説明

冷凍装置

【課題】簡素な構成により、空気の冷却と氷の生成とを同時に行うことができ、且つ生成した氷の冷熱を容易に空気の冷却に利用できる冷凍装置を提供する。
【解決手段】冷媒回路(11)には、前記利用側熱交換器(62,72,82)の冷媒が蒸発して空気を冷却すると同時に前記氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒が蒸発して氷を生成する氷蓄熱冷却動作と、冷媒が氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の氷に放熱し、放熱後の冷媒が利用側熱交換器(62,72,82)で蒸発する氷利用冷却動作とを行うように冷媒の流路を切り換える流路切換機構(94,107,111)と、前記氷蓄熱冷却動作時に、前記氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒の蒸発温度を前記利用側熱交換器(62,72,82)の冷媒の蒸発温度よりも低くする蒸発温度調整機構(104,105)とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルを行う冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷媒回路で冷凍サイクルを行う冷凍装置が知られており、冷蔵庫や冷凍庫内の空気の冷却や室内の空調等に広く適用されている。
【0003】
特許文献1には、この種の冷凍装置が開示されている。この冷凍装置は、二段圧縮式の冷凍サイクルが行われる冷媒回路と、該冷媒回路の高段側の蒸発器と接続する空調回路と、該冷媒回路の低段側の蒸発器と接続する冷却回路とを有する。高段側の蒸発器では、冷媒が蒸発して空調回路の熱媒体が冷却される。冷却された熱媒体は、空調負荷側へ送られて、室内の冷房に利用される。低段側の蒸発器では、冷媒が蒸発して冷却回路の熱媒体が冷却される。冷却された熱媒体は、氷蓄熱熱交換器に送られ、周囲の氷の生成に利用される。この冷凍装置では、比較的負荷の高い条件下において、この氷の冷熱を冷蔵庫内の空気の冷却に利用することで、消費電力の平準化、省エネ化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−235960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の冷凍装置では、冷媒回路とは別に熱媒体が循環する二次側の回路を設ける必要があり、装置構造の複雑化を招いてしまう。また、特許文献1の冷凍装置では、氷蓄熱熱交換器で生成した氷の冷熱を直接的に空調負荷側へ供給することもできない。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な構成により、空気の冷却と氷の生成とを同時に行うことができ、且つ生成した氷の冷熱を容易に空気の冷却に利用できる冷凍装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、1つの冷媒回路(11)において、利用側熱交換器(62,72,82)と氷蓄熱熱交換器(106)とで冷媒を異温度蒸発させる動作と、氷蓄熱熱交換器(106)で過冷却した冷媒を利用側熱交換器(62,72,82)で蒸発させて空気を冷却する動作とを行うものである。
【0008】
具体的に、第1の発明は、圧縮機(22,23,24)、熱源側熱交換器(25)、膨張機構(31,63,73,83)、及び蒸発する冷媒によって空気を冷却する少なくとも1つの利用側熱交換器(62,72,82)とが接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)を備えた冷凍装置を対象とし、前記冷媒回路(11)には、前記利用側熱交換器(62,72,82)と並列に接続され、蒸発する冷媒によって水を冷却して氷を生成する氷蓄熱熱交換器(106)と、前記利用側熱交換器(62,72,82)の冷媒が蒸発して空気を冷却すると同時に前記氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒が蒸発して氷を生成する氷蓄熱冷却動作と、冷媒が氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の氷に放熱し、放熱後の冷媒が利用側熱交換器(62,72,82)で蒸発する氷利用冷却動作とを行うように冷媒の流路を切り換える流路切換機構(94,107,111)と、前記氷蓄熱冷却動作時に、前記氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒の蒸発温度を前記利用側熱交換器(62,72,82)の冷媒の蒸発温度よりも低くする蒸発温度調整機構(104,105)とが設けられていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明では、氷蓄熱冷却動作と氷利用冷却動作とが切り換えて行われる。
【0010】
氷蓄熱冷却動作では、圧縮機(22,23,24)で圧縮された冷媒が、熱源側熱交換器(25)で凝縮する。凝縮後の冷媒は、減圧された後に、利用側熱交換器(62,72,82)と氷蓄熱熱交換器(106)とへ送られる。利用側熱交換器(62,72,82)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。その結果、空気が冷却される。氷蓄熱熱交換器(106)では、冷媒が水から吸熱して蒸発する。本発明では、蒸発温度調整機構(104,105)によって、氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒の蒸発温度が利用側熱交換器(62,72,82)の冷媒の蒸発温度よりも低く調整される。これにより、氷蓄熱熱交換器(106)では、周囲の水が0度未満まで冷却されて氷が生成される。利用側熱交換器(62,72,82)及び氷蓄熱熱交換器(106)でそれぞれ蒸発した冷媒は、圧縮機(22,23,24)に吸入されて圧縮される。
【0011】
氷利用冷却動作では、圧縮機(22,24)で圧縮された冷媒が、熱源側熱交換器(25)で凝縮する。凝縮後の冷媒は、氷蓄熱熱交換器(106)を通過し、周囲の氷に放熱する。その結果、氷蓄熱熱交換器(106)では、冷媒が冷却される。氷蓄熱熱交換器(106)で冷却された冷媒は、利用側熱交換器(62,72,82)へ送られて空気の冷却に利用される。この冷媒は、氷蓄熱熱交換器(106)で冷却されて過冷却度が大きくなっている。従って、利用側熱交換器(62,72,82)における空気の冷却能力が増大する。利用側熱交換器(62,72,82)で蒸発した冷媒は、圧縮機(22,24)に吸入されて圧縮される。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記蒸発温度調整機構(104,105)は、前記氷蓄熱冷却動作時に氷蓄熱熱交換器(106)の流入前の冷媒を減圧する補助減圧機構(105)と、該氷蓄熱冷却動作時に氷蓄熱熱交換器(106)の流出後の冷媒を圧縮する補助圧縮機(104)とを備えていることを特徴とする。
【0013】
第2の発明では、蒸発温度調整機構(104,105)として、補助減圧機構(105)と補助圧縮機(104)とが設けられる。氷蓄熱冷却動作では、熱源側熱交換器(25)で凝縮した冷媒が補助減圧機構(105)を通過する。補助減圧機構(105)は、氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒の蒸発温度が、利用側熱交換器(62,72,82)の冷媒の蒸発温度よりも低くなるように、この冷媒を減圧する。補助減圧機構(105)で減圧された冷媒は、氷蓄熱熱交換器(106)で蒸発する。その結果、氷蓄熱熱交換器(106)の周囲で氷が生成される。氷蓄熱熱交換器(106)で蒸発した冷媒は、補助圧縮機(104)で圧縮され、その後、更に圧縮機(22,23,24)で圧縮される。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、前記利用側熱交換器(62,72,82)は、庫内の空気を冷却する庫内冷却用熱交換器(72,82)で構成されることを特徴とする。
【0015】
第3の発明では、利用側熱交換器(62,72,82)が庫内冷却用熱交換器(72,82)で構成される。氷蓄熱冷却動作では、庫内冷却用熱交換器(72,82)によって、庫内の空気が冷却され、且つ氷蓄熱熱交換器(106)で氷が生成される。氷利用冷却動作では、氷蓄熱熱交換器(106)で冷却された冷媒が庫内冷却用熱交換器(72,82)で蒸発して庫内の空気が冷却される。
【0016】
第4の発明は、第2の発明において、前記利用側熱交換器(62,72,82)は、蒸発する冷媒によって室内の空気を冷却する動作と、凝縮する冷媒によって室内の空気を加熱する動作とを切り換えて行う空調用熱交換器(62)で構成されることを特徴とする。
【0017】
第4の発明では、利用側熱交換器(62,72,82)が空調用熱交換器(62)で構成される。氷蓄熱冷却動作では、空調用熱交換器(62)で室内の冷房が行われ、且つ氷蓄熱熱交換器(106)で氷が生成される。氷利用冷却動作では、氷蓄熱熱交換器(106)で冷却された冷媒が空調用熱交換器(62)で蒸発して室内の冷房が行われる。
【0018】
第5の発明は、第4の発明において、前記流路切換機構(94,107,111)は、空調用熱交換器(62)で凝縮した冷媒を前記氷蓄熱熱交換器(106)で放熱させ、放熱後の冷媒を熱源側熱交換器(25)で蒸発させる暖房動作と、該熱源側熱交換器(25)で凝縮した後の冷媒を前記氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の温水から吸熱させる除霜動作とが行われるように冷媒の流路を切り換えることを特徴とする。
【0019】
第5の発明では、暖房動作と除霜動作とが切り換えて行われる。
【0020】
暖房動作では、圧縮機(22,23,24)で圧縮された冷媒が、空調用熱交換器(62)で室内の空気へ放熱して凝縮する。その結果、室内の空気が加熱されて暖房が行われる。空調用熱交換器(62)で凝縮した冷媒は、氷蓄熱熱交換器(106)で放熱する。その結果、氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の水が加熱されて温水が生成される。氷蓄熱熱交換器(106)で放熱した冷媒は、熱源側熱交換器(25)で蒸発した後、圧縮機(22,23,24)に吸入されて圧縮される。
【0021】
除霜動作では、熱源側熱交換器(25)の表面に生成した霜を融かす動作が行われる。具体的に、除霜動作では、圧縮機(22,24)で圧縮された冷媒が、熱源側熱交換器(25)を流れる。熱源側熱交換器(25)では、冷媒が熱源側熱交換器(25)の表面の霜へ放熱して凝縮する。その結果、熱源側熱交換器(25)の表面で除霜が行われる。熱源側熱交換器)で凝縮した冷媒は、氷蓄熱熱交換器(106)を通過する。この際、氷蓄熱熱交換器(106)の周囲では、上述した暖房運転に伴い温水が生成されている。このため、除霜動作時の氷蓄熱熱交換器(106)では、冷媒が周囲の温水から吸熱する。この冷媒は、圧縮機(22,24)に吸入されて熱源側熱交換器(25)へ送られ、熱源側熱交換器(25)の表面の除霜に利用される。以上のように、除霜動作では、氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の温水の熱が、熱源側熱交換器(25)の表面の除霜に利用される。
【0022】
第6の発明は、第2乃至第5のいずれか1つにおいて、前記冷媒回路(11)には、前記氷蓄熱冷却動作時に異なる蒸発温度に設定される複数の前記利用側熱交換器(62,72,82)が互いに並列に接続され、前記補助圧縮機(104)の吐出側は、前記氷蓄熱冷却動作中に最も冷媒の蒸発温度の低い利用側熱交換器(72,82)の流出側に接続していることを特徴とする。
【0023】
第6の発明では、互いに蒸発温度の異なる複数の利用側熱交換器(62,72,82)が、冷媒回路(11)に接続される。補助圧縮機(104)の吐出側は、これらの利用側熱交換器(62,72,82)のうち最も冷媒の蒸発温度が低い利用側熱交換器(72,82)の流出側と接続する。これにより、氷蓄熱冷却動作時には、補助圧縮機(104)の前後の差圧が比較的小さくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、1つの冷媒回路(11)において、利用側熱交換器(62,72,82)と氷蓄熱熱交換器(106)とで冷媒を異温度で蒸発させる氷蓄熱冷却動作と、氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の氷で冷却した冷媒を利用側熱交換器(62,72,82)で蒸発させる動作とを切り換えて行うようにしている。これにより、空気を冷却すると同時に氷を生成する動作と、氷の冷熱を利用して空気を冷却する動作とを、比較的簡素な構成により実現できる。その結果、冷凍装置の小型化、低コスト化を図ることができる。また、このように1つの冷媒回路で氷の冷熱を直接的に利用することで、例えば二元式の回路で間接的に冷熱を利用するものより、伝熱に伴う熱ロスを低減できる。その結果、省エネ性に優れた冷凍装置を提供できる。
【0025】
第2の発明によれば、補助減圧機構(105)と補助圧縮機(104)を用いることで、氷蓄熱冷却動作時における氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒の蒸発温度を、確実に低くすることができる。
【0026】
第3の発明では、氷蓄熱冷却動作において、庫内の空気の冷却を継続したまま氷を生成できる。また、氷利用冷却動作時において、電力消費を抑えつつ、庫内冷却用熱交換器(72,82)の冷却能力を確実に増大できる。
【0027】
第4の発明では、氷蓄熱冷却動作において、室内の空気の冷房を継続したまま氷を生成できる。また、夏季の昼間等において氷利用冷却動作を実行することで、電力消費を抑えつつ、空調用熱交換器(62)による冷房能力を確実に増大できる。
【0028】
第5の発明では、暖房時に氷蓄熱熱交換器(106)の周囲で生成した温水の熱を、熱源側熱交換器(25)の表面の除霜に利用でき、除霜能力の向上、除霜時間の短縮化を図ることができる。
【0029】
第6の発明では、補助圧縮機(104)の前後の差圧を小さくすることで、補助圧縮機(104)の小型化、低容量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、実施形態1に係る冷凍装置の概略の配管系統図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る冷凍装置の概略の配管系統図であり、室内の冷房と冷蔵庫内の冷却と氷の生成とを同時に行う運転(氷蓄熱冷却動作)を表したものである。凝縮器となる熱交換器にはハッチングを付し、蒸発器となる熱交換器にはドットを付している(図2以降の図も同様)。
【図3】図3は、図2に示す動作中の概略のP−H線図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る冷凍装置の概略の配管系統図であり、室内の冷房と冷蔵庫内の冷却と氷の冷熱の利用とを同時に行う運転(氷利用冷却動作)を表したものである。
【図5】図5は、実施形態1に係る冷凍装置の概略の配管系統図であり、室内の暖房と冷蔵庫内の冷却とを同時に行う運転を表したものである。
【図6】図6は、実施形態2に係る冷凍装置の概略の配管系統図である。
【図7】図7は、実施形態2に係る冷凍装置の概略の配管系統図であり、室内の冷房と冷蔵庫内の冷却と氷の生成とを同時に行う運転(氷蓄熱冷却動作)を表したものである。
【図8】図8は、実施形態2に係る冷凍装置の概略の配管系統図であり、室内の冷房と冷蔵庫内の冷却と氷の冷熱の利用とを同時に行う運転(氷利用冷却動作)を表したものである。
【図9】図9は、実施形態2に係る冷凍装置の概略の配管系統図であり、室内の暖房と冷蔵庫内の冷却と温水の生成とを同時に行う運転を表したものである。
【図10】図10は、実施形態2に係る冷凍装置の概略の配管系統図であり、室外熱交換器の表面の霜を融かすデフロスト運転を表したものである。
【図11】図11は、変形例1に係る冷凍装置の概略の配管系統図であり、室内の冷房と冷蔵庫内の冷却と冷凍庫内の冷却と氷の生成とを同時に行う動作(氷蓄熱冷却動作)を表したものである。
【図12】図12は、変形例2に係る冷凍装置の概略の配管系統図であり、冷蔵庫内の冷却と冷凍庫内の冷却と氷の生成とを同時に行う動作(氷蓄熱冷却動作)を表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0032】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1は、室内を空調し且つ冷蔵庫内の空気を冷却する冷凍装置(10)である。冷凍装置(10)は、例えば24時間営業のコンビニエンスストアに適用される。
【0033】
冷凍装置(10)は、室外ユニット(20)と、1つの空調ユニット(60)と、2つの冷蔵ユニット(70,80)と、1つの蓄熱ユニット(90)とを備えている。冷凍装置(10)では、各ユニット(20,60,70,80,90)が冷媒配管で接続されることで、1つの閉回路をなす冷媒回路(11)が構成される。冷媒回路(11)には、冷媒が充填される。冷媒回路(11)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。
【0034】
〈室外ユニット〉
室外ユニット(20)は、室外に配置されて熱源側ユニットを構成する。室外ユニット(20)は、熱源側回路を構成する室外回路(21)を有している。室外回路(21)には、3台の圧縮機(22,23,24)と、室外熱交換器(25)と、レシーバ(26)と、内部熱交換器(27)と、3つの四方切換弁(28,29,30)とが接続されている。
【0035】
3台の圧縮機(22,23,24)は、第1圧縮機(22)と、第2圧縮機(23)と、第3圧縮機(24)とで構成される。各圧縮機(22,23,24)は、ロータリー式、スイング式、スクロール式等の回転式圧縮機で構成される。第1圧縮機(22)は、インバータ装置によって運転周波数が変更される、可変容量式の圧縮機である。第2圧縮機(23)及び第3圧縮機(24)は、固定容量式の圧縮機である。通常運転において、第1圧縮機(22)及び第2圧縮機(23)は冷蔵庫内の空気の冷却に寄与する冷設側の圧縮機を構成し、第3圧縮機(24)は、室内の空調に寄与する空調側の圧縮機を構成する。各圧縮機(22,23,24)には、それぞれ吐出管(22a,23a,24a)と吸入管(22b,23b,24b)とが接続される。
【0036】
室外熱交換器(25)は、室外に設置されて熱源側熱交換器を構成する。室外熱交換器(25)は、例えばフィンアンドチューブ式の熱交換器で構成される。室外熱交換器(25)の近傍には、室外ファン(25a)が設置される。室外熱交換器(25)では、室外ファン(25a)が搬送する室外空気と冷媒とが熱交換する。
【0037】
レシーバ(26)は、冷媒回路(11)で余剰する冷媒を貯留する容器である。レシーバ(26)内では、上部にガス冷媒が溜まる気相部が形成され、下部に液冷媒が溜まる液相部が形成される。
【0038】
内部熱交換器(27)は、いわゆるエコノマイザ熱交換器を構成する。内部熱交換器(27)は、第1流路(27a)と第2流路(27b)とを有し、両者の流路(27a,27b)を流れる冷媒を互いに熱交換させる。第1流路(27a)は、液冷媒を冷却するための過冷却流路を構成し、第2流路は、減圧後の液冷媒を蒸発させる蒸発流路を構成する。
【0039】
3つの四方切換弁(28,29,30)は、第1四方切換弁(28)と、第2四方切換弁(29)と、第3四方切換弁(30)とで構成される。各四方切換弁(28,29,30)は、それぞれ第1から第4までのポートを有し、第1ポートと第2ポートとが連通し且つ第3ポートと第4ポートとが連通する第1状態(図1の実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとが連通し且つ第2ポートと第3ポートとが連通する第2状態(図1の破線で示す状態)とに切換可能に構成される。
【0040】
第1四方切換弁(28)の第1ポートは、主吐出管(40)の流出端と接続している。主吐出管(40)の流入端は、3台の圧縮機(22,23,24)の各吐出管(22a,23a,23b)の流出端と接続している。第1四方切換弁(28)の第2ポートは、冷媒配管を介して室外熱交換器(25)のガス側端部と接続している。第1四方切換弁(28)の第3ポートは、第2四方切換弁(29)の第4ポートと接続している。第1四方切換弁(28)の第4ポートは、第1ガス連絡配管(12)を介して空調熱交換器(62)のガス側端部と接続している。
【0041】
第2四方切換弁(29)の第1ポート及び第2ポートは、実質的に冷媒の流通が禁止されている。第2四方切換弁(29)の第3ポートは、冷媒配管を介して第3圧縮機(24)の吸入管(24b)と接続している。
【0042】
第3四方切換弁(30)の第1ポートは、実質的に冷媒の流通が禁止されている。第3四方切換弁(30)の第2ポートは、冷媒配管を介して第3圧縮機(24)の吸入管(24b)と接続している。第3四方切換弁(30)の3ポートは、第2圧縮機(23)の吸入管(23b)と接続している。第3四方切換弁(30)の第4ポートは、第2ガス連絡配管(13)を介して冷蔵熱交換器(72,82)のガス側端部と接続している。
【0043】
室外回路(21)には、第1から第5までの液管(41,42,43,44,45)が接続されている。第1液管(41)の一端は、室外熱交換器(25)の液側端部に接続する。第1液管(41)の他端は、レシーバ(26)の気相部に接続する。第1液管(41)には、開閉弁をなす第1電磁弁(SV1)が接続される。第2液管(42)の一端は、レシーバ(26)の液相部に接続する。第2液管(42)の他端は、内部熱交換器(27)の第1流路(27a)の流入端に接続する。第3液管(43)の一端は、第2液管(42)の途中に接続する。第3液管(43)の他端は、第1液連絡配管(14)を介して、空調熱交換器(62)の液側端部に接続する。第4液管(44)の一端は、内部熱交換器(27)の第1流路(27a)の流出端に接続する。第4液管(44)の他端は、第2液連絡配管(15)及び蓄熱ユニット(90)を介して冷蔵熱交換器(72,82)の液側端部と接続する。第5液管(45)の一端は、第4液管(44)の途中に接続する。第5液管(45)の他端は、第1液管(41)の途中に接続する。第5液管(45)には、電子膨張弁からなる室外膨張弁(31)が接続される。室外膨張弁(31)は、冷媒を減圧する減圧機構を構成する。
【0044】
室外回路(21)には、第1から第3までの分岐管(46,47,48)が接続されている。第1分岐管(46)は、その始端が第3液管(43)から分岐し、その終端が第1液管(41)と接続している。第2分岐管(47)は、その始端が第1液管(41)における第1電磁弁(SV1)の下流側から分岐し、その終端が該第1液管(41)における第1電磁弁(SV1)の上流側と接続している。第3分岐管(48)は、その始端が第5液管(45)における室外膨張弁(31)の上流側から分岐し、その終端が第1液管(41)における第1電磁弁(SV1)の下流側と接続している。
【0045】
室外回路(21)には、インジェクション管(50)とガス抜き管(56)とが接続されている。インジェクション管(50)は、1本の流入路(51)と、1本の中継路(52)と、該中継路(52)から分岐する3本の分岐路(53,54,55)とを有する。流入路(51)は、その始端が第4液管(44)から分岐し、その終端が内部熱交換器(27)の第2流路(27b)の流入端と接続している。流入路(51)には、電子膨張弁からなるインジェクション弁(32)が接続される。中継路(52)は、その始端が内部熱交換器(27)の第2流路(27b)の流出端と接続している。3つの分岐路(53,54,55)の流出端は、対応する圧縮機(22,23,24)の圧縮途中(吸入圧と吐出圧との間の中間圧状態の圧縮室)に連通している。各分岐路(53,54,55)には、それぞれ流量調節弁(33,34,35)が接続される。ガス抜き管(56)は、その始端がレシーバ(26)の気相部に接続し、その終端がインジェクション管(50)の中継路(52)に接続している。ガス抜き管(56)には、開閉弁をなす第2電磁弁(SV2)が接続される。
【0046】
室外回路(21)には、第1から第11までの逆止弁(CV1〜CV11)が接続される。各逆止弁(CV)は、図1の矢印で示す方向の冷媒の流れを許容し、その逆の流れを禁止する。逆止弁(CV1)は第1圧縮機(22)の吐出管(22a)に接続され、逆止弁(CV2)は第2圧縮機(23)の吐出管(23a)に接続され、逆止弁(CV3)は第3圧縮機(24)の吐出管(24a)に接続される。逆止弁(CV4)は第1圧縮機(22)の吸入管(22b)と第3四方切換弁(30)の第4ポートの間に接続され、逆止弁(CV5)は第3圧縮機(24)の吸入管(24b)と第3四方切換弁(30)の第2ポートの間に接続される。逆止弁(CV6)は、第1液管(41)における第1電磁弁(SV1)の下流側に接続され、逆止弁(CV7)は、第5液管(45)における室外膨張弁(31)の上流側に接続される。逆止弁(CV8)は第1分岐管(46)に接続され、逆止弁(CV9)は第2分岐管(47)に接続され、逆止弁(CV10)は第3分岐管(48)に接続される。逆止弁(CV11)は、第3液管(43)に接続される。
【0047】
〈空調ユニット〉
空調ユニット(60)は、室内に設置されて利用側ユニットを構成する。空調ユニット(60)は、室内の空気を冷却する冷房動作と、室内の空気を加熱する暖房動作とを切り換えて行う。空調ユニット(60)は、利用側回路を構成する空調回路(61)を有している。
【0048】
空調回路(61)には、ガス側端部から液側端部に向かって順に、空調熱交換器(62)と空調側膨張弁(63)とが接続される。空調熱交換器(62)は、室内に設置されて利用側熱交換器(空調用熱交換器)を構成する。空調熱交換器(62)は、例えばフィンアンドチューブ式の熱交換器で構成される。空調熱交換器(62)の近傍には、室内ファン(62a)が設置される。空調熱交換器(62)では、室内ファン(62a)が搬送する室内空気と冷媒とが熱交換する。空調側膨張弁(63)は、開度が調整自在な電子膨張弁で構成される。空調側膨張弁(63)は、冷媒を減圧する減圧機構を構成する。
【0049】
〈冷蔵ユニット〉
第1冷蔵ユニット(70)と第2冷蔵ユニット(80)とは、それぞれ異なる冷蔵庫(例えば冷蔵ショーケース)の内部に設置されて、利用側ユニットを構成する。各冷蔵ユニット(70,80)は、庫内の空気を所定温度(例えば5度)まで冷却する。各冷蔵ユニット(70,80)は、利用側回路を構成する冷蔵回路(71,81)をそれぞれ有している。
【0050】
各冷蔵回路(71,81)は、ガス側端部から液側端部に向かって順に、冷蔵熱交換器(72,82)と冷蔵側膨張弁(73,83)と冷蔵側電磁弁(74,84)とが接続される。冷蔵熱交換器(72,82)は、庫内に設置されて利用側熱交換器(庫内冷却用熱交換器)を構成する。冷蔵熱交換器(72,82)は、例えばフィンアンドチューブ式の熱交換器で構成される。各冷蔵熱交換器(72,82)の近傍には、庫内ファン(72a,82a)がそれぞれ設置される。冷蔵熱交換器(72,82)では、庫内ファン(72a,82a)が搬送する庫内空気と冷媒とが熱交換する。冷蔵側膨張弁(73,83)は、冷蔵熱交換器(72,82)の出口冷媒の温度に応じて開度が調節される、感温式の膨張弁である。冷蔵側膨張弁(73,83)は、冷媒を減圧する減圧機構を構成する。冷蔵側電磁弁(74,84)は、開閉弁を構成する。
【0051】
〈蓄熱ユニット〉
蓄熱ユニット(90)は、ブースタユニット(90a)と蓄熱ユニット本体(90b)とが連結されて構成される。蓄熱ユニット(90)には、液連絡回路(91)と蓄熱補助回路(100)とが設けられる。
【0052】
液連絡回路(91)は、その一端が第2液連絡配管(15)に接続し、その他端が各冷蔵熱交換器(72,82)の液側端部に接続している。液連絡回路(91)は、ブースタユニット(90a)に収容されるブースタ側液回路(92)と、蓄熱ユニット本体(90b)側に収容される蓄熱側液回路(93)とを有する。蓄熱側液回路(93)には、電磁弁からなる第1開閉弁(94)が接続される。
【0053】
蓄熱補助回路(100)は、主補助回路(101)と過冷却導入路(110)とを有している。主補助回路(101)は、その一端(液側端部)が蓄熱側液回路(93)に接続し、その他端(ガス側端部)が第2ガス連絡配管(13)に接続している。主補助回路(101)は、ブースタユニット(90a)に収容されるブースタ側補助回路(102)と、蓄熱ユニット本体(90b)に収容される蓄熱側補助回路(103)とを有している。ブースタ側補助回路(102)には、補助圧縮機(104)が接続される。補助圧縮機(104)は、インバータ装置によって運転周波数が変更される可変容量式の圧縮機である。補助圧縮機(104)の吐出管(104a)には、逆止弁(CV12)が接続される。
【0054】
蓄熱側補助回路(103)には、液側端部からガス側端部に向かって順に、補助減圧弁(105)、氷蓄熱熱交換器(106)、電磁弁からなる第2開閉弁(107)が接続される。補助減圧弁(105)は、補助減圧機構であり、開度が調整自在な電子膨張弁で構成される。氷蓄熱熱交換器(106)は、水が貯留されるタンク(106a)の内部に設置される。氷蓄熱熱交換器(106)は、その内部を流れる冷媒と、その周囲の水とを熱交換させる。具体的に、氷蓄熱熱交換器(106)は、その周囲の水を0度未満まで冷却することで、タンク(106a)内で氷を生成する。氷蓄熱熱交換器(106)の前後には、補助減圧弁(105)側に第1冷媒温度センサ(108)が設けられ、第2開閉弁(107)側に2冷媒温度センサ(109)が設けられる。
【0055】
過冷却導入路(110)は、蓄熱側液回路(93)と蓄熱側補助回路(103)とを接続している。具体的に、過冷却導入路(110)の一端は、蓄熱側液回路(93)における第2液連絡配管(15)寄りの端部と、第1開閉弁(94)との間に接続している。過冷却導入路(110)の他端は、氷蓄熱熱交換器(106)と第2開閉弁(107)との間に接続している。過冷却導入路(110)には、電磁弁からなる第3開閉弁(111)が設けられている。
【0056】
本実施形態において、第1開閉弁(94)、第2開閉弁(107)、及び第3開閉弁(111)は、詳細は後述する氷蓄熱冷却動作と氷利用冷却動作とを切り換えるための流路切換機構を構成する。また、補助減圧弁(105)及び補助圧縮機(104)は、氷蓄熱冷却動作において、氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒の蒸発温度を他の利用側熱交換器(即ち、空調熱交換器(62)、第1冷蔵熱交換器(72)、及び第2冷蔵熱交換器(82))の冷媒の蒸発温度よりも低くする蒸発温度調整機構を構成する。
【0057】
〈その他の構成〉
冷凍装置(10)の冷媒回路(11)には、液熱交換ユニット(120)が接続されている。液熱交換ユニット(120)は、空調ユニット(60)側の液ラインと接続する第1伝熱管(121)と、冷蔵ユニット(70,80)側の液ラインと接続する第2伝熱管(122)とを有する。液熱交換ユニット(120)では、第1伝熱管(121)を流れる冷媒と第2伝熱管(122)を流れる冷媒とが互いに熱交換する。
【0058】
冷凍装置(10)は、制御部としてのコントローラ(130)を有している。コントローラ(130)には、各種のセンサの検出信号や、ユーザー等からの運転指令を示す信号が適宜入力される。コントローラ(130)は、これらの信号に基づいて、冷凍装置(10)の各構成機器(圧縮機、ファン、膨張弁、電磁弁等)を制御する。
【0059】
−運転動作−
実施形態1に係る冷凍装置(10)は、「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」と「冷房/冷蔵/氷利用運転」と「暖房/冷蔵運転」とを切り換えて行う。
【0060】
〈冷房/冷蔵/氷蓄熱運転〉
図2に示す「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」では、空調熱交換器(62)で室内の空気を冷却し、且つ冷蔵熱交換器(72,82)で冷蔵庫内の空気を冷却し、且つ氷蓄熱熱交換器(106)でタンク(106a)内に氷を生成する。つまり、この運転は、空調熱交換器(62)、冷蔵熱交換器(72,82)、及び氷蓄熱熱交換器(106)のそれぞれで冷媒を蒸発させる氷蓄熱冷却動作である。この運転では、原則として、第1から第3までの圧縮機(22,23,24)及び補助圧縮機(104)が運転状態となる。第1四方切換弁(28)、第2四方切換弁(29)、及び第3四方切換弁(30)が第1状態に設定される。第1電磁弁(SV1)、各冷蔵側電磁弁(74,84)、第1開閉弁(94)及び第2開閉弁(107)が開状態となり、第3開閉弁(111)は閉状態となる。室外膨張弁(31)が全閉となり、空調側膨張弁(63)、各冷蔵側膨張弁(73,83)、及び補助減圧弁(105)が所定開度で開放される。また、インジェクション弁(32)及び各流量調節弁(33,34,35)の開度が適宜調節され、第2電磁弁(SV2)が適宜開閉される。
【0061】
各圧縮機(22,23,24)でそれぞれ圧縮された冷媒は、主吐出管(40)で合流して第1四方切換弁(28)を通過し、室外熱交換器(25)を流れる。室外熱交換器(25)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。凝縮した冷媒は、第1液管(41)、レシーバ(26)を順に通過し、第3液管(43)と、内部熱交換器(27)の第1流路(27a)とに分流する。
【0062】
第3液管(43)に分流した冷媒は、第1液連絡配管(14)を流入し、液熱交換ユニット(120)の第1伝熱管(121)を流れる。液熱交換ユニット(120)では、第1伝熱管(121)の冷媒が第2伝熱管(122)の冷媒へ放熱して冷却される。液熱交換ユニット(120)で冷却された冷媒は、空調側膨張弁(63)で減圧された後、空調熱交換器(62)を流れる。空調熱交換器(62)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。その結果、室内空気が冷却されて冷房が行われる。空調熱交換器(62)で蒸発した冷媒は、第1ガス連絡配管(12)、第1四方切換弁(28)、第2四方切換弁(29)を順に通過し、第3圧縮機(24)に吸入される。
【0063】
一方、上述した内部熱交換器(27)の第1流路(27a)へ流入した冷媒は、第2流路(27b)の冷媒へ放熱して冷却される。第1流路(27a)で冷却された冷媒は、第4液管(44)へ流出して、インジェクション管(50)と第2液連絡配管(15)とに分流する。
【0064】
インジェクション管(50)の流入路(51)に分流した冷媒は、インジェクション弁(32)で中間圧にまで減圧される。減圧された冷媒は、内部熱交換器(27)の第2流路(27b)を流れる。内部熱交換器(27)では、第2流路(27b)の冷媒が、第1流路(27a)の冷媒から吸熱して蒸発する。第2流路(27b)で蒸発した冷媒は、中継路(52)を通過して各分岐路(53,54,55)へ分流し、各圧縮機(22,23,24)の圧縮途中へ導入される。以上のように、この運転では、いわゆるエコノマイザサイクルが適宜行われ、冷凍装置(10)の成績係数(COP)の向上が図られる。
【0065】
第2液連絡配管(15)に流入した冷媒は、液連絡回路(91)を通過し、液熱交換ユニット(120)側と氷蓄熱熱交換器(106)側とに分流する。
【0066】
液熱交換ユニット(120)の第2伝熱管(122)を通過した冷媒は、各冷蔵側膨張弁(73,83)でそれぞれ減圧された後、各冷蔵熱交換器(72,82)を流れる。各冷蔵熱交換器(72,82)では、冷媒が庫内の空気から吸熱して蒸発する。その結果、各冷蔵庫内の空気が冷却される。各冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発した冷媒は、第2ガス連絡配管(13)を通過し、第1圧縮機(22)と第2圧縮機(23)とに吸入される。
【0067】
一方、蓄熱ユニット(90)の主補助回路(101)へ流入した冷媒は、補助減圧弁(105)で減圧された後、氷蓄熱熱交換器(106)を流れる。氷蓄熱熱交換器(106)では、冷媒がタンク(106a)内の水から吸熱して蒸発する。その結果、タンク(106a)内で製氷が行われる。氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒の蒸発温度は、他の利用側熱交換器(62,72,82)の冷媒の蒸発温度よりも低い所定値になるように、補助減圧弁(105)の開度が制御される。具体的に、補助減圧弁(105)の開度は、例えば第1冷媒温度センサ(108)と第2冷媒温度センサ(109)の各検出温度に応じて適宜制御される。氷蓄熱熱交換器(106)で蒸発した冷媒は、補助圧縮機(104)で圧縮された後、第2ガス連絡配管(13)を通過し、第1圧縮機(22)と第2圧縮機(23)とに吸入される。
【0068】
この「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」における、冷媒の状態変化の一例について、図3のP−H線図を用いて説明する。第1圧縮機(22)及び第2圧縮機(23)で圧縮された後のA1点の冷媒や、第3圧縮機(24)で圧縮された後のA2点の冷媒は、室外熱交換器(25)で凝縮してB1点に至る。凝縮後の冷媒の一部は、空調側膨張弁(63)で減圧されてC1点に至り、空調熱交換器(62)で蒸発してD1点に至る。
【0069】
凝縮後のB1点の冷媒の一部は、内部熱交換器(27)の第1流路(27a)で冷却されてB2点に至る。B2点の液冷媒の一部は、インジェクション弁(32)で減圧されてC2点に至り、その後、第2流路(27b)で吸熱してD2点に至る。D2点の冷媒は、一部が第3圧縮機(24)の圧縮途中(E1点)に導入され、混合された状態(E1’点)から更に圧縮されてA2点に至る。また、D2点の冷媒の残りは、第1及び第2圧縮機(22,23)の圧縮途中(E2点)に導入され、混合された状態(E2’点)から更に圧縮されたA1点に至る。
【0070】
B2点の冷媒の一部は、冷蔵側膨張弁(73,83)で減圧されてC3点に至り、冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発してD3点に至る。また、B2点の冷媒の残りは、補助減圧弁(105)で減圧されてC4点に至り、氷蓄熱熱交換器(106)で蒸発してD4点に至る。氷蓄熱熱交換器(106)で蒸発した冷媒は、補助圧縮機(104)で圧縮されてF点に至り、D3点の冷媒と混合された後、第1及び第2圧縮機(22,23)に圧縮される。
【0071】
「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」では、室外熱交換器(25)の冷媒の凝縮温度Tcが、例えば45℃に設定され、空調熱交換器(62)の冷媒の蒸発温度Te1が、例えば0℃に設定され、冷蔵熱交換器(72,82)の冷媒の蒸発温度Te2が、例えば−10℃に設定され、氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒の蒸発温度Te3が、例えば−30℃に設定される。
【0072】
〈冷房/冷蔵/氷利用運転〉
図4に示す「冷房/冷蔵/氷利用運転」では、空調熱交換器(62)で室内の空気を冷却し、且つ氷蓄熱熱交換器(106)で生成した氷を利用して冷蔵庫内の空気を冷却する。つまり、この運転は、氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の氷で冷媒を冷却し、冷却後の冷媒を冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発させる氷利用冷却動作である。この運転は、例えば冷蔵庫の冷却負荷が比較的大きくなる時間帯に実行される。具体的に、例えば上述した「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」が実行された後、タイマーにより所定の時刻(例えば午後2時)がカウントされると、「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」から「冷房/冷蔵/氷利用運転」へと切り換わる。
【0073】
この運転では、原則として、第1圧縮機(22)及び第3圧縮機(24)が運転状態となり、第2圧縮機(23)及び補助圧縮機(104)が停止状態となる。第1四方切換弁(28)、第2四方切換弁(29)、及び第3四方切換弁(30)が第1状態に設定される。第1電磁弁(SV1)、各冷蔵側電磁弁(74,84)、及び第3開閉弁(111)が開状態となり、第1開閉弁(94)及び第2開閉弁(107)は閉状態となる。室外膨張弁(31)が全閉となり、補助減圧弁(105)が全開となり、空調側膨張弁(63)及び各冷蔵側膨張弁(73,83)が所定開度で開放される。また、原則として、インジェクション弁(32)及び各流量調節弁(33,34,35)が全閉となり、第2電磁弁(SV2)が適宜開閉される。
【0074】
第1及び第3圧縮機(22,24)でそれぞれ圧縮された冷媒は、上述した「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」と同様、室外熱交換器(25)で凝縮してレシーバ(26)を通過する。この冷媒の一部は、第3液管(43)、第1液連絡配管(14)を経由して、空調ユニット(60)へ供給され、室内の冷房に利用される。冷房に利用された冷媒は、第3圧縮機(24)に吸入される。一方、レシーバ(26)を通過した冷媒の残りは、内部熱交換器(27)の第1流路(27a)、第2液連絡配管(15)を経由して、蓄熱ユニット(90)へ供給される。
【0075】
蓄熱ユニット(90)では、ブースタ側液回路(92)を流出した冷媒が過冷却導入路(110)、蓄熱側補助回路(103)を順に通過し、氷蓄熱熱交換器(106)を流れる。氷蓄熱熱交換器(106)の周囲には、上述した「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」によって氷が生成されている。このため、氷蓄熱熱交換器(106)では、液冷媒が氷へ放熱し、この液冷媒の過冷却度が大きくなる。このようにして冷却された液冷媒は、全開状態の補助減圧弁(105)を通過し、各冷蔵ユニット(70,80)へ供給される。
【0076】
各冷蔵ユニット(70,80)では、冷媒が冷蔵側膨張弁(73,83)で減圧した後に、冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発する。この冷媒は、氷蓄熱熱交換器(106)で冷却されて過冷却度が大きくなっている。このため、冷蔵熱交換器(72,82)の冷却能力が増大し、省エネ性が向上する。冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(22)に吸入される。
【0077】
〈暖房/冷蔵運転〉
図5に示す「暖房/冷蔵運転」では、空調熱交換器(62)で室内の空気を加熱し、且つ冷蔵熱交換器(72,82)で冷蔵庫内の空気を冷却する。この運転では、原則として、第1から第3までの圧縮機(22,23,24)が運転状態となり、補助圧縮機(104)が停止状態となる。第1四方切換弁(28)が第2状態に設定され、第2四方切換弁(29)及び第3四方切換弁(30)が第1状態に設定される。各冷蔵側電磁弁(74,84)及び第1開閉弁(94)が開状態となり、第1電磁弁(SV1)、第2開閉弁(107)、及び第3開閉弁(111)は閉状態となる。空調側膨張弁(63)が全開となり、補助減圧弁(105)が全閉となり、各冷蔵側膨張弁(73,83)及び室外膨張弁(31)が所定開度で開放される。また、インジェクション弁(32)及び各流量調節弁(33,34,35)の開度が適宜調節され、第2電磁弁(SV2)が適宜開閉される。
【0078】
各圧縮機(22,23,24)でそれぞれ圧縮された冷媒は、主吐出管(40)で合流して第1四方切換弁(28)を通過し、第1ガス連絡配管(12)を経由して空調熱交換器(62)を流れる。空調熱交換器(62)では、冷媒が室内の空気へ放熱して凝縮する。その結果、室内の空気が加熱されて暖房が行われる。空調熱交換器(62)で凝縮した冷媒は、全開状態の空調側膨張弁(63)を通過し、蓄熱ユニット(90)及び第1液連絡配管(14)を順に流れる。
【0079】
第1液連絡配管(14)を流出した冷媒は、第1分岐管(46)、レシーバ(26)を順に流れて内部熱交換器(27)の第1流路(27a)を流れる。内部熱交換器(27)では、第1流路(27a)の冷媒が第2流路(27b)の冷媒へ放熱して冷却される。第1流路(27a)を流出した冷媒は、第4液管(44)と第5液管(45)とに分流する。
【0080】
第5液管(45)に流入した冷媒は、室外膨張弁(31)で減圧された後、室外熱交換器(25)を流れる。室外熱交換器(25)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(25)で蒸発した冷媒は、第1四方切換弁(28)、第2四方切換弁(29)を順に通過した後、第3圧縮機(24)に吸入される。
【0081】
第4液管(44)に流入した冷媒は、その一部がエコノマイザサイクルに利用され、残りが第2液連絡配管(15)及び蓄熱ユニット(90)を経由して、各冷蔵ユニット(70,80)へ供給される。各冷蔵ユニット(70,80)では、冷媒が冷蔵側膨張弁(73,83)で減圧した後に、冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発する。冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(22)及び第2圧縮機(23)に吸入される。
【0082】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、1つの冷媒回路(11)において、空調熱交換器(62)及び冷蔵熱交換器(72,82)で空気を冷却すると同時に氷蓄熱熱交換器(106)で氷を生成する動作(冷房/冷蔵/氷蓄熱運転)と、タンク(106a)内で生成した氷の冷熱を利用して冷蔵庫内の空気を冷却する動作(冷房/冷蔵/氷利用運転)とを切り換えて行うようにしている。これにより、空気を冷却すると同時に氷を生成する動作と、氷の冷熱を利用して空気を冷却する動作とを、比較的簡素な構成により実現できる。その結果、冷凍装置(10)の小型化、低コスト化を図りながら、省エネ性を向上できる。
【0083】
また、上記実施形態1では、コンビニエンスストアのように24時間連続して空調ユニット(60)を運転する場合にも、空調ユニット(60)の運転と同時に氷を生成することができる。
【0084】
また、上記実施形態1では、補助圧縮機(104)の吐出管(104a)を、複数の利用側熱交換器(空調熱交換器(62)及び冷蔵熱交換器(72,82))のうち最も冷媒の蒸発温度が低いもの(冷蔵熱交換器(72,82))の流出側(即ち、第2ガス連絡配管(13))に接続している。このようにすると、上述した「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」では、補助圧縮機(104)の前後の差圧が比較的小さくなる。その結果、補助圧縮機(104)の小型化、低容量化を図ることができる。
【0085】
《発明の実施形態2》
実施形態2に係る冷凍装置(10)は、実施形態1と蓄熱ユニット(90)の接続箇所が異なるものである。具体的に、上述した実施形態1の冷凍装置(10)では、第2液連絡配管(15)と冷蔵ユニット(70,80)との間に蓄熱ユニット(90)が接続されている(図1を参照)。これに対し、実施形態2の冷凍装置(10)では、第1液連絡配管(14)と空調ユニット(60)との間に蓄熱ユニット(90)が接続されている。実施形態2の冷凍装置(10)のそれ以外の構成は、上述した実施形態1と同様である。
【0086】
−運転動作−
実施形態2に係る冷凍装置(10)は、「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」と「冷房/冷蔵/氷利用運転」と「暖房/冷蔵/温水蓄熱運転」と「デフロスト運転」とを切り換えて行う。
【0087】
〈冷房/冷蔵/氷蓄熱運転〉
図7に示すように、実施形態2に係る冷凍装置(10)では、実施形態1と同様にして、「冷房/冷蔵/氷蓄熱運転」が行われる。この運転では、各圧縮機(22,23,24)で圧縮されて室外熱交換器(25)で凝縮した冷媒が第1液連絡配管(14)と第2液連絡配管(15)とに分流する。
【0088】
第1液連絡配管(14)より液連絡回路(91)に送られた冷媒の一部は、補助減圧弁(105)で減圧された後、氷蓄熱熱交換器(106)で蒸発する。その結果、タンク(106a)内で氷が生成される。氷蓄熱熱交換器(106)で蒸発した冷媒は、補助圧縮機(104)で圧縮されて、第2ガス連絡配管(13)へ流出する。液連絡回路(91)に送られた冷媒の一部は、空調ユニット(60)へ供給され、室内の冷房に利用される。第2液連絡配管(15)へ流入した冷媒は、各冷蔵ユニット(70,80)へ供給され、冷蔵庫内の空気の冷却に利用される。
【0089】
〈冷房/冷蔵/氷利用運転〉
図8に示すように、実施形態2に係る冷凍装置(10)では、実施形態1と同様にして、「冷房/冷蔵/氷利用運転」が行われる。この運転では、第1及び第3圧縮機(22,24)で圧縮されて室外熱交換器(25)で凝縮した冷媒が、第1液連絡配管(14)と第2液連絡配管(15)とに分流する。
【0090】
第1液連絡配管(14)より液連絡回路(91)に送られた冷媒は、過冷却導入路(110)を通過して、氷蓄熱熱交換器(106)を流れる。氷蓄熱熱交換器(106)では、冷媒が周囲の氷へ放熱して冷却される。冷却された冷媒は、空調ユニット(60)へ供給されて室内の冷房に利用される。これにより、空調ユニット(60)の冷房能力が増大し、省エネ性が向上する。第2液連絡配管(15)へ流入した冷媒は、各冷蔵ユニット(70,80)へ供給され、冷蔵庫内の空気の冷却に利用される。
【0091】
〈暖房/冷蔵/温水蓄熱運転〉
図9に示す「暖房/冷蔵/温水蓄熱運転」では、空調熱交換器(62)による室内空気の加熱と、冷蔵熱交換器(72,82)による冷蔵庫内の空気の冷却と、タンク(106a)内での温水の生成とが同時に行われる。この運転は、空調熱交換器(62)で凝縮した冷媒を氷蓄熱熱交換器(106)で放熱させ、放熱後の冷媒を熱源側熱交換器(25)で蒸発させる暖房動作である。
【0092】
この運転では、原則として、第1から第3までの圧縮機(22,23,24)が運転状態となり、補助圧縮機(104)が停止状態となる。第1四方切換弁(28)が第2状態に設定され、第2四方切換弁(29)及び第3四方切換弁(30)が第1状態に設定される。各冷蔵側電磁弁(74,84)及び第3開閉弁(111)が開状態となり、第1電磁弁(SV1)、第1開閉弁(94)、及び第2開閉弁(107)が閉状態となる。空調側膨張弁(63)及び補助減圧弁(105)が全開となり、各冷蔵側膨張弁(73,83)及び室外膨張弁(31)が所定開度で開放される。また、インジェクション弁(32)及び各流量調節弁(33,34,35)の開度が適宜調節され、第2電磁弁(SV2)が適宜開閉される。
【0093】
各圧縮機(22,23,24)でそれぞれ圧縮された冷媒は、主吐出管(40)で合流して第1四方切換弁(28)を通過し、第1ガス連絡配管(12)を経由して空調熱交換器(62)を流れる。空調熱交換器(62)では、冷媒が室内の空気へ放熱して凝縮する。その結果、室内の空気が加熱されて暖房が行われる。空調熱交換器(62)で凝縮した冷媒は、全開状態の空調側膨張弁(63)を通過し、蓄熱ユニット(90)へ供給される。
【0094】
蓄熱ユニット(90)に供給された冷媒は、全開状態の補助減圧弁(105)を通過し、氷蓄熱熱交換器(106)を流れる。氷蓄熱熱交換器(106)では、高温の液冷媒がタンク(106a)内の水へ放熱する。その結果、タンク(106a)内で温水が生成される。氷蓄熱熱交換器(106)で放熱した冷媒は、過冷却導入路(110)、蓄熱側液回路(93)、第1液連絡配管(14)を順に通過する。
【0095】
第1液連絡配管(14)を流出した冷媒は、第1分岐管(46)、レシーバ(26)を順に流れて内部熱交換器(27)の第1流路(27a)を流れる。内部熱交換器(27)では、第1流路(27a)の冷媒が第2流路(27b)の冷媒へ放熱して冷却される。第1流路(27a)を流出した冷媒は、第4液管(44)と第5液管(45)とに分流する。
【0096】
第5液管(45)に流入した冷媒は、室外膨張弁(31)で減圧された後、室外熱交換器(25)を流れる。室外熱交換器(25)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(25)で蒸発した冷媒は、第1四方切換弁(28)、第2四方切換弁(29)を順に通過した後、第3圧縮機(24)に吸入される。
【0097】
第4液管(44)に流入した冷媒は、その一部がエコノマイザサイクルに利用され、残りが第2液連絡配管(15)を経由して、各冷蔵ユニット(70,80)へ供給される。各冷蔵ユニット(70,80)では、冷媒が冷蔵側膨張弁(73,83)で減圧した後に、冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発する。冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(22)及び第2圧縮機(23)に吸入される。
【0098】
〈デフロスト運転〉
図10に示す「デフロスト運転」は、冬季等において室外熱交換器(25)の表面に付着した霜を融かす除霜動作である。この運転では、室内ファン(62a)が停止して空調熱交換器(62)が実質的に停止状態となる一方、冷蔵熱交換器(72,82)で冷蔵庫内の空気が冷却される。この運転は、例えば上述した「暖房/冷蔵/温水蓄熱運転」の運転時間が所定の設定時間を上回ると実行される。
【0099】
この運転では、原則として、第1圧縮機(22)及び第3圧縮機(24)が運転状態となり、第2圧縮機(23)及び補助圧縮機(104)が停止状態となる。第1四方切換弁(28)、第2四方切換弁(29)、及び第3四方切換弁(30)が第1状態に設定される。第1電磁弁(SV1)、各冷蔵側電磁弁(74,84)、第1開閉弁(94)、及び第2開閉弁(107)が開状態となり、第3開閉弁(111)は閉状態となる。室外膨張弁(31)が全閉となり、補助減圧弁(105)、空調側膨張弁(63)、及び各冷蔵側膨張弁(73,83)が所定開度で開放される。また、原則として、インジェクション弁(32)、各流量調節弁(33,34,35)、及び第2電磁弁(SV2)が閉状態となる。
【0100】
第1及び第3圧縮機(22,24)でそれぞれ圧縮された冷媒は、室外熱交換器(25)を流れる。室外熱交換器(25)では、高温のガス冷媒が室外熱交換器(25)の表面に付着した霜に放熱して凝縮する。その結果、室外熱交換器(25)の表面の霜が徐々に融解して除霜が行われる。室外熱交換器(25)で凝縮した冷媒は、一部が第2液連絡配管(15)を経由して冷蔵ユニット(70,80)に供給され、残りが第1液連絡配管(14)を経由して蓄熱ユニット(90)へ供給される。
【0101】
各冷蔵ユニット(70,80)では、冷媒が冷蔵側膨張弁(73,83)で減圧した後に、冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発する。その結果、各冷蔵庫内の空気が冷却される。冷蔵熱交換器(72,82)で蒸発した冷媒は、第2ガス連絡配管(13)を経由して第1圧縮機(22)に吸入される。
【0102】
蓄熱ユニット(90)に供給された冷媒の一部は、補助減圧弁(105)で減圧された後、氷蓄熱熱交換器(106)を流れる。この氷蓄熱熱交換器(106)の周囲には、上述した「暖房/冷蔵/温水蓄熱運転」によって温水が溜まっている。このため、氷蓄熱熱交換器(106)では、冷媒が温水から吸熱して蒸発する。氷蓄熱熱交換器(106)で蒸発した冷媒は、補助圧縮機(104)で圧縮された後、第2ガス連絡配管(13)へ流出し、第1圧縮機(22)に吸入される。また、蓄熱ユニット(90)に供給された冷媒の一部は、停止状態の空調ユニット(60)を経由して、第3圧縮機(24)に吸入される。
【0103】
以上のように、このデフロスト運転では、氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の温水の熱が、冷媒に付与される。加えて、デフロスト運転では、補助圧縮機(104)で冷媒を圧縮することで、この冷媒のエンタルピが増大する。従って、室外熱交換器(25)の除霜能力の増大、あるいは除霜時間の短縮化を図ることができる。
【0104】
《実施形態の変形例》
上述した実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0105】
〈変形例1〉
図11に示す変形例1に係る冷凍装置(10)は、実施形態1の冷凍装置(10)に冷凍ユニット(140)と冷凍側ブースタユニット(150)とが付与されている。
【0106】
冷凍ユニット(140)は、冷凍庫(例えば冷凍ショーケース)の内部に設置されて、冷凍庫内の空気を0℃未満の所定温度まで冷却する。冷凍ユニット(140)は、冷凍回路(141)を有している。冷凍回路(141)のガス側端部は、冷凍側ブースタユニット(150)を介して第2ガス連絡配管(13)と接続する。冷凍回路(141)の液側端部は、第2液連絡配管(15)と接続する。
【0107】
冷凍回路(141)には、ガス側端部から液側端部に向かって順に、冷凍熱交換器(142)と冷凍側膨張弁(143)と冷凍側電磁弁(144)とが接続される。冷凍熱交換器(142)の近傍には、庫内ファン(142a)が設置される。冷凍熱交換器(142)では、庫内ファン(142a)が搬送する庫内空気と冷媒とが熱交換する。冷凍側膨張弁(143)は、冷凍熱交換器(142)の出口冷媒の温度に応じて開度が調節される、感温式の膨張弁である。冷凍側膨張弁(143)は、冷媒を減圧する減圧機構を構成する。冷凍側電磁弁(144)は、開閉弁を構成する。冷凍側ブースタユニット(150)には、冷凍熱交換器(142)で蒸発した冷媒を圧縮するブースタ圧縮機(151)が設けられる。また、ブースタ圧縮機(151)の吐出管(151a)には、逆止弁(CV13)が接続される。冷凍熱交換器(142)の冷媒の蒸発温度は、例えば−40℃に設定される。
【0108】
この変形例1においても、空調ユニット(60)で冷房を行いながら冷蔵ユニット(70,80)と冷凍ユニット(140)とで庫内の空気を冷却すると同時に氷蓄熱熱交換器(106)の周囲で氷を生成する氷蓄熱冷却動作(図11を参照)と、氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の氷の冷熱を冷蔵ユニット(70,80)での庫内の冷却に利用する氷利用冷却動作(図示省略)とが切り換えて行われる。変形例1における、それ以外の作用及び効果は、上述した実施形態1と同様である。なお、実施形態2の冷凍装置(10)において、変形例1に係る冷凍ユニット(140)及び冷凍側ブースタユニット(150)を付与してもよい。
【0109】
〈変形例2〉
図12に示す冷凍装置(10)は、室内の空調は行わず、冷蔵庫内及び冷凍庫内の空気を冷却する、いわゆるコンデンシングユニットである。つまり、この冷凍装置(10)では、冷媒の循環方向が一方向に設定され、冷蔵熱交換器(72,82)及び冷凍熱交換器(142)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
【0110】
変形例2においても、冷蔵ユニット(70,80)と冷凍ユニット(140)とで庫内の空気を冷却すると同時に氷蓄熱熱交換器(106)の周囲で氷を生成する氷蓄熱冷却動作(図12を参照)と、氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の氷の冷熱を冷蔵ユニット(70,80)での庫内の冷却に利用する氷利用冷却動作(図示省略)とが切り換えて行われる。変形例2における、それ以外の作用及び効果は、上述した実施形態1と同様である。
【0111】
《そのたの実施形態》
上述した実施形態1や2の冷凍装置(10)は、空調ユニット(60)と冷蔵ユニット(70,80)と蓄熱ユニット(90)とが組み合わされたものであるが、冷蔵ユニット(70,80)を省略して空調ユニット(60)と蓄熱ユニット(90)とを組み合わせた構成としてもよい。この場合にも、空調ユニット(60)で室内を冷房すると同時に蓄熱ユニット(90)で氷を生成する氷蓄熱冷却動作と、蓄熱ユニット(90)で生成した氷の冷熱を空調ユニット(60)による室内の冷房に利用する氷利用冷却動作とを切り換えて行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上説明したように、本発明は、冷凍サイクルを行う冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0113】
10 冷凍装置
11 冷媒回路
22 第1圧縮機(圧縮機)
23 第2圧縮機(圧縮機)
24 第3圧縮機(圧縮機)
25 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
31 室外膨張弁(減圧機構)
62 空調熱交換器(空調用熱交換器、利用側熱交換器)
63 空調側膨張弁(膨張機構)
72 冷蔵熱交換器(庫内冷却用熱交換器、利用側熱交換器)
73 冷蔵側膨張弁(膨張機構)
82 冷蔵熱交換器(庫内冷却用熱交換器、利用側熱交換器)
83 冷蔵側膨張弁(膨張機構)
94 第1開閉弁(流路切換機構)
104 補助圧縮機(蒸発温度調整機構)
105 補助減圧弁(補助減圧機構、蒸発温度調整機構)
106 氷蓄熱熱交換器
107 第2開閉弁(流路切換機構)
111 第3開閉弁(流路切換機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(22,23,24)、熱源側熱交換器(25)、膨張機構(31,63,73,83)、及び蒸発する冷媒によって空気を冷却する少なくとも1つの利用側熱交換器(62,72,82)とが接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)を備えた冷凍装置であって、
前記冷媒回路(11)には、
前記利用側熱交換器(62,72,82)と並列に接続され、蒸発する冷媒によって水を冷却して氷を生成する氷蓄熱熱交換器(106)と、
前記利用側熱交換器(62,72,82)の冷媒が蒸発して空気を冷却すると同時に前記氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒が蒸発して氷を生成する氷蓄熱冷却動作と、冷媒が氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の氷に放熱し、放熱後の冷媒が利用側熱交換器(62,72,82)で蒸発する氷利用冷却動作とを行うように冷媒の流路を切り換える流路切換機構(94,107,111)と、
前記氷蓄熱冷却動作時に、前記氷蓄熱熱交換器(106)の冷媒の蒸発温度を前記利用側熱交換器(62,72,82)の冷媒の蒸発温度よりも低くする蒸発温度調整機構(104,105)とが設けられていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記蒸発温度調整機構(104,105)は、前記氷蓄熱冷却動作時に氷蓄熱熱交換器(106)の流入前の冷媒を減圧する補助減圧機構(105)と、該氷蓄熱冷却動作動作時に氷蓄熱熱交換器(106)の流出後の冷媒を圧縮する補助圧縮機(104)とを備えていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記利用側熱交換器(62,72,82)は、庫内の空気を冷却する庫内冷却用熱交換器(72,82)で構成されることを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記利用側熱交換器(62,72,82)は、蒸発する冷媒によって室内の空気を冷却する動作と、凝縮する冷媒によって室内の空気を加熱する動作とを切り換えて行う空調用熱交換器(62)で構成されることを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記流路切換機構(94,107,111)は、空調用熱交換器(62)で凝縮した冷媒を前記氷蓄熱熱交換器(106)で放熱させ、放熱後の冷媒を熱源側熱交換器(25)で蒸発させる暖房動作と、該熱源側熱交換器(25)で凝縮した後の冷媒を前記氷蓄熱熱交換器(106)の周囲の温水から吸熱させる除霜動作とが行われるように冷媒の流路を切り換えることを特徴とする冷凍装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1つにおいて、
前記冷媒回路(11)には、前記氷蓄熱冷却動作時に異なる蒸発温度に設定される複数の前記利用側熱交換器(62,72,82)が互いに並列に接続され、
前記補助圧縮機(104)の吐出側は、前記氷蓄熱冷却動作中に最も冷媒の蒸発温度の低い利用側熱交換器(72,82)の流出側に接続していることを特徴とする冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−92342(P2013−92342A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236337(P2011−236337)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)