凍結治療用プローブ、及び凍結治療装置
【課題】 低コストで安全に凍結治療を行うことができると共に、外径をより細く構成した場合にも確実に凍結治療できる凍結治療用プローブ及び凍結治療装置を提供する。
【解決手段】 凍結治療用プローブ20には、冷媒が封入されているので一定量の冷媒を用いて凍結治療を行うことができ、低コストで凍結治療を行うことが可能となる。凍結治療用プローブ20は、ジュール・トムソン効果を利用するものに比べて内部が低圧に保たれるので、安全に凍結治療を行うことができる。凍結治療用プローブ20では、液相の冷媒が流通する経路と気相の冷媒が流通する経路とが分離されている。したがって、凍結治療用プローブ20の外径を細くしても、液相の冷媒を先端部21aまで好適に移送し冷熱を伝えることができる。よって、外径をより細く構成した場合にも、対象部位Tを確実に凍結治療することが可能となる。
【解決手段】 凍結治療用プローブ20には、冷媒が封入されているので一定量の冷媒を用いて凍結治療を行うことができ、低コストで凍結治療を行うことが可能となる。凍結治療用プローブ20は、ジュール・トムソン効果を利用するものに比べて内部が低圧に保たれるので、安全に凍結治療を行うことができる。凍結治療用プローブ20では、液相の冷媒が流通する経路と気相の冷媒が流通する経路とが分離されている。したがって、凍結治療用プローブ20の外径を細くしても、液相の冷媒を先端部21aまで好適に移送し冷熱を伝えることができる。よって、外径をより細く構成した場合にも、対象部位Tを確実に凍結治療することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療用プローブ、及び凍結治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野の従来技術として、例えば、特許文献1に記載の生体組織凍結装置が知られている。この生体組織凍結装置は、生体凍結用治療針を備えている。この生体凍結用治療針は、管状のケーシングと、ケーシング内に配置されケーシングの先端部まで延在する内管とを有している。この生体凍結治療装置においては、液体窒素を内管へ導入しつつ、ケーシングの先端部で気化した窒素をケーシングから排気することによって、ケーシングの先端部を冷却し、対象部位の凍結治療を行う。
【0003】
また、上記技術分野の他の従来技術として、例えば、特許文献2に記載の閉ループ式ジュール・トムソン型の冷凍外科用プローブが知られている。この冷凍外科用プローブは、管状のケーシングと、ケーシング内に配置されケーシングの先端部まで延在する高圧導管と、高圧導管の末端に配置されたジュール・トムソン型膨張要素とを備えている。この冷凍外科用プローブは、高圧低温ガス混合物を高圧導管によってケーシングの先端部まで移送しつつ、ジュール・トムソン型膨張要素によって断熱膨張させることにより、ケーシングの先端部を冷却する。
【0004】
さらに、上記技術分野の他の従来技術として、例えば、特許文献3に記載の開放式ジュール・トムソン型の冷却プローブが知られている。この冷却プローブは、管状のケーシングと、ケーシング内に配置されケーシングの先端部まで延在する内管と、内管の末端に設けられたオリフィスとを備えている。この冷却プローブは、高圧のガスを内管によってケーシングの先端部まで移送しつつオリフィスを通過させて断熱膨張させることにより、ケーシングの先端部を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3149068号公報
【特許文献2】特許第4275341号公報
【特許文献3】特表第2002−513614号公報
【特許文献4】特許第3999755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の生体組織凍結装置においては、上述したように、液体窒素を用いて対象部位の凍結を行う。液体窒素は、長期間保管しておくことが困難である。したがって、この生体組織凍結装置によって対象部位の凍結を行うには、治療の直前に液体窒素を手配する必要がある。また、この生体組織凍結装置の生体凍結用治療針にあっては、対象部位の凍結を行うために、内管への液体窒素の導入と、ケーシングからの窒素の排気とを連続的に繰り返す必要がある。このため、大量の液体窒素が使用され廃棄されることとなる。また、余剰の液体窒素は、上述したように保管が困難であることから、廃棄せざるを得ない。その結果、この生体組織凍結装置、及び生体凍結治療針にあっては、低コストで凍結治療を行うことが困難となる。
【0007】
また、特許文献2に記載の冷凍外科用プローブや、特許文献3に記載の冷却プローブにおいては、ジュール・トムソン効果を利用するため、高圧ガスを生成するためのポンプが必要になる等、複雑且つ大掛かりな構成となってしまう。また、高圧ガスを用いることから、冷凍外科用プローブ、或いは冷却プローブを体内に挿入した状態において、それらのケーシングが破損した場合には、体内に大きな損傷を与えてしまう虞がある。
【0008】
これらの課題を解決するための技術として、例えば、特許文献4に記載の熱治療プローブが知られている。この熱治療プローブは、対象部位の凍結治療のためにヒートパイプを利用している。ヒートパイプは、一定量の冷媒を封入して用いるため、特許文献1に記載の技術のように冷媒を大量に廃棄する必要がない。また、ジュール・トムソン効果を利用したものに比べて、プローブ内を低圧に維持することができる。よって、この熱治療プローブによれば、低コストで安全に凍結治療を行うことが可能となる。
【0009】
ところで、凍結治療に用いるプローブにおいては、体内に挿入する必要があるため、その外径をより細く構成することが望まれている。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低コストで安全に凍結治療を行うことができると共に、外径をより細く構成した場合にも対象部位を確実に凍結治療できる凍結治療用プローブ及び凍結治療装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の凍結治療用プローブは、体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療用プローブであって、冷熱源に接続される後端部と対象部位に配置される先端部とを有し、冷媒が封入された管状のケーシングと、ケーシングの内部空間を先端部側の第1部分と後端部側の第2部分とに隔てると共に、第1部分と第2部分とを連通する第1及び第2連通孔が設けられた隔壁と、第1部分に配置され、第1連通孔から先端部に向けて延在する第1内管と、を備え、第1内管の内側には、第1連通孔から先端部に冷媒が流通する第1流路が形成されており、ケーシングと第1内管との間には、先端部から第2連通孔に冷媒が流通する第2流路が形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
この凍結治療用プローブにおいては、凍結治療に用いられる冷媒がケーシングに封入されている。つまり、この凍結治療用プローブによれば、一定量の冷媒を用いて凍結治療を行うことができる。したがって、冷媒を大量に廃棄する必要が生じないため、低コストで凍結治療を行うことが可能となる。また、この凍結治療用プローブにおいては、ケーシングの後端部に接続される冷熱源により第2部分で冷却され液化した冷媒が、第1内管の内側に形成された第1流路を流通してケーシングの先端部へ移送される。ケーシングの先端部に移送された液相の冷媒は、ケーシングの先端部等から熱を奪って気化する。これにより、ケーシングの先端部が冷却される。そして、気化した冷媒は、ケーシングと第1内管との間に形成された第2流路を流通して第2連通孔から第2部分へ戻る。この凍結治療用プローブによれば、このようにして冷却されたケーシングの先端部を対象部位に配置することにより、対象部位の凍結治療を行うことができる。よって、この凍結治療用プローブによれば、ジュール・トムソン効果を利用するプローブに比べて、ケーシング内部が低圧に保たれるので、安全に凍結治療を行うことができる。さらに、上述したように、この凍結治療プローブにおいては、液相の冷媒が流通する経路(第1流路)と、気相の冷媒が流通する経路(第2流路)とが分離されている。したがって、当該凍結治療用プローブの外径を細くしても、液相の冷媒や気相の冷媒の流通が妨げられないため、液相の冷媒をケーシングの先端部まで好適に移送し、ケーシングの先端部に冷熱を伝えることができる。よって、この凍結治療用プローブによれば、その外径をより細く構成した場合にも、対象部位を確実に凍結治療することが可能となる。
【0012】
本発明の凍結治療用プローブは、第2部分に配置され、第2連通孔から後端部に向けて延在する第2内管をさらに備えることができる。この構成によれば、第2内管が逆止部として機能する。すなわち、第2連通孔から第2内管が延在しているので、第2部分で液化された冷媒が、第2連通孔を介して第1部分に流れることが防止される。
【0013】
また、本発明の凍結治療用プローブにおいては、隔壁には、互いに内径の異なる複数の第2連通孔が設けられており、複数の第2連通孔のそれぞれには、複数の第2連通孔のそれぞれの内径に応じた外径の第2内管が接続されているものとすることができる。この構成によれば、第2連通孔の合計流通面積を大きくすることができるので、第1部分で気化した冷媒をより効果的に第2部分へ戻すことができる。
【0014】
また、本発明の凍結治療用プローブにおいては、第2内管は、隔壁から離れるほどケーシングの内面から離間するように傾斜しているものとすることができる。この構成によれば、第2部分において液化されてケーシングの内面を伝う冷媒が、第2内管に導入されることを防止することができる。
【0015】
また、本発明の凍結治療用プローブにおいては、隔壁の第2部分側の面は、ケーシングの内面から第1連通孔に向けて縮径する漏斗形状を呈しているものとすることができる。この構成によれば、第2部分において液化されてケーシングの内面を伝う冷媒を、効率良く第1連通孔に導くことができる。
【0016】
また、本発明の凍結治療用プローブは、先端部と後端部との間においてケーシングを覆うように設けられた断熱部をさらに備えることができる。この構成によれば、対象部位以外の部位の凍結を避けることができると共に、ケーシング外部からの熱流入を軽減することができる。
【0017】
さらに、本発明の凍結治療用プローブにおいては、断熱部は、先端部と後端部との間においてケーシングを覆うと共に両端がケーシングに気密に接合された外管と、ケーシングと外管とによって形成され真空引きされた空隙とを含むものとすることができる。この構成によれば、断熱部を真空断熱部として構成することにより、対象部位以外の部位の凍結を確実に避けることができると共に、ケーシング外部からの熱流入を効果的に軽減することができる。
【0018】
或いは、本発明の凍結治療用プローブにおいては、断熱部は、先端部と後端部との間においてケーシングを覆う外管を含み、外管は、先端部側の端部がケーシングに気密に接合されると共に、後端部側の端部が開放されているものとすることができる。この構成によれば、例えば、開放された外管の端部を、冷熱源を収容する部材に気密に接合すれば、ケーシングの先端部以外の部分や冷熱源をまとめて収容する密閉空間を形成することが可能となる。このため、その密閉空間を真空引きすることにより、冷媒を冷却して凝縮する部分全体を真空断熱することが可能となる。その結果、冷熱源からの冷熱を確実にケーシングの先端部に伝えることが可能となる。
【0019】
ここで、上記課題を解決するために、本発明の凍結治療装置は、体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療装置であって、上記の凍結治療用プローブと、ケーシングの後端部に接続された冷熱源と、を備えることを特徴とする。この凍結治療装置は、上記の凍結治療用プローブを備える。したがって、上述した理由から、低コストで安全に凍結治療を行うことができると共に、凍結治療用プローブの外径をより細く構成した場合にも対象部位を確実に凍結治療できる。
【0020】
本発明の凍結治療装置は、凍結治療用プローブの外形と略同一の外形を有するダミープローブと、ケーシングの先端部に対応するダミープローブの先端部が露出するようにダミープローブに挿抜可能に挿着された管状のシースと、をさらに備えることができる。この構成においては、対象部位の凍結治療を行う際に、まず、シースが挿着された状態のダミープローブを体内に挿入し、シースを体内に残した状態でそのダミープローブを抜去する。これにより、シースによって、対象部位に至る経路が体内に形成される。したがって、その体内のシースに凍結治療用プローブを挿入することで、ケーシングの先端部を対象部位へ容易且つ確実に導くことができる。
【0021】
また、本発明の凍結治療装置においては、シースは、ケーシングの先端部を構成する材料の熱伝導性よりも低い熱伝導性を有する材料からなるものとすることができる。この構成によれば、上述したように体内のシースを用いて、ケーシングの先端部を対象部位に導く際に、対象部位以外の部位の凍結を確実に避けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低コストで安全に凍結治療を行うことができると共に、外径をより細く構成した場合にも対象部位を確実に凍結治療できる凍結治療用プローブ及び凍結治療装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の凍結治療装置の第1実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示された凍結治療用プローブの断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿っての断面図である。
【図4】本発明の凍結治療用プローブの第2実施形態の断面図である。
【図5】本発明の凍結治療装置の第3実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の凍結治療用プローブの第4実施形態の断面図である。
【図7】本発明の凍結治療装置の第4実施形態のダミープローブの断面図である。
【図8】第4実施形態の凍結治療装置を用いる方法の主要な工程を示す図である。
【図9】第4実施形態の凍結治療装置を用いる方法の主要な工程を示す図である。
【図10】図2に示された凍結治療用プローブの変形例を示す部分断面図である。
【図11】変形例に係る凍結治療装置の構成を示す側面図である。
【図12】変形例に係る凍結治療装置の構成を示す上面図である。
【図13】他の変形例に係る凍結治療装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の凍結治療用プローブ及び凍結治療装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0025】
図1は、本発明の凍結治療装置の第1実施形態の構成を模式的に示す図である。図1に示されるように、凍結治療装置1は、冷凍機(冷熱源)10と凍結治療用プローブ20とを備えている。凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20は、体内の対象部位Tを凍結治療するためのものである。冷凍機10の吸熱部10aには、伝熱部材11が接続されており、凍結治療用プローブ20は、その伝熱部材11に取り付けられている。冷凍機10としては、例えば、フリーピストン型スターリング冷凍機を用いることができる。凍結治療用プローブ20は、例えばサーモサイフォン型の凍結治療用プローブである。また、凍結治療用プローブ20は、例えば、その先端部を下方に向けて用いることができる。
【0026】
図2は、図1に示された凍結治療用プローブ20の拡大断面図である。図2に示されるように、凍結治療用プローブ20はケーシング21を備えている。ケーシング21は、両端が閉じられた管状を呈している。ケーシング21には、冷媒が封入されている。冷媒としては、例えば、フロン系冷媒R23、二酸化炭素、エチレン、及びエタン等を用いることができる。
【0027】
ケーシング21は、先端部21aと、後端部21bと、先端部21aから後端部21bに向けて順に配置された中間部21c及び中間部21dとを有している。先端部21aは先鋭化されており、凍結治療の際に体内の対象部位Tに配置される。後端部21bは、冷凍機10の吸熱部10aに接続された伝熱部材11に接続されている。つまり、後端部21bは、伝熱部材11を介して冷熱源である冷凍機10に接続されている。中間部21cは、先端部21aから後端部21bに向かって略一定の外径及び内径となっている。中間部21dは、中間部21cから後端部21bに向かって徐々に外径及び内径が拡大するテーパ状の部分を含む。したがって、後端部21bの外径及び内径は、中間部21cのテーパ状の部分の内径及び外径よりも大きくなっている。先端部21a、中間部21c、及び中間部21dは、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。後端部21bは、先端部21a、中間部21c、及び中間部21dを構成する材料の熱伝導性よりも高い熱伝導性を有する材料であって、例えば銅を含む金属材料から構成することができる。中間部21cの外径及び内径は、例えば、2mm〜3mm及び1mm〜2mm程度である。また、後端部21bの外径及び内径は、例えば、5mm〜30mm及び4mm〜29mm程度である。
【0028】
凍結治療用プローブ20は、隔壁22をさらに備えている。隔壁22は、ケーシング21の内部空間を先端部21a側の第1部分P1と、後端部21b側の第2部分P2とに隔てている。換言すれば、ケーシング21の内部空間は、隔壁22によって、第1部分P1と第2部分P2とに分割されている。第1部分P1は、ケーシング21の先端部21aの内面、中間部21cの内面、中間部21dの内面及び隔壁22の先端部21a側の面で画定される空間である。第2部分P2は、ケーシング21の後端部21bの内面、及び隔壁22の後端部21b側の面で画定される空間である。第2部分P2の一部には、冷却されて液化した冷媒が貯留されている。
【0029】
隔壁22には、第1連通孔22a及び第2連通孔22bが設けられている。第1連通孔22a及び第2連通孔22bは、第1部分P1と第2部分P2とを連通している。図3に示されるように、第1連通孔22aは、隔壁22の略中央部に1つ設けられている。一方、第2連通孔22bは、隔壁22の周縁部に沿って複数(ここでは6つ)設けられている。複数の第2連通孔22bは、内径が相対的に小さいもの3つと、内径が相対的に大きいもの3つとを含む。第1連通孔22aの内径は、例えば0.3mm〜1.5mm程度である。第2連通孔22bの内径は、例えば0.5mm〜10mm程度である。このような隔壁22は、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。なお、第1連通孔22aの第2部分P2側の開口部は、第1部分P1から第2部分P2へ向かう方向に拡径するテーパ状に形成されている。
【0030】
凍結治療用プローブ20は、第1内管23をさらに備えている。第1内管23は、ケーシング21内に配置されている。より具体的には、第1内管23は、第1部分P1に配置されている。第1内管23は、両端が開放された管状を呈している。第1内管23とケーシング21とは、略同軸とされている。第1内管23の一端23aは、隔壁22の第1連通孔22aに接続されている。第1内管23の他端23bはケーシング21の内部において、ケーシング21の先端部21aの近傍に位置している。換言すれば、第1内管23は、隔壁22の第1連通孔22aからケーシング21の先端部21a近傍まで延在している。第1内管23とケーシング21とは、少なくともケーシング21の中間部21c及び中間部21dにおいて、二重管を構成している。
【0031】
このような第1内管23は、第2部分P2で冷却され液化した冷媒の流路を提供する。より具体的には、第1内管23の内側には、第1連通孔22aからケーシング21の先端部21aに液相の冷媒が流通する第1流路F1が形成されている。一方、第1内管23とケーシング21とは、先端部21aの内側で気化した冷媒の流路を提供する。より具体的には、第1内管23の外面23cとケーシング21の内面21fとは互いに離間しており、それらの間には、ケーシング21の先端部21aから第2連通孔22bに気相の冷媒が流通する第2流路F2が形成されている。このような第1内管23は、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。第1内管23の外径及び内径は、例えば、0.3mm〜1.5mm及び0.1mm〜1mm程度である。
【0032】
凍結治療用プローブ20は、複数(ここでは6つ)の第2内管24をさらに備えている。第2内管24は、ケーシング21内に配置されている。より具体的には、第2内管24は、第2部分P2に配置されている。第2内管24は、両端が開放された管状を呈している。第2内管24の一端24aは、第2連通孔22bに接続されている。第2内管24の外径は、第2連通孔22bの内径に対応している。換言すれば、第2連通孔22bのそれぞれには、第2連通孔22bのそれぞれの内径に応じた外径の第2内管24が接続されている。第2内管24の他端24bは、隔壁22から第2部分P2に突出している。つまり、第2内管24は、隔壁22からケーシング21の後端部21bへ向けて延在している。第2内管24の他端24bは、第2部分P2に貯留された冷媒の液面よりも突出している。このような第2内管24は、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。第2内管24の外径及び内径は、例えば、0.5mm〜10mm及び0.3mm〜8mm程度である。
【0033】
凍結治療用プローブ20は、外管25をさらに備えている。外管25は、少なくともケーシング21の先端部21aと後端部21bとの間においてケーシング21を覆おうように管状に形成されている。より具体的には、外管25は、ケーシング21の後端部21bのうちの伝熱部材11で覆われていない部分と中間部21cと中間部21dとにおいて、ケーシング21を覆うように管状に形成されている。したがって、ケーシング21の中間部21c及び中間部21dにおいては、ケーシング21と第1内管23と外管25とによって、三重管が構成されている。外管25の一端25a及び他端25bは、ケーシング21に気密に接合されている。外管25とケーシング21との接合は、例えば溶接や鑞付や接着等によって行うことができる。外管25の内面25cとケーシング21の外面21gとは、互いに離間している。外管25の内面25cとケーシング21の外面21gとの空隙S1は、真空引きされている。したがって、外管25と空隙S1とは、少なくともケーシング21の先端部21aと後端部21bとの間において、すなわち、後端部21bのうちの伝熱部材11で覆われていない部分とケーシング21の中間部21cと中間部21dとにおいて、ケーシング21を覆うように設けられた真空断熱部として機能する。外管25は、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。外管25の外径及び内径は、例えば、3mm〜7mm及び2.5mm〜5mm程度である。なお、図1に示されるように、凍結治療装置1はヒータ17及び電源16をさらに備えている。ヒータ17は、伝熱部材11に接続されている。ヒータ17は、電源16からの電力によって発熱するように構成されている。
【0034】
引き続いて、凍結治療装置1の動作について説明する。凍結治療装置1においては、まず冷凍機10によって凍結治療用プローブ20のケーシング21の後端部21bが冷却される。これにより、ケーシング21の内部空間の第2部分P2において、冷媒が冷却されて液化する。液化した冷媒は、ケーシング21の内面を伝いつつ第2部分P2に貯留されると共に、第1連通孔22aを介して第1内管23の一端23aから第1内管23内に導入される。第1内管23内に導入された液相の冷媒は、第1内管23内の第1流路F1を流通して第1内管23の他端23bへ至る。第1内管23の他端23bに至った液相の冷媒は、第1内管23の他端23bから導出される。これにより、液相の冷媒が第2部分P2から第1部分P1に移送される。第1内管23の他端23bから導出された液相の冷媒は、ケーシング21の先端部21a及びその周辺を通して、周囲の物体から熱を奪って気化する。このとき、冷媒の気化潜熱等によって、ケーシング21の先端部21a及びその周辺、ひいては体内の対象部位Tが冷却される。
【0035】
気化した冷媒は、第1内管23とケーシング21との間に形成された第2流路F2を流通して、隔壁22の第2連通孔22bまで移送される。第2連通孔22bに至った気相の冷媒は、第2内管24の一端24aから第2内管24内に導入される。第2内管24内に導入された気相の冷媒は、第2内管24を流通して第2内管24の他端24bに至る。第2内管24の他端24bに至った気相の冷媒は、第2内管24の他端24bから導出される。これにより、気相の冷媒が第1部分P1から第2部分P2に移送される。この凍結治療装置1においては、このように、第1内管23の内側の第1流路F1、及び第1内管23とケーシング21との間の第2流路F2によって冷媒を循環させることにより、ケーシング21の先端部21aを冷却する。そして、例えばケーシング21の先端部21aの温度が対象部位Tの凍結に十分な温度に至った後に、ケーシング21の先端部21aを体内に挿入し対象部位Tに接触させる。これにより、対象部位Tが凍結される。そして、対象部位Tが凍結した後、ヒータ17を発熱させ、その熱を主としてケーシング21の熱伝導によって対象部位Tに供給する。このように対象部位Tに熱が供給されることにより、対象部位Tが解凍される。これらの操作を数回繰り返して、対象部位Tを繰り返し凍結させたり解凍させたりすることにより、対象部位Tの凍結治療を行うことができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20においては、凍結治療に用いられる冷媒がケーシング21に封入されている。つまり、この凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20によれば、一定量の冷媒を用いて凍結治療を行うことができる。したがって、冷媒を大量に廃棄する必要がないため、低コストで凍結治療を行うことが可能となる。また、本実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20にあっては、ジュール・トムソン効果を利用するものに比べて、ケーシング21内部が低圧に保たれるので、安全に凍結治療を行うことができる。さらに、本実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20においては、液相の冷媒が流通する経路(第1流路F1)と、気相の冷媒が流通する経路(第2流路F2)とが分離されている。したがって、凍結治療用プローブ20の外径を細くしても、液相の冷媒や気相の冷媒の流通が妨げられないため、液相の冷媒をケーシング21の先端部21a近傍まで好適に移送し、先端部21aに冷熱を伝えることができる。よって、本実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20によれば、凍結治療用プローブ20の外径をより細く構成した場合にも、対象部位Tを確実に凍結治療することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態の凍結治療用プローブ20においては、気相の冷媒の戻り孔である第2連通孔22bに対して、第2内管24が接続されている。この構成によれば、第2連通孔22bに接続された第2内管24が逆止部として機能する。すなわち、第2連通孔22bに第2内管24が接続されており、第2内管24の他端24bを液相冷媒の液面よりも高くすることができるので、第2部分P2で液化された冷媒が、第2連通孔22bを介して第1部分P1に流れることが防止される。特に、本実施形態の凍結治療用プローブ20においては、隔壁22には、互いに内径の異なる(2種の内径を有する)6つの第2連通孔22bが設けられており、それらの第2連通孔22bのそれぞれには、それらの第2連通孔22bのそれぞれの内径に応じた外径の第2内管24が接続されている。このため、第2連通孔22b及び第2内管24の配置のスペース効率を向上可能であると共に、気相の冷媒をより効果的に第2部分P2に戻すことができる。
【0038】
さらに、本実施形態の凍結治療用プローブ20においては、ケーシング21の先端部21aと後端部21bとの間において、ケーシング21を覆うように真空断熱部(外管25及び空隙S1)が設けられている。このため、対象部位T以外の部位の凍結を避けることができると共に、ケーシング21の外部からの熱流入を軽減することができる。
[第2実施形態]
【0039】
引き続いて、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブの第2実施形態について説明する。図4に示されるように、第2実施形態の凍結治療装置(不図示)は、第1実施形態の凍結治療装置1に対して、凍結治療用プローブ20に代えて凍結治療用プローブ30を備える点で相違している。第2実施形態の凍結治療装置のその他の構成は、第1実施形態の凍結治療装置1と同様である。
【0040】
凍結治療用プローブ30は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20に対して、隔壁22に代えて隔壁32を有する点で相違している。凍結治療用プローブ30のその他の構成は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20と同様である。隔壁32は、隔壁22と同様に、ケーシング21の内部空間を第1部分P1と第2部分P2とに隔てている。また、隔壁32には、隔壁22と同様に、第1連通孔22a及び第2連通孔22bが設けられている。そして、第1連通孔22aには、第1内管23が接続されており、第2連通孔22bには、第2内管24が接続されている。
【0041】
ここで、隔壁32は、第1面32aと第2面32bとを有している。第1面32aは、第1部分P1側の面である。第1面32aは、略平坦となっている。第2面32bは、第1面32aの反対側の面であり、第2部分P2側の面である。第2面32bは、ケーシング21の内面21fから第1連通孔22aに向けて(すなわち、隔壁32の外周から中心に向けて)徐々に縮径するような漏斗形状を有している。換言すれば、隔壁32は、第2部分P2側に開放されたすり鉢形状を呈している。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の凍結治療装置及び凍結治療用プローブ30においても、第1実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の凍結治療用プローブ30によれば、ケーシング21の後端部21b(すなわち第2部分P2)において冷却されて液化しケーシング21の内面21fを伝う冷媒を、すり鉢形状の隔壁32によって集約することにより、効率良く第1連通孔22aに導くことができる。
[第3実施形態]
【0043】
引き続いて、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブの第3実施形態について説明する。図5に示されるように、第3実施形態の凍結治療装置1Aは、第1実施形態の凍結治療装置1に対して、吸熱部収容筒15をさらに備える点、及び、凍結治療用プローブ20に代えて凍結治療用プローブ40を備える点で相違している。凍結治療装置1Aのその他の構成は、第1実施形態の凍結治療装置1と同様である。
【0044】
吸熱部収容筒15は、一端15aが開放された筒状を呈している。吸熱部収容筒15は、冷凍機10の吸熱部10a及び伝熱部材11を収容している。吸熱部収容筒15の一端15aには、吸熱部収容筒15の全周に渡ってフランジ部15bが突設されている。なお、冷凍機10の外周と吸熱部収容筒15とは気密に接合されている。
【0045】
凍結治療用プローブ40は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20に対して、外管25に代えて外管45を有する点で相違している。凍結治療用プローブ40のその他の構成は、凍結治療用プローブ20と同様である。外管45は、少なくともケーシング21の先端部21aと後端部21bとの間において(より具体的には、ケーシング21の後端部21bのうちの伝熱部材11で覆われていない部分と中間部21cと中間部21dとにおいて)ケーシング21を覆うと共に、先端部21a側の端部45dがケーシング21に気密に接合され、後端部21b側の端部45fが開放されている。また、外管45の端部45fは、吸熱部収容筒15に気密に且つ着脱可能に接合されている。外管45についてより具体的に説明する。
【0046】
外管45は、ケーシング21の中間部21cを覆うと共に中間部21cに沿って略一定の内径及び外径を有する定径部45aと、ケーシング21の中間部21d及び後端部21bの一部を覆うと共に、定径部45aから離れるにつれて拡径するテーパ状のテーパ部45bと、テーパ部45bの端部(外管45の端部45f)からテーパ部45bの全周に渡って突設されたフランジ部45cとからなる。テーパ部45bの最大径は、吸熱部収容筒15の径と略同一となっている。
【0047】
外管45は、フランジ部45cにおいて吸熱部収容筒15のフランジ部15bに気密に且つ着脱可能に接合されている。換言すれば、外管45の端部45fには、冷凍機10の吸熱部10a及び伝熱部材11を収容する吸熱部収容筒15に外管45を気密に且つ着脱可能に接合するためのフランジ部45cが設けられている。したがって、凍結治療装置1Aにおいては、外管45と吸熱部収容筒15とによって、密閉空間S2が形成されている。この密閉空間S2には、凍結治療用プローブ40の先端部(ケーシング21の先端部21a)以外の部分と、冷凍機10の吸熱部10a及び伝熱部材11とが収容されている。そして、この密閉空間S2は、真空引きされている。外管45とケーシング21との接合は、例えば溶接や鑞付や接着等によって行うことができる。また、外管45と吸熱部収容筒15との接合は、例えば、フランジ部45cとフランジ部15bとの間に図示しないガスケットを挟持させて、ボルト等で締め付けること等によって行うことができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の凍結治療装置1A及び凍結治療用プローブ40においても、第1実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20と同様の効果を奏することができる。特に、凍結治療装置1Aにおいては、外管45と吸熱部収容筒15とによって、真空引きされた密閉空間S2が形成されている。そして、その密閉空間S2には、凍結治療用プローブ40の先端部以外の部分と冷凍機10の吸熱部10a及び伝熱部材11とが収容されている。このため、この凍結治療装置1A及び凍結治療用プローブ40によれば、冷媒を冷却して凝縮する部分全体が真空断熱されることとなる。よって、冷凍機10が発生させた冷熱を確実にケーシング21の先端部21aに伝えることができる。
[第4実施形態]
【0049】
引き続いて、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブの第4実施形態について説明する。図6及び図7に示されるように、第4実施形態の凍結治療装置(不図示)は、第1実施形態の凍結治療装置1に対して、凍結治療用プローブ20に代えて凍結治療用プローブ50を備える点、ダミープローブ60をさらに備える点、及びシース70をさらに備える点で相違している。第4実施形態の凍結治療装置のその他の構成は、第1実施形態の凍結治療装置1と同様である。
【0050】
凍結治療用プローブ50は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20に対して、外管25を備えない点で相違している。その他の構成は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20と同様である。
【0051】
ダミープローブ60は、凍結治療用プローブ50のダミーとして用いるプローブであって、凍結治療用プローブ50の外形と略同一の外形を有している。つまり、ダミープローブ60の外形は、凍結治療用プローブ50のケーシング21の外形と略同一である。したがって、ダミープローブ60は、ケーシング21の先端部21a、後端部21b、中間部21c及び中間部21dのそれぞれに対応する先端部60a、後端部60b、中間部60c及び中間部60dを有している。ダミープローブ60の中間部60cは、先端部60aから後端部60bに向かって略一定の外径となっている。中間部60cの外径は、ケーシング21の中間部21cの外径と略同一である。また、中間部60cの長さは、ケーシング21の中間部21cの長さよりも短い。ダミープローブ60の中間部60dは、中間部60cから後端部60bに向かって徐々に外径が拡大するテーパ状を呈している。中間部60dの外径の拡大の割合は、ケーシング21の中間部21dにおけるテーパ状の部分の外径の拡大の割合と略同一である。なお、ダミープローブ60は、図7に示されるように中実構造であってもよいし、ケーシング21のように中空構造であってもよい。
【0052】
シース70は、両端が開放された管状を呈している。シース70は、内径及び外径が略一定の定径部70aと、定径部70aに接続され定径部70aから離れるにつれて内径及び外径が拡大するテーパ部70bとからなる。定径部70aの内径は、ケーシング21の中間部21c及びダミープローブ60の中間部60cの外径と略同一となっている。また、テーパ部70bの内径及び外径の拡大の割合は、ケーシング21の中間部21d及びダミープローブ60の中間部60dの外径の拡大の割合と略同一となっている。このように構成されるシース70は、ダミープローブ60に対して挿抜可能にダミープローブ60に挿着されている。シース70は、ダミープローブ60に挿着された状態において、ダミープローブ60の先端部60aを露出すると共に、中間部60c及び中間部60dを覆っている。シース70は、ケーシング21の先端部21aを構成する材料(例えばステンレスやチタン合金)の熱伝導性よりも低い熱伝導性を有する材料(例えばフッ素樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、及びポリオレフィン(PE,PP等))から構成されている。
【0053】
引き続いて、第4実施形態の凍結治療装置を用いる方法について説明する。図8及び図9は、第4実施形態の凍結治療装置を用いる方法の主要な工程を示す図である。図8(a)に示されるように、シース70が挿着されたダミープローブ60を用意する。続いて、図8(b)に示されるように、シース70が挿着されたダミープローブ60を、その先端部60aが対象部位Tに到達する直前まで体内に挿入する。すなわち、シース70も、その先端が対象部位Tに到達する手前に位置する。そして、図8(c)に示されるように、シース70を体内に残存させたまま、ダミープローブ60のみを体内から抜去する。これにより、シース70によって、対象部位Tの直前に至る経路が体内に形成される。
【0054】
続いて、図9(a)に示されるように、凍結治療が可能な程度に予め冷却された凍結治療用プローブ50を用意する。なお、冷熱源の種類によっては、凍結治療用プローブ50を予冷しなくてもよい場合があり得る。続いて、図9(b)に示されるように、ケーシング21の先端部21aが対象部位Tに到達するように、凍結治療用プローブ50をシース70に挿入する。これにより、凍結治療用プローブ50の先端部(ケーシング21の先端部21a)を、対象部位T及びその直前部位以外の部位に接触させることなく、対象部位Tに接触させることができる。そして、所定時間その状態を維持することにより、対象部位Tの凍結を行う。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の凍結治療装置及び凍結治療用プローブ50においても、第1実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20と同様の効果を奏することができる。特に、本実施形態の凍結治療装置は、凍結治療用プローブ50の外形と略同一の外形を有するダミープローブ60と、そのダミープローブ60に対して挿抜可能に挿着されたシース70と、を備えている。このため、対象部位Tの凍結を行う際に、まず、シース70が挿着された状態のダミープローブ60を体内に挿入し、シース70を体内に残した状態でそのダミープローブ60を抜去すれば、シース70によって、対象部位Tの直前に至る経路が体内に形成される。したがって、その体内のシース70に凍結治療用プローブ50を挿入することで、ケーシング21の先端部21aを対象部位Tへ容易且つ確実に導くことができる。
【0056】
さらに、本実施形態の凍結治療装置においては、シース70は、ケーシング21の先端部21aを構成する材料の熱伝導性よりも低い熱伝導性の材料からなる。このため、上述したように体内のシース70を用いて、ケーシング21の先端部21aを対象部位Tに導く際に、体内の対象部位T以外の部位の凍結を確実に避けることができる。
【0057】
以上の第1〜4実施形態は、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブの一実施形態を説明したものであり、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブは、上記の凍結治療装置及び凍結治療用プローブに限定されるものではない。本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブは、各請求項の要旨を変更しない範囲において、任意に上記の凍結治療装置及び凍結治療用プローブを変形したものとすることができる。
【0058】
例えば、第2内管24は、図10に示されるように、隔壁22から離れるほどケーシング21の内面21fから離間するように(すなわち、ケーシング21の中心に向かうように)傾斜させてもよい。この場合、第2内管24の他端24bがケーシング21の内面21fからある程度離間することとなるので、第2部分P2で冷却されて液化した冷媒が、第2内管24の他端24bから第2内管24内に導入されることが確実に防止される。
【0059】
また、第4実施形態において、外管25を有さない凍結治療用プローブ50に対して、シース70を適用したが、シース70の適用はこれに限定されない。例えば、外管25を有する第1実施形態の凍結治療用プローブ20に対してシース70を適用してもよい。その場合には、凍結治療用プローブ20の外形(ケーシング21及び外管25の外形)と略同一の外形を有するダミープローブ60を用意し、そのダミープローブ60にシース70を挿着しておけばよい。この場合には、ケーシング21の先端部21aを対象部位Tに導く際に、外管25とシース70とによって、対象部位T以外の部位の凍結をより確実に避けることができる。特に、シース70が、ケーシング21と外管25との接合部を覆うように構成されていれば、その接合部を介して冷熱が外部に漏れることが防止される。
【0060】
また、第1〜第4実施形態において、毛細管現象によって液相の冷媒を第1内管23に流通させるように、所定のウィックを第1内管23内に充填してもよい。この場合には、液相の冷媒を第1内管23内に好適に流通させられると共に、気相の冷媒が第1内管23内に導入されることを防止することができる。なお、所定のウィックとしては、例えば細径の針金等とすることができる。
【0061】
また、第2連通孔22bは、複数でなく、単一であってもよい。第2連通孔22bが複数である場合、互いに同一の内径のものとすることもできる。さらに、第2内管24は、ケーシング21における伝熱部材11との接触部分を越えて延在させることができる。
【0062】
さらには、冷熱源は、冷凍機10に限定されない。冷熱源としては、冷凍機10の代わりに、蓄冷された物体とすることができる。冷熱源として冷凍機10以外のものを用いる場合における凍結治療装置の変形例について、詳細に説明する。図11は、当該変形例に係る凍結治療装置の構成を示す側面図であり、図12は、当該変形例に係る凍結治療装置の構成を示す上面図である。図11及び図12に示されるように、当該変形例に係る凍結治療装置1Bは、上述した凍結治療用プローブ20に加えて、冷熱源としての蓄冷ブロック80を備えている。
【0063】
蓄冷ブロック80は、一対のブロック半体81を有する。ブロック半体81は、半円柱状を呈している。より具体的には、ブロック半体81は、所定の円柱をその端面に直交する平面でもって半分に切断して形成される半円柱の縁部を、その切断面に直交する一対の平面で切り欠いて形成される半円柱状を呈している。したがって、ブロック半体81の側面は、互いに対向する平面部82a,82bと、平面部82aと平面部82bとを接続する平面部83と、平面部82aと平面部82bとを接続する曲面部84とを有している。
【0064】
蓄冷ブロック80は、平面部83が互いに対向するように配置された一対のブロック半体81を、その平面部82aに設けられた蝶番85によって接続することにより、円柱状に構成されている。蓄冷ブロック80の略中心部には、ケーシング21の後端部21bに当接する当接部86が設けられている。当接部86は、ケーシング21の後端部21bの外形に沿って平面部83の略中心に設けられた凹部である。蓄冷ブロック80は(すなわちブロック半体81は)、例えばアルミニウム合金や銅によって構成することができる。このようにして構成される蓄冷ブロック80は、ケーシング21の後端部21bを当接部86に当接した状態において、平面部82bに設けられたクランプ機構87でブロック半体81同士を互いに締め付けることにより、ケーシング21の後端部21bに着脱可能に取り付けられている。
【0065】
蓄冷ブロック80は、そのようにケーシング21の後端部21bに取り付けられた状態において、断熱カバー90に収容されている。断熱カバー90は、一端が開放された円筒状を呈しており、その開放部は取付金具95に接続されている。取付金具95は、凍結治療用プローブ20の外管25に接続されている。したがって、取付金具95からケーシング21への熱の移動は抑制される。なお、各図面において、断熱カバー90は、その一部を切り欠いて示されている。
【0066】
このような凍結治療装置1Bにおいては、以下のようにして対象部位Tの凍結治療を行うことができる。すなわち、まず、例えばスターリング冷凍機によって冷却される冷凍庫において、蓄冷ブロック80を−100℃程度に冷却する。続いて、冷却された蓄冷ブロック80を、ケーシング21の後端部21bに取り付ける。これにより、蓄冷ブロック80の冷熱が、ケーシング21の先端部21aに移動する(換言すれば、ケーシング21の先端部21a近傍の熱が蓄冷ブロック80に移動する)。その後、蓄冷ブロック80の冷熱量が減少したときには、その冷熱量が減少した蓄冷ブロック80を、新たな蓄冷ブロック80と交換する。このように、蓄冷ブロック80を交換しながらケーシング21の先端部21aを冷却し続けることによって、ケーシング21の先端部21aが低温に維持され、先端部21aが配置された対象部位Tが凍結される。
【0067】
対象部位Tが凍結した後には、ケーシング21の後端部21bから蓄冷ブロック80を取り外すと共に、ケーシング21の後端部21bに蓄熱ブロックを取り付ける。蓄熱ブロックは、蓄冷ブロック80と同一のものであるが、加熱されている点で蓄冷ブロック80と異なる。ケーシング21の先端部21aに蓄熱ブロックを取り付けることにより、蓄熱ブロックの熱が、主にケーシング21の熱伝導によって、ケーシング21の後端部21bから先端部21aに移動する。これにより、先端部21aが配置された対象部位Tが解凍される。凍結治療装置1Bによれば、このように対象部位Tの凍結と解凍とを繰り返すことによって、対象部位Tの凍結治療を行うことができる。
【0068】
なお、当該変形例に係る凍結治療装置1Bにおいては、図13に示されるように、複数(ここでは2つ)の蓄冷ブロック80(又は蓄熱ブロック)をケーシング21の後端部21bに着脱可能に取り付けることができる。その場合には、蓄冷ブロック80(又は蓄熱ブロック)を一つずつ交換しながら、対象部位Tの冷却(又は加熱)をし続けることが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B…凍結治療装置、10…冷凍機(冷熱源)、20,30,40,50…凍結治療用プローブ、21…ケーシング、21a…先端部、21b…後端部、22,32…隔壁、22a…第1連通孔、22b…第2連通孔、23…第1内管、24…第2内管、25,45…外管、45d,45f…端部、60…ダミープローブ、60a…先端部、70…シース、80…蓄冷ブロック(冷熱源)、F1…第1流路、F2…第2流路、P1…第1部分、P2…第2部分、S1…空隙、T…対象部位。
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療用プローブ、及び凍結治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野の従来技術として、例えば、特許文献1に記載の生体組織凍結装置が知られている。この生体組織凍結装置は、生体凍結用治療針を備えている。この生体凍結用治療針は、管状のケーシングと、ケーシング内に配置されケーシングの先端部まで延在する内管とを有している。この生体凍結治療装置においては、液体窒素を内管へ導入しつつ、ケーシングの先端部で気化した窒素をケーシングから排気することによって、ケーシングの先端部を冷却し、対象部位の凍結治療を行う。
【0003】
また、上記技術分野の他の従来技術として、例えば、特許文献2に記載の閉ループ式ジュール・トムソン型の冷凍外科用プローブが知られている。この冷凍外科用プローブは、管状のケーシングと、ケーシング内に配置されケーシングの先端部まで延在する高圧導管と、高圧導管の末端に配置されたジュール・トムソン型膨張要素とを備えている。この冷凍外科用プローブは、高圧低温ガス混合物を高圧導管によってケーシングの先端部まで移送しつつ、ジュール・トムソン型膨張要素によって断熱膨張させることにより、ケーシングの先端部を冷却する。
【0004】
さらに、上記技術分野の他の従来技術として、例えば、特許文献3に記載の開放式ジュール・トムソン型の冷却プローブが知られている。この冷却プローブは、管状のケーシングと、ケーシング内に配置されケーシングの先端部まで延在する内管と、内管の末端に設けられたオリフィスとを備えている。この冷却プローブは、高圧のガスを内管によってケーシングの先端部まで移送しつつオリフィスを通過させて断熱膨張させることにより、ケーシングの先端部を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3149068号公報
【特許文献2】特許第4275341号公報
【特許文献3】特表第2002−513614号公報
【特許文献4】特許第3999755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の生体組織凍結装置においては、上述したように、液体窒素を用いて対象部位の凍結を行う。液体窒素は、長期間保管しておくことが困難である。したがって、この生体組織凍結装置によって対象部位の凍結を行うには、治療の直前に液体窒素を手配する必要がある。また、この生体組織凍結装置の生体凍結用治療針にあっては、対象部位の凍結を行うために、内管への液体窒素の導入と、ケーシングからの窒素の排気とを連続的に繰り返す必要がある。このため、大量の液体窒素が使用され廃棄されることとなる。また、余剰の液体窒素は、上述したように保管が困難であることから、廃棄せざるを得ない。その結果、この生体組織凍結装置、及び生体凍結治療針にあっては、低コストで凍結治療を行うことが困難となる。
【0007】
また、特許文献2に記載の冷凍外科用プローブや、特許文献3に記載の冷却プローブにおいては、ジュール・トムソン効果を利用するため、高圧ガスを生成するためのポンプが必要になる等、複雑且つ大掛かりな構成となってしまう。また、高圧ガスを用いることから、冷凍外科用プローブ、或いは冷却プローブを体内に挿入した状態において、それらのケーシングが破損した場合には、体内に大きな損傷を与えてしまう虞がある。
【0008】
これらの課題を解決するための技術として、例えば、特許文献4に記載の熱治療プローブが知られている。この熱治療プローブは、対象部位の凍結治療のためにヒートパイプを利用している。ヒートパイプは、一定量の冷媒を封入して用いるため、特許文献1に記載の技術のように冷媒を大量に廃棄する必要がない。また、ジュール・トムソン効果を利用したものに比べて、プローブ内を低圧に維持することができる。よって、この熱治療プローブによれば、低コストで安全に凍結治療を行うことが可能となる。
【0009】
ところで、凍結治療に用いるプローブにおいては、体内に挿入する必要があるため、その外径をより細く構成することが望まれている。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低コストで安全に凍結治療を行うことができると共に、外径をより細く構成した場合にも対象部位を確実に凍結治療できる凍結治療用プローブ及び凍結治療装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の凍結治療用プローブは、体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療用プローブであって、冷熱源に接続される後端部と対象部位に配置される先端部とを有し、冷媒が封入された管状のケーシングと、ケーシングの内部空間を先端部側の第1部分と後端部側の第2部分とに隔てると共に、第1部分と第2部分とを連通する第1及び第2連通孔が設けられた隔壁と、第1部分に配置され、第1連通孔から先端部に向けて延在する第1内管と、を備え、第1内管の内側には、第1連通孔から先端部に冷媒が流通する第1流路が形成されており、ケーシングと第1内管との間には、先端部から第2連通孔に冷媒が流通する第2流路が形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
この凍結治療用プローブにおいては、凍結治療に用いられる冷媒がケーシングに封入されている。つまり、この凍結治療用プローブによれば、一定量の冷媒を用いて凍結治療を行うことができる。したがって、冷媒を大量に廃棄する必要が生じないため、低コストで凍結治療を行うことが可能となる。また、この凍結治療用プローブにおいては、ケーシングの後端部に接続される冷熱源により第2部分で冷却され液化した冷媒が、第1内管の内側に形成された第1流路を流通してケーシングの先端部へ移送される。ケーシングの先端部に移送された液相の冷媒は、ケーシングの先端部等から熱を奪って気化する。これにより、ケーシングの先端部が冷却される。そして、気化した冷媒は、ケーシングと第1内管との間に形成された第2流路を流通して第2連通孔から第2部分へ戻る。この凍結治療用プローブによれば、このようにして冷却されたケーシングの先端部を対象部位に配置することにより、対象部位の凍結治療を行うことができる。よって、この凍結治療用プローブによれば、ジュール・トムソン効果を利用するプローブに比べて、ケーシング内部が低圧に保たれるので、安全に凍結治療を行うことができる。さらに、上述したように、この凍結治療プローブにおいては、液相の冷媒が流通する経路(第1流路)と、気相の冷媒が流通する経路(第2流路)とが分離されている。したがって、当該凍結治療用プローブの外径を細くしても、液相の冷媒や気相の冷媒の流通が妨げられないため、液相の冷媒をケーシングの先端部まで好適に移送し、ケーシングの先端部に冷熱を伝えることができる。よって、この凍結治療用プローブによれば、その外径をより細く構成した場合にも、対象部位を確実に凍結治療することが可能となる。
【0012】
本発明の凍結治療用プローブは、第2部分に配置され、第2連通孔から後端部に向けて延在する第2内管をさらに備えることができる。この構成によれば、第2内管が逆止部として機能する。すなわち、第2連通孔から第2内管が延在しているので、第2部分で液化された冷媒が、第2連通孔を介して第1部分に流れることが防止される。
【0013】
また、本発明の凍結治療用プローブにおいては、隔壁には、互いに内径の異なる複数の第2連通孔が設けられており、複数の第2連通孔のそれぞれには、複数の第2連通孔のそれぞれの内径に応じた外径の第2内管が接続されているものとすることができる。この構成によれば、第2連通孔の合計流通面積を大きくすることができるので、第1部分で気化した冷媒をより効果的に第2部分へ戻すことができる。
【0014】
また、本発明の凍結治療用プローブにおいては、第2内管は、隔壁から離れるほどケーシングの内面から離間するように傾斜しているものとすることができる。この構成によれば、第2部分において液化されてケーシングの内面を伝う冷媒が、第2内管に導入されることを防止することができる。
【0015】
また、本発明の凍結治療用プローブにおいては、隔壁の第2部分側の面は、ケーシングの内面から第1連通孔に向けて縮径する漏斗形状を呈しているものとすることができる。この構成によれば、第2部分において液化されてケーシングの内面を伝う冷媒を、効率良く第1連通孔に導くことができる。
【0016】
また、本発明の凍結治療用プローブは、先端部と後端部との間においてケーシングを覆うように設けられた断熱部をさらに備えることができる。この構成によれば、対象部位以外の部位の凍結を避けることができると共に、ケーシング外部からの熱流入を軽減することができる。
【0017】
さらに、本発明の凍結治療用プローブにおいては、断熱部は、先端部と後端部との間においてケーシングを覆うと共に両端がケーシングに気密に接合された外管と、ケーシングと外管とによって形成され真空引きされた空隙とを含むものとすることができる。この構成によれば、断熱部を真空断熱部として構成することにより、対象部位以外の部位の凍結を確実に避けることができると共に、ケーシング外部からの熱流入を効果的に軽減することができる。
【0018】
或いは、本発明の凍結治療用プローブにおいては、断熱部は、先端部と後端部との間においてケーシングを覆う外管を含み、外管は、先端部側の端部がケーシングに気密に接合されると共に、後端部側の端部が開放されているものとすることができる。この構成によれば、例えば、開放された外管の端部を、冷熱源を収容する部材に気密に接合すれば、ケーシングの先端部以外の部分や冷熱源をまとめて収容する密閉空間を形成することが可能となる。このため、その密閉空間を真空引きすることにより、冷媒を冷却して凝縮する部分全体を真空断熱することが可能となる。その結果、冷熱源からの冷熱を確実にケーシングの先端部に伝えることが可能となる。
【0019】
ここで、上記課題を解決するために、本発明の凍結治療装置は、体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療装置であって、上記の凍結治療用プローブと、ケーシングの後端部に接続された冷熱源と、を備えることを特徴とする。この凍結治療装置は、上記の凍結治療用プローブを備える。したがって、上述した理由から、低コストで安全に凍結治療を行うことができると共に、凍結治療用プローブの外径をより細く構成した場合にも対象部位を確実に凍結治療できる。
【0020】
本発明の凍結治療装置は、凍結治療用プローブの外形と略同一の外形を有するダミープローブと、ケーシングの先端部に対応するダミープローブの先端部が露出するようにダミープローブに挿抜可能に挿着された管状のシースと、をさらに備えることができる。この構成においては、対象部位の凍結治療を行う際に、まず、シースが挿着された状態のダミープローブを体内に挿入し、シースを体内に残した状態でそのダミープローブを抜去する。これにより、シースによって、対象部位に至る経路が体内に形成される。したがって、その体内のシースに凍結治療用プローブを挿入することで、ケーシングの先端部を対象部位へ容易且つ確実に導くことができる。
【0021】
また、本発明の凍結治療装置においては、シースは、ケーシングの先端部を構成する材料の熱伝導性よりも低い熱伝導性を有する材料からなるものとすることができる。この構成によれば、上述したように体内のシースを用いて、ケーシングの先端部を対象部位に導く際に、対象部位以外の部位の凍結を確実に避けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低コストで安全に凍結治療を行うことができると共に、外径をより細く構成した場合にも対象部位を確実に凍結治療できる凍結治療用プローブ及び凍結治療装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の凍結治療装置の第1実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示された凍結治療用プローブの断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿っての断面図である。
【図4】本発明の凍結治療用プローブの第2実施形態の断面図である。
【図5】本発明の凍結治療装置の第3実施形態の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の凍結治療用プローブの第4実施形態の断面図である。
【図7】本発明の凍結治療装置の第4実施形態のダミープローブの断面図である。
【図8】第4実施形態の凍結治療装置を用いる方法の主要な工程を示す図である。
【図9】第4実施形態の凍結治療装置を用いる方法の主要な工程を示す図である。
【図10】図2に示された凍結治療用プローブの変形例を示す部分断面図である。
【図11】変形例に係る凍結治療装置の構成を示す側面図である。
【図12】変形例に係る凍結治療装置の構成を示す上面図である。
【図13】他の変形例に係る凍結治療装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の凍結治療用プローブ及び凍結治療装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0025】
図1は、本発明の凍結治療装置の第1実施形態の構成を模式的に示す図である。図1に示されるように、凍結治療装置1は、冷凍機(冷熱源)10と凍結治療用プローブ20とを備えている。凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20は、体内の対象部位Tを凍結治療するためのものである。冷凍機10の吸熱部10aには、伝熱部材11が接続されており、凍結治療用プローブ20は、その伝熱部材11に取り付けられている。冷凍機10としては、例えば、フリーピストン型スターリング冷凍機を用いることができる。凍結治療用プローブ20は、例えばサーモサイフォン型の凍結治療用プローブである。また、凍結治療用プローブ20は、例えば、その先端部を下方に向けて用いることができる。
【0026】
図2は、図1に示された凍結治療用プローブ20の拡大断面図である。図2に示されるように、凍結治療用プローブ20はケーシング21を備えている。ケーシング21は、両端が閉じられた管状を呈している。ケーシング21には、冷媒が封入されている。冷媒としては、例えば、フロン系冷媒R23、二酸化炭素、エチレン、及びエタン等を用いることができる。
【0027】
ケーシング21は、先端部21aと、後端部21bと、先端部21aから後端部21bに向けて順に配置された中間部21c及び中間部21dとを有している。先端部21aは先鋭化されており、凍結治療の際に体内の対象部位Tに配置される。後端部21bは、冷凍機10の吸熱部10aに接続された伝熱部材11に接続されている。つまり、後端部21bは、伝熱部材11を介して冷熱源である冷凍機10に接続されている。中間部21cは、先端部21aから後端部21bに向かって略一定の外径及び内径となっている。中間部21dは、中間部21cから後端部21bに向かって徐々に外径及び内径が拡大するテーパ状の部分を含む。したがって、後端部21bの外径及び内径は、中間部21cのテーパ状の部分の内径及び外径よりも大きくなっている。先端部21a、中間部21c、及び中間部21dは、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。後端部21bは、先端部21a、中間部21c、及び中間部21dを構成する材料の熱伝導性よりも高い熱伝導性を有する材料であって、例えば銅を含む金属材料から構成することができる。中間部21cの外径及び内径は、例えば、2mm〜3mm及び1mm〜2mm程度である。また、後端部21bの外径及び内径は、例えば、5mm〜30mm及び4mm〜29mm程度である。
【0028】
凍結治療用プローブ20は、隔壁22をさらに備えている。隔壁22は、ケーシング21の内部空間を先端部21a側の第1部分P1と、後端部21b側の第2部分P2とに隔てている。換言すれば、ケーシング21の内部空間は、隔壁22によって、第1部分P1と第2部分P2とに分割されている。第1部分P1は、ケーシング21の先端部21aの内面、中間部21cの内面、中間部21dの内面及び隔壁22の先端部21a側の面で画定される空間である。第2部分P2は、ケーシング21の後端部21bの内面、及び隔壁22の後端部21b側の面で画定される空間である。第2部分P2の一部には、冷却されて液化した冷媒が貯留されている。
【0029】
隔壁22には、第1連通孔22a及び第2連通孔22bが設けられている。第1連通孔22a及び第2連通孔22bは、第1部分P1と第2部分P2とを連通している。図3に示されるように、第1連通孔22aは、隔壁22の略中央部に1つ設けられている。一方、第2連通孔22bは、隔壁22の周縁部に沿って複数(ここでは6つ)設けられている。複数の第2連通孔22bは、内径が相対的に小さいもの3つと、内径が相対的に大きいもの3つとを含む。第1連通孔22aの内径は、例えば0.3mm〜1.5mm程度である。第2連通孔22bの内径は、例えば0.5mm〜10mm程度である。このような隔壁22は、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。なお、第1連通孔22aの第2部分P2側の開口部は、第1部分P1から第2部分P2へ向かう方向に拡径するテーパ状に形成されている。
【0030】
凍結治療用プローブ20は、第1内管23をさらに備えている。第1内管23は、ケーシング21内に配置されている。より具体的には、第1内管23は、第1部分P1に配置されている。第1内管23は、両端が開放された管状を呈している。第1内管23とケーシング21とは、略同軸とされている。第1内管23の一端23aは、隔壁22の第1連通孔22aに接続されている。第1内管23の他端23bはケーシング21の内部において、ケーシング21の先端部21aの近傍に位置している。換言すれば、第1内管23は、隔壁22の第1連通孔22aからケーシング21の先端部21a近傍まで延在している。第1内管23とケーシング21とは、少なくともケーシング21の中間部21c及び中間部21dにおいて、二重管を構成している。
【0031】
このような第1内管23は、第2部分P2で冷却され液化した冷媒の流路を提供する。より具体的には、第1内管23の内側には、第1連通孔22aからケーシング21の先端部21aに液相の冷媒が流通する第1流路F1が形成されている。一方、第1内管23とケーシング21とは、先端部21aの内側で気化した冷媒の流路を提供する。より具体的には、第1内管23の外面23cとケーシング21の内面21fとは互いに離間しており、それらの間には、ケーシング21の先端部21aから第2連通孔22bに気相の冷媒が流通する第2流路F2が形成されている。このような第1内管23は、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。第1内管23の外径及び内径は、例えば、0.3mm〜1.5mm及び0.1mm〜1mm程度である。
【0032】
凍結治療用プローブ20は、複数(ここでは6つ)の第2内管24をさらに備えている。第2内管24は、ケーシング21内に配置されている。より具体的には、第2内管24は、第2部分P2に配置されている。第2内管24は、両端が開放された管状を呈している。第2内管24の一端24aは、第2連通孔22bに接続されている。第2内管24の外径は、第2連通孔22bの内径に対応している。換言すれば、第2連通孔22bのそれぞれには、第2連通孔22bのそれぞれの内径に応じた外径の第2内管24が接続されている。第2内管24の他端24bは、隔壁22から第2部分P2に突出している。つまり、第2内管24は、隔壁22からケーシング21の後端部21bへ向けて延在している。第2内管24の他端24bは、第2部分P2に貯留された冷媒の液面よりも突出している。このような第2内管24は、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。第2内管24の外径及び内径は、例えば、0.5mm〜10mm及び0.3mm〜8mm程度である。
【0033】
凍結治療用プローブ20は、外管25をさらに備えている。外管25は、少なくともケーシング21の先端部21aと後端部21bとの間においてケーシング21を覆おうように管状に形成されている。より具体的には、外管25は、ケーシング21の後端部21bのうちの伝熱部材11で覆われていない部分と中間部21cと中間部21dとにおいて、ケーシング21を覆うように管状に形成されている。したがって、ケーシング21の中間部21c及び中間部21dにおいては、ケーシング21と第1内管23と外管25とによって、三重管が構成されている。外管25の一端25a及び他端25bは、ケーシング21に気密に接合されている。外管25とケーシング21との接合は、例えば溶接や鑞付や接着等によって行うことができる。外管25の内面25cとケーシング21の外面21gとは、互いに離間している。外管25の内面25cとケーシング21の外面21gとの空隙S1は、真空引きされている。したがって、外管25と空隙S1とは、少なくともケーシング21の先端部21aと後端部21bとの間において、すなわち、後端部21bのうちの伝熱部材11で覆われていない部分とケーシング21の中間部21cと中間部21dとにおいて、ケーシング21を覆うように設けられた真空断熱部として機能する。外管25は、例えばステンレスやチタン合金を含む金属材料から構成することができる。外管25の外径及び内径は、例えば、3mm〜7mm及び2.5mm〜5mm程度である。なお、図1に示されるように、凍結治療装置1はヒータ17及び電源16をさらに備えている。ヒータ17は、伝熱部材11に接続されている。ヒータ17は、電源16からの電力によって発熱するように構成されている。
【0034】
引き続いて、凍結治療装置1の動作について説明する。凍結治療装置1においては、まず冷凍機10によって凍結治療用プローブ20のケーシング21の後端部21bが冷却される。これにより、ケーシング21の内部空間の第2部分P2において、冷媒が冷却されて液化する。液化した冷媒は、ケーシング21の内面を伝いつつ第2部分P2に貯留されると共に、第1連通孔22aを介して第1内管23の一端23aから第1内管23内に導入される。第1内管23内に導入された液相の冷媒は、第1内管23内の第1流路F1を流通して第1内管23の他端23bへ至る。第1内管23の他端23bに至った液相の冷媒は、第1内管23の他端23bから導出される。これにより、液相の冷媒が第2部分P2から第1部分P1に移送される。第1内管23の他端23bから導出された液相の冷媒は、ケーシング21の先端部21a及びその周辺を通して、周囲の物体から熱を奪って気化する。このとき、冷媒の気化潜熱等によって、ケーシング21の先端部21a及びその周辺、ひいては体内の対象部位Tが冷却される。
【0035】
気化した冷媒は、第1内管23とケーシング21との間に形成された第2流路F2を流通して、隔壁22の第2連通孔22bまで移送される。第2連通孔22bに至った気相の冷媒は、第2内管24の一端24aから第2内管24内に導入される。第2内管24内に導入された気相の冷媒は、第2内管24を流通して第2内管24の他端24bに至る。第2内管24の他端24bに至った気相の冷媒は、第2内管24の他端24bから導出される。これにより、気相の冷媒が第1部分P1から第2部分P2に移送される。この凍結治療装置1においては、このように、第1内管23の内側の第1流路F1、及び第1内管23とケーシング21との間の第2流路F2によって冷媒を循環させることにより、ケーシング21の先端部21aを冷却する。そして、例えばケーシング21の先端部21aの温度が対象部位Tの凍結に十分な温度に至った後に、ケーシング21の先端部21aを体内に挿入し対象部位Tに接触させる。これにより、対象部位Tが凍結される。そして、対象部位Tが凍結した後、ヒータ17を発熱させ、その熱を主としてケーシング21の熱伝導によって対象部位Tに供給する。このように対象部位Tに熱が供給されることにより、対象部位Tが解凍される。これらの操作を数回繰り返して、対象部位Tを繰り返し凍結させたり解凍させたりすることにより、対象部位Tの凍結治療を行うことができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20においては、凍結治療に用いられる冷媒がケーシング21に封入されている。つまり、この凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20によれば、一定量の冷媒を用いて凍結治療を行うことができる。したがって、冷媒を大量に廃棄する必要がないため、低コストで凍結治療を行うことが可能となる。また、本実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20にあっては、ジュール・トムソン効果を利用するものに比べて、ケーシング21内部が低圧に保たれるので、安全に凍結治療を行うことができる。さらに、本実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20においては、液相の冷媒が流通する経路(第1流路F1)と、気相の冷媒が流通する経路(第2流路F2)とが分離されている。したがって、凍結治療用プローブ20の外径を細くしても、液相の冷媒や気相の冷媒の流通が妨げられないため、液相の冷媒をケーシング21の先端部21a近傍まで好適に移送し、先端部21aに冷熱を伝えることができる。よって、本実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20によれば、凍結治療用プローブ20の外径をより細く構成した場合にも、対象部位Tを確実に凍結治療することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態の凍結治療用プローブ20においては、気相の冷媒の戻り孔である第2連通孔22bに対して、第2内管24が接続されている。この構成によれば、第2連通孔22bに接続された第2内管24が逆止部として機能する。すなわち、第2連通孔22bに第2内管24が接続されており、第2内管24の他端24bを液相冷媒の液面よりも高くすることができるので、第2部分P2で液化された冷媒が、第2連通孔22bを介して第1部分P1に流れることが防止される。特に、本実施形態の凍結治療用プローブ20においては、隔壁22には、互いに内径の異なる(2種の内径を有する)6つの第2連通孔22bが設けられており、それらの第2連通孔22bのそれぞれには、それらの第2連通孔22bのそれぞれの内径に応じた外径の第2内管24が接続されている。このため、第2連通孔22b及び第2内管24の配置のスペース効率を向上可能であると共に、気相の冷媒をより効果的に第2部分P2に戻すことができる。
【0038】
さらに、本実施形態の凍結治療用プローブ20においては、ケーシング21の先端部21aと後端部21bとの間において、ケーシング21を覆うように真空断熱部(外管25及び空隙S1)が設けられている。このため、対象部位T以外の部位の凍結を避けることができると共に、ケーシング21の外部からの熱流入を軽減することができる。
[第2実施形態]
【0039】
引き続いて、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブの第2実施形態について説明する。図4に示されるように、第2実施形態の凍結治療装置(不図示)は、第1実施形態の凍結治療装置1に対して、凍結治療用プローブ20に代えて凍結治療用プローブ30を備える点で相違している。第2実施形態の凍結治療装置のその他の構成は、第1実施形態の凍結治療装置1と同様である。
【0040】
凍結治療用プローブ30は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20に対して、隔壁22に代えて隔壁32を有する点で相違している。凍結治療用プローブ30のその他の構成は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20と同様である。隔壁32は、隔壁22と同様に、ケーシング21の内部空間を第1部分P1と第2部分P2とに隔てている。また、隔壁32には、隔壁22と同様に、第1連通孔22a及び第2連通孔22bが設けられている。そして、第1連通孔22aには、第1内管23が接続されており、第2連通孔22bには、第2内管24が接続されている。
【0041】
ここで、隔壁32は、第1面32aと第2面32bとを有している。第1面32aは、第1部分P1側の面である。第1面32aは、略平坦となっている。第2面32bは、第1面32aの反対側の面であり、第2部分P2側の面である。第2面32bは、ケーシング21の内面21fから第1連通孔22aに向けて(すなわち、隔壁32の外周から中心に向けて)徐々に縮径するような漏斗形状を有している。換言すれば、隔壁32は、第2部分P2側に開放されたすり鉢形状を呈している。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の凍結治療装置及び凍結治療用プローブ30においても、第1実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の凍結治療用プローブ30によれば、ケーシング21の後端部21b(すなわち第2部分P2)において冷却されて液化しケーシング21の内面21fを伝う冷媒を、すり鉢形状の隔壁32によって集約することにより、効率良く第1連通孔22aに導くことができる。
[第3実施形態]
【0043】
引き続いて、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブの第3実施形態について説明する。図5に示されるように、第3実施形態の凍結治療装置1Aは、第1実施形態の凍結治療装置1に対して、吸熱部収容筒15をさらに備える点、及び、凍結治療用プローブ20に代えて凍結治療用プローブ40を備える点で相違している。凍結治療装置1Aのその他の構成は、第1実施形態の凍結治療装置1と同様である。
【0044】
吸熱部収容筒15は、一端15aが開放された筒状を呈している。吸熱部収容筒15は、冷凍機10の吸熱部10a及び伝熱部材11を収容している。吸熱部収容筒15の一端15aには、吸熱部収容筒15の全周に渡ってフランジ部15bが突設されている。なお、冷凍機10の外周と吸熱部収容筒15とは気密に接合されている。
【0045】
凍結治療用プローブ40は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20に対して、外管25に代えて外管45を有する点で相違している。凍結治療用プローブ40のその他の構成は、凍結治療用プローブ20と同様である。外管45は、少なくともケーシング21の先端部21aと後端部21bとの間において(より具体的には、ケーシング21の後端部21bのうちの伝熱部材11で覆われていない部分と中間部21cと中間部21dとにおいて)ケーシング21を覆うと共に、先端部21a側の端部45dがケーシング21に気密に接合され、後端部21b側の端部45fが開放されている。また、外管45の端部45fは、吸熱部収容筒15に気密に且つ着脱可能に接合されている。外管45についてより具体的に説明する。
【0046】
外管45は、ケーシング21の中間部21cを覆うと共に中間部21cに沿って略一定の内径及び外径を有する定径部45aと、ケーシング21の中間部21d及び後端部21bの一部を覆うと共に、定径部45aから離れるにつれて拡径するテーパ状のテーパ部45bと、テーパ部45bの端部(外管45の端部45f)からテーパ部45bの全周に渡って突設されたフランジ部45cとからなる。テーパ部45bの最大径は、吸熱部収容筒15の径と略同一となっている。
【0047】
外管45は、フランジ部45cにおいて吸熱部収容筒15のフランジ部15bに気密に且つ着脱可能に接合されている。換言すれば、外管45の端部45fには、冷凍機10の吸熱部10a及び伝熱部材11を収容する吸熱部収容筒15に外管45を気密に且つ着脱可能に接合するためのフランジ部45cが設けられている。したがって、凍結治療装置1Aにおいては、外管45と吸熱部収容筒15とによって、密閉空間S2が形成されている。この密閉空間S2には、凍結治療用プローブ40の先端部(ケーシング21の先端部21a)以外の部分と、冷凍機10の吸熱部10a及び伝熱部材11とが収容されている。そして、この密閉空間S2は、真空引きされている。外管45とケーシング21との接合は、例えば溶接や鑞付や接着等によって行うことができる。また、外管45と吸熱部収容筒15との接合は、例えば、フランジ部45cとフランジ部15bとの間に図示しないガスケットを挟持させて、ボルト等で締め付けること等によって行うことができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の凍結治療装置1A及び凍結治療用プローブ40においても、第1実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20と同様の効果を奏することができる。特に、凍結治療装置1Aにおいては、外管45と吸熱部収容筒15とによって、真空引きされた密閉空間S2が形成されている。そして、その密閉空間S2には、凍結治療用プローブ40の先端部以外の部分と冷凍機10の吸熱部10a及び伝熱部材11とが収容されている。このため、この凍結治療装置1A及び凍結治療用プローブ40によれば、冷媒を冷却して凝縮する部分全体が真空断熱されることとなる。よって、冷凍機10が発生させた冷熱を確実にケーシング21の先端部21aに伝えることができる。
[第4実施形態]
【0049】
引き続いて、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブの第4実施形態について説明する。図6及び図7に示されるように、第4実施形態の凍結治療装置(不図示)は、第1実施形態の凍結治療装置1に対して、凍結治療用プローブ20に代えて凍結治療用プローブ50を備える点、ダミープローブ60をさらに備える点、及びシース70をさらに備える点で相違している。第4実施形態の凍結治療装置のその他の構成は、第1実施形態の凍結治療装置1と同様である。
【0050】
凍結治療用プローブ50は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20に対して、外管25を備えない点で相違している。その他の構成は、第1実施形態の凍結治療用プローブ20と同様である。
【0051】
ダミープローブ60は、凍結治療用プローブ50のダミーとして用いるプローブであって、凍結治療用プローブ50の外形と略同一の外形を有している。つまり、ダミープローブ60の外形は、凍結治療用プローブ50のケーシング21の外形と略同一である。したがって、ダミープローブ60は、ケーシング21の先端部21a、後端部21b、中間部21c及び中間部21dのそれぞれに対応する先端部60a、後端部60b、中間部60c及び中間部60dを有している。ダミープローブ60の中間部60cは、先端部60aから後端部60bに向かって略一定の外径となっている。中間部60cの外径は、ケーシング21の中間部21cの外径と略同一である。また、中間部60cの長さは、ケーシング21の中間部21cの長さよりも短い。ダミープローブ60の中間部60dは、中間部60cから後端部60bに向かって徐々に外径が拡大するテーパ状を呈している。中間部60dの外径の拡大の割合は、ケーシング21の中間部21dにおけるテーパ状の部分の外径の拡大の割合と略同一である。なお、ダミープローブ60は、図7に示されるように中実構造であってもよいし、ケーシング21のように中空構造であってもよい。
【0052】
シース70は、両端が開放された管状を呈している。シース70は、内径及び外径が略一定の定径部70aと、定径部70aに接続され定径部70aから離れるにつれて内径及び外径が拡大するテーパ部70bとからなる。定径部70aの内径は、ケーシング21の中間部21c及びダミープローブ60の中間部60cの外径と略同一となっている。また、テーパ部70bの内径及び外径の拡大の割合は、ケーシング21の中間部21d及びダミープローブ60の中間部60dの外径の拡大の割合と略同一となっている。このように構成されるシース70は、ダミープローブ60に対して挿抜可能にダミープローブ60に挿着されている。シース70は、ダミープローブ60に挿着された状態において、ダミープローブ60の先端部60aを露出すると共に、中間部60c及び中間部60dを覆っている。シース70は、ケーシング21の先端部21aを構成する材料(例えばステンレスやチタン合金)の熱伝導性よりも低い熱伝導性を有する材料(例えばフッ素樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、及びポリオレフィン(PE,PP等))から構成されている。
【0053】
引き続いて、第4実施形態の凍結治療装置を用いる方法について説明する。図8及び図9は、第4実施形態の凍結治療装置を用いる方法の主要な工程を示す図である。図8(a)に示されるように、シース70が挿着されたダミープローブ60を用意する。続いて、図8(b)に示されるように、シース70が挿着されたダミープローブ60を、その先端部60aが対象部位Tに到達する直前まで体内に挿入する。すなわち、シース70も、その先端が対象部位Tに到達する手前に位置する。そして、図8(c)に示されるように、シース70を体内に残存させたまま、ダミープローブ60のみを体内から抜去する。これにより、シース70によって、対象部位Tの直前に至る経路が体内に形成される。
【0054】
続いて、図9(a)に示されるように、凍結治療が可能な程度に予め冷却された凍結治療用プローブ50を用意する。なお、冷熱源の種類によっては、凍結治療用プローブ50を予冷しなくてもよい場合があり得る。続いて、図9(b)に示されるように、ケーシング21の先端部21aが対象部位Tに到達するように、凍結治療用プローブ50をシース70に挿入する。これにより、凍結治療用プローブ50の先端部(ケーシング21の先端部21a)を、対象部位T及びその直前部位以外の部位に接触させることなく、対象部位Tに接触させることができる。そして、所定時間その状態を維持することにより、対象部位Tの凍結を行う。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の凍結治療装置及び凍結治療用プローブ50においても、第1実施形態の凍結治療装置1及び凍結治療用プローブ20と同様の効果を奏することができる。特に、本実施形態の凍結治療装置は、凍結治療用プローブ50の外形と略同一の外形を有するダミープローブ60と、そのダミープローブ60に対して挿抜可能に挿着されたシース70と、を備えている。このため、対象部位Tの凍結を行う際に、まず、シース70が挿着された状態のダミープローブ60を体内に挿入し、シース70を体内に残した状態でそのダミープローブ60を抜去すれば、シース70によって、対象部位Tの直前に至る経路が体内に形成される。したがって、その体内のシース70に凍結治療用プローブ50を挿入することで、ケーシング21の先端部21aを対象部位Tへ容易且つ確実に導くことができる。
【0056】
さらに、本実施形態の凍結治療装置においては、シース70は、ケーシング21の先端部21aを構成する材料の熱伝導性よりも低い熱伝導性の材料からなる。このため、上述したように体内のシース70を用いて、ケーシング21の先端部21aを対象部位Tに導く際に、体内の対象部位T以外の部位の凍結を確実に避けることができる。
【0057】
以上の第1〜4実施形態は、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブの一実施形態を説明したものであり、本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブは、上記の凍結治療装置及び凍結治療用プローブに限定されるものではない。本発明の凍結治療装置及び凍結治療用プローブは、各請求項の要旨を変更しない範囲において、任意に上記の凍結治療装置及び凍結治療用プローブを変形したものとすることができる。
【0058】
例えば、第2内管24は、図10に示されるように、隔壁22から離れるほどケーシング21の内面21fから離間するように(すなわち、ケーシング21の中心に向かうように)傾斜させてもよい。この場合、第2内管24の他端24bがケーシング21の内面21fからある程度離間することとなるので、第2部分P2で冷却されて液化した冷媒が、第2内管24の他端24bから第2内管24内に導入されることが確実に防止される。
【0059】
また、第4実施形態において、外管25を有さない凍結治療用プローブ50に対して、シース70を適用したが、シース70の適用はこれに限定されない。例えば、外管25を有する第1実施形態の凍結治療用プローブ20に対してシース70を適用してもよい。その場合には、凍結治療用プローブ20の外形(ケーシング21及び外管25の外形)と略同一の外形を有するダミープローブ60を用意し、そのダミープローブ60にシース70を挿着しておけばよい。この場合には、ケーシング21の先端部21aを対象部位Tに導く際に、外管25とシース70とによって、対象部位T以外の部位の凍結をより確実に避けることができる。特に、シース70が、ケーシング21と外管25との接合部を覆うように構成されていれば、その接合部を介して冷熱が外部に漏れることが防止される。
【0060】
また、第1〜第4実施形態において、毛細管現象によって液相の冷媒を第1内管23に流通させるように、所定のウィックを第1内管23内に充填してもよい。この場合には、液相の冷媒を第1内管23内に好適に流通させられると共に、気相の冷媒が第1内管23内に導入されることを防止することができる。なお、所定のウィックとしては、例えば細径の針金等とすることができる。
【0061】
また、第2連通孔22bは、複数でなく、単一であってもよい。第2連通孔22bが複数である場合、互いに同一の内径のものとすることもできる。さらに、第2内管24は、ケーシング21における伝熱部材11との接触部分を越えて延在させることができる。
【0062】
さらには、冷熱源は、冷凍機10に限定されない。冷熱源としては、冷凍機10の代わりに、蓄冷された物体とすることができる。冷熱源として冷凍機10以外のものを用いる場合における凍結治療装置の変形例について、詳細に説明する。図11は、当該変形例に係る凍結治療装置の構成を示す側面図であり、図12は、当該変形例に係る凍結治療装置の構成を示す上面図である。図11及び図12に示されるように、当該変形例に係る凍結治療装置1Bは、上述した凍結治療用プローブ20に加えて、冷熱源としての蓄冷ブロック80を備えている。
【0063】
蓄冷ブロック80は、一対のブロック半体81を有する。ブロック半体81は、半円柱状を呈している。より具体的には、ブロック半体81は、所定の円柱をその端面に直交する平面でもって半分に切断して形成される半円柱の縁部を、その切断面に直交する一対の平面で切り欠いて形成される半円柱状を呈している。したがって、ブロック半体81の側面は、互いに対向する平面部82a,82bと、平面部82aと平面部82bとを接続する平面部83と、平面部82aと平面部82bとを接続する曲面部84とを有している。
【0064】
蓄冷ブロック80は、平面部83が互いに対向するように配置された一対のブロック半体81を、その平面部82aに設けられた蝶番85によって接続することにより、円柱状に構成されている。蓄冷ブロック80の略中心部には、ケーシング21の後端部21bに当接する当接部86が設けられている。当接部86は、ケーシング21の後端部21bの外形に沿って平面部83の略中心に設けられた凹部である。蓄冷ブロック80は(すなわちブロック半体81は)、例えばアルミニウム合金や銅によって構成することができる。このようにして構成される蓄冷ブロック80は、ケーシング21の後端部21bを当接部86に当接した状態において、平面部82bに設けられたクランプ機構87でブロック半体81同士を互いに締め付けることにより、ケーシング21の後端部21bに着脱可能に取り付けられている。
【0065】
蓄冷ブロック80は、そのようにケーシング21の後端部21bに取り付けられた状態において、断熱カバー90に収容されている。断熱カバー90は、一端が開放された円筒状を呈しており、その開放部は取付金具95に接続されている。取付金具95は、凍結治療用プローブ20の外管25に接続されている。したがって、取付金具95からケーシング21への熱の移動は抑制される。なお、各図面において、断熱カバー90は、その一部を切り欠いて示されている。
【0066】
このような凍結治療装置1Bにおいては、以下のようにして対象部位Tの凍結治療を行うことができる。すなわち、まず、例えばスターリング冷凍機によって冷却される冷凍庫において、蓄冷ブロック80を−100℃程度に冷却する。続いて、冷却された蓄冷ブロック80を、ケーシング21の後端部21bに取り付ける。これにより、蓄冷ブロック80の冷熱が、ケーシング21の先端部21aに移動する(換言すれば、ケーシング21の先端部21a近傍の熱が蓄冷ブロック80に移動する)。その後、蓄冷ブロック80の冷熱量が減少したときには、その冷熱量が減少した蓄冷ブロック80を、新たな蓄冷ブロック80と交換する。このように、蓄冷ブロック80を交換しながらケーシング21の先端部21aを冷却し続けることによって、ケーシング21の先端部21aが低温に維持され、先端部21aが配置された対象部位Tが凍結される。
【0067】
対象部位Tが凍結した後には、ケーシング21の後端部21bから蓄冷ブロック80を取り外すと共に、ケーシング21の後端部21bに蓄熱ブロックを取り付ける。蓄熱ブロックは、蓄冷ブロック80と同一のものであるが、加熱されている点で蓄冷ブロック80と異なる。ケーシング21の先端部21aに蓄熱ブロックを取り付けることにより、蓄熱ブロックの熱が、主にケーシング21の熱伝導によって、ケーシング21の後端部21bから先端部21aに移動する。これにより、先端部21aが配置された対象部位Tが解凍される。凍結治療装置1Bによれば、このように対象部位Tの凍結と解凍とを繰り返すことによって、対象部位Tの凍結治療を行うことができる。
【0068】
なお、当該変形例に係る凍結治療装置1Bにおいては、図13に示されるように、複数(ここでは2つ)の蓄冷ブロック80(又は蓄熱ブロック)をケーシング21の後端部21bに着脱可能に取り付けることができる。その場合には、蓄冷ブロック80(又は蓄熱ブロック)を一つずつ交換しながら、対象部位Tの冷却(又は加熱)をし続けることが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B…凍結治療装置、10…冷凍機(冷熱源)、20,30,40,50…凍結治療用プローブ、21…ケーシング、21a…先端部、21b…後端部、22,32…隔壁、22a…第1連通孔、22b…第2連通孔、23…第1内管、24…第2内管、25,45…外管、45d,45f…端部、60…ダミープローブ、60a…先端部、70…シース、80…蓄冷ブロック(冷熱源)、F1…第1流路、F2…第2流路、P1…第1部分、P2…第2部分、S1…空隙、T…対象部位。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療用プローブであって、
冷熱源に接続される後端部と前記対象部位に配置される先端部とを有し、冷媒が封入された管状のケーシングと、
前記ケーシングの内部空間を前記先端部側の第1部分と前記後端部側の第2部分とに隔てると共に、前記第1部分と前記第2部分とを連通する第1及び第2連通孔が設けられた隔壁と、
前記第1部分に配置され、前記第1連通孔から前記先端部に向けて延在する第1内管と、を備え、
前記第1内管の内側には、前記第1連通孔から前記先端部に前記冷媒が流通する第1流路が形成されており、
前記ケーシングと前記第1内管との間には、前記先端部から前記第2連通孔に前記冷媒が流通する第2流路が形成されている、
ことを特徴とする凍結治療用プローブ。
【請求項2】
前記第2部分に配置され、前記第2連通孔から前記後端部に向けて延在する第2内管をさらに備える、ことを特徴とする請求項1記載の凍結治療用プローブ。
【請求項3】
前記隔壁には、互いに内径の異なる複数の前記第2連通孔が設けられており、
前記複数の第2連通孔のそれぞれには、前記複数の第2連通孔のそれぞれの内径に応じた外径の前記第2内管が接続されている、ことを特徴とする請求項2記載の凍結治療用プローブ。
【請求項4】
前記第2内管は、前記隔壁から離れるほど前記ケーシングの内面から離間するように傾斜している、ことを特徴とする請求項2又は3記載の凍結治療用プローブ。
【請求項5】
前記隔壁の前記第2部分側の面は、前記ケーシングの内面から前記第1連通孔に向けて縮径する漏斗形状を呈している、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の凍結治療用プローブ。
【請求項6】
前記先端部と前記後端部との間において前記ケーシングを覆うように設けられた断熱部をさらに備える、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の凍結治療用プローブ。
【請求項7】
前記断熱部は、前記先端部と前記後端部との間において前記ケーシングを覆うと共に両端が前記ケーシングに気密に接合された外管と、前記ケーシングと前記外管とによって形成され真空引きされた空隙とを含む、ことを特徴とする請求項6記載の凍結治療用プローブ。
【請求項8】
前記断熱部は、前記先端部と前記後端部との間において前記ケーシングを覆う外管を含み、
前記外管は、前記先端部側の端部が前記ケーシングに気密に接合されると共に、前記後端部側の端部が開放されている、ことを特徴とする請求項6記載の凍結治療用プローブ。
【請求項9】
体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療装置であって、
請求項1〜8のいずれか一項記載の凍結治療用プローブと、
前記ケーシングの前記後端部に接続された冷熱源と、
を備えることを特徴とする凍結治療装置。
【請求項10】
前記凍結治療用プローブの外形と略同一の外形を有するダミープローブと、
前記ケーシングの前記先端部に対応する前記ダミープローブの先端部が露出するように前記ダミープローブに挿抜可能に挿着された管状のシースと、をさらに備えることを特徴とする請求項9記載の凍結治療装置。
【請求項11】
前記シースは、前記ケーシングの前記先端部を構成する材料の熱伝導性よりも低い熱伝導性を有する材料からなる、ことを特徴とする請求項10に記載の凍結治療装置。
【請求項1】
体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療用プローブであって、
冷熱源に接続される後端部と前記対象部位に配置される先端部とを有し、冷媒が封入された管状のケーシングと、
前記ケーシングの内部空間を前記先端部側の第1部分と前記後端部側の第2部分とに隔てると共に、前記第1部分と前記第2部分とを連通する第1及び第2連通孔が設けられた隔壁と、
前記第1部分に配置され、前記第1連通孔から前記先端部に向けて延在する第1内管と、を備え、
前記第1内管の内側には、前記第1連通孔から前記先端部に前記冷媒が流通する第1流路が形成されており、
前記ケーシングと前記第1内管との間には、前記先端部から前記第2連通孔に前記冷媒が流通する第2流路が形成されている、
ことを特徴とする凍結治療用プローブ。
【請求項2】
前記第2部分に配置され、前記第2連通孔から前記後端部に向けて延在する第2内管をさらに備える、ことを特徴とする請求項1記載の凍結治療用プローブ。
【請求項3】
前記隔壁には、互いに内径の異なる複数の前記第2連通孔が設けられており、
前記複数の第2連通孔のそれぞれには、前記複数の第2連通孔のそれぞれの内径に応じた外径の前記第2内管が接続されている、ことを特徴とする請求項2記載の凍結治療用プローブ。
【請求項4】
前記第2内管は、前記隔壁から離れるほど前記ケーシングの内面から離間するように傾斜している、ことを特徴とする請求項2又は3記載の凍結治療用プローブ。
【請求項5】
前記隔壁の前記第2部分側の面は、前記ケーシングの内面から前記第1連通孔に向けて縮径する漏斗形状を呈している、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の凍結治療用プローブ。
【請求項6】
前記先端部と前記後端部との間において前記ケーシングを覆うように設けられた断熱部をさらに備える、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の凍結治療用プローブ。
【請求項7】
前記断熱部は、前記先端部と前記後端部との間において前記ケーシングを覆うと共に両端が前記ケーシングに気密に接合された外管と、前記ケーシングと前記外管とによって形成され真空引きされた空隙とを含む、ことを特徴とする請求項6記載の凍結治療用プローブ。
【請求項8】
前記断熱部は、前記先端部と前記後端部との間において前記ケーシングを覆う外管を含み、
前記外管は、前記先端部側の端部が前記ケーシングに気密に接合されると共に、前記後端部側の端部が開放されている、ことを特徴とする請求項6記載の凍結治療用プローブ。
【請求項9】
体内における対象部位を凍結治療するための凍結治療装置であって、
請求項1〜8のいずれか一項記載の凍結治療用プローブと、
前記ケーシングの前記後端部に接続された冷熱源と、
を備えることを特徴とする凍結治療装置。
【請求項10】
前記凍結治療用プローブの外形と略同一の外形を有するダミープローブと、
前記ケーシングの前記先端部に対応する前記ダミープローブの先端部が露出するように前記ダミープローブに挿抜可能に挿着された管状のシースと、をさらに備えることを特徴とする請求項9記載の凍結治療装置。
【請求項11】
前記シースは、前記ケーシングの前記先端部を構成する材料の熱伝導性よりも低い熱伝導性を有する材料からなる、ことを特徴とする請求項10に記載の凍結治療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−34495(P2013−34495A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170203(P2011−170203)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]