説明

凍結装置

【課題】 連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置であって、搬送ベルトの伸縮によってもスプロケットの歯が乗り上げず、当該スプロケットが空転することのない凍結装置を提供する。
【解決手段】 連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、金網型搬送ベルトにて搬送され、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置において、金網型搬送ベルトを稼働させる駆動軸の両端部及び中央部に、前記駆動軸の長さ方向に対して可動可能とする少なくとも3つ以上のスプロケットを設置したことを特徴とする凍結装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置であって、搬送ベルトの伸縮によってもスプロケットの歯が乗り上げず、当該スプロケットが空転することのない凍結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置において、一例として、搬送ベルトはステンレス製の金網型が使用されている。当該凍結装置では、凍結物が凍結される時の庫内温度は−40℃程度になり、一方、使用後であって、庫内を蒸気滅菌する際には、庫内温度は90℃程度にもなる。よって、当該凍結装置内を稼働する搬送ベルトには130度もの温度差が生じることになる。この温度差が生じることにより、搬送ベルトは長さ方向及び幅方向に対して伸縮し、駆動軸に設置され搬送ベルトを稼働させるスプロケットは、搬送ベルトにおける長さ方向及び幅方向の伸縮を吸収できずに、搬送ベルトはスプロケットの歯を乗り上げてしまい、スプロケットは空転することになる。当該空転が生じることは、搬送ベルトの稼働効率に大きく影響し、且つ、生産効率にもつながる。
【0003】
このような長さ方向及び幅方向の伸縮に対して、当該凍結装置に関わらず、一般に、平行な2本のチェーンを同期して走行駆動するチェーンコンベアにおいては、次のようにして解決策を採っている。
駆動軸に取り付けた左右一対の駆動スプロケットと従動軸に取り付けた左右一対の従動スプロケットとの間に左右一対の無端状のチェーンを平行に掛け渡すようにしたチェーンコンベアにおいて、前記従動軸側の一対の従動スプロケットのうち、少なくとも一方側の従動スプロケットを従動軸に対して回転自在に取り付けたことを特徴とするチェーンコンベアが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
これによって、例えばチェーンに伸びが生じて左右のチェーン長さが異なるようになった場合でも、従動スプロケットによって回転位相差を吸収することが出来、例えば山飛びとか、チェーン切れ等の不具合を防止することが出来る。また、スプロケット等に対して無理な負荷が加わらず、コンベア装置の耐久性を向上させることが出来るものである。
【特許文献1】特開平8−290815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような構成において、当該チェーンが長さ方向に対して伸縮が生じた場合には、従動スプロケットにて回転位相差を吸収することができる。
しかし、当該構成を金網型搬送ベルトに採用しても、金網型搬送ベルトにおける幅方向に伸縮が生じた際には、スプロケットは幅方向の伸縮には対応できず、金網型搬送ベルトからスプロケットの歯が外れてしまい、空転が生じることになる。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するものであって、連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置であって、搬送ベルトの伸縮によってもスプロケットの歯が乗り上げず、当該スプロケットが空転することのない凍結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明の凍結装置は、連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、金網型搬送ベルトにて搬送され、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置において、金網型搬送ベルトを稼働させる駆動軸の両端部及び中央部に、前記駆動軸の長さ方向に対して可動可能とする少なくとも3つ以上のスプロケットを設置したことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の発明の凍結装置は、請求項1に記載の凍結装置において、前記スプロケットは前記駆動軸に設置された平行キーを介して取り付けられるとともに、前記平行キーの両端部に当接部材を有して前記駆動軸の長さ方向における前記スプロケットの可動量を規制したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の発明の凍結装置は、請求項1及び請求項2に記載の凍結装置において、前記駆動軸における長さ方向の中央部に設置される少なくとも1つ以上の前記スプロケットの可動量を、前記駆動軸に設置された他の前記スプロケットの可動量よりも少なくしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の凍結装置に係る請求項1に記載の発明によれば、前記スプロケットが前記駆動軸における長さ方向に可動可能である為、前記搬送ベルトにおける幅方向の伸縮にも対応することができ、前記搬送ベルトが前記スプロケットの歯を乗り上げてしまうことはない。よって、前記スプロケットの空転を防止することができる。
また、空転を防止することができるので、前記搬送ベルトの稼働効率を下げることもなく、且つ、生産効率も下げることもない。
【0011】
本願発明の凍結装置に係る請求項2及び請求項3に記載の発明によれば、前記平行キーの両端部に当接部材を有し、前記駆動軸の長さ方向における前記スプロケットの可動量を規制し、前記駆動軸における長さ方向の中央部に設置される前記スプロケットの可動量を他のスプロケットの可動量よりも少なくしたことから、前記駆動軸における長さ方向の中央部では、前記スプロケットの可動量を少なくすることができ、前記駆動軸に対する前記搬送ベルトの偏りを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態における凍結装置1を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係る凍結装置1を長手方向に切断した全体簡略正面図である。図2は、本発明の実施例1に係る凍結装置1を幅方向に切断した搬入口周辺の一部省略端面図である。図3は、本発明の実施例1に係る凍結装置1を幅方向に切断した搬入口周辺の一部省略拡大端面図におけるスプロケットのみを断面とした(a)駆動軸の状態図、(b)駆動軸を90度回転させた状態図である。
【実施例1】
【0014】
本発明を具体化した実施形態について図1から図3に従って説明する。図1に示すように、本発明の実施例に係る凍結装置1は、従来のコンベア式凍結装置と同様のものとされる。また、冷却装置1e及び送風機1fの位置を搬送ベルト4の下方位置へ設置されることもできる。
【0015】
前記凍結装置1における前記搬送ベルト4は、矢印B方向に稼働するベルト復動部4bが、駆動部2によって矢印A方向へ反転しベルト往動部4aとされ、前記ベルト往動部4aが従動部3へと稼働する。凍結物Wは、前記ベルト往動部4a上を前記ベルト搬入口1cから搬出口1dまで搬送され、凍結装置壁面1b内にて凍結される。また、図2に示すように、前記凍結装置1におけるフレーム1aは、前記搬送ベルト4における幅方向の外側に設けられている。
【0016】
図2及び図3に示すように、前記駆動部2は、主に、モータ5、駆動軸7、前記モータ5と前記駆動軸7を連結するカップリング6、軸受9及びスプロケット10にて構成され、前記搬送ベルト4を稼働させる。
前記モータ5は、前記駆動軸7を回動させる為のもので、前記駆動軸7の端部に設置される前記カップリング6を介して、前記凍結装置1における前記フレーム1aの外側に設けられている。
また、前記軸受9は、前記駆動軸7の回動を円滑にする為に設けられ、前記スプロケット10は、前記凍結装置1内でも使用可能とする為、樹脂製のものが用いられる。
【0017】
前記駆動軸7は、防錆効果を有するステンレス等の丸棒からなり、両端部は前記軸受9にて支持される。また、前記駆動軸7における側面には、複数のキー溝(図示しない)が設けられており、当該キー溝には、短片キー8a及び長片キー8bの平行キー8が配置される。更に、前記短片キー8a及び前記長片キー8bの有する箇所に前記スプロケット10がそれぞれ設置され、防錆効果を有するステンレス等で形成された金網型の前記搬送ベルト4が稼働可能となる。
【0018】
前記短片キー8a及び前記長片キー8bは、防錆効果を有するステンレス等で、端面が楕円形状からなる柱状体にて形成される。また、前記短片キー8a及び前記長片キー8bにおける両端部には、ボルト等からなる当接部材11を取り付ける為のネジ穴(図示しない)が設けられている。また、前記短片キー8aは、長さ方向において、前記長片キー8bよりも短くなるよう形成されている。
【0019】
前記短片キー8aは、前記駆動軸7における長さ方向の中央部の2箇所に設置される。一方、前記長片キー8bは、前記駆動軸7における長さ方向の両端部と、前記短片キー8aが設置される中央部の2箇所以外に等間隔に設置される。このとき、夫々、隣接する前記スプロケット10における前記平行キー8は、図3(a)、(b)に示すように前記駆動軸7の長さ方向に対して180度位相をずらすように対向して設置される。また、設置される前記長片キー8bの個数は、前記駆動軸7の長さによって異なるものである。
このようにして設置された前記短片キー8a及び前記長片キー8bに、前記スプロケット10が設置され、前記短片キー8a及び前記長片キー8bにおける両端部のネジ穴に前記当接部材11が取り付けられる。これによって、図3(b)に示すように、前記短片キー8aにおける前記スプロケット10は、前記駆動軸7の長さ方向に対して、両端部に短片キー可動量Xを有して、可動可能となる。
一方、前記長片キー8bにおける前記スプロケット10は、前記駆動軸7の長さ方向に対して、両端部に長片キー可動量Yを有して、可動可能となる。
このとき、前記長片キー可動量Yは、前記短片キー可動量Xよりも大きく設けられる。
【0020】
一方、前記従動部3においては、前記駆動部2における前記駆動軸7と同様にして、従動軸に設置される前記スプロケット10を長さ方向に対して可動可能とすることもできるし、従来と同様に、前記スプロケット10の両端部にカラー等を用いて当該従動軸に対して固設することもできる。
【0021】
このようにして構成される前記駆動軸7は、次のように作用する。
前記凍結装置1では、前記凍結物Wが凍結される時の庫内温度は−40℃程度になり、一方、使用後であって、庫内を蒸気滅菌する際には、庫内温度は90℃程度にもなる。よって、図1に示すように、当該凍結装置1内を稼働する前記搬送ベルト4には130度もの温度差が生じることになる。この温度差が生じることにより、前記搬送ベルト4は長さ方向及び幅方向に対して伸縮する。
従来のように、駆動軸に対して両端部が固定されたスプロケットにおいては、前記搬送ベルト4における長さ方向に対する伸縮は、ローラ等を用いた公知技術である搬送ベルト緊張装置を別途に設置することで解消し得るが、前記搬送ベルト4における幅方向の伸縮を吸収できずに、前記搬送ベルト4はスプロケットの歯を乗り上げてしまい、スプロケットは空転することになる。
一方、短片キー可動量Xを有する前記短片キー8a及び長片キー可動量Yを有する前記長片キー8bに設置された前記スプロケット10においては、前記駆動軸7における長さ方向に可動可能である為、前記搬送ベルト4における幅方向の伸縮にも対応することができ、前記搬送ベルト4が前記スプロケット10の歯を乗り上げてしまうことはない。よって、前記スプロケット10の空転を防止することができる。また、前記搬送ベルト4における長さ方向に対する伸縮は、上述の公知技術を用いることで解消することができる。
【0022】
以上、説明した本発明の実施例に係る前記凍結装置1の前記駆動軸7は、短片キー可動量Xを有する前記短片キー8a及び長片キー可動量Yを有する前記長片キー8bに設置された前記スプロケット10が、前記駆動軸7における長さ方向に可動可能である為、前記搬送ベルト4における幅方向の伸縮にも対応することができ、前記搬送ベルト4が前記スプロケット10の歯を乗り上げてしまうことはない。よって、前記スプロケット10の空転を防止することができる。また、空転を防止することができるので、前記搬送ベルト4の稼働効率を下げることもなく、且つ、生産効率も下げることもない。
また、前記短片キー8aを前記駆動軸7における長さ方向の中央部の2箇所に設置し、一方、前記長片キー8bを前記駆動軸7における長さ方向の中央部の2箇所以外に等間隔に設置したので、前記駆動軸7における長さ方向の中央部では、前記短片キー8aによって前記スプロケット10の可動量を少なくすることができ、前記駆動軸7に対する前記搬送ベルト4の偏りを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1に係る凍結装置1を長手方向に切断した全体簡略正面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る凍結装置1を幅方向に切断した搬入口周辺の一部省略端面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る凍結装置1を幅方向に切断した搬入口周辺の一部省略拡大端面図におけるスプロケットのみを断面とした(a)駆動軸の状態図、(b)駆動軸を90度回転させた状態図である。
【符号の説明】
【0024】
1 凍結装置
1a フレーム
1b 凍結装置壁面
1c 搬入口
1d 搬出口
1e 冷却装置
1f 送風機
2 駆動部
3 従動部
4 搬送ベルト
4a ベルト往動部
4b ベルト復動部
5 モータ
6 カップリング
7 駆動軸
8 平行キー
8a 短片キー
8b 長片キー
9 軸受
10 スプロケット
11 当接部材
W 凍結物
X 短片キー可動量
Y 長片キー可動量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に食品等の製品を凍結装置に投入して、金網型搬送ベルトにて搬送され、凍結終了後に製品を取り出すことが可能な凍結装置において、
金網型搬送ベルトを稼働させる駆動軸の両端部及び中央部に、
前記駆動軸の長さ方向に対して可動可能とする少なくとも3つ以上のスプロケットを設置したことを特徴とする凍結装置。
【請求項2】
前記スプロケットは前記駆動軸に設置された平行キーを介して取り付けられるとともに、前記平行キーの両端部に当接部材を有して前記駆動軸の長さ方向における前記スプロケットの可動量を規制したことを特徴とする請求項1に記載の凍結装置。
【請求項3】
前記駆動軸における長さ方向の中央部に設置される少なくとも1つ以上の前記スプロケットの可動量を、前記駆動軸に設置された他の前記スプロケットの可動量よりも少なくしたことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の凍結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−24909(P2009−24909A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186822(P2007−186822)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(391018547)高橋工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】