冷却装置
【課題】塵や埃が混入するおそれがなく、筐体内に収納される半導体素子や電子機器等の発熱部品を効果的に冷却することができる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置Aは、筐体6内に収納される発熱部品5と熱的に接続されるヒートパイプ4と、筐体6に設置されるファン3と、そのファン3を囲む伝熱ダクト2とを有し、ヒートパイプ4の放熱側は、伝熱ダクト2に熱的に接続される。また、発熱部品5と熱的に接続される放熱板1が、伝熱ダクト2に熱的に接続される。
【解決手段】冷却装置Aは、筐体6内に収納される発熱部品5と熱的に接続されるヒートパイプ4と、筐体6に設置されるファン3と、そのファン3を囲む伝熱ダクト2とを有し、ヒートパイプ4の放熱側は、伝熱ダクト2に熱的に接続される。また、発熱部品5と熱的に接続される放熱板1が、伝熱ダクト2に熱的に接続される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷却装置に関し、特に、ノートブック型パーソナルコンピュータ等の筐体内に収納される半導体素子や電子機器等の発熱部品を冷却するための冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】筐体内に収納される半導体素子や電子機器等の発熱部品を冷却するため、種々の冷却装置が開発されている。
【0003】図8〜図10は、従来の冷却装置を示す斜視図である。図8に示す冷却装置Fは、ヒートシンクフィン10aを備えた小型ファン10からなり、その小型ファン10のヒートシンクフィン10aの底部に発熱部品11を接続して、筐体12内に設置される。
【0004】図9に示す冷却装置Gは、それ自体ヒートシンク効果を有する金属製小型ファン13からなり、その金属製小型ファン13のケーシング13aの底部に発熱部品11を直接接続して、筐体14内に設置される。
【0005】図10に示す冷却装置Hは、発熱部品11に接続される電気シールド板16と、その電気シールド板16に取り付けられるヒートパイプ17とからなり、筐体18内に設置される。この冷却装置Hは、電気シールド板16に発熱部品11の熱を受熱させ、その熱を外部に放熱させるものであり、電気シールド板16を放熱板として機能させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の冷却装置F,Gでは、特に、内部スペースの限られたノートブック型パーソナルコンピュータにおいては、コンピュータ内の空気の対流が起こりにくく、また、コンピュータ内の空気温度が上昇すると、ファンを回しても熱風を吹き付けるのに等しい状態となるので、冷却効果はそれほど期待できない。さらに、温度の低い空気を取り入れて冷却を行う場合には、空気の取り入れに付随して塵、埃がコンピュータ本体内に混入され、回路基板上に堆積し、電気ショートを引き起こすおそれがある。
【0007】従来の冷却装置Hでは、近年の発熱部品の発熱量の増加によってコンピュータ内の空気温度の上昇が著しく、十分な放熱効果が得られなくなってきている。
【0008】本発明者は、筐体としてノートブック型パーソナルコンピュータと同じ大きさのJIS規格A4サイズのプラスチック製ケースを用い、発熱部品の替わりに30mm×30mmの大きさのラバーヒータを用い、そのラバーヒータに10Wの一定電力を入力し、従来の冷却装置F,G,Hを作動させた場合におけるヒータの温度を測定する実験を行った。図11は、その実験結果を示すグラフである。
【0009】図11に示すように、いずれの冷却装置F,G,Hにおいても、ヒータの温度は87℃〜95℃まで上昇してしまい、冷却効果の少ないことがわかる。
【0010】本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、塵や埃が混入するおそれがなく、筐体内に収納される半導体素子や電子機器等の発熱部品を効果的に冷却することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の冷却装置は、筐体内に収納される発熱部品と熱的に接続されるヒートパイプと、筐体に設置されるファンと、そのファンを囲むダクトとを有し、ヒートパイプの放熱側は、ダクトに熱的に接続されることを特徴とするものである。
【0012】本発明によれば、発熱部品から発生した熱は、ヒートパイプを介して、ダクトに伝導され、ファンの回転によってダクトに吸入された温度の低い空気とともに、外部に排出される。
【0013】発熱部品と熱的に接続される放熱板が、ダクトに熱的に接続されてもよく、その放熱板は、電気シールド板でもよい。
【0014】また、ダクト内の放熱面積を増大させるために、ダクトの内面にフィンが設けられていてもよい。ファンにより吸入された空気を外部に排出しやすくするために、ダクトの排出口が、外部に向かって広がって形成されていてもよい。ダクトへの熱伝導及びダクトの均熱化を向上させるために、ダクトの外面の少なくとも一部に熱伝導性カーボングラファイトシートが覆われていてもよい。
【0015】また、設置スペースを小さくするために、ファンの一部がダクトと一体に設けられていてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る第1の形態の冷却装置の構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す冷却装置を筐体内に設置した状態を示す斜視図である。
【0017】図1及び図2に示すように、本発明の第1の形態の冷却装置Aは、略L字状に形成された放熱板1と、放熱板1に設けられた伝熱ダクト2と、その伝熱ダクト2内に設置されるファン3と、放熱板1に連結されるヒートパイプ4と、を有する。
【0018】放熱板1は、銅、アルミニウムのような熱伝導性の艮好な金属板で作られるのが好ましい。また、放熱板1を電気シールド板として機能させてもよく、この場合には、電気シールド板を別途設ける必要がなく、設置スペースを小さくできるので、装置の小型化を図ることができる。図2に示すように、ノートブック型パーソナルコンピュータ等の筐体6内に収納される半導体素子や電子機器等の発熱部品5は、放熱板1と接触して熱的に接続されており、発熱部品5から発生する熱は、放熱板1に受熱される。
【0019】伝熱ダクト2は、熱伝導性の優れた金属板で作られており、ファン3によって伝熱ダクト2内に空気を吸入するための吸入口2aと、その吸入した空気を外部に排出するための排出口2bとを備えている。伝熱ダクト2は、放熱板1の他方側の面に締結具2cを介して連結されている。
【0020】ファン3は、伝熱ダクト2の吸入口2a近傍に設置され、放熱板1、ヒートパイプ4及び伝熱ダクト2を介して伝導された熱を、吸入された温度の低い空気とともに外部に排出する。
【0021】ヒートパイプ4は、両端部が密閉された金属管内に作動液を減圧して封入したものであり、発熱部品5側から伝熱ダクト2側に略L字状に延びて形成され、支持具4aによって放熱板1に連結されている。
【0022】本発明の冷却装置Aによれば、発熱部品5から発生した熱は、放熱板1及びヒートパイプ4を介して、伝熱ダクト2に伝導され、ファン3の回転によって伝熱ダクト2の吸入口2aに吸入された温度の低い空気とともに、排出口2bから外部に排出される。
【0023】従って、従来のように発熱部品5を温度の高い空気により直接的に冷却するのではなく、発熱部品5から間隔を隔てた伝熱ダクト2内で、温度の低い空気により冷却するので、冷却効果が高い。
【0024】本発明者は、筐体としてノートブック型パーソナルコンピュータと同じ大きさのJIS規格A4サイズのプラスチック製ケースを用い、発熱部品の替わりに30mm×30mmの大きさのラバーヒータを用い、そのラバーヒータに10Wの一定電力を入力し、冷却装置Aを作動させた場合におけるヒータの温度を測定する実験を行った。図6は、その実験結果を示すグラフである。
【0025】図6の実線で示すように、本発明の冷却装置Aでは、ヒータの温度は63℃程度までしか上昇せず、従来に比べ冷却効果が高いことがわかる。
【0026】本発明は又、発熱部品5側にはファン3による空気の強制循環を行わないので、塵、埃が回路基板や電子素子等に堆積して電気ショートを引き起こすことを防止でき、安全性が向上する。
【0027】さらに、空気循環路となる伝熱ダクト2の設置スペースを小さくできるので、設計自由度が増大するとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0028】図3は、本発明に係る第2の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。図3に示すように、この冷却装置Bは、伝熱ダクト2の内面の排出口2b側に複数のフィン7が垂直方向に並んで設けられているので、伝熱ダクト2内の放熱面積を増大させることができ、より高い冷却効果を得ることができる。冷却装置Bを用いて上記と同様の実験を行った結果、図6の点線で示すように、ヒータの温度は53℃程度までしか上昇せず、冷却効果が高いことがわかる。
【0029】図4は、本発明に係る第3の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。図4に示すように、この冷却装置Cでは、伝熱ダクト2の排出口2bが外部に向かって矢印方向に広がって形成されているので、吸入された空気を外部に排出しやすくなり、より高い冷却効果を得ることができる。この冷却装置Cを用いて上記と同様の実験を行った結果、図6の一点鎖線で示すように、ヒータの温度は57℃程度までしか上昇せず、冷却効果が高いことがわかる。
【0030】図5は、本発明に係る第4の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。図5に示すように、この冷却装置Dでは、伝熱ダクト2の外面に純アルミニウムの2倍以上の熱伝導性を有する熱伝導性カーボングラファイトシート8が貼り付けられているので、伝熱ダクト2への熱伝導及び伝熱ダクト2の均熱化を向上させることができる。この冷却装置Dを用いて上記と同様の実験を行った結果、図6の2点鎖線で示すように、ヒータの温度は55℃程度までしか上昇せず、冷却効果が高いことがわかる。
【0031】本発明は、上記の実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0032】例えば、図7に示す冷却装置Eのように、ファン3の頂面若しくは底面を伝熱ダクト2に埋め込んで一体に設ければ、伝熱ダクト2の厚みが薄くなり設置スペースを小さくできるので、スペースの限られたノートブック型パーソナルコンピュータ内部で使用する場合には、特に有効である。
【0033】
【発明の効果】本発明の冷却装置によれば、次のような優れた効果を奏する。
(1)従来のように発熱部品を温度の高い空気により直接的に冷却するのではなく、発熱部品から間隔を隔てたダクト内で、温度の低い空気により冷却するので、冷却効果が高い。
(2)発熱部品側ではファンによる空気の強制循環を行わないので、塵、埃が回路基板や電子素子等に堆積して電気ショートを引き起こすことを防止でき、安全性が向上する。
(3)空気循環路となるダクトの設置スペースを小さくできるので、設計自由度が増大するとともに、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す冷却装置を筐体内に設置した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る第2の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る第3の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る第4の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る第1乃至第4の形態の冷却装置を用いて、ヒータの温度上昇を測定する実験の結果を示すグラフである。
【図7】本発明の冷却装置の変形例を示す斜視図である。
【図8】従来の冷却装置を示す斜視図である
【図9】従来の冷却装置を示す斜視図である。
【図10】従来の冷却装置を示す斜視図である。
【図11】従来の冷却装置を用いて、ヒータの温度上昇を測定する実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
A:本発明の第1の形態の冷却装置
B:本発明の第2の形態の冷却装置
C:本発明の第3の形態の冷却装置
D:本発明の第4の形態の冷却装置
1:放熱板
2:伝熱ダクト(ダクト)
2a:吸入口
2b:排出口
3:ファン
4:ヒートパイプ
5:発熱部品
6:筐体
7:フィン
8:熱伝導性カーボングラファイトシート
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷却装置に関し、特に、ノートブック型パーソナルコンピュータ等の筐体内に収納される半導体素子や電子機器等の発熱部品を冷却するための冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】筐体内に収納される半導体素子や電子機器等の発熱部品を冷却するため、種々の冷却装置が開発されている。
【0003】図8〜図10は、従来の冷却装置を示す斜視図である。図8に示す冷却装置Fは、ヒートシンクフィン10aを備えた小型ファン10からなり、その小型ファン10のヒートシンクフィン10aの底部に発熱部品11を接続して、筐体12内に設置される。
【0004】図9に示す冷却装置Gは、それ自体ヒートシンク効果を有する金属製小型ファン13からなり、その金属製小型ファン13のケーシング13aの底部に発熱部品11を直接接続して、筐体14内に設置される。
【0005】図10に示す冷却装置Hは、発熱部品11に接続される電気シールド板16と、その電気シールド板16に取り付けられるヒートパイプ17とからなり、筐体18内に設置される。この冷却装置Hは、電気シールド板16に発熱部品11の熱を受熱させ、その熱を外部に放熱させるものであり、電気シールド板16を放熱板として機能させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の冷却装置F,Gでは、特に、内部スペースの限られたノートブック型パーソナルコンピュータにおいては、コンピュータ内の空気の対流が起こりにくく、また、コンピュータ内の空気温度が上昇すると、ファンを回しても熱風を吹き付けるのに等しい状態となるので、冷却効果はそれほど期待できない。さらに、温度の低い空気を取り入れて冷却を行う場合には、空気の取り入れに付随して塵、埃がコンピュータ本体内に混入され、回路基板上に堆積し、電気ショートを引き起こすおそれがある。
【0007】従来の冷却装置Hでは、近年の発熱部品の発熱量の増加によってコンピュータ内の空気温度の上昇が著しく、十分な放熱効果が得られなくなってきている。
【0008】本発明者は、筐体としてノートブック型パーソナルコンピュータと同じ大きさのJIS規格A4サイズのプラスチック製ケースを用い、発熱部品の替わりに30mm×30mmの大きさのラバーヒータを用い、そのラバーヒータに10Wの一定電力を入力し、従来の冷却装置F,G,Hを作動させた場合におけるヒータの温度を測定する実験を行った。図11は、その実験結果を示すグラフである。
【0009】図11に示すように、いずれの冷却装置F,G,Hにおいても、ヒータの温度は87℃〜95℃まで上昇してしまい、冷却効果の少ないことがわかる。
【0010】本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、塵や埃が混入するおそれがなく、筐体内に収納される半導体素子や電子機器等の発熱部品を効果的に冷却することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の冷却装置は、筐体内に収納される発熱部品と熱的に接続されるヒートパイプと、筐体に設置されるファンと、そのファンを囲むダクトとを有し、ヒートパイプの放熱側は、ダクトに熱的に接続されることを特徴とするものである。
【0012】本発明によれば、発熱部品から発生した熱は、ヒートパイプを介して、ダクトに伝導され、ファンの回転によってダクトに吸入された温度の低い空気とともに、外部に排出される。
【0013】発熱部品と熱的に接続される放熱板が、ダクトに熱的に接続されてもよく、その放熱板は、電気シールド板でもよい。
【0014】また、ダクト内の放熱面積を増大させるために、ダクトの内面にフィンが設けられていてもよい。ファンにより吸入された空気を外部に排出しやすくするために、ダクトの排出口が、外部に向かって広がって形成されていてもよい。ダクトへの熱伝導及びダクトの均熱化を向上させるために、ダクトの外面の少なくとも一部に熱伝導性カーボングラファイトシートが覆われていてもよい。
【0015】また、設置スペースを小さくするために、ファンの一部がダクトと一体に設けられていてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る第1の形態の冷却装置の構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す冷却装置を筐体内に設置した状態を示す斜視図である。
【0017】図1及び図2に示すように、本発明の第1の形態の冷却装置Aは、略L字状に形成された放熱板1と、放熱板1に設けられた伝熱ダクト2と、その伝熱ダクト2内に設置されるファン3と、放熱板1に連結されるヒートパイプ4と、を有する。
【0018】放熱板1は、銅、アルミニウムのような熱伝導性の艮好な金属板で作られるのが好ましい。また、放熱板1を電気シールド板として機能させてもよく、この場合には、電気シールド板を別途設ける必要がなく、設置スペースを小さくできるので、装置の小型化を図ることができる。図2に示すように、ノートブック型パーソナルコンピュータ等の筐体6内に収納される半導体素子や電子機器等の発熱部品5は、放熱板1と接触して熱的に接続されており、発熱部品5から発生する熱は、放熱板1に受熱される。
【0019】伝熱ダクト2は、熱伝導性の優れた金属板で作られており、ファン3によって伝熱ダクト2内に空気を吸入するための吸入口2aと、その吸入した空気を外部に排出するための排出口2bとを備えている。伝熱ダクト2は、放熱板1の他方側の面に締結具2cを介して連結されている。
【0020】ファン3は、伝熱ダクト2の吸入口2a近傍に設置され、放熱板1、ヒートパイプ4及び伝熱ダクト2を介して伝導された熱を、吸入された温度の低い空気とともに外部に排出する。
【0021】ヒートパイプ4は、両端部が密閉された金属管内に作動液を減圧して封入したものであり、発熱部品5側から伝熱ダクト2側に略L字状に延びて形成され、支持具4aによって放熱板1に連結されている。
【0022】本発明の冷却装置Aによれば、発熱部品5から発生した熱は、放熱板1及びヒートパイプ4を介して、伝熱ダクト2に伝導され、ファン3の回転によって伝熱ダクト2の吸入口2aに吸入された温度の低い空気とともに、排出口2bから外部に排出される。
【0023】従って、従来のように発熱部品5を温度の高い空気により直接的に冷却するのではなく、発熱部品5から間隔を隔てた伝熱ダクト2内で、温度の低い空気により冷却するので、冷却効果が高い。
【0024】本発明者は、筐体としてノートブック型パーソナルコンピュータと同じ大きさのJIS規格A4サイズのプラスチック製ケースを用い、発熱部品の替わりに30mm×30mmの大きさのラバーヒータを用い、そのラバーヒータに10Wの一定電力を入力し、冷却装置Aを作動させた場合におけるヒータの温度を測定する実験を行った。図6は、その実験結果を示すグラフである。
【0025】図6の実線で示すように、本発明の冷却装置Aでは、ヒータの温度は63℃程度までしか上昇せず、従来に比べ冷却効果が高いことがわかる。
【0026】本発明は又、発熱部品5側にはファン3による空気の強制循環を行わないので、塵、埃が回路基板や電子素子等に堆積して電気ショートを引き起こすことを防止でき、安全性が向上する。
【0027】さらに、空気循環路となる伝熱ダクト2の設置スペースを小さくできるので、設計自由度が増大するとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0028】図3は、本発明に係る第2の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。図3に示すように、この冷却装置Bは、伝熱ダクト2の内面の排出口2b側に複数のフィン7が垂直方向に並んで設けられているので、伝熱ダクト2内の放熱面積を増大させることができ、より高い冷却効果を得ることができる。冷却装置Bを用いて上記と同様の実験を行った結果、図6の点線で示すように、ヒータの温度は53℃程度までしか上昇せず、冷却効果が高いことがわかる。
【0029】図4は、本発明に係る第3の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。図4に示すように、この冷却装置Cでは、伝熱ダクト2の排出口2bが外部に向かって矢印方向に広がって形成されているので、吸入された空気を外部に排出しやすくなり、より高い冷却効果を得ることができる。この冷却装置Cを用いて上記と同様の実験を行った結果、図6の一点鎖線で示すように、ヒータの温度は57℃程度までしか上昇せず、冷却効果が高いことがわかる。
【0030】図5は、本発明に係る第4の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。図5に示すように、この冷却装置Dでは、伝熱ダクト2の外面に純アルミニウムの2倍以上の熱伝導性を有する熱伝導性カーボングラファイトシート8が貼り付けられているので、伝熱ダクト2への熱伝導及び伝熱ダクト2の均熱化を向上させることができる。この冷却装置Dを用いて上記と同様の実験を行った結果、図6の2点鎖線で示すように、ヒータの温度は55℃程度までしか上昇せず、冷却効果が高いことがわかる。
【0031】本発明は、上記の実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0032】例えば、図7に示す冷却装置Eのように、ファン3の頂面若しくは底面を伝熱ダクト2に埋め込んで一体に設ければ、伝熱ダクト2の厚みが薄くなり設置スペースを小さくできるので、スペースの限られたノートブック型パーソナルコンピュータ内部で使用する場合には、特に有効である。
【0033】
【発明の効果】本発明の冷却装置によれば、次のような優れた効果を奏する。
(1)従来のように発熱部品を温度の高い空気により直接的に冷却するのではなく、発熱部品から間隔を隔てたダクト内で、温度の低い空気により冷却するので、冷却効果が高い。
(2)発熱部品側ではファンによる空気の強制循環を行わないので、塵、埃が回路基板や電子素子等に堆積して電気ショートを引き起こすことを防止でき、安全性が向上する。
(3)空気循環路となるダクトの設置スペースを小さくできるので、設計自由度が増大するとともに、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す冷却装置を筐体内に設置した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る第2の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る第3の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る第4の形態の冷却装置の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る第1乃至第4の形態の冷却装置を用いて、ヒータの温度上昇を測定する実験の結果を示すグラフである。
【図7】本発明の冷却装置の変形例を示す斜視図である。
【図8】従来の冷却装置を示す斜視図である
【図9】従来の冷却装置を示す斜視図である。
【図10】従来の冷却装置を示す斜視図である。
【図11】従来の冷却装置を用いて、ヒータの温度上昇を測定する実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
A:本発明の第1の形態の冷却装置
B:本発明の第2の形態の冷却装置
C:本発明の第3の形態の冷却装置
D:本発明の第4の形態の冷却装置
1:放熱板
2:伝熱ダクト(ダクト)
2a:吸入口
2b:排出口
3:ファン
4:ヒートパイプ
5:発熱部品
6:筐体
7:フィン
8:熱伝導性カーボングラファイトシート
【特許請求の範囲】
【請求項1】筐体内に収納される発熱部品と熱的に接続されるヒートパイプと、前記筐体に設置されるファンと、そのファンを囲むダクトとを有し、前記ヒートパイプの放熱側は、前記ダクトに熱的に接続されることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】前記発熱部品と熱的に接続される放熱板が、前記ダクトに熱的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】前記放熱板は、電気シールド板であることを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】前記ダクトの内面にフィンが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載の冷却装置。
【請求項5】前記ダクトの排出口は、外部に向かって広がって形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの項に記載の冷却装置。
【請求項6】前記ダクトの外面の少なくとも一部に熱伝導性カーボングラファイトシートが覆われていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つの項に記載の冷却装置。
【請求項7】前記ファンの一部が前記ダクトと一体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載の冷却装置。
【請求項1】筐体内に収納される発熱部品と熱的に接続されるヒートパイプと、前記筐体に設置されるファンと、そのファンを囲むダクトとを有し、前記ヒートパイプの放熱側は、前記ダクトに熱的に接続されることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】前記発熱部品と熱的に接続される放熱板が、前記ダクトに熱的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】前記放熱板は、電気シールド板であることを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】前記ダクトの内面にフィンが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載の冷却装置。
【請求項5】前記ダクトの排出口は、外部に向かって広がって形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの項に記載の冷却装置。
【請求項6】前記ダクトの外面の少なくとも一部に熱伝導性カーボングラファイトシートが覆われていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つの項に記載の冷却装置。
【請求項7】前記ファンの一部が前記ダクトと一体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載の冷却装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開平10−51170
【公開日】平成10年(1998)2月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−199472
【出願日】平成8年(1996)7月30日
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【公開日】平成10年(1998)2月20日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)7月30日
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
[ Back to top ]