説明

凍結乾燥顕微鏡ステージ装置及びそれを用いた方法

本発明は、何百、何千及び数十万のサンプルを含むアレイをスクリーニングするための方法、システム及び装置に関する。これらの方法は、構造上の完全性及び/又は生存能を維持しながら、費用効率の高い、製剤の凍結乾燥、生物製剤の凍結の組成物又は条件の最適化、選択及び発見に有用である。そのような凍結乾燥組成物は、疾患、疾患の原因又は疾患の症状の治療又は予防のために容易に再構築される。さらに、生物学的サンプルの最適化された凍結は、広範囲の種々の生物製剤を実行可能に保存することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、凍結及び凍結乾燥に関するデータの生成及び分析に指向する。
【背景技術】
【0002】
温度を下げることによって生物学的物質及び化学物質を保存することは、経済的に重要なプロセスである。さらに、長期間にわたって生存を維持するために生きた生物学的標本を凍結することの可能性は、組織及び細胞を保存するための他の非常に有益な方法である。揮発性溶媒及び液体を除去するために、凍結、又は固体状態で物質及び標本を凍結乾燥することにより、これらのプロセスは拡充する。凍結乾燥は、製剤から水を除去するために一般的に用いられるプロセスの一つであり、通常、保存及び/又は再構築を高める。得られた残分は、室温でさえもむしろ安定であり、むしろ容易に再構築される。
【0003】
当然のことながら、そのようなプロセスは、1以上の興味深い医薬品の安定性、保存性、生物学的利用率及び作用の持続時間を最適化する医薬製剤の発見にうまく調和し、望ましくない性質を最小限に止める。医薬品は、特に安定性、溶解性及び生物学的利用率の理由で、純粋な化合物としてはめったに流通されない。さらに、保存用としての特別な生物学的標本及び興味深い標本全般を、経済的に製造する方法を決定することは重要である。
【0004】
しかし、凍結乾燥する物質の条件、あるいは生存可能な又はまさに構造上忠実に生物学的標本を長期間保存するための条件を見つけることは、単調で、時間のかかる仕事であり、凍結及び凍結乾燥の使用を制約する。このように、長期間安定に保存するのに適し、かつ容易に再構築される医薬製剤を経済的に製造する方法を決定することは重要である。
【0005】
凍結乾燥は、時間の種々のパラメータに強く依存しているため、つまらない、膨大なエネルギーと時間との一般管理費を必要とする。いくつかのパラメータは、温度、熱流、圧力、ガラス質になる水および結晶水の相対量、ならびに賦形剤及び物質を凍結する方法のようなプロセス手順の特別な選択である。一般に、組成物の場合、凍結乾燥を直接バイアル中で行い、その後、密閉し、包装する。次いで、バイアル中での組成物の再構築には、所望の溶媒を添加する以上のことは要求されない。一方、適当な凍結乾燥条件を維持することを誤ると、溶解/再構築又は解凍を容易にするよりむしろ、そのかわりに失敗及び/又は重篤なダメージを有する生成物をもたらす。
【0006】
基本的に、凍結乾燥は、適当な温度及び圧力に付すことによって固相で維持された製剤から昇華によって湿気又は他の溶媒を除去することを必要とする。昇華は、液相から1以上の溶媒を除去するための蒸発より好ましい。というのは、蒸発の間、表面張力が、標本の構造を保存すること及び残分が容易に再構築することを確保する能力を妨げるからである。さらに、溶質は、水の除去によってより濃縮されるため、液相においてより容易に化学変化が起こる。よって、水を除去する間、液相を避けることは、望まない化学変化を低減させる。
【0007】
凍結乾燥は、一般に、2以上の相を含む。凍結乾燥の第1の相では、適当な温度及び圧力条件を適用することによって、固体状態で維持された製剤から結晶化された、またはそうでなければ分離した溶媒が除去される。この長い第1の相に続いて、さらに、製剤が所望の特性を示すまで、第2の乾燥相において、ガラス質の状態に凍結した溶媒分子の除去が行われる。第1の乾燥法は同様に第2の乾燥にとっても適しているため、この2相は、常に別個の工程で行われるわけではない。
【0008】
溶媒及び揮発成分の除去は、デリケートな構造における表面張力の有害な作用がないために、構造のよりよい保存を可能にする。さらに、溶解した不揮発性溶質の場合、凍結溶媒が除去されるほど、後に残された溶質中に大きな表面積を維持するために、それに続く再構築は、ほとんどの他の技術よりも迅速かつ容易である。重要なことは、凍結乾燥製剤は、多くの場合、室温のような高い温度で著しく安定である。さらに、多くの環境において、凍結乾燥製剤における微生物による汚染及び成長の可能性がかなり低い。これらの特性は、保存及び輸送費を減少させ、かつ適切な冷蔵や同様の設備のない、生存しにくい環境において、不安定な活性成分を使用することを可能にする。
【0009】
これらの特性は、単独又は組み合わせにおいて、医薬品から組織標本に及ぶ製品を製造するのに有用である。例えば、医薬品は、一般に1以上の活性成分と賦形剤とを含む医薬品製剤で投与される。ほとんどの医薬品の安定性、溶解度、溶解性、浸透性及び分配性のような物理及び化学的特性は、直接、それらが投与される媒体に関係する。これは、媒体が、活性成分、例えば医薬品の物理及び化学的環境に影響を及ぼすためである。さらに、凍結乾燥のような種々のプロセスによる医薬製剤の処理は、同様に賦形剤に依存する。賦形剤は、吸収、生物学的利用率、代謝プロファイル、毒性及び薬効のような、患者への投与における医薬製剤混合物の物理及び化学的特性に作用する。そのような作用は、賦形剤と医薬品との間の物理的及び化学的相互作用、ならびに/又は賦形剤自体の間の物理的及び化学的相互作用によって引き起こされる。
【0010】
よって、製剤開発の目標は、医薬品の安定性、溶解度、再構築及び生物学的利用率のような医薬品の所望の特性を最適化する製剤を発見することである。これは、通常、退屈なプロセスであり、そこでは、それぞれの変動するものが、条件の範囲又は組み合わせに関して、いくつかのポイントで、別々に評価される。例えば、製剤が、不十分な溶解度によって特徴付けられる医薬品を含む場合、医薬品と賦形剤との間の相互作用または医薬品の溶解度に影響を及ぼす賦形剤間の相互作用を見出すために、塩濃度、pH、賦形剤及び医薬品濃度の範囲でのその医薬品の溶解度を、準備して試験しなければならない。例えば、凍結又は凍結乾燥製剤に関する特別のことは、医薬製剤の凍結の間の時期早尚の沈殿である。いくつかの一般的なルールは存在するが、医薬品の物理的及び化学的特性における個々の賦形剤及び賦形剤の組み合わせの作用は、容易に予想されない。
【0011】
医薬製剤を設計する際、3000以上の類似の賦形剤からの選択が行われ、それぞれは、互いに及び医薬品との間の相互作用の程度及びタイプが異なる。多くの変動するものが含まれるため、産業では、賦形剤と医薬品との間の相互作用を同定、測定又は開発するために、時間又は資源を有していない。よって、特定の医薬品に対して製造され、最適化された医薬製剤を提供することができない。そのような仕事は、一日100から1000のサンプルを試験することが必要であろう。濃度における変動なく、ならびに物理的及び化学的特性の変動がなかったとしても、300の物質について医薬製剤における賦形剤としての有効性を試験すると仮定して、可能な組み合わせの数は、膨大である。つまり、2つの物質を選択した場合、44850の可能な組み合わせがあり、3つの物質を選択した場合、4455100の可能な組み合わせがあり、4つの物質を選択した場合、330791175の可能な組み合わせがある。各成分の相対的な割合が製剤の凍結乾燥における各成分の作用とともに考慮される場合、複雑さは増大する。
【0012】
当然のことながら、凍結乾燥及び/又は凍結のみを経由するさらに最適化された処理を行うために適する多くの医薬品−賦形剤を試験することができる技術は知られていない。今日、より費用効率が高いために、ほとんどの医薬品が標準的に、最適化されずに分配及び投与される。例えば、Allen's Compounded Formulations : U. S. Pharmacists Collection 1995 to 1998, ed. Lloyd Allen参照。今日の医薬製剤の研究及び開発は、ほとんどされることのない賦形剤の選択と、よく知られた経口又は非経口製剤システム、及び凍結乾燥において提案された賦形剤の役割を評価する必要によってさらに複雑になった方法への活性成分の改良とをよりどころとしている。
【0013】
最適化された製剤を与えることの必要性は、活性成分が医薬品である製剤に限定される。栄養健康補助食品、代替薬、栄養補給食品、感覚化合物、農芸化学品、食品、消費者製剤、工業製品製剤の投与に対して、同様の問題に直面している。例えば、医薬製剤と同様に、ビタミン製剤を、十分でない安定性、溶解度、生物学的利用率、味又は臭いによって特徴付けることができる。
【0014】
さらに、適当な条件が容易に認識できたとして、観察のために又は根本的な構造を解明する処理のために、精子、卵及び胎児のような生きたものであろうが、あるいは、例えば、自己組み立てシステムのような合成手段によって形成されたものを含む標本のように死んだものであろうが、組織及び細胞のような生物学的標本の構造及び/又は機能を保存すること、ならびに食料品の質感を保存することでさえも、凍結及び/又は凍結乾燥に適用するために大変都合のよい問題を示す。
【0015】
興味深い組成物及び標本の凍結
水を含有する製剤の凍結は、一般に氷の形態で、水の相当な画分の結晶化を伴う。結晶化プロセスは、秩序化の一つである。このプロセスの間、形成された氷晶は、それらの中に含まれている液体の水のそれよりも大きな容量で迅速に成長する。そのような結晶成長は、しばしば、構造、例えば、細胞壁、細胞レベル下の区画、フィラメントなどの生物学的構造にダメージを与える。さらに、氷晶から除去された液相は、溶質の変質、析出又は変形のかなりの可能性で次第に濃縮される。溶質を除去し、溶質の析出又は変質の危険を最小限に止めるために十分迅速に凍結を促進するので、凍結の目標は氷の形成の程度を減少させることである。特に、水は、凍結中に結晶を形成するかもしれない唯一の成分ではない。溶質は、化学量論関連又は含有物のいずれかで、水を含有する結晶を含み、それ自体結晶化するかもしれない。
【0016】
析出は、通常、対称でなく又は秩序のない非晶質物質の形成の蓄積であり、晶癖によって又は多形として定義することができない。生物の析出プロセスは、生物学的標本中の有機堆積物をもたらすかもしれない。結晶化及び析出は、溶液(例えば、体液又は細胞内液)が物質を十分に溶解することができないことから生じ、何らかの方法でシステムの状態を変化させることによって誘発されるかもしれない。析出及び結晶化を促進又は阻止することができる共通のパラメータは、pH、温度、濃度及び阻害剤又は不純物の有無を含む。
【0017】
一般に、局所的な秩序を示す物質の形成を制限する結晶化と同種のプロセスは、堆積物又は他の凝集物をもたらす蛋白又は他の分子の堆積又はポリマー化のそれである。そのような沈殿物又はポリマーは容易に戻すことができないかもしれず、よってそのような製剤は、再構築及び/又は製剤の存続を危うくさせるか、それらに人為構造を導入するかもしれない。
【0018】
結晶化及び析出における重要なプロセスは、核生成、成長動力学、界面現象、集塊及び破壊である。核生成は、相転移エネルギー障壁を克服した場合に起こり、よって、過飽和溶液から粒子が形成される。集塊は、2以上の粒子(例えば、結晶)が互いに付着することによって大きな粒子を形成することである。過飽和は、熱力学的平衡からの逸脱として定義され、核生成及び成長に対する熱力学的駆動力となる。
【0019】
さらに、同じ溶媒又は溶質化合物は、特に、結晶化媒体の組成に依存して、種々の外観形状、いわゆる晶癖で結晶化するかもしれない。晶癖は昇華の速度ならびに第1及び第2乾燥時間の関係に影響を与えるかもしれないため、そのような情報は重要である。晶癖は、同じ内部構造を有し、よって単結晶−及び粉末−回折パターンに同一性を有しているが、それらは、さらに異なる医薬特性を示すかもしれない(Haleblian, J. ,"Characterization of Habits and Crystalline Modification of Solids and Their Pharmaceutical Applications", J. Pharm. Sci., 64: 1269,1975)。また、結晶の大きさ及び形状は、溶媒除去の容易さ及び標本の構成要件に与えるダメージの程度に大きく作用する。よって、晶癖を制御又は調節するための条件又は医薬品を発見することが、結晶化が行われる凍結乾燥又は凍結製剤を最適化するために必要とされている。
【0020】
したがって、昇華がなされ得る容易さにおいて異なるかもしれない、1以上の異なる結晶種(例えば、異なる内部構造及び物理的特性を有する多形)として、同じ化合物が結晶化されるかもしれない。このように、好ましくない多形にシフトすることを防止し、あるいはより好ましい多形にシフトすることを促進する条件、化合物又は組成物を決定することが望ましい。
【0021】
生物学的標本の凍結
化学組成物と対照的に、生物製剤の凍結は、構造上の保全が重要であるか及び/又は生存能力が生物学的サンプルの解凍の後に望ましいかどうかに基づいて、さらに考慮される。凍結乾燥は、水を取り除くための不完全な乾燥を含み、生存する細胞、組織、器官又はまさに生命体への後の再構築のために、生物製剤を保存するために用いられる。この観点において、凍結中に生存能力を障害するダメージを引き起こすために、凍結はしばしば危険な工程となる。多くの応用において、凍結の的確な手法は、冷却速度及び解凍速度を含むパラメータで重要である。さらに、多くの応用に対して、凍結(及び解凍)条件のみが、昇華を省略することによるその後の乾燥で重要である。
【0022】
構造上の研究
生物製剤の構造上の研究は、電子顕微鏡による実験によってしばしば行われる。この最後に、生物学的サンプルの薄い切片は、特に、重要な構造が視認できかつ安定であることを確保するさらなる処理が施されて、金属グリッド上に配置される。サンプルの取り扱い及び電子ビーム路中に真空下でサンプルを載置するために水を除去する必要があるため、通常、人為的な影響に遭遇する。よって、乾燥が表面張力のためにそれらにひずみを与えるため、実際に視覚化された構造は、実際の構造を反映しないかもしれない。
【0023】
生物学的標本の凍結乾燥は、水の除去に伴う構造上のひずみを回避するための手段である。例えば、標本サンプルは、グリッドにそれらを固定するために吸着させることによって調製することができる。また、まさに液体のフィルムが乾く前に、グリッドを液体窒素(あるいは、できれば、液体窒素温度に冷却したイソペンタン又はエタンのような凍結防止剤)に入れる。凍結物質は、昇華によって水が除去されるまで真空下、低温(約−100から−80℃)で保持される。その標本は、凍結状態で比較的密であり、よって表面張力による力が低減又は消失する。
【0024】
生存能力のある生物学的サンプルの保存
さらに、生存できる状態で凍結された生物製剤は、氷晶、析出物又は生存可能性を障害する又は促進する複合体の形成を制御するために、凍結の前後の双方に、凍結した水の昇華以外の技術によって処置されるかもしれない。いくつかの一般的な処置は、ポリエチレングリコール(PEG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、塩類、アルコール、溶媒等を使用することを含む。凍結のためのいくつかの興味深い生物製剤の例は、胎児、ヒトの胎児、ヒトおよび動物の精子及び/又は卵、器官、バクテリアおよびイースト、および全生命体である。
【0025】
生物製剤の機能を保存することに指向したいくつかの技術は、氷形成を回避するために、ガラス化、非晶質のガラス状態を促進するための条件を確認することを含む。Songらは、"Vitreous cryopreservation maintains the function of vascular grafts," vol. 18 (2002)、Nature Biotechnology、p296-299で、低温保存への一つのアプローチは、最低量の凍結防止剤がなおもガラス形成をもたらし得る条件を見出すことであると、報告している。そのような条件は、イオン性組成物及び毒性が低い凍結防止剤の選択を最適化するためのさらなる変形を含まなければならない。Songらは、種々のアゴニスト及びアンタゴニストに対する解凍された血管環の応答によって評価されるような、凍結条件と比較的成功した凍結に対応するガラス化物との種々の組み合わせを探求するために、血管組織の環を使用した。
【0026】
凍結サンプルにおける機能を保存するための条件を確認する試みが継続している。やや限定された成功は、研究を要する多くの変形のために部分的にであるが、種々の報告で議論されている。例えば、Gosdenらは、"Restoration offertility to oophrectomized sheep b ovarian autografts stored at-90 C'、vol. (1994)、Human Reproduction、p597-603において、器官の低温保存を探求するために組織スライスの使用について述べている。機能し得る腎臓を保存する種々のこころみが報告されている(例えば、Jacobsenら、"Effect of Cooling and Warming Rate on Glycerolized Rabbit Kidneys", 21巻(1984)、Cryobiology、p637-653)。要約すると、成功した凍結及び解凍に影響を及ぼす多くの変化性のために、生存可能な生物製剤の材料を保存するための良好な凍結及び解凍条件を決定することは、目下、重要であり、困難である。
【0027】
昇華
昇華は、凍結乾燥の根幹であり、固相から蒸気への、液相を介さない相変化のプロセスである。物質の昇華は、物質の相平衡状態図における三重点以下の温度及び圧力条件下で行われる。気相及び固相は、そのような条件下で平衡状態であり、蒸気圧の低下又は温度の上昇によって、より速い蒸気化がもたらされる。よって、気相を吸い込む装置を、特に、蒸気を除去するためのポンプ及び/又はコンデンサーの形態で提供することは、連続的なプロセスを形成する。当然のことであるが、昇華は、昇華の潜熱の形態で熱を奪うため、加熱源が、昇華の速度を維持するために必要である。特に固相の温度を維持するために十分な加熱が、誘導、伝達又は放射能によって提供することができる。さらに、放射能による熱伝達は、固体物質のまさに表面の加熱をもたらすか、あるいはより広範囲な容積加熱(例えば、マイクロウェーブを用いることによって)を与えるかもしれない。James B. Dolanが、1998年9月、Faculty of the Virginia Polytechnic Institute and State Universityに提出したUse of Volumetric Heating to Improve Heat Transfer During Vial Freeze-Drying, Ph. D. 論文参照(ここに参照としてその全内容を組み込む)。
【0028】
昇華は、特に、代替方法では必然的に高温を伴うために、他の方法によって乾燥することができない熱に弱い製品を乾燥するために適している。昇華によって保存されるいくつかの例示製品は、血液製剤、骨、皮膚及び不安定な生化学製剤である。当然のことながら、凍結乾燥は、製品の保存のために処理する他の方法に比較して、製品の質における改善をもたらす。凍結乾燥の基本概念は公知であるが、その詳細は、プロセスを最適化するための広範囲な実験の必要によって迂回コストを改善するに足りるほど、容易に決定できない。
【0029】
水性製剤の昇華を行うために、特に、温度を水の凝固点以下に、及び圧力を凍結製剤の温度に対応する飽和蒸気圧以下に下げる。この結果、水が氷晶に凍結するため、締め出された溶質によって形成された構造を残す昇華によって水を連続的に除去する。好ましくは、この構造は、非常に多孔質であり、通常、容易に再構築される。さらに、この乾燥構造を含む生成物は、保存温度(例えば、室温)及び破壊温度が避けられた凍結乾燥中の条件が与えられた凍結温度の双方で安定である。体液のような支持細胞構造を有する生成物及び生物製剤の場合、凍結乾燥は、コーヒーのような溶液状態における最初の生成物(凍結乾燥のインスタントコーヒーを形成するために)よりも高温で行われるかもしれない。もちろん、さらなる温度の制限が、例えば、医薬製剤における活性成分にとって許容される温度範囲によって決定されるかもしれない。
【0030】
製品を凍結又は凍結乾燥するためのプロセスを改善又は考案するより多くの検討がなされている。いくつかの例示要因は、凍結温度、凍結速度、過冷却の程度、破壊温度、ガラス転移温度、アモルファス形態中に又は残留水分として保持される溶媒、アニーリング、析出物又は多形に対する癖を含む。
【0031】
凍結温度
これは、溶解の潜熱の放出を伴って、液体が固体になるために相を変える温度である。溶媒が凍結する温度は、例えば、溶媒の組成及び固相の核形成の可能性に依存して変化するかもしれない。よく知られているように、水へ塩を添加することにより、凝固点が低下する。さらに、水が凍結するにつれ、塩は、氷晶から大部分締め出され、その結果、液相において高塩濃度になり、それは、さらに残留溶液の凝固点を低下させる。凍結防止剤は、天然素材の凍結防止蛋白を含むが、氷晶の形成又は成長を妨害するようにも作用するかも知れず、よって、同様に凝固温度を低下させる。
【0032】
凍結速度
凍結速度は、標本を保存し、又は凍結乾燥を行うための適当な固相材料を調製するための重要なパラメータとなり得る。一般に、サイズ、特性及び溶質の析出程度は凍結速度によって影響される。迅速な凍結は、ほとんど結晶構造のないアモルファスの塊をもたらすか、比較的小さい結晶ならびにより少ない析出のみをもたらす。
また、方向性凍結は、サンプルの一面を核形成し、その面からの結晶を成長させることにより可能となる。これは、より速い第1及び第2の乾燥(後述する)でのその後の昇華で残された塊において、より方向性のチャネルをもたらす。
【0033】
過冷却
過冷却、また用語過冷は、結晶化させることなく、その平衡凝固点以下の液体温度にする現象である。例として、高純度の水は、核形成の速度が小さいために、その凝固点の40℃以下でも液体状態のままであるかもしれない。過冷却の程度は、液体の温度とその平衡凍結温度との間の差である。
【0034】
凍結濃縮
上述したように、凍結は、溶媒の結晶から溶質を締め出し、より濃縮された溶液をもたらす。この現象は、また凍結濃縮という。
【0035】
容器圧の作用
溶媒種の分圧がその飽和蒸気圧以下の場合、昇華は気相へ進むが、容器圧は、すべての気相種からの圧力寄与を含む。容器圧が対応温度で飽和蒸気圧以下に減少する際、他の種による分圧寄与にかかわらず、凍結乾燥は促進される。また、容器圧は熱移動特性に影響を与える。凍結溶媒の気相への変換には熱が必要であるため、これは顕著である。また一般に、熱は、対流、容器圧の減少によって不利な影響を受けるプロセスにより、昇華をうけた凍結サンプルに向かって流れる。容器圧が低ければ、一般に、伝導熱流に対する熱接触抵抗は増加する。
【0036】
製剤微細構造(formulation microstructure)
製剤微細構造は、その後の凍結乾燥で残された溶質を指す(例えば、昇華フロントが残留物を残す領域を通過した後)。残留物の微細構造、製剤微細構造は、望ましくは、添加される溶媒に大きな表面積を与えることによって再構築を促進するために、多孔質であるべきである。製剤微細構造は、経済的な保存のために要求される温度では不安定かもしれないし、安定化するためのさらなる処理を必要とするかもしれない(例えば、残留する溶媒を除去するためのさらなる乾燥によって、あるいは適当な賦形剤の選択によって)。
【0037】
温度勾配
昇華の間、固相と気相との間の界面に熱流を確保しながら、凍結相の全ての部分を、所定の制限よりも低い温度で維持しなければならない。これらの制限は、必須ではないが、固体/気体界面は凍結された固相にさらに移動するので、固体/気体界面付近に残された凍結乾燥材料の崩壊を避けるための必要によって決定されることが多い。一方、熱流は、壁と固体/気体界面との間の熱勾配に依存する。上述した制限の観点から、熱流を増加させるための高い温度勾配は、多くの場合最善ではない。
【0038】
さらに、温度及び温度勾配を制御することは、凍結塊の熱容量によって複雑になる。昇華工程のように、固体/気体界面は、蒸気の除去に対するさらなる抵抗を与える凍結乾燥層を残して移動し、よって、溶媒除去に基づいて昇華の速度を低下させる。
【0039】
ガラス転移
ガラスは、秩序ある結晶構造を欠いた固体である。一般に、ガラスの形成は、核形成の発生を必要としない。ガラス転移は、固体から液体又は気体への転移という意味では相転移ではない。それよりむしろ、温度が低くなるにつれて、ガラス転移温度付近で迅速に粘度を増加するという粘度の増加によって特徴付けられる。ガラス転移温度は、通常、粘度が迅速に増加することを示すこの転移領域の中間点である。
【0040】
凍結乾燥との関連で、ガラス転移温度は、一般に、第1の乾燥による溶媒の除去の後に残る残留物によるガラスの形成を示す。この材料のガラス転移温度は残留溶媒の程度に依存する。一般に、許容される高ガラス転移温度によって特徴付けられる第2の乾燥の終わりで、ガラス転移温度は、残留水分が減少するにつれて、増大する。
【0041】
崩壊温度
上述したように、粘度は、ガラス転移温度より低い温度で急速に増加する。凍結乾燥製剤の保存温度よりもガラス転移温度が低い場合、凍結乾燥製剤は、流れに抵抗するのに十分でない粘度を示すであろう。そして、それはそれ自体の崩壊をもたらす。そのような崩壊は表面積を急激に減少し、物質の再構築を困難にさせ、同様に場合によって機械的にダメージを与える。ここでの崩壊は、材料の流れによるものであり、例えば、取り扱い、振動のためのような凍結乾燥材料の機械的な破砕によるものではないことに留意すべきである。
【0042】
連続的な乾燥は、ガラス転移温度の増加をともなって、残留溶媒を減少させる。凍結乾燥製剤の保存又は取り扱い温度と同程度のガラス転移温度を、崩壊温度と称する。したがって、凍結乾燥の一つの目的は、かなり長い時間、仮にあったとしても崩壊温度を越えることが決してない、サンプル温度を確保することである。よって、その凍結乾燥状態にて、室温で保存または室温にさらされることが意図される医薬品にとって、凍結乾燥製剤のガラス転移温度を室温よりも高くすることを確保することが重要である。
【0043】
他の方法では、凍結乾燥製剤にとって、崩壊温度は、製剤が流れ始める、つまり崩壊する温度である。したがって、凍結乾燥プロセス中のサンプルの温度は、崩壊温度を超えないようにすべきである。医薬品に関して、昇華界面は第1の乾燥中それを通過するので、崩壊は、乾燥品の構造の劣化を意味する。当然のことであるが、また、ガラス転移温度、つまり崩壊温度は、残留した溶質の組成に依存する。よって、医薬製剤の崩壊温度を測定することは、また、昇華を高い温度勾配で安全に行うことができる速度を制限することを示す。
【0044】
最大保存温度
最大保存温度は、一般に崩壊温度/ガラス転移温度よりも低く、保存中に凍結乾燥製剤における流動の程度が許容される温度である。
【0045】
残留水分/溶媒
残留水分/溶媒は、一般に、第1の乾燥後に残った水又は溶媒である。あるいは、液体の凍結において結晶中で隔離されていない溶媒とみなしてもよい。
【0046】
アニーリング
溶媒結晶のサイズは、サンプルを凍結し(例えば、過冷却によって)、続いてサンプルを、溶媒の融点以下の2、3度以内に温めることによって増加し得る。この温度は融点以下の10度以下であることが好ましく、この温度は融点以下の5度以内であることがより好ましく、この温度は融点以下の2度以内であることがさらに好ましく、この温度は融点以下の1度以内であることが最も好ましい。このようにサンプルを凍結状態に維持することによって、溶媒結晶は成長し、それらの間に配置される。昇華では、残留物を通って気体が移動するためのインピーダンスが低いため、昇華速度が同時に増加し、より大きな又は小さな蛇行経路を残す。
【0047】
第1の乾燥
第1の乾燥で、昇華によって凍結製剤から結晶化された溶媒を除去する。第1の乾燥は、一般に凍結乾燥のために必要とされる最も長い時間である。第1の乾燥の間、凍結サンプル中の溶媒結晶の実質的な画分が昇華によって除去される。例えば、種々の乾燥速度を示す1以上の結晶形を形成する溶媒の除去のために、1以上のサブ段階を有することを考慮してもよい。
【0048】
第2の乾燥
結晶溶媒に加えて、さらなる溶媒分子が凍結製剤に付随する。これらは、非晶質形であるか、結晶水等のような溶質の一部であると仮定することができる。そのような溶媒分子の除去は、固相を通る表面への拡散によって制限され、脱離によって影響される。
【0049】
凍結製剤からの昇華による非晶質又は隔離された(例えば、結晶水として)溶媒の除去を、第2の乾燥段階で行う。チャンバ圧を常に十分に減少させることは不可能であるため、溶媒蒸気を除去する化学的手段が必要かもしれない。
これは、第2の乾燥中に除去される溶媒のいずれかは、残留物との相互作用のためにより強固に保持されているという事実による。1より多いサブ段階(例えば、種々の乾燥速度で生じる親和性の程度を変化させることによって、保持された溶媒を除去するために)を有することを考慮してもよい。
【0050】
現在、産業は、時間的な効率及び費用効率が高い方法で、凍結及び凍結乾燥中の望まない物理的状態の変化に反する的確な条件、化合物又は組成物を見つけるための数十万の組み合わせを試験する時間又は解決策を有していない。これらの欠点を改善するために、費用効果が高く、1日あたり何千から数十万の条件、化合物又は組成物を迅速にスクリーニングする方法が必要である。本発明は、ここに、上述した問題の取り組みについて開示する。
【発明の開示】
【0051】
発明の要旨
1日あたり何百、何千及び数十万のサンプルを、実用的に及び費用効果が高く、迅速に製造及びスクリーニングするために、方法、システム及び装置を開示する。これは、費用効果が高い方法で、凍結及び/又は凍結乾燥するのに適した条件及び組成の迅速かつ系統的な分析、最適化、選択又は発見のために、非常に強力なツールを提供する。
【0052】
開示された方法、システム及び装置は、凍結乾燥品の製剤微細構造を保存する間、安定化するのを助ける高い崩壊温度を示す化合物又は組成物の最適化、選択又は発見を包含する。さらに、本発明は、疾患自体、疾患の原因又は疾患の症状を治療又は予防するために、再構築後のそのような化合物又は組成物の使用を包含する。
【0053】
さらに、本発明は、凍結における水の結晶化、無機又は有機物質の析出、形成又は堆積による生物製剤へのダメージを阻害又は防止する生理的条件(例えば、pH、塩濃度、蛋白濃縮など)の発見の方法を包含する。特に、これらの生理的条件は、生物製剤の構造に与えるダメージを防止し、人為構造の発生を防止し、及び/又は凍結による生物製剤の生存率のロスを防止する。
【0054】
さらに、本発明は、凍結乾燥の過程における凍結での医薬品の望ましくない結晶化又は析出を防止又は阻害する化合物、組成物又は生理学的条件を発見する方法を包含する。
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥品として保存される間の製剤の微細構造の安定化を助ける高い崩壊温度を示す条件、化合物又は組成物を確認するため、高スループットのアレイスクリーニングを包含し、各アレイは、少なくとも24、48、72、96、384又は1536のサンプルを有する。さらに、本発明は、疾患自体、疾患の原因又は疾患の症状を治療又は予防するために、再構築後の同定された化合物又は組成物の使用を包含する。
【0055】
他の実施形態では、本発明は、凍結における水の結晶化、無機又は有機物質の析出、形成又は堆積によって生物製剤にもたらされるダメージを阻害又は防止する条件、化合物又は組成物を確認するために、少なくとも24、96、384又は1536のサンプルアレイを製造及びスクリーニングする方法に関する。特に、これらの生理的条件は、生物製剤の構造に与えるダメージを防止し、人為構造の発生を防止し、及び/又は凍結による生物製剤の生存率のロスを低減する。その方法は、所定の冷却速度で冷却することによって、凍結するために、サンプルのそれぞれに凍結溶液を加えることを含む。
【0056】
さらに他の実施形態では、本発明は、凍結に適する化合物又は組成物を発見する方法に関し、サンプルアレイを製造し(それぞれのサンプルは、複数の成分を含み)、及びサンプルを凍結し、その後、溶媒による分圧がその溶媒に対して飽和蒸気圧よりも低くなるように圧力を調整することによって、溶媒を昇華させることを含む。その後の又は同時に実行可能なサンプルの分析は、所望の特性又は性質を示すサンプルの選択を可能にする。
【0057】
さらに他の実施形態では、本発明はプレートアセンブリを含み、それは、各チャンバが、サンプル製剤を加え及びそのチャンバに所定の真空を適用するために使用することができるようなポートを有する複数のチャンバを形成する複数の光学的に透明な層を有する。顕微鏡のステージとしての使用に適した、圧力及び温度が制御されたチャンバは、複数の光学的に透明なプレートの組み立て積層物を収容し、バキューム、冷却剤ならびに電気的及び電子接続のためのポートを提供する。一体的な冷却チャネルを有するプレートを有する冷却システムは、熱電式の細かい温度制御システムを備える主冷却供給源ならびに複数の光学的に透明なプレートの組み立て積層物に冷却を伝えるためのフィン及びプレートのシステムを提供する。この装置は、顕微鏡下で凍結及び凍結乾燥しながら、サンプルの試験及び評価を可能にする。
【0058】
これら及び本発明の他の特徴、観点及び利点は、以下の詳細な説明、実施例及び添付の請求項を参照してより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】顕微鏡のステージを凍結乾燥するための凍結乾燥プレートを示す。
【図2】凍結乾燥プレートにおける複数の積層された光学的に透明な層を示す。
【図3】分解組立図における凍結乾燥チャンバの例を示す。
【図4】別の分解組立図における凍結乾燥チャンバの例を示す。
【図5】組み立てられた凍結乾燥プレートにおけるサンプルウェルの穴又はチャンバを含むプレートを提供する層を示す。
【図6】凍結乾燥チャンバにおける冷却装置の側面図を示す。
【図7】顕微鏡のステージとしての凍結乾燥チャンバの配置を示す。
【図8】凍結乾燥プレートの一連の寸法を示す。
【図9】サンプル配置領域の個々のウェル寸法を示す。
【図10】凍結乾燥プレート下層、凍結乾燥プレート中層及び凍結乾燥プレート上層を有する凍結乾燥プレートの側面図を示す。
【0060】
発明の詳細な説明
構造及び/又は生存能力の優れた保存状態を示す凍結乾燥医薬製剤又は凍結された生物学的標本もしくは生物製剤を発見する従来の方法への代替のアプローチとして、本出願人らは、高スループットで製造し、1日あたり何百、何千及び数十万のサンプルをスクリーニングするための、実用的で費用効率が高い方法を開発している。これらの方法は、凍結乾燥用の化合物、組成物又は条件を系統的に最適化、選択及び発見するのに有用である。例えば、これらの方法は、凍結に対応して望ましくない無機及び有機物質の結晶化、析出、形成又は堆積を防止又は阻止する化合物、組成物又は条件を最適化、選択及び発見するために有用である。
【0061】
好ましい実施形態では、サンプルは、24、36、48、72、96、384又は1536のグリッド又はアレイ(つまり、構成要素の秩序配置)、あるいは、例えば、プレート中のウェルのような他の標準的なアレイに調製される。さらに、少なくとも200、500、1000、5000、10000又は100000サンプルを処理するために適したアレイを用いてもよい。アレイ中の各サンプルは、凍結又は凍結乾燥に適する1以上の賦形剤を含有する製剤を含む。さらに、サンプルは、その代わりに、生物学的材料、場合によっては水含量を減少させる処理が施され又はワックス状の被膜/堆積物等が除去されており、凍結に適する媒体をともに含んでもよい。いくつかの例においては、細胞及び組織のような生物学的材料は、マルチウェルプレート中で培養してもよく、続いて、任意に洗浄してもよく、凍結前に媒体を交換してもよい。
【0062】
開示された方法、システム及び装置は、凍結乾燥品の製剤微細構造を保存する間の安定化を助けるために高い崩壊温度を示す化合物又は組成物の最適化、選択又は発見を包含する。さらに、本発明は、疾患自体、疾患の原因又は疾患の症状を治療又は予防するための再構築後の化合物又は組成物の使用を包含する。また、本発明は、凍結乾燥の過程で凍結における医薬品の望まない結晶化又は析出を防止又は阻害する化合物、組成物もしくは生理的条件を発見するための方法を包含する。
【0063】
また、本発明は積層プレートアセンブリを含み、それは、各チャンバが、サンプル製剤を加え、1以上のポートを経由してチャンバに所定の真空度を適用するために使用できるような複数のチャンバを形成する複数の光学的に透明な層を有する。そのプレートアセンブリは、圧力及び温度が制御されたチャンバ内に載置されてもよく、凍結、凍結乾燥及び/又は解凍/加温中、選択されたチャンバ内でサンプルを試験するために顕微鏡のステージとして用いてもよい。プレートを有する冷却システムと一体化冷却チャネルとを組み合わせた熱電気微細温度制御システムは、冷却速度の正確な制御を与える。
【0064】
ここでのアレイ又は選択されたサンプルを、プロセスパラメータに付してもよい。可変のプロセスパラメータの例は、温度、温度勾配、時間、圧力、賦形剤の同定又は量、結晶性、密度等を含む。
処理の後、処理されたアレイ中の各サンプルを、物理的状態の変化、特に、凍結による微細構造の変化を測定するために、位相差顕微鏡、透過型顕微鏡、共焦点顕微鏡、2−光学顕微鏡又はCCDカメラのような技術によって、スクリーニングしてもよい。また、任意にイメージプロセッシング用ソフトウェアを連結した写真分析を含むサンプルの視覚的分析を行ってもよい。
【0065】
定義
高スループット
高スループットは、少なくとも100、1000又は10000サンプルの取り扱いを指す。この取り扱いは、好ましくは、1ヶ月、1週間、3日又は1日の間であることが好ましい。
【0066】
アレイ
ここで用いられる用語「アレイ」は、複数のサンプル、好ましくは、少なくとも24サンプルを意味する。各サンプルは、いくつかの例では、凍結乾燥試験は省略されるかもしれないが、凍結−解凍サイクル下及びその後の凍結乾燥下での安定性を試験する製剤を含む。この先の説明では、負の対照を除外するというように解釈すべきではない。各サンプルは、種々の成分又は種々の成分濃度を有することができる。アレイは、24、36、48、72、96、384、1536又はそれ以上、好ましくは1000以上のサンプル、より好ましくは10000以上のサンプルを含む。さらに、アレイは、サブアレイとしても知られている1以上のサンプルグループを含んでいてもよい。
【0067】
凍結の過程で析出又は堆積した物質
ここで用いられているように、用語「凍結の過程で析出又は堆積した物質」は、興味深いサンプルの凍結の過程で形成されたいずれかの固体、半固体、ペースト、ゲル又はプラークを意味する。凍結の過程で析出又は堆積した物質の例は、限定されないが、それらの塩及び組成物、蛋白析出物及び堆積物、ならびにこれらの混合物などを含む。さらに、凍結乾燥中に破壊温度を超えることは、析出又は堆積した物質の形成を招く。
【0068】
サンプル
ここで用いられる用語「サンプル」は、一般に、凍結/凍結乾燥に適した1以上の賦形剤を含む製剤を意味する。さらに、サンプルは、これに代えて、場合によっては水含量を減少させるために処理した又はワックス状の被膜/堆積物を除去した生物学的材料等を、凍結に適した媒体とともに含んでいてもよい。
いくつかの例では、細胞及び組織のような生物学的材料を、マルチウェルプレート中で培養してもよく、続いて、任意に洗浄してもよく、凍結の前に媒体を交換してもよい。サンプルは、約1マイクロリットル、約5マイクロリットルから約500マイクロリットル又は約10マイクロリットルから約200マイクロリットルの総容量であることが好ましい。
【0069】
成分
ここで用いられる用語「成分」は、サンプル中で組み合わせられ、混合され又は処理されるいずれかの物質を意味する。単一の成分は、1以上の物理的状態で存在するかもしれない。適当な成分の例は、限定されないが、DMSO、アルコール、アセトン、塩、蛋白及び溶媒/媒体結晶化、析出、無機及び有機堆積物の形成を調整するための炭水化物;小分子(つまり、約1000g/モル未満の分子量を有する分子);オリゴヌクレオチド、蛋白及びペプチドのような大分子(つまり、約1000g/モルより大きい分子量を有する分子);ホルモン;ステロイド;軟骨及びコラーゲンのようなマトリックス及び結合組織;生物学的膜抽出物;EDTAのようなキレート化剤;析出物;有機溶媒;水;塩;酸;塩基;気体及び抗酸化剤のような安定化剤を含む。
【0070】
プロセスパラメータ
ここで用いられている用語「プロセスパラメータ」は、凍結乾燥の条件としても示され、興味深いサンプルの凍結又は凍結乾燥を行うための物理的又は化学的条件を意味する。プロセスパラメータは、限定されないが、インキュベーション時間、温度、溶媒蒸気圧、総圧力、pH及び化学的環境における調節を含む。また、処理は、成分の濃度の調節、種々の追加成分の追加又は組成もしくは量の調節を含む。
【0071】
アレイ内のサブアレイ又は均一な個々のサンプルを、同じアレイ内で、他のサブアレイ又はサンプルに付されたプロセスパラメータと異なるプロセスパラメータに付すことができる。プロセスパラメータは、それらがサンプルの特性における測定可能な変化を誘導するために意図的に変化させられる場合、サブアレイ又はサンプル間で異なるであろう。このように、本発明によれば、わずかな調節誤差によって誘導されるような軽微な変化は、意図的な変化とみなさない。
【0072】
物理的状態
物理的状態は、非化学量論的溶媒及び含有物又はキレートを含む水和物の有無、つまり、溶媒又は水が結晶マトリクス内の空間に、例えば、チャネルにおいて、ランダムに捕捉されている場合を含む。もちろん、そのような水もまた、氷晶のようにかなりの量の水を締め出すことによって残留した溶質ガラスの一部である。
【0073】
化学量論的溶媒又は水和物は、ここで、結晶マトリクスが特定の割合で特定の部位にて、溶媒又は水を含む。つまり、溶媒又は水分子は、規定された配列において結晶マトリクスの一部となる。さらに、結晶マトリクスの物理的状態は、元々結晶マトリクス中に存在していた共付加物を除去することによって変化させることができる。例えば、溶媒又は水が溶媒和物又は水和物から除去された場合、結晶マトリクス内に孔が形成され、よって、新たな物理的状態が(例えば、第2の乾燥中に)形成される。そのような物理的状態は、ここで、脱水水和物又は脱溶媒溶媒和物として示す。
【0074】
晶癖は、個々の結晶の外観描写であり、例えば、結晶は、立方体、四角形、斜方晶系、単斜晶系、三斜晶系、菱形又は六角形の形状を有することができる。結晶の内部構造は、結晶形又は多形を示す。ある化合物は、異なる多形、つまり、異なった結晶種として存在するかも知れない。一般に、ある化合物の異なった多形は、2つの異なった化合物の結晶のように、構造及び特性において異なったものとして存在する。溶解性、融点、昇華の潜熱、密度、硬度、結晶形状、光学的及び電気的特性、蒸気圧及び安定性などが多形間において異なるかもしれない。
【0075】
治療
治療は、疾病症状を治療、管理又は回避するための物質の治療的、緩和的及び/又は予防的な投与を含む。このように、凍結乾燥物質は、直接又は適当な媒体中に再懸濁した後、治療の経過中に患者に投与される。この投与は、坐薬、噴霧、液体及び/又は粉末として、経口、静脈内、外科的処置と共に行うことができる。
ここで記載されたアレイ技術は、並行的の小規模サンプルの大量(10、50、100又は1000より多い)を製造するために用いることができる。
【0076】
アレイの製造及びスクリーニングのためのシステム設計
アレイ及びサンプルの製造及びそれらのスクリーニングの基本的な要件は、(1)成分及び媒体を、離れた部位、例えば、サンプルウェル又はサンプルチューブを有するサブアレイプレートに添加するための分配機構である。好ましくは、分配機構は、コンピュータソフトウェアによって自動化され、管理され、少なくとも1つのさらなる可変のもの(例えば、成分及び/又は成分濃度の同一性)を変更してもよい。そのような材料取り扱い技術及びロボット工学の例は、当業者に公知であり、Tecan Genesis(Tecan-US, RTP, North Carolinaから)のような自動液体分配機構を含む。もちろん、所望により、個々の成分が、手動で適当なサンプル部位に配置されてもよい。
【0077】
アレイを製造、処理及びスクリーニングするための任意の一連工程は、好ましくは1回以上の濃縮で、成分供給源を選択すること、サンプルアレイ又はサンプルサブアレイを与えるサンプルプレート上のサンプルウェル又はサンプルチューブのような複数のサンプル部位に成分を加えることを含む。好ましいサンプルプレートは、ここで説明した凍結乾燥プレートである。そのように集められたデータを次のデータ分析のために、好ましくはコンピュータによって保存する。
【0078】
本発明において使用される自動分配機構は、液体、固体、半固体、ゲル、泡、ペースト、軟膏、懸濁液又はエマルジョンの形態で、成分を分配又は添加することができるものが好ましい。自動液体分配機構は、公知であり、Tecan Genesis(Tecan-US, RTP, North Carolinaから)のように市販されている。これらは、正確に粘稠液を分配するために改造してもよい。さらに、これらは、10.0mg、1.0mg、100マイクログラム又は10マイクログラム未満のような少量の固体を分配するための機構を含む固体分配機構を補完してもよい。
【0079】
プレートに分配を完了した後密閉し、冷却、凍結、解凍、再凍結及び凍結乾燥の前後のサンプルを視覚的に試験することを可能としながら、温度及び圧力に対するコントロールを与える顕微鏡のステージに置く。各サンプルの目視検査は、破壊温度、ガラス転移温度、多孔性を含む製剤の微細構造、結晶サイズの分布などを評価することができる。多くのパラメータ及び興味深い条件を、次の非包括的なリストに挙げる。
【0080】
温度
異なる温度を、アレイ中のサンプルの凍結、第1の乾燥及び第2の乾燥中に用いることができる。一般に、いくつかの異なる温度を凍結のために試験する。温度は、静的又は動的手法のいずれかで制御することができる。静的温度は、インキュベーション温度の設定が固体形成工程を通して用いられることを意味する。あるいは、温度勾配を用いてもよい。例えば、温度を、固体形成にわたって一定速度で低下又は上昇させる。
【0081】
時間
サンプルは、種々の時間の長さでインキュベートすることができる。物理的状態の変化、特にガラス流及び低温での均一な乾燥は、時間の関数として生じるかもしれないため、時間の範囲にわたってアレイを試験するために好都合である。
【0082】
pH
析出又は結晶化した化合物の変化は、サンプルの凍結に影響を与えるかもしれない。このために、無機及び有機酸および塩基、小分子、マイクロ分子のようなさらなる結晶化添加剤及び溶媒を添加することによって、pHを変更することができる。
【0083】
溶媒組成
種々の溶媒又は溶媒の混合物を用いることは、凍結及び凍結乾燥中の物理的状態の変化を阻害又は促進するかもしれず、物理的状態の変化のタイプに影響を与えるかもしれない。溶媒は、静電特性、電荷分布、分子形状及び可撓性ならびにpHによる析出物及び固体の形成に影響を与え、方向づけるかもしれない。好ましい溶媒は、薬物製造の使用に許容される溶媒およびそれらの混合物である。許容される溶媒は、限定されないが、水、水性酸、塩基、塩及び緩衝剤又はそれらの混合物のような水ベースの溶媒、ならびにプロトン性、非プロトン性、極性又は非極性有機溶媒のような有機溶媒を含む。
【0084】
顕微鏡−支援処理及び試験
顕微鏡−支援処理及び試験は、凍結及び凍結乾燥中の、顕微鏡下での、結晶、残留物及び物理的状態の観察を含む。一実施形態では、アレイを、固体が溶液中に存在する温度(T1)で処理することができる。そのサンプルを、次いで、凍結する又は凍結を開始するために十分な低い温度(T2)に冷却する。固体及びそれらの形態の存在を、好ましくは顕微鏡により補助された目視試験によって、任意に測定することができる。本発明の種々の実施形態におけるサンプルの顕微鏡試験のために採用することができるいくつかの顕微鏡ベースの技術を、次の非包括的な方法において説明する。
【0085】
透過型顕微鏡
透過型顕微鏡法では、拡大画像の形成の前に標本に光を透過させる。本発明で用いるように、透過型顕微鏡法は、高倍率、例えば、約400×を上回る倍率で解像度を高めるための技術を含む。
【0086】
共焦点顕微鏡
共焦点技術は、ノイズによるぴんぼけの光を阻止することができる。簡単に述べると、画像は、一般に、観察されるサンプルの三次元走査、例えば、ラスター走査から再生され、集光がピンホールを通過する。ピンホールの通過は、焦点にある面の上及び焦点のある面の下からの光を有効に遮断する。この技術は、非特異的蛍光又は散乱が顕著な実験的な制限となる場合に、特に高く評価される。
【0087】
2−光子共焦点顕微鏡
2−光子共焦点顕微鏡は、発色団が可視光の単一光子によっては励起せず、同時に吸収される(フェムト秒オーダーで)2つの低エネルギー(赤外線)光子によって励起されることによる、2−光子効果に基づく。2−光子効果からの蛍光は、入射光強度の二乗に依存する。この高い非線形(約4乗)作用のため、ビームの焦点に非常に近いこれら色素分子のみが励起し、共焦点画像化の間、標本の光退色、光毒又は加熱を低減させる。
【0088】
位相差顕微鏡
位相差顕微鏡は、それらの個々の屈折率に基づく構造の解像によって、同様の透明度を有し、無色の構造間の十分なコントラストを得るために用いることができる。
【0089】
CCDカメラ
電荷結合デバイス(CCD)カメラは、入射光を受光するためのフィルム片よりもむしろ小さい、シリコンの矩形片を用いる。この固体状態電子成分は、微細加工され、高い密度で詰め込まれた個々の光検出セルに分割される。重要な態様では、感度に加えて、CCDカメラは、画像データの自動処理を集積するために非常に適している。
【0090】
自動画像処理
画像データの自動画像処理は、SPOTFIRE(Spotfire, Inc.、Cambridge、MAから市販)のような視覚化ソフトウェアを用いて行うことができる。画像データを含むデータは、直接分析することができ、あるいは、複雑な多次元相互作用または相互作用のいくらかの欠落を検出する科学者の能力を最大限に利用するために、データマイニングアルゴリズムによって処理することができる。適当なデータマイニングソフトウェアの例は、限定されないが、SPOTFIRE、MATLAB (Mathworks, Natick, Massachusetts)、STATISTICA (Statsoft, Tulsa, Oklahoma)を含む。全ての結果の分析ファイルを、当業者に公知の従来の手段によってアクセスするために、中央ファイルサーバー、つまりデーターベースに保存することができる。
【0091】
他の実施形態では、いわゆるマシン・ビジョン技術を用いる。特に、機内に搭載された信号プロセッサを有する高速CCDカメラは、画像を捕らえる。この機内に搭載されたプロセッサは、サンプルチューブ又はサンプルウェルの画像中に包含されるデジタル情報を迅速に処理することができる。一般に、画像は、ウェルのそれぞれの位置で発現し、低い崩壊温度又は意図する乾燥時間よりも長い時間をもたらす条件を検出するために、凍結乾燥残留物の構造における変化が種々の時間で評価される。偏光光の種々の回旋によるこれらの画像における差分は、1以上の新たに形成された凍結溶媒/溶質結晶又は他成分の凝集体の存在を示すかもしれない。そのような結晶を含むウェルに対して、視覚システムは、凍結又は凍結乾燥プロセルを評価するために、ウェル中の結晶数及び/又はウェル中の結晶の大きさ分布を測定することができる。
【0092】
凍結乾燥用の顕微鏡ステージ
いくつかの会社が個々のサンプルの凍結乾燥を研究するのに適する顕微鏡のステージを提供している。会社のいくつかの例は、Cybertek、Leica Microscopy & Scientific Instruments Group、Leica Microsystems Holdings GmbH、Oxford Instruments, Inc.及びScientific Research Div.、United Products & Instruments, Incである。また、ペルティエ効果冷却及びジュール加熱を採用する従来のステージも、個々のサンプルの凍結及び凍結乾燥を研究するために市販されている。
【0093】
複数サンプルの温度を制御するためにペルティエ効果を採用することに関連して、MJリサーチ又はPEバイオシステムによって製造されるもののように、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)に用いられる標準的な熱サイクルを、顕微鏡スレージにおいて複数サンプルの温度制御を行うために変更することができる。
【0094】
生物学的サンプルの凍結乾燥
乾燥、光、酸素、浸透圧、表面張力及び他の因子に対して感受性の高い微生物の凍結乾燥のために、特別な予防措置が必要である。通常、微生物の保存(凍結乾燥による)がし難い凍結乾燥プロセスを行う条件を発見するために、広範囲な実験が必要とされる。かなり高温で、室温のような高さでも、保存することを潜在的に可能にするのは凍結乾燥であるが、凍結又は繁殖のような代替の保存方法の費用は相当高額である。
【0095】
凍結乾燥に有用な多くの効果的な保護剤が知られている。例は、凍結によって生じる損傷から保護するため、スキムミルク、メゾイノシトール、蜂蜜、グルタミン酸塩(エステル)及びラフィノースを含む。有気性の凍結乾燥に対して感受性の高いいくつかの嫌気性バクテリアは、1以上のさらなる保護剤を含む媒体の懸濁液中に活性炭(5%w/v)を用いることにより、うまく凍結することができる。
【0096】
製剤の凍結乾燥速度の改善
試行錯誤の方法に対して、本発明は、凍結の速度とともに、より経済的な凍結乾燥法及び装置を改善する系統的なスクリーニングを教示する。所望のプロセスパラメータを決定するために、温度、圧力、時間の範囲及び組成物が選択されたサンプルの試験を、1以上のサンプルアレイを用いることによって、凍結乾燥プロセスの決定に関与する非常に多くの変形を試験した。排気ポートは、それがサンプルを通過するように、面前での昇華の観察を良好にするため、サンプル載置領域の端部(完全にサンプル載置領域内であるが)に位置合わせされていることが好ましい(図8及び9参照)。
【0097】
それらの構造、凍結乾燥の程度、凍結及び解凍サイクルの作用を顕微鏡検査するためのいくつかのサンプルを収容できる例示的な凍結乾燥顕微鏡ステージは、凍結乾燥のプロセスパラメータを確認するために、サンプルアレイをスクリーニングすることができる。さらに、そのような顕微鏡ステージは、異なる凍結条件下でのサンプルの生物学的生存能の評価に有用である。興味深い材料を凍結又は凍結乾燥するための信頼できる所望の条件の予測は可能でないため、一般に、原則から、種々の成分の組み合わせ及び条件の作用の経済効率の高いスクリーニングが望まれている。この必要性は、大量のサンプルと自動化の処理が必要とされる。開示された方法は、大量のサンプルをスクリーニングし、かつ所望により、カメラ及び他の装置によって、そのようなスクリーニングを記録することを可能にする。共焦点顕微鏡を含む種々のタイプの顕微鏡が、示された凍結乾燥ステージに適している。
【0098】
これらの目的に対して、凍結乾燥プレートは、アレイを処理するための合理的なサイズのバッチを可能にするために、例えば、少なくとも5、10、24、25、50、96、100、150、200、250、500、750、1000、2000又は5000ウェルを有する。
【0099】
図1は、凍結乾燥顕微鏡ステージのための凍結乾燥プレート100を示す。凍結乾燥プレート100は、図2に示すように、上層210、中層220及び下層230を有する複数の積層された光学的に透明な層100を含む。上層210は、中層220における孔(サンプル載置領域)にぴったりと合った孔(気体排出ポート)を有する。下層230は、通常、硬い。ここでの種々の図における3層の描写は本発明の適用範囲として限定されることを意図するものではないことに留意すべきである。一実施形態では、例えば、凍結乾燥プレートは、2層、つまり、第1の上層210と、サンプルを収容するウェル又は穴を含む下層からなる。例示的な実施形態では、複数のチャンバが、凍結乾燥プレート100を形成するために、光学的に透明な層を積層することにより形成されていえる。有利にも、これらのチャンバのそれぞれは、そこに収容されたサンプルの試験を観察することができる。凍結乾燥プレートは、凍結乾燥プレート中に載置されたサンプルを観察し、照らすための光学的に透明な窓を有する圧力及び温度が制御されたチャンバ内に載置される。さらに、凍結乾燥顕微鏡ステージに連結された加熱、冷却及び圧力の制御装置は、種々の条件下でサンプルアレイを観察することを容易にする。
【0100】
図3は、典型的な凍結乾燥チャンバの分解組立図を示す。凍結乾燥チャンバ300は、そこに収容されているサンプルの観察を容易にするために窓310を有している。窓310は、凍結乾燥チャンバ側面360に支えられている凍結乾燥チャンバ上面320に形成されている。窓310は、冷却移送プレート340に支えられている凍結乾燥プレート330の視察を可能にする。また、冷却移送プレート340は、1以上の熱電対及び熱電又は他の微細加熱/冷却手段のような温度制御装置又はセンシング素子を含んでいてもよい。冷却移送プレート340は、液体窒素のような冷却材によって供給される粗冷却を伴う冷却アセンブリ/フィン350と接触している。密閉されている凍結乾燥チャンバの底部380の他の窓370が、顕微鏡ステージにおける光の通過を可能にする。図3は、代替層、積層可撓性ヒータ及び温度センサーアレイ335も示している。積層可撓性ヒータ及び温度センサーアレイ335は、細かい温度制御又はセンシングを提供するために、凍結乾燥プレート330又は冷却移送プレート340のいずれに取り付けることができ、それらの間に挟持されていてもよい。
【0101】
図4は、他の典型的な凍結乾燥チャンバの分解組立図を示す。凍結乾燥チャンバ400は、そこに収容されているサンプルの観察を容易にするために窓410を有している。窓410は、凍結乾燥チャンバ側面460に支えられている凍結乾燥チャンバ上面420に形成されている。窓410は、積層可撓性ヒータ及びリード又は入出力素子437に連結された温度センサーアレイ435に支えられている凍結乾燥プレート430の視察を可能にする。積層可撓性ヒータ及び温度センサアレイ435は、冷却移送プレート440に接触している。また、冷却移送プレート440は、1以上の熱電対及び熱電又は他の微細加熱/冷却手段のような温度制御装置又はセンシング素子を含んでいてもよい。冷却移送プレート440は、液体窒素のような冷却材によって供給される粗冷却を伴う冷却アセンブリ/フィン350と接触している。密閉されている凍結乾燥チャンバの底部480の他の窓470が、顕微鏡ステージにおける光の通過を可能にする。ウェルの種々の可能な形状を示すために、この実施形態は、図3とは異なる形状のウェルを有している。凍結乾燥チャンバは、任意に、電極及び真空源のための出口のような他の部品を含んでいてもよい。
【0102】
さらなる実施形態では、本発明の装置は、サンプル画像を視察及び保存するために、さらに、デジタルカメラ又はビデオレコーダのような光学装置を含む。
図5は、組み立てられた凍結乾燥プレート100におけるサンプルウェル520のための穴又はチャンバを含むプレート510を提供する層500を示す。ウェルは、種々の層を積層して密閉される。簡単に示すように、ウェルを形成及び配置するために種々の可能なデザインがある。そのようなデザインは、本発明の適用範囲内に含まれることを意図する。矩形グリッドである必要はないが、より簡便にウェルを自動的に処理するために、均一パターンを有利に使用することができる。
【0103】
図6は、記載された実施形態における冷却装置600の側面図を示す。冷却移送プレート610は、透光性であり、チャネル630において、例えば循環液体窒素のような冷却剤によって順次冷却される冷却アセンブリ/フィン620に接触している。冷却移送プレート610によるこの粗冷却及び微細冷却/加熱のこの組み合わせは、各ウェルの温度の独立制御を可能にし、あるいは、ほとんど変換(resolution)することなく、所定時間の所定温度勾配の確立を可能にする。
【0104】
図7は、顕微鏡700におけるステージとしての凍結乾燥チャンバ300の配置を示す。顕微鏡基台710は、凍結乾燥チャンバ730の配置の制御を容易にするX−Yテーブルを支持している。凍結乾燥チャンバ730は、図3の分解組立図に示した凍結乾燥チャンバ300と同様である。1以上の接眼レンズ740及びカメラ750は、興味のある時間にわたる変化を観察し、記録することを容易にする。
【0105】
図8は、限定されることを意図しない、凍結乾燥プレート1組の大きさを示す上面図である。上層の気体排出ポート810は、通常、中層のサンプル配置領域820の一端にぴったり合っている。同様に、より大きな又はより小さな大きさが可能であることを留意すべきである。例えば、凍結乾燥プレート長は、1から24インチの間のいずれか1つの整数よりも小さくてもよく、幅は、1から24インチの間のいずれか1つの整数よりも小さくてもよい。5.02インチの長さ及び3.35インチの幅が、ここで述べられた凍結及び凍結乾燥ステージを伴って機能するために、多くの一般的に入手可能な顕微鏡に適合させるのに適当である。さらに、図9に示すように、限定されることなく、個々のウェルは、1cm単位で1cmより大きい又は1mm単位で1mmと同じくらい小さいサンプル配置領域910を有していてもよい。本発明においては、限定されないが、1から10mmの間のいずれか1つの整数の長さ、かつ1から10mmの間のいずれか1つの整数の幅を有するサンプルウェル配置領域を含む。さらに、図9に示したように、限定されることなく、個々のウェルは、1cm単位で1cmより大きい又は1mm単位で1mmと同じくらい小さい気体排出ポート920を有していてもよい。本発明においては、限定されないが、1から10mmの間のいずれか1つの整数の長さ、かつ1から10mmの間のいずれか1つの整数の幅を有するサンプルウェル配置領域を含む。さらに、図10は、凍結乾燥プレート下層1010、凍結乾燥プレート中層1020及び凍結乾燥プレート上層1030を有する凍結乾燥プレートの側面図を示す。あるいはまた、幅よりもより大きな高さアスペクト比を有する代替実施形態(例えば、毛細管)を本発明の意図する範囲に含めることを意図する。
【0106】
ここでの開示は、第1及び第2の乾燥の迅速な速度を確保することによって、長い寿命、容易な再構築及び低い製造コストの良好な凍結乾燥製品を製造する観点と同様に、賦形剤間で行われる決定を可能にする。さらに、バクテリアの染色のような種々の生物学的材料の凍結乾燥条件を発見することができる。さらに、ウェル制御ステージは、生存能を保存しながら、生物学的材料を凍結するための条件の決定を容易にする。当然、本発明は、また、最小限の構造的なダメージによって、質感のような特性を保存するために食品を有効かつ効率的に凍結及び凍結乾燥するために加えられるための方法、条件及び成分の発見において広く適用される。
【0107】
特に、開示された装置及びシステムは、凍結乾燥の適切性又は改善/最適化を評価するためにサンプルをスクリーニングすることができる。例示の実施形態では、方向性の凍結を同様に使用してもよいが、凍結乾燥溶媒を含むサンプルのアレイ又はサブアレイを、好ましくは、過冷却によって凍結する。任意に、サンプルに、1以上の凍結−解凍サイクルを行う。少なくとも50μmHgから760mmHg以下で規定される範囲の圧力に複数のサンプルを付すことによって、昇華させてもよく、続いて又は並行して、1以上のサンプルの温度がそのガラス転移温度を超えている否かを測定するために試験してもよい。
【0108】
凍結サンプルは、凍結乾燥溶媒の融点付近又はそれより低い温度に温めるまでアニールし、好ましくは15時間、10時間、5時間又は1時間未満の時間インキュベートしてもよい。温度は、好ましくは、凍結乾燥溶媒の融点以下の5度以内の温度、凍結乾燥溶媒の融点以下の2度以内の温度、凍結乾燥溶媒の融点以下の1度以内の温度である。
【0109】
有利にも、第1の乾燥時間の対応範囲を測定し、続いて、所望の第1の乾燥時間に対応する温度を選択することによって、凍結乾燥溶媒の融点より低い温度範囲から、所望の温度を決定するために、スクリーニングプロセスを用いてもよい。同様に、第2の乾燥時間又は第1及び第2の乾燥時間のいずれかの組み合わせを、アニーリングするための適当な温度を決定するために行ってもよい。
【0110】
本発明は、ある好ましい実施形態を示すことによって相当詳細に説明しているが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の請求の範囲の精神及び範囲はここに包含される好ましい実施形態の記載に限定されるべきではない。ここで述べた本発明の改変及び変形は、上述した詳細な説明から当業者に明らかであり、ここで述べた本発明のそのような改変及び変形は、添付の請求の範囲の範囲内であることを意図する。
多くの参照文献を挙げており、それらの全内容を参照としてここに組み込む。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥のためのプロセスパラメータを確認するためのサンプルアレイのスクリーニング用凍結乾燥顕微鏡ステージであって、そのアレイは少なくとも24のサンプルを含み、
複数の積層された光学的に透明な層を含む少なくとも1つの凍結乾燥プレートと、
少なくとも1つの凍結乾燥プレート中の複数のチャンバと、
光学的に透明な窓を有する少なくとも1つの圧力及び温度制御チャンバと、
凍結乾燥顕微鏡ステージに連結された加熱、冷却及び圧力制御装置とを含む凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項2】
圧力制御装置は、サンプルアレイ中の第1のサンプルに第1の圧力を、及びサンプルアレイ中の第2のサンプルに第2の圧力を与えることができる請求項1の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項3】
第1の圧力は第2の圧力と同じでない請求項2の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項4】
加熱及び冷却制御装置は、サンプルアレイ中の第1のサンプルに第1の温度を、及びサンプルアレイ中の第2のサンプルに第2の温度を与える請求項1の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項5】
第1の温度は第2の温度と同じでない請求項4の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項6】
加熱及び冷却制御装置は、サンプルアレイの温度を制御することができる請求項5の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項7】
加熱制御装置は、サンプルアレイにおける1以上の選択されたサンプルの表面に熱を与えることができる請求項1の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項8】
加熱制御装置は、サンプルアレイにおける1以上の選択されたサンプルに容量熱を与えることができる請求項1の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項9】
各サンプルは共通の初期製剤の凍結乾燥画分を含み、サンプルアレイ中の複数のサンプルは、凍結乾燥画分の流れを観察することによって凍結乾燥画分のガラス転移温度の測定を可能にする複数の温度のそれぞれに対応する請求項6の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項10】
サンプルアレイにおける複数のサンプルは、それぞれ複数の圧力で維持されており、所望の凍結乾燥速度を示すサンプルアレイにおけるサンプルに対応する複数の圧力から第1の圧力を確認することができる請求項6の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項11】
サンプルアレイにおける複数のサンプルのそれぞれの構造が凍結乾燥サイクル前に試験される請求項9の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項12】
サンプルアレイにおける複数のサンプルのそれぞれの構造が凍結乾燥サイクル中に試験される請求項9の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項13】
サンプルアレイにおける複数のサンプルのそれぞれの構造が凍結乾燥サイクル後に試験される請求項9の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項14】
サンプルアレイにおける複数のサンプルは、製剤のガラス転移温度を測定するために温度制御装置によって種々の温度に維持された製剤を含む請求項6の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項15】
サンプルアレイにおける複数のサンプルは、製剤の昇華速度を測定するために温度制御装置によって種々の温度に維持された製剤を含む請求項6の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項16】
サンプルアレイにおける複数のサンプルは、複数サンプル中の少なくとも1つのサンプルの水分含量を測定するためにモニターされた製剤を含む請求項6の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項17】
サンプルアレイの処理を調節するための加熱、冷却及び圧力制御装置を含む請求項1の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項18】
さらに、凍結乾燥チャンバのアレイを形成するために積層された複数の光学的に透明な層、サンプル導入用ポート及び排気用ポートを有する凍結乾燥チャンバのアレイにおける複数の凍結乾燥チャンバ中に少なくとも1つの凍結チャンバを含む請求項1の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項19】
さらに、凍結乾燥プレートのアレイを形成する積層光学的透明プレートを収容するためのマスターチャンバを含み、そのマスターチャンバは、少なくとも1つの凍結乾燥チャンバ中のサンプルを照らすことができる少なくとも1つの光学的に透明な窓を有している請求項18の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項20】
さらに、バキューム、冷却剤、温度センサへの連結、温度制御装置への連結、圧力センサへの連結からなる群の少なくとも1つの部材用のポートを有するマスターチャンバを含む請求項18の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項21】
さらに、メイン冷却源を提供する一体化した冷却チャネルを備えるプレート、細かい温度制御を与える熱電装置、少なくとも1つの凍結乾燥チャンバにおけるサンプルに対して熱を伝導するフィン及びプレートを有する冷却システムを含む請求項18の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項22】
さらに、照光顕微鏡基台及び少なくとも1つの顕微鏡被写体の位置を調節することが可能なスタンドを含む請求項18の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項23】
さらに、少なくとも1つの凍結乾燥プレート中にサンプルを画像化するためのビデオカメラを含む請求項18の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項24】
ビデオカメラは、電荷結合デバイスカメラである請求項23の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項25】
顕微鏡被写体下に、選択された凍結乾燥チャンバを配置するためのX−Y配置テーブルを含む請求項18の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項26】
少なくとも24のチャンバがある請求項18の凍結チャンバのアレイ。
【請求項27】
少なくとも72のチャンバがある請求項18の凍結チャンバのアレイ。
【請求項28】
少なくとも96のチャンバがある請求項18の凍結チャンバのアレイ。
【請求項29】
少なくとも1000のチャンバがある請求項18の凍結チャンバのアレイ。
【請求項30】
少なくとも10000のチャンバがある請求項18の凍結チャンバのアレイ。
【請求項31】
少なくとも1つのチャンバが毛細管である請求項18の凍結チャンバのアレイ。
【請求項32】
凍結乾燥プレートが三重の光学的に透明な層を含む請求項1の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項33】
三重の光学的に透明な層が、複数の蒸気排出ポートを含む上層、複数のサンプル載置領域を有する中層及び堅い下層からなる請求項32の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項34】
少なくとも24の蒸気排気ポート及び少なくとも24のサンプル載置領域がある請求項33の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項35】
少なくとも96の蒸気排気ポート及び少なくとも96のサンプル載置領域がある請求項33の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項36】
少なくとも384の蒸気排気ポート及び少なくとも384のサンプル載置領域がある請求項33の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項37】
少なくとも1536の蒸気排気ポート及び少なくとも1536のサンプル載置領域がある請求項33の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項38】
さらに、そこに収容されるサンプルの観察を容易にするための2つの窓を含む請求項32の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項39】
さらに、凍結乾燥チャンバ側面を含む請求項32の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項40】
さらに、冷却アセンブリを含む請求項32の凍結乾燥顕微鏡ステージ。
【請求項41】
凍結乾燥の適正を評価するためのサンプルアレイのスクリーニング方法であって、
少なくとも24サンプルを準備してアレイサンプルを形成し、少なくとも2つのサンプルは凍結乾燥可能な溶媒を含み、
サンプルアレイ中で複数のサンプルを凍結し、
複数サンプルを、解凍し及び凍結することによって凍結−解凍サイクルに付し、
50μmHg以上、760mmHg以下で規定された範囲において複数サンプルに圧力を付し、及び
複数サンプル中の少なくとも1つのサンプルを視覚的に検査して、温度がサンプルのガラス転移温度を上回っているか否かを測定することを含む方法。
【請求項42】
さらに、過冷却によってサンプルを凍結する工程を含む請求項41の方法。
【請求項43】
さらに、第1期間に、凍結乾燥可能な溶媒の融点付近又はそれ以下に温めるまで、凍結サンプルをアニールする工程を含む請求項42の方法。
【請求項44】
アニーリング工程は、第1の期間のための凍結乾燥可能な溶媒の融点以下の5度以内の温度に温めることを含む請求項43の方法。
【請求項45】
アニーリング工程は、第1の期間のための凍結乾燥可能な溶媒の融点以下の2度以内の温度に温めることを含む請求項43の方法。
【請求項46】
第1の期間は少なくとも1時間である請求項43の方法。
【請求項47】
第1の期間は少なくとも5時間である請求項43の方法。
【請求項48】
第1の期間は少なくとも10時間である請求項43の方法。
【請求項49】
第1の期間は少なくとも15時間である請求項43の方法。
【請求項50】
さらに、第1の乾燥時間の対応範囲を決定するために、溶媒の融点以下の温度範囲をスクリーニングする工程を含む請求項41の方法。
【請求項51】
さらに、アニーリング温度として第1の乾燥時間の範囲から所望の第1の乾燥時間に対応する温度を選択する工程を含む請求項50の方法。
【請求項52】
さらに、第2の乾燥時間の対応範囲を決定するために、溶媒の融点以下の温度範囲をスクリーニングする工程を含む請求項41の方法。
【請求項53】
さらに、アニーリング温度として第2の乾燥時間の範囲から所望の第2の乾燥時間に対応する温度を選択する工程を含む請求項52の方法。
【請求項54】
さらに、第1及び第2の乾燥時間の対応範囲を決定するために、溶媒の融点以下の温度範囲をスクリーニングする工程を含む請求項41の方法。
【請求項55】
さらに、アニーリング温度として第1及び第2の乾燥時間の範囲から所望の第1及び第2の乾燥時間に対応する温度を選択する工程を含む請求項54の方法。
【請求項56】
凍結工程は、方向性手法で少なくとも1つのサンプルを凍結することを含む請求項41の方法。
【請求項57】
さらに、複数サンプルの画像データを得、及び所望の大きさ分布を有する結晶を示すサンプルを確認する画像データを自動的に処理する工程を含む請求項41の方法。
【請求項58】
結晶が溶媒結晶である請求項57の方法。
【請求項59】
さらに、サンプル製造のために大きな結晶の形成に対応する条件を選択することを含む請求項58の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−507540(P2006−507540A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555665(P2004−555665)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/037518
【国際公開番号】WO2004/047753
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505036065)トランスフォーム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】TRANSFORM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】