説明

冷却ファン制御装置

【課題】回路内の各部の耐久性能を低下させることなく、正回転されている冷却ファンをスムーズに逆回転させる。
【解決手段】冷却ファン制御装置は、油圧ポンプ2と、冷却ファン4を回転させるファンモータ3と、方向切換弁5と、油圧ポンプ2の吐出圧を制御する可変リリーフ弁23と、油圧ポンプ2の吐出圧を検出する圧力センサ14と、冷却ファン4の回転方向を切り換えるための切換スイッチ19と、冷却ファン4が正回転されているときに切換スイッチ19が逆転側に操作されると、可変リリーフ弁23の設定リリーフ圧を所定の下限値(P3)まで所定時間かけて低下させ、圧力センサ14により検出される油圧ポンプ2の吐出圧が予め定めた切換用圧力(P2)まで低下した後に方向切換弁5を切り換えて油圧モータ3への圧油の流れ方向を逆方向に制御するとともに、可変リリーフ弁23の設定リリーフ圧を油圧モータ3の逆転用設定圧(P4)まで所定時間かけて上昇させるコントローラ17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ファン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジエータなどの熱交換器に冷却風を送風するための冷却ファンを備えた作業車両が知られている。このような冷却ファンは、送風方向が一方向であると、塵芥が冷却風とともに熱交換器に送り込まれ、目詰まりの原因となる。そこで、冷却ファンを逆回転させて、送風方向を逆にすることで、塵芥を取り除くことができる冷却ファン制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の冷却ファン制御装置は、正回転中の冷却ファンを逆回転させるための操作が行われると、設定圧可変式のリリーフ弁に対して、油圧ポンプの吐出側圧力(油圧モータの入口側圧力)を切換用圧力まで低下させる制御信号を出力し、油圧モータの回転速度が下がるために必要な時間経過後、油圧モータを逆方向に回転させる制御信号を出力する。その後、可変リリーフ弁に対して、油圧ポンプの吐出側圧力を逆転用圧力まで上昇させる制御信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4390201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、特許文献1に記載の冷却ファン制御装置では、油圧モータの回転速度が下がるために必要な時間経過後に、油圧モータを逆方向に回転させる制御信号を出力する構成とされている。したがって、コントローラや可変リリーフ弁の誤作動などにより、必要な時間内に油圧モータの回転速度が十分に下がらなかった場合であっても油圧モータを逆方向に回転させる制御信号を出力してしまう。
【0006】
そのため、正回転から逆回転させる反転動作の際に回路内の圧力が急上昇して、回路内各部に過度な負荷がかかり、各部の耐久性能が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、エンジンにより駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動され、熱交換器に冷却風を送風するための冷却ファンを回転させる油圧モータと、油圧ポンプからの吐出油の流れ方向を切り換えて油圧モータを正逆転させる方向切換弁と、油圧ポンプの吐出圧を制御する可変リリーフ弁と、油圧ポンプの吐出圧を検出する圧力センサと、冷却ファンの回転方向を切り換えるための回転方向切換スイッチと、冷却ファンが正回転されているときに回転方向切換スイッチが逆転側に操作されると、可変リリーフ弁の設定リリーフ圧を所定の下限値まで所定時間かけて低下させ、圧力センサにより検出される油圧ポンプの吐出圧が予め定めた切換用圧力まで低下した後に方向切換弁を切り換えて油圧モータへの圧油の流れ方向を逆方向に制御するとともに、可変リリーフ弁の設定リリーフ圧を油圧モータの逆転用設定圧まで所定時間かけて上昇させる制御手段とを備えることを特徴とする冷却ファン制御装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の冷却ファン制御装置において、制御手段は、冷却ファンが逆回転されているときに回転方向切換スイッチが正転側に操作されると、可変リリーフ弁の設定リリーフ圧を所定の下限値まで所定時間かけて低下させ、圧力センサにより検出される油圧ポンプの吐出圧が予め定めた切換用圧力まで低下した後に方向切換弁を切り換えて油圧モータへの圧油の流れ方向を正方向に制御するとともに、可変リリーフ弁の設定リリーフ圧を油圧モータの正転用設定圧まで所定時間かけて上昇させることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の冷却ファン制御装置において、油圧モータの正転用設定圧は油圧モータの逆転用設定圧よりも高く、切換用圧力は油圧モータの逆転用設定圧よりも低いことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の冷却ファン制御装置において、制御手段は、可変リリーフ弁と制御手段との間の接続状態が正常であるか否かを判定する接続状態判定手段を含み、制御手段は、接続状態判定手段により接続状態が正常でないと判定された場合には、冷却ファンが正回転されているときに、回転方向切換スイッチが逆転側に操作されたとしても、方向切換弁を切り換えずに冷却ファンの現在の回転方向を維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、圧力センサにより検出される油圧ポンプの吐出圧が予め定めた切換用圧力まで低下した後に、油圧モータを逆方向に回転させる制御を行うため、反転動作の際の回路内の圧力の上昇を抑制し、回路内の各部の耐久性能を低下させることなく、正回転されている冷却ファンをスムーズに逆回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】作業車両の一例であるホイールローダの側面図。
【図2】ホイールローダの冷却系の概略構成を示す図。
【図3】リリーフ弁の設定圧を制御するためのテーブルを示す図。
【図4】冷却ファンの反転動作についての処理内容を示すフローチャート。
【図5】正回転中の冷却ファンを逆回転させる反転動作についての作動状態を説明するタイムチャート。
【図6】逆回転中の冷却ファンを正回転させる反転動作についての作動状態を説明するタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明による冷却ファン制御装置の一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態に係る冷却ファン制御装置が搭載される作業車両の一例であるホイールローダの側面図である。ホイールローダ100は、アーム111、バケット112、タイヤ113等を有する前部車体110と、運転室121、エンジン室122、タイヤ123等を有する後部車体120とで構成される。エンジン室122は、建屋カバー131で覆われている。後部車体120の後方にはカウンタウェイト124が取り付けられている。
【0011】
アーム111は不図示のアームシリンダの駆動により上下方向に回動し、バケット112はバケットシリンダ115の駆動により上下方向に回動する。前部車体110と後部車体120とはセンタピン101により互いに回動自在に連結され、ステアリングシリンダ116の伸縮により後部車体120に対し前部車体110が左右に屈折する。
【0012】
建屋カバー131の後方には、ラジエータフレーム135と、冷却ファンユニット150とが配設されている。ラジエータフレーム135には、後述する図2に示した、エンジン1の冷却水を冷却するラジエータ6や、作動油を冷却するオイルクーラ7等が取り付けられている。ラジエータフレーム135は、後部車体120に固定されている。冷却ファンユニット150は、後述する図2に示した、ファンモータ3で駆動される冷却ファン4と、ファンシュラウド151とを備えており、ラジエータフレーム135の後方に配設されている。
【0013】
ラジエータフレーム135および冷却ファンユニット150は、その側面および上面が冷却器用建屋カバー132で覆われている(図1)。冷却器用建屋カバー132は後方で開口しており、開閉可能に取り付けられたグリル140によって覆われている。グリル140は、冷却ファン4による吸気または排気が外部と流通するように複数の開口が設けられた覆いである。
【0014】
図2は、ホイールローダ100の冷却系の概略構成を示す図である。ホイールローダ100は、エンジン1と、エンジン1により駆動される補機用の油圧ポンプ2と、油圧ポンプ2から吐出される圧油によって駆動するファンモータ3と、ファンモータ3によって回転される冷却ファン4とを備えている。エンジン1の回転数は、アクセルペダル15の踏み込み量の増加に伴い上昇する。エンジン回転数が上昇すると、油圧ポンプ2の回転数が上昇し、ポンプ吐出量が増大する。ファンモータ3は、油圧ポンプ2から供給される圧油によって駆動され、ラジエータ6およびオイルクーラ7に冷却風を送風するための冷却ファン4を回転させる。
【0015】
ホイールローダ100は、冷却ファン4の回転方向を切り換えるための切換スイッチ19と、油圧ポンプ2からの吐出油の流れ方向を切り換えてファンモータ3を正逆転させる方向切換弁5とを備えている。
【0016】
方向切換弁5は電磁式切換弁であり、運転室121内の切換スイッチ19の操作によりL位置(正転側)またはM位置(逆転側)に切り換わる。切換スイッチ19がオフ操作されると、方向切換弁5がL位置(正転側)に切り換わり、油圧ポンプ2からの圧油が管路L1,L2を介してファンモータ3に供給され、ファンモータ3および冷却ファン4が正方向に回転する。ファンモータ3に供給された油は管路L3,L4を介してタンク10に戻る。切換スイッチ19がオン操作されると、方向切換弁5がM位置(逆転側)に切り換わり、油圧ポンプ2からの圧油が管路L1,L3を介してファンモータ3に供給され、ファンモータ3および冷却ファン4が逆方向に回転する。ファンモータ3に供給された油は管路L2,L4を介してタンク10に戻る。
【0017】
ファンモータ3の入口側圧力(モータ駆動圧)である油圧ポンプ2の吐出側圧力(以下、ポンプ吐出圧Ppと記載する)を制限する設定圧可変式のリリーフ弁23が管路L1と管路L4との間に介装され、油圧ポンプ2の吐出側の管路L1にはポンプ吐出圧Ppを検出する圧力センサ14が設けられている。圧力センサ14で検出されたポンプ吐出圧Ppの情報は、コントローラ17に入力される。
【0018】
コントローラ17は、CPU,ROM,RAM,その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ17には切換スイッチ19からのオンオフ操作情報が入力されている。コントローラ17は、入力される切換スイッチ19のオンオフ操作情報に基づいて、切換信号を方向切換弁5に出力し、方向切換弁5の切換位置を制御する。
【0019】
コントローラ17は、制御ライン20でリリーフ弁23と接続されている。リリーフ弁23は、電磁式の可変リリーフ弁であって、コントローラ17からの出力電流値(指示値)に応じて、油圧ポンプ2からファンモータ3へ供給される圧油の最高圧を規定し、ポンプ吐出圧Ppを制御する。コントローラ17は、リリーフ弁23の設定リリーフ圧(以下、リリーフセット圧と記す)を制御する、すなわちファンモータ3の入口側圧力であるポンプ吐出圧Ppを制御することで、ファンモータ3の回転速度を制御できる。
【0020】
コントローラ17は、制御ライン21でリリーフ弁23と接続されており、コントローラ17では、リリーフ弁23からのフィードバック電流値が検出される。
【0021】
なお、図示しないが、ホイールローダ100は、エンジン1で駆動される作業用油圧ポンプと、作業用油圧ポンプから吐出される圧油を制御するコントロールバルブと、作業用油圧シリンダ(たとえばバケットシリンダ115やアームシリンダ)とを備えている。コントロールバルブは不図示の操作レバーの操作により駆動され、操作レバーの操作量に応じてアクチュエータを駆動できる。
【0022】
このように構成されるホイールローダ100では、通常、エンジン1の作動時にはファンモータ3が正転するように、コントローラ17が方向切換弁5をL位置(正転側)に切り換えるように制御する。これにより、ファンモータ3は、油圧ポンプ2から供給される圧油によって正転する。ファンモータ3が正転することで、図2の矢印12で示すように、冷却ファン4からラジエータ6およびオイルクーラ7に向けて冷却風が送風され、冷却風との熱交換によりエンジン1の冷却水および作動油が冷却される。
【0023】
しかしながら、外気を冷却風として一方向に送風していると、外気に含まれる塵埃などがラジエータ6やオイルクーラ7の風路に蓄積して、この風路を狭めてしまう。そのため、外気との熱交換の効率が低下して、エンジン1のオーバーヒートや作動油温の上昇等の不具合を招くおそれがある。このような不具合を防止するため、本実施の形態では、ファンモータ3の逆転を可能とし、外気を通常の送風方向とは反対方向から送風することで、風路に蓄積した塵埃を吹き飛ばして除去できるようにしている。その結果、ラジエータ6やオイルクーラ7の性能を維持できる。
【0024】
オペレータにより切換スイッチ19がオン操作されると、コントローラ17は方向切換弁5をM位置(逆転側)に切り換えるように制御する。これにより、ファンモータ3は、油圧ポンプ2から供給される圧油によって逆転する。ファンモータ3が逆転する、すなわち冷却ファン4が逆転することで、図2の矢印13で示すように、ラジエータ6およびオイルクーラ7に対して通常とは逆向きに外気が送風される。
【0025】
しかしながら、切換スイッチ19がオン操作されたと同時に、ファンモータ3を逆転させるように方向切換弁5をM位置(逆転側)に切り換える制御が行われると、回路内圧力が急激に高まり、ファンモータ3や方向切換弁5、リリーフ弁23に大きな負荷がかかり、各部の耐久性能を低下させてしまうおそれがある。
【0026】
そこで、本実施の形態では、切換スイッチ19がオン操作されると、リリーフ弁23の設定圧を変更し、ポンプ吐出圧Ppを減少させ、ファンモータ3の回転速度を十分に低下させた上で、方向切換弁5をM位置(逆転側)に切り換えるように制御する。
【0027】
コントローラ17のROMまたはRAMには、リリーフ弁23の設定圧を制御するためのテーブルが記憶されている(図3参照)。図3(a)は、リリーフセット圧を正転用設定圧(P1=19MPa)から下限値である切換用設定圧(P3=5MPa)まで所定時間(T1−3秒)かけて低下させるために用いられるテーブルであり、時間の経過に伴い直線的にリリーフセット圧が減少するように定められている。図3(b)は、リリーフセット圧を切換用設定圧(P3=5MPa)から逆転用設定圧(P4=15MPa)まで所定時間(T3−4秒)かけて上昇させるために用いられるテーブルであり、時間の経過に伴い直線的にリリーフセット圧が増加するように定められている。
【0028】
図3(c)は、リリーフセット圧を逆転用設定圧(P4=15MPa)から切換用設定圧(P3=5MPa)まで所定時間(T4−3秒)かけて低下させるために用いられるテーブルであり、時間の経過に伴い直線的にリリーフセット圧が減少するように定められている。図3(d)は、リリーフセット圧を切換用設定圧(P3=5MPa)から正転用設定圧(P1=19MPa)まで所定時間(T3−1秒)かけて上昇させるために用いられるテーブルであり、時間の経過に伴い直線的にリリーフセット圧が増加するように定められている。
【0029】
コントローラ17は、条件に応じて、これらのテーブルを参照し、参照したテーブルに基づいて、リリーフセット圧を変化させるようにリリーフ弁23に出力電流値を出力する。時間T1−3,T3−4,T4−3,T3−1はそれぞれ、リリーフ圧が安定して低下あるいは上昇されるように、2〜3秒程度と定められている。
【0030】
正転用設定圧(P1)および逆転用設定圧(P4)は、冷却ファン4の仕様に応じて定められている。正転用設定圧(P1)は、冷却ファン4を定格回転数Nrで正回転させるための設定圧である。逆転用設定圧(P4)は、冷却ファン4を定格回転数Nrで逆回転させるための設定圧である。
【0031】
通常、冷却ファン4は、定格回転数Nrで正回転されたときの送風量に比べて、定格回転数Nrで逆回転されたときの送風量の方が小さい。このような冷却ファン4は、正回転時の空気抵抗に比べて逆回転時の空気抵抗の方が小さい。その結果、冷却ファン4を定格回転数Nrで逆回転させるために必要なポンプ吐出圧Ppは、正回転させる場合に比べて小さくてよい。そこで、本実施の形態では、上記したようにファンモータ3の正転用設定圧をP1=19MPaと定め、ファンモータ3の逆転用設定圧をP4=15MPaと定めた。
【0032】
これに対して、正転用設定圧と逆転用設定圧とを同じ値にした場合、正転時には定格回転数Nrで回転させることができるが、逆転時には定格回転数Nrを上回る回転数で冷却ファン4が回転するため、冷却ファン4およびファンモータ3の耐久性に悪影響を与えてしまうおそれがある。
【0033】
コントローラ17のROMまたはRAMには、圧力センサ14で検出されたポンプ吐出圧Ppが十分に低下したか否かを判定するために用いられる閾値として切換用圧力(P2)が記憶されている。切換用圧力(P2)は、ファンモータ3が十分に減速して反転動作がスムーズに行えるように予め定められている。切換用設定圧(P3)は、切換用圧力(P2)よりも小さい値となるように定められている。本実施の形態では、切換用圧力をP2=6.5MPaと定め、切換用設定圧をP3=5MPaと定めた。
【0034】
コントローラ17は、次のように各部を制御することで、油圧ポンプ2の吐出圧を十分に低下させた後に冷却ファン4を逆転させる。図4は、上述したような冷却ファン4の反転動作についての処理内容を示すフローチャートである。図5は正回転中の冷却ファン4を逆回転させる反転動作についての作動状態を説明するタイムチャートであり、図6は逆回転中の冷却ファン4を正回転させる反転動作についての作動状態を説明するタイムチャートである。ホイールローダ100の不図示のイグニッションスイッチがオン操作されると、図4に示す処理を行うプログラムが起動されて、コントローラ17で繰り返し実行される。
【0035】
ステップS101において、コントローラ17は、切換スイッチ19のオンオフ操作を判定し、切換スイッチ19がオフ操作されている場合には、冷却ファン4が正回転するように、方向切換弁5をL位置(正転側)に切り換えるとともに、リリーフセット圧を正転用設定圧(P1)に設定する。一方、切換スイッチ19がオン操作されている場合には、冷却ファン4が逆回転するように、方向切換弁5をM位置(逆転側)に切り換えるとともに、リリーフセット圧を逆転用設定圧(P4)に設定する。
【0036】
すなわち、コントローラ17は、ステップS101において、切換スイッチ19のオンオフ操作情報に基づいてリリーフセット圧が正転用設定圧(P1)または逆転用設定圧(P4)となるようにリリーフ弁23に対応する出力電流値(指示値)Aiを出力する。
【0037】
ステップS102において、リリーフ弁23から制御ライン21を介してコントローラ17に入力されるフィードバック電流値Afの情報、ならびに、冷却ファン4の回転方向の情報、すなわち切換スイッチ19のオンオフ操作情報を取得して、ステップS106へ進む。
【0038】
ステップS106では、コントローラ17とリリーフ弁23との間の接続線(制御ライン20,21)の接続状態が正常であるか否かを判定する。コントローラ17は、ステップS101でリリーフ弁23へ出力された電流値(指示値)Aiと、ステップS102で検出されたリリーフ弁23からコントローラ17へ戻ってくるフィードバック電流値Afとを比較する。コントローラ17は、出力電流値Aiとフィードバック電流値Afとの差が所定値At未満である場合(|Ai−Af|<At)には非断線状態、すなわち正常と判定する。一方、出力電流値Aiとフィードバック電流値Afとの差が所定値At以上である場合(|Ai−Af|≧At)には断線状態、すなわち異常と判定する。
【0039】
ステップS106で肯定判定されると、すなわち、コントローラ17とリリーフ弁23との間の接続線(制御ライン20,21)の接続状態が正常と判定されるとステップS111へ進む。ステップS111では、ステップS101で検出された切換スイッチ19のオンオフ操作情報から冷却ファン4が正回転するように制御されている状態にあるのかどうかを判定する。
【0040】
ステップS111で肯定判定されると、すなわち、冷却ファン4が正回転するように制御されている状態にあると判定されると、ステップS116に進み、切換スイッチ19がオン操作(逆転側に操作)されたか否かを判定する、すなわち切換スイッチ19のオン操作を監視する。
【0041】
ステップS116で肯定判定されると、すなわち、定格回転数Nrで正方向に回転している冷却ファン4を逆回転させるために切換スイッチ19がオン操作されたと判定されるとステップS121へ進む。ステップS121では、図3(a)に示すテーブルを参照し、予め設定された特性にしたがってリリーフセット圧が正転用設定圧(P1)から切換用設定圧(P3)まで所定時間かけて低下するように、リリーフ弁23へ制御信号(電流値Ai)を出力する。
【0042】
図5に示すように、時点T1で切換スイッチ19がオン操作されると、リリーフセット圧が時点T1から時点T3の間で正転用設定圧(P1)から切換用設定圧(P3)まで低下するように、リリーフ弁23に制御信号(電流値Ai)が入力される。そのため、ポンプ吐出圧Ppは、リリーフセット圧の低下に伴って減少する。
【0043】
図4に示すように、次のステップS123では、圧力センサ14で検出された油圧ポンプ2の吐出圧Ppの情報を取得し、ステップS126では、検出されたポンプ吐出圧Ppが切換用圧力であるP2以下(Pp≦P2)であるか否かを判定する。
【0044】
ステップS126で肯定判定されると、すなわち、ポンプ吐出圧PpがP2以下(Pp≦P2)であると判定されると、ステップS131へ進む。ステップS126で否定判定されると、すなわちポンプ吐出圧PpがP2より大きいと判定されると、ステップS123に戻ってポンプ吐出圧Ppの情報を取得する。すなわち、コントローラ17は、ステップS121で切換用設定圧(P3)まで所定時間かけてリリーフセット圧を低下させる制御を実行するとともに、ポンプ吐出圧Ppを監視して、リリーフセット圧の低下に応じてポンプ吐出圧Ppが切換用圧力(P2)まで低下したか否かを判定する。
【0045】
コントローラ17は、ステップS131でファンモータ3への圧油の流れ方向を逆方向に制御するために、切換信号(電流または電圧)を方向切換弁5に出力して方向切換弁5をM位置(逆転側)に切り換え、次ステップS136でコントローラ17に内蔵のタイマのカウントを開始する。図5に示すように、時点T2において、圧力センサ14でポンプ吐出圧PpがP2以下まで低下したことが検出され、方向切換弁5の切り換え制御が実行されると、方向切換弁5のスプール(不図示)が移動し始める。ファンモータ3の入口側圧力Ppは、アンダーシュートにより、P3以下まで減少した後、方向切換弁5のスプールの移動に伴って増加し、一時的にリリーフセット圧を上回るが、方向切換弁5やリリーフ弁23、ファンモータ3に過度な負荷が作用するような圧力まで急激に上昇することはない。
【0046】
図4に示すように、コントローラ17は、ステップS141において、タイマによる計測時間tが予め定められた設定時間T以上(t≧T)になったか否かを判定する。設定時間Tは、方向切換弁5の位置が切り換わるのに要する時間に相当する値(たとえば、T=2秒)とされ、予めコントローラ17のROMまたはRAMに記憶されている。つまり、コントローラ17は、計測時間tが設定時間T以上になったか否かを判定することで、方向切換弁5の切り換えが完了したか否かを判定する。
【0047】
ステップS141で肯定判定されると、すなわち、タイマによる計測時間tが設定時間T以上(t≧T)になったと判定されるとステップS146へ進む。ステップS146では、図3(b)に示すテーブルを参照し、予め設定された特性にしたがってリリーフセット圧が切換用設定圧(P3)から逆転用設定圧(P4)まで所定時間かけて上昇するように、リリーフ弁23へ制御信号(電流値Ai)を出力し、リターンする。
【0048】
図5に示すように、時点T4において、計測時間tが設定時間T以上となったと判定されると、すなわち方向切換弁5の切り換えの完了が判定されると、リリーフセット圧が時点T4から時点T5の間で切換用設定圧(P3)から逆転用設定圧(P4)まで上昇するように、リリーフ弁23に制御信号(電流値Ai)が入力される。そのため、ポンプ吐出圧Ppは、リリーフセット圧の上昇に伴って逆転用圧力(P4)まで上昇する。その結果、冷却ファン4が定格回転数Nrで逆方向に回転し、熱交換器に付着する塵芥が吹き飛ばされる。
【0049】
図4に示すように、ステップS111で否定判定されると、すなわち、冷却ファン4が逆回転するように制御されている状態にあると判定されると、ステップS216に進む。上述したステップS116〜ステップS146までは、正回転する冷却ファン4を逆回転させる反転動作についての処理内容であるが、ステップS216〜ステップ246までは逆回転する冷却ファン4を正回転させる反転動作についての処理内容であり、上述したステップS116〜ステップS146の処理と同様の処理がなされる。
【0050】
ステップS216では、切換スイッチ19がオフ操作(正転側に操作)されたか否かを判定する、すなわち切換スイッチ19のオフ操作を監視する。
【0051】
ステップS216で肯定判定されると、すなわち、定格回転数Nrで逆方向に回転している冷却ファン4を正回転させるために切換スイッチ19がオフ操作されたと判定されるとステップS221へ進む。ステップS221では、図3(c)に示すテーブルを参照し、予め設定された特性にしたがってリリーフセット圧が逆転用設定圧(P4)から切換用設定圧(P3)まで所定時間かけて低下するように、リリーフ弁23へ制御信号(電流値Ai)を出力する。
【0052】
図6に示すように、時点T6で切換スイッチ19がオフ操作されると、リリーフセット圧が時点T6から時点T8の間で逆転用設定圧(P4)から切換用設定圧(P3)まで低下するように、リリーフ弁23に制御信号(電流値Ai)が入力される。そのため、ポンプ吐出圧Ppは、リリーフセット圧の低下に伴って減少する。
【0053】
図4に示すように、次のステップS223では、圧力センサ14で検出された油圧ポンプ2の吐出圧Ppの情報を取得し、ステップS226では、検出されたポンプ吐出圧Ppが切換用圧力であるP2以下(Pp≦P2)であるか否かを判定する。
【0054】
ステップS226で肯定判定されると、すなわち、ポンプ吐出圧PpがP2以下(Pp≦P2)であると判定されると、ステップS231へ進む。ステップS226で否定判定されると、すなわちポンプ吐出圧PpがP2より大きいと判定されると、ステップS223に戻ってポンプ吐出圧Ppの情報を取得する。すなわち、コントローラ17は、ステップS221で切換用設定圧(P3)まで所定時間かけてリリーフセット圧を低下させる制御を実行するとともに、ポンプ吐出圧Ppを監視して、リリーフセット圧の低下に応じてポンプ吐出圧Ppが切換用圧力であるP2まで低下したか否かを判定する。
【0055】
コントローラ17は、ステップS231でファンモータ3への圧油の流れ方向を逆方向に制御するために、切換信号(電流または電圧)を方向切換弁5に出力して方向切換弁5をL位置(正転側)に切り換え、次ステップS236でコントローラ17に内蔵のタイマのカウントを開始する。図6に示すように、時点T7において、圧力センサ14でポンプ吐出圧PpがP2以下まで低下したことが検出され、方向切換弁5の切り換え制御が実行されると、方向切換弁5のスプール(不図示)が移動し始める。ファンモータ3の入口側圧力Ppは、アンダーシュートにより、P3以下まで減少した後、方向切換弁5のスプールの移動に伴って増加し、一時的にリリーフセット圧を上回るが、方向切換弁5やリリーフ弁23、ファンモータ3に過度な負荷が作用するような圧力まで急激に上昇することはない。
【0056】
図4に示すように、コントローラ17は、ステップS241において、タイマによる計測時間tが予め定められた設定時間T以上(t≧T)になったか否かを判定する。設定時間Tは、方向切換弁5の位置が切り換わるのに要する時間に相当する値(たとえば、T=2秒)とされ、予めコントローラ17のROMまたはRAMに記憶されている。つまり、コントローラ17は、計測時間tが設定時間T以上になったか否かを判定することで、方向切換弁5の切り換えが完了したか否かを判定する。
【0057】
ステップS241で肯定判定されると、すなわち、タイマによる計測時間tが設定時間T以上(t≧T)になったと判定されるとステップS246へ進む。ステップS246では、図3(d)に示すテーブルを参照し、予め設定された特性にしたがってリリーフセット圧が切換用設定圧(P3)から正転用設定圧(P1)まで所定時間かけて上昇するように、リリーフ弁23へ制御信号(電流値Ai)を出力し、リターンする。
【0058】
図6に示すように、時点T9において、計測時間tが設定時間T以上となったと判定されると、すなわち方向切換弁5の切り換えの完了が判定されると、リリーフセット圧が時点T9から時点T10の間で切換用設定圧(P3)から正転用設定圧(P1)まで上昇するように、リリーフ弁23に制御信号(電流値Ai)が入力される。そのため、ポンプ吐出圧Ppは、リリーフセット圧の上昇に伴ってP1まで上昇する。その結果、冷却ファン4が定格回転数Nrで正方向に回転し、熱交換器に冷却風を導いて冷却水および作動油を冷却する。
【0059】
ステップS106で否定判定されると、すなわち、コントローラ17とリリーフ弁23との間の接続線(制御ライン20,21)が断線するなどして、その接続状態が正常でないと判定されると、ステップS310へ進む。ステップS310では、コントローラ17とリリーフ弁23との接続状態が正常な状態にないことをオペレータに知らせるために報知ランプなどの報知手段を作動(点灯)させ、上述した反転動作を実行せずにリターンする。なお、報知ランプを点灯させることに代えて、報知音を発生させてもよい。
【0060】
つまり、コントローラ17とリリーフ弁23との接続状態が異常である場合には、冷却ファン4が正回転されているときに、切換スイッチ19が逆転側(オン)に操作されたとしても、コントローラ17は、方向切換弁5をM位置(逆転側)に切り換える切換信号を出力しない。その結果、冷却ファン4は、現在の回転方向(正回転)を維持する。同様に、コントローラ17とリリーフ弁23との接続状態が異常である場合には、冷却ファン4が逆回転されているときに、切換スイッチ19が正転側(オフ)に操作されたとしても、コントローラ17は、方向切換弁5をL位置(正転側)に切り換える切換信号を出力しない。その結果、冷却ファン4は、現在の回転方向(逆回転)を維持する。
【0061】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)冷却ファン4が正回転されているときに、切換スイッチ19が逆転側に操作(オン操作)されると、コントローラ17が、リリーフ弁23の設定圧を制御して油圧ポンプ2の吐出圧Ppが切換用圧力(P2)まで低下するようにした。圧力センサ14で油圧ポンプ2の吐出圧Ppが切換用圧力(P2)まで低下したことが検出されると、コントローラ17が、方向切換弁5をL位置(正転側)からM位置(逆転)に切り換えて、油圧ポンプ2からファンモータ3への圧油の流れ方向が逆方向になるようにした。その後、コントローラ17により方向切換弁5の切り換えの完了が判定されると、コントローラ17が、リリーフ弁23の設定圧を制御して油圧ポンプ2の吐出圧Ppを逆転用圧力(P4)まで上昇させるようにした。
【0062】
このように、油圧ポンプ2の吐出圧Ppが切換用圧力(P2)まで低下したことを圧力センサ14により検出した後にファンモータ3を逆方向に回転させる制御を行うため、反転動作の際の回路内の圧力の上昇を抑制し、リリーフ弁23や方向切換弁5、ファンモータ3等の耐久性能を低下させることなく、正回転されている冷却ファン4をスムーズに逆回転させることができる。なお、同様の処理を逆回転されている冷却ファン4を反転動作させる際にも実行することで、各部の耐久性能を低下させることなく、逆回転されている冷却ファン4をスムーズに正回転させることができる。
【0063】
これに対して、切換スイッチ19がオン操作された後、所定時間が経過すると、ポンプ吐出圧Ppを検出することなく冷却ファン4を逆転させる従来技術では、以下のような問題が生じる。
【0064】
従来技術では、コントローラ17やリリーフ弁23の誤作動等により、所定時間経過後にポンプ吐出圧Ppが切換用圧力(P2)まで低下していない場合であっても、冷却ファン4を逆転させる制御を行ってしまうという問題がある。その結果、反転動作の際に回路内の圧力が急上昇して、方向切換弁5やリリーフ弁23、ファンモータ3に過度な負荷がかかり、方向切換弁5やリリーフ弁23、ファンモータ3の耐久性能が低下するおそれがある。なお、回路内の圧力が過度に高くなることを防止するためにオーバーロードリリーフ弁を設ける場合は、その分コスト高となる。
【0065】
従来技術では、ファンモータ3の入口側圧力が十分に低下したことを切換スイッチ19のオン操作後の経過時間によって推定して反転動作の制御を実行するため、切換スイッチ19のオン操作後の時間に十分な裕度を見込んでおく必要がある。その結果、冷却ファン4の反転動作に時間がかかってしまう。
【0066】
(2)リリーフ弁23とコントローラ17との間の接続線(制御ライン20,21)の接続状態が正常であるか否かを判定し、正常でないと判定された場合には、切換スイッチ19のオンオフ操作に拘わらず、方向切換弁5を切り換える切換信号を出力しないようにして、冷却ファン4の現在の回転方向を維持するようにした。つまり、断線などにより接続状態が異常である場合には、上述した反転動作処理を実行しない。これにより、リリーフ弁23とコントローラ17との接続状態が正常である場合にのみ、反転動作処理を行って、ポンプ吐出圧Pp(モータ駆動圧)を安定して低下または上昇させることができる。
【0067】
(3)正転用設定圧(P1)を逆転用設定圧(P4)よりも高く定め、正回転時の油圧ポンプ吐出圧Ppが逆回転時の油圧ポンプ吐出圧Ppよりも高くなるようにした。これにより、定格回転数Nrで正回転されたときの送風量に比べて、定格回転数Nrで逆回転されたときの送風量の方が小さい一般的な冷却ファン4を使用する場合に、ファンモータ3や冷却ファン4の耐久性に悪影響を与えることなくファンモータ3を作動させることができる。
【0068】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
[変形例]
(1)上述の説明では、出力電流値Aiとフィードバック電流値Afとの差が所定値At以上であった場合には、コントローラ17とリリーフ弁23との間の接続線の接続状態が正常でないと判定したが、本発明はこれに限定されない。
出力電流値Aiとフィードバック電流値Afとの差が所定値At以上になった回数が所定回数を超えたときに、コントローラ17とリリーフ弁23との間の接続線の接続状態が異常であると判定してもよい。この場合、誤検出が防止される。さらにこの場合、接続線が断線しかかっていることを判定することもできる。接続線が断線しかかっていることが判定された場合にも、上述した処理と同様に、断線しかかっていることをオペレータに知らせるために報知ランプなどの報知手段を動作させ、冷却ファン4の反転動作を行わないように制御する。
出力電流値Aiとフィードバック電流値Afとの差が所定値At以上である状態が所定時間継続されたときに、コントローラ17とリリーフ弁23との間の接続線の接続状態が異常であると判定してもよい。
【0069】
(2)上述の説明では、コントローラ17とリリーフ弁23との間の接続線の接続状態の判定を出力電流値Aiとフィードバック電流値Afとの差が所定値At未満であるのか否かに基づいて判定したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、電圧値に基づいて接続状態を判定してもよい。
【0070】
(3)上述の説明では、ファンモータ3の正転用設定圧(P1)を逆転用設定圧(P4)よりも高く定めたが本発明はこれに限定されない。たとえば、正回転時の風量と、逆回転時の風量とに大きな差がない冷却ファン4などを使用する場合には、正転用設定圧と逆転用設定圧とを同じ値にしてもよい。
【0071】
(4)上述の説明では、コントローラ17で方向切換弁5の切り換えの完了をタイマによる計測時間で判定したが、本発明はこれに限定されない。方向切換弁5の切り換え位置を機械的に検出する位置検出手段を設け、位置検出手段からの検出信号に基づいてコントローラ17が方向切換弁5の切り換えの完了を判定してもよい。
【0072】
(5)上述の説明では、手動で切換スイッチ19をオンオフ操作することで、冷却ファン4を正転または逆転させることとしたが、本発明はこれに限定されない。冷却ファン4の運転中、設定時間経過ごとに冷却ファン4を正転から逆転に反転動作させてもよい。反転動作により逆方向に回転している冷却ファン4は、所定時間だけ逆転動作を継続させた後、正転動作に復帰する。
【0073】
(6)上述の説明では、冷却ファン4を反転させる際に、リリーフセット圧を切換用圧力P2よりも低いP3に設定したが、本発明はこれに限定されない。冷却ファン4を反転させる際に設定するリリーフセット圧は、切換用圧力P2と同じ値に設定してもよい。
【0074】
(7)上述の説明では、作業車両の一例としてホイールローダ100を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、たとえば、フォークリフト、テレハンドラー、リフトトラック等、他の作業車両であってもよい。
【0075】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 エンジン、2 油圧ポンプ、3 ファンモータ、4 冷却ファン、5 方向切換弁、6 ラジエータ、7 オイルクーラ、10 タンク、14 圧力センサ、15 アクセルペダル、17 コントローラ、19 切換スイッチ、20 制御ライン、21 制御ライン、23 リリーフ弁、100 ホイールローダ、101 センタピン、110 前部車体、111 アーム、112 バケット、113 タイヤ、115 バケットシリンダ、116 ステアリングシリンダ、120 後部車体、121 運転室、122 エンジン室、123 タイヤ、124 カウンタウェイト、131 建屋カバー、132 冷却器用建屋カバー、135 ラジエータフレーム、140 グリル、150 冷却ファンユニット、151 ファンシュラウド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにより駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動され、熱交換器に冷却風を送風するための冷却ファンを回転させる油圧モータと、
前記油圧ポンプからの吐出油の流れ方向を切り換えて前記油圧モータを正逆転させる方向切換弁と、
前記油圧ポンプの吐出圧を制御する可変リリーフ弁と、
前記油圧ポンプの吐出圧を検出する圧力センサと、
前記冷却ファンの回転方向を切り換えるための回転方向切換スイッチと、
前記冷却ファンが正回転されているときに前記回転方向切換スイッチが逆転側に操作されると、前記可変リリーフ弁の設定リリーフ圧を所定の下限値まで所定時間かけて低下させ、圧力センサにより検出される前記油圧ポンプの吐出圧が予め定めた切換用圧力まで低下した後に前記方向切換弁を切り換えて前記油圧モータへの圧油の流れ方向を逆方向に制御するとともに、前記可変リリーフ弁の設定リリーフ圧を前記油圧モータの逆転用設定圧まで所定時間かけて上昇させる制御手段とを備えることを特徴とする冷却ファン制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却ファン制御装置において、
前記制御手段は、前記冷却ファンが逆回転されているときに前記回転方向切換スイッチが正転側に操作されると、前記可変リリーフ弁の設定リリーフ圧を所定の下限値まで所定時間かけて低下させ、圧力センサにより検出される前記油圧ポンプの吐出圧が予め定めた切換用圧力まで低下した後に前記方向切換弁を切り換えて前記油圧モータへの圧油の流れ方向を正方向に制御するとともに、前記可変リリーフ弁の設定リリーフ圧を前記油圧モータの正転用設定圧まで所定時間かけて上昇させることを特徴とする冷却ファン制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の冷却ファン制御装置において、
前記油圧モータの正転用設定圧は前記油圧モータの逆転用設定圧よりも高く、前記切換用圧力は前記油圧モータの逆転用設定圧よりも低いことを特徴とする冷却ファン制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の冷却ファン制御装置において、
前記制御手段は、前記可変リリーフ弁と前記制御手段との間の接続状態が正常であるか否かを判定する接続状態判定手段を含み、
前記制御手段は、前記接続状態判定手段により前記接続状態が正常でないと判定された場合には、前記冷却ファンが正回転されているときに、前記回転方向切換スイッチが逆転側に操作されたとしても、前記方向切換弁を切り換えずに前記冷却ファンの現在の回転方向を維持することを特徴とする冷却ファン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−104386(P2013−104386A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250021(P2011−250021)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【出願人】(509241041)株式会社KCM (35)
【Fターム(参考)】