説明

冷陰極蛍光ランプ

【課題】 現在の冷陰極蛍光ランプにおいては、放電媒体として水銀を含んだものが使用されており、輝度の立上がりまでに時間を要し、水銀は環境問題に課題を残したままの状態なので、極力使用しない方向にあり、これに代わって放電媒体として希ガスを使用することが進められているが、共鳴波長が短いために可視光への変換効率が低く十分な光量を得ることが難しかったが、速やかな輝度の立上がりが可能で十分な光量を得ることが可能な冷陰極蛍光ランプを提供する。
【解決手段】 ガラス管11内部に封入される放電媒体としてN2もしくはN2と希ガスとの混合体を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイや計器用表示パネル、あるいは看板用照明等の光源として使用される冷陰極蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイや計器用表示パネルのバックライトとして、あるいは看板を照射する照明用等の光源として、冷陰極蛍光ランプが多用されている。
【0003】
この冷陰極蛍光ランプは、図2に示すように、円筒状に形成された筒状のガラス管31を有しており、このガラス管31の内壁面には蛍光体被膜32が被着されている。このガラス管31の内部両端部分には、同じ材質で同一形状の表面積が全く同じ一対の電極33が配置されており、この電極33には導入線34の一端が接続されている。
【0004】
この導入線34は、フリットガラス等からなる封着材35によってガラス管31の両端の封入部36に固定され、他端はガラス管31外部に導出されている。このようなガラス管31内部には、水銀(Hg)やアルゴン(Ar)等の放電媒体37が封止されて冷陰極蛍光ランプを構成している。
【0005】
このように構成された冷陰極蛍光ランプは、一対の電極33間に正負対称な交流電圧を発生する交流電源を接続することにより、放電中にHgから放出される253.7nmの波長帯の紫外線を蛍光体被膜32に照射することで可視光に変換して、十分な光量の照明光として外部に放出している。
【0006】
しかしながら、この水銀入り蛍光ランプの場合には、Hgを液体の状態で充填し、通電に伴う熱によって順次気化されて蒸気圧となったところで放電を開始するので、輝度の立上がりに数分単位での時間がかかるという問題がある。
【0007】
ところで最近では、環境問題が重要な問題として取り上げられるようになってきており、環境に悪影響を与える水銀を削減もしくは使用しない方向で色々な研究がなされており、その一環として水銀を使用しない蛍光ランプが切望されるようになり、放電媒体として希ガスを使用する蛍光ランプ等の研究開発がなされている。
【0008】
しかしながら、放電媒体として希ガスを使用した場合には、Hgの250nm程度の共鳴波長を利用しているのに比較して、希ガスの場合には、主に希ガス中のキセノン(Xe)の146.7nm程度の共鳴波長を利用して可視光を得ている。このXeを使用した場合には共鳴波長がHgと比較して大幅に短くなるために、蛍光体被膜による可視光への変換効率が低く、例えば真空紫外用の青色蛍光体を使用した場合では、170nm付近をピークとして、波長が短くなるほど相対光量子数が低下してしまうので、このピークよりも波長が短い希ガスの場合には十分な明るさが確保できない、もしくは確保し難いという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような課題に対処してなされたもので、放電媒体としてNもしくはNと希ガスの混合体を放電媒体として使用することにより、環境問題に課題を残す水銀の使用を極力抑えた、もしくは使用しない蛍光ランプを開発し、希ガスを使用した蛍光ランプの場合に比較して十分な明るさを確保することが可能な冷陰極蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、筒状のガラス管内部に放電媒体を封入し、このガラス管内部の両端部に外部に連通している導入線を介して配置される一対の電極を有する冷陰極蛍光ランプにおいて、この放電媒体として少なくともNを使用することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、この放電媒体としてNと希ガスの混合体を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放電媒体としてNもしくはNと希ガスとの混合体を使用するようにしているので、環境問題に課題を抱いている水銀を使用することなく輝度の立上がりも早く、希ガスの明るさよりも一層明るくすることを可能とする環境に悪影響を与えることが少ない極めて安全で明るい冷陰極蛍光ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る冷陰極蛍光ランプの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
本発明に係る冷陰極蛍光ランプは、図1に示すように、例えば円筒状や角筒状に形成された筒状のガラス管11を有しており、このガラス管11の内壁面には蛍光体被膜12が被着されている。このガラス管11の内部両端部分には、円筒状や板状、あるいは円柱状に形成された金属や焼結金属等からなる一対の電極13,14が配置されている。
【0015】
この一対の電極13,14の端部には、夫々導入線15の一端が接続され、この導入線15は、フリットガラス等からなる封着材16によってガラス管11の両端の封入部17に固定され、他端はガラス管11外部に導出されている。このようなガラス管11内部には、NもしくはNと希ガスとの混合体からなる放電媒体18が封止されて冷陰極蛍光ランプを構成している。
【0016】
ここで説明している希ガスとは、放電媒体としての希ガスを意味しており、この希ガスとしてはNe,Ar,Xe等が考えられるが、これらの希ガスの種類や混合比等は、使用する蛍光ランプの管径や点灯方法等によって変動し、目的に応じて種々選択して使用されることになる。
【0017】
このように構成された冷陰極蛍光ランプは、一対の電極13,14間で放電が発生するように、正負対称な交流電圧を発生する交流電源を電極13側と他方の電極14間に接続することにより、効率良く点灯駆動することができる。
【0018】
ここで放電媒体としてNを使用すると、Nの156nmあるいは183.5nmの共鳴波長を利用して可視光に変換することができ、希ガスを使用している蛍光ランプよりも十分な光量を得ることが可能である。
【0019】
しかもNは最初から気化ガス状で充填されるので、水銀を使用した場合における気化までの時間が殆ど要らないので、水銀使用のランプが数分の時間を要しているのに対し、本発明の場合には1分以内に点灯させることが可能で、輝度の立上がりを迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る冷陰極蛍光ランプを示す断面図。
【図2】従来の冷陰極蛍光ランプを示す断面図。
【符号の説明】
【0021】
11:ガラス管
12:蛍光体
13:一方の電極
14:他方の電極
15:導入線
18:放電媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のガラス管内部に放電媒体を封入し、このガラス管内部の両端部に外部に連通している導入線を介して配置される一対の電極を有する冷陰極蛍光ランプにおいて、
前記放電媒体として少なくともNを使用することを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【請求項2】
前記放電媒体としてNと希ガスの混合体を使用することを特徴とする請求項1記載の冷陰極蛍光ランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−100034(P2006−100034A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282247(P2004−282247)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】