冷凍装置
【課題】圧縮機の振動を吸収する振動吸収装置を備えた冷凍装置において、圧縮機の振れに起因して冷媒の流路を形成するための配管が破断するのを防止する。
【解決手段】冷媒回路(11)には、冷媒配管モジュール(50)が接続される。冷媒配管モジュール(50)は、所定パターンの溝が形成される板状部材(51,52,53)が重ね合わせることで冷媒の流路(51a,51b,51c)が形成される。振動吸収装置(60)には、圧縮機(20)と共に冷媒配管モジュール(50)が支持される。
【解決手段】冷媒回路(11)には、冷媒配管モジュール(50)が接続される。冷媒配管モジュール(50)は、所定パターンの溝が形成される板状部材(51,52,53)が重ね合わせることで冷媒の流路(51a,51b,51c)が形成される。振動吸収装置(60)には、圧縮機(20)と共に冷媒配管モジュール(50)が支持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や貨物を搬送する輸送機械に搭載される冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車や船舶等の輸送機械に搭載されると共に、冷凍サイクルを利用して室内の空調や庫内の冷蔵を行う冷凍装置が知られている。
【0003】
この種の冷凍装置として、特許文献1には、車両の空調を行う冷凍装置が開示されている。この冷凍装置は、圧縮機と凝縮器と蒸発器とが冷媒配管によって接続されることで冷媒回路が構成されている。上記圧縮機は、車両フェンダーの前部に設けられている。
【0004】
ところで、この種の冷凍装置の運転時には、圧縮機の振動が車両の室内に伝わってしまうことがある。そこで、特許文献1の冷凍装置では、圧縮機を弾性材(ゴムマウント等)から成る振動吸収装置で支持するようにしている。この振動吸収装置により、圧縮機の振動が緩和され、車両への振動の伝達が抑制されている。
【特許文献1】特開平5−77640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1に開示の冷凍装置のように、圧縮機を振動吸収装置で支持するものでは、車両走行時の外部振動を圧縮機が受けた場合、圧縮機が大きく振れてしまうことがある。このような圧縮機の振れが大きくなると、圧縮機に接続される冷媒配管に応力が作用し、冷媒配管の破断を招く虞がある。従って、冷媒配管の振れを吸収する何らかの対策を講じる必要があり、装置構造が複雑となってしまう。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧縮機の振動を吸収する振動吸収装置を備えた冷凍装置において、圧縮機の振れに起因して冷媒の流路を形成するための配管が破断するのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、圧縮機(20)と放熱器(30)と蒸発器(40)とが接続されると共に冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)と、上記圧縮機(20)の振動を吸収する振動吸収装置(60)とを備え、人や貨物を搬送する輸送機械に搭載される冷凍装置を前提としている。そして、この冷凍装置は、上記冷媒回路(11)に、所定のパターンの溝が形成される複数の板状部材(51,52,53)を重ね合わせることで、上記溝の内部に冷媒の流路(51a,51b,51c)を形成する冷媒配管モジュール(50)が接続されており、上記振動吸収装置(60)には、上記圧縮機(20)と共に上記冷媒配管モジュール(50)が支持されていることを特徴とするものである。
【0008】
第1の発明の冷凍装置は、車両や船舶等の輸送機械に搭載される。冷媒回路(11)では、圧縮機(20)で圧縮された冷媒が循環することで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。圧縮機(20)は、振動吸収装置(60)に支持される。その結果、圧縮機(20)の振動が振動吸収装置(60)によって緩和/吸収される。これにより、圧縮機(20)の振動が輸送機械に伝達されることが抑制される。
【0009】
本発明では、冷媒回路(11)に冷媒配管モジュール(50)が接続される。冷媒配管モジュール(50)は、複数の板状部材(51,52,53)を重ね合わせて構成される。板状部材(51,52,53)には、所定パターンの溝が形成されている。冷媒配管モジュール(50)の内部には、この溝によって冷媒が流通可能な流路(51a,51b,51c)が形成される。
【0010】
本発明では、上記の構成の冷媒配管モジュール(50)が、圧縮機(20)と共に振動吸収装置(60)に支持される。このため、輸送機械の移動に伴う外部振動を圧縮機(20)が受けて、圧縮機(20)が振動吸収装置(60)と共に振れた場合、圧縮機(20)と共に冷媒配管モジュール(50)も振れることになる。従って、圧縮機(20)の振れに起因して冷媒配管モジュール(50)に応力が作用してしまうことが回避されるので、冷媒配管モジュール(50)が破断してしまうことが防止される。また、本発明では、1つの振動吸収装置(60)が圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とに兼用されるので、冷媒配管モジュール(50)用の振動吸収装置を別途設ける必要もない。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の冷凍装置において、上記圧縮機(20)の電装品が収容される電装品箱(25)を更に備え、上記振動吸収装置(60)には、上記圧縮機(20)及び冷媒配管モジュール(50)と共に上記電装品箱(25)も支持されていることを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明の冷凍装置には、圧縮機(20)の電装品が収納される電装品箱(25)が設けられる。電装品箱(25)には、例えば圧縮機(20)の周波数制御を行うためのインバータ回路等が収容される。本発明では、この電装品箱(25)も振動吸収装置(60)に支持される。これにより、電装品箱(25)の振動も振動吸収装置(60)によって吸収される。
【0013】
第3の発明は、第1の発明の冷凍装置において、上記振動吸収装置(60)には、その上側に上記冷媒配管モジュール(50)が水平な姿勢で支持されており、上記冷媒配管モジュール(50)の上面に上記圧縮機(20)が設置されていることを特徴とするものである。
【0014】
第3の発明は、冷媒配管モジュール(50)が水平な姿勢で振動吸収装置(60)に支持され、この冷媒配管モジュール(50)の上面に圧縮機(20)が設置される。つまり、冷媒配管モジュール(50)は、圧縮機(20)の支持台として機能する。このように圧縮機(20)を冷媒配管モジュール(50)上に設置することで、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とが一体的に振れ易くなる。従って、圧縮機(20)の振れに起因して冷媒配管モジュール(50)に応力が作用してしまうことが一層確実に回避される。
【0015】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明の冷凍装置において、上記振動吸収装置(60)には、圧縮機(20)の周囲に隣接して立設するように冷媒配管モジュール(50)が支持されていることを特徴とするものである。
【0016】
第4の発明では、冷媒配管モジュール(50)が圧縮機(20)の周囲に隣接しながら立設される。これにより、圧縮機(20)の吐出口や吸入口から、冷媒配管モジュール(50)までの距離が比較的短くなる。従って、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とを接続するための配管を短くできる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明の冷凍装置において、上記放熱器(30)は、上記冷媒配管モジュール(50)と一体となるように連結されていることを特徴とするものである。
【0018】
第5の発明では、冷媒が放熱(凝縮)する放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とが一体的に連結される。これにより、冷媒配管モジュール(50)と放熱器(30)とを接続するための配管を短く、あるいは無くすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、冷媒の流路(51a,51b,51c)を冷媒配管モジュール(50)の内部に形成し、冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)と共に振動吸収装置(60)に支持させている。これにより、本発明によれば、外部振動によって圧縮機(20)が振れた場合、圧縮機(20)と一体的に冷媒配管モジュール(50)を振れさせることができ、冷媒配管モジュール(50)に作用する応力を軽減できる。従って、圧縮機(20)の振れに起因して冷媒配管モジュール(50)が破断/破損してしまうことを防止できる。
【0020】
更に、従来例の構造では、外部振動の影響により隣接する冷媒配管同士が互いに接触してしまう虞があるが、本発明では、冷媒配管をモジュール化することで、このような冷媒配管同士の接触を確実に阻止できる。また、冷媒配管モジュール(50)及び圧縮機(20)を1つの振動吸収装置(60)に支持させることにより、装置構造もシンプルになり、且つ設置スペースもコンパクトにまとめることができる。
【0021】
また、第2の発明では、圧縮機(20)の電装品箱(25)も振動吸収装置(60)に支持させるようにしたので、1つの振動吸収装置(60)で電装品箱(25)の振動も抑制することができる。また、電装品箱(25)から圧縮機(20)までの電気配線を短くでき、装置構造を更にシンプル化できる。
【0022】
また、第3の発明では、冷媒配管モジュール(50)を水平な姿勢で振動吸収装置(60)に支持させ、この振動吸収装置(60)上に圧縮機(20)を設置させている。これより、本発明によれば、冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)の支持台として利用することができ、圧縮機(20)の設置性も良好となる。また、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とが更に一体的に振れ易くなるので、冷媒配管モジュール(50)の破損を一層確実に防止できる。
【0023】
また、第4の発明によれば、冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)の周囲に隣接させて立設させるようにしたので、圧縮機(20)の吐出口や吸入口から冷媒配管モジュール(50)までの距離を短くできる。従って、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とを繋ぐための配管の長さを短くでき、配管の取り回しのシンプル化、及び低コスト化を図ることができる。
【0024】
更に、第5の発明によれば、放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とを一体的に連結するようにしたので、放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とを繋ぐ配管を短く、あるいは無くすことができる。従って、配管の取り回しのシンプル化、及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
《発明の実施形態》
実施形態に係る冷凍装置は、車両から成る輸送機械に搭載されて車両室内の空調を行う、車両用空調機(10)を構成している。車両用空調機(10)は、車両のエンジンルームに搭載されている。
【0027】
図1に示すように、車両用空調機(10)は、冷媒が充填された冷媒回路(11)を有している。冷媒回路(11)では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(11)には、圧縮機(20)とコンデンサ(30)とエバポレータ(40)と冷媒配管モジュール(50)とが接続されている。
【0028】
コンデンサ(30)は、エンジンルームにおける走行方向の前側寄りに設置されている。コンデンサ(30)の近傍には、車両の走行風が導入される。コンデンサ(30)では、冷媒が走行風に向かって放熱する。つまり、コンデンサ(30)は、いわゆる放熱器を構成している。
【0029】
エバポレータ(40)は、エンジンルームにおける車両室内側寄りに設置されている。エバポレータ(40)では、冷媒が車両室内の空気から吸熱して蒸発する。エバポレータ(40)で冷却された空気が車両室内に送られることで、車両室内の冷房が行われる。
【0030】
圧縮機(20)は、円筒の横長のケーシング(21)を有しており、その内部に冷媒を圧縮するための圧縮機構や圧縮機モータが収納されている。圧縮機(20)は、運転周波数が可変なインバータ型の圧縮機を構成している。つまり、圧縮機(20)は、インバータ回路を介して電力が供給される。この電力の出力周波数が制御されることで、圧縮機モータの回転数が調節される。上記インバータ回路等の電装品は、電装品箱(25)に収納されている。また、圧縮機(20)のケーシング(21)には、その下部に支持部(22)が設けられ、その上部に台座部(23)が設けられている。
【0031】
図2に示すように、冷媒配管モジュール(50)は、3枚の板状部材が厚さ方向に積層されて構成されている。これらの板状部材は、メインボディ(51)と、セパレーティングプレート(52)と、サブボディ(53)とで構成されている。各板状部材(51,52,53)は、扁平で横長の直方体形状に形成されている。各板状部材(51,52,53)は、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属製であっても良いし、樹脂製であっても良い。
【0032】
図3に示すように、メインボディ(51)には、冷媒の流路を形成するための複数の溝が形成されている。具体的に、メインボディ(51)の内側の面には、第1内部流路(51a)と、第2内部流路(51b)と、第3内部流路(51c)とが形成されている(図3(B)を参照)。各内部流路(51a,51b,51c)は、メインボディ(51)の内側に向かって開放される溝形状に形成されている。第1内部流路(51a)は、メインボディ(51)の上端面及び側面に沿うようなL字状に形成されている。第2内部流路(51b)及び第3内部流路(51c)は、メインボディ(51)の下端面側が開放側となるようなコの字状に形成されている。
【0033】
メインボディ(51)では、第1内部流路(51a)の途中にレシーバ溝(54)と2つのフィルタ溝(55,55)とが形成されている。レシーバ溝(54)は、第1内部流路(51a)の流路断面よりも大径となる柱状に形成されている。レシーバ溝(54)は、第1内部流路(51a)を流れる冷媒を一時的に貯留するレシーバ(受液器)を構成している。
【0034】
2つのフィルタ溝(55,55)には、それぞれ有底筒状のメッシュ部材が収納されている。各メッシュ部材は、冷媒中に含まれている不純物の流通を禁止する一方、冷媒の流通を許容している。つまり、各メッシュ部材は、冷媒中の不純物を除去するフィルタを構成している。また、2つのフィルタ溝(55,55)の間には、第1内部流路(51a)の流路断面を縮小させるためのキャピラリーチューブ(56)が介設されている。キャピラリーチューブ(56)は、冷媒を減圧して膨張させる膨張機構を構成している。また、メインボディ(51)には、複数のボルト穴(57,57,…)が各内部流路(51a,51b,51c)を避けるように形成されている。
【0035】
図4に示すように、セパレーティングプレート(52)及びサブボディ(53)には、複数のボルト穴(57,57,…)が形成されている。各板状部材(51,52,53)では、各々のボルト穴(57a,57,…)が厚さ方向に連なるように互いに対応する位置に形成されている。メインボディ(51)、セパレーティングプレート(52)、サブボディ(53)が順に積層された状態で、各ボルト穴(57,57,…)にボルトが締結されることで、一体的な冷媒配管モジュール(50)が構成される。その結果、メインボディ(51)では、各内部流路(51a)、レシーバ溝(54)、及びフィルタ溝(55,55)がセパレーティングプレート(52)によって閉塞される。これにより、各内部流路(51a,51b,51c)、レシーバ溝(57)、及びフィルタ溝(55)は、冷媒が流通可能な冷媒流路を構成することになる。また、上記メインボディ(51)とセパレーティングプレート(52)との間には、セパレーティングプレート(52)側の表面にガスケット等のシール材(図示省略)が焼き付けられている。これにより、各内部流路(51a,51b,51c)のシール性が向上し、冷媒漏れが抑制されている。なお、冷媒配管モジュール(50)は、このようなシール性を充分確保できる構造であれば、上記セパレーティングプレート(52)を省略してメインボディ(51)及びサブボディ(53)を2枚重ねとする構造としても良い。また、セパレーティングプレート(52)及びサブボディ(53)に、メインボディ(51)の内部流路と繋がるような冷媒の流路を形成した場合には、セパレーティングプレート(52)とサブボディ(53)の間にガスケット等のシール部材を焼き付けるようにしても良い。この場合には、セパレーティングプレート(52)とサブボディ(53)との間での冷媒の漏れに対するシール性を向上させることができる。
【0036】
各内部流路(51a,51b,51c)の流出端及び流入端は、メインボディ(51)の外側の面にそれぞれ開口している(図3(C)を参照)。具体的に、メインボディ(51)の外側の面の上端寄り且つ側端寄りの部位には、第1内部流路(51a)の流入端が開口している。一方、メインボディ(51)の外側の面の下端寄りの部位には、第1内部流路(51a)の流出端と、第2内部流路(51b)の流入端及び流出端と、第3内部流路(51c)の流入端及び流出端とが、メインボディ(51)の長手方向に配列されて開口している。
【0037】
図1に示すように、第1内部流路(51a)の流入端は、コンデンサ流出管(12)を介してコンデンサ(30)の流出側と接続される。第1内部流路(51a)の流出端は、エバポレータ流入管(13)を介してエバポレータ(40)の流入側と接続される。第2内部流路(51b)の流入端は、エバポレータ流出管(14)を介してエバポレータ(40)の流入側と接続される。第2内部流路(51b)の流出端は、吸入管(15)を介して圧縮機(20)の吸入側と接続される。第3内部流路(51c)の流入端は、吐出管(16)を介して圧縮機(20)の吐出側と接続される。第3内部流路(51c)の流出端は、コンデンサ流入管(17)を介してコンデンサ(30)の流入側と接続される。
【0038】
上記コンデンサ流出管(12)、エバポレータ流入管(13)、エバポレータ流出管(14)、及びコンデンサ流入管(17)には、その途中にそれぞれフレキシブルホース(18)が介設されている。このフレキシブルホース(18)により、圧縮機(20)側からコンデンサ(30)やエバポレータ(40)への振動の伝達が抑制されている。
【0039】
車両用空調機(10)には、2つの振動吸収装置(60,70)が設けられている。具体的に、これらの振動吸収装置は、圧縮機(20)側に設けられる第1振動吸収装置(60)と、コンデンサ(30)側に設けられる第2振動吸収装置(70)とで構成される。各振動吸収装置(60,70)は、それぞれ支持板(61,71)と防振材(62,72)とを備えている。支持板(61)は、扁平な板状に形成されている。防振材(62,72)は、支持板(61)の下面に複数本設けられている。防振材(62,72)は、例えばゴムマウント等の弾性材料によって構成されている。
【0040】
第1振動吸収装置(60)は、圧縮機(20)の下側に設けられている。具体的に、第1振動吸収装置(60)では、その支持板(61)の上側に圧縮機(20)の支持部(22)が設置されている。第1振動吸収装置(60)は、運転中の圧縮機(20)の振動が車両の室内へ伝達するのを抑制している。また、第1振動吸収装置(60)は、圧縮機(20)と共に上記冷媒配管モジュール(50)や電装品箱(25)も支持している。つまり、圧縮機(20)の台座部(23)の上面には、上記冷媒配管モジュール(50)及び電装品箱(25)が設置されている。冷媒配管モジュール(50)と電装品箱(25)とは、固定部材を介して互いに一体的に連結されている。そして、圧縮機(20)、冷媒配管モジュール(50)、及び電装品箱(25)は、第1振動吸収装置(60)に一体的に支持されている。
【0041】
第2振動吸収装置(70)は、コンデンサ(30)の下側に設けられている。具体的に、第2振動吸収装置(70)では、その支持板(71)の上側にコンデンサ(30)が設置されている。
【0042】
−運転動作−
次に、上記実施形態の車両用空調機(10)の運転動作について説明する。車両用空調機(10)の運転時には、圧縮機(20)が運転状態となり、冷媒回路(11)で冷凍サイクルが行われる。その結果、エバポレータ(40)によって車両室内の冷房が行われる。
【0043】
具体的に、圧縮機(20)で圧縮された冷媒は、吐出管(16)へ吐出される。吐出管(16)を流れる冷媒は、冷媒配管モジュール(50)の第3内部流路(51c)へ流入し、再び冷媒配管モジュール(50)の外部へ流出する。この冷媒は、コンデンサ流入管(17)を経由してコンデンサ(30)を流れる。コンデンサ(30)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。コンデンサ(30)で凝縮した冷媒は、コンデンサ流出管(12)を介して冷媒配管モジュール(50)の第1内部流路(51a)へ流入する。
【0044】
第1内部流路(51a)を流れる冷媒は、レシーバ溝(54)及び上流側のフィルタ溝(55)を通過した後、キャピラリーチューブ(56)を流れる。この冷媒は、キャピラリーチューブ(56)を流れる際に減圧されて膨張する。キャピラリーチューブ(56)で減圧された冷媒は、エバポレータ流入管(13)を経由してエバポレータ(40)を流れる。
【0045】
エバポレータ(40)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。その結果、この空気が冷却される。冷却された空気が車両室内へ供給されることで、車両室内の冷房が行われる。エバポレータ(40)で蒸発した冷媒は、エバポレータ流出管(14)を経由して冷媒配管モジュール(50)の第2内部流路(51b)へ流入する。第2内部流路(51b)を流出した冷媒は、冷媒配管モジュール(50)の外部の吸入管(15)へ流出し、その後に圧縮機(20)に吸入されて再び圧縮される。
【0046】
〈振動吸収装置の防振作用〉
ところで、本実施形態の車両用空調機(10)では、車両の走行時に外部振動が各振動吸収装置(60,70)へ伝達される。その結果、第1振動吸収装置(60)や第2振動吸収装置(70)は、外部振動を受けて水平方向等に振れることになる。ここで、従来の車両用空調機において、振動吸収装置と共に圧縮機が振れてしまう場合、圧縮機と繋がる吸入管や吐出管等の冷媒配管に応力が作用し、冷媒配管の破断を招く虞があった。
【0047】
これに対し、本実施形態では、冷媒回路(11)の冷媒の流路の一部を冷媒配管モジュール(50)の内部に形成し、この冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)と共に第1振動吸収装置(60)で支持するようにしている。これにより、圧縮機(20)が振れた場合には、圧縮機(20)と共に冷媒配管モジュール(50)も振れるので、冷媒配管モジュール(50)に作用する応力を低減でき、冷媒配管モジュール(50)が破断してしまうことが回避される。
【0048】
また、吸入管(15)や吐出管(16)は、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とに跨って連結されているので、圧縮機(20)が振れた場合、吸入管(15)及び吐出管(16)も一体的に振れることになる。従って、吸入管(15)や吐出管(16)に応力が作用することが防止され、吸入管(15)及び吐出管(16)の破断を未然に回避することができる。
【0049】
−実施形態の効果−
上記実施形態では、冷媒流路(51a,51b,51c)を冷媒配管モジュール(50)の内部に形成し、冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)と共に振動吸収装置(60)に支持させている。これにより、本発明によれば、外部振動によって圧縮機(20)が振れた場合、圧縮機(20)と一体的に冷媒配管モジュール(50)を振れさせることができ、冷媒配管モジュール(50)に作用する応力を軽減できる。従って、圧縮機(20)の振れに起因して冷媒配管モジュール(50)が破断/破損してしまうことを防止できる。同時に、圧縮機(20)の吸入管(15)や吐出管(16)を圧縮機(20)と一体的に振れさせることができるので、吸入管(15)や吐出管(16)が破断してしまうことも防止できる。
【0050】
更に、従来例の構造では、外部振動の影響により隣接する冷媒配管同士が互いに接触してしまう虞があるが、上記実施形態の冷媒配管モジュール(50)では、冷媒配管が互いに接触することがない。
【0051】
また、冷媒配管モジュール(50)、圧縮機(20)、及び電装品箱(25)を1つの振動吸収装置(60)に支持させることにより、装置構造もシンプルになり、且つ設置スペースもコンパクトにまとめることができる。更に、電装品箱(25)から圧縮機(20)までの電気配線を短くでき、装置構造を更にシンプル化できる。
【0052】
−実施形態の変形例−
上記実施形態の冷媒配管モジュール(50)を以下に示すような構造及び配置とするようにしても良い。
【0053】
〈変形例1〉
図5に示す変形例1の冷媒配管モジュール(50)は、コンデンサ(30)と一体的に連結されたものである。
【0054】
具体的に、冷媒配管モジュール(50)は、圧縮機(20)の台座部(23)の上面に設置されて立設する第1モジュール部(50a)と、該第1モジュール部(50a)の上端側に一体的に連接して水平方向に延びる第2モジュール部(50b)とから構成されている。第1モジュール部(50a)の片側の側面は、コンデンサ(30)の側端部と一体となるように連結している。第1モジュール部(50a)の内部には、コンデンサ(30)へ冷媒を流入させるための冷媒の流路(図示省略)が形成されている。第2モジュール部(50b)は、コンデンサ(30)の上端部と一体となるように連結されている。第2モジュール部(50b)の内部には、コンデンサ(30)から流出した冷媒が流れる冷媒の流路(図示省略)が形成されている。なお、図5では、上記実施形態の吸入管(15)及び吐出管(16)の図示を省略している。
【0055】
この変形例1では、放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とを一体的に連結するようにしたので、放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とを繋ぐ配管(即ち、コンデンサ流入管(17)やコンデンサ流出管(12))を省略できる。従って、圧縮機(20)とコンデンサ(30)の間の配管の取り回しをシンプル化できる。
【0056】
〈変形例2〉
図6に示す変形例2では、第1振動吸収装置(60)の防振材(62)の上側に冷媒配管モジュール(50)が直接的に支持されている。つまり、変形例2では、上記実施形態の支持板を冷媒配管モジュール(50)が兼用する構造となっている。冷媒配管モジュール(50)は、水平な姿勢となるように防振材(62)に支持されている。そして、冷媒配管モジュール(50)の上方に圧縮機(20)が設置されている。
【0057】
変形例2の圧縮機(20)は、円筒縦長のケーシング(21)を備えており、いわゆる縦置き型の圧縮機を構成している。また、圧縮機(20)のケーシング(21)の外周面近傍には、吸入管(15)に接続される中空円筒状のアキュムレータ(24)が設けられている。
【0058】
この変形例2では、冷媒配管モジュール(50)が振動吸収装置(60)の支持板を兼ねているので、部品点数を削減でき、装置構造を更にシンプルにすることができる。また、外部振動が生じた場合には、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とが一体的に振れやすくなるので、冷媒配管モジュール(50)に作用する応力を効果的に低減することができる。
【0059】
〈変形例3〉
図7に示す変形例3の冷媒配管モジュール(50)は、下側モジュール部(50a)と側方モジュール部(50b)とで構成されている。具体的に、下側モジュール部(50a)は、上記変形例2の冷媒配管モジュール(50)と同様にして、防振材(62)に支持されている。一方、側方モジュール部(50b)は、上下に延びるようにして下側モジュール部(50a)の上面に立設している。そして、側方モジュール部(50b)は、圧縮機(20)のケーシング(21)の外周面に隣接するように配置されている。
【0060】
変形例3では、圧縮機(20)の吸入管(15)の吐出管(16)が、側方モジュール部(50b)にそれぞれ接続されている。変形例3では、圧縮機(20)から側方モジュール部(50b)までの距離が比較的短くなるので、吸入管(15)や吐出管(16)の配管長さを短くできる。従って、配管に要するコストを削減でき、且つ配管の取り回しを更にシンプルとすることができる。
【0061】
なお、例えば図8や図9に示すように、側方モジュール部(50b)を2枚以上配列するようにしても良い。この場合には、圧縮機(20)を囲むように側方モジュール部(50b)を配列するのが好ましい。特に、側方モジュール部(50b)を下側モジュール部(50a)の側面に沿うように配列することで、冷媒配管モジュール(50)をコンパクトにまとめることができて好適である。また、図示しないが、下側モジュール部(50a)の4つの側面に対応するように4枚の側方モジュール部(50b)を設け、各側方モジュール部(50b)で圧縮機(20)の全周を囲むように配列しても良い。
【0062】
〈変形例4〉
図10及び図11に示す変形例4の冷媒配管モジュール(50)には、その内部に圧縮機(20)及びアキュムレータ(24)が挿通される挿通口(59)が形成されている。挿通口(59)は、冷媒配管モジュール(50)の各内部流路(51a,51b,51c)を避けるように形成されている。挿通口(59)は、圧縮機(20)及びアキュムレータ(24)に跨るような例えば楕円形状に形成されている。
【0063】
変形例4では、第1振動吸収装置(60)の支持板(61)の上に冷媒配管モジュール(50)が設置される。そして、圧縮機(20)及びアキュムレータ(24)が、冷媒配管モジュール(50)の挿通口(59)に挿通される。その結果、圧縮機(20)及びアキュムレータ(24)を冷媒配管モジュール(50)の内側にコンパクトにまとめることができ、設置スペースを更に縮小できる。
【0064】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0065】
上記各実施形態では、車両から成る輸送機械に搭載される、いわゆる車両用空調機に本発明を適用している。しかしながら、例えば飛行機や船舶、あるいは電車等に搭載される空調機や、船舶等によって搬送されるコンテナの庫内を冷却する冷凍装置について、本発明を適用するようにしても良い。
【0066】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本発明は、人や貨物を搬送する輸送機械に搭載される冷凍装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態に係る車両用空調機の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】冷媒配管モジュールの概略斜視図である。
【図3】冷媒配管モジュールのメインボディの概略構成図であり、(A)は横断面図、(B)は内側から見た立面図、(C)は外側から見た立面図である。
【図4】冷媒配管モジュールのセパレーティングプレート及びサブボディの概略構成図であり、(A)は横断面図、(B)は外側から見た立面図である。
【図5】変形例1の車両用空調機の全体構成を示す概略構成図である。
【図6】変形例2の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図7】変形例3の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図8】変形例3のその他の例の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図9】変形例3のその他の例の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図10】変形例4の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図11】変形例4の冷媒配管モジュールの配置構造を上方から見た平面図である。
【符号の説明】
【0069】
10 車両用空調機(冷凍装置)
11 冷媒回路
20 圧縮機
30 コンデンサ(放熱器)
40 エバポレータ(蒸発器)
51 メインボディ(板状部材)
52 セパレーティングプレート(板状部材)
53 サブボディ(板状部材)
51a 第1内部流路(冷媒流路)
51b 第2内部流路(冷媒流路)
51c 第3内部流路(冷媒流路)
60 第1振動吸収装置(振動吸収装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や貨物を搬送する輸送機械に搭載される冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車や船舶等の輸送機械に搭載されると共に、冷凍サイクルを利用して室内の空調や庫内の冷蔵を行う冷凍装置が知られている。
【0003】
この種の冷凍装置として、特許文献1には、車両の空調を行う冷凍装置が開示されている。この冷凍装置は、圧縮機と凝縮器と蒸発器とが冷媒配管によって接続されることで冷媒回路が構成されている。上記圧縮機は、車両フェンダーの前部に設けられている。
【0004】
ところで、この種の冷凍装置の運転時には、圧縮機の振動が車両の室内に伝わってしまうことがある。そこで、特許文献1の冷凍装置では、圧縮機を弾性材(ゴムマウント等)から成る振動吸収装置で支持するようにしている。この振動吸収装置により、圧縮機の振動が緩和され、車両への振動の伝達が抑制されている。
【特許文献1】特開平5−77640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1に開示の冷凍装置のように、圧縮機を振動吸収装置で支持するものでは、車両走行時の外部振動を圧縮機が受けた場合、圧縮機が大きく振れてしまうことがある。このような圧縮機の振れが大きくなると、圧縮機に接続される冷媒配管に応力が作用し、冷媒配管の破断を招く虞がある。従って、冷媒配管の振れを吸収する何らかの対策を講じる必要があり、装置構造が複雑となってしまう。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧縮機の振動を吸収する振動吸収装置を備えた冷凍装置において、圧縮機の振れに起因して冷媒の流路を形成するための配管が破断するのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、圧縮機(20)と放熱器(30)と蒸発器(40)とが接続されると共に冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)と、上記圧縮機(20)の振動を吸収する振動吸収装置(60)とを備え、人や貨物を搬送する輸送機械に搭載される冷凍装置を前提としている。そして、この冷凍装置は、上記冷媒回路(11)に、所定のパターンの溝が形成される複数の板状部材(51,52,53)を重ね合わせることで、上記溝の内部に冷媒の流路(51a,51b,51c)を形成する冷媒配管モジュール(50)が接続されており、上記振動吸収装置(60)には、上記圧縮機(20)と共に上記冷媒配管モジュール(50)が支持されていることを特徴とするものである。
【0008】
第1の発明の冷凍装置は、車両や船舶等の輸送機械に搭載される。冷媒回路(11)では、圧縮機(20)で圧縮された冷媒が循環することで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。圧縮機(20)は、振動吸収装置(60)に支持される。その結果、圧縮機(20)の振動が振動吸収装置(60)によって緩和/吸収される。これにより、圧縮機(20)の振動が輸送機械に伝達されることが抑制される。
【0009】
本発明では、冷媒回路(11)に冷媒配管モジュール(50)が接続される。冷媒配管モジュール(50)は、複数の板状部材(51,52,53)を重ね合わせて構成される。板状部材(51,52,53)には、所定パターンの溝が形成されている。冷媒配管モジュール(50)の内部には、この溝によって冷媒が流通可能な流路(51a,51b,51c)が形成される。
【0010】
本発明では、上記の構成の冷媒配管モジュール(50)が、圧縮機(20)と共に振動吸収装置(60)に支持される。このため、輸送機械の移動に伴う外部振動を圧縮機(20)が受けて、圧縮機(20)が振動吸収装置(60)と共に振れた場合、圧縮機(20)と共に冷媒配管モジュール(50)も振れることになる。従って、圧縮機(20)の振れに起因して冷媒配管モジュール(50)に応力が作用してしまうことが回避されるので、冷媒配管モジュール(50)が破断してしまうことが防止される。また、本発明では、1つの振動吸収装置(60)が圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とに兼用されるので、冷媒配管モジュール(50)用の振動吸収装置を別途設ける必要もない。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の冷凍装置において、上記圧縮機(20)の電装品が収容される電装品箱(25)を更に備え、上記振動吸収装置(60)には、上記圧縮機(20)及び冷媒配管モジュール(50)と共に上記電装品箱(25)も支持されていることを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明の冷凍装置には、圧縮機(20)の電装品が収納される電装品箱(25)が設けられる。電装品箱(25)には、例えば圧縮機(20)の周波数制御を行うためのインバータ回路等が収容される。本発明では、この電装品箱(25)も振動吸収装置(60)に支持される。これにより、電装品箱(25)の振動も振動吸収装置(60)によって吸収される。
【0013】
第3の発明は、第1の発明の冷凍装置において、上記振動吸収装置(60)には、その上側に上記冷媒配管モジュール(50)が水平な姿勢で支持されており、上記冷媒配管モジュール(50)の上面に上記圧縮機(20)が設置されていることを特徴とするものである。
【0014】
第3の発明は、冷媒配管モジュール(50)が水平な姿勢で振動吸収装置(60)に支持され、この冷媒配管モジュール(50)の上面に圧縮機(20)が設置される。つまり、冷媒配管モジュール(50)は、圧縮機(20)の支持台として機能する。このように圧縮機(20)を冷媒配管モジュール(50)上に設置することで、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とが一体的に振れ易くなる。従って、圧縮機(20)の振れに起因して冷媒配管モジュール(50)に応力が作用してしまうことが一層確実に回避される。
【0015】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明の冷凍装置において、上記振動吸収装置(60)には、圧縮機(20)の周囲に隣接して立設するように冷媒配管モジュール(50)が支持されていることを特徴とするものである。
【0016】
第4の発明では、冷媒配管モジュール(50)が圧縮機(20)の周囲に隣接しながら立設される。これにより、圧縮機(20)の吐出口や吸入口から、冷媒配管モジュール(50)までの距離が比較的短くなる。従って、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とを接続するための配管を短くできる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明の冷凍装置において、上記放熱器(30)は、上記冷媒配管モジュール(50)と一体となるように連結されていることを特徴とするものである。
【0018】
第5の発明では、冷媒が放熱(凝縮)する放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とが一体的に連結される。これにより、冷媒配管モジュール(50)と放熱器(30)とを接続するための配管を短く、あるいは無くすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、冷媒の流路(51a,51b,51c)を冷媒配管モジュール(50)の内部に形成し、冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)と共に振動吸収装置(60)に支持させている。これにより、本発明によれば、外部振動によって圧縮機(20)が振れた場合、圧縮機(20)と一体的に冷媒配管モジュール(50)を振れさせることができ、冷媒配管モジュール(50)に作用する応力を軽減できる。従って、圧縮機(20)の振れに起因して冷媒配管モジュール(50)が破断/破損してしまうことを防止できる。
【0020】
更に、従来例の構造では、外部振動の影響により隣接する冷媒配管同士が互いに接触してしまう虞があるが、本発明では、冷媒配管をモジュール化することで、このような冷媒配管同士の接触を確実に阻止できる。また、冷媒配管モジュール(50)及び圧縮機(20)を1つの振動吸収装置(60)に支持させることにより、装置構造もシンプルになり、且つ設置スペースもコンパクトにまとめることができる。
【0021】
また、第2の発明では、圧縮機(20)の電装品箱(25)も振動吸収装置(60)に支持させるようにしたので、1つの振動吸収装置(60)で電装品箱(25)の振動も抑制することができる。また、電装品箱(25)から圧縮機(20)までの電気配線を短くでき、装置構造を更にシンプル化できる。
【0022】
また、第3の発明では、冷媒配管モジュール(50)を水平な姿勢で振動吸収装置(60)に支持させ、この振動吸収装置(60)上に圧縮機(20)を設置させている。これより、本発明によれば、冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)の支持台として利用することができ、圧縮機(20)の設置性も良好となる。また、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とが更に一体的に振れ易くなるので、冷媒配管モジュール(50)の破損を一層確実に防止できる。
【0023】
また、第4の発明によれば、冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)の周囲に隣接させて立設させるようにしたので、圧縮機(20)の吐出口や吸入口から冷媒配管モジュール(50)までの距離を短くできる。従って、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とを繋ぐための配管の長さを短くでき、配管の取り回しのシンプル化、及び低コスト化を図ることができる。
【0024】
更に、第5の発明によれば、放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とを一体的に連結するようにしたので、放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とを繋ぐ配管を短く、あるいは無くすことができる。従って、配管の取り回しのシンプル化、及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
《発明の実施形態》
実施形態に係る冷凍装置は、車両から成る輸送機械に搭載されて車両室内の空調を行う、車両用空調機(10)を構成している。車両用空調機(10)は、車両のエンジンルームに搭載されている。
【0027】
図1に示すように、車両用空調機(10)は、冷媒が充填された冷媒回路(11)を有している。冷媒回路(11)では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(11)には、圧縮機(20)とコンデンサ(30)とエバポレータ(40)と冷媒配管モジュール(50)とが接続されている。
【0028】
コンデンサ(30)は、エンジンルームにおける走行方向の前側寄りに設置されている。コンデンサ(30)の近傍には、車両の走行風が導入される。コンデンサ(30)では、冷媒が走行風に向かって放熱する。つまり、コンデンサ(30)は、いわゆる放熱器を構成している。
【0029】
エバポレータ(40)は、エンジンルームにおける車両室内側寄りに設置されている。エバポレータ(40)では、冷媒が車両室内の空気から吸熱して蒸発する。エバポレータ(40)で冷却された空気が車両室内に送られることで、車両室内の冷房が行われる。
【0030】
圧縮機(20)は、円筒の横長のケーシング(21)を有しており、その内部に冷媒を圧縮するための圧縮機構や圧縮機モータが収納されている。圧縮機(20)は、運転周波数が可変なインバータ型の圧縮機を構成している。つまり、圧縮機(20)は、インバータ回路を介して電力が供給される。この電力の出力周波数が制御されることで、圧縮機モータの回転数が調節される。上記インバータ回路等の電装品は、電装品箱(25)に収納されている。また、圧縮機(20)のケーシング(21)には、その下部に支持部(22)が設けられ、その上部に台座部(23)が設けられている。
【0031】
図2に示すように、冷媒配管モジュール(50)は、3枚の板状部材が厚さ方向に積層されて構成されている。これらの板状部材は、メインボディ(51)と、セパレーティングプレート(52)と、サブボディ(53)とで構成されている。各板状部材(51,52,53)は、扁平で横長の直方体形状に形成されている。各板状部材(51,52,53)は、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属製であっても良いし、樹脂製であっても良い。
【0032】
図3に示すように、メインボディ(51)には、冷媒の流路を形成するための複数の溝が形成されている。具体的に、メインボディ(51)の内側の面には、第1内部流路(51a)と、第2内部流路(51b)と、第3内部流路(51c)とが形成されている(図3(B)を参照)。各内部流路(51a,51b,51c)は、メインボディ(51)の内側に向かって開放される溝形状に形成されている。第1内部流路(51a)は、メインボディ(51)の上端面及び側面に沿うようなL字状に形成されている。第2内部流路(51b)及び第3内部流路(51c)は、メインボディ(51)の下端面側が開放側となるようなコの字状に形成されている。
【0033】
メインボディ(51)では、第1内部流路(51a)の途中にレシーバ溝(54)と2つのフィルタ溝(55,55)とが形成されている。レシーバ溝(54)は、第1内部流路(51a)の流路断面よりも大径となる柱状に形成されている。レシーバ溝(54)は、第1内部流路(51a)を流れる冷媒を一時的に貯留するレシーバ(受液器)を構成している。
【0034】
2つのフィルタ溝(55,55)には、それぞれ有底筒状のメッシュ部材が収納されている。各メッシュ部材は、冷媒中に含まれている不純物の流通を禁止する一方、冷媒の流通を許容している。つまり、各メッシュ部材は、冷媒中の不純物を除去するフィルタを構成している。また、2つのフィルタ溝(55,55)の間には、第1内部流路(51a)の流路断面を縮小させるためのキャピラリーチューブ(56)が介設されている。キャピラリーチューブ(56)は、冷媒を減圧して膨張させる膨張機構を構成している。また、メインボディ(51)には、複数のボルト穴(57,57,…)が各内部流路(51a,51b,51c)を避けるように形成されている。
【0035】
図4に示すように、セパレーティングプレート(52)及びサブボディ(53)には、複数のボルト穴(57,57,…)が形成されている。各板状部材(51,52,53)では、各々のボルト穴(57a,57,…)が厚さ方向に連なるように互いに対応する位置に形成されている。メインボディ(51)、セパレーティングプレート(52)、サブボディ(53)が順に積層された状態で、各ボルト穴(57,57,…)にボルトが締結されることで、一体的な冷媒配管モジュール(50)が構成される。その結果、メインボディ(51)では、各内部流路(51a)、レシーバ溝(54)、及びフィルタ溝(55,55)がセパレーティングプレート(52)によって閉塞される。これにより、各内部流路(51a,51b,51c)、レシーバ溝(57)、及びフィルタ溝(55)は、冷媒が流通可能な冷媒流路を構成することになる。また、上記メインボディ(51)とセパレーティングプレート(52)との間には、セパレーティングプレート(52)側の表面にガスケット等のシール材(図示省略)が焼き付けられている。これにより、各内部流路(51a,51b,51c)のシール性が向上し、冷媒漏れが抑制されている。なお、冷媒配管モジュール(50)は、このようなシール性を充分確保できる構造であれば、上記セパレーティングプレート(52)を省略してメインボディ(51)及びサブボディ(53)を2枚重ねとする構造としても良い。また、セパレーティングプレート(52)及びサブボディ(53)に、メインボディ(51)の内部流路と繋がるような冷媒の流路を形成した場合には、セパレーティングプレート(52)とサブボディ(53)の間にガスケット等のシール部材を焼き付けるようにしても良い。この場合には、セパレーティングプレート(52)とサブボディ(53)との間での冷媒の漏れに対するシール性を向上させることができる。
【0036】
各内部流路(51a,51b,51c)の流出端及び流入端は、メインボディ(51)の外側の面にそれぞれ開口している(図3(C)を参照)。具体的に、メインボディ(51)の外側の面の上端寄り且つ側端寄りの部位には、第1内部流路(51a)の流入端が開口している。一方、メインボディ(51)の外側の面の下端寄りの部位には、第1内部流路(51a)の流出端と、第2内部流路(51b)の流入端及び流出端と、第3内部流路(51c)の流入端及び流出端とが、メインボディ(51)の長手方向に配列されて開口している。
【0037】
図1に示すように、第1内部流路(51a)の流入端は、コンデンサ流出管(12)を介してコンデンサ(30)の流出側と接続される。第1内部流路(51a)の流出端は、エバポレータ流入管(13)を介してエバポレータ(40)の流入側と接続される。第2内部流路(51b)の流入端は、エバポレータ流出管(14)を介してエバポレータ(40)の流入側と接続される。第2内部流路(51b)の流出端は、吸入管(15)を介して圧縮機(20)の吸入側と接続される。第3内部流路(51c)の流入端は、吐出管(16)を介して圧縮機(20)の吐出側と接続される。第3内部流路(51c)の流出端は、コンデンサ流入管(17)を介してコンデンサ(30)の流入側と接続される。
【0038】
上記コンデンサ流出管(12)、エバポレータ流入管(13)、エバポレータ流出管(14)、及びコンデンサ流入管(17)には、その途中にそれぞれフレキシブルホース(18)が介設されている。このフレキシブルホース(18)により、圧縮機(20)側からコンデンサ(30)やエバポレータ(40)への振動の伝達が抑制されている。
【0039】
車両用空調機(10)には、2つの振動吸収装置(60,70)が設けられている。具体的に、これらの振動吸収装置は、圧縮機(20)側に設けられる第1振動吸収装置(60)と、コンデンサ(30)側に設けられる第2振動吸収装置(70)とで構成される。各振動吸収装置(60,70)は、それぞれ支持板(61,71)と防振材(62,72)とを備えている。支持板(61)は、扁平な板状に形成されている。防振材(62,72)は、支持板(61)の下面に複数本設けられている。防振材(62,72)は、例えばゴムマウント等の弾性材料によって構成されている。
【0040】
第1振動吸収装置(60)は、圧縮機(20)の下側に設けられている。具体的に、第1振動吸収装置(60)では、その支持板(61)の上側に圧縮機(20)の支持部(22)が設置されている。第1振動吸収装置(60)は、運転中の圧縮機(20)の振動が車両の室内へ伝達するのを抑制している。また、第1振動吸収装置(60)は、圧縮機(20)と共に上記冷媒配管モジュール(50)や電装品箱(25)も支持している。つまり、圧縮機(20)の台座部(23)の上面には、上記冷媒配管モジュール(50)及び電装品箱(25)が設置されている。冷媒配管モジュール(50)と電装品箱(25)とは、固定部材を介して互いに一体的に連結されている。そして、圧縮機(20)、冷媒配管モジュール(50)、及び電装品箱(25)は、第1振動吸収装置(60)に一体的に支持されている。
【0041】
第2振動吸収装置(70)は、コンデンサ(30)の下側に設けられている。具体的に、第2振動吸収装置(70)では、その支持板(71)の上側にコンデンサ(30)が設置されている。
【0042】
−運転動作−
次に、上記実施形態の車両用空調機(10)の運転動作について説明する。車両用空調機(10)の運転時には、圧縮機(20)が運転状態となり、冷媒回路(11)で冷凍サイクルが行われる。その結果、エバポレータ(40)によって車両室内の冷房が行われる。
【0043】
具体的に、圧縮機(20)で圧縮された冷媒は、吐出管(16)へ吐出される。吐出管(16)を流れる冷媒は、冷媒配管モジュール(50)の第3内部流路(51c)へ流入し、再び冷媒配管モジュール(50)の外部へ流出する。この冷媒は、コンデンサ流入管(17)を経由してコンデンサ(30)を流れる。コンデンサ(30)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。コンデンサ(30)で凝縮した冷媒は、コンデンサ流出管(12)を介して冷媒配管モジュール(50)の第1内部流路(51a)へ流入する。
【0044】
第1内部流路(51a)を流れる冷媒は、レシーバ溝(54)及び上流側のフィルタ溝(55)を通過した後、キャピラリーチューブ(56)を流れる。この冷媒は、キャピラリーチューブ(56)を流れる際に減圧されて膨張する。キャピラリーチューブ(56)で減圧された冷媒は、エバポレータ流入管(13)を経由してエバポレータ(40)を流れる。
【0045】
エバポレータ(40)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。その結果、この空気が冷却される。冷却された空気が車両室内へ供給されることで、車両室内の冷房が行われる。エバポレータ(40)で蒸発した冷媒は、エバポレータ流出管(14)を経由して冷媒配管モジュール(50)の第2内部流路(51b)へ流入する。第2内部流路(51b)を流出した冷媒は、冷媒配管モジュール(50)の外部の吸入管(15)へ流出し、その後に圧縮機(20)に吸入されて再び圧縮される。
【0046】
〈振動吸収装置の防振作用〉
ところで、本実施形態の車両用空調機(10)では、車両の走行時に外部振動が各振動吸収装置(60,70)へ伝達される。その結果、第1振動吸収装置(60)や第2振動吸収装置(70)は、外部振動を受けて水平方向等に振れることになる。ここで、従来の車両用空調機において、振動吸収装置と共に圧縮機が振れてしまう場合、圧縮機と繋がる吸入管や吐出管等の冷媒配管に応力が作用し、冷媒配管の破断を招く虞があった。
【0047】
これに対し、本実施形態では、冷媒回路(11)の冷媒の流路の一部を冷媒配管モジュール(50)の内部に形成し、この冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)と共に第1振動吸収装置(60)で支持するようにしている。これにより、圧縮機(20)が振れた場合には、圧縮機(20)と共に冷媒配管モジュール(50)も振れるので、冷媒配管モジュール(50)に作用する応力を低減でき、冷媒配管モジュール(50)が破断してしまうことが回避される。
【0048】
また、吸入管(15)や吐出管(16)は、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とに跨って連結されているので、圧縮機(20)が振れた場合、吸入管(15)及び吐出管(16)も一体的に振れることになる。従って、吸入管(15)や吐出管(16)に応力が作用することが防止され、吸入管(15)及び吐出管(16)の破断を未然に回避することができる。
【0049】
−実施形態の効果−
上記実施形態では、冷媒流路(51a,51b,51c)を冷媒配管モジュール(50)の内部に形成し、冷媒配管モジュール(50)を圧縮機(20)と共に振動吸収装置(60)に支持させている。これにより、本発明によれば、外部振動によって圧縮機(20)が振れた場合、圧縮機(20)と一体的に冷媒配管モジュール(50)を振れさせることができ、冷媒配管モジュール(50)に作用する応力を軽減できる。従って、圧縮機(20)の振れに起因して冷媒配管モジュール(50)が破断/破損してしまうことを防止できる。同時に、圧縮機(20)の吸入管(15)や吐出管(16)を圧縮機(20)と一体的に振れさせることができるので、吸入管(15)や吐出管(16)が破断してしまうことも防止できる。
【0050】
更に、従来例の構造では、外部振動の影響により隣接する冷媒配管同士が互いに接触してしまう虞があるが、上記実施形態の冷媒配管モジュール(50)では、冷媒配管が互いに接触することがない。
【0051】
また、冷媒配管モジュール(50)、圧縮機(20)、及び電装品箱(25)を1つの振動吸収装置(60)に支持させることにより、装置構造もシンプルになり、且つ設置スペースもコンパクトにまとめることができる。更に、電装品箱(25)から圧縮機(20)までの電気配線を短くでき、装置構造を更にシンプル化できる。
【0052】
−実施形態の変形例−
上記実施形態の冷媒配管モジュール(50)を以下に示すような構造及び配置とするようにしても良い。
【0053】
〈変形例1〉
図5に示す変形例1の冷媒配管モジュール(50)は、コンデンサ(30)と一体的に連結されたものである。
【0054】
具体的に、冷媒配管モジュール(50)は、圧縮機(20)の台座部(23)の上面に設置されて立設する第1モジュール部(50a)と、該第1モジュール部(50a)の上端側に一体的に連接して水平方向に延びる第2モジュール部(50b)とから構成されている。第1モジュール部(50a)の片側の側面は、コンデンサ(30)の側端部と一体となるように連結している。第1モジュール部(50a)の内部には、コンデンサ(30)へ冷媒を流入させるための冷媒の流路(図示省略)が形成されている。第2モジュール部(50b)は、コンデンサ(30)の上端部と一体となるように連結されている。第2モジュール部(50b)の内部には、コンデンサ(30)から流出した冷媒が流れる冷媒の流路(図示省略)が形成されている。なお、図5では、上記実施形態の吸入管(15)及び吐出管(16)の図示を省略している。
【0055】
この変形例1では、放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とを一体的に連結するようにしたので、放熱器(30)と冷媒配管モジュール(50)とを繋ぐ配管(即ち、コンデンサ流入管(17)やコンデンサ流出管(12))を省略できる。従って、圧縮機(20)とコンデンサ(30)の間の配管の取り回しをシンプル化できる。
【0056】
〈変形例2〉
図6に示す変形例2では、第1振動吸収装置(60)の防振材(62)の上側に冷媒配管モジュール(50)が直接的に支持されている。つまり、変形例2では、上記実施形態の支持板を冷媒配管モジュール(50)が兼用する構造となっている。冷媒配管モジュール(50)は、水平な姿勢となるように防振材(62)に支持されている。そして、冷媒配管モジュール(50)の上方に圧縮機(20)が設置されている。
【0057】
変形例2の圧縮機(20)は、円筒縦長のケーシング(21)を備えており、いわゆる縦置き型の圧縮機を構成している。また、圧縮機(20)のケーシング(21)の外周面近傍には、吸入管(15)に接続される中空円筒状のアキュムレータ(24)が設けられている。
【0058】
この変形例2では、冷媒配管モジュール(50)が振動吸収装置(60)の支持板を兼ねているので、部品点数を削減でき、装置構造を更にシンプルにすることができる。また、外部振動が生じた場合には、圧縮機(20)と冷媒配管モジュール(50)とが一体的に振れやすくなるので、冷媒配管モジュール(50)に作用する応力を効果的に低減することができる。
【0059】
〈変形例3〉
図7に示す変形例3の冷媒配管モジュール(50)は、下側モジュール部(50a)と側方モジュール部(50b)とで構成されている。具体的に、下側モジュール部(50a)は、上記変形例2の冷媒配管モジュール(50)と同様にして、防振材(62)に支持されている。一方、側方モジュール部(50b)は、上下に延びるようにして下側モジュール部(50a)の上面に立設している。そして、側方モジュール部(50b)は、圧縮機(20)のケーシング(21)の外周面に隣接するように配置されている。
【0060】
変形例3では、圧縮機(20)の吸入管(15)の吐出管(16)が、側方モジュール部(50b)にそれぞれ接続されている。変形例3では、圧縮機(20)から側方モジュール部(50b)までの距離が比較的短くなるので、吸入管(15)や吐出管(16)の配管長さを短くできる。従って、配管に要するコストを削減でき、且つ配管の取り回しを更にシンプルとすることができる。
【0061】
なお、例えば図8や図9に示すように、側方モジュール部(50b)を2枚以上配列するようにしても良い。この場合には、圧縮機(20)を囲むように側方モジュール部(50b)を配列するのが好ましい。特に、側方モジュール部(50b)を下側モジュール部(50a)の側面に沿うように配列することで、冷媒配管モジュール(50)をコンパクトにまとめることができて好適である。また、図示しないが、下側モジュール部(50a)の4つの側面に対応するように4枚の側方モジュール部(50b)を設け、各側方モジュール部(50b)で圧縮機(20)の全周を囲むように配列しても良い。
【0062】
〈変形例4〉
図10及び図11に示す変形例4の冷媒配管モジュール(50)には、その内部に圧縮機(20)及びアキュムレータ(24)が挿通される挿通口(59)が形成されている。挿通口(59)は、冷媒配管モジュール(50)の各内部流路(51a,51b,51c)を避けるように形成されている。挿通口(59)は、圧縮機(20)及びアキュムレータ(24)に跨るような例えば楕円形状に形成されている。
【0063】
変形例4では、第1振動吸収装置(60)の支持板(61)の上に冷媒配管モジュール(50)が設置される。そして、圧縮機(20)及びアキュムレータ(24)が、冷媒配管モジュール(50)の挿通口(59)に挿通される。その結果、圧縮機(20)及びアキュムレータ(24)を冷媒配管モジュール(50)の内側にコンパクトにまとめることができ、設置スペースを更に縮小できる。
【0064】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0065】
上記各実施形態では、車両から成る輸送機械に搭載される、いわゆる車両用空調機に本発明を適用している。しかしながら、例えば飛行機や船舶、あるいは電車等に搭載される空調機や、船舶等によって搬送されるコンテナの庫内を冷却する冷凍装置について、本発明を適用するようにしても良い。
【0066】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本発明は、人や貨物を搬送する輸送機械に搭載される冷凍装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態に係る車両用空調機の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】冷媒配管モジュールの概略斜視図である。
【図3】冷媒配管モジュールのメインボディの概略構成図であり、(A)は横断面図、(B)は内側から見た立面図、(C)は外側から見た立面図である。
【図4】冷媒配管モジュールのセパレーティングプレート及びサブボディの概略構成図であり、(A)は横断面図、(B)は外側から見た立面図である。
【図5】変形例1の車両用空調機の全体構成を示す概略構成図である。
【図6】変形例2の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図7】変形例3の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図8】変形例3のその他の例の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図9】変形例3のその他の例の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図10】変形例4の冷媒配管モジュールの配置構造を示す概略斜視図である。
【図11】変形例4の冷媒配管モジュールの配置構造を上方から見た平面図である。
【符号の説明】
【0069】
10 車両用空調機(冷凍装置)
11 冷媒回路
20 圧縮機
30 コンデンサ(放熱器)
40 エバポレータ(蒸発器)
51 メインボディ(板状部材)
52 セパレーティングプレート(板状部材)
53 サブボディ(板状部材)
51a 第1内部流路(冷媒流路)
51b 第2内部流路(冷媒流路)
51c 第3内部流路(冷媒流路)
60 第1振動吸収装置(振動吸収装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(20)と放熱器(30)と蒸発器(40)とが接続されると共に冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)と、上記圧縮機(20)の振動を吸収する振動吸収装置(60)とを備え、人や貨物を搬送する輸送機械に搭載される冷凍装置であって、
上記冷媒回路(11)には、所定のパターンの溝が形成される複数の板状部材(51,52,53)を重ね合わせることで、上記溝の内部に冷媒の流路(51a,51b,51c)を形成する冷媒配管モジュール(50)が接続されており、
上記振動吸収装置(60)には、上記圧縮機(20)と共に上記冷媒配管モジュール(50)が支持されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記圧縮機(20)の電装品が収容される電装品箱(25)を更に備え、
上記振動吸収装置(60)には、上記圧縮機(20)及び冷媒配管モジュール(50)と共に上記電装品箱(25)も支持されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記振動吸収装置(60)には、その上側に上記冷媒配管モジュール(50)が水平な姿勢で支持されており、
上記冷媒配管モジュール(50)の上面に上記圧縮機(20)が設置されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
上記振動吸収装置(60)には、圧縮機(20)の周囲に隣接して立設するように冷媒配管モジュール(50)が支持されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記放熱器(30)は、上記冷媒配管モジュール(50)と一体となるように連結されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項1】
圧縮機(20)と放熱器(30)と蒸発器(40)とが接続されると共に冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)と、上記圧縮機(20)の振動を吸収する振動吸収装置(60)とを備え、人や貨物を搬送する輸送機械に搭載される冷凍装置であって、
上記冷媒回路(11)には、所定のパターンの溝が形成される複数の板状部材(51,52,53)を重ね合わせることで、上記溝の内部に冷媒の流路(51a,51b,51c)を形成する冷媒配管モジュール(50)が接続されており、
上記振動吸収装置(60)には、上記圧縮機(20)と共に上記冷媒配管モジュール(50)が支持されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記圧縮機(20)の電装品が収容される電装品箱(25)を更に備え、
上記振動吸収装置(60)には、上記圧縮機(20)及び冷媒配管モジュール(50)と共に上記電装品箱(25)も支持されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記振動吸収装置(60)には、その上側に上記冷媒配管モジュール(50)が水平な姿勢で支持されており、
上記冷媒配管モジュール(50)の上面に上記圧縮機(20)が設置されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
上記振動吸収装置(60)には、圧縮機(20)の周囲に隣接して立設するように冷媒配管モジュール(50)が支持されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記放熱器(30)は、上記冷媒配管モジュール(50)と一体となるように連結されていることを特徴とする冷凍装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−18602(P2009−18602A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180699(P2007−180699)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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