説明

冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物およびその使用

【課題】冷感効果に優れ、且つこの冷感効果が長時間持続的に発現する冷感剤組成物を提供する。
【解決手段】冷感剤組成物は、一般式(1)(AはCH2またはCH=CHを表し、nはAがCH2の場合、0〜4の整数を、AがCH=CHの場合1を表し、Bは置換基を有してもよい、パラメンタン骨格を含有する炭素数10〜18のアルコール残基であり、Cは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアルコール残基であり、BおよびCが共にメントールのアルコール残基でない基を表す。)で表されるジカルボン酸ジエステル化合物の少なくとも1種以上を含有する。この冷感剤組成物からなる感覚刺激剤組成物は、繊維製品または衣類などへ噴霧する、あるいは洗剤などに含有させ洗濯、乾燥を行うことにより、優れた冷感効果が長時間持続する繊維製品、衣類が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ジカルボン酸エステル類、およびこれを含有する冷感剤組成物、この冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物、これら冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品、その製造方法、並びに前記冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を用いた持続性冷感付与方法あるいは冷涼処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚や口腔、鼻、喉に対して爽やかな感覚(清涼感)や冷たい感覚(冷涼感)、即ち冷感効果を与える冷感剤は、従来から、歯磨剤、菓子(例えば、チューインガム、キャンディー等)、たばこ、ハップ剤、浴用剤、化粧料などに使用されている。その代表的な物質であるメントールは冷感効果に優れているが揮発性が高く、冷感効果が発現するのは短時間であるため、冷感効果を長時間持続させる研究が行われてきた。長時間冷感効果を持続できる化合物として開発されたものとして、たとえばメントールのグリセリンエーテルであるメントキシプロパンジオールやメントールの乳酸エステル、あるいはメントールのエチレングリコールエーテルなどが挙げられる。
【0003】
しかし近年に見られる地球温暖化の影響もあり、暑い夏において少しでも快適に過ごせるよう、衣服などの衣類に対しても冷感処理加工が求められるようになっている。冷感剤はメントールを含め揮発性が高いものが多く、また水溶性の高いものが多いことから、衣類などに冷感処理加工を行ってもすぐにその効果が失われてしまう結果となっていた。例えば洗剤や柔軟材等に冷感剤を配合しても、水溶性の性質のため、洗濯後にこれらの冷感剤が衣類の繊維上に残留することは非常に難しく、さらに乾燥後は高い揮発性のため、これら冷感剤の残留は皆無となる。
【0004】
このような問題を解決するため、これまで化学変化を利用した、徐放性冷感剤等が開発されてきた。たとえば、冷感剤のクロロ炭酸エステルおよび炭酸エステルをタバコに含ませることにより、タバコの燃焼に伴う熱分解でメントールを放出させ、タバコ吸気に清涼感を与えるもの(特許文献1参照)、炭酸エステル類が皮膚上で分解し、香料成分を放出し、香料の拡散効果を延長するもの(特許文献2参照)、オルトエステルが皮膚上の汗を感知して分解し、香料を放出するもの(特許文献3参照)などが挙げられる。これらの他にも、化学変化や酵素反応で分解して香料前駆体等が香料分子を放出することを利用した特許が数多く知られている(例えば、特許文献4〜9、非特許文献1等参照)。例えば、特許文献4には、ジカルボン酸モノメンチルエステルあるいはジカルボン酸ジメンチルエステルを化粧料に含有させ、皮膚内のエステル分解酵素あるいは予め皮膚に塗布されたアルカリ性化粧料中のアルカリによりエステルを分解し、メントールを放出する化粧料が開示されている。しかし前記するジカルボン酸ジメンチルエステル化合物はいずれもそれ自身では優れた冷感効果を有することは知られていない。また香料前駆体を用いる場合、繊維や皮膚に付着した後、分解反応を起こして香料化合物を放出するまでにかなりの時間を要したり、その強度が著しく弱いなどの問題が依然として残っており、根本的な解決には至っていない。
【0005】
衣類などにより冷感を感じさせる研究は、この他にもマイクロカプセル等を用いたものについてなされ、特許出願されている。たとえば、ハッカ油およびl−メントールを用いたマイクロカプセルを用いた繊維の加工方法(特許文献10参照)や、体温以下で溶融するような物質をマイクロカプセル化し、皮膚と接触したときに潜熱により、可逆的に冷感を感じさせる繊維の加工法(特許文献11参照)などが挙げられる。但し、前者はマイクロカプセルが破壊されて冷感剤がなくなると、当然その効果はなくなり、その後の家庭での再加工は難しいという問題がある。また、化学反応と同様、このマイクロカプセルを破壊して中の冷感剤を放出させる段階が律速となるため、着衣後の瞬間から冷感を感じさせる技術レベルには達していないのが現状である。更に、後者は、固体と液体という物理変化に伴うものであるが、マイクロカプセル中の物質が一旦溶けた後固体に戻らないような常に暑いところでの冷感は感じることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3312226号公報
【特許文献2】特開平10−95752号公報
【特許文献3】国際特許公開94/06441号公報
【特許文献4】特公昭45−26872号公報
【特許文献5】欧州特許公開1077251号公報
【特許文献6】国際特許公開95/04809号公報
【特許文献7】国際特許公開97/16523号公報
【特許文献8】特開平8−225564号公報
【特許文献9】特表2009−520701号公報
【特許文献10】特開2000−96443号公報
【特許文献11】特開2006−161226号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Angew.Chem.int,Ed,2007,46,5836−5863
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題の解決された冷感剤組成物を提供すること、すなわち冷感効果に優れ、且つこの冷感効果が長時間持続的に発現する冷感剤組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、上記冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を含有する、香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、医薬品およびこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、上記冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を含む前記製品を用い、これを直接皮膚・頭皮に塗布する、口腔に投与する、あるいは繊維(衣料品)に適用することにより持続性冷感効果を付与する方法、または冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を配合するあるいは冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を用いて繊維および衣料被服材を加工、処理する、繊維、繊維製品および衣料、被服材の冷涼処理方法を提供することである。
【0012】
また、本発明は、新規なジカルボン酸ジエステル類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ジエステルのアルコール酸基の少なくとも何れか一方が、置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含有するアルコール残基を有するジカルボン酸ジエステル化合物であって、アルコール残基が共にメントール残基でない場合、冷感効果に優れると共に持続的な冷感効果を有し、洗剤や柔軟仕上げ剤等に配合したときに衣類等に残りやすく、これらを使用して洗濯した衣類は着衣時または着衣後も継続して穏やかな冷感効果を示すこと、また飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、タバコ、医薬品などに使用した際にも持続的な冷感効果を示すことを見出し、本願発明に至った。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[16]の冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物、これら組成物を含む香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品およびその製造方法、持続性冷感効果を付与する方法、繊維、繊維製品および衣料、被服材の冷涼処理方法に関する。また、本発明は、以下の[17]〜[20]の新規なジカルボン酸ジエステル化合物にも関する。
【0015】
[1]下記一般式(1)で表されるジカルボン酸エステル化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする冷感剤組成物。
【化1】

【0016】
(式中、AはCH2またはCH=CHを表し、nはAがCH2の場合、0〜4の整数を、AがCH=CHの場合1を表し、Bは置換基を有してもよい、パラメンタン骨格を含有する炭素数10〜18のアルコール残基であり、Cは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアルコール残基を表す。)
【0017】
[2]前記一般式(1)のCが、置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含有するアルコール残基であることを特徴とする上記[1]に記載の冷感剤組成物。
【0018】
[3]前記一般式(1)のBおよびCが同一の残基でないことを特徴とする上記[2]記載の冷感剤組成物。
【0019】
[4]前記一般式(1)のBまたはBおよびCの、置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含有するアルコール残基が、l−メントール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールおよびパラ−メンタン−3,8−ジオールのアルコール残基から選ばれることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の冷感剤組成物。
【0020】
[5]前記一般式(1)で表されるジカルボン酸エステル化合物が、ClogPが3.0以上で、分子量が250以上600以下であることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の冷感剤組成物。
【0021】
[6]一般式(1)に該当しない冷感物質の少なくとも1種が併用されてなることを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の冷感剤組成物。
【0022】
[7]前記一般式(1)の化合物に該当しない冷感物質が、メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、N−アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、4−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、またはグリオキシル酸メンチルであることを特徴とする上記[6]記載の冷感剤組成物。
【0023】
[8]上記[1]乃至[7]のいずれかに記載の冷感剤組成物を含有することを特徴とする感覚刺激剤組成物。
【0024】
[9]少なくとも1種の温感物質が併用されてなることを特徴とする上記[8]に記載の感覚刺激剤組成物。
【0025】
[10]前記温感物質が、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン、ギンゲロール、バニリルブチルエーテル、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド、ジャンブーオレオレジン、サンショウエキス、サンショール−I、サンショール−II、サンショウアミド、黒胡椒エキス、カビシン、ピペリンまたはスピラントールであることを特徴とする上記[9]に記載の感覚刺激剤組成物。
【0026】
[11]上記[1]乃至[10]のいずれかに記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物を含有することを特徴とする香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品。
【0027】
[12]上記[11]に記載の製品群を直接皮膚・頭皮に塗布、口腔に投与、あるいは繊維、繊維製品または衣料品に適用することを特徴とする持続性冷感効果を付与する方法。
【0028】
[13]上記[1]乃至[10]のいずれかに記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物が、0.0001〜90質量%配合されてなることを特徴とする香料組成物。
【0029】
[14]上記[1]乃至[10]のいずれかに記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物が、1×10-7〜20質量%配合されてなることを特徴とする、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品。
【0030】
[15]上記[1]乃至[10]のいずれかに記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物を配合、またはこれらを用いて加工することを特徴とする繊維および衣料被服材の冷涼処理方法。
【0031】
[16]上記[1]乃至[10]のいずれかに記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物を配合することを特徴とする、香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品の製造方法。
【0032】
[17]
下記一般式(1)で表されるジカルボン酸ジエステル化合物。
【化2】

【0033】
(式中、AはCH2を表し、nは0〜4の整数を表し、Bは置換基を有してもよい、パラメンタン骨格を含有する炭素数10〜18のアルコール残基であり、Cは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアルコール残基であり、BおよびCが共にメントールのアルコール残基でない基を表す。)
【0034】
[18]前記一般式(1)のCが置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含有するアルコール残基であることを特徴とする上記[17]に記載のジカルボン酸ジエステル化合物。
【0035】
[19]前記一般式(1)のBおよびCが同一でないことを特徴とする上記[18]に記載のジエステル化合物。
【0036】
[20]前記一般式(1)のBまたはBおよびCの置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含有するアルコール残基が、l−メントール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールおよびパラ−メンタン−3,8−ジオールのアルコール残基から選ばれることを特徴とする上記[17]乃至[19]のいずれかに記載のジカルボン酸ジエステル化合物。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、冷感効果が長時間持続的に発現する冷感剤組成物を得ることができる。また、この冷感効果が長時間持続的に発現する冷感剤組成物を用いて得られた感覚刺激剤組成物は、感覚刺激効果が長時間発現する。さらに、これら冷感剤組成物や感覚刺激剤組成物を香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品などに配合することにより、冷感効果、感覚刺激効果が長時間持続的に発現する香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品などが得られる。これら製品群を直接皮膚・頭皮に塗布する、あるいは口腔に投与することにより、皮膚・頭皮、口腔などに持続性冷感効果あるいは感覚刺激効果を付与することができるし、繊維、繊維製品、衣料品などに適用した際には、着衣したときに穏やかな清涼感が得られ、着衣後にも持続的に穏やかな冷感効果が得られる。また、洗剤や柔軟仕上げ剤等に配合・処理した場合、洗濯後の衣類を着衣した時および/または着衣した後において持続的に穏やかな冷感効果を発現することのできる冷感剤組成物が提供される。さらに、本発明により、新規化合物も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。本発明は、前記のとおり、冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物、これら組成物を含む香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品およびその製造方法、持続性冷感効果を付与する方法、繊維および衣料、被服材の冷涼処理方法、さらに新規化合物に関するものであるが、まず、本発明の冷感剤組成物から詳細に説明する。
【0039】
本発明の冷感剤組成物には、下記一般式(1)で表されるジカルボン酸ジエステル化合物の少なくとも1種が含有される。
【化3】

【0040】
上記式において、AはCH2またはCH=CHを表し、nはAがCH2の場合、0〜4の整数を、AがCH=CHの場合1を表し、Bは置換基を有してもよい、パラメンタン骨格を含有する炭素数10〜18のアルコール残基であり、Cは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアルコール残基であり、BおよびCが共にメントールのアルコール残基でない基を表す。
【0041】
一方、従来技術において記載したように、上記一般式(1)の化合物に近似する化合物である、フタル酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸などのジカルボン酸のジメンチルエステルを含有する化粧料、およびこの化粧料により化粧後清涼感が付与されることは既に知られている(特許文献4)。しかし、これらジカルボン酸ジメンチルエステルはアルカリや皮膚中の酵素による分解反応をもってメントールを放出させて冷感を感じさせるもので、いわば冷感付与物質前駆体としての化合物であり、これら自身が優れた冷感効果を有することは知られておらず、また、他の冷感剤や温感剤などの感覚刺激成分と併用することにより優れた冷感持続効果が発現されることは全く開示されていない。
【0042】
また、対称性を有する該ジメンチルエステル類は概ね粘度の高いワックス状、あるいは固形であり製品に配合する場合の取り扱いおよび歩留まりが悪いものであった。驚くべきことには、上記一般式(1)で表されるジカルボン酸エステルのような非対称性ジカルボン酸類は概ね粘度の低い油状物質であり、香料や各種製品への配合が簡便且つ歩留まりがよいばかりではなく、そのもの自体が上述のジメンチルエステル類と比較して優れた持続性冷感効果を有し、更には他の冷感剤や温感剤などの感覚刺激成分と併用することにより優れた冷感持続効果が発現できるものである。
【0043】
さらに、これらの先行技術おいては、上記一般式(1)で表されるジカルボン酸エステルについては、上記したように2つのアルコール残基が両方ともメントールとなったジメンチルエステルについては開示があるが、これを除く、l−メントール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、パラ−メンタン−3,8−ジオールなどの置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含む炭素数10〜18のアルコール残基から選ばれる1種類と、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアルコール残基とを有する単一または混合のジカルボン酸エステル化合物についての開示はなく、これらは新規物質である。
【0044】
上記一般式(1)の化合物の揮発性、親油性について説明する。化合物の揮発性は、分子に付随する官能基によっても大きく影響されるが、分子量を大きくすることによって、引火点あるいは沸点を上昇させることができ、概ね分子量が250〜600、好ましくは300〜500で揮発し難い化合物となる。また、分子量600を超えると、冷感をほとんど感じられなくなる。このため、本発明の冷感剤組成物で使用する一般式(1)で表される化合物の分子量の範囲は、250〜600であることが好ましく、300から600であることがより好ましい。
【0045】
親油性については、その分子に付随する官能基と炭素数が大きく影響し、水酸基が存在すると親油性が減少し、炭素数が増えると親油性が増加する傾向がある。この指標としては一般的に水/オクタノール分配係数(ClogP)を利用することができる。例えばメントールのClogPは2.5であるのに対し、メントールの水酸基を炭酸エステルでブロックし、なおかつ分子量も大きくなった炭酸ジメンチルでは4.5となり、親油性が大きく上がり、水に溶けにくい性質を示す。本発明の冷感剤組成物で使用する一般式(1)の化合物のClogPの範囲は3.0以上であることが好ましく、より好ましくは4.0以上である。
【0046】
本発明の一般式(1)のBの、置換基(例えば水酸基、エーテル基等)を有してもよい、パラメンタン骨格を含有する炭素数10〜18のアルコール残基を形成するために用いられるアルコールとしては、l−メントール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールおよびパラ−メンタン−3,8−ジオールが好ましいものとして挙げられる。
【0047】
また、上記一般式(1)のCの、置換基(例えば水酸基、エーテル基等)を有してもよい炭素数6〜18のアルコール残基を構成するために用いられるアルコールとしては、置換基を有してもよい、パラメンタン骨格を含有する炭素数10〜18のアルコール、およびこれらパラメンタン骨格を含有するアルコール以外の炭素数6〜18の分岐してもよい鎖状または環状の、不飽和結合があってもよい、エーテル基、芳香環、およびそれに付随する縮合環を持ってもよいアルコールが挙げられる。
【0048】
一般式(1)のCの、置換基を有してもよい炭素数6〜18のアルコール残基を形成するために用いられるアルコールとして用いられる、置換基を有してもよい、パラメンタン骨格を含有する炭素数10〜18のアルコールとしては、B同様、l−メントール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールおよびパラ−メンタン−3,8−ジオールが好ましいものとして挙げられる。
【0049】
一般式(1)のCにおける、前記炭素数6〜18の分岐してもよい鎖状または環状の、不飽和結合があってもよい、エーテル基、芳香環、およびそれに付随する縮合環を持ってもよいアルコールのうち、分岐してもよい鎖状の飽和アルコールとしては、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、2−メチルヘキサノール、3−メチルヘキサノール、4−メチルヘキサノール、5−メチルヘキサノール、2−メチルヘプタノール、3−メチルヘプタノール、4−メチルヘプタノール、5−メチルヘプタノール、6−メチルヘプタノール、2−メチルオクタノール、3−メチルオクタノール、4−メチルオクタノール、5−メチルオクタノール、6−メチルオクタノール、7−メチルオクタノール、2−メチルノナノール、3−メチルノナノール、4−メチルノナノール、5−メチルノナノール、6−メチルノナノール、7−メチルノナノール、8−メチルノナノール、2−メチルデカノール、3−メチルデカノール、4−メチルデカノール、5−メチルデカノール、6−メチルデカノール、7−メチルデカノール、8−メチルデカノール、9−メチルデカノール、2,3−ジメチルペンタノール、2,4−ジメチルペンタノール、2,2−ジメチルペンタノール、3,3−ジメチルペンタノール、3,4−ジメチルペンタノール、4,4−ジメチルペンタノール、2,2−ジメチルヘキサノール、2,3−ジメチルヘキサノール、2,4−ジメチルヘキサノール、2,5−ジメチルヘキサノール、3,3−ジメチルヘキサノール、3,4−ジメチルヘキサノール、3,5−ジメチルヘキサノール、4,4−ジメチルヘキサノール、4,5−ジメチルヘキサノール、5,5−ジメチルヘキサノール、2,2−ジメチルヘプタノール、2,3−ジメチルヘプタノール、2,4−ジメチルヘプタノール、2,5−ジメチルヘプタノール、2,6−ジメチルヘプタノール、3,3−ジメチルヘプタノール、3,4−ジメチルヘプタノール、3,5−ジメチルヘプタノール、3,6−ジメチルヘプタノール、4,4−ジメチルヘプタノール、4,5−ジメチルヘプタノール、4,6−ジメチルヘプタノール、5,5−ジメチルヘプタノール、5,6−ジメチルヘプタノール、6,6−ジメチルヘプタノール、2,2−ジメチルオクタノール、2,3−ジメチルオクタノール、2,4−ジメチルオクタノール、2,5−ジメチルオクタノール、2,6−ジメチルオクタノール、2,7−ジメチルオクタノール、3,3−ジメチルオクタノール、3,4−ジメチルオクタノール、3,5−ジメチルオクタノール、3,6−ジメチルオクタノール、3,7−ジメチルオクタノール、4,4−ジメチルオクタノール、4,5−ジメチルオクタノール、4,6−ジメチルオクタノール、4,7−ジメチルオクタノール、5,5−ジメチルオクタノール、5,6−ジメチルオクタノール、5,7−ジメチルオクタノール、6,6−ジメチルオクタノール、6,7−ジメチルオクタノール、7,7−ジメチルオクタノール、2,2−ジメチルノナノール、2,3−ジメチルノナノール、2,4−ジメチルノナノール、2,5−ジメチルノナノール、2,6−ジメチルノナノール、2,7−ジメチルノナノール、2,8−ジメチルノナノール、3,3−ジメチルノナノール、3,4−ジメチルノナノール、3,5−ジメチルノナノール、3,6−ジメチルノナノール、3,7−ジメチルノナノール、3,8−ジメチルノナノール、4,4−ジメチルノナノール、4,5−ジメチルノナノール、4,6−ジメチルノナノール、4,7−ジメチルノナノール、4,8−ジメチルノナノール、5,5−ジメチルノナノール、5,6−ジメチルノナノール、5,7−ジメチルノナノール、5,8−ジメチルノナノール、6,6−ジメチルノナノール、6,7−ジメチルノナノール、6,8−ジメチルノナノール、7,7−ジメチルノナノール、7,8−ジメチルノナノール、8,8−ジメチルノナノール、3−メチル−2−ヘキサノール、4−メチル−2−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、3−メチル−2−ヘプタノール、4−メチル−2−ヘプタノール、5−メチル−2−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、3−メチル−2−オクタノール、4−メチル−2−オクタノール、5−メチル−2−オクタノール、6−メチル−2−オクタノール、7−メチル−2−オクタノール、3−メチル−2−ノナノール、4−メチル−2−ノナノール、5−メチル−2−ノナノール、6−メチル−2−ノナノール、7−メチル−2−ノナノール、8−メチル−2−ノナノール、3−メチル−2−デカノール、4−メチル−2−デカノール、5−メチル−2−デカノール、6−メチル−2−デカノール、7−メチル−2−デカノール、8−メチル−2−デカノール、9−メチル−2−デカノール、3,3−ジメチル−2−ペンタノール、3,4−ジメチル−2−ペンタノール、4,4−ジメチル−2−ペンタノール、3,3−ジメチル−2−ヘキサノール、3,4−ジメチル−2−ヘキサノール、3,5−ジメチル−2−ヘキサノール、4,4−ジメチル−2−ヘキサノール、4,5−ジメチル−2−ヘキサノール、5,5−ジメチル−2−ヘキサノール、3,3−ジメチル−2−ヘプタノール、3,4−ジメチル−2−ヘプタノール、3,5−ジメチル−2−ヘプタノール、3,6−ジメチル−2−ヘプタノール、4,4−ジメチル−2−ヘプタノール、4,5−ジメチル−2−ヘプタノール、4,6−ジメチル−2−ヘプタノール、5,5−ジメチル−2−ヘプタノール、5,6−ジメチル−2−ヘプタノール、6,6−ジメチル−2−ヘプタノール、3,3−ジメチル−2−オクタノール、3,4−ジメチル−2−オクタノール、3,5−ジメチル−2−オクタノール、3,6−ジメチル−2−オクタノール、3,7−ジメチル−2−オクタノール、4,4−ジメチル−2−オクタノール、4,5−ジメチル−2−オクタノール、4,6−ジメチル−2−オクタノール、4,7−ジメチル−2−オクタノール、5,5−ジメチル−2−オクタノール、5,6−ジメチル−2−オクタノール、5,7−ジメチル−2−オクタノール、6,6−ジメチル−2−オクタノール、6,7−ジメチル−2−オクタノール、7,7−ジメチル−2−オクタノール、3,3−ジメチル−2−ノナノール、3,4−ジメチル−2−ノナノール、3,5−ジメチル−2−ノナノール、3,6−ジメチル−2−ノナノール、3,7−ジメチル−2−ノナノール、3,8−ジメチル−2−ノナノール、4,4−ジメチル−2−ノナノール、4,5−ジメチル−2−ノナノール、4,6−ジメチル−2−ノナノール、4,7−ジメチル−2−ノナノール、4,8−ジメチル−2−ノナノール、5,5−ジメチル−2−ノナノール、5,6−ジメチル−2−ノナノール、5,7−ジメチル−2−ノナノール、5,8−ジメチル−2−ノナノール、6,6−ジメチル−2−ノナノール、6,7−ジメチル−2−ノナノール、6,8−ジメチル−2−ノナノール、7,7−ジメチル−2−ノナノール、7,8−ジメチル−2−ノナノール、8,8−ジメチル−2−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらに光学異性体が存在する場合であっても、その特定の異性体あるいはそれらの混合物として用いることができる。
【0050】
また、一般式(1)のCにおける、炭素数6〜18の分岐してもよい鎖状または環状の、不飽和結合があってもよい、エーテル基、芳香環、およびそれに付随する縮合環を持ってもよいアルコールのうち、直鎖または分岐してもよい不飽和アルコールとしては、2−ヘキセン−1−オール、3−ヘキセン−1−オール、4−ヘプテン−2−オール、3−オクテン−2−オール、1−オクテン−3−オール、5−ノネン−2−オール、5−デセン−2−オール、9−デセン−1−オール、5−ウンデセン−2−オール、10−ウンデセン−1−オール、5−テトラデセン−2−オール、3−メチル−4−ヘキセン−2−オール、4−メチル−4−ヘキセン−2−オール、5−メチル−4−ヘキセン−2−オール、3−メチル−4−ヘプテン−2−オール、4−メチル−4−ヘプテン−2−オール、5−メチル−4−ヘプテン−2−オール、6−メチル−4−ヘプテン−2−オール、3−メチル−3−オクテン−2−オール、4−メチル−3−オクテン−2−オール、5−メチル−3−オクテン−2−オール、6−メチル−3−オクテン−2−オール、7−メチル−3−オクテン−2−オール、3−メチル−5−ノネン−2−オール、4−メチル−5−ノネン−2−オール、5−メチル−5−ノネン−2−オール、6−メチル−5−ノネン−2−オール、7−メチル−5−ノネン−2−オール、8−メチル−5−ノネン−2−オール、3−メチル−5−デセン−2−オール、3−メチル−5−デセン−2−オール、4−メチル−5−デセン−2−オール、4−メチル−3−デセン−5−オール、5−メチル−5−デセン−2−オール、6−メチル−5−デセン−2−オール、7−メチル−5−デセン−2−オール、8−メチル−5−デセン−2−オール、9−メチル−5−デセン−2−オール、3,4−ジメチル−3−ペンテン−2−オール、3,3−ジメチル−4−ヘキセン−2−オール、3,4−ジメチル−4−ヘキセン−2−オール、3,5−ジメチル−4−ヘキセン−2−オール、4,5−ジメチル−4−ヘキセン−2−オール、3,3−ジメチル−4−ヘプテン−2−オール、3,4−ジメチル−4−ヘプテン−2−オール、3,5−ジメチル−4−ヘプテン−2−オール、3,6−ジメチル−4−ヘプテン−2−オール、4,5−ジメチル−4−ヘプテン−2−オール、4,6−ジメチル−4−ヘプテン−2−オール、5,6−ジメチル−4−ヘプテン−2−オール、6,6−ジメチル−4−ヘプテン−2−オール、3,4−ジメチル−3−オクテン−2−オール、3,5−ジメチル−3−オクテン−2−オール、3,6−ジメチル−3−オクテン−2−オール、3,7−ジメチル−3−オクテン−2−オール、4,5−ジメチル−3−オクテン−2−オール、4,6−ジメチル−3−オクテン−2−オール、4,7−ジメチル−3−オクテン−2−オール、5,5−ジメチル−3−オクテン−2−オール、5,6−ジメチル−3−オクテン−2−オール、5,7−ジメチル−3−オクテン−2−オール、6,6−ジメチル−3−オクテン−2−オール、6,7−ジメチル−3−オクテン−2−オール、7,7−ジメチル−3−オクテン−2−オール、3,3−ジメチル−5−ノネン−2−オール、3,4−ジメチル−5−ノネン−2−オール、3,5−ジメチル−5−ノネン−2−オール、3,6−ジメチル−5−ノネン−2−オール、3,7−ジメチル−5−ノネン−2−オール、3,8−ジメチル−5−ノネン−2−オール、4,4−ジメチル−5−ノネン−2−オール、4,5−ジメチル−5−ノネン−2−オール、4,6−ジメチル−5−ノネン−2−オール、4,7−ジメチル−5−ノネン−2−オール、4,8−ジメチル−5−ノネン−2−オール、5,6−ジメチル−5−ノネン−2−オール、5,7−ジメチル−5−ノネン−2−オール、5,8−ジメチル−5−ノネン−2−オール、6,7−ジメチル−5−ノネン−2−オール、6,8−ジメチル−5−ノネン−2−オール、7,7−ジメチル−5−ノネン−2−オール、7,8−ジメチル−5−ノネン−2−オール、8,8−ジメチル−5−ノネン−2−オール、2,6−ノナジエン−1−オール、リナロール、エチルリナロール、ジヒドロリナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ミルセノール、ラバンジュロール、イソジヒドロラバンジュロール、ジヒドロミルセノール、アロオシメノールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらに幾何異性体あるいは光学異性体が存在する場合であっても、その特定の異性体あるいはそれらの混合物として用いることができる。
【0051】
また、一般式(1)のCにおける、炭素数6〜18の分岐してもよい鎖状または環状の、不飽和結合があってもよい、エーテル基、芳香環、およびそれに付随する縮合環を持ってもよいアルコールのうち、エーテル基を含む直鎖または分岐してもよい飽和アルコールとしては、3−メトキシ−3−メチル−ブタノール、3−メトキシヘキサノール、3−メトキシヘプタノール、3−メトキシオクタノール、3−メトキシノナノール、3−メトキシデカノール、3−メトキシトリデカノール、2−メチル−3−メトキシヘキサノール、3−メチル−3−メトキシヘキサノール、4−メチル−3−メトキシヘキサノール、5−メチル−3−メトキシヘキサノール、2−メチル−3−メトキシヘプタノール、3−メチル−3−メトキシヘプタノール、4−メチル−3−メトキシヘプタノール、5−メチル−3−メトキシヘプタノール、6−メチル−3−メトキシヘプタノール、2−メチル−3−メトキシオクタノール、3−メチル−3−メトキシオクタノール、4−メチル−3−メトキシオクタノール、5−メチル−3−メトキシオクタノール、6−メチル−3−メトキシオクタノール、7−メチル−3−メトキシオクタノール、2−メチル−3−メトキシノナノール、3−メチル−3−メトキシノナノール、4−メチル−3−メトキシノナノール、5−メチル−3−メトキシノナノール、6−メチル−3−メトキシノナノール、7−メチル−3−メトキシノナノール、8−メチル−3−メトキシノナノール、2,3−ジメチル−3−メトキシペンタノール、2,4−ジメチル−3−メトキシペンタノール、2,2−ジメチル−3−メトキシペンタノール、3,4−ジメチル−3−メトキシペンタノール、4,4−ジメチル−3−メトキシペンタノール、2,2−ジメチル−3−メトキシヘキサノール、2,3−ジメチル−3−メトキシヘキサノール、2,4−ジメチル−3−メトキシヘキサノール、2,5−ジメチル−3−メトキシヘキサノール、3,4−ジメチル−3−メトキシヘキサノール、3,5−ジメチル−3−メトキシヘキサノール、4,4−ジメチル−3−メトキシヘキサノール、4,5−ジメチル−3−メトキシヘキサノール、5,5−ジメチル−3−メトキシヘキサノール、2,2−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、2,3−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、2,4−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、2,5−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、2,6−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、3,4−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、3,5−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、3,6−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、4,4−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、4,5−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、4,6−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、5,5−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、5,6−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、6,6−ジメチル−3−メトキシヘプタノール、2,2−ジメチル−3−メトキシオクタノール、2,3−ジメチル−3−メトキシオクタノール、2,4−ジメチル−3−メトキシオクタノール、2,5−ジメチル−3−メトキシオクタノール、2,6−ジメチル−3−メトキシオクタノール、2,7−ジメチル−3−メトキシオクタノール、3,4−ジメチル−3−メトキシオクタノール、3,5−ジメチル−3−メトキシオクタノール、3,6−ジメチル−3−メトキシオクタノール、3,7−ジメチル−3−メトキシオクタノール、4,4−ジメチル−3−メトキシオクタノール、4,5−ジメチル−3−メトキシオクタノール、4,6−ジメチル−3−メトキシオクタノール、4,7−ジメチル−3−メトキシオクタノール、5,5−ジメチル−3−メトキシオクタノール、5,6−ジメチル−3−メトキシオクタノール、5,7−ジメチル−3−メトキシオクタノール、6,6−ジメチル−3−メトキシオクタノール、6,7−ジメチル−3−メトキシオクタノール、7,7−ジメチル−3−メトキシオクタノール、などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらに光学異性体が存在する場合であっても、その特定の異性体あるいはそれらの混合物として用いることができる。
【0052】
また、一般式(1)のCにおける、炭素数6〜18の分岐してもよい鎖状または環状の、不飽和結合があってもよい、エーテル基、芳香環、およびそれに付随する縮合環を持ってもよいアルコールのうち、エーテル基を含む直鎖または分岐してもよい不飽和アルコールとしては、たとえば、5−メトキシ−2−ヘキセノール、5−メトキシ−2−ヘプテノール、5−メトキシ−2−オクテノール、5−メトキシ−2−ノネノール、5−メトキシ−2−デセノール、5−メトキシ−2−トリデセノール、5−メトキシ−2−ウンデセノール、2−メチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、3−メチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、4−メチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、5−メチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、2−メチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、3−メチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、4−メチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、5−メチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、6−メチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、2−メチル−5−メトキシ−2−オクテノール、3−メチル−5−メトキシ−2−オクテノール、4−メチル−5−メトキシ−2−オクテノール、5−メチル−5−メトキシ−2−オクテノール、6−メチル−5−メトキシ−2−オクテノール、7−メチル−5−メトキシ−2−オクテノール、2−メチル−5−メトキシ−2−ノネノール、3−メチル−5−メトキシ−2−ノネノール、4−メチル−5−メトキシ−2−ノネノール、5−メチル−5−メトキシ−2−ノネノール、6−メチル−5−メトキシ−2−ノネノール、7−メチル−5−メトキシ−2−ノネノール、8−メチル−5−メトキシ−2−ノネノール、2−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、2−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、3−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、3−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、4−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、5−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、6−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、7−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、8−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、9−メチル−5−メトキシ−2−デセノール、2,3−ジメチル−4−メトキシ−2−ペンテノール、2,4−ジメチル−4−メトキシ−2−ペンテノール、3,4−ジメチル−4−メトキシ−2−ペンテノール、2,3−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、2,4−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、2,5−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、3,4−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、3,5−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、4,4−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、4,5−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘキセノール、2,3−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、2,4−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、2,5−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、2,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、3,4−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、3,5−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、3,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、4,4−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、4,5−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、4,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、5,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、6,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ヘプテノール、2,3−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、2,4−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、2,5−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、2,6−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、2,7−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、3,4−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、3,5−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、3,6−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、3,7−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、4,4−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、4,5−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、4,6−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、4,7−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、5,6−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、5,7−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、6,6−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、6,7−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、7,7−ジメチル−5−メトキシ−2−オクテノール、2,3−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、2,4−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、2,5−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、2,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、2,7−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、2,8−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、3,4−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、3,5−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、3,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、3,7−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、3,8−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、4,4−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、4,5−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、4,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、4,7−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、4,8−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、5,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、5,7−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、5,8−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、6,6−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、6,7−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、6,8−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、7,7−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、7,8−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、8,8−ジメチル−5−メトキシ−2−ノネノール、5−メトキシ−3−ヘプテノール、5−メトキシ−3−オクテノール、5−メトキシ−3−ノネノール、5−メトキシ−3−デセノール、5−メトキシ−3−ウンデセノール、2−メチル−5−メトキシ−3−ヘキセノール、3−メチル−5−メトキシ−3−ヘキセノール、4−メチル−5−メトキシ−3−ヘキセノール、5−メチル−5−メトキシ−3−ヘキセノール、2−メチル−5−メトキシ−3−ヘプテノール、3−メチル−5−メトキシ−3−ヘプテノール、4−メチル−5−メトキシ−3−ヘプテノール、5−メチル−5−メトキシ−3−ヘプテノール、6−メチル−5−メトキシ−3−ヘプテノール、2−メチル−5−メトキシ−3−オクテノール、3−メチル−5−メトキシ−3−オクテノール、4−メチル−5−メトキシ−3−オクテノール、5−メチル−5−メトキシ−3−オクテノール、6−メチル−5−メトキシ−3−オクテノール、7−メチル−5−メトキシ−3−オクテノール、2−メチル−5−メトキシ−3−ノネノール、3−メチル−5−メトキシ−3−ノネノール、4−メチル−5−メトキシ−3−ノネノール、5−メチル−5−メトキシ−3−ノネノール、6−メチル−5−メトキシ−3−ノネノール、7−メチル−5−メトキシ−3−ノネノール、8−メチル−5−メトキシ−3−ノネノール、2−メチル−5−メトキシ−3−デセノール、3−メチル−5−メトキシ−3−デセノール、4−メチル−5−メトキシ−3−デセノール、5−メチル−5−メトキシ−3−デセノール、6−メチル−5−メトキシ−3−デセノール、7−メチル−5−メトキシ−3−デセノール、8−メチル−5−メトキシ−3−デセノール、9−メチル−5−メトキシ−3−デセノールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらに幾何異性体あるいは光学異性体が存在する場合であっても、その特定の異性体あるいはそれらの混合物として用いることができる。
【0053】
また、一般式(1)のCにおける、炭素数6〜18の分岐してもよい鎖状または環状の、不飽和結合があってもよい、エーテル基、芳香環、およびそれに付随する縮合環を持ってもよいアルコールのうち、脂肪族環状構造を含んでもよいアルコールとしては、たとえばシクロヘキサノール、2−メチルシクロペンタノール、3−メチルシクロペンタノール、2−メチル−1−シクロペンテノール、3−メチル−1−シクロペンテノール、4−メチル−1−シクロペンテノール、5−メチル−1−シクロペンテノール、2−メチル−2−シクロペンテノール、3−メチル−2−シクロペンテノール、4−メチル−2−シクロペンテノール、5−メチル−2−シクロペンテノール、2−メチル−3−シクロペンテノール、3−メチル−3−シクロペンテノール、4−メチル−3−シクロペンテノール、5−メチル−3−シクロペンテノール、2,2−ジメチルシクロペンタノール、2,3−ジメチルシクロペンタノール、2,4−ジメチルシクロペンタノール、2,5−ジメチルシクロペンタノール、3,3−ジメチルシクロペンタノール、3,4−ジメチルシクロペンタノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセシルメタノール、2−シクロペンチルエタン−1−オール、2−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−エタン−1−オール、シクロヘキサノール、1−シクロヘキセノール、2−シクロヘキセノール、3−シクロヘキセノール、2−メチル−1−シクロヘキセノール、3−メチル−1−シクロヘキセノール、4−メチル−1−シクロヘキセノール、4−イソプロピル−1−シクロヘキサノール、4−イソプロピル−1−シクロヘキシルメタノール、1−(4−イソプロピル−1−シクロヘキシル)エタノール、5−メチル−1−シクロヘキセノール、6−メチル−1−シクロヘキセノール、2−メチル−2−シクロヘキセノール、3−メチル−2−シクロヘキセノール、4−メチル−2−シクロヘキセノール、5−メチル−2−シクロヘキセノール、6−メチル−2−シクロヘキセノール、2−メチル−3−シクロヘキセノール、3−メチル−3−シクロヘキセノール、4−メチル−3−シクロヘキセノール、5−メチル−3−シクロヘキセノール、6−メチル−3−シクロヘキセノール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシルアルコール、2,2,6−トリメチル−6−シクロヘキセノール、2,2,6−トリメチル−5−シクロヘキセノール、2,2,6−トリメチル−4−シクロヘキセノール、2,2−ジメチル−6−エクソメチル−6−シクロヘキセノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール、2−tert−ブチルシクロヘキサノール、ターピネオール、ボルネオール、ノポール、アンブリノールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらに幾何異性体あるいは光学異性体が存在する場合であっても、その特定の異性体あるいはそれらの混合物として用いることができる。
【0054】
また、一般式(1)のCにおける、炭素数6〜18の分岐してもよい鎖状または環状の、不飽和結合があってもよい、エーテル基、芳香環、およびそれに付随する縮合環を持ってもよいアルコールのうち、芳香環を含んでもよいアルコールとしては、ベンジルアルコール、スチラリルアルコール、ハイドロキノン、フルフリルアルコール、4−ヒドロキシスチラリルアルコール、バニリルアルコール、クミンアルコール、2−メチルベンジルアルコール、3−メチルベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルベンジルアルコール、α−フェネチルアルコール、β−フェネチルアルコール、シンナミックアルコール、4−ヒドロキシ−3−メトキシスチラリルアルコール、アニスアルコール、カテコール、5−メチルフルフリルアルコール、2−ピリジニルエタノールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらに配向異性体、幾何異性体あるいは光学異性体が存在する場合であっても、その特定の異性体あるいはそれらの混合物として用いることができる。
【0055】
また、一般式(1)のCにおける、炭素数6〜18の分岐してもよい鎖状または環状の、不飽和結合があってもよい、エーテル基、芳香環、およびそれに付随する縮合環を持ってもよいアルコールのうち、芳香環に付随する縮合環を含んでもよいアルコールとしては、6−メチル−1−インダノール、アルファーテトラロール、1−ナフチルメタノール、2−ナフチルメタノール、ピペロニルアルコール、3−クロモンアルコール、2−ベンゾフルフリルアルコールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらに配向異性体、幾何異性体あるいは光学異性体が存在する場合であっても、その特定の異性体あるいはそれらの混合物として用いることができる。
【0056】
本発明化合物は公知の技術により合成することが可能であり、特に限定はされないが、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸などのジカルボン酸と一般式(1)のアルコール残基を形成することのできるアルコール類とを、適当な縮合剤の存在下で、一段階、好ましくは二段階で縮合させることにより得ることができる。また上記ジカルボン酸の酸無水物を無触媒、若しくは酸または塩基性触媒の存在下、上述のアルコール類と反応させハーフエステルを合成し、その後縮合剤の存在下で更にアルコールと縮合させるか、若しくはハーフエステルのカルボン酸残基を活性エステル、若しくは酸ハライドとした後、更にアルコールと反応させて所望のジエステルを得ることもできる。更にはエステル化剤としてリパーゼ酵素を使用することも可能である。
【0057】
上記縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物などを挙げることができる。また酸性触媒としては、硫酸、塩酸、リン酸、硫酸水素ナトリウム、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などを挙げることができ、塩基性触媒としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキサイド、カリウムブトキサイド、酢酸ナトリウム、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミンなどを挙げることができる。また、リパーゼ酵素としては、lipase PS(アマノ社)、lipase AY(アマノ社)、Novozyme435(Novozymes社)、Novozyme 525(Novozymes社)などを挙げることができる。
【0058】
上記のようにして得られた本発明のジカルボン酸ジエステル化合物は、1種単独であってもまた2種以上の混合物としても、強く、持続性のある冷感効果を有することから、そのまま単独であるいは2種以上の混合物として冷感剤あるいは感覚刺激剤として利用することができる。
【0059】
本発明により得られる前記ジカルボン酸エステル化合物は、製品の種類、使用目的などにより、その適用範囲や適用方法を適宜変える必要があるが、通常、香料組成物では全組成に対し0.0001〜90質量%とされることが好ましく、また飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品、医薬品などに対しては、その製品の全組成に対して1×10-7〜20質量%、より好ましくは0.0001乃至20質量%、特に0.001乃至5質量%の濃度で用いるのが好ましい。
【0060】
本発明の冷感剤組成物には、前記ジカルボン酸エステル類のうち少なくとも1種が含まれていればよい。したがって、本発明の冷感剤組成物はジカルボン酸エステル類のうち1種からなっていてもよいし、またこれらの2種以上が併用されたものであってもよい。また、本発明のジカルボン酸エステル化合物は、そのままで冷感剤組成物として用いられてもよいし、アルコール、プロピレングリコール、ベンジルベンゾエート等との溶液の形態として、あるいは乳化剤と混合した乳剤の形態として用いられてもよい。
【0061】
また、冷感剤成分として、本発明のジカルボン酸エステル化合物に、これらに含まれない冷感物質から選ばれる少なくとも1種の成分を併用することにより、冷感強度を高めた冷感剤組成物を調製することができる。
【0062】
本発明のジカルボン酸エステル化合物に含まれない冷感物質としては、例えば、メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−l−メントキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−l−メントキシエタン−1−オール、3−l−メントキシプロパン−1−オール、4−l−メントキシブタン−1−オール(3−ヒドロキシブタン酸メンチル)、乳酸メンチル、メントールグリセリンケタール、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、グリオキシル酸メンチル等を挙げることができる。これらは一種または2種以上を適宜配合して用いることができる。
【0063】
本発明のジカルボン酸エステル化合物とこれらに含まれない冷感物質とは、本発明の効果を損なわない範囲において任意の割合で用いることができるが、これらの使用割合は、本発明のジカルボン酸エステル化合物:これらに含まれない冷感物質が質量比で1:99〜70:30の範囲であることが好ましい。
【0064】
また、本発明においては上述した冷感剤組成物は、強い、持続性のある冷感効果を有していることから、この冷感剤組成物を含有させることにより、冷感効果を有する感覚刺激剤組成物を調製することができる。なお、本発明の感覚刺激剤組成物は、感覚を刺激する効果を与える組成物である。前記感覚を刺激する効果としては冷感効果および温感効果を含み、したがって本発明においては、感覚刺激剤組成物は冷感剤組成物および温感剤組成物をも含む概念として用いられている。
【0065】
感覚刺激剤組成物を調整する場合において、冷感剤組成物の配合量は、製品の種類、使用目的などにより、その適用範囲や適用方法を適宜変える必要があるが、通常、感覚刺激剤組成物の全組成に対して0.0001乃至20質量%、特に0.001乃至5質量%の濃度で用いるのが好ましい。
【0066】
また感覚刺激剤組成物は、本発明の冷感剤組成物に温感物質を併用することにより、調整することもできる。温感物質としては、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン、ギンゲロール、バニリルブチルエーテル、4−(l−メントキシメチル)−2−(3'−メトキシ−4'−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド、ジャンブーオレオレジン、サンショウエキス、サンショール−I、サンショール−II、サンショウアミド、黒胡椒エキス、カビシン、ピペリン、およびスピラントール等を挙げることができる。これらは一種または2種以上を適宜配合して用いることができる。
【0067】
温感物質と冷感物質との配合比は、冷感効果を目的とする場合においては、温感物質は温感物質の配合により温感効果が付与されない範囲であればよく、通常、冷感剤組成物の総量に対して、質量基準で、0.001〜0.95倍量、好ましくは0.01〜0.5倍量の配合量とされる。この場合、本発明の感覚刺激剤組成物において、冷感剤組成物に上記割合で温感物質が添加されることにより、冷感効果の更なる向上が見られ、冷感効果が増大する。また、温感効果を目的とする場合においては、冷感剤組成物は冷感剤組成物の配合により冷感効果が付与されない範囲であればよく、通常、温感物質の総量に対して、質量基準で、0.001〜0.95倍量、好ましくは0.01〜0.5倍量の配合量とされる。
【0068】
本発明の冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物は、香料組成物に配合することができる。冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物を香料組成物に配合する場合、その配合量は、香料組成物の種類、使用目的などにより、その適用範囲や適用方法を適宜変える必要があるが、通常、香料組成物の全組成に対して、通常0.0001〜90質量%配合することが好ましい。また、本発明の冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物は、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、医薬品などに配合することができる。冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物をこれら製品に配合する場合、その配合量は、配合される製品の種類によって異なるものの、製品の全組成に対し1×10-7〜20質量%、より好ましくは0.0001乃至20質量%、特に0.001乃至5質量%の濃度で用いるのが好ましい。さらに前記製品群は、直接皮膚・頭皮に塗布、口腔に投与、あるいは繊維(衣料品)に適用することができる。特に、冷感剤組成物が用いられるときは、本発明の冷感剤組成物は強い、持続性のある冷感効果を有していることから、皮膚・頭皮、口腔に長く持続する冷感効果を付与することができる。また冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物は、繊維および衣料品、樹脂等の加工に供することもできる。その配合量は、製品の種類、使用目的などにより、その適用範囲や適用方法を適宜変える必要があるものの、通常、0.0001乃至20質量%、特に0.001乃至5質量%の濃度で用いるのが好ましい。
【0069】
例えば、本発明の冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物は、繊維あるいは樹脂、衣料素材ないし衣類等の被服材に直接噴霧、吸着、浸透あるいは適当な溶媒、分散媒等、あるいはマイクロカプセル等を用いてその繊維表面および繊維内部、樹脂表面を修飾、または加工することができる。その配合量は、香料組成物、加工剤組成物あるいはマイクロカプセル内包剤の全組成に対して0.0001乃至100質量%、特に0.001乃至100質量%の濃度で用いるのが好ましい。
【0070】
加工をしようとする繊維材料は、特に制限されず、セルロース、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、テンセル(商品名)、リヨセル(商品名)等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の化学合成繊維等の繊維を挙げることができ、これらは1種単独でまたは2種以上を混用した混紡、交織繊維等として用いることができる。また、繊維形態として、糸、織編物、不織布、紙等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0071】
マイクロカプセルの壁材としては、有機系マイクロカプセルが好ましく、例えばポリスチレン、エチルセルロース、ポリアミド、ポリアクリル酸、メラミン、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0072】
マイクロカプセルの平均粒子径は、特に限定されないが、加工液に用いる際の分散性の点や、繊維に付着させて加工する際、圧力負荷によるカプセル破損を防ぐという点、また風合いの硬化を少なくする点等から、20μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。
【0073】
マイクロカプセルの製造方法は特に制限されるものではなく、公知の方法、例えば、特開昭62−1452号、同62−45680号、同62−149334号、同62−225241号、同63−115718号、同63−217196号公報、特開平2−258052号公報、特許第3059558号公報等に記載の方法を採用することができる。
【0074】
マイクロカプセルを分散させた加工液を繊維あるいは樹脂等に付着させる方法は、たとえば、パッド・ドライ法、スプレー法、捺染式方法、コーティング法等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0075】
また、繊維製品、衣類などに冷感を付与する際には、洗剤あるいは柔軟仕上げ剤などに本発明の冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物は配合しておき、洗濯時に、あるいは濯ぎ時に本発明の冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を繊維製品、衣類などに付着させてもよい。このときの洗剤、柔軟仕上げ剤などへの配合量は、繊維製品、衣類などを洗濯、乾燥した後に当該繊維製品、衣類などに触れた際、あるいは着衣した際冷感が感じられる程度本発明の冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物が残留するような量とすればよく、特に限定されるものではないが、通常、洗剤、柔軟仕上げ剤などの全組成に対し、0.0000001〜10質量%、好ましくは0.000001〜5質量%配合されればよい。
【0076】
本発明の冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物は、香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品などの各種製品に直接配合してもよいし、冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物を香料組成物中にまず配合して、冷感剤組成物、感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物とし、この冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物を製品に配合することもできる。
【0077】
本発明の香料組成物あるいは各種製品において、本発明の冷感剤組成物および感覚刺激剤組成物と共に含有し得る香料成分としては、従来知られた各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料などが挙げられ、例えば「周知・慣用技術集(香料)第I部」(平成11年1月29日、特許庁発行)に記載されているような広範な種類の香料成分がこのような香料成分として適宜使用することができる。そのうちでも代表的なものとしては、例えば、α−ピネン、リモネン、cis−3−ヘキセノール、フェニルエチルアルコール、スチラリルアセテート、オイゲノール、ローズオキサイド、リナロール、ベンズアルデヒド、l−ムスコン(高砂香料工業株式会社)、ムスクT(高砂香料工業株式会社)、テサロン(高砂香料工業株式会社)などを挙げることができる。
【0078】
本発明の冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物における冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物の含有量は、一緒に調合する香料やその他の成分の種類および使用目的などに応じ適宜調整することができる。例えば、香粧品用の香料組成物では、一般に、香料組成物の全質量に対して、冷感剤組成物の含有量が0.0001〜50質量%、好ましくは0.001〜50質量%、特に0.01〜20質量%であることが好ましい。
【0079】
また、飲食品用の香料組成物では、一般に、香料組成物の全質量に対して、冷感剤組成物の含有量が0.0001〜50質量%であることが好ましく、0.001〜30質量%であることがより好ましい。
【0080】
本発明の冷感剤組成物および感覚刺激剤組成物は、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている香料保留剤の1種または2種以上を含有していてもよい。その場合の香料保留剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライドなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
【0081】
本発明の冷感剤組成物および感覚刺激剤組成物は、上述のように、冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物単独で、または冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物にして、各種製品に対して冷感の付与に用いることができる。本発明の冷感剤組成物自体あるいは冷感剤組成物を含有する香料組成物によって冷感を付与することのできる製品としては、前記したように、飲食品、香粧品、日用・雑貨品、トイレタリー製品、繊維、繊維製品、衣料品、医薬品などを挙げることができる。
【0082】
本発明の冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物、それらを含有する香料組成物によって、冷感などを付与することのできる飲食品の具体例としては、何ら限定されるものではないが、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料、清涼飲料、ドリンク剤類の如き飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類の如き冷菓類;ゼリー、プリンなどのデザート類;ケーキ、クッキー、チョコレート、チューインガムなどの洋菓子類;饅頭、羊羹、ウイロウなどの和菓子類;ジャム類;キャンディー類;パン類;緑茶、ウーロン茶、紅茶、柿の葉茶、カミツレ茶、クマザサ茶、桑茶、ドクダミ茶、プアール茶、マテ茶、ルイボス茶、ギムネマ茶、グアバ茶、コーヒー、ココアの如き茶飲料または嗜好飲料類;和風スープ、洋風スープ、中華スープの如きスープ類;風味調味料;各種インスタント飲料乃至食品類;各種スナック食品類;歯磨き、口腔洗浄料、マウスウオッシュ、トローチ、チューインガム類などの口腔用組成物などを挙げることができる。
【0083】
また、本発明の冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物、それらを含有する香料組成物によって香気付けすることのできる香粧品、トイレタリー製品または日用・雑貨品としては、例えば、フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤、その他の雑貨類などを挙げることができる。
【0084】
より具体的には、
・フレグランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロンなど;
・基礎化粧品としては、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなど;
・仕上げ化粧品としては、ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなど;
・頭髪化粧品としては、ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤など;を挙げることができる。
【0085】
・日焼け化粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品など;
・薬用化粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローションおよびジェル、パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料などを挙げることができ;
・ヘアケア製品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパックなど;
・石鹸としては、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸など;
・身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープなど;
・浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド等)、フォームバス(バブルバス等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブなど;
・洗剤としては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸など;を挙げることができる。
【0086】
・柔軟仕上げ剤としては、ソフナー、ファーニチアケアーなど;
・洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤など;
・台所用洗剤としては、台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤など;
・漂白剤としては、酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤等)、光学的漂白剤など;
・エアゾール剤としては、スプレータイプ、パウダースプレー等;
・消臭・芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプ等;
・雑貨としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパー等;
を挙げることができる。
【0087】
本発明の冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物およびそれらを含有する香料組成物によって、冷感などを付与することのできる医薬品の具体例としては、何ら限定されるものではないが、ハップ剤、軟膏剤の如き皮膚外用剤、内服剤などを挙げることができる。
【0088】
本発明の冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物およびそれらを含有する香料組成物を上記に示したような各種製品の冷感などの付与に用いる場合は、冷感などが付与される製品の種類や製品の最終形態(例えば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状などの製品形態)に応じて、冷感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物あるいはそれらを含有する香料組成物を、その直接製品に添加または付与してもよいし、例えば、アルコール類、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類に溶解して液体状にして添加または付与してもよいし;アラビアガム、トラガントガムなどの天然ガム質類、界面活性剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤など)を用いて可溶化あるいは乳化分散させた可溶化状あるいは分散状にして添加または付与してもよいし;アラビアガム等の天然ガム質類、ゼラチン、デキストリンなどの賦形剤を用いて被膜形成した粉末状で添加または付与してもよいし;カプセル化剤で処理してマイクロカプセルにして添加または付与してもよい。
【0089】
さらに、サイクロデキストリンなどの包接剤に包接して、冷感剤組成物あるいはそれらを含有する冷感剤組成物を含有する香料組成物を安定化すると共に徐放性にして用いてもよい。
【実施例】
【0090】
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらにより何ら限定されるものでなく、また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0091】
なお、合成例、実施例中での生成物の測定は、次の機器装置類を用いて行われた。
核磁気共鳴スペクトル:1H−NMR:Oxford 300MHz FT−NMR(300MHz)(バリアン社製)
外部標準物質:テトラメチルシラン
TLC:シリカゲル60
F254 (メルク社製)
【0092】
合成例1[l−メンチル−(l−メントキシエチル)コハク酸エステル(化合物1)の合成]
100mlオートクレーブにl−メントール10.00g(63.99mmol)、無水コハク酸6.40g(63.96mmol)を仕込み、窒素置換を行った後、110℃にて8時間攪拌した。室温まで冷却し、ヘキサン100mlを加え、析出した結晶をろ過した後、ヘキサン層を濃縮し、l−メンチルコハク酸16.61gを得た。(収率>99.9%)
【0093】
20ml二ツ口ナスフラスコに、l−メンチルコハク酸6.00g(23.42mmol)、DMF20.0mgを仕込み、塩化チオニル6.00g(50.43mmol)を室温で滴下した。滴下終了後、2時間攪拌した後、減圧蒸留にて過剰の塩化チオニルを除き、l−メンチルコハク酸クロライド6.45gを得た。(収率>99.9%)
【0094】
50ml二ツ口ナスフラスコに、l−メントキシエタノール1.99g(9.93mol)、トルエン20ml、トリエチルアミン2.01g(19.86mmol)を仕込み、室温下にて前記l−メンチルコハク酸クロライド3.00g(10.92mmol)を滴下した。室温にて2時間攪拌した後、薄層クロマトグラフィー(TLC)(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にてl−メントキシエタノールのスポットが消失したのを確認し、反応を終了した。反応液をトルエン150mlで希釈し、蒸留水30mlにて2回水洗を行った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し4.84gの無色の液体を得た。シリカゲル73gを用いカラム精製を行い(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:30)、l−メンチル−(l−メントキシエチル)コハク酸エステル3.95gを得た。(収率79.2%)
【0095】
l−メンチル−(l−メントキシエチル)コハク酸エステルの物性
1H−NMR(CDCl3,300MHz):σ 4.70(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.5),4.22(2H,t,J=6.8),3.79(1H,dt,J=11.1,9.3),3.52(1H,dt,J=11.1,10.8),3.05(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.5),2.64(4H,m),2.22(1H,m),2.02(2H,m),1.85(1H,q,J=7.2),1.84(1H,m),1.20−1.33(4H,m),0.97−1.07(4H,m),0.81−0.93(12H,m),0.77(6H,t,J=8.1)
【0096】
合成例2[l−メンチル−3−(l−メントキシ)−2−(ヒドロキシプロピル)コハク酸エステル(化合物2)の合成]
合成例1と同様の方法で、l−メントキシエタノールに代えてl−メンチルグリセロールを用いて合成を行い、l−メンチル−3−(l−メントキシ)−2−(ヒドロキシプロピル)コハク酸エステルを収率75.4%で得た。
【0097】
l−メンチル−3−(l−メントキシ)−2−ヒドロキシプロピルコハク酸エステルの物性
1H−NMR(CDCl3,300MHz):σ 4.69(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.5),3.97−4.23(2H,m),3.80(1H,br),3.61−3.72(1H,m),3.28−3.3.39(1H,m),3.08(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.5),2.64(4H,m),1.82−2.17(4H,m),1.60−1.68(4H,m),1.20−1.46(6H,m),0.99−1.11(4H,m),0.88−1.06(12H,m),0.77(6H,t,J=6.9)
【0098】
合成例3[l−メンチル−(l−イソプレギル)コハク酸エステル(化合物3)の合成]
合成例1と同様の方法で、l−メントキシエタノールに代えてl−イソプレゴールを用いて合成を行い、l−メンチル−(l−イソプレギル)コハク酸エステルを収率72.4%で得た。
【0099】
l−メンチル−(l−イソプレギル)コハク酸エステルの物性
1H−NMR(CDCl3,300MHz):σ 4.81(1H,ddd,J=11.0,11.0,4.2),4.65−4.72(3H,m),2.56(3H,s),1.81−2.15(3H,m),1.65(3H,s),1.30−1.60(6H,m),0.96−1.11(6H,m),0.88−0.94(9H,m),0.75(6H,t,J=6.9)
【0100】
合成例4[l−メンチル−(l−シトロネリル)コハク酸エステル(化合物4)の合成]
合成例1と同様の方法で、l−メントキシエタノールに代えてl−シトロネロールを用いて合成を行い、l−メンチル−(l−シトロネリル)コハク酸エステルを収率78.6%で得た。
【0101】
l−メンチル−(l−シトロネリル)コハク酸エステルの物性
1H−NMR(CDCl3,300MHz):σ 5.08(1H,t,J=7.2),4.69(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.2),4.05−4.17(2H,m),2.61(3H,s),1.93−2.02(3H,m),1.81−1.90(1H,m),1.64−1.71(5H,m),1.60(3H,s),1.29−1.57(6H,m),1.07−1.24(2H,m),0.88−0.98(9H,m),0.75(3H,J=6.9)
【0102】
合成例5[l−メンチル−(フェニルエチル)コハク酸エステル(化合物5)の合成]
合成例1と同様の方法で、l−メントキシエタノールに代えてフェネチルアルコールを用いて合成を行い、l−メンチル−(フェニルエチル)コハク酸エステルを収率69.0%で得た。
【0103】
l−メンチル−(フェニルエチル)コハク酸エステルの物性
1H−NMR(CDCl3,300MHz):σ7.20−7.33(59,m),4.69(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.2),4.30(2H,t,J=7.2),2.94(2H,t,J=7.2),2.60(4H,t,J=7.2),1.98(1H,d,J=12.0),1.85(1H,t,J=6.9),1.67(2H,d,J=12.8),1.31−1.56(3H,m),0.98−1.11(2H,m),0.92(6H,d,J=11.4),0.75(3H,d,J=6.6)
【0104】
合成例6[l−メンチル−(フェニルエチル)グルタル酸エステル(化合物6)の合成]
200mlオートクレーブに、l−メントール39.00g(0.25mol)、無水グルタル酸28.5g(0.25mol)を仕込み、窒素置換を行った後、90℃にて18時間攪拌した。反応終了後、ビグロ蒸留(Bottom 180〜195℃、Top 150〜155℃、30Pa)を行い、l−メンチルグルタル酸59.64g(収率88.4%)を得た。
【0105】
続いて200ml四ツ口ナスフラスコに、l−メンチルグルタル酸10.00g(36.99mmol)、フェネチルアルコール4.52g(37.00mmol)、ヘキサン100ml、Novozyme435 0.50g(5.0wt%)を仕込み、60℃にて13時間攪拌し、転化率90.9%を確認し、反応液をろ過しNovozyme435を除去した。有機層を濃縮し無色の液体14.39gを得た。シリカゲル300gを用いカラム精製を行い(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:30)、l−メンチル−(フェニルエチル)グルタル酸エステル9.51g(収率68.7%)を得た。
【0106】
l−メンチル−(フェニルエチル)グルタル酸エステルの物性
1H−NMR(CDCl3,300MHz):σ 7.20−7.33(5H,m),4.67(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.5),4.30(2H,t,J=7.2),2.94(2H,t,J=7.2),2.33(2H,ddd,J=7.5,7.5,3.9),1.81−1.99(4H,m),1.68(2H,m),1.32−1.59(3H,m),1.30−1.40(2H,m)1.03−1.08(2H,m),0.95(6H,m),0.75(3H,d,J=6.9)
【0107】
合成例7[l−メンチル−(l−シトロネリル)グルタル酸エステル(化合物7)の合成]
合成例6と同様の方法で、フェネチルアルコールに代えてl−シトロネロールを用いて合成を行い、l−メンチル−(l−シトロネリル)グルタル酸エステルを収率70.0%で得た。
【0108】
l−メンチル−(l−シトロネリル)グルタル酸エステルの物性
1H−NMR(CDCl3,300MHz):σ 5.09(1H,t,J=7.2),4.69(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.2),4.11(2H,m),2.35(4H,t,J=7.5),1.90−2.03(6H,m),1.84(1H,t,J=9.3),1.64−1.68(8H,m),1.60(3H,d,J=4.2),1.31−1.55(4H,m),1.02−1.24(2H,m),0.88−0.98(9H,m),0.75(3H,J=6.9)
【0109】
合成例8[l−メンチル−(l−メントキシエチル)グルタル酸エステル(化合物8)の合成]
合成例6と同様の方法で、フェネチルアルコールに代えてl−メントキシエタノールを用いて合成を行い、l−メンチル−(l−メントキシエチル)グルタル酸エステルを収率65.2%で得た。
【0110】
l−メンチル−(l−メントキシエチル)グルタル酸エステルの物性
1H−NMR(CDCl3,300MHz):σ 4.68(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.5),4.21(2H,t,J=6.8),3.79(1H,dt,J=11.1,9.3),3.52(1H,dt,J=11.1,10.8),3.05(1H,ddd,J=10.8,10.8,4.5),2.36(4H,m),2.18(1H,m),2.05(1H,m),1.96(2H,q,J=7.2),1.84(1H,m),1.59−1.69(10H,m),1.03−1.50(5H,m),0.79−0.93(12H,m),0.76(6H,t,J=6.6)
【0111】
試験例1[冷涼処理タオル(直接噴霧)試験]
上述合成例にて得た化合物1〜8、および混合物1(化合物1〜4の等重量混合物)、混合物2(化合物5〜8の等重量混合物)、混合物3(化合物2、3、8の等重量混合物)、および比較化合物としてのジメンチルグルタル酸、l−メントールについて、各々1%エタノール溶液を調製し、綿100%のハンドタオル(日本製、白色無地、20cm×20cm、脱脂処理をしたもの)に1gをスプレーした後、10分風乾したもの、および、3時間風乾したもの、24時間風乾したものを、両上腕部内側で接触したときの冷感を官能評価した。結果を表1に示す。
【0112】
なお、評価は、5年以上経験したパネラー5人により行われ、前記化合物1〜8および混合物1〜3をA〜Cの3グループ(グループA;化合物1、混合物1、化合物2、ジメンチルグルタル酸、l−メントール:グループB:混合物2、化合物3、化合物6、ジメンチルグルタル酸、l−メントール:グループC;化合物7、化合物8、化合物4、混合物3、ジメンチルグルタル酸)に分け、各々のグループで試験化合物について冷感の強いものから順に順位付けする形式で評価を行い、結果はその順位の総和で示した。つまり総和が少ないほど冷感効果に優れることを意味する。
【0113】
【表1】

【0114】
表1から、メントールは、風乾10分後では、最も強い冷感効果を与えたが、持続性に乏しいことが分かった。一方、本発明の化合物は持続的な冷感効果を与え、しかもその効果はジメンチルグルタル酸より優れていた。特に本発明の化合物の混合物は、初期強度、持続性共に優れる傾向を与えた。
【0115】
試験例2[冷涼処理タオル(洗濯処理)試験]
上述合成例にて得た化合物1〜4、6、混合物1(化合物1〜4の等重量混合物)、混合物2(化合物5〜8の等重量混合物)、混合物3(化合物2、3、8の等重量混合物)および比較化合物としてl−メントキシプロパンジオールについて、それぞれ1%の濃度で洗濯洗剤基剤に配合し、所定の濃度(水10L、洗剤3g、水温17℃)で綿100%のハンドタオル(日本製、白色無地、20cm×20cm、脱脂処理をしたもの)を3分手洗いし、同量の水で2分間すすいだ後、軽く絞り、6時間屋内で風乾した。調製したハンドタオルおよびさらに24時間および48時間経過したものを、両上腕部内側で接触したときの冷感を官能評価した。結果を表2に示す。
【0116】
なお、評価は、5年以上経験したパネラー5人により行われ、前記化合物、前記混合物およびメントキシプロパンジオールをA〜Cの3グループ(グループA;化合物1、混合物1、化合物2、メントキシプロパンジオール:グループB:混合物2、化合物3、化合物6、メントキシプロパンジオール:グループC;化合物8、化合物4、混合物3、メントキシプロパンジオール)に分け、各々のグループで試験化合物について冷感の強いものから順に順位付けする形式で評価を行い、結果はその順位の総和で示した。つまり総和が少ないほど冷感効果に優れることを意味する。
【0117】
【表2】

【0118】
表2から、本発明化合物はl−メントキシプロパンジオールと比較して概ね優れた冷感効果を示し、その効果は48時間経過しても衰える傾向はなかった。また、その効果は試験例1と同様に混合物が優れる傾向を示した。一方、l−メントキシプロパンジオールは、洗濯処理、風乾6時間後でその冷感効果は単独では殆ど認められなかった。
【0119】
実施例20[ボディシャンプー]
上記合成例で得た本発明の化合物を含有する感覚刺激組成物のそれぞれ35質量部と、シトラスハーバル調の調合香料(高砂香料工業株式会社製)65質量部とから、感覚刺激剤含有香料組成物を得、これを用いて下記処方(配合量は質量部)に従い、8種類のボディシャンプーを調製した。このものは、優れた冷感を有しかつ持続性に優れていた。
【0120】
【表3】

【0121】
実施例21[冷感組成物]
下記処方(配合量は質量部)に従い、上記合成例で得た本発明の化合物を混合し、冷感組成物を7種類調製した。
【0122】
【表4】

【0123】
実施例22[冷感ローション]
下記処方(配合量は質量部)に従い、実施例21で得た7種の冷感組成物を用い、7種の冷感ローションを調製した。綿100%のハンドタオル(日本製、白色無地、20cm×20cm、脱脂処理をしたもの)に1gをスプレーした後、3時間風乾したもの、8時間風乾したものを、両上腕部内側で接触したときの冷感を官能評価した。結果を表5に示す。冷感組成物2〜7で調製したローションは、冷感組成物1で調製したものと比較して優れた持続性冷感効果を与えた。
【0124】
【表5】

【0125】
実施例23[消臭剤]
下記処方(配合量は質量部)に従い、実施例21で得た冷感組成物2〜7を用い、6種の冷感消臭スプレー剤を調製した。冷感組成物2〜7で調製したローションは、優れた持続性冷感効果を有していた。
【0126】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるジカルボン酸エステル化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする冷感剤組成物。
【化1】

(式中、AはCH2またはCH=CHを表し、nはAがCH2の場合、0〜4の整数を、AがCH=CHの場合1を表し、Bは置換基を有してもよい、パラメンタン骨格を含有する炭素数10〜18のアルコール残基であり、Cは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアルコール残基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)のCが、置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含有するアルコール残基であることを特徴とする請求項1に記載の冷感剤組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)のBおよびCが同一の残基でないことを特徴とする請求項2に記載の冷感剤組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)のBまたはBおよびCの、置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含有するアルコール残基が、l−メントール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールおよびパラ−メンタン−3,8−ジオールのアルコール残基から選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の冷感剤組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)で表されるジカルボン酸エステル化合物が、ClogPが3.0以上で、分子量が250以上600以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の冷感剤組成物。
【請求項6】
一般式(1)に該当しない冷感物質の少なくとも1種が併用されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の冷感剤組成物。
【請求項7】
前記一般式(1)の化合物に該当しない冷感物質が、メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、N−アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、4−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、またはグリオキシル酸メンチルであることを特徴とする請求項6に記載の冷感剤組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の冷感剤組成物を含有することを特徴とする感覚刺激剤組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の温感物質が併用されてなることを特徴とする請求項8に記載の感覚刺激剤組成物。
【請求項10】
前記温感物質が、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン、ギンゲロール、バニリルブチルエーテル、4−(l−メントキシメチル)−2−(3'−メトキシ−4'−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド、ジャンブーオレオレジン、サンショウエキス、サンショール−I、サンショール−II、サンショウアミド、黒胡椒エキス、カビシン、ピペリンまたはスピラントールであることを特徴とする請求項9に記載の感覚刺激剤組成物。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物を含有することを特徴とする香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品。
【請求項12】
請求項11記載の製品群を直接皮膚・頭皮に塗布、口腔に投与、あるいは繊維、繊維製品、または衣料品に適用することを特徴とする持続性冷感効果を付与する方法。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物が、0.0001〜90質量%配合されてなることを特徴とする香料組成物。
【請求項14】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物が、1×10-7〜20質量%配合されてなることを特徴とする、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品。
【請求項15】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物を配合、またはこれらを用いて加工することを特徴とする繊維および衣料被服材の冷涼処理方法。
【請求項16】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物を配合することを特徴とする、香料組成物、飲食品、香粧品、トイレタリー製品、日用・雑貨品、繊維、繊維製品、衣料品または医薬品の製造方法。
【請求項17】
下記一般式(1)で表されるジカルボン酸ジエステル化合物。
【化2】

(式中、AはCH2を表し、nは0〜4の整数を表し、Bは置換基を有してもよい、パラメンタン骨格を含有する炭素数10〜18のアルコール残基であり、Cは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアルコール残基であり、BおよびCが共にメントールのアルコール残基でない基を表す。)
【請求項18】
前記一般式(1)のCが置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含有するアルコール残基であることを特徴とする請求項17に記載のジカルボン酸ジエステル化合物。
【請求項19】
前記一般式(1)のBおよびCが同一でないことを特徴とする請求項18に記載のジカルボン酸ジエステル化合物。
【請求項20】
前記一般式(1)のBまたはBおよびCの置換基を有していてもよい、パラメンタン骨格を含有するアルコール残基が、l−メントール、l−イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールおよびパラ−メンタン−3,8−ジオールのアルコール残基から選ばれることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載のジカルボン酸ジエステル化合物。

【公開番号】特開2011−79953(P2011−79953A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233059(P2009−233059)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】