説明

冷陰極蛍光ランプ用電極及びその製造方法

【課題】リード線とガラスビーズの接合強度が改善された冷陰極蛍光ランプ用電極を提供する。
【解決手段】電極部1と、インナーリード部2a及びアウターリード部2bを有し、該電極1の端部に接続されたリード部2とを備えた冷陰極蛍光ランプ用電極であって、インナーリード部2aは少なくとも表面側が鉄含有金属製であり、インナーリード部2aの外周にはガラス部3が接合されており、ガラス部3はインナーリード部2aとの界面から内側に向かって平均厚みが5〜25μmのFe拡散層を有しており、Fe拡散層はFe高濃度層とそれより内側にあるFe低濃度層に分かれており、Fe高濃度層の平均厚みが1〜4μmであり、ガラス部とインナーリード部との界面の断面をSEM観察したときに、界面が形成するガラス部とインナーリード部との境界線の長さ100μm当たりのインナーリード部への深さ3μm以上の凹部の数が平均して4個以下である冷陰極蛍光ランプ用電極。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)用電極及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイや液晶テレビを始めとする液晶表示装置(LCD)には、表示画面を照明するためのバックライトが組み込まれており、このバックライトの光源として冷陰極蛍光ランプが一般的に用いられている。また、冷陰極蛍光ランプはスキャナーの読み取り光源、複写機の原稿照射用光源、及び電子看板の導光板光源などとしても使用されている。
【0003】
冷陰極蛍光ランプは、蛍光体が内面に塗布され、水銀及び希ガスが充填された円筒状のガラス管と、ガラス管の両端に装着される一対の電極とを備える。代表的には、電極は、有底カップ状の電極部と、電極部の底部に接続されたリード線を備える。リード線はインナーリード線とアウターリード線から構成されており、インナーリード線はガラス管の内側に配置される一方で、アウターリード線はガラス管の外に配置される。ガラス管との密着性を向上させるため、インナーリード線の外周にはガラスビーズが接合される。このガラスビーズはインナーリード線と共にガラス管内に挿入されて加熱融着されることにより、ガラス管内の気密性が保たれる。
【0004】
ここで、リード線とガラスビーズの接合が不十分であると、ガラス管の封止部分に空隙ができ、ここから空気や水蒸気などが進入し、またガラス管内に充填されたガスが漏洩する。その結果、蛍光ランプの寿命が短くなるという不具合が生じる。従って、リード線とガラスビーズは高い接合強度が求められる。
【0005】
リード線とガラスビーズの接合性を向上させる方法としては、これまでリード部の外周を加熱し、リード部の表面に酸化膜を形成する方法が知られている。例えば、特開平11−238489号公報(特許文献1)には、リード線の封着予定部分を酸素バーナーなどで加熱し、リード線の表面に1.0〜3.0μmの膜厚の酸化膜を設けることで、ガラスとの濡れがよく気密に接合されることが記載されている。また、特開2003−229060号公報(特許文献2)では、線材を大気中でバーナーによって約600℃〜1000℃に加熱することで、酸化膜を形成している。
【0006】
更に、特開2008−130396号公報(特許文献3)では、リード部の少なくとも表面側を鉄含有金属で構成し、酸化性雰囲気でリード部を加熱して酸化膜を形成する酸化性工程と、酸化性工程後に非酸化性雰囲気でリード部を加熱して、酸化膜中にFeOを生成する非酸化性工程を行う二段階加熱方法が記載されている(請求項4等)。一段目の加熱ではFe23やFe34の酸化膜が形成され、二段目の加熱でこの酸化膜中にリード部の構成元素であるFeが拡散し、この拡散により酸化膜中のFeの原子比率が高められて、膜中にFeOが形成される。FeOを含有する酸化膜は、Fe23及びFe34からなる酸化膜と比較して、ガラス部との接合強度が向上することが記載されている(段落0009)。酸化膜の厚さは、1μm以上10μm未満が好ましいとされる(段落0019)。
【0007】
当該公報には更に、ガラス部の形成のための加熱により、リード部も加熱されて、リード部や酸化膜を構成する元素がガラス側に拡散して、ガラス部の成分とリード部の成分とが混合したイオン拡散層がガラス部の酸化膜と接する側に生成されることが記載されている。そして、イオン拡散層は、ガラス部の他の部分と熱膨張係数が異なるため、厚すぎるとガラス部やガラス管の割れの原因となることから、できるだけ薄い方が好ましく、厚さは15μm以下とすべきことが記載されている(段落0026)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−238489号公報
【特許文献2】特開2003−229060号公報
【特許文献3】特開2008−130396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、リード線とガラスビーズの接合強度には未だ改善の余地がある。そこで、本発明は、リード線とガラスビーズの接合強度が改善された冷陰極蛍光ランプ用電極を提供することを課題とする。また、本発明はそのような冷陰極蛍光ランプ用電極の製造方法を提供することを別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意研究したところ、インナーリード線を構成する材料として鉄含有金属を使用した場合、インナーリード線の外周にガラスビーズを溶融接合するときにFe成分がガラスビーズの内部へ熱拡散するが、このFe成分の拡散の進行度合がインナーリード線とガラスビーズの接合強度に重要な役割を果たしていることを見出した。
【0011】
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、電極部と、インナーリード部及びアウターリード部を有し、該電極の端部に接続されたリード部とを備えた冷陰極蛍光ランプ用電極であって、
インナーリード部は少なくとも表面側が鉄含有金属製であり、インナーリード部の外周にはガラス部が接合されており、ガラス部はインナーリード部との界面から内側に向かって平均厚みが5〜25μmのFe拡散層を有しており、Fe拡散層はFe高濃度層とそれより内側にあるFe低濃度層に分かれており、Fe高濃度層の平均厚みが1〜4μmであり、
ガラス部とインナーリード部との界面の断面をSEM観察したときに、界面が形成するガラス部とインナーリード部との境界線の長さ100μm当たりのインナーリード部への深さ3μm以上の凹部の数が平均して4個以下である冷陰極蛍光ランプ用電極である。
【0012】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプ用電極は一実施形態において、ガラス部とインナーリード部との界面の断面をSEM観察したときに、界面が形成するガラス部とインナーリード部との境界線の長さに対して、当該境界線に沿った酸化物層の累計長さが5%未満である。
【0013】
本発明は別の一側面において、冷陰極蛍光ランプ用電極を製造するための、ガラス部への接合前のリード部であって、インナーリード部及びアウターリード部を有し、インナーリード部の表面に酸化層が形成されており、酸化層の平均厚みが0.2〜1.5μmであるリード部である。
【0014】
本発明に係るリード部は一実施形態において、前記酸化層中のFe、FeO、Fe34及びFe23の合計質量に対するFeO及びFe34の合計質量の割合が90%以上である。
【0015】
本発明は別の一側面において、インナーリード部とアウターリード部を接合してリード部を形成する工程1と、露点が−5〜30℃の不活性ガス雰囲気下でインナーリード部を800〜1000℃で5〜15分間加熱することによりインナーリード部の表面を酸化処理する工程2と、インナーリード部の外周にガラス部を配置し、露点が−60〜−10℃の不活性ガス雰囲気下でインナーリード部を800〜1000℃で1〜10分間加熱することによりインナーリード部とガラス部を接合する工程3とを含む冷陰極蛍光ランプ用電極の製造方法である。
【0016】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプ用電極の製造方法は一実施形態において、工程3の後に、還元性雰囲気で加熱してリード部の表面を還元処理する工程4と、リード部のインナーリード部側の端部を電極部に接合する工程5を更に含む。
【0017】
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る冷陰極蛍光ランプ用電極を装着した冷陰極蛍光ランプである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リード線とガラスビーズの接合強度が改善された冷陰極蛍光ランプ用電極を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷陰極蛍光ランプ用電極を示す概略図である。
【図2】インナーリード部2aとガラス部3の界面付近のFe濃度曲線及びSi濃度曲線の例である。
【図3】本発明の一実施形態に係る冷陰極蛍光ランプ用電極の製造方法の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る冷陰極蛍光ランプを示す概略図である。
【図5】発明例No.5及び比較例No.10についての、インナーリード部とガラス部の境界断面のSEM写真である。
【図6】ガラスビーズとインナーリード線の接合強度を評価するときの試験方法を説明する図である。
【図7】ガラス部とインナーリード部の界面の断面をSEM観察(倍率:1,700倍)したときの写真例である。酸化層の平均厚みは約0.6μmである。
【図8】ガラス部とインナーリード部の界面の断面をSEM観察(倍率:1,700倍)したときの写真例である。酸化層の厚みはゼロμmである。
【図9】ガラス部とインナーリード部の界面の断面をSEM観察(倍率:1,700倍)したときの写真例である。酸化層の平均厚みは約2.3μmである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(冷陰極蛍光ランプ用電極)
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1に、本発明の一実施形態に係る冷陰極蛍光ランプ用電極を示す。この冷陰極蛍光ランプ用電極は、電極部1、インナーリード部2a及びアウターリード2bがこの順に接合されて形成されており、インナーリード2aの外周を取り囲むようにガラス部3が接合されている。インナーリード部2a及びアウターリード部2bはリード部2を形成する。
【0021】
電極部1の形状としては公知の任意の形状とすることができ特に制限はないが、例えば、フィラメント、棒、板などが挙げられる。スパッタリングを抑制する観点から一般には有底筒(カップ)形状とする。電極部1の材料としては、限定的ではないが、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、ニッケル合金(NiにAl、Si、Ti、V、Mn、Fe、Y、Zr、Nb、Mo、Wなどを添加した合金)等の金属材料を用いることができる。電極部1の耐熱性を向上させるために、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の高融点金属で形成されていてもよい。電極部1の内部には必要に応じて放電特性を改良するための放電特性改良剤等を封着させても構わない。
【0022】
リード部2は電極部1に電力を供給する役割を担い、一般には線材である。リード部2を構成するインナーリード部2a及びアウターリード部2bは抵抗溶接等により互いに接合されている。CCFL電極部品の組み立てにおけるガラス部3の位置決めのために、インナーリード2aの直径はアウターリード2bの直径よりも大きくすることが好ましい。
【0023】
インナーリード部2aの材料として少なくとも表面側は鉄含有金属を使用する。インナーリード部2aのFe成分がガラス部3の内部に熱拡散することによってインナーリード部2aとガラス部3の接合強度が高まるからである。インナーリード部2aは全体を鉄含有金属製の線としてもよいし、CuやCu合金からなる線の表面を鉄含有金属の層でめっきしてもよい。
鉄含有合金としては例えば、Fe:54質量%、Ni:29質量%及びCo:17質量%を主成分とし、随意的にSiやMn等の他の元素を少量添加した合金で熱膨張係数が40〜55×10-7/K(30〜400℃)あるコバールのほか、42合金(Fe−42質量%Ni)が利用でき、ガラスと熱膨張係数が近いことからコバールが好ましい。コバールの組成例としては、Niを28〜30質量%、Coを16〜18質量%含有し、残部がFe及び不可避的不純物である組成が挙げられる。コバールには、随意成分としてSi、Mn等の添加元素を合計で最大0.5質量%含有させることもできる。
【0024】
インナーリード部2aの表面には、後述するインナーリード部の酸化工程により、ガラス部3との濡れ性を良くするための酸化層がガラス部3との接合前には形成されている。Fe成分は酸化することでガラス部へ拡散し易くなる。酸化層は薄くなり過ぎるとFe成分のガラス部3への拡散が過剰に進行しやすくなり、ガラス部3とインナーリード部2aの接合強度を低下させる。一方、酸化層は厚くなり過ぎると酸化層の残存が生じて接合強度を低下させる。そこで、酸化層の平均厚みは0.2〜1.5μmであるのが好ましく、0.4〜1.2μmであるのがより好ましく、0.6〜0.9μmであるのが更により好ましい。
【0025】
ここで、特開2008−130396号公報(特許文献3)の段落0020には、「ガラス部を有する電極部材とする場合、リード部に形成した酸化膜は、ガラス部接合時の加熱により、酸化膜を構成する元素がガラス側に拡散して厚さが薄くなる。そこで、ガラス部を形成した後の電極部材の酸化膜の厚さが上記範囲(1〜10μm)となるように、ガラス部を形成する前のリード部に形成する酸化膜は、この範囲より厚く形成する。具体的には、6〜20μmが好ましい。」と記載されており、本発明のように、ガラス部との接合前の酸化層の平均厚みを0.2〜1.5μmにすべきことは何ら示唆されていないことに留意すべきである。
【0026】
酸化層は、ガラス部3とインナーリード部2aの界面の断面をSEM観察することで目視可能であり、複数箇所の厚みの測定値から平均値を出すことができる。
上記酸化層はガラス部3との接合工程時にガラス部3側へ拡散するため、接合後には消失する。本発明の一実施形態においては、ガラスとの接合後の酸化層の厚みはゼロμmである。なお、ゼロというのはガラスビーズとインナーリード線の界面の断面を露出させて、SEM観察したときに、界面が形成するガラス部とインナーリード部との境界線の長さに対して酸化層の累計長さが5%未満である(具体的には、境界線の長さ100μm当たりの当該境界線に沿った酸化層の長さが合計で5μm未満である)場合を指す。一方、当該境界線に沿った酸化層の累計長さが境界線の長さの5%以上を占めるときは酸化層の厚みはゼロμmではなく、複数箇所の厚みの測定値から平均値を算出することで平均厚みを測定することが可能である。
【0027】
図7〜図9は、ガラス部とインナーリード部の界面の断面をSEM観察(倍率:1,700倍)したときの写真例である。図7では、酸化層の累計長さが境界線の長さに対して約78%を占めており、観察される酸化層の厚みを別途SEM写真(1,700倍)に基づいて境界線の方向に2μmおきに5箇所測定したところ、平均厚みは約0.6μmである。図8では、酸化層が確認できないため、酸化層の厚みはゼロμmである。図9では、酸化層の累計長さが境界線の長さに対して100%を占めており、観察される酸化層の厚みを別途SEM写真(1,700倍)に基づいて境界線の方向に2μmおきに5箇所測定したところ、平均厚みは約2.3μmである。
【0028】
なお、インナーリードの凹部(ガラス部とインナーリード部の境界長さ100μm当たりの凹部の個数が4個以下)の中に大きさ1μm程度の粒状の酸化物が残存しても接合強度に悪影響は生じないので、これは酸化層の厚みの計算には考慮しない。
【0029】
ガラス部3との接合前にインナーリード部2aの表面に存在する前記酸化層中にはFeがFeO及び/又はFe34の形態で存在していることが好ましい。なぜならインナーリード部の酸化の過程で一旦、母材と密着性が悪いFe23を生成させると母材と酸化層の間に空隙が生成する。この状態でFe23を還元してFe34やFeOにしても上記の空隙が残存し、ガラス部を形成させるとガラス部とリード部の接合強度が低下する。酸化層中を構成するFeの酸化形態の比率はX線回折の定量分析技術によって測定することができる。本発明の一実施形態においては、前記酸化層はX線回折による定量分析で、Fe、FeO、Fe34及びFe23の合計質量に対するFeO及びFe34の合計質量の割合が90%以上であり、好ましくは95%以上である。
【0030】
アウターリード部2bの材料としては公知の任意の材料とすることができるが、例えばニッケル(Ni)線、Niとマンガン(Mn)との合金からなる線、ジュメット(鉄(Fe)とニッケル(Ni)の合金線に銅(Cu)をクラッドした)線等が利用できる。
【0031】
ガラス部3の材料としては公知の任意の材料とすることができるが、例えば硼珪酸ガラスやアルミノシリケートガラスが挙げられる。ガラス部3には、インナーリード部2aとの界面からガラス部3の内側に向かってFe拡散層が形成されている。Fe拡散層は後述するように、インナーリード部2aの構成元素であるFe成分が熱拡散することで形成されたものであり、インナーリード部2aとガラス部3の接合強度の向上に寄与する。
【0032】
Fe拡散層は界面に近い方のFe高濃度層とその内側のFe低濃度層に分かれている。Fe高濃度層はFeの濃度勾配が急であり、ガラス部3の内側に行くに従って急激にFeの濃度が減少していく層である。一方、Fe低濃度層はFeの濃度勾配が緩やかであり、ガラス部3の内側に行くに従って徐々にFeの濃度が減少していく層である。Feの濃度勾配が急激に変化する折点が両者の境界となる。Fe高濃度層及びFe低濃度層は、Fe拡散層内のFe濃度の推移から相対的に定まるものであり、例えばFe高濃度層が一定濃度以上のFeを含有しなければならないということではない。
【0033】
Fe高濃度層は、厚くなり過ぎるとガラス部3の熱膨張係数の増大や機械的強度の低下をもたらす一方で、薄すぎるとインナーリード部2aとの接合強度の向上効果が得られなくなる。そのため、本発明ではFe高濃度層の平均厚みを1〜3μmと規定している。Fe高濃度層の平均厚みは好ましくは1〜2μmである。
【0034】
また、Fe高濃度層及びFe低濃度層の合計の厚みであるFe拡散層の厚みは、ガラスの機械的強度の低下を抑制しながら高い接合強度を得る観点から、平均して5〜25μmであるのが好ましく、10〜20μmであるのがより好ましい。
【0035】
Fe高濃度層の平均厚み及びFe拡散層の平均厚みは、ガラス部3とインナーリード部2aの界面の断面を電子線マイクロアナライザ(EPMA)によって、界面に直角な方向に元素の線分析を行うことで測定可能である。
具体的には、Fe高濃度層の平均厚みは、EPMAの線分析によって、ガラス部3の表面から内部に向かう厚み方向をX軸、Fe質量濃度をY軸として、Feの濃度曲線を描いたとき、高Fe含有層の急勾配の濃度曲線部分と低Fe含有層の緩勾配の濃度曲線部分の折点に当たる厚み地点をFe高濃度層とFe低濃度層の境界として、インナーリード部2aとガラス部3の界面から当該境界までの厚み方向の長さを求め、複数箇所における測定値の平均値として与えられる。折点付近のFe濃度曲線が丸みを帯びていて境界が不明瞭なときは、Fe含有量の濃度曲線において、接線の角度がX軸に対して135°になる深さ地点を境界とする。
また、Fe拡散層の平均厚みは、ガラス部3とインナーリード部2aの界面からガラス側におけるFe検出下限(Fe濃度が2質量%の箇所)位置までの厚み方向の長さを指す。
ガラス部3とインナーリード部2aの界面は、EPMAの線分析において、Siの濃度が急激に立ち上がる位置とする。
Fe濃度曲線及びSi濃度曲線の例を図2に示す。
【0036】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプ用電極は一実施形態において、ガラス部3とインナーリード部2aとの界面の断面をSEM観察したときに、界面が形成するガラス部3とインナーリード部2aとの境界線の長さ100μm当たりのインナーリード部2aへの深さ3μm以上の凹部の数が平均して4個以下であり、好ましくは2個以下である。凹部を少なく抑えることで、ガラス部3とインナーリード部2aとの接合強度を高くすることが可能となる。
【0037】
凹部を少なく抑えるためには、インナーリード部の酸化の過程で母材と密着性が悪いFe23を生成させないことが重要である。Fe23が生成すると母材と酸化層の間に空隙が生成し、これが凹部として現れる。この状態でFe23を還元してFe34やFeOにしても上記の空隙が残存し、ガラス部を形成させるとガラス部とリード部の接合強度が低下する。大気中で酸化するとFe23が生成しやすいので、Fe23の生成を防ぐにはインナーリード部を酸化するときに窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性雰囲気中に水蒸気を添加した雰囲気で酸化処理をするとインナーリード表面に緻密で欠陥の少ない酸化層(FeO及びFe34)を生成できる。具体的な酸化処理条件は後述する。
【0038】
(冷陰極蛍光ランプ用電極の製造方法)
図3を参照しながら、本発明に係る冷陰極蛍光ランプ用電極の製造方法の一実施形態について以下に説明する。
【0039】
(1)電極部の形成
平板状の金属板を、深絞り加工、プレス加工、スエージング加工等することで有底カップ状の電極部1を形成する。
【0040】
(2)リード溶接
インナーリード部2a及びアウターリード部2bを用意し、これらの端部同士を抵抗溶接、レーザー溶接、超音波溶接等により接合する。このとき、接合部分に溶接コブ4を形成しておくと、ガラスビーズをインナーリード部2aの外周に配置する際の位置決めに役立つ。
【0041】
(3)酸化処理
インナーリード部2aは、ガラス部3との濡れ性を向上させるために、表面を酸化処理する。この酸化処理は、露点が−5〜30℃の不活性ガス雰囲気下で800〜1000℃で5〜15分間加熱して行う水蒸気酸化による方法が好ましい。
酸化処理する際の雰囲気ガスの露点、すなわち水蒸気量を調節することで酸化層の形態や成長速度を制御できるメリットが得られる。大気中の酸素を利用した酸化処理だとFe23の酸化層が生成し、欠陥や剥離が生じて、好ましくない。露点を上記の範囲としたのは、所望の厚さの酸化層を生成するための実験事実に基づく。露点は0〜25℃とするのがより好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn)又はこれらの混合ガスが挙げられる。低コストであることから窒素がより好ましい。
加熱温度を上記の範囲としたのは、所望の厚さの酸化層を生成するための実験事実に基づく。加熱温度は840〜950℃とするのがより好ましい。
酸化処理工程はリード溶接の前及び後の何れの段階で実施しても良いが、アウターリードとガラス接合されたインナーリードとの溶接において、位置合わせ精度が低下してしまうので、リード溶接後に実施することが好ましい。リード溶接後に酸化処理する場合にはインナーリード部2a及びアウターリード部2bの両方の表面が酸化する。
【0042】
(4)ガラス部の配置
酸化処理後のインナーリード部2aの外周を取り囲むようにガラス部3を配置する。例えば、貫通孔を有するガラスビーズを挿通して所定位置に配置する。例えば、ガラスビーズの貫通孔の径を、インナーリード部2aの直径よりも大きく溶接コブ4の直径よりも小さくすることで、インナーリード部2aに挿通されたガラスビーズはインナーリード部2aの溶接コブのところで位置決めすることができる。
【0043】
(5)ガラス部の接合
インナーリード部2aの外周にガラス部3を配置した後、ガラス部3をインナーリード部2aの外周に接合するための加熱処理を行う。加熱処理することで、ガラス部3はインナーリード部2aの外周に融着する。このとき、インナーリード部2aのFe成分がガラス部3の内部に拡散することによってインナーリード部2aとガラス部3の接合強度が高まる。この加熱処理は露点が−60〜−10℃の不活性ガス雰囲気下でインナーリード部を800〜1000℃で1〜10分間加熱する方法が好ましい。
加熱処理する際の雰囲気ガスの露点は酸化処理のときよりも低く設定する。これはインナーリードの酸化層の増大を抑制するためである。ここでも、大気雰囲気下での加熱処理だと酸化層の厚さが厚すぎてガラスとの接合が困難となって、好ましくない。露点は−60〜−20℃とするのがより好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn)又はこれらの混合ガスが挙げられる。低コストであることから窒素がより好ましい。
加熱温度を上記の範囲としたのは、Feのガラス中拡散状況を所望のプロフィールにするための実験事実の理由に基づく。加熱温度は820〜950℃とするのがより好ましい。
この加熱処理はリード溶接の前及び後の何れの段階で実施しても良いが、インナーリード部2aとガラス部3の位置決めが行いやすいことから、リード溶接後に実施することが好ましい。
【0044】
(6)還元処理
(5)の加熱処理の後、インナーリード部2aの不要な酸化層を除去するために還元性雰囲気で加熱してリード部の表面を還元処理する。還元処理の方法は特に制限はないが、例えば、電気炉中に水素ガスを入れ、還元性雰囲気中で加熱温度600〜700℃、加熱時間5〜20分程度加熱して、インナーリード部2a上のガラス部3との接合に寄与しないインナーリード2a上の酸化層を、還元させ除去する方法が挙げられる。熱処理温度が低く、時間が短いため、ガラス内のFe拡散状況に影響を与えることはほとんどない。
還元処理はリード溶接の前及び後の何れの段階で実施しても良いが、溶接装置の生産性を考えるとリード溶接後に実施することが好ましい。リード溶接後に還元処理する場合にはインナーリード部2a及びアウターリード部2bの両方の表面が還元する。
【0045】
(7)電極部の接合
電極部1の形成後、抵抗溶接等によって電極部1の底部とインナーリード部2aの端部をレーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接等により接合する。この接合工程を実施する順番には特に制限はないが、電極部1とインナーリード部2aの接合部の汚れや酸化膜を除去することで良好な接合強度が得られるという理由により最後に実施することが好ましい。
【0046】
上記(1)〜(7)の工程を経ることで本発明に係る冷陰極蛍光ランプ用電極を製造することができる。工程の順番は上記で述べた以外は自由であり、特に制限を受けない。例えば、以下のような順番が考えられる。工程(1)は工程(7)の前であればどこで実施しても良い。
(2)→(3)→(4)→(5)→(6)→(7)
(3)→(4)→(5)→(6)→(2)→(7)
本発明に係る冷陰極蛍光ランプ用電極は冷陰極蛍光ランプに装着することができる。冷陰極蛍光ランプ用電極を冷陰極蛍光ランプに装着する方法自体は公知であり、特に説明を要しないが、例えば以下の手順で装着することができる。図4を参照すると、まず内部に蛍光体21を配置したガラス管22を用意する。そして、ガラス管22の内部に水銀及び希ガスを充填した状態でガラス管22の両端に冷陰極蛍光ランプ用電極を対向させて挿入し、ガラス部3でガラス管22の両端を封止する。封止はガラス部3とガラス管22の加熱融着によって行うことができる。加熱融着の際の温度は800以上1000℃未満であり、典型的には850〜950℃である。また、加熱時間は1〜10分間、典型的には2〜7分間である。この程度の温度及び時間条件ではFe拡散層に変化はほとんど生じない。逆に、1000℃以上の高温で加熱融着するとFe拡散層に変化が生じ、インナーリード部2aとガラス部3の間の接合強度が低下するおそれがあるため避けるべきである。
【実施例】
【0047】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
【0048】
<リード溶接>
コバール(54質量%Fe−29質量%Ni−17質量%Co)製のインナーリード線(φ0.75mm、長さ3.0mm)及び、Ni−Mn合金(98質量%Ni−2質量%Mn)製のアウターリード線(φ0.60mm、長さ12mm)を用意した。インナーリード線及びアウターリード線の端部同士を抵抗溶接してリード線を作製した。これらの接合部分には溶接コブ(φ1.1mm)を形成した。このようなリード線を各種の発明例及び比較例を製造するのに十分なだけ用意した。
【0049】
<酸化処理>
得られたリード線を電気炉に入れ、それぞれ表1に記載の雰囲気、酸素分圧、露点、材料温度及び加熱時間で加熱し、インナーリード線の表面に水蒸気酸化により酸化層を形成した。なお、この処理によりアウターリード線の表面も酸化される。No.10は特開2008−130396号公報(特許文献3)の実施例相当であり、酸化処理は2段階に分けて行った。なお、加熱時の材料温度から100℃までの冷却時間は6〜8分間とした。
<酸化層の厚さの評価>
酸化処理を行ったインナーリード線の表面をFIB−SEM複合装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製SMI3050SE)で酸化層の断面を露出させて、SEM観察(倍率:15,000倍)した。そして、観察される酸化層の厚みをSEM写真に基づいて境界線の方向に2μmおきに5箇所測定した。観察は任意の3視野について行い、その平均値を測定値とした。結果を表1に示す。
<Feの酸化形態>
X線回折((株)リガク社製型式RINT−2200)による定量分析で、酸化層中のFe、FeO、Fe34及びFe23の合計質量に対するFeO及びFe34の合計質量の割合(Fe酸化物比)を求めた。酸化層が形成されたインナーリード線(φ0.85mm×20mm長さを20本、板ガラス上に両面テープで固定し、約20mm×20mmの板状にする)の任意の3箇所についての平均値を測定値とした。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
<ガラスビーズ挿通>
次いで、φ0.85mmの貫通孔を有する硼珪酸ガラス製のガラスビーズを用意した。このガラスビーズを、水蒸気酸化後の各リード線にインナーリード線側から挿通した。ガラスビーズの貫通孔の径は、インナーリード線の直径よりも大きく溶接コブの直径よりも小さいため、リード線に挿通されたガラスビーズはインナーリード線の溶接コブのところで自然に位置決めされた。
【0052】
<ガラス部接合>
ガラスビーズの位置を保持しながら、ガラスビーズが挿通された各リード線を電気炉に入れ、表2に記載の雰囲気、酸素分圧、露点、材料温度及び加熱時間で加熱し、ガラスビーズを溶融させることでインナーリード線の酸化層と接合した。No.10については、特許文献3の実施例にならい2段階に分けて行った。なお、加熱時の材料温度から100℃までの冷却時間は6〜8分間とした。
【0053】
【表2】

【0054】
<還元処理>
ガラスビーズを接合後、各リード線を電気炉に入れ、水素雰囲気中で材料温度650℃として10分間加熱した。
【0055】
<電極部の接合>
平板状のNi板を、深絞り加工することで有底カップ状の電極部(φ2.0mm、長さ5.0mm)を形成し、その底部を上記リード線のインナーリード線側の端部にレーザー溶接して、冷陰極蛍光ランプ用電極を作製した。
【0056】
<Fe拡散状態の評価>
このようにして得られた各冷陰極蛍光ランプ用電極について、エポキシ樹脂に埋め込んで固定し、耐水研磨紙で研磨をすることでガラスビーズとインナーリード線の界面の断面を露出させた。そして、EPMA(日本電子株式会社製型式JXA−8500F)によって、界面に直角な方向に元素の線分析を行い、上述した定義に基づき、「Fe高濃度層の平均厚み」及び「Fe拡散層の平均厚み」を測定した。測定値はそれぞれ5箇所の平均値とした。
EPMAの操作条件は以下とした。
加速電圧:15.0kV
照射電流:3.0×10-8
ビーム径:0.1μm
【0057】
<界面のSEM観察による評価>
(i)境界線における凹部の平均個数
Fe拡散状態の評価と同様にガラスビーズとインナーリード線の界面の断面を露出させて、SEM観察(倍率:1,000倍)した。そして、観察されるガラスビーズとインナーリード線の境界線の長さ100μm当たりのコバール側への深さ3μm以上の凹部の数をSEM写真に基づいて数えた。観察は任意の10視野について行い、その平均値を測定値とした。参考用に、発明例No.5のSEM写真及び比較例No.10のSEM写真を図5に示す。
【0058】
<接合強度の評価>
各冷陰極蛍光ランプ用電極について、ガラスビーズとインナーリード線の接合強度を評価した。板厚2mmの金属板にφ1.5mmの貫通穴を開けた治具を固定し、これにアウターリードを下から通し、アウターリードを上方に引張試験機で引張り、ガラスが破壊する強度で接合強度を評価した(図6の矢印参照)。
【0059】
<ガラス接合後のリード部酸化層の厚みの評価>
Fe拡散状態の評価と同様にガラスビーズとインナーリード線の界面の断面を露出させてSEM観察(倍率:1,000倍)を行った。ガラスビーズとインナーリードの界面に残存する酸化物(層)の厚みを境界線の方向に10μmおきに5箇所測定した。観察は任意の3視野について行い、その平均値を測定値とした。なお、界面が形成するガラス部とインナーリード部との境界線の長さ100μm当たりの当該境界線に沿った酸化層の長さが累計で5μm未満である場合(境界線の長さに対して酸化層の累計長さが5%未満)は酸化層の平均厚みを「0」とし、括弧書きで酸化層の長さ割合を記入した。
【0060】
上記の評価試験の結果を表3に示す。
【0061】
【表3】

【0062】
<考察>
比較例であるNo.1は、大気中の酸化処理であるため、酸化処理後の酸化層が厚く、Fe酸化物比が小さく、また、Fe高濃度層が短く、Fe拡散層全体も短かった。また、境界線の深さ3μm以上の凹部の数が多かった。そのため、高い接合強度が得られなかった。
比較例であるNo.2は、大気中の酸化処理であるため、酸化処理後の酸化層が厚く、Fe酸化物比が小さく、また、Fe高濃度層が長く、Fe拡散層も長かった。また、境界線の深さ3μm以上の凹部の数が多かった。そのため、高い接合強度が得られなかった。
発明例であるNo.3は、Fe高濃度層が適切に制御されており、比較例に比べて高い接合強度が得られた。
発明例であるNo.4は、Fe高濃度層が適切に制御されており、更にはFe拡散層の厚みも好適であったため、発明例No.3に比べて高い接合強度が得られた。
発明例であるNo.5は、更に境界線の深さ3μm以上の凹部の数も少なかったため、発明例No.4に比べて更に高い接合強度が得られた。
発明例であるNo.6は、酸化処理後の酸化層の厚さが規定範囲内で厚めであるが、適切なガラス接合条件の選択でFe高濃度層及びFe拡散層の厚みが適切に制御されており、高い接合強度が得られた。
発明例であるNo.7は、酸化処理後の酸化層の厚さが規定範囲内で薄めであるが、適切なガラス接合条件の選択でFe高濃度層及びFe拡散層の厚みが適切に制御されており、高い接合強度が得られた。
発明例No.8及びNo.9は、酸化処理をアルゴン雰囲気中で実施したもので、酸化処理後の酸化層の厚さが適切でFe高濃度層及びFe拡散深さが適切に制御されており、高い接合強度が得られた。
比較例であるNo.10は、特許文献1の実施例に相当するが、酸化処理後の酸化層が厚かった。Fe高濃度層は適切であったが、Fe拡散深さは長かった。また、Fe酸化物比は高めであったが、一旦大気中で酸化処理を行っていたことから、境界線の深さ3μm以上の凹部の数が多く、本発明に比べて高い接合強度が得られなかった。
比較例であるNo.11は、ガラス接合温度が低いため、Fe高濃度層が短く、Fe拡散層全体も短く、酸化層の残存が確認された。そのため、低い接合強度となった。
【符号の説明】
【0063】
1 電極部
2 リード部
2a インナーリード部
2b アウターリード部
3 ガラス部
4 溶接コブ
21 蛍光体
22 ガラス管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極部と、インナーリード部及びアウターリード部を有し、該電極の端部に接続されたリード部とを備えた冷陰極蛍光ランプ用電極であって、
インナーリード部は少なくとも表面側が鉄含有金属製であり、インナーリード部の外周にはガラス部が接合されており、ガラス部はインナーリード部との界面から内側に向かって平均厚みが5〜25μmのFe拡散層を有しており、Fe拡散層はFe高濃度層とそれより内側にあるFe低濃度層に分かれており、Fe高濃度層の平均厚みが1〜4μmであり、ガラス部とインナーリード部との界面の断面をSEM観察したときに、界面が形成するガラス部とインナーリード部との境界線の長さ100μm当たりのインナーリード部への深さ3μm以上の凹部の数が平均して4個以下である冷陰極蛍光ランプ用電極。
【請求項2】
ガラス部とインナーリード部との界面の断面をSEM観察したときに、界面が形成するガラス部とインナーリード部との境界線の長さに対して、当該境界線に沿った酸化物層の累計長さが5%未満である請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極。
【請求項3】
冷陰極蛍光ランプ用電極を製造するための、ガラス部への接合前のリード部であって、インナーリード部及びアウターリード部を有し、インナーリード部の表面に酸化層が形成されており、酸化層の平均厚みが0.2〜1.5μmであるリード部。
【請求項4】
前記酸化層中のFe、FeO、Fe34及びFe23の合計質量に対するFeO及びFe34の合計質量の割合が90%以上である請求項3に記載のリード部。
【請求項5】
インナーリード部とアウターリード部を接合してリード部を形成する工程1と、露点が−5〜30℃の不活性ガス雰囲気下でインナーリード部を800〜1000℃で5〜15分間加熱することによりインナーリード部の表面を酸化処理する工程2と、インナーリード部の外周にガラス部を配置し、露点が−60〜−10℃の不活性ガス雰囲気下でインナーリード部を800〜1000℃で1〜10分間加熱することによりインナーリード部とガラス部を接合する工程3とを含む冷陰極蛍光ランプ用電極の製造方法。
【請求項6】
工程3の後に、還元性雰囲気で加熱してリード部の表面を還元処理する工程4と、リード部のインナーリード部側の端部を電極部に接合する工程5を更に含む請求項5に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極の製造方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極を装着した冷陰極蛍光ランプ。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−190550(P2012−190550A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50539(P2011−50539)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(502362758)JX日鉱日石金属株式会社 (482)
【Fターム(参考)】