説明

冷却式荷電粒子システム及び方法

冷却式荷電粒子源及び方法を開示する。いくつかの実施形態では、荷電粒子源を、固体窒素等の固体クライオジェンに熱結合する。熱結合は、荷電粒子源を所望の低温で維持するための良好な熱伝導率を提供するよう設計することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には冷却式荷電粒子源及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンビーム源及び電子ビーム源等の荷電粒子源を用いて、試料を調査及び/又は修正することができる。多くの場合、このような荷電粒子源を、使用中に荷電粒子源を液体窒素等のクライオジェンに熱結合することにより冷却する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、荷電粒子源を所望の低温、例えば80K以下等に冷却するシステム及び方法を提供する。本システム及び方法は、これらの低温を荷電粒子源の使用中に維持するよう実施することができる。場合によっては、荷電粒子源を冷却するシステム及び方法は、荷電粒子源の振動にほとんど又は全く一因とならない。
【0004】
場合によっては、固体窒素等の固体をクライオジェンとして用いて荷電粒子源を冷却することができる。液体クライオジェンの沸騰が荷電粒子源の振動の一因となり得る一方で、凍結窒素等の固体はこの問題を回避するので、固体クライオジェンの使用は有利であり得る。さらに、固体クライオジェンは、対応の液体クライオジェンよりも低い温度に冷却することができる。例えば、液体窒素は概して77Kの温度に達するが、固体窒素は65K以下等の実質的により低い温度で維持することができる。したがって、固体窒素を用いれば、より低い荷電粒子源温度を維持することも可能となり得る。多くのシステムでは、荷電粒子電流が概ね荷電粒子源温度の逆数に比例して増減するため、これは望ましい場合がある。
【0005】
概して、第1態様では、本開示は、荷電粒子源と、クライオジェンを収容するよう構成したデュワと、荷電粒子源及びデュワを熱接続して、荷電粒子源の使用中にクライオジェンがデュワ内にある時に荷電粒子源を80K以下の温度に維持できるようにする、熱伝導体とを含むシステムを特徴とする。
【0006】
別の態様では、本開示は、荷電粒子源と、クライオジェンを収容するよう構成したデュワと、デュワ及びデュワ内に配置したクライオジェン間の熱接触を向上させる手段と、荷電粒子源及びデュワを熱接続する熱伝導体とを含むシステムを特徴とする。
【0007】
さらに別の態様では、本開示は、荷電粒子源と、クライオジェンを収容するよう構成し、クライオジェンに接触する内方延出フィンを有する壁を含むデュワと、荷電粒子源及びデュワを熱接続する熱伝導体とを含むシステムを特徴とする。
【0008】
別の態様では、本開示は、荷電粒子源と、クライオジェンを収容するよう構成したデュワと、荷電粒子源及びデュワを熱接続して、液体状態のクライオジェンをデュワに追加してから荷電粒子源が80K以下の温度に達するまでの期間が3時間以下であるようにする熱伝導体とを含むシステムを特徴とする。
【0009】
さらに別の態様によれば、本開示は、荷電粒子源と、クライオジェンを収容するよう構成し、クライオジェンの温度を判定するよう構成したセンサを含むデュワと、荷電粒子源及びデュワを熱接続する熱伝導体とを含むシステムを特徴とする。
【0010】
別の態様によれば、本開示は、デュワの底部付近のデュワの領域の温度を測定するステップと、デュワの底部付近のデュワの領域の温度が目標温度以上であるか否かを判定するステップと、デュワの底部付近のデュワの領域の温度が目標温度以上である場合、液体クライオジェンをデュワに追加するステップとを含む方法を特徴とする。
【0011】
本システム及び方法の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。
【0012】
荷電粒子源はガス電界イオン源であり得る。荷電粒子源は電子源であり得る。本システムはガス電界イオン顕微鏡であり得る。本システムは電子顕微鏡であり得る。
【0013】
クライオジェンをデュワに収容することができる。クライオジェンは固体を含み得る。クライオジェンは固体窒素を含み得る。クライオジェンは固体ネオン又は固体アルゴンを含み得る。
【0014】
デュワは、クライオジェン及びデュワ間の熱接触を向上させる手段を含み得る。デュワは、クライオジェンに接触する内方延出フィンを有する壁を含み得る。
【0015】
熱伝導体は、荷電粒子源の傾斜を可能にするよう構成することができる。熱伝導体は、荷電粒子源をデュワから振動絶縁することができる。熱伝導体は可撓性編組を含み得る。
【0016】
デュワは、クライオジェンの状態を判定するよう構成したセンサを含み得る。デュワは、クライオジェンの温度を判定するよう構成したセンサを含み得る。デュワは、デュワ内のクライオジェンのレベルを判定するよう構成したセンサを含み得る。
【0017】
デュワは、クライオジェンパラメータを求めるよう構成したセンサを含むことができ、本システムは、求められたクライオジェンパラメータに基づきデュワ内のクライオジェンの量を調整するよう構成したフィードバックシステムを含むことができる。クライオジェンパラメータは、デュワ内のクライオジェンの状態、デュワ内のクライオジェンのレベル、デュワ内のクライオジェンの温度、及びデュワ内のクライオジェンの質量からなる群から選択されるパラメータを含み得る。
【0018】
デュワは、デュワを加熱するよう構成した少なくとも1つのヒータを含み得る。少なくとも1つのヒータは、クライオジェンを加熱するよう構成することができる。
【0019】
デュワは、クライオジェンをデュワの外部の環境から熱絶縁するよう構成した熱外被(outer thermal jacket)を含み得る。少なくとも1つのヒータは、熱外被の内部を加熱するよう構成することができる。
【0020】
本システムは、熱外被の内部からガスを排気する(pump)よう構成したポンプを含み得る。本システムは、熱外被の内部のガス圧力を感知するよう構成したセンサを含み得る。ポンプの停止後、熱外被内の圧力は、少なくとも1日は10%以上変化しない。ポンプは、荷電粒子源に隣接する容積を排気するよう構成することもできる。
【0021】
本システムは、熱外被の内部を荷電粒子源に隣接する容積から隔離するよう構成した弁を含み得る。荷電粒子源は、少なくとも1時間は80K以下の温度に維持することができる。
【0022】
センサは、デュワ内のクライオジェンのレベルを判定するよう構成することができる。代替的又は付加的に、センサは、デュワ内のクライオジェンの状態を判定するよう構成することができる。代替的又は付加的に、センサは、デュワ内のクライオジェンの温度を判定するよう構成することができる。
【0023】
本システムは、センサからの信号に基づきデュワ内のクライオジェンの量を調整することができるようセンサに結合したフィードバックシステムを含み得る。センサは、クライオジェンパラメータを求めるよう構成することができ、信号は、クライオジェンパラメータに関する情報を搬送することができる。クライオジェンパラメータは、デュワ内のクライオジェンの状態、デュワ内のクライオジェンのレベル、及びデュワ内のクライオジェンの温度からなる群から選択されるパラメータを含み得る。
【0024】
本方法は、液体クライオジェンをデュワに追加した後、デュワ内のガス圧力を低下させてクライオジェンを凝固させるステップを含み得る。本方法は、デュワの底部付近のデュワの領域の温度が目標温度未満である場合、デュワを加熱するステップを含み得る。デュワの加熱で、デュワ内の固体クライオジェンの状態を液体又はガスに変えることができる。
【0025】
本方法は、デュワの加熱後、デュワの底部付近のデュワの領域の第1温度を測定するステップを含み得る。本方法は、デュワの底部付近のデュワの領域の温度が目標温度以上であるか否かを判定するステップと、デュワの底部付近のデュワの領域の温度が目標温度以上である場合、液体クライオジェンをデュワに追加するステップとを含み得る。
【0026】
本方法は、デュワの底部付近のデュワの領域の温度が目標温度よりも高い場合、一定期間待機するステップと、この期間の待機後にデュワの底部付近のデュワの領域の第1温度を測定するステップとを含み得る。この期間は、少なくとも1分(例えば、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分、少なくとも60分、少なくとも70分、少なくとも80分、少なくとも100分、少なくとも120分)であり得る。本方法は、デュワの底部付近のデュワの領域の温度が目標温度以上であるか否かを判定するステップと、デュワの底部付近のデュワの領域の温度が目標温度以上である場合、液体クライオジェンをデュワに追加するステップとを含み得る。
【0027】
液体クライオジェンは液体窒素とすることができ、目標温度は77Kとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】クライオジェンを収容したデュワに熱結合したガス電界イオン源を含むシステムの概略図である。
【図2】クライオジェンを収容するためのデュワの概略断面図である。
【図3】デュワに液体クライオジェンを再充填する方法のフローチャートである。
【図4】デュワ及びフィードバックループの要素の概略断面図である。
【図5】内壁にフィンを有するデュワの概略断面図である。
【図6】ヒータを有するデュワの外被の概略断面図である。
【図7】デュワの外被及び内部容積を排気する単一のポンプを有するデュワの概略断面図である。
【図8】ガス電界イオン源及びデュワの外被を排気する単一のポンプを有するデュワの概略断面図である。
【図9】ガス電界イオン源及びデュワの内部容積を排気する単一のポンプを有するデュワの概略断面図である。
【図10】ガス電界イオン源、デュワの外被、及びデュワの内部容積を排気する単一のポンプを有するデュワの概略断面図である。
【図11】ガス電界イオン顕微鏡の概略図である。
【図12】可撓性接触部材でデュワに結合したガス電界イオン源の一部の概略断面図である。
【図13】熱結合機構の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、ハウジング105及びハウジング105内のガス電界イオン源(GFIS)110を含むシステム100を示す。システム100は、クライオジェンとして固体窒素を収容したデュワ120も含み、これは、熱導管130を介してガス電界イオン源110に熱結合される。この設計では、固体窒素を用いてGFIS110の比較的低い温度を維持することができ、これによりGFISが発生するイオン電流を増加させることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、GFIS110の動作中、その温度は、比較的長期間(例えば、少なくとも1時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、少なくとも25時間、少なくとも30時間)80K以下(例えば、75K以下、70K以下、65K以下、60K以下)であり得る。
【0031】
図2は、固体窒素を収容するための内部容積122に通じるオリフィス121を有するデュワ120の断面図である。デュワ120は、壁123及び125により画定される外被124を含む。熱導管130の一部が壁125を貫通し、壁123に熱結合される。いくつかの実施形態では、熱導管130を、壁123への熱結合の代わりに又はそれに加えて、外被124の底部等のデュワ120の他の部分に熱結合することができる。
【0032】
ポンプ126を、内部容積122と壁125の外部の領域との間の望ましくない熱結合を減らすために外被124内で真空を形成するよう構成する。いくつかの実施形態では、ポンプ126は、外被124内で1×10−4Torr以下(例えば、1×10−5Torr以下、1×10−6Torr以下、1×10−7Torr以下、1×10−8Torr以下、1×10−9Torr以下)の圧力を得ることが可能であり得る。特定の実施形態では、ポンプ126は、外被124内の圧力をほとんど又は全く変えずに(例えば、10%未満しか変えずに、5%未満しか変えずに、1%未満しか変えずに)、長期間(例えば、少なくとも1日、少なくとも3日、少なくとも5日)停止させることができる。
【0033】
ポンプ127及び液体窒素源129を、オリフィス121を介して内部容積122に接続する。ポンプ127及び液体窒素源129は、弁119で互いから隔離することができる。例えば、弁119は、液体窒素源129が液体窒素を内部容積122に供給している間はポンプ127を内部容積122から隔離するよう構成することができる。別の例として、弁119は、ポンプ127を用いて内部容積122の圧力を低下させている間は液体窒素源129を内部容積122から隔離するよう構成することができる。場合によっては、弁119は、容積122をポンプ127及び液体窒素源129の両方から隔離するよう構成する。
【0034】
特定の実施形態では、1つの弁119ではなく複数の弁を用いることができる。例えば、第1弁を用いて、ポンプ127を内部容積122に対して隔離又は接続することができ、第2弁を用いて、液体窒素源129を内部容積に対して隔離又は接続することができる。2つの弁は独立して動作させることができる。さらに、いくつかの実施形態では、2つ以上の弁を用いて、ポンプ127及び液体窒素源129の一方又は両方を内部容積122に対して隔離又は接続することができる。例えば、2つの弁を液体窒素源129と内部容積122との間に介在させることができる。2つの弁を用いて液体窒素源129(又はポンプ127)を内部容積122に対して接続又は隔離することで、弁の故障又は偶発的な開放の場合の安全機構を提供する。
【0035】
通常、固体窒素をデュワ120に供給することは、弁119がポンプ127を内部容積122から隔離している間に液体窒素源129を介して液体窒素を内部領域122に最初に供給することを含む。適当な量の液体窒素を内部容積122に供給した後、弁119は液体窒素源129を内部容積122から隔離し、弁119は、ポンプ127が内部容積122の圧力を低下させることにより、液体窒素を固体窒素に変態させることができるよう構成する。
【0036】
本発明者らの発見では、場合によっては、デュワの底部付近の窒素が昇華しても、固体窒素が(例えば、内部容積121の横方向部分にわたって少なくとも部分的に延びるシートの形態で)デュワ120内に存在してデュワ120の再充填を妨害し得るため、デュワ120への液体窒素の再充填は複雑であり得る。これが起こると、デュワ120の内部容積122に注ぎ込まれた液体窒素が内部容積122の底部に達することができない場合があり(例えば、固体窒素のシートによる閉塞に起因して)、その後の液体から固体への変態により荷電粒子源110を望ましい形で効果的に冷却できなくなる。上述のように、いくつかの実施形態では、熱導管130を外被124の底部に結合する。導入した液体窒素が内部容積122の底部に達して凝固することができない場合、熱導管130は、荷電粒子源からの過剰な熱のための効率的な冷却路を提供する。したがって、例えば、場合によっては、固体窒素の量を(例えば、固体窒素の重量を感知することにより)単に測定するだけでは不十分であり得る。その理由は、固体窒素の量が、デュワ120の内部容積122に液体窒素を再充填することが妥当であることを示すレベルにあったとしても、上記閉塞問題が生じている場合があり、内部容積122に再充填を試みても実際に内部容積122に再充填が行われない場合があるからである。
【0037】
したがって、いくつかの実施形態では、デュワ120の内部容積122の再充填は以下のように行われる。図3は、デュワ120の充填手順の実施に用いることができる一連のステップを含むフローチャート200を示す。図4は、すでに上述し同一の参照符号を有する種々のコンポーネントに加えて、重量センサ252、温度センサ254、充填センサ256、及びヒータ258を含む、デュワ120の概略図を示す。センサ252、252、254、及びヒータ258を、それぞれ通信線252a、254a、256a、及び258aを介してコントローラ250に電気的に接続する。弁119は、通信線119aを介してコントローラ250に電気的に接続し、液体窒素源129は、通信線129aを介してコントローラ250に電気的に接続する。図3を参照すると、ステップ202において、デュワ120内にある固体窒素の量を(例えば、重量センサ252を用いて、充填センサ256を用いて、又はデュワ120に窒素を最後に充填してからの時間間隔の測定により)測定し、測定の結果を電子プロセッサ(例えば、コントローラ250)に伝送する。ステップ204において、電子プロセッサは、デュワ120内の窒素の量(例えば、デュワ120内の窒素の測定重量、デュワ120内の液体窒素の測定高さ、又はデュワ120の最後の充填からの経過時間)を所定の量(例えば、閾値)と比較する。デュワ120内の窒素の量が所定の閾値量よりも多い場合(例えば、測定重量が重量閾値よりも大きい場合及び/又は液体窒素の測定高さが高さ閾値よりも大きい場合及び/又はデュワ120の最後の充填からの経過時間が閾値時間よりも短い場合)、ステップ206において、再充填手順を終了する。
【0038】
代替的に、デュワ120内の窒素の量が所定の閾値量よりも少ない場合、手順のステップ208において、コントローラ250は、デュワ120の領域122と液体窒素源129との間の弁119を開いて限定量の液体窒素をデュワ120に導入する。デュワ120の温度が77Kよりも大幅に高い場合(例えば、デュワ120が概ね室温である場合、又はデュワ120が77Kよりも数度高い温度に加温された場合)、少量の液体窒素を数分間の期間にわたって間隔を置いてデュワ120に導入することができる。液体窒素をこのように導入することにより、デュワ120内の液体窒素の激しい沸騰を低減及び/又は回避することができる。デュワ120の温度が、液体窒素の激しい沸騰を低減又は排除するのに十分なほど低くなると、弁119をコントローラ250により開いて、デュワ120への液体窒素の追加を完了することができる。
【0039】
次に、ステップ210において、デュワ120の底部付近の領域の温度をセンサ(例えば、1つ又は複数のクライオダイオード(cryodiodes)を含み得るセンサ254)で測定し、温度測定値をコントローラ250に通信する。センサ254がコントローラ250に送った信号に基づき、コントローラ250は、液体窒素を液体窒素源129からデュワ120にさらに追加するために弁119を開いてもよく、又は液体窒素を供給しないように弁119を閉じてもよい。ステップ212において、デュワ120の底部付近の温度が約77K以上(液体窒素の溶融温度)であることをセンサ254からの信号が示す場合、ステップ214において、コントローラ250は、液体窒素源129からの液体窒素をデュワ120に導入するように弁119を開放位置に維持することにより液体窒素充填プロセスを完了する。充填プロセスは、充填センサ256を介して監視され、充填センサ256は、デュワ120内の窒素レベルを示す信号をコントローラ250に伝送する。液体窒素がデュワ120内で一定にレベルに達したことをセンサ256が検出すると、コントローラ250は弁119を閉じ、ステップ206において充填プロセスが終了する。
【0040】
しかしながら、デュワ120の底部付近の温度が約77K未満であることをセンサ254からの信号が示す場合(また、いくつかの実施形態では、デュワ120に液体窒素を最後に充填してから所定の期間(例えば、12時間)未満であった場合)、コントローラ250は、液体窒素充填プロセスを完了しない。その代わりに、ステップ216において、コントローラ250は、弁119を閉じて液体窒素源129からデュワ120への液体窒素の再充填を中止する。任意に、ステップ218において、コントローラ250は、ヒータ(例えば、ヒータ258)を作動させることができ、ヒータは、壁123を加熱して、液体窒素がデュワ120の底部に達するのを妨げている可能性のある固体窒素を溶融させることができる。ヒータ258を適当な期間(例えば、1分以上、2分以上、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、30分以上、40分以上、60分以上)にわたり機能させて、デュワ120内の固体窒素の一部又は全部が溶融するようにすることができる。デュワ120の加熱期間中、ヒータ258は、1ワット以上の電力(例えば、2ワット以上、5ワット以上、10ワット以上、15ワット以上、20ワット以上、30ワット以上、40ワット以上、60ワット以上、80ワット以上、100ワット以上)を供給してデュワ120を加熱することができる。
【0041】
任意に、ステップ220において、コントローラ250は、ステップ208において導入した液体窒素がデュワ120内の固体窒素の一部又は全部を溶融させるのを待機することができる。ステップ220におけるさらに別の選択肢として、コントローラ250は、弁119を開いてさらなる所定量の液体窒素をデュワ120に導入して固体窒素を溶融させることができる。コントローラ250は、通常はステップ220において、液体窒素がデュワ120内の固体窒素を溶融させるのを1分以上(例えば、2分以上、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、30分以上、40分以上、50分以上、60分以上、90分以上、120分以上)の期間にわたり待機することができる。
【0042】
ステップ218及び220のいずれかを任意に行うことができ、いくつかの実施形態では、両方のステップを行うことができる。特定の実施形態では、いずれのステップも行わない。ステップ218及び220の一方又は両方を行うことにより、デュワ120内の固体窒素を溶融させて液体窒素を形成する。固体窒素が溶融すると、デュワ120の温度が上昇し、この上昇が温度センサ254を介してコントローラ250により監視される。デュワ120が加温されてデュワ120内の固体窒素が溶融するようになると、充填センサ256がデュワ120内の液体窒素レベルを測定する。デュワ120が満杯でない場合、コントローラ250は、続いて窒素充填プロセスのステップ208に戻ることができ、ここで弁119を開いて限定量の液体窒素をデュワ120に導入する。ステップ210及び212を続いて繰り返し、センサ254を用いてデュワ120の底部付近の温度を測定し、温度測定値に基づきデュワ120の充填を続行するか中止するかを決定する。最後に、図3に示す充填プロセスをステップ206で完了した後、コントローラ250は、ポンプ127をデュワ120の内部容積122と連通させるよう弁119を調整することができる(又は、2つの弁を用いる場合、コントローラ250は、液体窒素源129と内部容積122との間の弁を閉じ、ポンプ127と内部容積122との間の弁を開くことができる)。コントローラ250は、続いてポンプ127を起動してデュワ120内の液体窒素を固体窒素に変換させることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、重量センサ252を充填センサ256の代わりに又は充填センサ256と組み合わせて用いて、デュワ120内のクライオジェンの量と、付加的な液体窒素の追加を停止する時とを判定することができる。例えば、デュワ120内の液体クライオジェン及び/又は固体クライオジェンの量は、センサ252による質量測定から直接判定することができる。さらに、デュワ120の充填時にデュワに加えた液体クライオジェンの量をセンサ252により判定することができ、センサ252は、液体クライオジェンの追加中にデュワ内のクライオジェンの総質量を監視する。したがって、デュワ120内のクライオジェンの質量の測定を、図3に示すステップの任意の1つ又は複数における充填レベル測定と共に、又はその代わりに用いることができる。
【0044】
特定の実施形態では、液体窒素をデュワ120に追加してから荷電粒子源110が80K以下(例えば、75K以下、70K以下、65K以下)の温度に達するまでが比較的短期間であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、この期間は3時間未満(例えば、2時間未満、90分未満、1時間未満、30分未満、15分未満、10分未満)である。
【0045】
概して、固体窒素と壁123との間の良好な熱接触を維持して、固体窒素と熱導管130との間に良好な熱結合があるようにすることが望ましい。本出願人らの認識では、場合によっては、固体窒素が昇華するにつれて固体窒素と壁123との間に隙間が発生し得る。したがって、特定の実施形態では、デュワ120は、壁123への固体窒素の付着を高めるための1つ又は複数の機構を含み得る。一例として、図5は、壁123が内方延出フィン522を有するデュワ520を示す。フィン522は、内部容積122内の固体窒素と壁123との間の隙間の形成を防止するのに役立つ。
【0046】
通常、外被124内の水の凝縮を最小化するよう試みることが望ましく、その理由は、このような凝縮水が内部容積122内の固体窒素と壁125の外部の領域との間の熱的短絡をもたらし得るからである。したがって、図6を参照すると、1つ又は複数のヒータ610を壁125と熱接触させて外被124内の凝縮水を加熱させることで、凝縮水がガスに変わって外被124から送り出されるようにすることができる。1つ又は複数のヒータ610は、例えば通信線610aを介してコントローラ250に電気的に接続することができる。付加的又は代替的に、凝縮水の問題に対処するために1つ又は複数のヒータが壁123上にあってもよい。
【0047】
場合によっては、複数の目的で排気するために同じポンプを用いることが望ましい場合がある。図7は、ポンプ700を(例えば、図4に示すような)別個のポンプ126及び127の代わりに用いるシステムを示す。弁710を、システムのコンポーネントの所望の隔離に用いることができる。例えば、弁710は、ポンプ700に外被124の圧力を低下させる間ポンプ700を内部容積122から隔離するよう構成することができる。別の例として、弁710は、ポンプ700を外被124から隔離する間ポンプ700に内部容積122の圧力を低下させるよう構成することができる。さらに別の例として、弁710は、ポンプ700に外被124及び内部容積122の両方を同時に排気させるよう構成することができる。付加的な例として、弁710は、ポンプ700を外被124及び内部容積122の両方から隔離するよう構成することができる。
【0048】
共通のポンプを用いて、システムの異なる部分を排気することができる。例えば、図8は、ガス電界イオン顕微鏡107(例えば、ガス電界イオン源を含み、いくつかの実施形態ではイオンコラム及び粒子チャンバ等の他のコンポーネントを含む)及び外被124に減圧環境を作ることができるポンプ800を含むシステムの実施形態を示す。弁810は、ポンプ800にガス電界イオン顕微鏡107の圧力を低下させる間ポンプ800を外被124から隔離するよう構成することができる。代替的に、弁810は、ポンプ800に外被124内の圧力を低下させる間ポンプ800をガス電界イオン顕微鏡107から隔離するよう構成することができる。いくつかの実施形態では、弁810は、ポンプ800にガス電界イオン顕微鏡107及び外被124の両方の圧力を低下させるよう構成することができる。特定の実施形態では、弁810は、ポンプ800をガス電界イオン顕微鏡107及び外被124の両方から完全に隔離するよう構成することができる。
【0049】
特定の実施形態では、単一のポンプを用いてデュワ120の一領域(例えば、内部容積122及び/又は外被124)及びガス電界イオン顕微鏡107の両方の圧力を低下させる場合、ポンプをガス電界イオン顕微鏡の特定のコンポーネントに接続することが有利であり得る。例えば、ガス電界イオン源の汚染を回避するために、ポンプをイオンコラム等のガス電界イオン顕微鏡107の異なるコンポーネントに接続することが、特定の実施形態では有利であり得る。ポンプをイオンコラムに接続することにより、ガス電界イオン源の先端の耐用寿命を、ガス電界イオン源をポンプに接続する場合の寿命と比べて確実に延ばすことが可能であり得る。しかしながら、より一般的には、ポンプを所望に応じて、ガス電界イオン顕微鏡107の種々のコンポーネントの任意の1つ又は複数、例えば顕微鏡のガス電界イオン源、イオンコラム、及び粒子チャンバの任意の1つ又は複数に接続することができる。
【0050】
図9は、ガス電界イオン顕微鏡107(例えば、ガス電界イオン源を含み、いくつかの実施形態ではイオンコラム及び粒子チャンバ等の他のコンポーネントを含む)及び内部容積122に減圧環境を作ることができるポンプ850を含むシステムの実施形態を示す。弁860は、ポンプ850にガス電界イオン顕微鏡107の圧力を低下させる間ポンプ850を内部容積122から隔離するよう構成することができる。代替的に、弁860は、ポンプ850に内部容積122の圧力を低下させる間ポンプ850をガス電界イオン顕微鏡107から隔離するよう構成することができる。いくつかの実施形態では、弁860は、ポンプ850にガス電界イオン顕微鏡107及び内部容積122の両方の圧力を低下させるよう構成することができる。特定の実施形態では、弁860は、ポンプ850をガス電界イオン顕微鏡107及び内部容積122の両方から完全に隔離するよう構成することができる。
【0051】
図10は、ガス電界イオン顕微鏡107(例えば、ガス電界イオン源を含み、いくつかの実施形態ではイオンコラム及び粒子チャンバ等の他のコンポーネントを含む)、内部容積122、及び外被124に減圧環境を作ることができるポンプ900を含むシステムの実施形態を示す。弁910は、ポンプ900をガス電界イオン顕微鏡107、内部容積122、及び外被124のいずれか2つから隔離させる間ポンプ900にシステムの他の1つの圧力を低下させるよう構成することができる。代替的に、弁910は、ポンプ900をガス電界イオン顕微鏡107、内部容積122、及び外被124のいずれか1つから隔離しながらポンプ900にシステムの他の2つの圧力を低下させるよう構成することができる。いくつかの実施形態では、弁910は、ポンプ900にガス電界イオン顕微鏡107、内部容積122、及び外被124のそれぞれの圧力を低下させるよう構成することができる。特定の実施形態では、弁910は、ポンプ900をガス電界イオン顕微鏡107、内部容積122、及び外被124から完全に隔離するよう構成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、単一のポンプを用いてデュワ120の1つ又は複数のコンポーネントの圧力を低下させることができ、1つ又は複数の付加的なポンプを用いてデュワ120の他のコンポーネントの圧力を低下させることができる。例えば、特定の実施形態では、単一のポンプを用いて、外被124及び内部容積122の両方の、又は例えばガス電界イオン顕微鏡107のイオンコラムの圧力を低下させることができる。第2ポンプを用いて、液体窒素を内部容積122に圧送することができる。
【0053】
通常、ガスイオンビームを、ガス電界イオン源等の多目的顕微鏡システムで生成する。ガス電界イオン源は、先端(通常は10以下の原子を有する頂部を有する)を含む装置であり、これを用いて、導電性の先端の頂部に高い正電位(例えば、抽出器(下記参照)に対して1kV以上)を印加する間、中性ガス種を先端に接近させる(例えば、約4オングストローム〜5オングストロームの距離内にする)ことにより、中性ガス種をイオン化してイオンを(例えば、イオンビームの形態で)発生させることができる。
【0054】
図11は、ガス源1110、ガス電界イオン源1120、イオン光学系1130、試料マニピュレータ1140、前側検出器1150、後側検出器1160、及び通信線1172a〜1172fを介してシステム1100の種々のコンポーネントに電気的に接続した電子制御システム1170(例えば、コンピュータ等の電子プロセッサ)を含む、ガス電界イオン顕微鏡システム1100の概略図を示す。試料1180を、イオン光学系1130と検出器1150、1160との間の試料マニピュレータ1140内/上に位置決めする。使用中、イオンビーム1192をイオン光学系1130を通して試料1180の表面1181に指向させ、イオンビーム1192と試料1180との相互作用から生じる粒子1194を検出器1150及び/又は1160により測定する。
【0055】
概して、システム1100を排気することにより、システム内の特定の望ましくない化学種の存在を減らすことが望ましい。通常、システム1100のコンポーネントをそれぞれ異なるバックグラウンド圧力で維持する。ガス源1110を、1つ又は複数のガスをガス電界イオン源1120に供給するよう構成する。ガスは、様々な純度、流量、圧力、及び温度で供給することができる。概して、ガス源1110により供給されるガスの少なくとも1つは、希ガス(ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe))であり、希ガスのイオンは、イオンビーム1192の主成分であることが望ましい。
【0056】
ガス電界イオン源1120を、ガス源1110からガスを受け取って先端付近でガスからガスイオンを生成するよう構成する。先端は、種々の材料、例えば1つ又は複数の金属(例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、レニウム(Rh)、ニオブ(Nb)、白金(Pt)、モリブデン(Mo))及び/又は合金及び/又は炭素等の異なる材料から形成することができる。
【0057】
使用中、先端を正にバイアスして、先端の頂部における電場が先端頂部の表面から外方に向くようにする。先端の形状により、電場は先端頂部付近で最強である。ガス源1110が供給した非イオン化ガス原子がイオン化され、先端頂部付近で正に帯電したイオンとなる。このイオンは、先端からイオン光学系1130へイオンビーム1192として指向される。イオン光学系1130は、イオンビーム1192を試料1180の表面1181に指向させるよう構成する。イオン光学系1130は、例えば、ビーム1192のイオンを集束、コリメート、偏向、加速、及び/又は減速させることができる。概して、イオン光学系1130は、所望に応じて構成される様々な静電及び他のイオン光学素子を含む。イオン光学系1130における1つ又は複数のコンポーネント(例えば、静電ディフレクタ)の電場強度を操作することにより、Heイオンビーム1192を試料1180の表面1181にわたって走査することができる。例えば、イオン光学系1130は、イオンビーム1192を2つの直交方向に偏向させる2つのディフレクタを含み得る。ディフレクタは、イオンビーム1192を表面1181の一領域にわたってラスタ走査させるように変動する電場強度を有し得る。イオンビームシステムの他の特徴は、例えば、全内容を参照により本明細書に援用する米国特許第7,504,639号に開示されている。
【0058】
デュワ120は、様々な異なる方法でガス電界イオン源110に結合することができる。図12は、デュワ120を熱導管130及び中間支持体976を介してガス電界イオン源に結合することができるシステム990の実施形態を示す。システム990は、支持部材982及び984を囲むハウジング980を含む。先端978を支持部材984上に位置決めし、中間支持体976を介してデュワ120と熱接触させる。複数の第1可撓性接触部材972が、中間支持体976を中央部材970に接続する。複数の第2可撓性接触部材974が、中央部材970を熱導管130に接続する。図12に示す中央支持体970は1つであるが、概して、任意の数(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、又はさらに多く)の中央支持体970を用いることができる。
【0059】
接触部材972及び974と中央部材970とは、熱導管130と中間支持体976との間の熱伝達経路を提供する。可撓性接触部材972及び974と中央部材970とを、通常は銅等の比較的高い熱伝導率を有する1つ又は複数の材料から形成する。接触部材972及び974と中央部材970とを形成することができる他の材料として、炭素質ピッチ、銀、及び/又は金等の炭素系材料を含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、可撓性接触部材972及び/又は974を、銅等の1つ又は複数の熱伝導性材料の多数の小径可撓性ストランドから形成することができ、これらを互いに織り合わせ且つ/又は巻き付けて接触部材972及び/又は974に対応するロープ状編組を形成する。
【0060】
可撓性接触部材972及び974と中央部材970との組み合わせは、振動ダンパとして機能し、先端978に伝わる振動の振幅を低減する。接触部材972及び974を可撓性材料から形成することにより、これらの材料における振動伝達が、より高い剛性の材料を通る振動伝達よりも少なくなる。さらに、中央部材970は、可撓性接触部材につながる振動を相殺する一種の振り子として働く。いくつかの実施形態では、接触部材972及び974の一方又は両方は、U字形屈曲及び/又は軸方向回転(例えば、固有ねじれ力)等の他の特徴を含むことで、接触部材に機械的につながる振動の作用を低減及び/又は相殺することができる。
【0061】
図13は、接触部材972を中間構造976に沿って離間させてより均一な熱プロファイルを先端978の周りで得るようにした実施形態を示す。接触部材972は、図12の中央部材970と同様に有効に機能するリング部材882にも接合する。リング部材992を、接触部材974を介して熱導管130に接続する。接触部材972を中間構造976に沿って離間させることにより、中間構造976に形成される温度勾配の大きさを低減することができる。
【0062】
デュワ120をガス電界イオン顕微鏡システム1100に結合する方法及びシステムは、例えば、全内容を参照により本明細書に援用する以下のPCT出願にさらに開示されている:出願番号PCT/US2008/067718及び出願番号PCT/US2008/066933。
【0063】
特定の実施形態を説明したが、他の実施形態も可能である。
【0064】
一例として、ガス電界イオン源を説明したが、他の荷電粒子源を用いてもよい。例えば、液体金属イオン源又は電子源(例えば、走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡)を用いることができる。
【0065】
別の例として、固体窒素を説明したが、他の固体クライオジェンを用いてもよい。例として、固体ネオン及び固体アルゴンが挙げられる。いくつかの実施形態では、固体クライオジェンの組み合わせを用いることができる。
【0066】
さらに別の例として、固体クライオジェンを説明したが、特定の実施形態では、クライオジェンは固体ではない。例えば、いくつかの実施形態では、クライオジェンはスラリー(例えば、固体クライオジェンの固体片を含有する液体クライオジェン)の形態であってもよい。スラリーが吸収する熱エネルギーの大半は、クライオジェンの液体部分を沸騰させるのとは対照的に、クライオジェンの固体部分の溶融に用いられるため、スラリーは比較的弱く沸騰し得る。
【0067】
付加的な例として、ヒータを用いて、液体窒素がデュワの底部に到達するのを妨げる望ましくない固体クライオジェンを溶融させる実施形態を説明したが、他の実施形態でもあり得る。例えば、固体クライオジェンの除去にヒータを用いるのではなく、システムは、液体窒素がデュワの底部に到達できないことが示された場合、充填を一定期間(例えば、5分以上、10分以上、15分以上、20分以上、30分以上、40分以上、60分以上、80分以上、100分以上、120分以上)停止させるタイマを含むことができる。充填の停止中に、デュワ120内の液体窒素は、デュワ120内の固体窒素の一部又は全部を溶融させることができる。固体窒素が溶融すると、液体窒素はデュワの底部に到達することができ、センサ254が測定する温度がゆっくりと上昇する。測定温度が約77K(例えば、液体窒素の溶融温度)に達すると、特定の実施形態では、デュワ120内の固体窒素が全部溶融したと考えられる。一定期間後及び/又は全部の固体窒素が溶融した後、液体窒素をデュワに追加するようさらに試みることができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のヒータ及び1つ又は複数のタイマの組み合わせを用いることができる。
【0068】
他の実施形態は特許請求の範囲に記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源と、
デュワと、
該デュワに収容される、固体を含むクライオジェンと、
前記荷電粒子源及び前記デュワを熱接続して、前記荷電粒子源の使用中に前記クライオジェンが前記デュワ内にある時に前記荷電粒子源を80K以下の温度に維持できるようにする、熱伝導体とを備える
システム。
【請求項2】
荷電粒子源と、
クライオジェンを収容するよう構成したデュワと、
該デュワ及び該デュワ内に配置したクライオジェン間の熱接触を向上させる手段と、
前記荷電粒子源及び前記デュワを熱接続して、前記荷電粒子源の使用中に前記クライオジェンが前記デュワ内にある時に前記荷電粒子源を80K以下の温度に維持できるようにする、熱伝導体とを備える
システム。
【請求項3】
荷電粒子源と、
クライオジェンを収容するよう構成し、該クライオジェンに接触する内方延出フィンを有する壁を備えるデュワと、
前記荷電粒子源及び前記デュワを熱接続して、前記荷電粒子源の使用中に前記クライオジェンが前記デュワ内にある時に前記荷電粒子源を80K以下の温度に維持できるようにする、熱伝導体とを備える
システム。
【請求項4】
荷電粒子源と、
クライオジェンを収容するよう構成したデュワと、
前記荷電粒子源及び前記デュワを熱接続して、前記荷電粒子源の使用中に前記クライオジェンが前記デュワ内にある時に前記荷電粒子源を80K以下の温度に維持できるようにする、熱伝導体とを備え、
前記熱伝導体は、前記荷電粒子源の傾斜を可能にするよう構成した
システム。
【請求項5】
荷電粒子源と、
クライオジェンを収容するよう構成したデュワと、
前記荷電粒子源及び前記デュワを熱接続して、前記荷電粒子源の使用中に前記クライオジェンが前記デュワ内にある時に前記荷電粒子源を80K以下の温度に維持できるようにする、熱伝導体とを備え、
前記デュワは、該デュワを加熱するよう構成した少なくとも1つのヒータを備える
システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記熱伝導体は、前記荷電粒子源及び前記デュワを熱接続して、液体状態の前記クライオジェンを前記デュワに追加してから前記荷電粒子源が80K以下の温度に達するまでの期間が3時間以下であるようにするシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記デュワは、前記クライオジェンの温度を判定するよう構成したセンサを備えるシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記荷電粒子源はガス電界イオン源であるシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、該システムはガス電界イオン顕微鏡であるシステム。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記デュワに収容した前記クライオジェンをさらに備えるシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記クライオジェンは固体を含むシステム。
【請求項12】
請求項1、4〜7のいずれか1項、又は請求項1、4〜7のいずれか1項に従属する限りにおける請求項8〜11のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記クライオジェン及び前記デュワ間の熱接触を向上させる手段をさらに備えるシステム。
【請求項13】
請求項1、4〜7のいずれか1項、又は請求項1、4〜7のいずれか1項に従属する限りにおける請求項8〜11のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記デュワは、前記クライオジェンに接触する内方延出フィンを有する壁を備えるシステム。
【請求項14】
請求項1〜3および5のいずれか1項、又は請求項1〜3のいずれか1項に従属する限りにおける6〜13のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記熱伝導体を、前記荷電粒子源の傾斜を可能にするよう構成したシステム。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項、又は請求項1〜3および5のいずれか1項に従属する限りにおける請求項14に記載のシステムにおいて、前記熱伝導体は、前記荷電粒子源を前記デュワから振動絶縁するシステム。
【請求項16】
請求項1〜13および15のいずれか1項、又は請求項1〜3および5のいずれか1項に従属する限りにおける請求項14に記載のシステムにおいて、前記デュワは、クライオジェンパラメータを求めるよう構成したセンサを備え、該システムは、前記求めたクライオジェンパラメータに基づき前記デュワ内のクライオジェンの量を調整するよう構成したフィードバックシステムをさらに備えるシステム。
【請求項17】
請求項1〜4、15、および16のいずれか1項、又は請求項1〜3のいずれか1項に従属する限りにおける請求項14に記載のシステムにおいて、前記デュワは、該デュワを加熱するよう構成した少なくとも1つのヒータを備えるシステム。
【請求項18】
請求項5又は17に記載のシステムにおいて、前記デュワは、前記クライオジェンを前記デュワの外部の環境から熱絶縁するよう構成した熱外被を備え、前記少なくとも1つのヒータを、前記熱外被の内部を加熱するよう構成したシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、ガスを前記熱外被の内部から排気するよう構成したポンプをさらに備えるシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムにおいて、前記ポンプの停止後、前記熱外被内の圧力が少なくとも1日は10%を越えて変化しない、システム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、前記ポンプを、前記荷電粒子源に隣接する容積を排気するようにも構成したシステム。
【請求項22】
デュワの底部付近の前記デュワの領域の温度を測定するステップと、
前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が目標温度以上であるか否かを判定するステップと、
前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が前記目標温度以上である場合、液体クライオジェンを前記デュワに追加するステップと、
前記液体クライオジェンを前記デュワに追加した後、前記デュワ内のガス圧力を低下させて前記クライオジェンを凝固させるステップとを含む
方法。
【請求項23】
デュワの底部付近の前記デュワの領域の温度を測定するステップと、
前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が目標温度以上であるか否かを判定するステップと、
前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が前記目標温度以上である場合、液体クライオジェンを前記デュワに追加するステップと、
前記デュワの前記底部付近の前記領域の前記温度が前記目標温度未満である場合、前記デュワを加熱するステップと、
を含む、方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が前記目標温度未満である場合、前記デュワを加熱するステップをさらに含む方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法において、前記デュワを加熱するステップは、該デュワ内の固体クライオジェンの状態を液体又はガスに変える方法。
【請求項26】
請求項4、22、24、および25のいずれか1項に記載の方法において、前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が前記目標温度以上であるか否かを判定するステップと、前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が前記目標温度以上である場合、液体クライオジェンを前記デュワに追加するステップとをさらに含む方法。
【請求項27】
請求項4、22、および24〜26のいずれか1項に記載の方法において、前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が前記目標温度よりも高い場合、一定期間待機するステップと、該一定期間の待機後、前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の第1温度を測定するステップとをさらに含む方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が目標温度以上であるか否かを判定するステップと、前記デュワの前記底部付近の前記デュワの前記領域の前記温度が前記目標温度以上である場合、液体クライオジェンを前記デュワに追加するステップとをさらに含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−531013(P2012−531013A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516149(P2012−516149)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/038459
【国際公開番号】WO2010/147872
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(510237435)カール ツァイス エヌティーエス エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】