説明

冷暖房内張り二重膜流水カーテン

【課題】ウォーターカーテンを使用しているハウスで散水した水が内張りカーテンのみでなくハウス外張りの内面に付着することによる光線透過低下防止、およびスプリンクラーや灌水チューブで散水時に風が吹くことによる散水効果の低下を防止する。
【解決手段】被覆フイルム上設置用流水用具として適当な高さ位置の長手方向連続スリッター又は適当形有孔18加工し、可視光反射率50%以上を有し適当に遮光したものもあるポリオレフィン系樹脂製フイルムで構成した長手方向適当な係止部付又は左右両側に振り分け荷物状に設けたものもある適当な幅の灌水チューブ2を二重チューブ形状に覆った流水灌水チューブカバー1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は農業用ハウスの室温調節に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農業用ハウスの暖房機の代わりをする技術として、栃木県や宮城県の苺栽培で内張りカーテンの上に地下水を散水し、化石燃料不使用暖をとる栽培技法が確立されている。この技法には、スプリンクラーで大量に水を消費する欠点と鉄分を多く含んだ水を使用すると内張りカーテンが短期間に着色し透明フイルムが遮光フイルムになる欠点と大量に地下水を消費するために、地盤沈下が起き欠陥が指摘されている。夜間保温性を高める目的で内張りカーテン全体を散水するためにハウス外張り内面に散水した飛沫が付着し、特に鉄分含有量の多い水を使用すると、ハウスの外張フイルムを着色遮光する欠点があった。大量の水を無差別に散水すると、その重みで散水した水が内張りカーテンフレーム支柱と支柱の中央に集まって流れ、内張りカーテン上に温度の高い散水面と水の流れない低温面がフレーム支柱の数だけ存在した。この解決策として水量を更に多く散水し水膜面を増やす対応していたが増えなかった。冬季の厳寒期には、散水面が直接ハウス内の冷気にさらされるため、散水開始直後13℃の水温が散水終了後7度になるなど水温低下が大きく、保温効率が低い欠点があった。特許公開平8−151826の空気層内に水を流して保温する方法は、夜間保温性が高くなる効果は高いが、開閉ができないことと水質によるフイルムの赤化や藻の発生による緑化等で昼間の光線透過低下に問題があった。特許公開平9−125026のチューブダクトをサンドイッチした一体形のフイルム構成だけでは、無加温条件では慣行一重被覆に比較して最大2から3度程度夜間最低室温が高くなる程度で、無暖房栽培できる作物や期間は限られ、しかも短い問題があった。近年地球の温暖化に伴い晩春から初秋にかけて、ハウス施設内の高温化が問題となっておりその対策として遮光資材を用いることが多く、葉温を下げる効果は高いが、光線透過量が低下するので、栽培作物にとって有効な光合成低下など負の要因課題もあった。
【参考特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開平8−151826
【特許文献2】特許公開平9−125026
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、面状に流水する灌水器具を提供し、上述の課題を解決し、少量の水を用いて農業用ハウスから発生する暖房由来の炭酸ガス発生量と暖房油消費量を低温栽培作物で0、高温栽培作物で20から30パーセント以下にし、流水が再利用しやすい環境と同じ施設を用いて高温防止のできる暖冷房内張りカーテンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、第一の発明は、適当な灌水チューブを長手方向適当な長さ連続スリッター又は適当な形有孔加工をしたポリオレフィン系樹脂フイルムで二重チューブ形状に覆い、適当な係止部を設けた流水灌水チューブカバーを提供した。この流水灌水チューブカバーは可視光反射率40%以上、遮光率50%以上のフイルムを用いると直射日光暴露による灌水チューブの融着や熱劣化がなく望ましい。流水灌水チューブカバーは設置固定時、係止部を調節すれば長手方向同高さ位置に設置でき、連続有孔又はスリッター高さも一定になり、流水開始位置決めが容易に調節でき便利である。灌水チューブより灌水した水は流水灌水チューブカバー胴内面で跳ね返りカバー底に適量溜まり、ランダムに外部に飛び散ることなく連続有孔又はスリッター位置より方向性をもって灌水チューブの散水量だけ下面フイルム上に密着して面状に流れ出し、灌水でのハウス外張りフイルムやハウス内の水浸し課題を解決できる。下面フイルムの流水面を適当に界面活性剤又は吸水ポリマーを配しておくと流水と下面フイルムの密着性が増し、より面状に流水し、下面フイルム全体をムラなく濡れ状態にし保温性確保には望ましい。連続有孔又はスリッター位置を灌水チューブ収納位置より適当に高胴面位置に設けると、灌水した水は一旦底面に溜まり、胴面連続有孔又はスリッター位置まで溜まってから下面フイルム上に流出するので、長手方向流出時間ズレと遠近同時間流水が改善でき、灌水チューブ灌水の遠い程散水時間が遅れ、早く散水が終わる欠点改善にもなりより望ましい。係止部どうしを中央溶着し左右振り分け荷物形状にすると、山型支柱の場合、一回の被覆作業で左右設置でき、左右同時同量流水でき便利である。流水灌水チューブカバー設置は内張り被覆したカーテンフイルム又は外張りハウスの中央峰パイプ付近の両側に設けるので、その傾斜上面から裾端に向かって水膜形状となって流れ、被覆面全体を濡らして流れるので、水膜表面積が慣行ウォーターカーテンより少水量で広くなり、水利用の保温性及び気化熱による冷房効果が高くなる。又、慣行のスプリンクラーや灌水チューブ単用で風のある条件で散水すると、散水した水が風に煽られ、風下ばかりを散水する場面があるが、流水灌水チューブカバーでオーバーフローした流水はフイルムに密着して流れ、通常の風での影響を受けずに流水できる。このため、夏に使用すると水の気化熱作用面積が増し、流水での室温低下を高効率に行うことができる。冬季に室温より高水温の水を使用すると流水面温が高水温並みになり、内張りカーテン全体が温水膜となり、被覆内温度ムラが小さく、保温性の高い栽培作物にとって均一生産できる温度環境を提供でき、少量の水を内張りカーテン全体均一に流水し、冬季保温性が高く、夏季高温を回避する課題が解決できる。
【0006】
第二の発明は、下面フイルムの端末付近を適当に長手方向連続有孔にした流水灌水チューブカバー付農業用フイルムを提供した。このフイルムを使用すると、流水カバーより流れてきた水が巻き上げパイプ付近で堰止めされることがなくなり端末で完全に排水できるので、二枚重ねした二重膜の巻き上げ時、水が溜まって巻き上げフイルムが重くなり、流水ごと巻き込み巻き上げ蛇行を起こす課題を解決できる。下面フイルムと流水灌水チューブカバーの係止部を溶着すれば、灌水チューブ上を溶着することなく慣行の一枚どうしの溶着方法で下面フイルムに確実に溶着でき、使用場面では被覆作業が一回で済む利点があり便利である。流水灌水カバー付遮光フイルムにすると、夏の高温時、ハウス外張り上に直接被覆すると外張りフイルム上を滑って、少人数で簡便に被覆でき、農業ハウスの高くて足場の悪い場所に直接登っての設置作業が足場のよい妻面程度で済み、設置作業の安全性が高くなり、遮光による体感温度低下(葉温及び果実温低下)プラス流水による気化熱蒸散による室温低下効果が増し、遮光率が低くて遮熱評価の低い資材を用いても遮熱性の高い資材と同等の温度環境が得られ、栽培作物に適した光環境を作る効果も生まれる。
【0007】
第三の発明は、固定張りフイルムの裏面にV字形の排水樋を設け、そのV字の上に適当な排水穴を設けたV字形排水樋付固定張りフイルムの提供である。この排水樋付固定張りフイルムはV字形排水樋が内側になるように被覆し、二重膜フイルム幅端面より適当に両外側になるように妻面固定張りすると、慣行固定張りの形態で被覆でき、排水溝を有す妻面固定張りフイルムになり、V字形樋上の固定フイルムに適当な排水穴を連続であけてあるので、流水後、巻上げによるフイルムに付着した水が両側面に流れ出し内張りフレーム外に流れ出る水が、排水穴を通ってV字形排水樋に流れ込み、内張り支柱の傾斜に沿って内張りカーテン内に漏れることなくV字樋を通って、巻き上げ裾部に設けた排水樋に回収できる。この為、ハウスの両妻端が泥田ならず、足元が汚れず、清潔感がでて作業効率も向上し、流水の膜外流出問題が解決できる。又、慣行固定張りと同様、張りのよい被覆ができるので、二重膜フイルムとの隙間が生れ難く、下面フイルムと密着性のよい状態ができ、妻面からの室温低下要素が解決できる。
【0008】
第四の発明は、第三の発明V字形樋付固定農業用フイルムを両妻面に被覆し、その上に第一の発明係止部付流水灌水チューブカバーを固着した幅裾面適当な排水穴付下面フイルムを被覆し、その上に適当な送風管で連結した適当な折径のチューブダクト(以下骨チューブと称す)を適当な間隔で設け、その上に上面フイルムを設け、送風管よりの送風で膨らんだ骨チューブの膨らみ圧で、上面フイルムと下面フイルムを上下に分離し、骨チューブの膨らみ直径厚で二重支柱代わりの空気層を構成する(以下骨チューブ法と称す)方法を提供した。その環境下で流水灌水チューブカバーから流水すると骨チューブの膨らみ圧より、灌水チューブ圧の方がはるかに強いので、骨チューブが膨らんだ状態であっても流水が第一の発明同様に二重膜内を流れ、内張り外のハウス内室温の影響を直接受けることなく、上面フイルムに接触して熱伝導による放熱もなく流水するので、流し始めから終わりまでの水温低下差が小さく、効率の高い暖房効果を発揮し、15℃の地下水を利用すれば、栃木県や福島県で夜間平均室温10℃以上確保が可能になり、低温作物での加温設備が不要になる。高温作物では、加温時間の短縮や加温を必要とする温度が半分以下に減少するので、慣行暖房栽培の20から30パーセントの補助暖房程度で栽培が可能になり、暖房による炭酸ガス発生と化石燃料の大幅削減ができ、課題を解決できる。また万一流水不足が起こり、水切れが起こっても、空気層とフイルムに付着した水の影響で、急激な室温低下がなく、栽培作物への悪影響を最低限に抑えることができる。骨チューブは送風停止後、送風管を逆流して排気されるので、骨チューブとハウスが長い程排気時間が長くなり、タイムリーな開閉に適さないため、各骨チューブに排気口を設け、排気口に電磁弁又は送風で蓋をし、送風停止で開口する排気管を設けると、排気面積が倍になり短時間排気ができ、二重膜の開閉が一重並みの状態で開閉でき便利である。又、骨チューブ法の二重膜形成は、下面フイルムに空気孔があってチューブに穴があかない限り、空気層が形成できるので上下別、上下一体いずれでも開閉できる方法が選択でき、使用者にとって好都合である。二重支柱を設け、その上下にフイルムを被覆する方法(以下二重支柱法と称す)は二重支柱被覆フイルムの隙間をなくしておけば、空気層内空気の膜外移動を最小限にしての上面フイルム開閉ができ、保温性の高い空気層を有す二重膜になり、骨チューブ法と同程度の保温性を有し、ハウス内面に余裕がある場面には適した方法であり、この方法でも課題解決ができる。
【0009】
第五の発明は、上下面フイルム別々の巻き上げパイプを取り付けて、上下別開閉する方法にすると、高温時、上面フイルムのみ天面まで巻上げ、下面フイルムをハウス側面開放位置程度まで巻き上げ又は巻き込み、事前或いは事後に設けた適当な農業用フイルム構成の排水樋又は合成樹脂成型樋を設け、下面フイルム上を室温より低水温の水を流水する方法を提供した。流水で、下面フイルム周辺の熱が水の気化熱で低下し、下面フイルム内面温度も低下し、その影響で室内温の上昇が低下し、慣行方法に比べて1.2から2度程度の室温低下がおこる。下面フイルムを巻き込んだ状態で側面流水端末として固定すると、樋より漏れて流水した水が巻き上げ位置での水溜まりも起こることなく端末まで流水でき、確実に樋に回収にでき、栽培圃場を水浸しにしなくなる効果もある。更に防虫対策として適当な防虫ネットを内張り側面に設け、暖房時に設けたU字排水樋内に裾面を設け、下面フイルムを巻き込んで流水すれば、ネットを伝って流水が排水溝に流れ込み、ネットの持つ通気性とネットによる水膜表面積の増加で、気化熱効果が高くなり、ネット被覆による高温化課題と目合の小さい通気性の低いネット使用をしなくても、流水で虫の侵入が防げ、無農薬栽培推進の課題が同時に解決できる。上下面別開閉することで、冷暖房が同じ二重膜流水カーテンを用いて作ることができ高温低温対策課題が一度に解決ができる。
【0010】
第六の発明は、骨チューブに適当な送風口と排気口を二箇所設け、送風口を送風管チーズに取り付け、残りの排気口には送風停止で開口し、送風停止で開口する機能付の排気管を設けると、骨チューブ内空気が送風機へ逆流しての排気に加え、排気口からの排気もでき排気面積が倍増し、フイルム幅長さのチューブ内空気を短時間で自然排気できるようになり、巻き上げ開閉が慣行巻上げ並みの負荷で開閉できるようになる。巻上げ開閉時の送風管一箇所逆流排気よりも低負荷で排気作業ができ便利であり、慣行設備で巻き上げ開閉できる二重膜の課題解決を提供した。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果を以下箇条書きで記載する。
第一の効果は、地下水使用で化石燃料不使用の高低温調節できる農業用ハウスになり、炭酸ガスの大気排出がなく、ランニングコストのかからない低原価栽培ができる。
第二の効果は、低温作物では無暖房で、高温作物では内張りカーテンの二重空気膜効果で、暖房開始時期を遅延でき、暖房終結時期を早くできるので流水期間の短縮、補助暖房での化石燃料使用期間も短縮し、化石燃料使用を最小限にした栽培ができ、農業栽培での炭酸ガス発生を慣行の20%以下に削減できる。
第三の効果は、二重膜と地下水膜内流水で二重膜カーテン内の室温ムラが小さくなり、栽培作物の生育ムラが減少する。
第四の効果は、流水二重膜が開閉できるので、カーテン内の光線透過低下及び室温管理がタイムリーにでき、高温期は上面フイルムのみを巻き上げて下面フイルム上を流水するので流水による気化熱作用での室温低下が図れ、作物栽培に適した栽培環境を提供できる。
第五の効果は、側面周囲を防虫ネット被覆したハウス屋根に流水カバー付フイルムを設けると、屋根面流水での室温低下効果と防虫ネットを伝って流れ落ちる流水がネットの通気で気化熱効果が高くなり、ハウス内室温低下がより多角なり、ネット被覆によるハウス内高温化課題を解決する効果があり、流水している間は飛来害虫もネット周辺に近寄らない効果もある。
第六の効果は、二重膜内を流水するので、散水飛沫による外張り被覆資材内面への鉄成分付着後の酸化着色による光線透過低下がなく、低温期内張りフイルム上を流れる始終水温差が小さくなり、流水時ハウス内の埃等の混入が遮断できるので、流水再利用時の加温が少なくてよく、不純物混入がないので水循環方式に適した方式になり、地下水かけ流しの欠点を改善できる。
【実施例】
【0012】
単棟パイプハウス内に内張り支柱を設け、その中央支柱に1.8m間隔にチーズを設けた30ミリ径鉄パイプを設け、その両妻端より50センチ中央より位置に、内張り支柱に平行になったV字形排水溝付75ミクロン厚の農POフイルムを長さ1.5m被覆固定した。その排水溝位置より内側に流水灌水チューブカバー付の75ミクロン厚の農POフイルムを二重膜下面フイルムとして被覆し、流水灌水チューブカバーの係止部を30ミリ径鉄パイプに重ねてパッカーで固定し、その上に1.8m間隔幅方向に中央送風口付きの折幅40センチの骨チューブを設け、30ミリ鉄パイプに取り付けたチーズに骨チューブの送風口を取り付けた。その上に75ミクロン厚農POフイルムを二重膜上面フイルムとして被覆し、両側面に設けた巻上げパイプに下面フイルムと上面フイルムの中間に骨チューブと重ねてパッカーで固定した。側面裾は、適当な農POフイルムを内張り支柱に片側パッカー固定し、長手方向U字形状にして樋とし、巻き上げパイプが樋内に少し入るようにした。40ミリ鉄パイプの先端は適当な送風管で延長して送風機を取り付けた。流水カバー内の灌水チューブに地下水の送水管を設け、冬季17時から翌朝8時迄タイマーを用いて送水し、同時に送風も開始した。このとき水温15度、最低外気温零下3度条件で室内温が夜間平均9.5度、最低室温8度の確保ができた。二重膜は骨チューブ内圧60パスカル以上にすると流水で密着した内外フイルムを容易に引き剥がして平均20センチ厚の空気層を作った。換気時は送水、送風停止後、外側内側の順で巻き上げ開閉を行った。外面フイルムと骨チューブの開閉は骨チューブ内空気排気に送風停止で開口する電磁弁を排気口に配し、排気促進を図り、開閉をおこなった。内面フイルム巻上げ時はフイルム表面に付着した水が両側面に固定したフイルムにこぼれた水を排水溝の孔から回収した。また、送水時下面フイルム面を流れた水は裾面U字排水樋フイルムで回収し、施設外に放出した。夏季は、骨チューブと外面フイルム一体で内張り天面まで巻き上げ、内面フイルムをハウス側面換気する高さ迄巻き込んで、ハウス内の通気に支障のない条件にして、高温時間のみ流水し光を透し室温が1.5度低下する結果であった。この結果、灌水量は2リットル/mで冬季保温、夏季室温低下を図れる二重膜流水内張りカーテンになる温度条件を得た。この結果は、栃木県宮城県の栽培温度条件と比べて遜色なく、低温作物である苺であれば、冬季無加温栽培できる温度で、トマト栽培では3度程度の加温増で栽培できる室温であり、高温作物では補助暖房で栽培可能な結果であった。
【0013】
福島県いわき市で、ハウスの内張りカーテンを二重支柱にし、上面フイルムに農POフイルム50ミクロン厚、下面フイルムに流水灌水カバー付農POフイルム75ミクロン厚を被覆し、上面フイルムを天井まで巻き上げて、下面フイルムをハウス側面換気する高さまで巻き込んで、夏の高温時、下面フイルム上を流水すると巻き込みによるフイルムの張りが増し、流水が均一に流れる傾向が見られ、外気温27度条件時、水温25度の流水で34度の室温が32.3度になり、夏季の高温を防ぐ効果であった。冬季は両妻面二重支柱の空間を農POフイルムで上部支柱より垂らして被覆し二重支柱による空間を塞いで、下面フイルム巻上げ時以外は隙間を塞ぐ形状にし、水温13度の地下水を流し17時から翌朝7時までの夜間室温を測定した。外気温零下5度条件で夜間平均室温8度以上が確保でき、最低温度も6度は確保できる結果であり、宮城県の苺栽培程度の室温確保ができ、冬季に無加温で栽培できる温度確保ができた。以上の方法をとればできる内張りカーテンとして周年利用できることが確認できた。
【産業上他の利用可能性】
【0014】
流水灌水チューブカバーを慣行の灌水に使用すると、以下箇条書きの効果が考えられる。
第一の効果は、灌水した水が土全体に面状態になって灌水できるので灌水ムラがなくなる。
第二の効果は、灌水した水が飛び散ることなく灌水できるので、泥跳ねした水が作物の葉かからずこの影響での病気発生がなくなる。第三の効用は、灌水チューブより出た水が、流水カバー下面に溜まって、水が流れるので溜まるまでの時間差で、遠近同時灌水が可能になり、しかも長い距離灌水できるようになる。以上の効果が期待でき、慣行灌水チューブの欠点改善ができる。
適当な遮光フイルムに流水灌水カバーを固着したフイルムを用いれば、外張りハウスの上に上ることなく、流水が可能になり、遮光プラス流水活用ができ、ハウス内の高温寡日照を防ぐことが容易になる。又、低遮光率にして高遮光と同程度の被覆内面温度にすることも可能で、近年の高温化に適した利用場面がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】A流水灌水チューブカバー斜視図 B流水灌水チューブカバー左右振り分け形状斜視図
【図2】骨チューブ二重膜空気層内の下面フイルム上を流水し、室内暖房中の骨チューブ方式内張り二重膜流水カーテン斜視図。
【図3】上面フイルムと骨チューブを天面迄巻き上げて、下面フイルムをハウスの肩口高さ迄巻き上げ、その上を流水し、室温低下中の骨チューブ方式内張り二重膜流水カーテン斜視図。
【図4】、上面フイルムを天面迄巻き上げて、下面フイルムを側面防虫ネット高さ迄巻き込み、その上を流水し、室温低下中の二重支柱方式内張り二重膜流水カーテン斜視図。
【図6】流水灌水チューブカバー付農業用フイルム斜視図
【図7】V字形排水溝付妻面固定フイルム斜視図
【図8】骨チューブ及び蓋チューブ斜視図
【符号の説明】
【0016】
1 流水カバーフイルム
2 灌水チューブ
3 骨チューブ
4 二重膜上面フイルム
5 二重膜下面フイルム
6 V字形排水樋付妻面固定フイルム
7 U字形排水樋
8 送風管ジョイントチーズ
9 流水カバー固定押え具
10 骨チューブ送風管
11 送風機
12 排水溝フイルム
13 送水管
14 巻き上げ開閉機具
16 二重膜固定押え具
17 内張りカーテン支柱
18 流水スリッター孔又は有孔穴
19 流水カバー係止部
20 送風口
21 V字形排水樋排水穴
22 内張りカーテン外側二重支柱
23 防虫ネット
24 排気口
25 開閉弁付排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適当なポリオレフィン系合成樹脂製の灌水チューブを、長手方向に適当な長さ連続スリッター又は適当な連続孔を適当な位置に設けた可視光反射率50パーセント以上のものもあるポリオレフィン系合成樹脂製フイルムで覆った二重チューブ形状を有す、適当幅の係止部付又は左右適当に振り分け荷物状に設けたものもある流水灌水チューブカバー。
【請求項2】
長手方向端末付近に適当な連続有孔又はスリッターを設けたものもある農業用フイルムに請求項1記載の流水灌水チューブカバーを長手方向適当な位置に直付した構造の流水灌水チューブカバー付農業用フイルム。
【請求項3】
適当な農業用フイルムの適当な位置に断面V字形の排水樋を適当なフイルムで溶着し、そのV字形排水樋直上に適当な排水穴を設けた排水樋付農業用フイルム。
【請求項4】
請求項3記載の排水溝付農業用フイルムを両妻面に設け、その上に重ねて適当な農業用フイルムと請求項1記載の流水灌水チューブカバーを適当な位置に設け或いは請求項2記載の流水灌水チューブカバー付農業用フイルムを二重被覆下面フイルムとして設け、内張り二重支柱の外支柱上又は適当な間隔で適当な折径の支柱代用チューブダクトを設けた上又は適当な送風備えをした下面フイルムの上に適当な農業用フイルムを二重膜上面フイルムとして設け、被覆又は適当な送風で空気層形成をして慣行開閉器具で上下面別又は上下面一体に開閉して二重膜空気層を繰り返し形成し、その層内下面フイルム上を少なくとも室温より高水温水を流水して室内暖房を図る暖房用内張り二重膜流水カーテン。
【請求項5】
請求項4記載の内張りカーテン支柱の適当な位置に排水樋用農業用フイルム又は着脱自在の適当な樋を設け、適当な通気が確保できる側面の高さ位置に適当な防虫ネットを設けたものもあり、二重被覆上面フイルムを適当に収納して、下面フイルムを排水桶高さ位置又は防虫ネットの高さ位置まで適当に巻き上げ又は巻き込みを行い、高温時下面フイルム上に室温より低水温水を流水し冷房も行い、上下面別開閉で適時請求項4記載形態に戻し、暖冷房を繰り返し行える内張り二重膜流水カーテン。
【請求項6】
送風開始で閉口し送風停止で開口する適当な排気管を設け、送風口と排気口を設けた請求項4記載の合成樹脂製チューブダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−182767(P2011−182767A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68856(P2010−68856)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(508260854)
【Fターム(参考)】