍装置の運転制御装置として、出口温度と出口設定温度とを、ロード変化した運転状態が安定する最小時間程度に短く設定された設定時間毎に比較して、出口設定温度のごく近辺に設けられた狭幅のホ―ルド領域では圧縮機の容量をそのまま維持し、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機の容量を1ステップずつ増大させ、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機の容量を1ステップずつ低減させるとともに、ダウン領域において圧縮機が最小ロードのときには、出口温度が下限制御点に達するまで、圧縮機のロードダウンを禁止するようにしたので、急激な温度変化に対する追随性の向上を図ることができるとともに、追随性の向上に伴う圧縮機の頻繁な停止を回避することで、制御の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1又は5の発明の構成を示すブロック図である。
【図2】請求項2〜5の発明の構成を示すブロック図である。
【図3】請求項6〜7の発明の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施例に係る冷凍装置及びチラー回路の配管系統図である。
【図5】第1実施例に係る対応媒体温度差の平均値算出のための制御内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図6】第2実施例に係る冷凍装置の及びチラー回路の配管系統図である。
【図7】第2実施例に係る温度調節器のスイッチの切換特性図である。
【図8】第2実施例に係る圧縮機の25%ロ―ド運転における容量制御の内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図9】第3実施例に係る圧縮機の50%ト―ド運転における容量制御の内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図10】第4実施例に係る冷却液出口温度の時間変化を示す図である。
【図11】第4実施例に係る圧縮機の100%ロ―ド運転における容量低減制御の内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図12】第4実施例に係る圧縮機の50%ロ―ド運転における容量増大制御の内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図13】請求項9の発明の構成を示すブロック図である。
【図14】第5実施例に係る冷却液出口温度の時間変化を示す図である。
【図15】請求項10の発明の構成を示すブロック図である。
【図16】第6実施例に係る制御による出口温度の時間変化を示す図である。
【符号の説明】
1 圧縮機
2 熱源側熱交換器
4 利用側熱交換器
8 温度調節器(信号出力手段)
9b 記憶装置(記憶手段)
51 出口基準容量制御手段
52 入口基準容量制御手段
53 演算手段
55 強制容量低減手段
56 強制容量増大手段
58 パタ―ン変更手段
59 ロードダウン禁止手段
Thi 入口センサ(入口温度検出手段)
Tho 出口センサ(出口温度検出手段)
TM3 第3タイマ(下降時間計時手段)
TM4 第4タイマ(上昇時間計時手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の入口温度を検出する入口温度検出手段(Thi)と、該入口温度検出手段(Thi)及び上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、上記圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における上記利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶する記憶手段(9b)と、上記記憶手段(9b)の記憶内容に基づき、圧縮機(1)のロードステップを、上記入口温度検出手段(Thi)で検出される入口温度と出口設定温度との温度差に最も近い対応媒体温度差に対応するロードステップにするよう制御する入口基準容量制御手段(52)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項2】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(8)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の入口温度を検出する入口温度検出手段(Thi)と、該入口温度検出手段(Thi)及び上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、上記圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における上記利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶する記憶手段(9b)と、上記入口温度検出手段(Thi)の出力を受け、入口温度と上記出口設定温度との温度差が上記記憶手段(9b)に記憶される各ロ―ドステップの高容量側のロ―ドステップにおける対応媒体温度差よりも高負荷側にあるときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を停止させて、ただちに当該高容量側のロ―ドステップまで上記圧縮機(1)の容量を増大させるよう変更する入口基準容量制御手段(52A)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項3】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(8)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の入口温度を検出する入口温度検出手段(Thi)と、該入口温度検出手段(Thi)及び上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、上記圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における上記利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶する記憶手段(9b)と、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、あるロードステップにおける出口温度と出口設定温度との差温が上記記憶手段(9b)に記憶される高容量側のロードステップにおける対応媒体温度差と当該ロードステップにおける対応媒体温度差との偏差よりも大きいときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて圧縮機(1)の容量を当該高容量側のロ―ドステップまで変更させる入口基準容量制御手段(52B)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項4】 請求項1,請求項2又は請求項3記載の冷凍装置の運転制御装置において、記憶手段(9b)は、利用側熱媒体の出口温度がその設定温度に近いときに記憶するものであることを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項5】 請求項1,請求項2,請求項3又は請求項4記載の冷凍装置の運転制御装置において、入口温度検出手段(Thi)及び出口温度検出手段(Tho)により複数回検出された利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差の平均値を演算する演算手段(53)を備え、記憶手段(9b)は該演算手段(53)で演算された利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差の平均値を対応媒体温度差として記憶するものであることを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項6】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(8)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷減小方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値からホ―ルド領域の上端値に達するまでの降下時間を計測する降下時間計時手段(TM3)と、該降下時間計時手段(TM3)で計測される上記下降時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ低減させる強制容量低減手段(55)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項7】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(9b)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷増大方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値からホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値に達するまでの上昇時間を計測する上昇時間計時手段(TM4)と、該上昇時間計時手段(TM4)で計測される上記上昇時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ増大させる強制容量増大手段(56)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項8】 請求項6記載の冷凍装置において、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷増大方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値からホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値に達するまでの上昇時間を計測する上昇時間計時手段(TM4)と、該上昇時間計時手段(TM4)で計測される上記上昇時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ増大させる強制容量増大手段(56)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項9】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(9b)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、利用側熱媒体の出口温度が定常の変化パタ―ンを繰り返す条件下において、出口温度の負荷減小方向への変化時、出口温度がホ―ルド領域を越えて、ホ―ルド領域の下端値よりも所定値だけ低負荷側に設定されたオ―バ―シュ―ト値に達した後、負荷増大方向に変化してアップ領域に達したときには、圧縮機(1)の最大ロ―ドをオ―バ―シュ―ト値に達する前のホ―ルド領域におけるロ―ドステップよりも1ステップだけ低減させるパタ―ン変更手段(58)を備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項10】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを、ロード変化した運転状態が安定する最小時間程度に短く設定された設定時間毎に比較して、出口設定温度のごく近辺に設けられた狭幅のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(9b)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、ダウン領域において圧縮機(1)の容量が最小ロードのときには、利用側熱媒体の出口温度が上記ホールド領域の下端から一定温度低い下限制御点に達するまで、上記出口基準容量制御手段(51)による圧縮機(1)のロードダウンを禁止するロードダウン禁止手段(59)を備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項1】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の入口温度を検出する入口温度検出手段(Thi)と、該入口温度検出手段(Thi)及び上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、上記圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における上記利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶する記憶手段(9b)と、上記記憶手段(9b)の記憶内容に基づき、圧縮機(1)のロードステップを、上記入口温度検出手段(Thi)で検出される入口温度と出口設定温度との温度差に最も近い対応媒体温度差に対応するロードステップにするよう制御する入口基準容量制御手段(52)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項2】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(8)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の入口温度を検出する入口温度検出手段(Thi)と、該入口温度検出手段(Thi)及び上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、上記圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における上記利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶する記憶手段(9b)と、上記入口温度検出手段(Thi)の出力を受け、入口温度と上記出口設定温度との温度差が上記記憶手段(9b)に記憶される各ロ―ドステップの高容量側のロ―ドステップにおける対応媒体温度差よりも高負荷側にあるときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を停止させて、ただちに当該高容量側のロ―ドステップまで上記圧縮機(1)の容量を増大させるよう変更する入口基準容量制御手段(52A)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項3】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(8)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の入口温度を検出する入口温度検出手段(Thi)と、該入口温度検出手段(Thi)及び上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、上記圧縮機(1)の各ロ―ドステップでの運転時における上記利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差を対応媒体温度差として記憶する記憶手段(9b)と、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、あるロードステップにおける出口温度と出口設定温度との差温が上記記憶手段(9b)に記憶される高容量側のロードステップにおける対応媒体温度差と当該ロードステップにおける対応媒体温度差との偏差よりも大きいときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて圧縮機(1)の容量を当該高容量側のロ―ドステップまで変更させる入口基準容量制御手段(52B)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項4】 請求項1,請求項2又は請求項3記載の冷凍装置の運転制御装置において、記憶手段(9b)は、利用側熱媒体の出口温度がその設定温度に近いときに記憶するものであることを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項5】 請求項1,請求項2,請求項3又は請求項4記載の冷凍装置の運転制御装置において、入口温度検出手段(Thi)及び出口温度検出手段(Tho)により複数回検出された利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差の平均値を演算する演算手段(53)を備え、記憶手段(9b)は該演算手段(53)で演算された利用側熱媒体の入口温度と出口温度との温度差の平均値を対応媒体温度差として記憶するものであることを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項6】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(8)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷減小方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値からホ―ルド領域の上端値に達するまでの降下時間を計測する降下時間計時手段(TM3)と、該降下時間計時手段(TM3)で計測される上記下降時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ低減させる強制容量低減手段(55)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項7】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(9b)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷増大方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値からホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値に達するまでの上昇時間を計測する上昇時間計時手段(TM4)と、該上昇時間計時手段(TM4)で計測される上記上昇時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ増大させる強制容量増大手段(56)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項8】 請求項6記載の冷凍装置において、上記出口温度検出手段(Tho)の出力を受け、利用側熱媒体の出口温度の負荷増大方向への変化時、利用側熱媒体の出口温度が上記ホ―ルド領域の上端値からホ―ルド領域の上端値よりも所定値だけ高負荷側に設定された上限値に達するまでの上昇時間を計測する上昇時間計時手段(TM4)と、該上昇時間計時手段(TM4)で計測される上記上昇時間が一定時間以下のときには、上記出口基準容量制御手段(51)の制御を強制的に停止させて、ただちに圧縮機(1)の容量を1ステップだけ増大させる強制容量増大手段(56)とを備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項9】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを設定時間毎に比較して、出口設定温度付近のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(9b)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、利用側熱媒体の出口温度が定常の変化パタ―ンを繰り返す条件下において、出口温度の負荷減小方向への変化時、出口温度がホ―ルド領域を越えて、ホ―ルド領域の下端値よりも所定値だけ低負荷側に設定されたオ―バ―シュ―ト値に達した後、負荷増大方向に変化してアップ領域に達したときには、圧縮機(1)の最大ロ―ドをオ―バ―シュ―ト値に達する前のホ―ルド領域におけるロ―ドステップよりも1ステップだけ低減させるパタ―ン変更手段(58)を備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【請求項10】 運転容量が複数のステップに調節可能な圧縮機(1)と、熱源側熱交換器(2)と、利用側熱交換器(4)とを備えた冷凍装置において、上記利用側熱交換器(4)の利用側熱媒体の出口温度を検出する出口温度検出手段(Tho)と、該出口温度検出手段(Tho)で検出される出口温度と出口設定温度とを、ロード変化した運転状態が安定する最小時間程度に短く設定された設定時間毎に比較して、出口設定温度のごく近辺に設けられた狭幅のホ―ルド領域では圧縮機(1)の容量をそのまま維持するよう指令するキ―プ信号を、ホ―ルド領域よりも高負荷側のアップ領域では圧縮機(1)の容量を増大させるよう指令するロ―ドアップ信号を、ホ―ルド領域よりも低負荷側のダウン領域では圧縮機(1)の容量を低減するよう指令するロ―ドダウン信号をそれぞれ出力する信号出力手段(9b)と、該信号出力手段(8)の出力を受け、上記圧縮機(1)の容量を1ステップずつ増減又は維持するよう制御する出口基準容量制御手段(51)とを備えるとともに、ダウン領域において圧縮機(1)の容量が最小ロードのときには、利用側熱媒体の出口温度が上記ホールド領域の下端から一定温度低い下限制御点に達するまで、上記出口基準容量制御手段(51)による圧縮機(1)のロードダウンを禁止するロードダウン禁止手段(59)を備えたことを特徴とする冷凍装置の運転制御装置。
【図1】
【図2】
【図10】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図12】
【図14】
【図16】
【図2】
【図10】
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【公開番号】特開平5−223363
【公開日】平成5年(1993)8月31日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−227072
【出願日】平成4年(1992)8月26日
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【公開日】平成5年(1993)8月31日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)8月26日
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
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