説明

冷却プレートおよび冷却装置

【目的】 小さな面積でありながら、ヒートパイプの冷却効率を上げることができるようにする。
【構成】 冷却プレート9は、プリント基板上の発熱体を冷却するために設けられるヒートパイプ5の放熱部7に着脱自在に取り付けられる。冷却プレート9の内部には、液体10を流すための流路8が形成され、この流路8に液体10を流してヒートパイプの放熱部を冷却するようになっている。流路8は、液体10を分岐して並行に流すための複数の支管11と、外部供給管12と連結され外部供給管12から供給される液体10を複数の支管11に分配する分配主管13と、複数の支管11から流出した液体10を集めて外部排出管14に排出させる集合主管15とを備えた並列路で構成される。分配主管13、集合主管15の直径Dと支管11の直径dとの比d/Dは0.2以下に設定するとよい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒートパイプの放熱部を冷却する冷却プレート及びそれを用いた冷却装置に係り、特に冷却効率を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子機器は多数のプリント基板から構成されるが、熱を発生するため冷却が必要である。このようなプリント基板上の発熱体を冷却するものとして、プリント基板上に液体を導いて冷却する液冷式のものが考えられている。これは、図4に示すように、プリント基板1上に流路2を形成した冷却板3を密着させ、外部配管からカプラ4を経由して外部より送り込んだ冷却液体を流路2に流して、プリント基板1で発生した熱を逃がしてやるものである。しかし、液冷方式の冷却装置には次のような欠点がある。
【0003】(1)基板に取り付けた放熱板の流路と外部配管とを連結するためにカプラを抜き差しするが、このとき配管および流路から液体を排除しても完全には除去しきれず、前回使用した液体が配管および流路内に若干残るため、多少の液漏れが避けられない。
【0004】(2)多数の基板にそれぞれ取り付けられた放熱板の流路と外部配管とを連結するために、1個づつカプラを装着してゆく必要があるが、プリント基板の枚数の増加に伴ってカプラ個数も多くなり、手数がかかるとともに、カプラを装着し忘れるおそれがある。特にプリント基板が両面実装型であると、カプラ個数が倍になるため、そのおそれはさらに高くなる。カプラを装着し忘れると、発熱体が高温になって壊れたり、液体が噴出して大事故となる。
【0005】(3)基板に取り付けた放熱板に液体が流れているために、液漏れがあった場合、その対応が困難である。
【0006】そこで、上記のような欠点のないヒートパイプ方式を採用した冷却装置も考えられている。これは、図3に示すように、プリント基板1上の発熱体を冷却するためにプリント基板1上にヒートパイプ5の受熱部6を密着させ、ヒートパイプ5の放熱部7に、内部に流路8を形成した冷却プレート9を着脱自在に取り付け、液体10を冷却プレートで9折り返すように流してヒートパイプ5の放熱部7を冷却するようにしたものである。これによれば、冷却プレート9自体をヒートパイプ5に着脱するだけでよいからプリント基板交換時の着脱が容易であり、また冷却プレート9の流路8が閉じているので液漏れのおそれがない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のようなヒートパイプ方式を採用する場合、プリント基板から受熱した熱を比較的小さい面積で効率よく放散するために、ヒートパイプの放熱部に取り付ける冷却プレートの流路構造が重要となる。流路構造として、流路面積を上げるため、1本の蛇行路を冷却プレート内に形成することが考えられる。
【0008】しかし、蛇行路とすると、折り返し点の曲率が非常に小さくなるため、圧力損失が大きくなってしまう。損失を小さくするためには、曲率部を緩やかな弧を描くようにすればよいが、そうすると大きな面積を必要とし、ヒートパイプの取付部も大きくしたりしなければならない。電子機器の小型化によりプリント基板間の間隔や周囲にスペース的な余裕はなくなってきているため、小型化は必須である。
【0009】本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消して、小型でありながらヒートパイプの冷却効率を上げることが可能な冷却プレート、及びプリント基板をヒートパイプを介して有効に冷却することが可能な冷却装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の冷却プレートは、プリント基板上の発熱体を冷却するために設けられるヒートパイプの放熱部に着脱自在に取り付けられ、内部に形成した流路に液体を流してヒートパイプの放熱部を冷却する冷却プレートにおいて、上記流路が、液体を流す複数の支管と、液体を上記複数の支管に分配する分配主管と、上記複数の支管から流出した液体を集める集合主管とを備えた並列路で構成したものである。
【0011】これら支管、分配主管、集合主管を備えた流路は、流路面積を大きくするために、複数個直列または並列に接続されていてもよい。
【0012】また、本発明の冷却プレートは、プリント基板上の発熱体を冷却するために設けられるヒートパイプの放熱部に冷却パイプを着脱自在に取り付け、冷却パイプの内部に形成した流路に液体を流してヒートパイプの放熱部を冷却する冷却装置において、上記冷却パイプの内部に形成した流路を、液体を流す複数の支管と、液体を上記複数の支管に分配する分配主管と、上記複数の支管から流出した液体を集める集合主管とを備えた並列路で構成したものである。
【0013】上記支管の抵抗を均一にするために、主管の管路径Dと上記支管の管路径dとの比d/Dを0.2以下に設定することが好ましい。
【0014】
【作用】冷却プレートの流路を蛇行路とするのではなく、複数の支管を備えた並列路とすると、小さい面積でも流路抵抗を小さくすることができ、圧力損失が小さく、冷却効率を上げることができる。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて説明する。図1は本実施例の冷却プレートの縦断面図である。
【0016】冷却プレート9は、プリント基板上の発熱体を冷却するために設けられる面状のヒートパイプ5の放熱部7に着脱自在に取り付けられる。その取り付けは、ねじ止め、挾着など任意である。冷却プレート9は、プリント基板間の延長上の狭いスペースに取り付けられるため薄い板状体で構成される。冷却プレート9の内部には、冷却水などの液体10を流すための流路8が形成され、この流路8に液体10を流してヒートパイプ5の放熱部7を冷却するようになっている。
【0017】この冷却プレート9の流路8は、液体10を分岐して並行に流すための複数の支管11と、外部供給管12と連結され外部供給管12から供給される液体10を複数の支管11に分配する分配主管13と、複数の支管11から流出した液体10を集めて外部排出管14に排出させる集合主管15とを備えた並列路で構成される。流路抵抗を増やさないように、分配主管13、支管11、集合主管15はともに直線にすることが好ましい。外部供給管12と、外部排出管14は、冷却プレート9の同じ側面に取り付けられ、これらはそれぞれ冷却プレート9の分配主管13、集合主管15と捩じ込み手段などにより一体的に連結して、漏洩がないようにしてある。冷却プレート9内の流路8はヒートパイプ5に対して閉じているから、冷却プレート9をヒートパイプ5の放熱部7に着脱するとき、液体10の漏洩はない。
【0018】上記したような冷却プレートを形成するには、アルミニウムまたは銅からなる2枚のプレート片に、上述した並列路を構成する溝パターンをそれぞれ形成し、これらを互いに貼り合わせたり、または型を作り鋳造(ダイキャスト)で作ったりする。
【0019】流路8は、上記した並列路を複数個直列または並列に接続してさらに冷却効率を上げるようにしてもよい。例えば、図2に示すように、1段目の集合主管15と2段目の分配主管13とを連結して2段構成の直列接続とすることができる。集合主管15と分配主管13は上記した理由で直線で連結するとよい。この実施例では、外部供給管12と外部排出管14とは、冷却プレート9の対向面にそれぞれ連結してあるが、同一面に連結してもよい。
【0020】図1及び図2とも、分配主管13、集合主管15の直径Dと支管11の直径dとの比d/Dは0.2以下に設定するとよい。このようにすると、各支管11の抵抗が均一となり、各支管11に流れる液体の流量が均一となり、ヒートパイプの放熱部における冷却が均一となる。
【0021】本実施例によれば、流路を複数の支管をもつ並列路で形成したので、小さな面積でありながら冷却効率の高い冷却プレートを構成することができる。このことは、特にプリント基板間のスペースが狭く、周辺にスペースの余裕がないような場合で高い冷却効率を要求されるときに、特に有用である。また、プリント基板の発熱量が変ってヒートパイプの放熱量を変える必要が生じた場合には、冷却プレートに流す流量が一定であれば、並列路のパターンによって冷却効率が決まるので、並列路のパターンを変えることによって、容易に対処することができる。さらに、ヒートパイプと冷却プレートとの接触面積で冷却効率を変えることもできる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、冷却プレートの流路を並列路としたので蛇行路とする場合に比して、小さな面積でありながら、流路抵抗を小さくすることができ、ヒートパイプの冷却効率を上げることができる。
【0023】また、冷却プレートをヒートパイプの放熱板に取り付けた冷却装置にあっては、プリント基板で発生した熱をヒートパイプを介して冷却プレートから効率よく放熱させることができるので、プリント基板を有効に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による冷却プレートの縦断面図である。
【図2】他の実施例による冷却プレートの縦断面図である。
【図3】本発明のヒートパイプ方式による冷却装置の実施例を示す正面図である。
【図4】従来の液冷方式による冷却装置の正面図である。
【符号の説明】
1 プリント基板
5 ヒートパイプ
7 放熱部
8 流路
9 冷却プレート
10 液体
11 支管
13 分配主管
15 集合主管

【特許請求の範囲】
【請求項1】プリント基板上の発熱体を冷却するために設けられるヒートパイプの放熱部に着脱自在に取り付けられ、内部に形成した流路に液体を流してヒートパイプの放熱部を冷却する冷却プレートにおいて、上記流路を、液体を流す複数の支管と、液体を上記複数の支管に分配する分配主管と、上記複数の支管から流出した液体を集める集合主管とを備えた並列路で構成したことを特徴とする冷却プレート。
【請求項2】プリント基板上の発熱体を冷却するために設けられるヒートパイプの放熱部に着脱自在に取り付けられ、内部に形成した流路に液体を流してヒートパイプの放熱部を冷却する冷却プレートにおいて、上記流路を、液体を流す複数の支管と、液体を上記複数の支管に分配する分配主管と、上記複数の支管から流出した液体を集める集合主管とを備えた並列路で構成し、さらにこの並列路を複数個直列または並列に接続したことを特徴とする冷却プレート。
【請求項3】プリント基板上の発熱体を冷却するために設けられるヒートパイプの放熱部に冷却パイプを着脱自在に取り付け、冷却パイプの内部に形成した流路に液体を流してヒートパイプの放熱部を冷却する冷却装置において、上記冷却パイプの内部に形成した流路を、液体を流す複数の支管と、液体を上記複数の支管に分配する分配主管と、上記複数の支管から流出した液体を集める集合主管とを備えた並列路で構成したことを特徴とする冷却装置。
【請求項4】上記主管の管路径Dと上記支管の管路径dとの比d/Dを0.2以下に設定したことを特徴とする請求項1、2に記載の冷却プレートまたは請求項3に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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