説明

冷却局所用貼付製剤

【課題】無臭の生理的冷却剤を含有する局所貼付剤とその使用方法の提供。
【解決手段】本局所貼付剤は支持体上に存在する粘着ゲル組成物から構成され、該粘着ゲル組成物は、無臭の生理的冷却剤、水溶性高分子ゲル、水および水分保持剤を含む。本局所貼付剤製剤を使用する際に、本局所貼付剤は主体の皮膚表面に適用され、無臭の生理的冷却剤の有効量が主体に投与されるに充分な時間適用部位に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法35USC§119(e)に基づき、本願は2005年1月4日付の米国仮特許出願(60/641482)の出願日の優先日を主張し、かつその開示が引例としてここに合体される。
本発明は、無臭の生理的冷却剤を含有する局所貼付剤およびそれの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織炎症は相互に関連する生理的事象の結果である。
皮膚の炎症は、組織障害に伴い、湿疹、乾癬、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎などの種々の皮膚傷害から生じる。炎症は、紫外線や熱によるやけど、ある微生物の攻撃、昆虫による咬合やこう刺などから生じる組織障害をまた伴う。筋肉、腱、嚢及び間接などのより深部の炎症は、組織の傷害と共に生じ、例えば捻挫、挫傷、打撲傷、過激な運動などの身体的外傷から生じうる。このような炎症は、粘液嚢炎、腱炎、筋肉潰瘍(びらん)になるかもしれない。炎症は、痛風などの代謝異常や、リウマチ性関節炎などの免疫異常や、骨関節炎などの、老齢化に伴う変化から結果として生じる組織障害をまた伴う。
【0003】
炎症の症状は、紅班、浮腫、発熱、痛み、機能消失である。組織障害の即座の効果は炎症の仲介者であるある化学物質の放出であり、即ちこれら物質は、紅班、浮腫、痛み、発熱に至る事態を引き起こし、強化する。これら化学物質としてはヒスタミン、セロトニン及びキニン類が挙げられる。
今日、種々の局所貼付剤は、肩こり、背中痛、炎症などの痛みを緩和するために使用されている。これらの局所貼付剤の一般的活性成分は、冷却作用を有する反対刺激薬(counter irritant)としてメントール、樟脳及びミント油である。しかし、これらの冷却剤の問題は、不快な強力な臭いである。
従って、上記の症状を有する主体を有効に処置できる、新たな局所冷却剤組成物の開発に絶えざる関心がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許No. 4,296,255
【特許文献2】米国特許No. 4,296,093
【特許文献3】米国特許No. 4,230,688
【特許文献4】米国特許No. 4,226,988
【特許文献5】米国特許No. 4,193,936
【特許文献6】米国特許No. 4,153,679
【特許文献7】米国特許No. 4,150,052
【特許文献8】米国特許No. 4,070,496
【特許文献9】米国特許No. 4,070,449
【特許文献10】米国特許No. 4,060,091
【特許文献11】米国特許No. 4,059,118
【特許文献12】米国特許No. 4,034,109
【特許文献13】米国特許No. 4,033,994
【特許文献14】米国特許No. 4,032,661
【特許文献15】米国特許No. 4,020,153
【特許文献16】米国特許No. 5,266,592
【特許文献17】米国特許No. 4,459,425
【特許文献18】米国特許No. 5,773,410
【特許文献19】米国特許No. 6,267,974
【特許文献20】米国特許No. 6,592,884
【特許文献21】米国特許No. 5,959,161
【特許文献22】米国特許No. 6,328,982
【特許文献23】米国特許No. 6,359,168
【特許文献24】米国特許No. 6,214,788
【特許文献25】米国特許No. 5,608,119
【特許文献26】米国特許No. 6,769,428
【特許文献27】米国特許No. 6,455,080
【特許文献28】米国特許No. 6,656,456
【特許文献29】米国特許No. 6,821,507
【特許文献30】米国特許No. 6,740,311
【特許文献31】米国特許No. 6,677,391
【特許文献32】米国特許No. 6,497,859
【特許文献33】米国特許No. 6,769,428
【特許文献34】米国特許No. 6,719,995
【特許文献35】日本特許 No. 2004059474
【特許文献36】米国特許出願 No. 20040067970
【特許文献37】WO 02/078757
【特許文献38】WO 02/078756
【特許文献39】米国特許No: 5,120,544
【特許文献40】米国特許No: 5,160,328
【特許文献41】米国特許No: 5,270,358
【特許文献42】米国特許No: 5,423,737
【特許文献43】米国特許No: 5,476,443
【特許文献44】米国特許No: 5,489,262
【特許文献45】米国特許No: 5,501,661
【特許文献46】米国特許No: 5,827,529
【特許文献47】米国特許No: 6,039,940
【特許文献48】米国特許No: 6,096,333
【特許文献49】米国特許No: 6,214,374
【特許文献50】米国特許No: 6,296,869
【特許文献51】米国特許No: 6,348,212
【特許文献52】米国特許No: 6,455,065
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の要約)
無臭の生理的冷却剤を含有する局所貼付剤およびそれの使用法が提供される。本局所貼付剤は支持体上に存在する粘着ゲル組成物から構成され、該粘着ゲル組成物は、無臭の生理的冷却剤、水溶性高分子ゲル、水および水分保持剤を含む。本局所貼付剤の使用の際に、本局所貼付剤は主体の皮膚表面に適用され、無臭の生理的冷却剤の有効量が主体に投与されるに充分な時間適用部位に維持される。本発明は種々の適用法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(詳細な説明)
無臭の生理的冷却剤を含有する局所貼付剤およびそれの使用法が提供される。本局所貼付剤は支持体上に存在する粘着ゲル組成物から構成され、該粘着ゲル組成物は、無臭の生理的冷却剤、水溶性高分子ゲル、水および水分保持剤を含む。本局所貼付剤の使用の際に、本局所貼付剤は主体の皮膚表面に適用され、無臭の生理的冷却剤の有効量が主体に投与されるに充分な時間適用部位に維持される。本発明は種々の適用法に関する。
【0007】
本発明につき更に記述する前に、本発明は記載の特定の具体例に限定されるものでなく、勿論変形を含むものと理解されるべきである。本発明の範囲は添付の請求項のみによって制限されるものであるから、ここで使用されている用語は、特定の具体例のみの記述のためであり、制限するためのものでないと、また理解されるべきである。
ある値の範囲が示されている場合、その間に存在する値のそれぞれ(その範囲の上限と下限との間において、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、下限の1/10の単位にまで)、および、その言及された範囲における任意の他の言及された値または間に存在する値は本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は独立してそれらのより小さい範囲に含まれうる。従って、そのような実施形態もまた本発明に包含される。しかし、そのような実施形態は、言及された範囲における何らかの特に含まれない限界に依存する。言及された範囲が上限、下限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる上限、下限のいずれかまたは両方を含まない範囲もまた、本範囲において含まれる。
【0008】
ここに挙げた方法は、事象の挙げた順番のみならず、論理的に可能な挙げた事象のいかなる順番で実施してもよい。
他に規定がなければ、ここで使用された全ての技術的、科学的用語は本発明が属する当業者によって共通的に理解される意味と同じ意味を有する。ここに記載した方法、材料と類似または均等なそれらは、また、本発明の実施または試験に使用されうるが、好ましい方法、材料を目下記載する。
ここで述べた全ての刊行物は引例としてここに合体され、それに関連してその刊行物が引用されている方法および/または材料を開示、記述する。
本文および請求項で使用されている如く、単数形、"a"、"an"、および"the"は、文脈が明確に他のことを指示していなければ、複数対象物を含む。請求項がいかなる任意の要素を除外するよう起案されているかもしれないことが更に注意される。従って、この記述はクレーム要素の列挙に関連して、"solely"、"only"等の排他的用語の使用、または"negative"限定の使用のための先行基礎として、使用されると意図される。
ここで議論される刊行物は本願の出願日前の単なる開示を提供するものである。ここでは、本発明が先発明の特典によりそのような刊行物に先行する権利を放棄したものであることを容認するものでない。更に、提供された刊行物の日付は現実の刊行日と異なるかもしれず、ここに確認される必要があるかもしれない。
【0009】
局所貼付剤
上に要約した通り、本発明は無臭の生理的冷却剤の局所貼付剤に関する。本発明の局所貼付剤はゲル粘着基剤に存する無臭の生理的冷却剤の有効量を有することで特徴付けられる。図1は、本発明に基づき記載される局所貼付剤の代表例を示す。図1から明らかなように、代表的局所貼付剤10は、支持体14上に存するゲル粘着基剤12を有する。これらの各構成につき以下により詳細に説明する。
保持層としての役目をするゲル粘着基剤は、例えば溶解あるいは分散状態で存する無臭の生理的冷却剤と粘着ゲル基剤から構成されている。『無臭の生理的冷却剤』とは、主体の皮膚と接触すると、メントールの冷却効果に類した態様で、主体に清涼感または清涼効果を与える剤を意味する。『無臭』とは、剤の臭がメントールの臭よりもより少ない刺激臭であることを意味する。
【0010】

WS-3:(N-エチル-p-メタン-3-カルボキサミド), Millennium Chemical提供。
WS-23:(2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド), Millennium Chemical提供。
Frescolat ML:(-)-メンチルラクテート, Haarmann & Reimer提供。
【0011】
いくつかの事例において、冷却剤は、アサイクリックアミド(acyclic amide) であり、その代表例は式

(但し、R1、R2およびR3は、それぞれC1-C5アルキル基を示し、合計の炭素数は、約5から10を含む3から10などの少なくとも3であり; R'はC1-C5アルキル基、C1-C8ヒドロキシアルキル基、または炭素数8までのアルキルカルボキシアルキル基である。)
この基において、R1の代表的事例はメチル、エチルまたは n-プロピル基であり、R2およびR3の一方あるいは両者が*印を付した炭素原子に対してαまたはβ位で分枝している。冷却剤の代表的事例は、N,2,3−トリメチル−w−イソプロピルブタナミド(WS-23; トリメチルイソプロピルブタニミド(trimethyl isopropyl butanimide), CAS#51115-67-4としても公知である。)である。
【0012】
上記化合物は、好都合なプロトコール:手順(代表的プロトコールは米国特許4296255に記載されている。)を用いて製造することができる。
対象となる他の代表的無臭の生理的冷却剤には、限定的でなく、リナロオール、ゲラニオール、ヒドロキシシトロネラール、WS-3(Millennium Chemical)、Frescolat ML(Haarmann & Reimer)、PMD38(Takasago)、Coolact P(Takasago)、Cooling Agent 10(Takasago)などが挙げられる。
【0013】
粘着性ゲル基剤に存する無臭の生理的冷却剤の量は、以下により詳細に記載されるように、主体の皮膚表面に適用されたとき、該冷却剤の有効量を主体に投与されるに充分な量である。多くの事例で、粘着性ゲル基剤に存する無臭の生理的冷却剤の量は、約0.1から15.0%(w/w)、約2.0から7.0%(w/w)を含む、約1.0から8.0%(w/w)などの、時には約0.5から10.0%(w/w)である。
上述の冷却剤を含有する粘着性ゲル基剤は水溶性高分子、水および水分保持剤から構成され、いくつかの事例では、粘着性ゲル基剤は、更に有機共溶媒などの共溶媒を含有してもよい。これらの成分の各々について、以下に別々により詳細に述べる。
本件の水溶性高分子には、限定的でなく、ゼラチン、デンプン、カンテン、マンナン、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、デキストリン、メチルセルロース、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースガム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、アカシア(acacia)、トラガカントガム、カラヤガム、デンプンアクリレートコポリマーまたは他のデンプンアクリル酸ナトリウム塩グラフトコポリマーが挙げられる。これらの物質の金属塩ならびに有機または無機架橋剤を用いて作製した架橋化物もまた対象となる。これらの水溶性高分子は粘着性ゲル組成物で使用される他の原料の性質と特徴を引き出すために使用され、そして実際には、単独あるいは2以上の併用でも使用される。
粘着性ゲル組成物に存する水溶性高分子の量は、概して約0.5から20%(w/w)、例えば、約2から20%(w/w)である。
【0014】
水成分としては適当な水を使用できるが、蒸留水、イオン交換水などが好ましい。
ゲル粘着剤中の水の量は、ゲル粘着剤に所望の物理的性質を付与し、皮膚の角質やケラチン層の膨潤を改良し、それにより活性物質の浸透性を改善するに充分量であり、そのゲル組成物の水の量は、一般的には約10から80%であり、例えば30から60%(w/w)である。
本粘着性ゲル組成物中の水分保持剤は、粘着性ゲル基剤中の水含量が、保存および製剤の使用の間、少なくとも実質的に一定に、もし一定でなければ、一様に維持されるように、粘着性ゲル基剤中の水の蒸発を少なくとも減少しうるいかなる剤でもよい。本組成物には、一種以上の水分保持剤を使用してもよく、その場合の粘着性ゲル組成物に存する水分保持剤の量は、約1から70%、例えば10から60重量%である。適切な水分保持剤の例としては、限定的でなく、一種以上のタイプの多価あるいは多水酸基の糖類またはアルコール類、例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールなどが挙げられる。
【0015】
更に、本ゲル組成物はまた、一般的に有機の補助溶媒である補助溶媒を含んでいてもよい。例えば、限定的でなく、n−メチル−2−ピロリドン、deet、エチルアルコール、メチルアルコール、ポリエチレングリコール(例、低分子量ポリエチレングリコール、例えば PEG 600あるいはそれ以下、例えば500, 400, 300, 200, 100など、およびそれらの混合物)、ミリスチン酸イソプロピルなどである。補助溶媒は単品あるいは二種以上の配合でもよい。
更に、上記の組成物に加えて、通常の局所水溶性製剤に使用されている種々の配合剤もまた、必要に応じて適切に配合される。それらには、カオリン、ベントナイト、酸化チタンなどの無機物質;パラベンなどの保存剤;アニオン性、カチオン性及びノニオン性界面活性剤; 塩化アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ジヒドロキシアルミニウムアミノ酢酸塩などの金属アルミニウム架橋剤;ジャコバ油、ヒマシ油などの油;EDTAなどのキレート剤;リンゴ酸、酒石酸、ジイソプロピルアミンなどのpH調節剤;エタノールなどのアルコール;ヒアルロン酸、アロエエキス、尿素などの保湿剤;及び他の香料、着色剤が挙げられる。
【0016】
ゲル基剤組成物のpHは、典型的には、生理的に許容される範囲のものであり、典型的には、約4.0〜6.0を含む4.0〜7.0の範囲である。
上記の通り、一種以上の活性成分を含む粘着性ゲル組成物は典型的には、支持体上に存する。その支持体は通常人体の動きに適合しうる柔軟性のある材料から作製され、例えば種々の非織布、織布、スパンデックス、フランネル、あるいはこれらの材料とポリエチレンフィルム、 ポリエチレングリコールテレフタレイトフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルムなどとの積層体(laminate)が挙げられる。
【0017】
粘着性ゲル組成物と支持体に加うるに、本局所貼付剤は、環境からゲル層を保護するために、支持体の反対側のゲル層の表面に剥離フィルム16を含んでいてもよい。該剥離フィルムはいかなる都合のよい材料でよく、代表的剥離フィルムはPETやPPなどのポリエステル類である。
多くの事例で、貼付剤は封をした容器(パッケージ)中に存する。一般的には、封をした容器は 湿気、酸素、その他の剤の進入を保護しうる材料からなる層を含む容器材料から作製される。即ち、該容器は湿気/酸素遮蔽物質の中にある。いかなる適切な遮蔽物質を用いてもよく、該遮蔽物質はアルミニウムなどの金属層が挙げられ、多くの場合、遮蔽物質はアルミニウム層である。該遮蔽層は遮蔽機能を備えるに充分な厚みを有し、その典型的厚さは約5から15、通常は約6から10μmである。多くの事例で、容器は該遮蔽層と他の一種以上の層、例えば高分子層や紙の層などとの組合せの遮蔽層の積層からなっている。本貼付剤に使用される容器を含む代表的アルミニウムは、大日本印刷株式会社(京都, 日本)から市販されている。
【0018】
本局所貼付剤は、いかなる好都合なプロトコールを用いて製造してもよい。本貼付剤の製造用の好都合な1つのプロトコールは、上記の成分を均一に混合し、ゲル粘着性ペーストを作製し、ついで支持体に該ペーストを塗布し、ついでこれを特定の大きさに切断し、所望の局所貼付剤を製造することである。
製造された局所貼付剤は、上述のように、複数のシートを用いヒートシールされ、典型的にはアルミ層を有する包装材を用いて、一個の容器当たり、封をされた局所貼付剤を得る。更に詳細な製造法は、米国特許No.5,827,529を参照のこと。この文献の開示はここに引例として合体される。
【0019】
代表的製造プロトコールにおいて、本発明に使用される基剤は、好都合なプロトコールの手段で、上記の成分をミキサーを用いて均一に混合し、ペーストとし、ついで支持体上に 拡布器(spreader)を用いて塗布する。上述の通り、支持体材料は、例えば、紙、PETまたはPP、または他のポリエステル線維でつくられた織布または非織布である。保護のため、その表面は、PETあるいはPPのようなポリエステルの剥離フィルムで被覆される。これらのステップは図2に例示される。
【0020】
代表的具体例について、以下に更に説明するように、ハイドロゲル貼付剤組成物は、自己粘着性、即ち、本来粘着性で、従って、皮膚創傷の上に固定され、即ち、その皮膚創傷又は/およびそのあたりに、更なる粘着剤や他の手段を用いることなく、剥離しうるように結合し、該貼付剤をその上の位置に保持させる。例えばハイドロゲルマトリックスはそれ自体粘着性である。
代表的事例において、そのハイドロゲル組成物は、日本工業規格(JIS) Z-0237 粘着強度測定プロトコールを用いた測定によれば、粘着性である(例えば、米国特許出願No. 60/615,320 タイトル "METHODS AND COMPOSITIONS FOR TREATING SKIN WOUNDS":出願日、2004年12月1日参照; この開示は引例としてここに合体される。)。当該ハイドロゲル組成物は、それがこのプロトコールにおいて、少なくとも約No.5サイズのボールを含め、少なくとも約No.4サイズのボールなどの、少なくとも約No.3サイズのボールを停止すれば、粘着性ありとみなされる。ある事例では、組成物が、No.6またはそれ以上のボール、例えばNo.7またはそれ以上のボール、例えばNo.8またはそれ以上のボール、例えばNo.9またはそれ以上のボールを停止するに充分粘着性である。ある具体例では、主題の組成物は、それらが 生体物よりも非生体物により大きい粘着性を示す点において、異なった粘着性を示す。
【0021】
ある他の例では、本ハイドロゲル貼付組成物は、粘着性バッキングなどの別の粘着剤を用いて、皮膚創傷あたりの固定場所に保持されてもよく、あるいは本来の粘着剤と追加の別の粘着剤の組合せを用いてもよい。
本発明の使用のために、いくつかのハイドロゲル貼付組成物を採用してもよい。本発明の使用のために採用される代表的ハイドロゲル貼付組成物は、限定的でなく、WO 02/078757、WO 02/078756 および米国特許Nos.: 5,120,544; 5,160,328; 5,270,358; 5,423,737; 5,476,443; 5,489,262; 5,501,661; 5,827,529; 6,039,940; 6,096,333; 6,214,374; 6,296,869; 6,348,212; 6,455,065に記載されている。これらの開示は引例としてここに合体される。
【0022】
この製造物は、特定の大きさに切断され、所望の局所貼付剤をえる。該貼付剤の形は種々で、代表的形は、例えば、四角、長方形、卵形、円形などである。貼付剤の大きさはまた様々で、多くの場合、約1から200cm2および約10から180cm2であり、通常は約100から150cm2、例えば、140cm2である。最終局所貼付剤の基剤の重さは約300から約1500g/m2、例えば、約600から約1200g/m2である。この水溶性局所貼付製剤は、ついでアルミ層を有する包装材を用いてヒートシールされ、箱詰めされ、最終製品を図3に示すように、得ることができる。
上記の製法プロトコールは単なる代表例に過ぎないと理解すべきである。上記のような本局所貼付剤を製造しうるいかなる好都合なプロトコールも採用されうる。
【0023】
貼付剤の使用法
主題の貼付剤は、主体、特に主体の皮膚に清涼剤を局所的に適用する用途に関する。本発明の実施には、該貼付剤はいかなる好都合な局所部位に投与されてもよい。その局所部位には制限的でなく、腕、すね、胴、頭などである。局所貼付製剤を適用し、覆われる表面部分は、投与される所望の薬剤の量を提供するに充分でなければならず、多くの場合、約1から200cm2、多くの場合10から180cm2、通常は約100から150cm2、例えば、140cm2である。
代表的事例において、所望の薬剤量を供給するに必要な期間は一般的には約48時間を超えず、通常は約24時間を超えない。しかし、製剤が適用部位に保持される期間は、多くの場合、少なくとも約30分、通常は少なくとも1時間である。
【0024】
主題の方法を実施するには、局所貼付剤が与えられた期間、例えば治療される病状の間、単回あるいは複数回適用してもよい。その場合、貼付の複数が与えられた期間投与される投薬スケジュールは、日ごと、週ごと、2週ごと、月ごとなどである。
上記の貼付剤と使用は、主体への生理的清涼剤の投与が所望されるいかなる適用にも使用される。他の適用のなかで、ここに記載されているような主題の方法に従う清涼剤の局所投与は、レビユーした病気を含め、炎症、痛みなどの処置に有効である。一般的にそのような主体は、"哺乳動物"または"哺乳類"であり、これらの用語は広義に使用され、肉食動物目(例えば、犬や猫)、けっ歯類(例えばマウス、モルモット、ラッテ)および霊長類 primates(例えばヒト、チンパンジー、サル)を含む哺乳類綱に属する有機体を表す。多くの事例の主体はヒトである。
【0025】
代表的事例において、主題の方法は病状の処置での使用に関する。処置は主体を悩ませている病状を伴う症状の少なくとも改善を意味する。その場合の改善は、例えば、処置される病状を伴う症状、それに伴う副作用などのパラメーターの大きさの少なくとも減少に関係し広義に使用される。よって、処置はまた、病状または少なくともそれに伴う症状が完全に阻止され、例えば発生の阻止、終結され、その主体が最早病状、または少なくとも病状を特徴づける症状に係っていないような状況を含む。したがって、処置は病状の治療と管理の両方を含む。
【0026】
キット
またキットも提供され、そのキットは上述の一個以上の局所貼付剤を含む。キット形態の主題の局所貼付剤は、上述の通り、パッケージの中にあってもよい。キットの形の局所貼付剤は代表的には個別のポーチまたは類似の収納袋に存し、使用まで貼付剤の組成物を保存する。主題のキットはまた一般的には貼付剤を如何に使用するかの指示書を含み、その指示書は典型的には貼付剤を適用すべき場所、投与スケジュールなどについての指示書を含む。その指示書は一般的に適切な記録媒体上に記録される。その指示書は例えば、紙あるいはプラスチックのような代替物に印刷されてよい。従って、その指示は、容器挿入物として、キットの中、キットの容器のラベルの中に、あるいはその部品の中(即ち、容器またはサブ容器と共に)などに存在してもよい。他の態様においては、指示は、CD−ROM、デスケットなどの適当なコンピュターで読み取り可能な貯蔵媒体に存する電子貯蔵データとして存在する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の具体例に従う局所貼付剤の断面図である。
【図2】本発明の具体例に従う局所貼付剤の製造工程を示す概略図である。
【図3】本発明の具体例に従う局所貼付剤の製造工程を示す概略図である。
【実施例】
【0028】
以下の実施例および比較例は例示に過ぎず、制限するものでない。
実施例および比較例は以下に示されるが、その製造方法はこれらに限定されるものでない。
I.局所貼付剤の製法
WS−23が5%と7%配合されている水溶性高分子局所貼付剤製剤
WS−23を表1に掲げた成分と均一に混合し、ペースト状にし、それをPET非織布に塗布し、1000g/m重とする。これをPPフィルムでラミネートし、10cmx14cmに裁断する。
【0029】

【0030】
II. 安定性データ
実施例01についてのWS−23含量の安定性と貼付粘着強度の安定性データ
実験は40℃および湿度75%で行なった。結果は初期の値(これを100%とし)と比較して、表2に示す。
【0031】

【0032】
III. 活性検定
実施例01のWS−23局所貼付剤を肩こり、背中の痛み、筋肉疲労痛および手根トンネル症候群(CTS)を患っているボランティアー患者に適用し、その効果を調べた。
実施例01のWS−23局所貼付剤は、12時間4人のボランティアー患者の患っている部位に適用した。
適用前と適用30分後の痛みの程度を患者毎に測定した。その結果をかき表3に示す。

【0033】
本発明は、重要な新冷却感覚の反対刺激の局所貼付組成物を提供し、その組成物が臭いがない斬新な局所製剤に関する利点を提供することは、上記の結果並びに論議から明らかである。よって、本発明は技術への貢献は大である。
本明細書で引用した全ての刊行物及び特許は、あたかも各刊行物や特許が特定的に、個別的に引用によって合体されているかのごとき、ここにおいて引例により合体される。いかなる刊行物の引用は出願日前のその開示に関し、本発明が先発明の特典によりその刊行物に先行する権利がないということを容認すると理解されるべきでない。
【0034】
上記の発明は理解の明確さのために例示や実施例をもってある程度詳細に記述しているが、ある程度の変更、修正は添付のクレームの精神及び範囲から逸脱することなくなし得ることは、本発明の教示に照らし、当業者にとって、明らかである。
【符号の説明】
【0035】
10 局所貼付剤
12 ゲル粘着基剤
14 支持体
16 剥離フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
唯一の活性成分として、疼痛緩和の有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドを含有する粘着性ゲル組成物と支持体を有する、肩こり、背中の痛み、筋肉疲労痛、または手根トンネル症候群を治療するための局所貼付剤。
【請求項2】
該N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドが0.1から15.0%(w/w)の範囲で該粘着性ゲル組成物に含まれている請求項1に記載の局所貼付剤。
【請求項3】
該粘着性ゲル組成物が水溶性高分子ゲル;水;および水分保持剤を含有する請求項1に記載の局所貼付剤。
【請求項4】
該水が10から80%(w/w)の範囲で含まれている請求項3に記載の局所貼付剤。
【請求項5】
該粘着性ゲル組成物のpHが4.0から7.0の範囲である請求項1に記載の局所貼付剤。
【請求項6】
(a)4.0から7.0の範囲のpH値を有し、そして
(i) 唯一の活性成分として、疼痛緩和の有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドを0.1から15.0%(w/w)の範囲で含有し;
(ii)水溶性高分子ゲルを含有し;
(iii)水を10から80%(w/w)の範囲で含有し; そして
(iv)水分保持剤;を含有する粘着性ゲル組成物と、
(b)支持体を有する、肩こり、背中の痛み、筋肉疲労痛、または手根トンネル症候群を治療するための局所貼付剤。
【請求項7】
該N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドが0.5から10.0%(w/w)の範囲である請求項6に記載の局所貼付剤。
【請求項8】
該水が20から70%(w/w)の範囲である請求項6に記載の局所貼付剤。
【請求項9】
該水が30から60%(w/w)の範囲である請求項8に記載の局所貼付剤。
【請求項10】
該pHが4.0から6.0の範囲である請求項6に記載の局所貼付剤。
【請求項11】
(a)4.0から6.0の範囲のpH値を有し、そして
(i) 唯一の活性成分として、疼痛緩和の有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドを0.5から10.0%(w/w)の範囲で含有し;
(ii)水溶性高分子ゲルを含有し;
(iii)水を30から60%(w/w)の範囲で含有し;そして
(iv)水分保存剤;を含有する粘着性ゲル組成物と、
(b)支持体を有する、肩こり、背中の痛み、筋肉疲労痛、または手根トンネル症候群を治療するための、局所貼付剤。
【請求項12】
肩こり、背中の痛み、筋肉疲労痛、または手根トンネル症候群を治療するための、(i) 唯一の活性成分として、疼痛緩和の有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドを含有する粘着性ゲル組成物と(ii)支持体を有する局所貼付剤であって、
主体の皮膚表面に適用し、そして
該N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドが該主体に配送されるに十分な時間、該皮膚表面に維持されることを特徴とする局所貼付剤。
【請求項13】
該N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドが該粘着性ゲル組成物中に0.1から15.0%(w/w)の範囲で含まれている請求項12に記載の局所貼付剤。
【請求項14】
(a)(i) 唯一の活性成分として、疼痛緩和の有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドを含む粘着性ゲル組成物;および
(ii)支持体;を有する、肩こり、背中の痛み、筋肉疲労痛、または手根トンネル症候群を治療するための局所貼付剤、および
(b)該製剤を使用するための指示書を有するキット。
【請求項15】
該キットが複数の局所貼付剤を有する請求項14に記載のキット。
【請求項16】
該複数の局所貼付剤が別個の収納容器に存する請求項15に記載のキット。
【請求項17】
該別個の収納容器が封をしたポーチである請求項16に記載のキット。
【請求項18】
該粘着性ゲル組成物と該支持体からなる請求項1に記載の局所貼付剤。
【請求項19】
該粘着性ゲル組成物と該支持体からなる請求項6に記載の局所貼付剤。
【請求項20】
該粘着性ゲル組成物と該支持体からなる請求項11に記載の局所貼付剤。
【請求項21】
該粘着性ゲル組成物と該支持体からなる請求項12に記載の局所貼付剤。
【請求項22】
該局所貼付剤が該粘着性ゲル組成物と該支持体からなる請求項14に記載のキット。
【請求項23】
該粘着性ゲル組成物が少なくともNo.3サイズのボールを停止するに十分の粘着性である請求項1に記載の局所貼付剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−197300(P2012−197300A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133659(P2012−133659)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2007−549451(P2007−549451)の分割
【原出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(502346286)テイコク ファーマ ユーエスエー インコーポレーテッド (26)
【Fターム(参考)】