説明

凍結乾燥のための改良された処方物および方法ならびにそれによって提供される凍結乾燥物

本発明は、組成物、化合物を凍結乾燥するためおよび薬学的組成物を作製するための方法、ならびに化合物の溶液および凍結乾燥された処方物を提供するキットを提供する。組成物、方法、およびキットは、(低いpHおよび中程度のpH(pll)値において低い溶解度を有する治療剤を含む)薬学的適用において特に有用である。ある実施形態は、液体の溶液において化合物を凍結乾燥するための方法を提供し、この方法は:a)緩衝剤の非存在下で目的の化合物の水溶液を調製する工程;b)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節する工程;およびc)凍結乾燥された固体の組成物を提供するためにこの溶液を凍結−乾燥する工程を含む。緩衝剤を含む水溶液もまた開示される。微粉化されたおよび微粉化されていない粉末を含む、凍結乾燥された処方物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
弱酸である化合物は、低pH値(例えば、約pH4または約pH5未満)および中程度のpH値(例えば、約6または約7のpH値)において、しばしば溶解度が乏しい。そのような化合物は、例えば、薬学的に受容可能な溶液での乏しい溶解度に起因して、調合薬として使用することがしばしば困難である。そのため、理論的に治療の効能が見込まれるにもかかわらず、いくつかの化合物は臨床的実施において有用ではないが、薬学的に受容可能な形態でそのような化合物を提供するための方法および組成物が利用可能である場合、これらの化合物は有用であるかもしれない。加えて、そのような化合物の処方物は不安定であり得、たとえそのような化合物の薬学的に受容可能な処方物を調製することが可能だとしても、使用のために保管することが困難であり得る。
【0002】
スルフォニルウレア(Sulphonylurea)およびスルフォニルウレア受容体(SUR)に作用する他の化合物は、糖尿病および他の障害の医療的処置において有用である。SURは、例えばスルフォニルウレア受容体タイプ1(SUR1)およびスルフォニルウレア受容体タイプ2(SUR2)を含む、種々のタイプのSURであり得る。SURで作用する化合物としては、スルフォニルウレア(グリベンクラミドなど)ならびに他の化合物(例えば、レパグリニドおよびタグリザイド(taglizide))が挙げられる。スルフォニルウレアおよびSURで活性な他の化合物としては、グリベンクラミド(グリベンクラミドとしても知られている)、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、およびSURと相互作用する他の薬物または薬物の代謝産物が挙げられる。
【0003】
加えて、カリウムチャネルおよび非選択的チャネルなどのイオンチャネルは、SURと結合され得る。(例えば、NCCa−ATPチャネル;例として特許文献1を参照のこと、この全容が参考として本明細書において援用される、またはATP感受性カリウムチャネル(KATPチャネル))。SURと結合されるイオンチャネルに対し活性がある化合物はまた、医療的処置においても有用である。SURと結合され得る非選択的チャネルに作用するいくつかの化合物としては、例えば、ピンコラント(pinkolant)、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF9635が挙げられる。加えて、SURおよび/もしくはSURに結合されるイオンチャネルの働きに作用または影響し得る他の化合物としては、例えば、ステロイドならびにステロイド誘導体ならびにステロイドに関連のある化合物(エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール(ジエチルスチルベストロール)、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、およびフィトエストロゲンなど)を含むが、これらに限定されない。
【0004】
(グリベンクラミドの溶解度)
種々の溶液におけるグリベンクラミドの溶解度は報告されており、そして、種々の溶液におけるグリベンクラミドの溶解度は、緩衝化された水溶液において溶解度が非常に乏しいと代表的に報告されている。例えば、緩衝化された水溶液におけるグリベンクラミドの溶解度は、Glommeらによって報告されている(非特許文献1)。この緩衝化された水溶液を、蒸留水を用いて作製し、リン酸カリウム(29mM)を用いて緩衝化される塩化カリウム(220mM)溶液を形成し、そしてpHを水酸化ナトリウムを用いてpH5、6、または7に調整した。これらの溶液は約280ミリOsモルと310ミリOsモルとの間の容量オスモル濃度を有し、そして約10±2ミリ当量/L/pHの緩衝能力を有した。Glommeらは、グリベンクラミドは、そのような溶液においてほんのわずかな溶けやすさであり、pH2、3、5、6、および7においては極度に低い溶解度であり、そしてpH8、9および11.8においては(まだ非常に低いが)相対的に高い溶解度であることを報告している。これらの溶解度を表1に示す。
【0005】
(表1−−37℃(水性)におけるグリベンクラミドの溶解度)
【0006】
【表1】

そのような水溶液においてグリベンクラミドは溶解度が乏しいこと、上記溶解度は酸性のpHではより小さいこと、ならびに上記溶解度はpH6からpH7、pH7からpH8、およびpH8からpH11.8で一桁ずつ上昇することが見られ得る。
【0007】
同様に、水溶液におけるグリベンクラミドの低い溶解度は、Kaiserらによって報告されており(非特許文献2)、pH4からpH9の、測定された全てのpH値で1mg/mLを下回る溶解度であった。グリベンクラミドは、Britton−Robinson緩衝液中に溶解された。(Britton−Robinson緩衝液は水性の緩衝溶液であり、リン酸、酢酸およびホウ酸を含み、水酸化ナトリウムでpHが調整されている。)これらの溶解度は、表2において報告される。
【0008】
(表2−−27℃(水性)におけるグリベンクラミドの溶解度)
【0009】
【表2】

Rydbergら(非特許文献3)はまた、0.1M、pH10のリン酸塩で緩衝化した水溶液(300mOsm/L)においてグリベンクラミドの溶解度が0.5mg/mLであることも報告した。
【0010】
以下の静脈内グリベンクラミドのための処方物(1mg/mL)は、Mayo研究のために開発された(非特許文献4)。
【0011】
【表3】

上記処方物は:i)水中で水酸化ナトリウムおよび塩化ナトリウムを混合すること;ii)グリベンクラミドの溶解を促進するためわずかに温めながら、この混合物中でグリベンクラミドを溶かすこと;iii)この溶液を0.22ミクロンのフィルターを通してろ過し、無菌の5mLのアンバー(amber)バイアルに入れる;iv)栓をし、ふたをかぶせそして圧着する(crimp)こと、によって調製され得る。無菌状態は、Milliporeシステムを用い、そして層流(laminar flow)フード中で作業する間に:i)検査溶液を上記フィルター中に通し、そして3回の無菌生理食塩水の注入によって洗浄する;ii)ホースを圧着し、そしてこの容器中に培養培地を注入する;iii)フォーム#11.31上に製品情報を記録し、そしてこの調合している処方せんにステープラーでとめる;iv)1:20の希釈物を用いてLAL試験を行う;v)14日間隔離し、そして増殖が有ることまたは無いことについて毎日調査する;vi)全ての培養の結果を、培養の報告フォーム(culture report form)およびMicrobial Culture Journal上に記録することによって検査され得る。
【0012】
Betageriら(非特許文献5)は、最初に種々のポリエチレングリコール(PEG)の添加によって、そして次に種々のPEG形態に加えて凍結乾燥によってグリベンクラミドの溶解度の上昇を評価した。Betageriは、グリベンクラミドを単独では凍結乾燥はしなかった。そしてその行為は緩衝化された溶液中でpH7.4において行われた。グリベンクラミド−PEGはグリベンクラミド単体より、より可溶性であること発見された。全ての上記のBetageriの処方物は一つまたはそれより多いPEGを含んでいること、およびその濃度は非常に低いことは、注目されるべきことである。
【0013】
(凍結乾燥)
凍結乾燥は、溶解されたまたは固体の形態で懸濁された物質を含む乾燥した固体を提供するために、凍結−乾燥(凍結−乾燥)(溶解されたまたは懸濁された物質を含む液体を凍結させること、および昇華によって凍結している間に乾燥すること)によって、固体または溶解された物質を含む液体から粉末などの乾燥された物質を提供する方法および行為を記載するために用いられる用語である。混合された水性の/溶解力のある溶液、および他の液体の溶液も用いられ得るが、一般的には水溶液が凍結乾燥において用いられる。例えば、生物学的物質は、それが保護剤(protective agent)と混合された溶液または懸濁物から凍結乾燥され得る。そのような溶液または懸濁物は、その後凍結され得、そしてさらにその後昇華によって脱水され得る。昇華の後、必要に応じてさらなる乾燥工程が続き得る。
【0014】
多くの物質および化学物質は、凍結乾燥され得る。例えば、薬物、ホルモン、タンパク質、核酸(例えば、DNAおよびRNA)、脂質、ならびに炭水化物または他の分子などの有機的な分子を含む希釈された化学物質は、化学物質または化学物質の混合物の乾燥した形態を提供するために、凍結乾燥され得る。生物学的なサンプルもまた、凍結乾燥され得る。一般的に凍結乾燥の方法は、高濃度の溶解されたまたは懸濁された化合物を含む乾燥した残留物を提供するために、液体の溶液または懸濁物を凍結−乾燥することを含む。いくつかの場合において、凍結乾燥によって提供される固体は塩で有り得、または塩を含み得る。
【0015】
凍結乾燥のプロセスは、粉末、乾燥されたフィルム、またはケーク(cake)などの固体を提供する。小さな粒子は、所望であれば、すりつぶすまたは薄片にするなどの行為によって、そのような粉末、フィルム、またはケークから取得され得る。
【0016】
しかしながら、凍結乾燥のいくつかの方法は、改良され得る。
【0017】
加えて、いくつかの物質は、凍結乾燥することが困難であり得る。薬学的適用においておよび医薬として有用であるいくつかの有機的な分子を含むいくつかの物質は、溶液、特に中性もしくは中性に近いpHの水溶液、または緩衝化された水溶液中で溶解することあるいは懸濁することが困難である。
【0018】
したがって、現在利用できる物質の範囲よりもより広い範囲の物質に対して、ならびに特定の所望の物質および物質の所望のタイプに対して適した、物質を凍結乾燥する改良された方法への必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第7,285,574号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Glomme A、Marz J、Dressman JB.Comparison of a miniaturized shake−flask solubility method with automated potentiometric acid/base titrations and calculated solubilities.J Pharm Sci.2005 Jan;94(1):1−16
【非特許文献2】Kaiser DG、Forist,AA.A review of Glibenclamide Metabolism in Man and Laboratory Animals.Physical and Analytical Chemistry Research、The Upjohn Company;1975
【非特許文献3】Rydberg T、Jonsson A、Roder M、Melander A.Hypoglycemic activity of glibenclamide (Glibenclamide) metabolites in humans.Diabetes Care. 1994 Sep;17(9):1026−30
【非特許文献4】Schrage WG、Dietz NM、Joyner MJ.Effects of combined inhibition of ATP−sensitive potassium channels, nitric oxide, and prostaglandins on hyperemia during moderate exercise.J Appl Physiol.2006 May;100(5):1506−12.Epub 2006 Feb 9
【非特許文献5】Betageri,G.V.et al.Enhancement of dissolution of glibenclamide by solid dispersion and lyophilization techniques、Int.J.Pharm.(1995)126,155−160
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
目的の化合物の溶液および凍結乾燥された処方物を提供する方法、組成物、およびキットが、本明細書中で教示される。目的の化合物は、しばしば、より高いpH値においてはより可溶性であるが、低および中程度のpH値においては溶解度が乏しい化合物である。本明細書で提供される方法、組成物、およびキットは、溶液および凍結乾燥された処方物を含む、薬学的に受容可能な処方物を提供する。そしてこの薬学的に受容可能な処方物は、低および中程度のpH値において溶解度が乏しい化合物の薬学的な処方物に関連する、低い溶解度および低い安定性の問題を解決する。
【0022】
目的の化合物は、例えば、スルフォニルウレア化合物、イオンチャネルブロッキング(blocking)化合物、ステロイド化合物、および薬学的活性を有する他の化合物であり得る。例えば、スルフォニルウレア化合物の凍結乾燥された処方物を提供する方法、組成物、およびキットが本明細書で教示される。さらなる実施例において、イオンチャネルブロッキング化合物の凍結乾燥された処方物を提供する方法、組成物、およびキットが本明細書で教示される。さらにさらなる実施例において、ステロイド化合物と一緒になったスルフォニルウレア化合物の凍結乾燥された処方物を提供する方法、組成物およびキットが本明細書で教示される。さらにさらなる実施例において、イオンチャネルブロッキング化合物および/またはステロイド化合物と一緒になったスルフォニルウレア化合物の凍結乾燥された処方物を提供する方法、組成物ならびにキットが本明細書で教示される。別の実施例において、必要に応じて実質的に薬学的に不活性な化合物と一緒になった、スルフォニルウレア化合物および/またはイオンチャネルブロッキング化合物の凍結乾燥された処方物を提供する方法、組成物ならびにキットが本明細書で教示される。
【0023】
液体の溶液から化合物を凍結乾燥するための方法、およびそのような凍結乾燥される液体の溶液から取得された凍結乾燥された固体を含む産物が本明細書で提供される。ある実施形態において、疎水性の有機的な分子は、水溶液中で溶解され、そして高濃度の疎水性の有機的な分子を含む固体の組成物を提供するために凍結乾燥される。ある実施形態において、高濃度の疎水性の有機的な分子を含むこれらの固体の組成物は、安定でありそして保管に適している(例えば、長い期間の間の保管に適している)。そのような保管は、周囲の(ambient)条件であり得、制御された温度下であり得、制御された湿度でまたは他の条件もしくはひとまとまりの条件下であり得;そして密閉された容器内(例えば、取り外せるふたを有する瓶もしくは広口の瓶、チューブ、カプセル、カプレット、バイアル、または他の容器)で保管され得、および不活性なガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、または他の不活性なガス)の下で密閉される容器、あるいは容器内の他の要素もしくは化合物と共にまたはそれらを伴なわずに他の容器内にあり得る。
【0024】
スルフォニルウレアおよびスルフォニルウレア受容体(SUR)で活性な他の化合物は、水溶液中に溶解または懸濁することが困難であり得る多くの化学物質を含む。スルフォニルウレアおよびSURで活性な他の化合物としては、グリベンクラミド(グリベンクラミドとしても知られている)、トルブタミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、ならびにSURと相互作用する他の薬物または薬物の代謝産物が挙げられる。溶液になることに伴なう類似した問題もまた提示し得る他の化合物、および本発明の実施形態の実施において用いるために適し得る他の化合物としては、例えばピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、ならびにSKF9635などの本明細書で「イオンチャネルブロッキング」化合物と呼ばれる化合物が挙げられる。加えて、ステロイドおよびステロイド誘導体およびステロイドに関連のある化合物もまた、本発明の方法の実施形態にしたがって凍結乾燥され得る;そのようなステロイド、ステロイド誘導体およびステロイドに関連のある化合物としては、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、ならびにフィトエストロゲンなどが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、これらの化合物の組み合わせまたは他の化合物と組み合わせたこれらの化合物を含む混合された溶液は、本発明の特徴を有する方法および組成物の実施形態において凍結乾燥され得る。
【0025】
加えて、本発明の特徴を有する溶液および凍結乾燥された処方物は、血液のグルコースの適切なレベルを維持するために働くすなわち維持することにおいて助ける化合物、あるいはグルコースの血液レベルを上げるために働くすなわち上げることにおいて助ける化合物、好ましくは正常な生理学的なレベルにもしくはその付近に被験体の血液中のグルコースレベルを維持するまたは上げるために働く化合物を含み得る。そのような化合物としては、例えばグルコースそれ自体、他の炭水化物、グルカゴン、および他の化合物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
したがって、本明細書で開示されるように、グルコースは薬学的活性を有する要素として本発明の特徴を有する溶液および凍結乾燥された処方物中に含まれ得、そしてグルコースはまた、薬学的活性を有する要素としてとは別の目的のために本発明の特徴を有する溶液および凍結乾燥された処方物中に含まれ得る。つまり、生理学的な活性を有し、かつ本発明の特徴を有する溶液および凍結乾燥された処方物の薬学的に活性な要素として働き得るグルコースは、その生理学的な効果とは別の目的のためにもまた本発明の特徴を有する溶液および凍結乾燥された処方物中に含まれ得る。例えば、グルコースは、「薬学的に不活性な」化合物または「実質的に薬学的に不活性な」化合物として本明細書に含まれ得、および議論され得る。グルコースへのそのような言及は、その薬学的活性に加えて、例えば、その浸透性の性質、バルキング(bulking)の性質、または他の性質を認識する。グルコースは、活性な成分が本明細書で議論される場所、および実質的に薬学的に不活性な成分が本明細書で議論される場所両方に含まれ得る要素であることが理解され得る。
【0027】
加えて、本発明の特徴を有する溶液および凍結乾燥された処方物は、実質的に薬学的に不活性な化合物を含み得る。本明細書で用いられる場合、「実質的に薬学的に不活性」である化合物としては、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、ならびに単糖類、二糖類、および他の糖類を含む他の糖などの糖;塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩、および活性な成分の薬理学的な活性にほとんど影響なくまたは全く影響なく薬学的な溶液において用いられ得るが、例えば、実質的に薬学的に不活性な化合物が含まれる溶液の容量オスモル濃度に影響を有し得る他の化合物が挙げられる。「実質的に薬学的に不活性な」化合物としてのグルコースの指定は、単に、;グルコースは生理学的な活性を有し、かつ薬学的な活性、と同時にまたはそれに加えて、「実質的に薬学的に不活性な」化合物としてのその有益さのために含まれ得る、という言及の便利さのためであることに注目すべきである。
【0028】
したがって、例えば、実施形態において、本発明の実施のために適している溶液および方法は、グリベンクラミド、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、SKF9635、およびこれらの組み合わせの溶液、凍結乾燥された処方物、ならびに溶液および/または凍結乾燥された処方物を含むキットを含み得る。さらに、本発明の実施のために適している溶液および方法は、グリベンクラミド、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、SKF9635、およびこれらの組み合わせの溶液、凍結乾燥された処方物、ならびに溶液および/または凍結乾燥された処方物を含むキットを含み得る(一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物もまた、溶液、凍結乾燥された処方物、またはキットにおいて存在する)。
【0029】
液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するのための方法は:a)緩衝剤の非存在下またはわずかな緩衝剤の存在下(例えば、約2mM未満)において、目的の化合物の水溶液を調製する工程;b)目的の化合物の溶解度を上昇させるために高いpHの値にpHを調節する工程;およびc)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を乾燥−凍結する工程を含み得る。本明細書で用いられる場合、用語「目的の化合物」は、前の段落において名前が挙げられた化合物の何れか一つであり得、そして一つより多い化合物の混合物および組み合わせを含み得、そして例えば、前述の段落において名前が挙げられた一つまたはそれより多い化合物を含む混合物および組み合わせを含み得ることが理解される。例えば、液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法は、緩衝剤の非存在下でグリベンクラミドの水溶液を調製すること、グリベンクラミドの溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節することを含む。さらなる実施例において、液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法は、緩衝剤の非存在下でグリベンクラミドおよび例えばピンコラントなどの別の化合物の水溶液を調製する工程、これらの化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節する工程を含み得る。溶液のpHを高いpH値に調節することは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、または水溶液のpHを上昇させるために適している他の薬剤を用いて達成され得る。一旦、目的の化合物(または化合物の混合物)が溶解されると、その溶液のpHは、例えば、塩酸、硫酸、酢酸または他の酸など酸の添加によって必要に応じて低下させられ得る。本明細書で議論される任意の方法の何れかによって調製される、および本明細書で議論される任意の組成物の何れかを有する、結果として生じる溶液は、効果的に、凍結乾燥された固体を提供するため凍結−乾燥され得る。再構成された液体は、凍結乾燥のプロセスに起因して、凍結乾燥される前の溶液よりも低いpHを有し得、より低いpHにもかかわらず一つの化合物または複数の化合物が溶液中にとどまっている。
【0030】
液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法は:a)緩衝剤の非存在下で、水に目的の化合物を添加する工程;b)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節する工程;c)更なる量の目的の化合物を添加する工程;およびd)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥する工程を含み得る。液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法はまた:a)緩衝剤の非存在下で、水に目的の化合物を添加する工程;b)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節する工程;c)更なる量の目的の化合物を添加する工程;d)水溶液中の目的の化合物の所望の濃度を達成するため、もしくは最大限の濃度を達成するために、必要に応じ一回またはそれより多い回数、工程a)、b)、およびc)を繰返す工程;ならびにd)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥する工程を含み得る。
【0031】
液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法は:a)緩衝剤の非存在下またはわずかな緩衝剤の存在下(約2mM未満)で、水に目的の化合物を添加する工程;b)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節する工程;c)pHが変わるために十分な期間、上記液体を置いておく工程;(d)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値にさらに調節する工程;およびe)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥する工程を含み得る。液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法はまた:a)緩衝剤の非存在下で水に目的の化合物を添加する工程;b)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節する工程;c)pHが変わるために十分な期間、上記液体を置いておく工程;(d)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値にさらに調節する工程;e)水溶液中の目的の化合物の所望の濃度を達成するため、もしくは最大限の濃度を達成するために、必要に応じ一回またはそれより多い回数、工程a)、b)、c)およびd)を繰返す工程;ならびにf)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥する工程を含み得る。
【0032】
pHは、一回または複数回、前記の工程のいずれかにおいて測定され得る。pHは、一回または複数回、前記の工程のいずれかにおいて調節され得る。目的の化合物は、一回もしくは複数回、緩衝剤の非存在下で、水にまたは目的の化合物を含む水の溶液に添加され得る。目的の化合物は、一回もしくは複数回、緩衝剤の非存在下で、高いpHの水、または高いpHの水の溶液、または目的の化合物を含む高いpHの水の溶液に添加され得る。
【0033】
したがって、本発明の方法、組成物、およびキットの実施形態において、溶液ならびに凍結乾燥された処方物、ならびにそのような溶液および凍結乾燥された処方物を含むキットは、例えば、スルフォニルウレアおよびSURで活性な他の化合物(グリベンクラミド、トルブタミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド)ならびにSURと相互作用する他の薬物または薬物の代謝産物などを含み得;例えばピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF9635などのイオンチャネルブロッカーを含み得;エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲンまたは他のステロイド化合物を含み得;そして例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、ならびに単糖類、二糖類、および他の糖類を含む他の糖、塩化ナトリウム、塩化カリウム、または他の実質的に薬学的に不活性な化合物などの一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物もまた含み得る。
【0034】
さらなる特定の実施形態において、液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法は、a)緩衝剤の非存在下で、実質的に薬学的に不活性な化合物と一緒になった目的の化合物の水溶液を調製すること、b)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節すること、およびc)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥することを含む。例えば、液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法は、緩衝剤の非存在下で、グリベンクラミドおよびマンニトールの水溶液を調製すること、グリベンクラミド化合物およびマンニトール化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節することを含む。さらなる実施例において、液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法は、緩衝剤の非存在下で、グリベンクラミドおよび別の化合物の水溶液を調製すること、目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高い値(例えば、8、9、10、または11のpH)に調節することを含む。溶液のpHを高いpH値に調節することは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、または水溶液のpHを上昇させるために適している他の薬剤を用いて達成され得る。一旦、目的の化合物(または化合物の混合物)が溶解されると、その溶液のpHは、例えば、塩酸、硫酸、酢酸または他の酸などの酸の添加によって必要に応じて低下させられ得る。実質的に薬学的に不活性な化合物と一緒になった目的の化合物を含み、本明細書で議論される任意の方法の何れかによって調製される、および本明細書で議論される任意の組成物の何れかを有する、結果として生じる溶液は、効果的に凍結乾燥された固体を提供するため、凍結−乾燥され得る。
【0035】
さらなる実施形態において、液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法は、a)緩衝剤の存在下で、目的の化合物の水溶液(目的の化合物の混合物を含み得る)を調製すること、b)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節すること、およびc)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥することを含む。一旦、目的の化合物が溶解されると、その溶液のpHは、例えば酸の添加によって必要に応じて低下させられ得る。実質的に薬学的に不活性な化合物と一緒になった目的の化合物を含み、本明細書で議論される任意の方法の何れかによって調製される、および本明細書で議論される任意の組成物の何れかを有する、結果として生じる溶液は、効果的に凍結乾燥された固体を提供するため、凍結−乾燥され得る。
【0036】
さらなる実施形態において、液体の溶液中の化合物を凍結乾燥するための方法は、a)緩衝剤の存在下で、実質的に薬学的に不活性な化合物と一緒になった目的の化合物の水溶液(目的の化合物の混合物を含み得る)を調製すること、b)目的の化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節すること、およびc)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥することを含む。一旦、目的の化合物が溶解されると、その溶液のpHは、例えば酸の添加によって必要に応じて低下させられ得る。実質的に薬学的に不活性な化合物と一緒になった目的の化合物を含み、本明細書で議論される任意の方法の何れかによって調製される、および本明細書で議論される任意の組成物の何れかを有する、結果として生じる溶液は、効果的に凍結乾燥された固体を提供するため、凍結−乾燥され得る。
【0037】
本発明の特徴を有するキットは、目的の化合物の液体の溶液、および/または目的の化合物の混合物の液体の溶液、および/または一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物と一緒になった目的の化合物の液体の溶液を含み得、そしてそのような液体の溶液の使用のための指示書を含み得る。例えば、そのような液体の溶液の使用のための指示書は、目的の一つの化合物または複数の化合物の凍結乾燥された処方物を取得するために、そのような溶液を凍結−乾燥するための指示書を含み得る。あるいは、または加えて、本発明の特徴を有するキットは、目的の化合物の凍結乾燥された処方物、および/または目的の化合物の混合物の凍結乾燥された処方物、および/または一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物と一緒になった目的の化合物の凍結乾燥された処方物を含み得、ならびにそのような凍結乾燥された処方物の使用のための指示書を含み得る。例えば、そのような凍結乾燥された処方物の使用のための指示書は、研究および/または薬学的、医療的、獣医学的もしくは他の臨床的適用での使用のために適している溶液、好ましくは無菌の溶液を提供するため、そのような凍結乾燥された処方物を再構成するための指示書を含み得る。キットは、再構成された溶液のpHを変えることが可能である、一つのpHアジャスター(adjuster)または複数のpHアジャスターの別個のバイアルを含み得る。ここで「pHアジャスター」は、水の溶液のpHを変更することができる化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸または水の溶液のpHを効果的に変更できる他の化合物)である。
【0038】
本明細書で開示されているように、溶液、処方物、凍結乾燥物(lyophilate)、およびそれらを作製するための方法は、例えば、医薬として使用され得る物質を提供するため、そして疾患、障害および病気を処置するための医薬を調製するために有用である。スルフォニルウレアの溶液、処方物、凍結乾燥物、およびそれらを作製するための方法は、医薬として使用され得、そして例えば脳卒中、脳の外傷、脊髄損傷、(脳の、脊髄の、心臓のおよび他の器官の)虚血、ならびに他の疾患または病気(これらにおいて、細胞はNCCa−ATPチャネルなどのSUR1感受性非選択的チャネルを発現し得る)を処置するための医薬を調製するために用いられ得る。スルフォニルウレアの溶液、処方物、凍結乾燥物、およびそれらを作製するための方法は、医薬として使用され得、そして例えば糖尿病を処置するための医薬、KATPチャネルに影響する疾患もしくは病気またはKATPチャネルを調整することによって処置され得る疾患もしくは病気、および他の病気を処置するための医薬を調製するために用いられ得る。したがって、本明細書で開示される物質は、改良された医薬および処置を提供し、そして本明細書で開示される方法は、医薬を作製するための改良された方法および患者を処置するための改良された方法を提供する。
【0039】
さらなる実施形態は、緩衝剤を実質的に含まずそして一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物を含む凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末に関連する。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、独立に、糖または塩である。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、独立に、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、または塩化カリウムである。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物の一つはマンニトールである。ある例において、上記粉末はたった一つの実質的に薬学的に不活性な化合物を含み、それは糖または塩である。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物はマンニトールである。ある例において、緩衝剤の量は1%w/w未満である。ある例において、緩衝剤の量は0.1%w/w未満である。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物の量は10%w/w未満である。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物の量は5%w/w未満である。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物の量は2%w/wと6%w/wとの間である。ある例において、グリベンクラミドは、7のpHを有する水溶液において20℃で少なくとも約0.01mg/mLの水への溶解度を有する。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は上記水溶液中で提供されるマンニトールであり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約3mg/100mL(3%)の量で凍結乾燥された。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物はグルコースである。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は上記水溶液中で提供されるグルコースであり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約3mg/100mL(3%)の量で凍結乾燥された。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は上記水溶液中で提供される塩であり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約10mg/100mL(10%)未満の量で凍結乾燥された。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである。
【0040】
ある例において、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末は、グリベンクラミドの溶解度を高める薬剤を実質的に含まない。グリベンクラミドの溶解度を高め得る典型的な薬剤としては、シクロデキストリンおよびポリエチレングリコールなどの可溶のポリマーが挙げられる。ある例において、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末は、1%w/w未満のグリベンクラミドの溶解度を高める薬剤を含む。ある例において、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末は、0.1%w/w未満のまたは0.01%w/w未満のグリベンクラミドの溶解度を高める薬剤を含む。
【0041】
さらなる実施形態は、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末、アルカリ金属塩基(base)、そして必要に応じた、単糖類および二糖類からなる群から選択される実質的に薬学的に不活性なバルキング剤(bulking agent)から本質的に構成される、固体の薬学的組成物に関連する。ある例において、アルカリ金属塩基は水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであり、そして実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はマンニトール、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、またはスクロースである。ある例において、実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はマンニトールである。ある例において、実質的に薬学的に不活性なバルキング剤の量は、2%w/wと6%w/wとの間である。ある例において、アルカリ金属塩基の量は10%w/w未満である。ある例において、アルカリ金属塩基の量は5%w/w未満である。
【0042】
さらなる実施形態は、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末および別の薬学的に活性な化合物を含む薬学的組成物に関連し、この組成物は緩衝剤を実質的に含まない。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、またはSKF9635である。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、またはグリメピリドである。
【0043】
さらなる実施形態は:a)緩衝剤の非存在下で化合物の水溶液を調製すること、b)化合物の溶解度を上昇させるためにpHを約8よりも大きく調節すること、およびc)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥することを含む、化合物を凍結乾燥するための方法に関連する。ある例において、pHは約9より大きい。ある例において、pHは約pH10より大きい。ある例において、溶液中の化合物の濃度は約0.5mg/mLより大きい。ある例において、溶液中の化合物の濃度は約1mg/mLより大きい。ある例において、溶液中の化合物の濃度は約2mg/mLより大きい。ある例において、溶液中の化合物の濃度は約4mg/mLより大きい。ある例において、化合物はグリベンクラミド、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、またはSKF9635である。ある例において、化合物はグリベンクラミドである。
【0044】
さらなる実施形態は、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末、水、アルカリ金属塩、ならびに単糖類および二糖類からなる群から選択される実質的に薬学的に不活性なバルキング剤を含む、水性の薬学的な組成物に関連し、この組成物は1%w/v未満の緩衝剤を含む。ある例において、アルカリ金属塩は塩化ナトリウムまたは塩化カリウムであり、そして実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はマンニトール、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、またはスクロースである。ある例において、実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はマンニトールである。ある例において、実質的に薬学的に不活性なバルキング剤の量は2%w/vと15%w/vとの間である。ある例において、実質的に薬学的に不活性なバルキング剤の量は2%w/vと6%w/vとの間である。ある例において、アルカリ金属塩の量は5%w/v未満である。ある例において、組成物のpHは約6から約8である。ある例において、組成物のpHは6.5から8.0である。ある例において、組成物の重量オスモル濃度は200mOsmから400mOsmである。ある例において、組成物の重量オスモル濃度は250mOsmから330mOsmである。ある例において、組成物は2%w/vから10%w/vの量のグルコースをさらに含む。ある例において、実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はグルコースである。
【0045】
ある実施形態において、本明細書で記載される組成物は、グルコースもしくは関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせを含む。グルコースもしくは関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせは、賦形剤として役立ち得る。ある実施形態において、グルコースもしくは関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせは、スルフォニルウレア化合物とともに、治療の効果および/または治療の利益を提供するために十分な量で存在し得る。例えば、スルフォニルウレアと治療的に有効な量のグルコースもしくは関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせとの同時投与(co−administration)は、その処方物が投与される被験体の血液中の血清グルコースの適切なレベルを維持するために役立ち得、および/または有効であり得る。血液グルコースの適切なレベルは、例えば、約60mg/dl(ミリグラム/デシリットル)から約150mg/dl(約3.3mM(ミリモル/リットル)から約8mMのグルコース)の範囲内である。すなわち、グルコースもしくは関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせは、スルフォニルウレア化合物とさらに組み合わせられたとき、この範囲内に血清グルコースを維持するために組み合わせで投与され得、同時にスルフォニルウレア化合物の治療の利益を提供する。
【0046】
例えば、米国特許第7,285,574号において開示されるように、スルフォニルウレア化合物の(投与を必要としている)被験体への投与は、脳卒中および/もしくは低酸素症/虚血の危険を減らすこと、脳卒中および/もしくは低酸素症/虚血に続く損傷の量を減らすこと(例えば、頭蓋内圧を減らすこと、細胞の死を減らすこと、脳卒中の大きさを減らすこと、および/もしくは脊髄の傷害を減らすこと、など)に対し役立ち得、ならびに/または有効であり得る。グルコース、関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせの適切な量は、患者における血液グルコースの程よいレベルを維持する量を含み、例えば、グルコース、関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせの上記量は、少なくとも約60mg/dlの血液グルコースレベルを維持し、より好ましくは、例えば、約60mg/dlと約150mg/dlとの間などの受容可能な範囲内の血液グルコースレベルを維持するために有効である。すなわち、グルコース、関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせの上記量は、被験体が低血糖になることを防ぐために役立つ、および/または有効である。
【0047】
ある実施形態において、本発明の特徴を有する処方物は、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)または機能的に関連する化合物(アスピリン、スタチン、利尿薬、ワルファリン、Coumadin、マンニトール、など)などのさらなる治療剤と組み合わせた一つのスルフォニルウレア化合物または複数のスルフォニルウレア化合物を含み得る。さらなる実施形態は、a)一つのスルフォニルウレア化合物または複数のスルフォニルウレア化合物、b)血栓溶解の薬剤、およびc)グルコース、関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせを含む処方物を含み得る。
【0048】
さらなる実施形態は、脳卒中、神経細胞の腫脹、外傷性の脳損傷、脊髄損傷、器官の虚血、急性冠状動脈症候群、心筋梗塞、敗血症、および糖尿病からなる群から選択される障害に罹患した患者を処置する方法に関連し、この方法は本明細書に記載される有効量の水性の薬学的組成物を、(処置を必要としている)患者に静脈内に投与することを含む。ある例において、障害は脳卒中である。ある例において、患者はヒトである。ある他の例において、障害は、脳卒中、虚血、低酸素症/虚血、脊髄損傷、脳の外傷、または他の脳の損傷である。ある実施形態において、患者に投与される組成物はスルフォニルウレア化合物および必要に応じてグルコース、グルコースに関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせを含む。さらなる実施形態において、そのような処方物はa)一つのスルフォニルウレア化合物または複数のスルフォニルウレア化合物、b)グルコース、グルコースに関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせ、およびc)別の治療剤を含み得る。ある例において、グルコース、グルコースに関連する炭水化物、グルカゴン、またはこれらの組み合わせは、治療的に有効な量で存在する。
【0049】
さらなる実施形態は、希釈剤のバイアルと共に包装される、グリベンクラミド粉末のバイアルに関連する。さらなる実施形態は、希釈剤のバイアルと共に包装される、グリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで希釈剤は、水;水およびアルコール;水およびグルコース;ならびに水、PEG、およびアルコールからなる群から選択される。ある例において、希釈剤は水およびグルコースである。ある例において、グルコースは、重量/体積(w/v)によって測定されるとき、約2%と約15%との間の量において存在する。ある例において、希釈剤は5%のデキストロース溶液である。他の実施形態は、希釈剤のバイアルと共に包装される、グリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで希釈剤のpHは約7.4またはそれより大きいpHを有する。なお別の実施形態は、希釈剤のバイアルと共に包装される、グリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで希釈剤は約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ緩衝化される。ある例において、緩衝剤の濃度は約1mMと約100mMとの間である。ある例において、緩衝剤の濃度は約15mM未満である。ある例において、緩衝剤の濃度は約5mMと約10mMとの間である。
【0050】
さらなる実施形態は、希釈剤のバイアルと共に包装される、グリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ薬学的に受容可能な緩衝剤を用いて緩衝化される。さらなる実施形態は、希釈剤のバイアルと共に包装される、グリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤を用いて緩衝化される。さらなる実施形態は、希釈剤のバイアルと共に包装される、グリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで希釈剤は約7.4のpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤を用いて緩衝化される。さらなる実施形態は、希釈剤のバイアルと共に包装される、微粉化されたグリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤を用いて緩衝化される。さらなる実施形態は、希釈剤のバイアルと共に包装される、微粉化されたグリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで希釈剤は約7.4のpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤を用いて緩衝化される。さらなる実施形態は、凍結乾燥されたグリベンクラミド、バルキング剤、およびpHアジャスターを含むバイアルに関連する。さらなる実施形態は、凍結乾燥されたグリベンクラミド、バルキング剤、およびpHアジャスターを含むバイアルに関連し、ここでpHはNaOHを用いて調節される。さらなる実施形態は、凍結乾燥されたグリベンクラミド、バルキング剤、およびpHアジャスターを含むバイアルに関連し、ここでグリベンクラミドの濃度は約1mg/mLである。ある例において、バルキング剤はマンニトールである。ある例において、凍結乾燥する前のpHは約pH11.4である。ある例において、出発物質は微粉化されたグリベンクラミドである。ある例において、バイアルは、再構成の後に上記産物に添加してpHを変えるための、7.4〜8.0のpHである(緩衝化されたまたはされていない)希釈剤のバイアルと共に包装される。
【0051】
さらなる実施形態は、:本明細書に記載される化合物の凍結乾燥された処方物;希釈剤の溶液;およびそのような液体の溶液の使用のための指示書を含むキットに関連する。ある例において、上記希釈剤の溶液は、水;水およびアルコール;水およびポリエチレングリコール(PEG);水およびグルコース;ならびに水、アルコールおよびPEG、から選択される。ある例において、希釈剤の溶液は水およびグルコースである。ある例において、グルコースは重量/体積(w/v)で測定されるとき、約2%と約15%との間の量において存在する。ある例において、希釈剤は5%のデキストロース溶液である。ある例において、希釈剤はアルコールを含み、ここでアルコールはエタノールである。ある例において、ここで希釈剤のpHは約7.4またはそれより大きい。ある例において、ここで希釈剤は緩衝化される。ある例において、ここで緩衝剤の濃度は、約1mMと約100mMとの間である。ある例において、ここで緩衝剤の濃度は、約15mM未満である。ある例において、ここで緩衝剤の濃度は、約5mMと約10mMとの間である。ある例において、ここで希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有し、ならびに薬学的に受容可能な緩衝剤によって緩衝化される。
【0052】
さらなる実施形態は、グリベンクラミドおよび水から本質的に構成される液体の処方物に関連し、上記処方物は十分に高いpHを有し、そのため約1のpHの変化はグリベンクラミドが溶液から沈殿することを引き起こさない。ある例において、処方物は約0.01%w/v未満の緩衝剤を含む。ある例において、処方物は約0.01%w/v未満の界面活性剤を含む。ある例において、処方物は約0.01%w/v未満の共溶媒を含む。ある例において、処方物のpHは約9より大きい。ある例において、処方物のpHは約10より大きい。さらなる実施形態は、上に記載された処方物の一つを凍結乾燥することによって産生される凍結乾燥物の組成物に関連する。なおさらなる実施形態は、本明細書に記載される凍結乾燥物の組成物を再構成することによって産生される液体の薬学的組成物に関連し、ここで上記の液体の薬学的組成物のpHは、凍結乾燥物の組成物の少なくとも約98重量%を溶解するために十分高い。ある例において、液体の薬学的組成物は、約6から約8の範囲におけるpHを有し、生理食塩水を含み、かつグリベンクラミドの少なくとも約98%w/vが溶解される。
【0053】
さらなる実施形態は、グリベンクラミドおよび水から本質的に構成される液体の処方物に関連する。上記処方物は十分に高いpHを有し、そのため約1のpHの変化はグリベンクラミドが溶液から沈殿することを引き起こさない。上記処方物は、上記溶液が、凍結乾燥物(これは、約6から約8の範囲内のpHを有し、かつグリベンクラミドが溶液内に溶解されてとどまっている溶液を形成するために生理食塩水によって再構成および希釈され得る)を形成するために凍結乾燥することに適していることでさらに特徴づけられる。他の実施形態は、液体の溶液を凍結乾燥することによって産生される凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末に関連し、この液体の溶液はグリベンクラミドおよび一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物から本質的に構成され、9より大きいpHを有する。ある例において、上記液体の溶液は約0.01%w/v未満の緩衝剤を含む。ある例において、上記液体の溶液は10より大きいpHを有する。
【0054】
さらなる実施形態は、活性がある治療剤および一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物から本質的に構成される液体の処方物に関連し、上記液体の処方物は8より大きいpHを有し、かつここで活性がある治療剤は弱酸である。ある例において、上記液体の処方物は約0.01%w/v未満の緩衝剤を含む。ある例において、上記液体の溶液は9より大きいpHを有する。ある例において、活性がある化合物は500g/mol未満の分子量を有し、かつスルフォニルウレア基を含む有機化合物である。ある例において、活性がある化合物はグリベンクラミドである。別の実施形態は、上で記載された液体の処方物を凍結乾燥することによって産生される凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末に関連する。
【0055】
本明細書で開示されるように、処方物、組成物およびキットの中身は、処方物および組成物として、ならびに/または薬学的な処方物および組成物の調製における使用のために、処置を必要としている患者へ投与するために、適している。例えば、処置を必要としている患者は、本明細書に記載される有効量の水性の薬学的な組成物を用いる処置を必要としている患者であり得る。処置を必要としている患者は、例えば、スルフォニルウレア化合物が治療の利益を提供し得るあらゆる患者(例えば、糖尿病、虚血、出血またはスルフォニルウレア化合物を用いる処置の影響を受けやすい他の障害もしくは病気に罹患した患者を含む)であり得る。処置を必要としている患者は、例えば、イオンチャネルブロッキング化合物と一緒になったスルフォニルウレア化合物の組み合わせが治療の利益を提供し得るあらゆる患者であり得る。処置を必要としている患者は、例えば、イオンチャネルブロッキング化合物および/またはステロイド化合物と一緒になったスルフォニルウレア化合物の組み合わせが治療の利益を提供し得るあらゆる患者であり得る。別の実施例において、処置を必要としている患者は、例えば、実質的に薬学的に不活性な化合物と一緒になったスルフォニルウレア化合物および/またはイオンチャネルブロッキング化合物の組み合わせが治療の利益を提供し得るあらゆる患者であり得る。
【0056】
処置を必要としている患者は、例えば、糖尿病に罹患した患者、または出血を有する患者、または他の障害もしくは病気に罹患した患者であり得る。処置を必要としている患者は、例えば、任意の一つの器官、または任意の複数の器官、または器官系の虚血に罹患した患者であり得る。そのような器官系は、例えば、神経系の一部を含む神経系、または循環器系、または循環器系の一部であり得る。そのような器官は、例えば、脳、心臓、筋肉、または他の器官であり得る。処置を必要としている患者は、本明細書で開示される処方物、組成物、および/またはキットの中身の投与から利益を得られ得るあらゆる患者であり得る。処置を必要としている患者のさらなる例としては、脳卒中、出血、神経細胞の腫脹、外傷性の脳の傷害、脊髄の傷害、器官の虚血、急性冠状動脈症候群、心筋梗塞、敗血症、および糖尿病からなる群から選択される障害に罹患した患者が挙げられる。
【0057】
本発明の別の局面は、健康保険契約の下で請求を処理する方法に関連する。一般に医療の処置または薬物治療の適用範囲への保険請求の処理は、保険会社またはあらゆる他の実態(これは、提起される請求に対する、保険契約を発行している)への、行われる医療の処置または薬物治療の通知を含む。決定は、その後、行われる医療の処置または薬物治療が契約の条件の下で補償されるか否かに応じて行われる。補償される場合、上記請求は、その後処理される(これは、支払い、返済、または控除条項への申し込みを含み得る)。したがって、ある実施形態は、本明細書に記載される組成物またはキットを用いる処置に関連される費用への返済を得ようとしている請求人によって提出される、健康保険契約の下での請求を処理するための方法に関連し、上記方法は:a)上記請求を再調査すること;b)上記処置が上記保険契約の下で返済可能であるか否かを決定すること;およびc)上記費用の部分的なまたは完全な返済を提供するために上記請求を処理することを含む。
【0058】
例えば、本発明の実施形態は、本明細書で開示される処方物、組成物およびキットの何れかの購入もしくは処方に対する医療保険および/または返済への請求を処理するための方法を含む。特定の実施形態において、上記方法は、保険請求の上記処理のため、ならびに/もしくは本明細書で開示される処方物、組成物およびキットの何れかの購入に対するまたは処方に対する返済のため、コンピューターを利用する。さらなる実施形態は、処置を必要としている患者を処置するための本明細書で開示される処方物、組成物およびキットの何れかの購入もしくは処方に対する医療保険ならびに/または返済への請求を処理するための方法に関連する。
【0059】
本明細書で開示されるように、本明細書で開示される処方物、組成物およびキットの何れかの購入もしくは処方に対する医療保険ならびに/または返済への請求を処理するための方法は:i)本明細書で開示される処方物、組成物もしくはキットの購入または処方に対する医療保険および/あるいは返済への請求を受け取る工程;ならびにii)医療の処置、行為、および/または医薬への返済を提供する工程を含み得る。
【0060】
さらなる実施形態において、本明細書で開示される処方物、組成物およびキットの何れかの購入もしくは処方に対する医療保険ならびに/または返済への請求を処理するための方法は:i)本明細書で開示される処方物、組成物もしくはキットの購入または処方に対する医療保険および/あるいは返済への請求を受け取る工程;ii)上記請求を評価する工程;およびiii)医療の処置、行為、および/または医薬への返済を提供する工程を含み得る。
【0061】
保険の請求を処理するためのこれらの方法の実施形態において、上記工程の何れか一つまたはそれ以上は、コンピューターの使用を含み得る;上記工程の何れか一つまたはそれ以上は、電子データの転送の使用を含み得る;上記工程の何れか一つまたはそれ以上は、電話および/もしくはファックスデバイスの使用を含み得る;上記工程の何れか一つまたはそれ以上は、郵便および/もしくは配達事業の使用を含み得る;ならびに上記工程の何れか一つまたはそれ以上は、電子資金転送デバイスおよび/もしくは方法を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、水性のスクロース溶液(水中の2%スクロース、ここで「%」はg/100mLを意味する)および水単独における、pHの関数としてプロットされたグリベンクラミドの濃度(縦軸上にmg/mLの単位で示される)を示す。
【図2】図2は、種々のpH値における溶液中のグリベンクラミドの量(mg/mL)を示し、縦軸上にグリベンクラミドの量がプロットされ、かつpHは横軸にそって左から右に上昇するように示される。
【図3】図3は、種々のpH値における、生理食塩水、スクロース、および緩衝化された(Britton Robinson)水の溶液における、溶液中のグリベンクラミドの量(mg/mL)を示し、縦軸上にグリベンクラミドの量がプロットされ、かつpHは横軸にそって左から右に上昇するように示される。
【図4】図4は、実施例7に記載される、凍結乾燥されたグリベンクラミドの安定性を評価する研究から取得された特徴付けのデータを列挙する表である。
【図5】図5は、実施例7に記載される、凍結乾燥されたグリベンクラミドの安定性を評価する研究から取得された特徴付けのデータを列挙する表である。
【図6】図6は、実施例7に記載される、凍結乾燥されたグリベンクラミドの安定性を評価する研究から取得された特徴付けのデータを列挙する表である。
【図7】図7は、実施例7に記載される、凍結乾燥されたグリベンクラミドの安定性を評価する研究から取得された特徴付けのデータを列挙する表である。
【図8】図8は、実施例7に記載される、凍結乾燥されたグリベンクラミドの安定性を評価する研究から取得された特徴付けのデータを列挙する表である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
(詳細な説明)
凍結乾燥の方法、凍結乾燥のための開始物質として適切である溶液、凍結乾燥から生じる乾燥物質および処方物(粉末、ケーク、フィルムおよび塩を含む)ならびに他の方法、物質、および処方物が、本明細書で提供される。
【0064】
本明細書で開示される方法の実施形態によると、凍結乾燥のために適切である溶液に処方され得る例示的な化合物は、グリベンクラミドである。グリベンクラミド(5−クロロ−N−[2−[4−(シクロヘキシルカルバモイルスルファモイル)フェニル]エチル]−2−メトキシ−ベンズアミド;グリベンクラミドとしても知られる)は、494g/molの分子量、6.8のpKa、約169〜174℃の融点を有するスルフォニルウレア化合物であり、かつ、以下の化学的構造を有する:
【0065】
【化1】

グリベンクラミドは、4mg/Lの水の溶解度および5mg/mLのエタノールの溶解度を有する。そのため、グリベンクラミドは、水中よりエタノール中において約三桁、可溶性が大きい。用語「グリベンクラミド」および「グリベンクラミド」は、遊離塩基の化合物およびこれらの薬学的に受容可能な塩基性塩の両方を含むことが意図される。ある実施形態において、「グリベンクラミド」および「グリベンクラミド」は、遊離塩基の化合物の形態で、実質的に存在する。
【0066】
グリベンクラミドならびに水溶液においてほんのわずかに可溶性である他の薬物および化合物の、水溶液を提供することは望ましい。例えば、グリベンクラミド、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、SKF9635、およびこれらの組み合わせの水溶液を提供することは望ましい。
【0067】
例えば、グリベンクラミド溶液、処方物、および凍結乾燥物は調製され得、これらは、糖も、塩も、緩衝液も含まないグリベンクラミドの水の溶液であり得る溶液および処方物;糖(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、ならびに単糖類、二糖類、および他の糖類を含む他の糖の一つ以上)もまた含むグリベンクラミドの水の溶液であり得る溶液および処方物、塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)もまた含むグリベンクラミドの水の溶液であり得る溶液および処方物、緩衝液(例えば、Britton−Robinson緩衝液、リン酸緩衝液、「トリス」緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む)、HEPES緩衝液(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)を含む)、または他の緩衝液)もまた含むグリベンクラミドの水の溶液であり得る溶液および処方物を、含む。そのような溶液、処方物、ならびにそのような溶液および処方物から作製される凍結乾燥物は、上記の組み合わせを含み得るということが理解される。
【0068】
上で論じられたように、Rydbergらは、リン酸塩で緩衝化された溶液におけるグリベンクラミドの処方物を報告している。しかしながら、本発明者による、Rydbergらの処方物と同様の処方物を調製するための試みは、リン酸塩で緩衝化されたグリベンクラミドの凍結乾燥物が十分に再構成しなかったことを明らかにした。加えて、おそらく、グリベンクラミドが十分に溶解しなかったために、本発明者による、Schrageらの処方物を(Mayo研究において報告されているように)再現するための試みは、失敗した。
【0069】
以前のpH調節され凍結乾燥された産物(これは、pHを一定に保つためにpH安定剤または緩衝剤を使用する)とは対照的に、本発明の一つの局面は、緩衝剤が欠けているグリベンクラミド処方物を特徴とする。なぜならば、そのような処方物は、凍結乾燥およびその後の静脈内投与に適切である処方物を作製するための再構成にとって、より好都合であることが意外にも発見されているからである。本明細書に記載されるグリベンクラミド処方物の凍結乾燥の間でのpH変化は、最終産物を再構成する能力に悪影響を及ぼさないことが見出されている。さらに、本発明は、以前に記載された緩衝化されたある溶液の不都合さ−そのような緩衝化された溶液は、しばしば、長期の静脈内の注入(例えば、1日、3日、5日)に対して適切なpH値を有する溶液を形成するための、再構成後の希釈に適切ではないという不都合さ、を克服する。ごくわずかに緩衝化された溶液(例えば、約2mM未満の緩衝剤)は、本発明になじみやすいと考えられることは、注目されるべきである。
【0070】
したがって、グリベンクラミドならびに他の薬物および化合物の水溶液を提供する新たな方法および組成物が、本明細書に記載される(この、他の薬物および化合物は、そうでなければ、水溶液中ではほんのわずかに可溶性である)。例示的方法、溶液、処方物、凍結乾燥物、および組成物は、以下の実施例において、詳細に記載される。
【0071】
一般的に記載されている本発明は、以下に記載される種々の実施形態を参照して、記載される。以下に記載される実施形態は、本発明の種々の局面をさらに記載する目的のために提示され、かつ本発明の範囲を制限していると解釈されるべきではない。
【0072】
本発明のひとつの局面は、凍結乾燥に適切な処方物に関連し、この処方物はグリベンクラミド、一つまたはそれより多いpHアジャスターおよびバルキング剤を含む。ある例において、pHアジャスターはNaOHであり、かつバルキング剤はマンニトール、スクロース、ラクトースまたはトレハロースである。ある例において、グリベンクラミドの濃度は1mg/mLであり、かつpHは11.4である。ある例において、pHアジャスターはNaOHおよびHClであり、かつバルキング剤はマンニトール、スクロース、ラクトースまたはトレハロースである。ある例において、グリベンクラミドの濃度は0.2mg/mLであり、かつpHは9.4である。
【0073】
本発明の別の局面は、上記処方物の凍結乾燥された中身を含むバイアルに関連する。ある例において、上記バイアルは希釈剤のバイアルと共に包装される。ある例において、希釈剤は約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ緩衝化される。
【0074】
本発明の別の局面は、スルフォニルウレア受容体(SUR)で活性な薬物の凍結乾燥に適切な溶液を調製する方法に関連し、上記方法は、a)約pH8またはそれより大きいpHを有する水の溶液を調製する工程;b)薬物を水の溶液に添加する工程;およびc)結果として生じる溶液のpHを約8またはそれより大きいpHを有するように調節する工程;を含む。これによってスルフォニルウレア受容体(SUR)で活性な薬物の凍結乾燥に適切な溶液が取得される。ある例において、pHは約9またはそれより大きい。
【0075】
本発明の別の局面は、希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルに関連する。本発明のある他の局面は、希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで、希釈剤は水;水およびアルコール;ならびに水、PEGおよびアルコールからなる群から選択される。本発明のある他の局面は、希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで、希釈剤のpHは約pH7.4またはそれより大きいpHを有する。本発明のなお他の局面は、希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで、希釈剤は約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ緩衝化される。ある例において、緩衝剤の濃度は、約1mMと約100mMとの間である。ある例において、緩衝剤の濃度は、約15mM未満である。ある例において、緩衝剤の濃度は、約5mMと約10mMとの間である。
【0076】
本発明の別の局面は、希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで、希釈剤は約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ薬学的に受容可能な緩衝剤で緩衝化される。本発明のある他の局面は、希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで、希釈剤は約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤で緩衝化される。本発明のなお他の局面は、希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで、希釈剤は約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤で緩衝化される。
【0077】
本発明の別の局面は、緩衝剤を実質的に含まないグリベンクラミド粉末に関連する。本発明のある他の局面は、緩衝剤を実質的に含まず、かつ実質的に薬学的に不活性な化合物を含むグリベンクラミド粉末に関連する。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、糖および塩から選択される。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、ならびに単糖類、二糖類、および他の糖類を含む他の糖、塩化ナトリウム、および塩化カリウムから選択される。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物はマンニトールである。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、水溶液中で提供されるマンニトールであり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約3mg/100mL(3%)の量で凍結乾燥された。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物はグルコースである。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、水溶液中で提供されるグルコースであり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約3mg/100mL(3%)の量で凍結乾燥された。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、水溶液中で提供される糖であり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約10mg/100mL(10%)未満の量で凍結乾燥された。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、水溶液中で提供される糖であり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約5mg/100mL(5%)未満の量で凍結乾燥された。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は塩である。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムから選択される塩である。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、水溶液中で提供される塩であり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約10mg/100mL(10%)未満の量で凍結乾燥された。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、水溶液中で提供される塩であり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約5mg/100mL(5%)未満の量で凍結乾燥された。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、水溶液中で提供される塩であり、この水溶液から、グリベンクラミド粉末は約2mg/100mL(2%)以下の量で凍結乾燥された。
【0078】
本発明の別の局面は、緩衝剤を実質的に含まず、かつ別の薬学的に活性な化合物を含む、(微粉化された、または微粉化されていない)グリベンクラミド粉末に関連する。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635から選択される。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、およびグリメピリドから選択される。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635から選択される。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、およびフィトエストロゲンから選択される。
【0079】
本発明の別の局面は、化合物を凍結乾燥するための方法に関連し、この方法は:a)緩衝剤の非存在下で目的の化合物の水溶液を調製すること、b)化合物の溶解度を上昇させるためにpHを高いpHの値に調節すること、およびc)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥すること、を含む。
【0080】
ある例において、pHの高い値は、約pH7.4より大きいpH値を含む。ある例において、pHの高い値は、約pH8より大きいpH値を含む。ある例において、pHの高い値は、約pH8.5より大きいpH値を含む。ある例において、pHの高い値は、約pH9より大きいpH値を含む。ある例において、pHの高い値は、約pH9.5より大きいpH値を含む。ある例において、pHの高い値は、約pH10より大きいpH値を含む。ある例において、高いpHの値を有する溶液における化合物の濃度は、約0.3mg/mLより大きい。ある例において、高いpHの値を有する溶液における化合物の濃度は、約0.5mg/mLより大きい。ある例において、高いpHの値を有する溶液における化合物の濃度は、約1mg/mLより大きい。ある例において、高いpHの値を有する溶液における化合物の濃度は、約2mg/mLより大きい。ある例において、高いpHの値を有する溶液における化合物の濃度は、約3mg/mLより大きい。ある例において、高いpHの値を有する溶液における化合物の濃度は、約4mg/mLより大きい。ある例において、高いpHの値を有する溶液における化合物の濃度は、約5mg/mLより大きい。ある例において、目的の化合物は、グリベンクラミド、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635から選択される。ある例において、目的の化合物は、一つより多い薬学的に活性な化合物を含む。
【0081】
本発明の別の局面は、化合物を凍結乾燥するための方法に関連し、この方法は:a)目的の化合物の水溶液を提供するために、緩衝剤の非存在下で水に目的の化合物を添加すること;b)pHを高いpHの値に調節すること;c)上記目的の化合物の水溶液の水に、更なる量の目的の化合物を添加すること;およびd)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥することを含む。本発明のある他の局面は、化合物を凍結乾燥するための方法に関連し、この方法は:a)目的の化合物の水溶液を提供するために、緩衝剤の非存在下で水に目的の化合物を添加すること;b)pHを高いpHの値に調節すること;c)上記目的の化合物の水溶液の水に、更なる量の目的の化合物を添加すること;d)水溶液中の目的の化合物の所望の濃度を達成するため、もしくは最大限の濃度を達成するために、必要に応じ一回またはそれより多い回数、工程a)、b)、およびc)を繰返すこと;ならびにe)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために上記溶液を凍結−乾燥することを含む。
【0082】
ある例において、目的の化合物は、グリベンクラミド、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635から選択される。ある例において、目的の化合物は、一つより多い薬学的に活性な化合物を含む。ある例において、水溶液は実質的に薬学的に不活性な化合物を含む。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、糖および塩から選択される。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物はグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、ならびに単糖類、二糖類、および他の糖類を含む他の糖、塩化ナトリウム、および塩化カリウムから選択される。ある例において、水溶液中の実質的に薬学的に不活性な化合物は、約10mg/100mL(10%)の濃度を有する。ある例において、水溶液中の実質的に薬学的に不活性な化合物は、約5mg/100mL(5%)の濃度を有する。ある例において、水溶液中の実質的に薬学的に不活性な化合物は、約3mg/100mL(3%)の濃度を有する。ある例において、水溶液中の実質的に薬学的に不活性な化合物は、約1mg/100mL(1%)の濃度を有する。
【0083】
本発明の別の局面はキットに関連し、このキットは、本明細書に記載されるような目的の化合物の液体の処方物;およびそのような液体の溶液の使用のための指示書を含む。本発明のある他の局面はキットに関連し、このキットは、本明細書に記載されるような目的の化合物の凍結乾燥された処方物;希釈剤の溶液;およびそのような液体の溶液の使用のための指示書を含む。ある例において、上記の希釈剤の溶液は、水;水およびアルコール;水およびポリエチレングリコール(PEG);水、アルコールおよびPEGから選択される。ある例において、希釈剤の溶液はアルコールを含み、ここで、アルコールはエタノールである。ある例において、希釈剤のpHは、約pH7.4またはそれより大きいpHを有する。ある例において、希釈剤は約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ緩衝化される。ある例において、緩衝剤の濃度は、約1mMと約100mMとの間である。ある例において、緩衝剤の濃度は、約15mM未満である。ある例において、緩衝剤の濃度は約5mMと約10mMとの間である。ある例において、希釈剤は、約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ薬学的に受容可能な緩衝剤によって緩衝化される。
【0084】
本発明の別の局面は、希釈剤のバイアルと共に包装される(微粉化された、または微粉化されていない)グリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで、希釈剤は約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤で緩衝化される。本発明のある他の局面は、希釈剤のバイアルと共に包装される(微粉化された、または微粉化されていない)グリベンクラミド粉末のバイアルに関連し、ここで、希釈剤は約pH7.4またはそれより大きいpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤で緩衝化される。
【0085】
本発明の別の局面は、(微粉化された、または微粉化されていない)グリベンクラミド粉末に関連し、これは緩衝剤を含む。本発明のある他の局面は、(微粉化された、または微粉化されていない)グリベンクラミド粉末に関連し、これは、緩衝剤を含み、かつ実質的に薬学的に不活性な化合物を含む。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、糖および塩から選択される。ある例において、実質的に薬学的に不活性な化合物は、グルコース、フルクトース、トレハロース、スクロース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、および塩化カリウムから選択される。
【0086】
本発明の別の局面は、(微粉化された、または微粉化されていない)グリベンクラミド粉末に関連し、これは、緩衝剤を含み、かつ別の薬学的に活性な化合物を含む。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635から選択される。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、およびグリメピリドから選択される。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635から選択される。ある例において、他の薬学的に活性な化合物は、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲンおよびフィトエストロゲンから選択される。
【0087】
本発明の別の局面は、凍結乾燥されたグリベンクラミド、バルキング剤、およびpHアジャスターを含むバイアルに関連する。本発明のある他の局面は、凍結乾燥されたグリベンクラミド、バルキング剤、およびpHアジャスターを含むバイアルに関連し、ここで、pHはNaOHを用いて調節される。本発明のなお他の局面は、凍結乾燥されたグリベンクラミド、バルキング剤、およびpHアジャスターを含むバイアルに関連し、ここで、グリベンクラミドの濃度は約1mg/mLである。ある例において、バルキング剤はマンニトールである。ある例において、凍結乾燥の前のpHは約pH11.4である。ある例において、開始物質は微粉化されたグリベンクラミドである。ある例において、再構成の後に上記産物に添加してpHを変えるための、7.4〜8.0のpHである(緩衝化されたまたはされていない)希釈剤のバイアルと共に包装される。
【0088】
(定義)
本発明の理解を容易にするために、多数の用語および語句が以下に定義される。
【0089】
本明細書で用いられる場合、用語「患者」とは、本発明の方法によって処置される生物をいう。そのような生物は、好ましくは、哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、など)が挙げられるが、これに限定されず、そして最も好ましくはヒトが挙げられる。
【0090】
本明細書で用いられる場合、用語「有効量」とは、有益なまたは所望の結果をもたらすために十分である化合物(例えば、本発明の化合物)の量をいう。有効量は、一回もしくはそれより多い投与、適用または投薬において投与され得、かつ特定の処方物または投与ルートに制限されるとは意図されない。本明細書で用いられる場合、用語「処置する」とは、病気、疾患、障害、などの改善を結果として生じる、あらゆる効果(例えば、減らす、低減する、調整する、改善するもしくは除去する、またはこれらの症状を改善する)を含む。
【0091】
本明細書で用いられる場合、用語「薬学的な組成物」とは、活性な薬剤と(不活性なまたは活性な)担体の組み合わせをいい、これは、組成物をインビボまたはエクスビボ(ex vivo)における診断もしくは治療上の使用に対して特に適切にする。
【0092】
本明細書で用いられる場合、用語「薬学的に受容可能な担体」とは、生理食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば、油/水または水/油のエマルジョンなど)、および種々の型の湿潤剤などの標準的な薬学的担体をいう。ある例において、上記組成物は安定剤および防腐剤を含み得る。担体、安定剤および補助薬の例については、例えば、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ.Co.,Easton,PA(1975)を参照のこと。
【0093】
本明細書で用いられる場合、用語「薬学的に受容可能な塩基性塩」とは、本発明の化合物のあらゆる薬学的に受容可能な塩基性塩をいい、これは、被験体への投与の際に、本発明の化合物またはこれらの活性な代謝産物もしくは残留物を提供することが可能である。当業者に公知であるように、本発明の化合物の「塩」は、無機のまたは有機の塩基に由来し得る。塩基の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、および式NW(ここで、WはC1〜4アルキルである)の化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0094】
(実施例)
目下のところ一般的に記載されている本発明を、以下の実施例を参照することによってより容易に理解する。以下の実施例を、単に、本発明のある局面および実施形態の例証の目的のために挙げる。これらの実施例は本発明を制限するとは意図されない。
【0095】
(実施例1−凍結乾燥されたグリベンクラミド)
(表3)
【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

注:範囲または代わりのものを、かっこ内に示す。「注射用蒸留水」としては、精製された、殺菌された、濾過された、および患者への投与に適切かつ安全である他の水が挙げられる。
【0098】
(実施例2A−−微粉化されたグリベンクラミドを用いた溶解度の研究)
(スクロース)
表4の左側の列に記録されているように、水中の2%スクロース(グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、および単糖類、二糖類を含む他の糖に対する代用品として)中で、微粉化されたグリベンクラミドを調製した。加えて、微粉化されたグリベンクラミドを、バルキング剤を伴なわない水中で調製した(表4、右側の列を参照のこと)。これらは緩衝化されていない溶液であったため、1)pHを標的の値に調節した、その後2)グリベンクラミドを添加した(これは、pHを下げた)そしてその後3)pHを標的まで再調節(re−adjust)した。これを、pHが安定するまで繰り返して行った。
【0099】
(表4−−グリベンクラミド(GLB)の溶液)
【0100】
【表6】

グリベンクラミド濃度(縦軸上にmg/mLの単位で示される)を、図1において、水性のスクロース溶液(水中の2%スクロース、ここで「%」はg/100mLを意味する)および水単独における、pHの関数としてプロットした。
【0101】
ラクトースおよびにマンニトールならびに他の糖(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、トレハロース、ソルビトール、および単糖類、二糖類を含む他の糖)についての結果は、スクロースについて示されている結果と類似すると考える。
【0102】
(生理食塩水)
水中の2%生理食塩水および0.9%生理食塩水中で微粉化されたグリベンクラミドを調製し、そして分析した(表5を参照のこと)。これらの溶液は緩衝化されていない溶液であったので、以下の方法を用いた:1)pHを標的まで調節した、その後2)グリベンクラミドを添加した(これは、pHを下げた)そしてその後3)pHを標的まで再調節した。これを、pHが安定するまで繰り返して行った。「GLB」はグリベンクラミドを示す。
【0103】
(表5−−グリベンクラミド(GLB)の溶液)
【0104】
【表7】

グリベンクラミドの量(mg/mLにおける)を、生理食塩水溶液中および水中におけるグリベンクラミドの溶液について、pH(横軸に沿っている)の関数として、図2において縦軸上にプロットした。
【0105】
図2において見られ得るように、グリベンクラミドの溶解度がより小さかったのは、生理食塩水溶液であり、NaClのより高い濃度はグリベンクラミドの溶解度をさらに下げる。つまり、0.9%生理食塩水溶液におけるグリベンクラミドの最大限の量は、2%生理食塩水溶液におけるグリベンクラミドの最大限の量より大きかった。
【0106】
(緩衝化された溶液)
緩衝化された水の溶液(Britton Robinson緩衝液)を、追加の塩も追加の糖も含まない緩衝化された溶液中に可溶であるグリベンクラミドの量を決定するために用いた。グリベンクラミドに加えて緩衝化された水を用いる実験は、pHによる以下のような濃度を結果として生じた:
(表6)
【0107】
【表8】

2%スクロースおよび水−単独型と比較した場合、溶解度は緩衝化された型においてわずかに変わり、そして、より高い溶解度を、緩衝化することなくNaOH調節を用いて達成し得るようである。
【0108】
(3%マンニトール、1mg/mLグリベンクラミドを含み、かつ11.3のpHを有する溶液)
グリベンクラミド−試験的な処方物(JC No.:R08−02682)ならびに凍結乾燥および再構成(JC.:R08−02683)
(実験の詳細)
脱イオン水中のグリベンクラミドの二つのバルク溶液(処方物A、1mg/mL;処方物B、0.5mg/mL)を調製した(両者は3%マンニトールを有する)。希釈物は各バルク溶液から調製した。上記バルク溶液を、外見およびpHについて、調製後すぐに(0時間)、ならびに5時間(バルク溶液だけ)および24時間後、評価した。2個のバルク溶液のそれぞれから10個のバイアルを満たし、そしてその後10個のバイアルを凍結乾燥した。各バッチ(batch)からの2個のバイアルを、脱イオン水を用いて再構成し、そして外見およびpHについて評価した。以下において、希釈物は0.9%生理食塩水溶液を用いて作製したことは注目すべきである。
【0109】
結果を以下に要約する:
(結果および考察)
BN838−097(3%マンニトールにおけるグリベンクラミド1.0mg/mL、pH11.4)およびBN838−099(グリベンクラミド0.01mg/mL(BN838−097の1:99希釈物))
【0110】
【表9】

0、5および24時間において評価されたサンプルは、沈殿物を有さない澄んだ無色の溶液であった。希釈されていないおよび希釈されたサンプルのpHは、24時間にわたって安定であった。
【0111】
BN838−101(3%マンニトールにおけるグリベンクラミド0.5mg/mL、pH11.4)、BN838−103(グリベンクラミド0.01mg/mL(BN838−101の1:49希釈物))、およびBN838−105(0.003mg/mL(BN838−103の1:2希釈物))
BN838−101の希釈物におけるpHが、pH8より上であることに注目し(BN838−103)、それゆえ、さらなる1:2希釈をBN838−103で行った(その結果はBN838−105)。
【0112】
【表10】

0、4および24時間において評価されたサンプルは、沈殿物を有さない澄んだ無色の溶液であった。希釈されていないサンプルのpHは、24時間にわたって安定であった。希釈されたサンプルのpHは(BN838−103(BN838−101の1:49希釈))、24時間の間に、約1pH単位のpHの低下を示した。
【0113】
上に記載されるように、バッチ838−103のpHがpH8より上であったので、バッチ838−103をさらに1:2で希釈した。この希釈されたサンプルのpHは、24時間の間に、約1pH単位、上昇したが、pH8より下のままであった。
【0114】
(凍結乾燥および再構成)
【0115】
【表11】

上に記載されるように、上記のバルク溶液のそれぞれからバイアルを満たし、そして凍結乾燥した。乾燥サイクルの最後において、バイアルを乾燥機から抜き、そして各バッチからの2個のバイアルを、脱イオン水を用いて再構成した。
【0116】
凍結乾燥されたケークは、脱イオン水の添加に際して非常に急速に溶解し、沈殿物を有さない澄んだ無色の溶液を生み出した。このpHを測定し、そして、両方のバッチについて11.4であることを見出した。別の研究室が類似の仕事を引き受け、そして凍結乾燥された物質の再構成後に結果として生じたpHは、10.7であった。したがって、これらの結果は、上記処方物を首尾よく凍結乾燥し得ることを示す。
【0117】
(実施例2B)
(例示的処方物:グリベンクラミド(1mg/mL)、NaOH、および水;この処方物は11.3のpHを有する)
(表7)
【0118】
【表12】

(調製)
凍結乾燥されたグリベンクラミドを、以下の方法で産生した:
1.中程度の速度で攪拌している間に、95mLのWFIを0.2Mの水酸化ナトリウム溶液を用いてpH11.4±0.1に調節した。
2.引き続き攪拌しながら、マンニトールおよびグリベンクラミドを添加する。pHを11.4±0.1に調節する。
3.攪拌している間、溶液のpHを、数分ごとに、0.2Mの水酸化ナトリウム溶液を用いて11.4に調節する。グリベンクラミドが溶液になるために必要とされる時間は、約30分である。
4.容積が100mLになるようにWFIを添加する。
5.必要である場合、pHを11.4に調節する。
6.工程5の溶液を凍結乾燥する。白色または灰色がかった白色のケークを形成する。凍結乾燥された物質は十分に大きな表面積を有し、これをさらに粉砕することを必要としない。
注意:HClを使用していない。グリベンクラミドはpHの多少の低下を引き起こす;pHのさらなる低下は必要ではない。
【0119】
しかしながら、所望であれば、さらに、必要に応じて、工程6の後に粉砕の工程を、凍結乾燥されたケークを粉砕し微粉化された粉末にするために行い得る。そのような粉砕の工程は、例えば、多量の凍結乾燥物について、有用であり得る。そしてそのような粉砕の工程をいずれの場合においても除外し得、そして特に、ケークが大きさにおいて小さい場合、バイアル内にある場合、または任意の他の理由でも除外し得る。
【0120】
上記出願人によって行われた実験において、微粉化されたグリベンクラミドをCambrex(微粉化された形態で供給される;Cambrex Profarmaco Milano、 Srl、Via Curiel、34、20067 Paullo(MI)、Italy(East Rutherford、New Jersey 07073のCambrex Corporationの一部門)から取得される)から得た。この微粉化されたグリベンクラミドをその後、溶液にし、そしてこの溶液をその後、本明細書で開示される方法に従って凍結乾燥した。
【0121】
(緩衝化されていない溶液および処方物)
緩衝化されていない溶液および処方物を調製した−すなわち、この溶液または処方物は緩衝剤を欠いている。しかしながら、溶液および処方物(これらは、低濃度(例えば、約2mM未満)の緩衝剤または弱い緩衝剤もしくは低い緩衝能力を有する緩衝剤のみを含み、そのため、溶液のpHを緩衝剤によって仮に調節した場合も溶液のpHを満足に調節しなかった)は、この溶液および処方物となじみやすいと考える。
【0122】
本明細書で開示される方法のある実施形態において、溶液のpHは、より多くのグリベンクラミドが溶液になるにつれて、製造プロセスの間、絶えず増大する。
【0123】
pHは、再構成後は高いとしても、再構成された溶液を0.9%生理食塩水中に希釈する場合、(例えば、例として、50倍から約100倍希釈する)、pHは生理学的に受容可能なレベルに下がる。したがって、そのような再構成された溶液は、希釈の際に、例えば3日間の注入における使用に対して適切である。この適切さは、緩衝化を欠いているために意外であり、このことはpHを、溶液を希釈する側のさらなる努力を伴なわずに、生理学的に受容可能な溶液中での希釈によって、受容可能なレベルまで下げることを可能にする。
【0124】
(HCl(塩酸)無し)
pHを下げるためのHClの使用と共に、pHを増大させるためのNaOHの使用は、凍結乾燥の間の崩壊温度(collapse temperature)を下げ得る。それゆえ、pH調節のためにNaOHだけを使用することが好ましい。したがって、ある実施形態において、HClは使用しない:すなわち、凍結乾燥のための溶液または処方物のpHを調節するために、HClを使用しない。
【0125】
(PEG(ポリエチレングリコール)または他の有機溶媒無し)
当該分野における、凍結乾燥されたグリベンクラミドの他の実施例とは異なり、有機溶媒の使用を、本明細書で開示される方法および組成物においては必要としない。有機溶媒が無いことは、先行技術の処方物に勝る利点であると考えられ、そしてこのことはFDA規制経路(regulatory pathway)を平易にし得(例えば、患者を処置することならびに患者の疾患および病気の処置のための薬を産生することにおける使用に対し、本明細書で開示される方法に従って、溶液、処方物、凍結乾燥物などを使用することへの規制の承認を取得するために必要とされる努力を平易にする)、そして臨床的適用におけるこれらの方法の迅速な採択を可能にし得る。
【0126】
(開始pHと、開始濃度と、全用量と、一日あたりの最大の注入可能な体積との関係)
特定の開始濃度(例えば、0.5mg/mL)、開始pH(これは、上記濃度を維持するために十分に高い(例えば、pH11.3))および目的とする全用量(例えば、一日あたり3mg)に対し、一日当たりの最大の注入可能な体積(例えば、1,000mL)は十分に高くなければならず、薬物を、一日当たりの最大の注入可能な体積を得るために0.9%生理食塩水中で希釈する場合、希釈率(994:6、すなわち、166:1)は、pH8.5以下、または最も優先的にはpH7.0のpHに達するために必要とされる最小の希釈率より高い(この場合、最小の希釈率は、上で論じられた実験に基づき、50〜100の間のどこかである)。
【0127】
(実施例3)
(例示的な処方物:グリベンクラミド(0.2mg/mL)、NaOH、HCl、および水;この処方物は9.4のpHを有する)
HClを、pHを9.4に変更するため凍結乾燥の前の最終工程として使用することを除いて、実施例2Bの1mg/mLグリベンクラミド処方物について記載されたように、この処方物を、調製する。
【0128】
(実施例4)
(例示的な処方物:グリベンクラミド(0.1mg/mL)、NaOH、HCl、および生理食塩水;この処方物は9.4のpHを有する)
HClを、pHを9.4に下げるために凍結乾燥の前の最終工程として使用することを除いて、実施例2Bの1mg/mLグリベンクラミド処方物について記載されたように、この処方物を調製する。
【0129】
加えて、この処方物、および類似の濃度の他のものは、再構成に際して直ちに等張となり、かつ炭水化物を含まない。このことは、例えば、臨床医は、しばしば高血糖である脳卒中の患者に炭水化物を与えることを、しばしば懸念するので、脳卒中の患者を処置することにおいて、臨床的強みを提供すると考える。
【0130】
(凍結−乾燥(凍結乾燥))
凍結乾燥(freeze drying)(凍結乾燥としても知られる)は、物質を最初に凍結し、そしてその後、(凍結された固体の周囲の気圧を下げることによる)昇華によって、および物質中の凍結された水が直接、固相から気体に昇華する(これは、乾燥された物質を残す)ことを引き起こすために十分な熱を加えることによって乾燥する、プロセスである。凍結乾燥物はしばしば、乾燥した薄片または他の粒子として現れ、これはその後、例えば、粉末を形成するために、より小さな粒子へとさらにばらばらにされ得る。凍結乾燥の完全な記述は、Thomas JenningsによるLyophilization−Introduction and Basic Principles(CRC Press LLC,Boca Raton,Florida,USA(1999)によって出版された。ISBN:9781574910810およびISBN−10:574910817)の本で見い出せる。
【0131】
凍結−乾燥プロセスは3つの工程を含むと考えられ得る:凍結、一次乾燥、および二次乾燥。
【0132】
第一の工程(凍結)は、その名前が含意するように、単に物質を凍結するプロセスである。物質を、凍結するため、および融解よりむしろ昇華が、真空状態または低圧下で、凍結された物質へのその後の加熱によっておこることを保証するために、その物質の共融点(物質の固相および液相が共存する、最も低い温度)より下の温度まで冷やすべきである。共融点はその物質の固相および液相が共存し得る、最も低い温度で生じるので、この点より下の温度で物質を凍結することは、続く工程で融解よりむしろ昇華がおこることを保証する。非晶質(ガラス状の)物質(これは、共融点を欠いている)の冷却は、この物質の臨界温度より下で、あるべきである。
【0133】
例えば、物質を、何れかの適切な方法(例えば、冷凍、ドライアイスおよびメタノールの浴液器内に置くこと、または液体窒素浴液器内に置くこと)によって冷却される、凍結−乾燥フラスコ内で凍結し得る。
【0134】
最初の乾燥工程(一次乾燥段階)において、圧力を下げ、かつ昇華のために十分な熱を物質中の凍結された水に対し供給する。水の大部分を、この最初の乾燥段階において除去する。この段階において、圧力を、昇華を早めるための部分的な真空状態の適用を通じて制御する。
【0135】
最初の乾燥段階の後に、さらなる乾燥(二次乾燥段階)を、温度を一次乾燥段階で用いられた温度よりも高く上げることによって行う。二次乾燥段階は、一次乾燥段階の間に濃縮された、または最初の場所から移動された水を除去し得る。低い圧力を、なおその上、この段階において一般に用いる。
【0136】
特に、水の再吸収(reabsorption)を防ぐために措置を講じる場合、凍結乾燥された産物はしばしば非常に安定である。例えば、凍結乾燥は、多数の年数の間保管され得る調合薬を提供するために有用である。しかしながら、上記のプロセスは物質中に多くの微視的な孔を産生し、これが水の再導入(reintroduction)を助けるので、必要である場合、凍結乾燥された物質の産物を、難なく再水和(再構成)し得る。凍結乾燥された物質を、容易に保管、輸送し得、かつ注射のために、そのそもそもの形態に後で再構成し得る。
【0137】
(微粉化)
顆粒化されたまたは粉末化された固体の平均の粒子の大きさを減少させることを微粉化と呼び得、これは、例えば、薬物の粒子の大きさを減少させることまたは薬物が数ミクロンの平均の粒子の大きさを有するように微粉化することである。微粉化された薬物粒子を含む投薬形態は、高められた溶解度を示し、そしてその結果、薬物の生物学的利用能の上昇を生じることをしばしば見出す。
【0138】
伝統的には、乾燥物質を、乳鉢および乳棒の作用によって手で、(微粉化された)細かい粉末へと粉砕した。ここでは、上記物質を、硬い乳棒と硬い乳鉢との間で、どんどん細かい粒子へと粉々にした。多くの機械化された微粉化技術(例えば、ミリングおよび粉砕)は、粒子の大きさを下げるために摩擦を用いる。一般的な産業上の製粉機は、粉砕要素(例えば、鋼鉄の球体)を含む円柱状の金属ドラムからなる。このドラムが回転すると、ドラム内の粉砕エレメントが固体の粒子と衝突し、そして、二つの粉砕要素の間に捕捉した場合、この粒子を粉々にし、より小さい直径を有する、より小さな粒子を産出する。代わりに、粉砕ホイール(wheel)または他の粉砕要素を、粉末または薄片などの粒子をより小さな粒子に微粉化するために使用し得る。
【0139】
押しつぶすおよび刻むなどの方法もまた、粒子の直径を下げるために使用するが、これはミリングおよび粉砕と比較して、より粗い粒子を産出する(だからそれゆえ、微粉化プロセスの初期の段階である)。押しつぶすことは、衝撃によって固体をより小さな粒子に砕くためにハンマーのような道具を利用する。刻むことは、粗い固体の断片をより小さなものに刻むために、鋭利な刃物を用いる。
【0140】
マイクロカプセル化に適切な固体粒子(例えば、約20μm未満、または約10μm未満より小さい平均の粒子の大きさを有する粒子)を形成するため、タンパク質および薬物を含む固体物質の微粉化を、上で論じられたような、ミリングを含むいろいろな手法を用いて、ならびにその上、噴霧乾燥(spray−drying)、噴霧凍結−乾燥、および超臨界抗溶媒(SAS)沈殿技術によって、達成している。
【0141】
種々のミリング技術は公知である。例えば、Backstromらに対する米国特許第5,952,008号において、噴出ミリング(jet milling)を、吸入投与のための10μmより小さい粒子を産生するために使用する。Platzらに対する米国特許第5,354,562号は、薬物(その後のミリングの間での薬物の劣化(degradation)を阻害する、ミリング安定剤(milling stabilizer)を含む)の溶液を凍結乾燥することによって作製されるポリペプチド薬物の固体粒子のエアロゾル処方物を開示する。凍結乾燥された薬物を、流体エネルギーミル(耐摩耗性材料を備えた)の中でミリングする。高圧でミリングする場合、結果として生じる粒子は0.5と4μmとの間であり、ならびに、低圧でミリングする場合、結果として生じる粒子は4μmと15μmとの間である。Clarkらに対する米国特許第5,747,002号は、7μmより小さい大きさの分布を有する粒子を産生するための塩化ナトリウムの噴出ミリングを開示する。
【0142】
Burkeに対する米国特許第5,817,343号は、重合体/薬物微粒子を形成するための方法を開示し、これは重合体溶液/不溶性薬物の混合物を形成すること;重合体中に薬物粒子を含む硬い基質(matrix)を形成するために、この混合物から溶媒を除去すること;および重合体のガラス転移点より下でこの基質を断片化(例えば、粉砕またはミリング)することによって、この基質を微粉化することによる。
【0143】
ソニケーション(sonication)は、粒子を微粉化するために利用される別の技術である。例えば、Fongらに対する米国特許第4,384,975号は、乳化剤としてオレイン酸ナトリウムを用いる、溶媒除去によるミクロスフェアの調製を開示する。重合体溶液中の固体の薬物粒子のミリングによるまたは超音波プローブソニケーションによる、コア物質の微粉化を、開示する。Tracy,Biotechnol.Prog,14:108 15(1998)は、超音波ノズルを使用して溶液中の増殖ホルモンを霧状にすること、凍結されたエタノールのスラリー中で分散された小滴を凍結すること、そして溶媒でないものを除去し、かつ小滴を固めるためにその後凍結乾燥することを開示する。結果として生じる中空の球体を、球体を断片化するために、超音波プローブ処理によってさらに微粉化する。その後、その断片を被包する。
【0144】
(実施例5−凍結乾燥されたトルブタミドの調製のための水の処方物)
トルブタミドは、グリベンクラミドより24倍、水に可溶性であり(109mg/L対4mg/L)、そのため、トルブタミドは水の溶液中でより容易に使用できる。しかしながら、グリベンクラミドより約100倍多量のトルブタミドを、グリベンクラミドと同じ臨床的効果を有するために必要とする。したがって、いくつかの実施形態においてではあるが、グリベンクラミドと同程度の量のトルブタミドを、本発明の特徴を有する処方物および凍結乾燥物中に含み得、あるいは上で論じられたグリベンクラミドの量と比較して、より多くのトルブタミド(または、所望である他の薬物、例えば、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリドおよびSURと相互作用する他の薬物もしくは薬物の代謝産物が挙げられ;例えば、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635などのイオンチャネルブロッカーが挙げられ得;エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲンもしくは他のステロイド化合物が挙げられ得る)を含む。
【0145】
加えて、処方物は、薬物の混合物(例えば、ピンコラントを加えたグリベンクラミド;またはフルフェナム酸を加えたグリベンクラミド;またはメファナム酸を加えたグリベンクラミド;またはニフルミック酸を加えたグリベンクラミド;またはリモナバントを加えたグリベンクラミド;またはSKF 9635を加えたグリベンクラミド;またはエストロゲンを加えたグリベンクラミド;またはエストラディオールを加えたグリベンクラミド;またはエストロンを加えたグリベンクラミド;またはエストリオールを加えたグリベンクラミド;またはゲニステインを加えたグリベンクラミド;またはジエチルスチルベストロールを加えたグリベンクラミド;またはグメストロールを加えたグリベンクラミド;またはゼアラレノンを加えたグリベンクラミド;または非ステロイド性エストロゲンを加えたグリベンクラミド;またはフィトエストロゲンを加えたグリベンクラミド;またはSURと相互作用する別の薬物もしくは薬物の代謝産物を加えたグリベンクラミド)を含み得る。
【0146】
(表8−−トルブタミドの処方物)
【0147】
【表13】

【0148】
【表14】

注:範囲または代わりのものを、かっこ内に示す。
【0149】
上で論じられたグリベンクラミド溶液、処方物、および凍結乾燥物と同様に、トルブタミド溶液、処方物、および凍結乾燥物を調製し得る。そのようなトルブタミド溶液および処方物は、糖も、塩も、緩衝液も含まない、トルブタミドの水の溶液であり得;糖(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、ならびに単糖類、二糖類、および他の糖類を含む他の糖の一つまたは複数)もまた含むトルブタミドの水の溶液であり得、塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)もまた含むトルブタミドの水の溶液であり得、緩衝液(例えば、Britton−Robinson緩衝液、リン酸緩衝液、「トリス」緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む)、HEPES緩衝液(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)を含む)、または他の緩衝液)もまた含むトルブタミドの水の溶液であり得る。そのような溶液、処方物、ならびにそのような溶液および処方物から作製される凍結乾燥物は、上記の組み合わせを含み得ることを、理解する。
【0150】
(実施例6−凍結乾燥されたレパグリニドを調製するための水の処方物)
レパグリニドはSURに作用する別の薬学的に活性な成分であり、かつ、本発明の実施に適している。レパグリニドは、pH9で0.6mg/mLの水の溶解度を有し、これは、このpHでの水におけるグリベンクラミドの溶解度よりわずかに低い。それゆえ、レパグリニドの水の処方物を、グリベンクラミドの水の処方物に類似していると考える。
【0151】
(表9−−レパグリニドの処方物)
【0152】
【表15】

注:範囲または代わりのものを、かっこ内に示す。
【0153】
上で論じられたグリベンクラミドおよびトルブタミド溶液、処方物、ならびに凍結乾燥物と同様に、レパグリニド溶液、処方物、および凍結乾燥物を調製し得る。そのようなレパグリニド溶液および処方物は、糖も、塩も、緩衝液も含まない、レパグリニドの水の溶液であり得;糖(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、ならびに単糖類、二糖類、および他の糖類を含む他の糖の一つまたは複数)もまた含むレパグリニドの水の溶液であり得、塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)もまた含むレパグリニドの水の溶液であり得、緩衝液(例えば、Britton−Robinson緩衝液、リン酸緩衝液、「トリス」緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む)、HEPES緩衝液(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)を含む)、または他の緩衝液)もまた含むレパグリニドの水の溶液であり得る。そのような溶液、処方物、ならびにそのような溶液および処方物から作製される凍結乾燥物は、上記の組み合わせを含み得ることを、理解する。
【0154】
同様に、溶液および処方物、ならびにそのような溶液および処方物から作製される凍結乾燥物を、他の薬物ならびに薬学的に活性な化合物および成分から作製し得る。したがって、例えば、類似の溶液および処方物ならびにそのような溶液および処方物から作製される凍結乾燥物は、例えば、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリドおよびSURと相互作用する他の薬物もしくは薬物の代謝産物;例えば、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635などのイオンチャネルブロッカー;エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲンもしくは他のステロイド化合物;または他の薬学的に活性な化合物、から作製し得る。
【0155】
本発明の特徴を有する溶液、処方物、および凍結乾燥物を含むキットを調製し得る。例えば、キットは、目的の化合物(例えば、上で論じたように、例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリドおよびSURと相互作用する他の薬物もしくは薬物の代謝産物;例えば、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635などのイオンチャネルブロッカー;エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲンもしくは他のステロイド化合物;または他の薬学的に活性な化合物を含む)の液体の処方物;ならびにそのような液体の溶液の使用のための指示書を含み得る。例えば、この指示書は、上で記載されたような方法および説明を含み得、これは、活性な薬学的成分を含む、水の溶液を提供するための方法を含む。実施形態において、この指示書は、水の溶液を提供するために、どのように、乾燥凍結乾燥物に適切な量の水を添加し得るかを平易に記載し得る。実施形態において、上に記載されたように、この指示書は、どのように、そのような溶液のpHを測定し得るかをさらに記載し得、かつ、どのように、そのような溶液のpHを、所望のようにまたは適切なように調節し得るかを記載し得る。実施形態において、この指示書は、どのように、適切なさらなる成分(これは、上に記載されたように、緩衝剤、塩、賦形剤、増量剤、または他の成分を含む)をそのような溶液に添加し得るかを記載し得る。実施形態において、この指示書は、上に記載されたように、どのように、そのような溶液を注射(ボーラスとしてまたは注入のためのいずれか)に適切である溶液に添加し得るかを記載し得る。
【0156】
さらなる実施形態において、キットは、(例えば、上で論じられたような)目的の化合物の凍結乾燥された処方物;希釈剤の溶液;およびそのような液体の溶液の使用についての指示書を含み得る。例えば、そのような希釈剤の溶液は、水;水およびアルコール(例えば、エタノール);水およびポリエチレングリコール(PEG);水、アルコールおよびPEGから選択され得る。実施形態において、希釈剤のpHは、約pH7.4またはそれより大きいpHであり得る。
【0157】
さらなる実施形態において、希釈剤のpHは約pH7.4またはそれより大きく、かつ、この希釈剤を緩衝化する;この緩衝剤は、薬学的に受容可能な緩衝剤であり得る。なおさらなる実施形態において、キットの希釈剤を緩衝化し、かつ緩衝剤の濃度は約1mMと約100mMとの間である。実施形態において、緩衝剤の濃度は約15mM未満であり得;ならびに実施形態において、緩衝剤の濃度は約5mMと約10mMとの間である。
【0158】
(実施例7−凍結乾燥されたグリベンクラミドの安定性)
種々の温度および相対湿度における長期の保管に対する凍結乾燥されたグリベンクラミドの安定性を評価するための研究を実行した。この研究から取得されたデータは、凍結乾燥されたグリベンクラミドは、試験された温度および相対湿度条件において、少なくとも3ヶ月間にわたってよい安定性を有することを示す。実験の手順およびこの研究からの結果を、詳細に、以下に記載する。
【0159】
実験の手順:凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末を含むバイアルを、この研究で用いた。凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末を、4.7〜5.0mgのグリベンクラミド(この実験は、6mgのグリベンクラミドで始めた。しかしいくらかのグリベンクラミドは、水性の混合物の濾過後、フィルター上に残った。結果として、凍結乾燥に用いられた濾過液は、4.7〜5.0mgのグリベンクラミドを含んだ。)、180mgのマンニトール、および必要に応じ水酸化ナトリウム(凍結乾燥の前にpHを11.3に調節するため)を含む水性の混合物の凍結乾燥によって取得した。この水性の混合物の凍結乾燥は、バイアルあたり6mLの水を除去した。
【0160】
凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末を、外見、再構成時間、再構成後のpH(p1−1)、水分含有量、HPLCで分析されたときのグリベンクラミドの量、およびグリベンクラミドに関連する物質の量、について以下の時点で評価した。:
時間=2〜8℃の初期
時間=2〜8℃で6週間
時間=25℃および60%RHで6週間
時間=40℃および75%RHで6週間
時間=25℃および60%RHで6週間および13日間
時間=40℃および75%RHで6週間および13日間
時間=2〜8℃で3ヶ月間
時間=25℃および60%RHで3ヶ月間
時間=40℃および75%RHで3ヶ月間
分析を、以下のように実行した:
外見および粒子:凍結乾燥されたバイアルを、視覚的に検査した(注射用蒸留水6mLで再構成する前および後に)。
再構成時間:2個の別個のバイアルからの二連のサンプルの再構成時間を、注射用蒸留水6mLを添加した後、測定した。
pH:再構成に用いられた2個の別個のバイアルからの二連のサンプルのpHを、測定した。
グリベンクラミドの量についての検査およびグリベンクラミドに関連する物質についての検査:注射サンプル中のグリベンクラミドについての検査を、無勾配(isocratic)HPLC法によって測定した。Zorbax XDB−C18、5.0vun、150mm×4.6mmカラムを用い、50℃で操作し、アセトニトリル/水/ギ酸(fonnic acid)溶離剤を用いて抽出した。メタノールを希釈剤として用いた。グリベンクラミド含有量を、同様にクロマトグラフされた参照溶液との比較によって検査した。関連する物質を、230nmでのグリベンクラミドのピークに関して、面積%として評価した。
Coulometric Karl Fischerによって分析された水分含有量:水分含有量を、凍結乾燥されたケークをベンジルアルコール中に分散させること、およびこの溶液を電量Karl Fischer滴定によって分析すること、によって評価した。結果をmg/バイアルとして報告する。
【0161】
結果:
外見および粒子:3ヶ月の時点において、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末の再構成前および後の外見は、初期の時点から変化がないことを示した。再構成の前に、白色から灰色がかった白色のケーク(深さ約12〜14mm)を観察した。このケークは、表面上にいくつかの小さなひびを有した。再構成後、目に見える粒子および繊維を含まない澄んだ無色の溶液を観察した。再構成後24時間での外見は、全ての時点および条件において、いくつかの小さな繊維を含んだが、これらの繊維を、pHの決定の間に入り込んだと決定した。
【0162】
再構成時間:全ての時点および条件において、再構成時間における有意な変動はなかった。
【0163】
pH:全ての時点および条件において、pHにおける有意な変動はなく、かつ全ての結果は、10.4〜11.4のpH範囲内であった。
【0164】
グリベンクラミドの量についての検査およびグリベンクラミドに関連する物質についての検査:各バイアルを、期待される0.78〜0.83mg/mLの濃度のグリベンクラミドを供給するために、6mLのメタノールで再構成した(凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末の各バイアルは、4.7〜5.0mgのグリベンクラミドを含んでいたと決定した。)。保管時のグリベンクラミドの検査からの結果は、40℃および75%RHで保管された6週間ならびに3ヶ月間の時点でのサンプル、ならびに2〜8℃で3ヶ月間保管された一つのサンプルを除き、0.78〜0.83mg/mLの範囲内であった。40℃および75%RHでの保管時のサンプル中のグリベンクラミドの濃度は、両方とも0.77mg/mLであった−グリベンクラミド含有量における減少は、おそらく、他のサンプルと比較して高められた温度および相対湿度のためである。2〜8℃の温度で3ヶ月間保管されたサンプルは、0.844mg/mLおよび0.762mg/mLのグリベンクラミド濃度を有した。
【0165】
グリベンクラミドにおそらく関連する三つの物質を、安定性の研究の間に同定した。第一の物質は、0.19のHPLC相対保持時間を有し、かつ定量化可能なピークを産生した。第二の物質は、0.33のHPLC相対保持時間を有し、かつ6週間の時点でのみ、痕跡レベルで存在した。第三の物質は、0.41のHPLC相対保持時間を有し、痕跡レベルで存在した。特に、2〜8℃ならびに60%RHでの25℃において保管されたサンプルに関して、初期の時点と比較した場合、関連する物質の濃度における有意な変化はなかった。40℃および75%RHで保管されたサンプルは、第一の物質のわずかに上昇されたレベルを有した(すなわち、この物質は、0.19分のHPLC保持時間;初期の時点における0.12面積%と比較して、3ヶ月間保管されたサンプルにおいては0.19面積%を有した)。
【0166】
電量Karl Fischer滴定によって決定される水分含有量:全ての時点および条件において、水分含有量における有意な変化はなかった。全ての平均の結果は1.5〜2.0mg/バイアルの範囲内であった。
【0167】
この研究からのデータを、図4〜8に示す。
【0168】
(参照による援用)
本明細書に参照される各特許文書および科学論文の全ての開示は、全ての目的のために、参照によって援用される。
【0169】
(等価物)
本発明は、この精神または本質的な特性からはずれることなく、他の具体的な形態で具体化され得る。上記の実施形態は、したがって、本明細書に記載される発明を制限するのではなくく、全ての点で、実例となっていると見なされるべきである。本発明の範囲は、したがって、上記の記載ではなく、添付された特許請求の範囲によって示され、かつ特許請求の範囲と等価な意味および範囲内でおこる全ての変化は、本発明に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に緩衝剤を含まず、かつ一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物を含む、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末。
【請求項2】
請求項1に記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物は、独立して糖または塩である、粉末。
【請求項3】
請求項1に記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物は、独立してグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、または塩化カリウムである、粉末。
【請求項4】
請求項1に記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物の一つはマンニトールである、粉末。
【請求項5】
請求項1に記載の粉末であって、ここで、該粉末は、たった一つの実質的に薬学的に不活性な化合物を含み、該たった一つの実質的に薬学的に不活性な化合物は、糖または塩である、粉末。
【請求項6】
請求項5に記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物はマンニトールである、粉末。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載の粉末であって、ここで、前記緩衝剤の量は1%w/w未満である、粉末。
【請求項8】
請求項1から6の何れか一つに記載の粉末であって、ここで、前記緩衝剤の量は0.1%w/w未満である、粉末。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一つに記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物の量は10%w/w未満である、粉末。
【請求項10】
請求項1から8の何れか一つに記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物の量は5%w/w未満である、粉末。
【請求項11】
請求項1から8の何れか一つに記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物の量は2%w/wと6%w/wとの間である、粉末。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一つに記載の粉末であって、ここで、前記グリベンクラミドは、7のpHを有する水溶液において20℃で少なくとも約0.01mg/mLの水への溶解度を有する、粉末。
【請求項13】
請求項5に記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物は、前記水溶液中で提供されるマンニトールであって、該水溶液から、前記グリベンクラミド粉末は約3mg/100mL(3%)の量で凍結乾燥された、粉末。
【請求項14】
請求項5に記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物はグルコースである、粉末。
【請求項15】
請求項5に記載の粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物は、前記水溶液中で提供されるグルコースであって、該水溶液から、該グリベンクラミド粉末は約3mg/100mL(3%)の量で凍結乾燥された、粉末。
【請求項16】
請求項5に記載のグリベンクラミド粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物は、前記水溶液中で提供される塩であって、該水溶液から、該グリベンクラミド粉末は約10mg/100mL(10%)未満の量で凍結乾燥された、グリベンクラミド粉末。
【請求項17】
請求項5または16に記載のグリベンクラミド粉末であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性な化合物は塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである、グリベンクラミド粉末。
【請求項18】
凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末、アルカリ金属塩基、そして必要に応じた、単糖類および二糖類からなる群から選択される実質的に薬学的に不活性なバルキング剤から本質的に構成される、固体の薬学的組成物。
【請求項19】
請求項18に記載の薬学的組成物であって、ここで、前記アルカリ金属塩基は水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであって、かつ前記実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はマンニトール、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、またはスクロースである、薬学的組成物。
【請求項20】
請求項18または19に記載の薬学的組成物であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はマンニトールである、薬学的組成物。
【請求項21】
請求項18から20の何れか一つに記載の薬学的組成物であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性なバルキング剤の量は2%w/wと6%w/wとの間である、薬学的組成物。
【請求項22】
請求項18から21の何れか一つに記載の薬学的組成物であって、ここで、前記アルカリ金属塩基の量は10%w/w未満である、薬学的組成物。
【請求項23】
請求項18から21の何れか一つに記載の薬学的組成物であって、ここで、前記アルカリ金属塩基の量は5%w/w未満である、薬学的組成物。
【請求項24】
凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末および別の薬学的に活性な化合物を含む薬学的組成物であって、該組成物は実質的に緩衝剤を含まない、薬学的組成物。
【請求項25】
請求項24に記載の薬学的組成物であって、ここで、前記他の薬学的に活性な化合物は4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、またはSKF 9635である、薬学的組成物。
【請求項26】
請求項24に記載のグリベンクラミド粉末であって、ここで、前記他の薬学的に活性な化合物は4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、またはグリメピリドである、グリベンクラミド粉末。
【請求項27】
化合物を凍結乾燥するための方法であって:
a)緩衝剤の非存在下で化合物の水溶液を調製する工程、
b)該化合物の溶解度を上昇させるためにpHを約8より大きく調節する工程、および
c)凍結乾燥された固体の組成物を提供するために、該溶液を凍結−乾燥する工程、
を含む、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、ここで、前記pHは約9より大きい、方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、ここで、前記pHは約pH10より大きい、方法。
【請求項30】
請求項27から29の何れか一つに記載の方法であって、ここで、溶液中の前記化合物の濃度は約0.5mg/mLより大きい、方法。
【請求項31】
請求項27から29の何れか一つに記載の方法であって、ここで、溶液中の前記化合物の濃度は約1mg/mLより大きい、方法。
【請求項32】
請求項27から29の何れか一つに記載の方法であって、ここで、溶液中の前記化合物の濃度は約2mg/mLより大きい、方法。
【請求項33】
請求項27から29の何れか一つに記載の方法であって、ここで、溶液中の前記化合物の濃度は約4mg/mLより大きい、方法。
【請求項34】
請求項27から33の何れか一つに記載の方法であって、ここで、前記化合物はグリベンクラミド、4−トランス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、3−シス−ヒドロキシ−グリベンクラミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、トラザミド、グリキドン、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリド、エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲン、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、またはSKF 9635である、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、ここで、前記化合物はグリベンクラミドである、方法。
【請求項36】
凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末、水、アルカリ金属塩、ならびに単糖類および二糖類からなる群から選択される実質的に薬学的に不活性なバルキング剤を含む水性の薬学的組成物であって、該組成物は、1%w/v未満の緩衝剤を含む、水性の薬学的組成物。
【請求項37】
請求項36に記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、前記アルカリ金属塩は塩化ナトリウムまたは塩化カリウムであって、かつ前記実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はマンニトール、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、またはスクロースである、水性の薬学的組成物。
【請求項38】
請求項36または37に記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はマンニトールである、水性の薬学的組成物。
【請求項39】
請求項36から38の何れか一つに記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性なバルキング剤の量は2%w/vと15%w/vとの間である、水性の薬学的組成物。
【請求項40】
請求項36から38の何れか一つに記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性なバルキング剤の量は2%w/vと6%w/vとの間である、水性の薬学的組成物。
【請求項41】
請求項36から40の何れか一つに記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、前記アルカリ金属塩の量は5%w/v未満である、水性の薬学的組成物。
【請求項42】
請求項36から41の何れか一つに記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、該組成物のpHは約6から約8である、水性の薬学的組成物。
【請求項43】
請求項36から41の何れか一つに記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、該組成物のpHは6.5から8.0である、水性の薬学的組成物。
【請求項44】
請求項36から43の何れか一つに記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、該組成物の重量オスモル濃度は、200mOsmから400mOsmである、水性の薬学的組成物。
【請求項45】
請求項36から43の何れか一つに記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、該組成物の重量オスモル濃度は、250mOsmから330mOsmである、水性の薬学的組成物。
【請求項46】
請求項36から45の何れか一つに記載の水性の薬学的組成物であって、2%w/vから10%w/vの量でグルコースをさらに含む、水性の薬学的組成物。
【請求項47】
請求項36または37に記載の水性の薬学的組成物であって、ここで、前記実質的に薬学的に不活性なバルキング剤はグルコースである、水性の薬学的組成物。
【請求項48】
脳卒中、神経細胞の腫脹、外傷性の脳損傷、脊髄損傷、器官の虚血、急性冠状動脈症候群、心筋梗塞、敗血症、および糖尿病からなる群から選択される障害に罹患した患者を処置する方法であって、請求項36から47の何れか一つに記載の水性の薬学的組成物の有効量を、処置を必要としている患者に静脈内に投与することを含む、方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、ここで、前記障害は脳卒中である、方法。
【請求項50】
請求項48または49に記載の方法であって、ここで、前記患者はヒトである、方法。
【請求項51】
希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項52】
希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は水;水およびアルコール;水およびグルコース;ならびに水、PEGおよびアルコールからなる群から選択される、グリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項53】
請求項52に記載の希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は水およびグルコースである、グリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項54】
請求項53に記載の希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、前記グルコースは重量/体積(w/v)によって測定されるとき、約2%と約15%との間の量で存在する、グリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項55】
請求項52に記載の希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は5%デキストロース溶液である、グリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項56】
希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有する、グリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項57】
希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ緩衝化される、グリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項58】
請求項57に記載のバイアルであって、ここで前記緩衝剤の濃度は約1mMと約100mMとの間である、バイアル。
【請求項59】
請求項57に記載のバイアルであって、ここで前記緩衝剤の濃度は約15mM未満である、バイアル。
【請求項60】
請求項57に記載のバイアルであって、ここで前記緩衝剤の濃度は約5mMと約10mMとの間である、バイアル。
【請求項61】
希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ薬学的に受容可能な緩衝剤で緩衝化される、グリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項62】
希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤で緩衝化される、グリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項63】
希釈剤のバイアルと共に包装されるグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は約7.4のpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤で緩衝化される、グリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項64】
希釈剤のバイアルと共に包装される微粉化されたグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤で緩衝化される、微粉化されたグリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項65】
希釈剤のバイアルと共に包装される微粉化されたグリベンクラミド粉末のバイアルであって、ここで、該希釈剤は約7.4のpHを有し、かつメグルミンおよびジエタノールアミンから選択される緩衝剤で緩衝化される、微粉化されたグリベンクラミド粉末のバイアル。
【請求項66】
凍結乾燥されたグリベンクラミド、バルキング剤、およびpHアジャスターを含む、バイアル。
【請求項67】
凍結乾燥されたグリベンクラミド、バルキング剤、およびpHアジャスターを含むバイアルであって、ここで、pHはNaOHを用いて調節される、バイアル。
【請求項68】
凍結乾燥されたグリベンクラミド、バルキング剤、およびpHアジャスターを含むバイアルであって、ここで、該グリベンクラミドの濃度は約1mg/mLである、バイアル。
【請求項69】
請求項66から68の何れか一つに記載のバイアルであって、ここで、前記バルキング剤はマンニトールである、バイアル。
【請求項70】
請求項66から68の何れか一つに記載のバイアルであって、ここで、凍結乾燥前のpHは約11である、バイアル。
【請求項71】
請求項66から68の何れか一つに記載のバイアルであって、ここで、開始物質は微粉化されたグリベンクラミドである、バイアル。
【請求項72】
請求項66から68の何れか一つに記載のバイアルであって、再構成の後に産物に添加してpHを変えるための、7.4から8.0のpHである(緩衝化されたまたはされていない)希釈剤のバイアルと共に包装される、バイアル。
【請求項73】
請求項1〜72のいずれか一項に記載の化合物の凍結乾燥された処方物;
希釈剤の溶液;および
そのような液体の溶液の使用についての指示書
を含む、キット。
【請求項74】
請求項73に記載のキットであって、ここで、前記希釈剤の溶液は水;水およびアルコール;水およびポリエチレングリコール(PEG);水およびグルコース;ならびに水、アルコールおよびPEGから選択される、キット。
【請求項75】
請求項74に記載のキットであって、ここで、前記希釈剤の溶液は水およびグルコースである、キット。
【請求項76】
請求項75に記載のキットであって、ここで、前記グルコースは、重量/体積(w/v)によって測定されるとき、約2%と約15%との間の量で存在する、キット。
【請求項77】
請求項74に記載のキットであって、ここで、前記希釈剤は5%デキストロース溶液である、キット。
【請求項78】
アルコールを含む請求項74に記載のキットであって、ここでアルコールはエタノールである、キット。
【請求項79】
請求項73から78の何れか一つに記載のキットであって、ここで、前記希釈剤のpHは約7.4またはそれより大きい、キット。
【請求項80】
請求項73から78の何れか一つに記載のキットであって、ここで、前記希釈剤は緩衝化される、キット。
【請求項81】
請求項80に記載のキットであって、ここで、前記緩衝剤の濃度は約1mMと約100mMとの間である、キット。
【請求項82】
請求項80記載のキットであって、ここで、前記緩衝剤の濃度は約15mM未満である、キット。
【請求項83】
請求項80記載のキットであって、ここで、前記緩衝剤の濃度は約5mMと約10mMとの間である、キット。
【請求項84】
請求項73から78の何れか一つに記載のキットであって、ここで、前記希釈剤は約7.4またはそれより大きいpHを有し、かつ薬学的に受容可能な緩衝剤で緩衝化される、キット。
【請求項85】
グリベンクラミドおよび水から本質的に構成される液体の処方物であって、該処方物は十分に高いpHを有し、そのため約1のpHの変化はグリベンクラミドが該溶液から沈殿することを引き起こさない、液体の処方物。
【請求項86】
請求項85に記載の液体の処方物であって、ここで、該処方物は約0.01%w/v未満の緩衝剤を含む、液体の処方物。
【請求項87】
請求項85または86に記載の液体の処方物であって、ここで、該処方物は約0.01%w/v未満の界面活性剤を含む、液体の処方物。
【請求項88】
請求項85から87の何れか一つに記載の液体の処方物であって、ここで、該処方物は約0.01%w/v未満の共溶媒を含む、液体の処方物。
【請求項89】
請求項85から88の何れか一つに記載の液体の処方物であって、ここで、該処方物のpHは約9より大きい、液体の処方物。
【請求項90】
請求項85から88の何れか一つに記載の液体の処方物であって、ここで、該処方物のpHは約10より大きい、液体の処方物。
【請求項91】
請求項85から90の何れか一つに記載の処方物を凍結乾燥することによって産生される、凍結乾燥物の組成物。
【請求項92】
請求項91に記載の凍結乾燥物の組成物を再構成することによって産生される液体の薬学的組成物であって、ここで、該液体の薬学的組成物のpHは、該凍結乾燥物の組成物の少なくとも約98重量%を溶解するために十分高い、液体の薬学的組成物。
【請求項93】
請求項92に記載の液体の薬学的組成物であって、ここで、該液体の薬学的組成物は約6から約8の範囲におけるpHを有し、生理食塩水を含み、かつグリベンクラミドの少なくとも約98%w/vが溶解される、液体の薬学的組成物。
【請求項94】
グリベンクラミドおよび水から本質的に構成される液体の処方物であって、該処方物は十分に高いpHを有し、そのため約1のpHの変化はグリベンクラミドが該溶液から沈殿することを引き起こさず、該処方物は、該溶液が、約6から約8の範囲内のpHを有し、かつ該グリベンクラミドが溶液内に溶解されてとどまっている、溶液を形成するために生理食塩水によって再構成および希釈され得る凍結乾燥物を形成するために凍結乾燥することに適していることでさらに特徴づけられる、液体の処方物。
【請求項95】
グリベンクラミドおよび一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物から本質的に構成される液体の処方物を凍結乾燥することによって産生される凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末であって、該液体の溶液は9より大きいpHを有する、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末。
【請求項96】
請求項95に記載の凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末であって、ここで、前記液体の溶液は約0.01%w/v未満の緩衝剤を含む、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末。
【請求項97】
請求項95に記載の凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末であって、ここで、前記液体の溶液は10より大きいpHを有する、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末。
【請求項98】
活性がある治療剤および一つまたはそれより多い実質的に薬学的に不活性な化合物から本質的に構成される液体の処方物であって、該液体の処方物は8より大きいpHを有し、かつ、ここで、該活性がある治療剤は弱酸である、液体の処方物。
【請求項99】
請求項98に記載の液体の処方物であって、ここで、該液体の処方物は約0.01%w/v未満の緩衝剤を含む、液体の処方物。
【請求項100】
請求項98または99に記載の液体の処方物であって、ここで、該液体の処方物は9より大きいpHを有する、液体の処方物。
【請求項101】
請求項98から100の何れか一つに記載の液体の処方物であって、ここで、前記活性がある化合物は500g/mol未満の分子量を有し、かつスルフォニルウレア基を含む有機化合物である、液体の処方物。
【請求項102】
請求項98から100の何れか一つに記載の液体の処方物であって、ここで、前記活性がある化合物はグリベンクラミドである、液体の処方物。
【請求項103】
請求項102に記載の液体の処方物を凍結乾燥することによって産生される、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−505424(P2011−505424A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537028(P2010−537028)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/085384
【国際公開番号】WO2009/073711
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510155324)レメディー ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】