説明

冷凍装置及びそのデフロスト方法

【課題】散水式や電気ヒーター式を採用せず、荷捌き室の低温化に要する電力を利用することで、余分な電力を消費しない低コストなデフロスト手段を実現する。
【解決手段】荷捌き室7A〜Cに空気冷却器26d等を設けると共に、空気冷却器26d等にCO液を循環させる第1の受液器42を設ける。第1の受液器42は5〜10℃のCO液を貯留可能な4.0MPa程度の高圧に保持する。冷凍室5A〜Cに設けられた空気冷却器26a〜cのデフロスト運転時に、荷捌き室7A〜C内を冷却しその保有熱を回収したCO液を、空気冷却器26a〜cに供給しデフロストを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷捌き室を備えた冷凍庫の冷凍装置に係り、荷捌き室の空調で回収した熱を利用して冷凍庫の空気冷却器のデフロストを行うものである。
【背景技術】
【0002】
地球環境保全の観点から、自然冷媒を用いた冷凍装置が見直されてきている。自然冷媒のうち、NHはオゾン破壊係数ゼロ、及び地球温暖化係数がほぼゼロであり、かつ冷媒としての性能が優れているので、NHを冷媒として用いる冷凍装置が増加している。しかし、NHは毒性があるため、比較的安全であり、熱を運ぶ媒体として優れた特徴をもつCO液を二次冷媒として使用する冷凍装置が多く採用されている。
【0003】
特許文献1の図8には、荷捌き室を備え、かつNH/CO冷凍装置を備えた冷凍庫が開示されている。この冷凍庫の構成を図4により説明する。図4において、この冷凍装置100は、屋外ユニットAと冷凍庫Bの内部に設けられたCOブラインによる天吊り型空気冷却器118とから構成されている。屋外ユニットAには、NH循環路(一次冷媒回路)102に、圧縮機104、蒸発式凝縮器(エバコン)106、カスケードコンデンサ108及び膨張弁110が設けられ、冷凍サイクルを形成している。
【0004】
カスケードコンデンサ108にCO循環路(二次冷媒回路)112が接続されている。CO循環路112には、受液器114、液ポンプ116、及び前記天吊り型空気冷却器118が設けられている。カスケードコンデンサ108で、NHによってCOブラインが冷却され、冷却されたCOブラインは、天吊り型空気冷却器118で冷凍庫B内の空気を冷却する。空気を冷却してガス化したCOブラインは、ブラインクーラ(カスケードコンデンサ)108でNHによって冷却され液化する。このサイクルを繰り返すことで、一次冷媒回路102を循環するNHによって、間接的に冷凍庫B内の空気を冷却している。
【0005】
冷凍庫に隣接して荷捌き室が設けられている。保管型冷凍庫と比べて、被冷凍品が頻繁に出し入れされる物流型冷凍庫では、頻繁な入出庫作業に対応すると共に、HACCP(食品の危害分析・重要管理点方式)対策や、品温維持等の品質対策から、広い面積の荷捌き室が必要とされてきている。また、荷捌き室は、低温化及び密閉化の傾向にある。特許文献2には、荷捌き室の外気侵入による結露の発生を抑制するため、ドックシェルタと低温密閉化された荷捌き室の開口部との間に、ユニットクーラを備えた除湿室を設けた構成が開示されている。
【0006】
一方、冷凍庫内の空気に含まれる水蒸気は、空気冷却器の中で、低温のCOで冷却される冷却面で凝縮固化し、霜となって蓄積されてくる。この霜が伝熱を阻害し、冷凍装置の熱効率を低下させるので、定期的に除霜する必要がある。COを二次冷媒とする冷凍装置では、一般的に常温水を冷却面に散布する散水式デフロストが行われている。しかし、散水式デフロストは、除霜が確実に行われる点で優れているが、低温雰囲気の冷凍庫内に常温水を導く必要があり、凍結防止など様々な対策を講じる必要がある。また、散布した常温水が霜の形成を助長するという、デフロストと逆行する面をもっている。
【0007】
そこで、散水を行わないデフロスト方法が求められる。水を用いないデフロスト方法として、ひとつは電気ヒーター式がある。この方式は、空気冷却器の内部に電気ヒーターを組み込み、デフロスト時に通電して加熱し、霜を溶かす方法である。別なデフロスト方法は、冷凍装置の圧縮機の吐出ガスの保有熱を利用するホットガス方式がある。特許文献3及び特許文献4には、NH/CO冷凍装置において、圧縮機吐出側の高温のCOガスを空気冷却器に導入して冷却面に付着した霜を溶かすホットガス方式のデフロスト手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2005―172416号公報(図8)
【特許文献2】特開2002―303477号公報
【特許文献3】米国特許第5、400、615号公報
【特許文献4】国際公開WO02/066908(A1)号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
散水式デフロストは、除霜が確実に行われる点で優れているが、前述の問題がある。電気ヒーター方式は、電気ヒーターを加熱するために使用する電力は消費電力となり、余分な電力を消費すると共に、空気冷却器を加熱した分だけ冷凍庫の低温保持と逆行し、冷凍装置の熱効率が低下するという問題がある。
【0010】
また、圧縮機の吐出ガスを利用するホットガス方式は、吐出ガスがCOである場合、20〜30℃で5.0MPa付近の高圧となる。そのため、高圧のCOガスを流す配管や構造物を高強度にする必要があり、余分なコストがかかる。また、デフロストするために冷凍装置を運転する必要があり、余分な電力を消費する。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、密閉化され低温化された荷捌き室を備えた冷凍庫において、散水式や電気ヒーター式を採用せず、荷捌き室の低温化に要する電力を利用することで、余分な電力を消費しない低コストなデフロスト手段を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するため、本発明の冷凍装置のデフロスト方法は、荷捌き室を備えた冷凍庫に設けられ、NHを冷媒とし冷凍サイクルを構成する一次冷媒回路と、該一次冷媒回路と接続されNHによって冷却されたCO液が循環する二次冷媒回路と、該二次冷媒回路に介設され冷凍庫内に設けられた第1の空気冷却器とを備えた冷凍装置のデフロスト方法において、荷捌き室に設けられた第2の空気冷却器と、CO液を0℃を超え常温以下の温度で貯留可能なように圧力調整された第1の受液器との間にCO液を循環させ、荷捌き室を0℃を超え常温以下の温度に冷却する荷捌き室冷却工程と、荷捌き室冷却工程で荷捌き室の保有熱を回収し、CO液を第1の受液器から第1の空気冷却器に循環させ、第1の空気冷却器のデフロストを行うデフロスト工程とからなるものである。
【0013】
本発明方法では、第1の受液器を圧力調整し、0℃を超え常温以下、例えば5〜10℃の飽和温度を有するCO液を溜めておく。このCO液を荷捌き室に設けられた第2の空気冷却器に循環させ、荷捌き室を0℃を超え常温以下、例えば10〜15℃に冷却する。次に、冷凍庫のデフロスト工程時に、荷捌き室の保有熱を回収したデフロスト可能な温度を有するCO液を第1の空気冷却器に循環させ、第1の空気冷却器のデフロストを行う。このように、荷捌き室から回収した熱を用いて冷凍庫のデフロストを行うので、余分な電力を消費することなく、低コストで冷凍庫のデフロストが可能になる。
【0014】
また、特許文献3及び4のように、COホットガスを用いたデフロストではなく、CO液の顕熱によるデフロストであるので、安定した加熱が可能である。また、CO液を用いているので、高圧とならず、耐圧配管や耐圧機器の配設が不要になる。さらに、COホットガスを用いる場合のように、デフロストのために冷凍装置を運転する必要はなく、第1の受液器に貯留されたCO液を利用だけであるので、余分な電力を消費しないで済む。
【0015】
本発明方法において、デフロスト工程は、冷凍庫の通常冷凍運転終了後に、第1の空気冷却器に残留するCO液を第1の受液器に戻す前工程と、第1の空気冷却器のデフロスト終了後に第1の空気冷却器に残留するCO液を第1の受液器に戻す後工程とを伴うものであり、第1の受液器のCO液の液面レベルが設定値を超えたら、第1の受液器のCO液を二次冷媒回路に設けられた第2の受液器に移送し、第1の受液器のCO液面レベルを設定値以下に制御するCO液面制御工程がさらに付加されるとよい。
【0016】
0℃を超え常温以下の飽和温度を有するCO液を貯留する第1の受液器は、0℃未満の冷凍温度の飽和温度を有するCO液を貯留する第2の受液器より高圧に保持される。そのため、一旦第2の受液器に貯留されたCO液を第1の受液器に戻すことは困難であり、その逆は容易である。従って、デフロスト工程の開始時及び終了時に第1の空気冷却器に残留しているCO液を常に第1の受液器に戻すことで、第1の受液器に貯留されるCO液量を常に多くしておく。第1の受液器の貯留されたCO液の液面レベルが設定値を超えたら、第2の受液器にCO液を送って第1の受液器の貯留量を適正に保つ。これによって、第1の受液器及び第2の受液器の貯留量を適正に保持できる。
【0017】
前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明の冷凍装置は、荷捌き室を備えた冷凍庫に設けられ、NHを冷媒とし冷凍サイクルを構成する一次冷媒回路と、該一次冷媒回路と接続されNHによって冷却されたCO液が循環する二次冷媒回路と、該二次冷媒回路に介設され冷凍庫内に設けられた第1の空気冷却器とを備えた冷凍装置において、荷捌き室に設けられた第2の空気冷却器と、CO液を0℃を超え常温以下の温度で貯留可能なように圧力調整された第1の受液器と、第2の空気冷却器と第1の受液器との間に配設された第1のCO循環路と、からなる荷捌き室冷却部と、第1の受液器と第1の空気冷却器との間に接続された第2のCO循環路とを備え、通常凍結運転時に第1の受液器かのCO液を第2の空気冷却器に循環させ、荷捌き室を冷却すると共に、デフロスト運転時に、第1の受液器のCO液を第2のCO循環路を介して第1の空気冷却器に循環させ、第1の空気冷却器のデフロストを行うようにしたものである。
【0018】
本発明装置では、第1の受液器を圧力調整し、0℃を超え常温以下、例えば5〜10℃の飽和温度を有するCO液を溜めておく。このCO液を第2の空気冷却器に循環させ、荷捌き室を0℃を超え常温以下、例えば10〜15℃に冷却する。次に、冷凍庫のデフロスト工程時に、荷捌き室の保有熱を回収したデフロスト可能な温度を有するCO液を第1の空気冷却器に循環させ、第1の空気冷却器のデフロストを行う。このように、荷捌き室から回収した熱を用いて冷凍庫のデフロストを行うので、余分な電力を消費することなく、低コストで冷凍庫のデフロストが可能になる。
【0019】
本発明装置において、二次冷媒回路に設けられ、内部圧力が第1の受液器より低圧に保持され、CO液を凍結温度に保持する第2の受液器と、第1の受液器と第2の受液器との間を接続する連通路、及び該連通路に設けられた第1の開閉弁と、第1の受液器に設けられ、CO液の液面レベルを検出するレベル計と、を備え、該レベル計の検出値が設定値を上回ったら、第1の開閉弁を開けて第1の受液器のCO液を第2の受液器に送り、第1の受液器のCO液面レベルを設定値以下に制御するように構成するとよい。
【0020】
0℃を超え常温以下の飽和温度を有するCO液を貯留する第1の受液器は、0℃以下の冷凍温度の飽和温度を有するCO液を貯留する第2の受液器より高圧に保持される。そのため、一旦第2の受液器に貯留されたCO液を第1の受液器に戻すことは困難である。そこで、通常、第1の受液器に貯留されるCO液量を常に多くしておく。第1の受液器の貯留されたCO液の液面レベルが設定値を超えたら、第2の受液器にCO液を送って第1の受液器の貯留量を適正に保つ。これによって、第1の受液器及び第2の受液器の貯留量を適正に保持できる。
【0021】
本発明装置において、第2のCO循環路が、第1の空気冷却器の上流側で分岐して第1の受液器の気相部に接続された分岐路を備え、デフロスト運転開始時及びデフロスト運転終了時に、該分岐路を介して第1の空気冷却器と第1の受液器の気相部とを導通させた状態で第1の空気冷却器に残留したCO液を第1の受液器に戻すようにするとよい。前記分岐路を介して第1の空気冷却器と第1の受液器の気相部とを導通させたことで、第1の空気冷却器に残留したCO液が、第2のCO循環路を通して第1の受液器に戻りやすくなる。
【0022】
こうして、デフロスト運転開始時及びデフロスト運転終了時に、第1の空気冷却器に残留したCO液を第1の受液器に戻すことで、高圧下の第1の受液器のCO液量を、低圧下の第2の受液器のCO液量より常に多くしておくことができる。第1の受液器の貯留量が設定値を超えたら、第2の受液器にCO液を送ることで、第1の受液器及び第2の受液器の貯留量を常に適正値に保持できる。
【0023】
本発明装置において、第1の受液器に接続され、NHを冷媒とし冷凍サイクルを構成する第2の一次冷媒回路を設け、NHによって第1のCO循環路のCOを冷却するように構成するとよい。荷捌き室の冷却負荷が大きく、荷捌き室の冷却で回収した熱量が、デフロスト工程時に使用する熱量より多くなるときは、NHを冷媒とする第2の一次冷媒回路を設け、第1の受液器のCO液を必要な温度に冷却するようにする。これによって、第1の受液器のCO液の温度を荷捌き室の冷却に必要な温度に保持できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明方法によれば、CO液を0℃を超え常温以下の温度で貯留可能なように圧力調整された第1の受液器から荷捌き室にCO液を循環させ、荷捌き室を冷却すると共に、荷捌き室の保有熱を回収し、デフロスト可能温度であるCO液を第1の受液器から冷凍庫に循環させ、第1の空気冷却器のデフロストを行うようにしたので、散水式や電気ヒーター式のデフロストを行うことなく、そのため、余分な電力を不要とする省エネかつ低コストなデフロストを行うことができる。また、COホットガス方式より安定した加熱が可能であると共に、CO液を用いているので、高圧とならず、耐圧配管や耐圧機器の配設が不要になる。
【0025】
また、前記本発明装置によれば、通常凍結運転時に第1の受液器のCO液を第1のCO循環路を介して第2の空気冷却器に循環させ、荷捌き室を冷却すると共に、デフロスト運転時に、第1の受液器のCO液を第2のCO循環路を介して第1の空気冷却器に循環させ、第1の空気冷却器のデフロストを行うようにしたので、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明方法及び装置の第1実施形態に係る冷凍装置の全体構成図である。
【図2】本発明方法及び装置の第2実施形態に係る冷凍装置の全体構成図である。
【図3】本発明方法及び装置の第3実施形態に係る冷凍装置の全体構成図である。
【図4】従来のNH/CO冷凍装置を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0028】
(実施形態1)
本発明方法及び装置の第1実施形態を図1に基づいて説明する。図1において、地面GLより上方に3階建てのF級冷凍庫1が設けられ、冷凍庫1に隣接して半地下室3が設けられている。冷凍庫1の各階には、冷凍室5A〜Cと、冷凍庫1に隣接した荷捌き室7A〜Cが設けられている。1階の荷捌き室7Aは、他の階の荷捌き室より広い面積を有している。各階の荷捌き室間にエレベータが設けられ、被冷凍品をこのエレベータで各階に移送可能にしている。
【0029】
1階の荷捌き室7Aには、搬出入戸口(ドック)が設けられ、輸送車Tの後部が該搬出入戸口に挿入され、被冷凍品の搬出入が行われる。荷捌き室7Aには、該搬出入戸口を覆うドックシェルタ9が設けられ、ドックシェルタ9で建物内の空調空気が外部へ逃げたり、外気、雨風、湿気、塵、害虫等が建物内に進入するのを防止している。冷凍装置10の主要部は半地下室3の内部に設けられている。半地下室3の内部に、アンモニア冷凍機12Aが設けられている。
【0030】
アンモニア冷凍機12Aは、NHが循環する一次冷媒回路14と、一次冷媒回路14に設けられた圧縮機16、膨張弁18、カスケードコンデンサ20及び蒸発式凝縮器(エバコン)21とで構成されている。エバコン21は半地下室3の屋上に設けられている。カスケードコンデンサ20と第2の受液器24との間にCO循環路22が設けられている。第2の受液器24のCOガスがCO循環路22を介してカスケードコンデンサ20に流入し、カスケードコンデンサ20でNHによって冷却され、液化して第2の受液器24に戻る。
【0031】
冷凍室5A〜C及び荷捌き室7Aには、夫々1個又は複数の空気冷却器26a〜dが配設されている。荷捌き室7B及び7Cにも、小型の空気冷却器(図示省略)が設けられている。第2の受液器24と冷凍室5A〜Cに設けられた各空気冷却器26a〜cとの間は、主CO循環路28と分岐CO循環路30,32及び34とによって接続されている。主CO循環路28の往路28aに設けられた液ポンプ29によって、第2の受液器24のCO液が空気冷却器26a〜cに送られ、冷凍室5A〜C内の空気を冷却する。
【0032】
主CO循環路28の往路28aは第2の受液器24の下部に接続され、復路28bは第2の受液器24の上部に接続されている。往路28aに設けられた液ポンプ29によって、CO液が空気冷却器26a〜cに送られる。分岐CO循環路30,32及び34の往路及び復路には、夫々開閉弁36a、36b、38a、38b、40a及び40bが介設されている。
【0033】
半地下室3の内部には、第2の受液器24に隣接して、第1の受液器42が設けられている。第1の受液器42には、2組のCO循環路が設けられている。ひとつが、第1の受液器42と荷捌き室7A〜Cとの間に設けられたCO循環路44であり、もうひとつが、第1の受液器42と空気冷却器26a〜cとの間に設けられ、往路が、主CO循環路46の往路46a及び分岐CO循環路の往路48a、50a及び52aからなり、復路が、主CO循環路46の復路46b及び分岐CO循環路の復路48b、50b及び52bからなる。前記分岐CO循環路の往路及び復路には、開閉弁54a、54b、56a、56b、58a及び58bが介設されている。
【0034】
CO循環路44の往路44aには、CO液を空気冷却器26d等に送る液ポンプ60が設けられ、主CO循環路46の往路46aには、CO液を空気冷却器26a〜cに送る液ポンプ62が設けられている。空気冷却器26a〜dには、凝縮水又はデフロスト運転時に溶けた融水を受け止めるドレンパン64が設けられている。各ドレンパン64には排水路66が設けられ、各排水路66は排水本管68に接続されている。空気冷却器26a〜dで発生した凝縮水は、主排水路68を通して、F級冷凍庫1の外部へ排出される。
【0035】
かかる構成において、第2の受液器24に貯留されたCOガスはカスケードコンデンサ20に流れ、一次冷媒回路14を循環するNHによって冷却される。冷却されて液状になったCO液は第2の受液器24に戻る。第2の受液器24の内部圧力は1.2MPa前後に保持され、第2の受液器24内のCO液は、例えば、−32℃に保持される。通常冷凍運転時、開閉弁36a、36b、38a、38b、40a及び40bが開放され、第2の受液器24内の−32℃のCO液は、主CO循環路28の往路28a及び分岐CO循環路30,32及び34の往路を通って、空気冷却器26a〜cに供給される。開閉弁54a、54b、56a、56b、58a及び58bは閉じられている。
【0036】
空気冷却器26a〜cにはファン27が設けられて空気流が形成され、庫内空気は、空気冷却器26a〜cの伝熱管を流れるCO液で冷却される。庫内空気は−25℃に保持される。CO液は空気冷却器26a〜cで一部が気化し、一部が気化したCO液は、分岐CO循環路30,32及び34の復路及び主CO循環路28の復路28bを通って第2の受液器24に戻る。
【0037】
第1の受液器42の内部圧力は4.0MPa前後に保持され、第1の受液器42内のCO液は5〜10℃に保持される。通常凍結運転時、第1の受液器42内のCO液は、CO循環路44の往路44aを通り、荷捌き室7A〜Cに設けられた空気冷却器26d等に供給される。空気冷却器26d等にはファン27が設けられ、荷捌き室7A〜C内の空気は空気冷却器26d等によって冷却され、10〜15℃に保持される。空気冷却器26d等で荷捌き室7A〜C内の空気を冷却し、該空気の熱を吸収して一部が気化したCO液は、復路44bを通って第1の受液器42に戻る。
【0038】
デフロスト運転時には、開閉弁36a、36b、38a、38b、40a及び40bが閉じられ、開閉弁54a、54b、56a、56b、58a及び58bが開放される。第1の受液器42から5〜10℃のCO液が、主CO循環路46の往路46a及び分岐CO循環路の往路48a、50a及び52aを通り、空気冷却器26a〜c送られる。空気冷却器26a〜cで、CO液は伝熱管を内側から加熱し、伝熱管の外面に付着した霜を溶かし除去する。霜を溶かして熱を放出したCO液は、分岐CO循環路の復路48b、50b及び52b及び主CO循環路46の復路46bを通り、第1の受液器42に戻る。デフロスト運転は、通常、1日に1〜2回行う。
【0039】
本実施形態によれば、第1の受液器42から送られたCO液が荷捌き室7A〜C内の空気を冷却して荷捌き室7A〜Cの保有熱を回収し、その保有熱を利用して、空気冷却器26a〜cのデフロストを行うので、散水式デフロストを用いなくて済み、かつ余分な電力を消費することなく、低コストで空気冷却器26a〜cのデフロストが可能になる。
【0040】
また、COホットガスを用いたデフロストではなく、CO液の顕熱によるデフロストであるので、安定した加熱が可能である。また、CO液を用いているので、高圧とならないので、主CO循環路46、分岐CO循環路の往路48a、50a、52a及び復路48b、50b及び52b、及び空気冷却器26a〜cの伝熱部等を耐圧配管や耐圧機器とする必要がない。さらに、COホットガスを用いる場合のように、デフロストのために冷凍装置を運転する必要はなく、第1の受液器42に貯留されたCO液を利用だけであるので、余分な電力を消費しないで済む。
【0041】
(実施形態2)
次に、本発明方法及び装置の第2実施形態を図2により説明する。図2において、第1の受液器42の下部領域と第2の受液器24の下部領域とを接続する連通路70が設けられ、連通路70に開閉弁72が介設されている。また、第1の受液器42に、CO液の液面レベルを検出するレベル計74が設けられ、該液面レベルが設定値を超えたら、レベル計74からの信号で開閉弁72を開放するように構成されている。また、分岐CO循環路の往路48a、50a及び52aに、開閉弁54a、56a及び58aの下流側で分岐し、主CO循環路46の復路46bに接続する分岐路76a、76b及び76cが設けられている。これら分岐路に開閉弁78a、78b及び78cが介設されている。その他の構成は前記第1実施形態と同一である。
【0042】
本実施形態では、冷凍室5A〜C及び荷捌き室7A〜Cの通常凍結運転は、第1実施形態と同様な操作で行う。冷凍室5A〜Cの通常凍結運転時、開閉弁36a、36b、38a、38b、40a及び40bが開放され、開閉弁54a、54b、56a、56b、58a、58b及び78a〜cが閉じられている。通常凍結運転終了後、開閉弁36a、36b、38a、38b、40a及び40bが閉じられ、開閉弁54a、54b、56a、56b、58a、58b及び開閉弁78a〜cが開放される。
【0043】
デフロスト運転開始時に、分岐CO循環路の復路48b、50b及び52bを介して、空気冷却器26a〜cに残留したCO液を、第1の受液器42に戻す。この状態でデフロスト運転を続行する。デフロスト運転終了時に、開閉弁54a、56a及び58aを閉じ、開閉弁54b、56b、58b及び開閉弁78a〜cを開放した状態とする。このように、空気冷却器26a〜cの上部と第1の受液器42のガス相が導通することで、空気冷却器26a〜c内のCO液が第1の受液器42に落下しやすくなる。こうして、空気冷却器26a〜cのCO液を復路48b、50b及び52bを介して第1の受液器42に戻すことができる。
【0044】
このように、デフロスト運転の開始時及び終了時に、空気冷却器26a〜cに残留したCO液を第1の受液器42に戻すようにしたので、第1の受液器42のCO液面レベルが徐々に上昇する。レベル計74で第1の受液器42のCO液面レベルが設定値を超えたことを検出したら、開閉弁72を開放し、第1の受液器42内のCO液を第2の受液器24に移送する。
【0045】
主CO循環路28と主CO循環路46とは、空気冷却器26a〜cを通して間接的に接続されることになる。そのため、第1の受液器42又は第2の受液器24に戻すCO液の戻し量を制御しないと、どちらか一方にCO液が偏在してしまう。第1の受液器42の内部圧力は第2の受液器24の内部圧力より高いので、もし、第2の受液器24にCO液が偏在すると、CO液を第1の受液器42に戻すことが困難になる。本実施形態によれば、第1実施形態で得られる作用効果に加えて、第1の受液器42及び第2の受液器24のCO貯留量を適正に保持できる。
【0046】
また、デフロスト運転の開始時及び終了時に、開閉弁78a〜cを開放し、分岐路76a〜cを介して空気冷却器26a〜cと第1の受液器42の気相部とを導通させたことで、空気冷却器26a〜cに残留したCO液を第1の受液器42に戻しやすくなる。これによって、該残留CO液を分岐CO循環路の復路48b、50b、52b及び主CO循環路46の復路46bを介して、第1の受液器42に速やかに戻すことができる。
【0047】
(実施形態3)
次に、本発明方法及び装置の第3実施形態を図3により説明する。本実施形態は、アンモニア冷凍機12Bを半地下室3に追設した例である。アンモニア冷凍機12Bは、NH3が循環する一次冷媒回路14に、圧縮機16、膨張弁18、カスケードコンデンサ20及び半地下室3の屋上に配置されたエバコン21が設けられている。さらに、カスケードコンデンサ20と第1の受液器42とを接続するCO循環路80を設けている。その他の構成は第2実施形態と同一である。
【0048】
荷捌き室7A〜Cに設けられた空気冷却器26d等の冷却負荷が大きい場合、空気冷却器26a〜cのデフロスト運転時に得られる冷熱だけでは、荷捌き室7A〜Cを冷却できない。そのため、本実施形態のように、アンモニア冷凍機12Bを設ける。アンモニア冷凍機12Bによって、第1の受液器42に貯留されたCO液を冷却することで、第1の受液器42内のCO液を設定された温度に保持できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、荷捌き室を備えた冷凍庫に設けられた冷凍装置において、荷捌き室を冷却して得られる熱量をデフロスト工程に利用することで、余分な電力を消費せず、安定して低コストなデフロスト運転を可能にする。
【符号の説明】
【0050】
1 F級冷凍庫
3 半地下室
5A〜C 冷凍室
7A〜C 荷捌き室
9 ドックシェルタ
10,100 冷凍装置
12A アンモニア冷凍機
12B アンモニア冷凍機(第2の一次冷媒回路)
14,102 一次冷媒回路
16,104 圧縮機
18,110 膨張弁
20,108 カスケードコンデンサ
21,106 蒸発式凝縮器(エバコン)
22、80,112 CO循環路
24 第2の受液器
26a〜c 空気冷却器(第1の空気冷却器)
27d 空気冷却器(第2の空気冷却器)
27 ファン
28 主CO循環路
29、60,62、116 液ポンプ
30,32,34 分岐CO循環路
42 第1の受液器
44 CO循環路(第1のCO循環路)
46 主CO循環路(第2のCO循環路)
48b、50b、52b 復路
54b、56b、58b、72、78a〜c 開閉弁
64 ドレンパン
66 排水路
68 主排水路
70 連通路
72 開閉弁
76a〜c 分岐路
114 受液器
118 天吊り型空気冷却器
A 屋外ユニット
B 冷凍庫
GL 地面
T 輸送車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷捌き室を備えた冷凍庫に設けられ、NHを冷媒とし冷凍サイクルを構成する一次冷媒回路と、該一次冷媒回路と接続されNHによって冷却されたCO液が循環する二次冷媒回路と、該二次冷媒回路に介設され冷凍庫内に設けられた第1の空気冷却器とを備えた冷凍装置のデフロスト方法において、
荷捌き室に設けられた第2の空気冷却器と、CO液を0℃を超え常温以下の温度で貯留可能なように圧力調整された第1の受液器との間にCO液を循環させ、荷捌き室を0℃を超え常温以下の温度に冷却する荷捌き室冷却工程と、
前記荷捌き室冷却工程で荷捌き室の保有熱を回収したCO液を第1の受液器から前記第1の空気冷却器に循環させ、第1の空気冷却器のデフロストを行うデフロスト工程とからなることを特徴とする冷凍装置のデフロスト方法。
【請求項2】
前記デフロスト工程は、冷凍庫の通常冷凍運転終了後に、第1の空気冷却器に残留するCO液を第1の受液器に戻す前工程と、第1の空気冷却器のデフロスト終了後に第1の空気冷却器に残留するCO液を第1の受液器に戻す後工程とを伴うものであり、
第1の受液器のCO液の液面レベルが設定値を超えたら、第1の受液器のCO液を前記二次冷媒回路に設けられた第2の受液器に移送し、第1の受液器のCO液面レベルを設定値以下に制御するCO液面制御工程がさらに付加されることを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置のデフロスト方法。
【請求項3】
荷捌き室を備えた冷凍庫に設けられ、NHを冷媒とし冷凍サイクルを構成する一次冷媒回路と、該一次冷媒回路と接続されNHによって冷却されたCO液が循環する二次冷媒回路と、該二次冷媒回路に介設され冷凍庫内に設けられた第1の空気冷却器とを備えた冷凍装置において、
荷捌き室に設けられた第2の空気冷却器、CO液を0℃を超え常温以下の温度で貯留可能なように圧力調整された第1の受液器、及び第2の空気冷却器と第1の受液器との間に配設された第1のCO循環路とからなる荷捌き室冷却部と、第1の受液器と前記第1の空気冷却器との間に接続された第2のCO循環路とを備え、
通常凍結運転時に第1の受液器のCO液を第2の空気冷却器に循環させ、荷捌き室を冷却すると共に、デフロスト運転時に、第1の受液器のCO液を第2のCO循環路を介して第1の空気冷却器に循環させ、第1の空気冷却器のデフロストを行うようにしたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
前記二次冷媒回路に設けられ、内部圧力が第1の受液器より低圧に保持され、CO液を凍結温度に保持する第2の受液器と、
第1の受液器と第2の受液器との間を接続する開閉弁付き連通路と、
第1の受液器に設けられ、CO液の液面レベルを検出するレベル計とを備え、
該レベル計の検出値が設定値を上回ったら、第1の開閉弁を開けて第1の受液器のCO液を第2の受液器に送り、第1の受液器のCO液面レベルを設定値以下に制御するように構成したことを特徴とする請求項3に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記第2のCO循環路が、第1の空気冷却器の上流側で分岐して第1の受液器の気相部に接続された分岐路を備え、
デフロスト運転開始時及びデフロスト運転終了時に、前記分岐路を介して第1の空気冷却器と第1の受液器の気相部とを導通させた状態で第1の空気冷却器に残留したCO液を第1の受液器に戻すようにしたことを特徴とする請求項3又は4に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記第1の受液器に接続され、NHを冷媒とし冷凍サイクルを構成する第2の一次冷媒回路を設け、NHによって第1のCO循環路のCOを冷却するように構成したことを特徴とする請求項3に記載の冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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