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冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルム
説明

冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルム

【課題】二軸延伸ナイロンフィルムを主要基材とする冷間成形タイプの電池用包材において、あらゆる金型形状や成形深さの冷間成形加工時においてもアルミニウム箔の破断やピンホール等の発生が無く、安定した成形性を確保することを目的としている。
【解決手段】
ナイロン樹脂原料100重量部に対して無機フィラーを0.15〜1重量部配合することにより、0.1MPa圧力下におけるフィルム対金属の動摩擦係数を0.20以下に制御した二軸延伸ナイロンフィルムを冷間成形用包材、特にリチウムイオン二次電池等の電池ケース用包材の主要基材として用いることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は成形性の良好な冷間成形用基材に関する。特にリチウムイオン二次電池等の電池ケース用包材の主要基材として好適に用いられる、冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、燃料電池等、または液体、固体セラミック、有機物等の誘電体を含む液体コンデンサ、固体コンデンサ、二重層コンデンサ等の電解型コンデンサ等の化学的エネルギーを電気的エネルギーに変換する素子を含む種々の電池が、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に広く用いられている。これらの電池用外装体としては、金属をプレス加工して円筒状または直方体状に容器化した金属製缶、あるいは、プラスチックフィルム、金属箔等をラミネートして得られる積層体を袋状にしたもの(以下、外装体)が用いられていた。
【0003】
しかしながら、電池の外装体のうち、金属製缶タイプにおいては、容器外壁がリジッドであるため、ハード側を電池の形状に合わせて設計する必要があり、形状の自由度がなくなるという問題があった。また、金属製缶タイプは容器自体が厚いため、長時間使用時など電池が発熱した場合に放熱しにくいという欠点もあった。一方、積層体タイプは、金属端子の取出し易さや密封のし易さ、あるいは柔軟性を有するため、電子機器や電子部品の適当な空間に合わせた形状とすることができ、電子機器や電子部品自体の形状をある程度自由に設計することができる。さらに、薄膜で放熱性にも優れているため、発熱による異常放電を防止することも可能である。よって、積層体タイプは金属製缶タイプに比べて小型化、軽量化を図りやすい、および安全性が高い等の利点から、電池用外装体として主流になりつつある。
【0004】
積層体タイプの外装体を用いたリチウム電池の形態としては、包材を筒状に加工し、リチウム電池本体および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封した袋タイプ(たとえば、特許文献1の図2参照)と、包材を容器状に成形し、この容器内にリチウム電池本体および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、平板状の包材ないし容器状に成形した包材で被覆すると共に、四周縁を熱接着して密封した成形タイプ(たとえば、特許文献1の図3参照)が知られている。
【0005】
そして、成形タイプは袋タイプに比べて、電池本体をタイト(ぴったりとした状態)に収納することができるため、体積エネルギー密度を向上させることができると共に、リチウム電池本体の収納がし易いなどの利点がある。さらに、成形タイプのうち、冷間(常温)成形法は、加熱成形法に比べて加熱による強度物性の低下や熱収縮の発生など成形加工時に包材自体の特性が変化する危険性が低く、さらに成形装置も安価で、簡便であるとともに生産性も高いことから、現在主流の成形方法となっている。
【0006】
電池用外装体に要求される物性・機能としては、高度な防湿性、密封性、耐突刺性、耐ピンホール性、絶縁性、耐熱・耐寒性、耐電解質性(耐電解液性)、耐腐蝕性(電解質の劣化や加水分解により発生するフッ酸に対する耐性)等が必要不可欠であり、特に防湿性は重要な要素となる。しかしながら、積層体タイプ、特に冷間成形タイプにおいて、金属箔として一般的に用いられるアルミニウム箔は成形性に優れる反面、成形時に生じる不均一変形によりピンホールやクラックが生じ易いという問題があり、シャープな形状で深く安定して成形するという成形安定性の点において改善の余地があった。
【0007】
以上、積層体タイプ、特に冷間成形タイプの電池用外装体の主たる品質的な課題、すなわち優れた冷間成形性の確保に関してこれまで種々の提案がなされている。優れた冷間成形性を確保する方法として、例えば特許文献2、および特許文献3のように、基材層表面に脂肪酸アマイド系、あるいはシリコーンオイル系の滑り性付与成分をコーティングして摩擦係数を制御することにより、成形時に金型内への滑り込みを良くして成形性を改善する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−74419号公報
【特許文献2】特開2002−216714号公報
【特許文献3】特開2002−56823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、筆者らの検討によると、滑り性付与成分をコーティングする方法は、基材層表面の滑り性を上げることにより冷間成形性は向上するものの、限定的な効果に留まるものであった。また、コーティングする工程を新たに設けなければならず、生産性が低下するという問題があった。また、電池の真空脱気時やシール加工時に滑り性付与成分が蒸発して、この蒸発成分が加工設備に付着するため、これらを除去する清掃作業が必要になることから、生産性がさらに低下する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意研究の結果、JISK7125に準じて測定される摩擦係数のように、低圧力下における滑り性は冷間成形性にそれほど影響せず、高圧力下におけるフィルムと金属製金型表面との滑り性を向上させることで冷間成形性を大きく改善できることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
(1)0.1MPa圧力下におけるフィルム対金属の動摩擦係数が0.20以下であることを特徴とする冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルム。
(2)ナイロン樹脂100重量部に対し、無機フィラーを0.15〜1重量部配合してなることを特徴とする前項(1)記載の冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルム。
(3)少なくとも基材層、バリア層、シーラント層により形成された冷間成形用電池ケース包材において、前記基材層として、前項(1)または(2)に記載の冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルムを用いることを特徴とする冷間成形用電池ケース包材。
(4)前項(3)に記載の冷間成形用電池ケース包材を使用し、シーラント層が内面になるように張り出し成形、または深絞り成形して凹部分を形成した電池ケース。
(5)前項(4)に記載の電池ケースの凹部分に電池本体を収納し、密封されていることを特徴とする電池。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルムに関して、ナイロン樹脂に対し無機フィラーを添加するなどして、0.1MPa圧力下におけるフィルム対金属の動摩擦係数を0.20以下に制御した二軸延伸ナイロンフィルムを冷間成形用包材、特にリチウムイオン二次電池等の電池ケース用包材の主要基材として用いることにより、あらゆる金型形状や成形深さの冷間成形加工時においてもアルミニウム箔の破断やピンホール等の発生が無く、安定した成形性を確保することが可能となった。また、従来技術のように、滑り性付与成分をコーティングしなくても優れた成形性を確保できるので生産性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<二軸延伸ナイロンフィルムの原料> 本発明の二軸本発明の二軸延伸ナイロンフィルムのナイロン樹脂原料は、ポリアミド系樹脂であれば特に限定されるものでは無い。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6,66,12共重合体、その他ポリアミド系共重合体、ナイロンMXD6、アラミド、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリマレイミドアミン(PMIA)、ポリアミノビスマレイミド(PABM)などが挙げられるが、生産性や冷間成形性、強度物性を主としたフィルム物性の観点からナイロン6がもっとも好ましい。また、ナイロン6原料において、数平均分子量は10000〜30000が好ましく、特に好ましくは22000〜24000である。数平均分子量が10000未満の場合、得られたONyフィルムの衝撃強度や引張強度が不十分である。また数平均分子量が30000より大きい場合、分子鎖の絡み合いが著しく、延伸加工により過度なひずみが生じるため、延伸加工時に破断やパンクが頻繁に発生し、安定的に生産出来ない。
【0014】
本発明の高圧下における滑り性が改良された冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルムは、ナイロン樹脂に無機フィラーを配合することによって達成される。無機フィラーとしては、通常使用されているものから適宜選んで用いることができ、シリカやモンモリロナイトなどが挙げられる。これらはフィルム表面に硬い突起を形成させ、高圧力下でも変形や破壊すること無く、冷間成形時にステンレス等の金属製金型表面とフィルム表面との滑り性を向上させることが出来る。無機フィラーの形状は特に限定されないが、粉末状、粒子状、フレーク状、板状、繊維状、針状、クロス状、マット状、その他如何なる形状のものであってもよいが、粒子状、板状が好ましい。
【0015】
粒子は樹脂への分散性の向上やフィルムからの脱落を防止する目的として、適宜表面処理を行うことができる。例えばシランカップリング剤等により処理され表面を改質する。シランカップリング剤としては、一般にアミノ基あるいはエポキシ基、メルカプト基、イソシアナト基、水酸基等を含有するアルコキシシラン化合物を挙げることができる。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノジチオプロピルトリヒドロキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノプロピル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)−エチレンジアミン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシラン等のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0016】
無機フィラーの平均粒径は、0.3〜10μmであることが好ましい。10μm以上の粒径を有する粒子を実質的に含まないことが望ましく、ゲルが発生しフィルム外観を損ねるばかりかフィルム製膜工程でのフィルム切れを起こしやすく、操業性を低下させる原因となる。一方、平均粒径が0.3μm未満であると、フィルム表面に有効な突起が形成されにくく、本発明の摩擦係数を達成できない場合がある。フィラー粒子の具体例として、ゲルタイプシリカ、沈降タイプシリカ、球状シリカ等のシリカ、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ゼオライト、マイカ、ガラスフレーク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカ、モンモリロナイトが高圧下での滑り性が高く、好ましい。またこれらを2種あるいはそれ以上使用しても構わない。
【0017】
無機フィラーの配合量は、ナイロン樹脂100重量部に対して0.15〜1重量部である。配合量が0.15重量部より少ない場合、高圧力下における滑り性が十分では無く、冷間成形性の向上への効果は小さい。また配合量が1重量部より多いと二軸延伸ナイロンフィルム製造工程でのフィルムの切断を起こしやすくなるばかりでなく、冷間成形用基材として用いた場合、ピンホールやクラックの原因となる。なお本発明の無機フィラーの配合量はその効果の発現機構から、実質的に表層の量を規定するものであり、多層で押し出して二軸延伸ナイロンフィルムを製造する場合、芯層の無機フィラーの存在は必要ではない。本発明の二軸延伸ナイロンフィルムは、経済的観点、フィルム強度の観点からも多層構成とし表層に無機フィラーが存在し、それ以外は無機フィラーは配合されていないことが好ましい。なお、無機フィラーのその他の効果としては、フィルムの突起が形成されることによりフィルム同士のブロッキングを防止し、ロール巻き取り時のシワの低減やハンドリングを向上させる等が挙げられる。
【0018】
無機フィラー以外の種々の添加剤、例えばスリップ剤や帯電防止剤、酸化防止剤等は必要に応じ、物性に支障をきたさない範囲で加えてもさしつかえ無い。スリップ剤としては、例えば、酸アミドや飽和又は不飽和脂肪酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、ヒドロキシ飽和又は不飽和脂肪酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらのスリップ剤はフィルム表面にブリードして表面エネルギーを低下させて滑り性を向上させる効果を持つ。
【0019】
<二軸延伸ナイロンフィルムの製造方法> 本発明の二軸延伸ナイロンフィルムは、前記ポリアミド系原料のいずれかから構成される未延伸原反フィルムに対して、MD、およびTDそれぞれ延伸倍率が2.8〜4.0倍となる条件で二軸延伸加工を施した後、185〜215℃の温度条件で熱処理することにより得られる。延伸倍率は、MD、およびTDそれぞれ2.8〜4.0倍の範囲であることが好ましく、特に好ましくは3.0〜3.4倍の範囲である。延伸倍率が2.8倍未満である場合、得られた二軸延伸ナイロンフィルムの衝撃強度や引張強度が不十分である。また4.0倍以上の場合、延伸により過度な分子鎖のひずみが発生するため、延伸加工時に破断やパンクが頻繁に発生し、安定的に生産出来ない。二軸延伸方式としては、例えばチューブラー方式やテンター方式による同時二軸延伸、あるいは逐次二軸延伸が挙げられるが、縦横の強度バランスの点で、チューブラー法による同時二軸延伸が好ましい。このように二軸延伸加工を施すことにより、特に強度物性が飛躍的に向上し、冷間成形性に優れた二軸延伸ナイロンフィルムを得ることが出来る。
【0020】
得られた延伸フィルムを熱ロール方式またはテンター方式、あるいはそれらを組み合わせた熱処理設備に任意の時間投入し、185〜215℃、特に好ましくは190〜210℃で熱処理を行うことにより、本発明の二軸延伸ナイロンフィルムを得ることができる。熱処理温度が215℃よりも高い場合は、ボーイング現象が大きくなり過ぎて幅方向での異方性が増加する、または結晶化度が高くなり過ぎるため強度物性が低下してしまう。一方、熱処理温度が185℃よりも低い場合は、フィルムの熱寸法安定性が大きく低下するため、ラミネート加工時にフィルムが縮み易くなる、あるいは冷間成形後、ヒートシールして密閉する工程でデラミネーションが発生し易くなるため、実用上問題が生じる。
【0021】
二軸延伸ナイロンフィルムの厚みは、5〜50μm、より好ましくは10〜30μmであることが好ましい。厚みが5μmよりも小さい場合は、ラミネート包材の耐衝撃性が低くなり、冷間成形性が不十分となる。一方、50μmを超えると形状維持の強度は向上するものの、特に破断防止や成形性の向上への効果は小さく、体積エネルギー密度を低下させるだけである。
【0022】
0.1MPaにおけるフィルム対金属の動摩擦係数を0.20以下に制御することにより、冷間成形時に積層体が金型内へスムーズに滑り込むことが出来るようになり、成形性を向上させることができる。動摩擦係数が0.20より大きくなると、成形時に金属製金型表面とフィルム表面との滑り性が悪くなり、応力集中によりバリア層であるアルミニウム箔の破断やピンホールが発生しやすくなるため好ましくない。なお、冷間成形初期に積層体が金型内へ滑り込む際、フィルム表面に加わる圧力は少なくとも0.05MPa以上であり、当該圧力下におけるフィルムと金属表面との滑り性が成形性に大きく影響すると言える。
【0023】
<ラミネート包材の構成> ラミネート包材は、前記した二軸延伸ナイロンフィルムの少なくともいずれか一方の面に、1層あるいは2層以上他の基材を積層して構成されている。具体的に、他基材としては、高い防湿性を付与するための純アルミニウム箔またはアルミニウム−鉄系合金の軟質材からなるアルミニウム箔層、および密封性や耐薬品性を付与するためのポリエチレン、ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレン、エチレン―アクリレート共重合体、アイオノマー樹脂、ポリ塩化ビニル等の未延伸フィルムからなるヒートシール層が挙げられる。
【0024】
二軸延伸ナイロンフィルムを含むラミネート基材の総厚みは200μm以下であることが好ましい。厚みが200μmを超える場合、冷間成形によるコーナー部の成形が困難となり、シャープな形状の成形品が得られない場合がある。
【0025】
アルミニウム箔層の厚みは20〜100μmであることが好ましい。これにより、成形品の形状を良好に保持することが可能となり、また酸素や水分等が包材内へ侵入することを防止できる。アルミニウム箔層の厚みが20μm未満である場合、ラミネート包材の冷間成形時にアルミニウム箔層の破断が生じ易く、また、破断しない場合でもピンホール等が発生し易くなるため、包材中に酸素や水分等が侵入してしまう場合がある。一方、アルミニウム箔層の厚みが100μmを超える場合、冷間成形時の破断やピンホール発生防止の効果も大きく改善されるわけではなく、総厚みが厚くなるだけで好ましくない。
【実施例】
【0026】
以下に実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。
実施例1 <二軸延伸ナイロンフィルムの製造> ナイロン樹脂原料100重量部に対して無機フィラーとして球状シリカ(平均粒子径2.0μm)を0.15重量部、撥水剤としてエチレンビスステアリン酸ナトリウムを0.07重量部均一にブレンドしたナイロン6ペレット(相対粘度3.48)を押出機中、255℃で溶融混練した後、溶融物をダイスから円筒状のフィルムとして押出し、引き続き水で急冷して原反フィルムを作製した。次に、図1に示したように、この原反フィルムを一対の低速ニップロール1間に挿通した後、中に空気を圧入しながらヒーター2、およびヒーター3で加熱すると共に、延伸終了点にエアーリング4よりエアーを吹き付けることにより、チューブラー法によるMD、およびTD同時二軸延伸フィルム5を得た。延伸倍率は、MDが3.0倍、TDが3.2倍であった。次に、この延伸フィルム5を熱ロール式、およびテンター式熱処理設備にそれぞれ投入し、210℃で熱処理を施すことにより二軸延伸ナイロンフィルムを得た。なお、二軸延伸ナイロンフィルムの厚みは15μmであった。
【0027】
<二軸延伸ナイロンフィルムの高圧力下における動摩擦係数の評価方法> 二軸延伸ナイロンフィルムの高圧力下における動摩擦係数の測定は、東洋精機製-摩擦測定機(TR−2)を使用し、0.1MPa(スレッド質量2.2kg、接触面積1.9cm)の圧力下で、スレッド移動速度150mm/min.にて実施した。圧力条件以外はJISK7125(プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法)に準じて測定を行った。二軸延伸ナイロンフィルムは、23℃×50%の環境下で2時間調湿後、フィルム対金属(ステンレス製)について測定し、動摩擦係数を求めた。
【0028】
<冷間成形性、デラミネーションの発生状況評価方法> 二軸延伸ナイロンフィルムを含むラミネート包材の冷間成形性を評価した。具体的には、まず得られた二軸延伸ナイロンフィルムを基材層とし、アルミニウム箔(AA8079−O材、厚み32μm)、および未延伸ポリプロピレンフィルム〔パイレンフィルムCT−P1128(商品名)、東洋紡績製、厚み30μm〕をそれぞれドライラミネート(ドライ塗布量4.0g/m)することによりラミネート包材を得た。なお、ドライラミネート用の接着剤としては、東洋モートン(株)TM−K55/東洋モートン(株)CAT−10(配合比100/8)を用いた。また、ドライラミネート後のラミネート包材は、60℃で72時間エージングを行った。このようにして得られたラミネート包材は、23℃×50%の環境下で2時間調湿後、圧縮用金型(38mm×38mm)を用いて、未延伸ポリプロピレンフィルム側から最大圧力1.0MPaで冷間(常温)にて成形し、ピンホールやクラックなどの欠陥が発生しない最高成形高さを0.1mmピッチで評価した。
【0029】
実施例2 実施例1において、ナイロン樹脂原料100重量部に対するシリカの配合量を0.25重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
【0030】
実施例3 実施例1において、ナイロン樹脂原料100重量部に対する無機フィラーの配合量を0.5重量部、無機フィラーとしてモンモリロナイトを用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0031】
比較例1 実施例1において、無機フィラーを添加しない以外は実施例1と同様に行った。
【0032】
比較例2 実施例1において、ナイロン樹脂原料100重量部に対する無機フィラーの配合量を0.09重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
【0033】
比較例3 実施例1において、基材層である二軸延伸ナイロンフィルムとして、ユニチカ製エンブレムNH(フィルム厚み15μm)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0034】
表1に示すように、ナイロン樹脂原料100重量部に対して無機フィラーを0.15〜1重量部配合することにより、0.1MPa圧力下におけるフィルム対金属の動摩擦係数を0.20以下に制御した二軸延伸ナイロンフィルムを冷間成形用包材の主要基材として用いた実施例1、実施例2、および実施例3では冷間成形性の向上を確認することが出来た。一方、0.1MPa圧力下におけるフィルム対金属の動摩擦係数が0.20より大きい比較例1、比較例2、および比較例3では、成形性の向上は見られなかった。なお、冷間成形性の指標である最高成形高さの数値は、金型の形状等の条件によって異なってくるが、同じ条件で成形し測定した場合は、0.1mmの差でも実際の有用性に差が出てくる。
【0035】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のラミネート包材は、張出し成形、または深絞り成形などの冷間(常温)成形法により加工可能な性能を有する包材であり、包材総厚みが薄いにもかかわらず強度が大きいため、シャープな成形が可能であり、かつ成形時にアルミニウム箔の破断やピンホールの発生を防止したラミネート包材である。本発明のラミネート包材が使用される分野、および用途としては、特に腐食性の高い電解液を使用し、かつ水分や酸素の侵入を極度に嫌うリチウムイオン二次電池の電池ケース用包材にもっとも適しているが、それ以外の軽量化、小型化を必要とする一次電池、二次電池などにおいても、電池ケースとして軽量で、シャープな形状の成形性が要求される場合に使用可能である。また電池用包材以外としては、ヒートシール性、耐薬品性、成形性などに優れているため、医薬品、化粧品、写真用薬品その他腐食性の強い有機溶剤を含む内容物のための容器用材料としても利用可能な包材である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】二軸延伸ナイロンフィルムを製造するチューブラー延伸装置の工程図。
【符号の説明】
【0038】
1 チューブラー延伸装置のニップロール
2 チューブラー延伸装置の予熱ヒーター
3 チューブラー延伸装置の主熱ヒーター
4 チューブラー延伸装置の冷却エアーリング
5 チューブラー延伸時のフィルム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1MPa圧力下におけるフィルム対金属の動摩擦係数が0.20以下であることを特徴とする冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルム。
【請求項2】
ナイロン樹脂100重量部に対し、無機フィラーを0.15〜1重量部配合してなることを特徴とする請求項1記載の冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルム。
【請求項3】
少なくとも基材層、バリア層、シーラント層により形成された冷間成形用電池ケース包材において、前記基材層として、請求項1または請求項2に記載の冷間成形用二軸延伸ナイロンフィルムを用いることを特徴とする冷間成形用電池ケース包材。
【請求項4】
請求項3に記載の冷間成形用電池ケース包材を使用し、シーラント層が内面になるように張り出し成形、または深絞り成形して凹部分を形成した電池ケース。
【請求項5】
請求項4に記載の電池ケースの凹部分に電池本体を収納し、密封されていることを特徴とする電池。


【図1】
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【公開番号】特開2011−213929(P2011−213929A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84849(P2010−84849)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000142252)株式会社興人 (182)
【Fターム(参考)】