説明

凝りほぐし方法および凝りほぐし装置

【課題】筋肉凝り部に対する力の入れ具合などを容易に調整可能な凝りほぐし方法を適切に実施できる構造の簡単な凝りほぐし装置を提供する。
【解決手段】浴槽12に、取付台13を介して、この浴槽12内に溜めた湯水14を汲み上げて循環させるインナーボルテックスポンプ15を設置する。このインナーボルテックスポンプ15のポンプ本体16の側端面に開口した本体吸込口17に吸込配管18を接続し、この吸込配管18の先端開口は、浴槽12内の湯水14中に挿入する。ポンプ本体16の周面に開口した本体吐出口19には、このポンプから吐出した湯水14を入浴者Aの筋肉凝り部Bに導く吐出配管21を接続する。浴槽12中には、この吐出配管21の先端開口から湯水14とともに吐出して肩、背中などの筋肉凝り部Bに次々と当たることで筋肉の凝りをほぐす多数の弾力性体としてのゴム製のボール23を投入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩凝りなどの凝りほぐし方法および凝りほぐし装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、筋肉の凝り、例えば肩凝りなどをほぐすときは、その筋肉凝り部を人手により揉んだり、軽く叩くようにしている。
【0003】
一方、人手を煩わすことなく、動力装置によって上下動される1対の肩叩きアームにより肩叩きを機械的に行なえるようにした肩叩き装置もある(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【特許文献1】実開昭61−54835号公報(第1頁、第2図)
【特許文献2】実開昭61−127734号公報(第1頁、第1図)
【特許文献3】実開昭63−1528号公報(第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
肩叩きアームにより筋肉凝り部を機械的に肩叩きする肩叩き装置は、筋肉凝り部に対する叩き方が決まっていて、力の入れ具合などを調整し難いとともに、構造が複雑になる問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、筋肉凝り部に対する力の入れ具合などを容易に調整可能な凝りほぐし方法と、この凝りほぐし方法を適切に実施できる構造の簡単な凝りほぐし装置とを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、液とともに液中の弾力性体を筋肉凝り部に次々と当てることで筋肉の凝りをほぐす凝りほぐし方法であり、そして、液圧などを調整することにより、弾力性体が筋肉凝り部を叩く際の力の入れ具合などを容易に調整できる凝りほぐし方法を提供する。
【0007】
請求項2記載の発明は、液槽内の液を汲み上げて循環させるポンプと、このポンプから吐出される液を筋肉凝り部に導く管と、この管の先端開口から液とともに吐出されて筋肉凝り部に次々と当たることで筋肉の凝りをほぐす複数の弾力性体とを具備した凝りほぐし装置であり、そして、ポンプから吐出される液圧などを調整することで、管の先端開口から液とともに吐出される弾力性体が筋肉凝り部を叩く際の力の入れ具合などを容易に調整できるとともに、ポンプ、管および複数の弾力性体により構造を簡単にできる凝りほぐし装置を提供する。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の凝りほぐし装置におけるポンプを、一側部が周縁から中心に向って膨出形成されたポンプ室を有するポンプ本体と、ポンプ室の膨出頂部に対応するポンプ本体の一側中央部に開口された本体吸込口と、ポンプ本体の外周部に開口された本体吐出口と、本体吸込口の正面側に位置するポンプ本体の他側中央部からポンプ室の中央部に挿入された回転軸と、ポンプ室内にて本体吸込口と相対する側に配置され回転軸により回転される円板形のアウタ側円盤と、ポンプ室内にて本体吸込口を設けた側に配置されアウタ側円盤から最も離れた中央部に本体吸込口と対応する吸込開口を有しこの吸込開口からアウタ側円盤に最も接近する周縁にわたって傾斜状に形成されアウタ側円盤と一体的に回転されるインナ側円盤と、インナ側円盤におけるアウタ側円盤との対向面に設けられ吸込開口から周縁にわたって液を移送するインナ側羽根とを具備したインナーボルテックスポンプとしたものである。
【0009】
そして、ポンプ室内にて本体吸込口を設けた側に配置されたインナ側円盤において本体吸込口と相対する側に配置されたアウタ側円盤との対向面にインナ側羽根を設けたので、すなわち液の流れと対向しない液の流れの中にインナ側羽根を配置したインナボルテックスポンプであるので、本体吸込口と相対するアウタ側円盤に羽根を設けた一般的なボルテックスポンプと比べて、液へのエネルギ伝達効果が高いとともに、本体吸込口から流入した直進性を有する弾力性体がインナ側羽根に当たりにくくなり、インナ側羽根と弾力性体との干渉による、これらの摩耗、損傷が少なくなり、さらに、インナ側円盤は、円板形のアウタ側円盤に対し、平行でなく、アウタ側円盤から最も離れた中央部に本体吸込口と対応する吸込開口を有しこの吸込開口からアウタ側円盤に最も接近する周縁にわたって傾斜状に形成されていることから、羽根が摩耗、損傷しやすい吸込部分での通路断面積が大きく、この吸込部分での流れの速さが小さくなり弾力性体を円滑に搬送するので、弾力性体と円盤および羽根との干渉が少なく、これらの摩耗、損傷が少なくなるとともに、ポンプ性能が低下しにくい。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の凝りほぐし装置における弾力性体を、ゴム製のボールとしたものであり、そして、ゴム製のボールが持つ弾力性と質量とにより筋肉凝り部に適度な物理的刺激を間欠的に与え続けることで、凝りを効果的にほぐすようにする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、液圧などを調整することにより、弾力性体が筋肉凝り部を叩く際の力の入れ具合などを容易に調整できる凝りほぐし方法を提供できる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、ポンプから吐出される液圧などを調整することで、管の先端開口から液とともに吐出される弾力性体が筋肉凝り部を叩く際の力の入れ具合などを容易に調整できるとともに、ポンプ、管および複数の弾力性体により構造を簡単にできる凝りほぐし装置を提供できる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、ポンプ室内にて本体吸込口を設けた側に配置されたインナ側円盤において本体吸込口と相対する側に配置されたアウタ側円盤との対向面にインナ側羽根を設けたので、すなわち液の流れと対向しない液の流れの中にインナ側羽根を配置したインナボルテックスポンプであるので、本体吸込口と相対するアウタ側円盤に羽根を設けた一般的なボルテックスポンプと比べて、液へのエネルギ伝達効果が高いとともに、本体吸込口から流入した直進性を有する弾力性体がインナ側羽根に当たりにくくなり、インナ側羽根と弾力性体との干渉による、これらの摩耗、損傷を少なくでき、さらに、インナ側円盤は、円板形のアウタ側円盤に対し、平行でなく、アウタ側円盤から最も離れた中央部に本体吸込口と対応する吸込開口を有しこの吸込開口からアウタ側円盤に最も接近する周縁にわたって傾斜状に形成されていることから、羽根が摩耗、損傷しやすい吸込部分での通路断面積が大きく、この吸込部分での流れの速さを小さくでき弾力性体を円滑に搬送できるので、弾力性体と円盤および羽根との干渉を少なくでき、これらの摩耗、損傷を少なくできるとともに、ポンプ性能の低下を抑えることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、ゴム製のボールが持つ弾力性と質量とにより筋肉凝り部に適度な物理的刺激を間欠的に与え続けることで、凝りを効果的にほぐすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図1乃至図4に示される一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、凝りほぐし装置11を示し、液槽としての浴槽12に、取付台13を介して、この浴槽12内に溜められた液としての湯水14を汲み上げて循環させるポンプとしてのインナーボルテックスポンプ15が設置され、このインナーボルテックスポンプ15のポンプ本体16の側端面に開口された本体吸込口17には吸込配管18が接続され、この吸込配管18の先端開口は、浴槽12内の湯水14中に挿入され、また、このインナーボルテックスポンプ15のポンプ本体16の周面に開口された本体吐出口19には、このポンプから吐出された湯水14を入浴者Aの筋肉凝り部Bに導く管としての吐出配管21が接続され、取付枠22により固定されている。
【0017】
浴槽12中には、この吐出配管21の先端開口から湯水14とともに吐出されて肩、背中などの筋肉凝り部Bに次々と当たることで筋肉の凝りをほぐす多数の弾力性体としてのゴム製のボール23が投入されている。このボール23は、例えば10mm程度の高反発性ゴムボール、いわゆるスーパーボールを用いると良い。
【0018】
図2および図3はインナーボルテックスポンプ15を示し、ポンプ本体16の内部に、一側部が周縁から中心に向って膨出形成されたポンプ室26が設けられている。このポンプ室26の膨出頂部に対応するポンプ本体16の一側中央部には、前記本体吸込口17が開口され、前記吸込配管18が接続されている。また、ポンプ本体16の外周部には、接線方向に前記本体吐出口19が開口され、前記吐出配管21が接続されている。
【0019】
本体吸込口17の反対側に位置するポンプ本体16の他側中央部からポンプ室26の中央部に回転軸27が挿入されている。この回転軸27は、図4に示されるようにポンプ本体16に一体的に取付けられた減速機付きモータ28の出力軸部に接続されている。
【0020】
ポンプ室26内にて本体吸込口17と相対する側には、回転軸27により回転される偏平状のアウタ側円盤31が配置されている。このアウタ側円盤31にて本体吸込口17と相対する中央部には、球面状の凸部32が設けられている。
【0021】
ポンプ室26内にて本体吸込口17を設けた側には、傘状のインナ側円盤33が配置されている。
【0022】
このインナ側円盤33は、アウタ側円盤31から最も離れた中央部に本体吸込口17と対応する吸込開口34を有し、この吸込開口34からアウタ側円盤31に最も接近する周縁にわたって傾斜状に形成され、アウタ側円盤31と複数の連結部材35により一体化され、回転軸27により一体的に回転される。
【0023】
インナ側円盤33におけるアウタ側円盤31との対向面には、中央部の吸込開口34から周縁にわたって湯水14を移送する複数のインナ側羽根としてのインナ側ボルテックス羽根36が、図3に示されるようにインナ側円盤33の中央部の吸込開口34から径方向に放射状に設けられている。
【0024】
次に、この図1乃至図4に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0025】
湯水14とともに湯水14中のゴム製のボール23を肩などの筋肉凝り部Bに次々と当てることで、その部分の筋肉の凝りをほぐすようにする。その際、ゴム製のボール23が持つ弾力性と質量とにより筋肉凝り部Bに適度な物理的刺激を間欠的に与え続けることで、凝りを効果的にほぐすようにする。
【0026】
このとき、減速機付きモータ28の回転速度を可変制御して、インナーボルテックスポンプ15から吐出される湯水の水量および水圧などを調整することで、吐出配管21の先端開口から湯水14とともに吐出されるゴム製のボール23が筋肉凝り部Bを叩く際の力の入れ具合などを調整する。
【0027】
このインナボルテックスポンプ15の揚水原理は、回転軸27によりアウタ側円盤31を回転させ、連結部材35を介して、流れが曲る際の内側に設けたインナ側円盤33を回転させると、そのインナ側ボルテックス羽根36が湯水14を連れ回る作用により、湯水14に遠心力が作用し、ポンプ室26の中央部の湯水14および湯水14中のボール23は、アウタ側円盤31とインナ側円盤33との間の湯水通路を経て本体吐出口19に移送され、この本体吐出口19より外部の吐出配管21へ吐出される。ポンプ室26の中央部には、外部の吸込配管18より本体吸込口17および吸込開口34を経て湯水14が吸込まれる。
【0028】
このような湯水14の流れにおいて、ポンプ室26内にて本体吸込口17を設けた側に配置されたインナ側円盤33における、本体吸込口17と相対する側に配置されたアウタ側円盤31との対向面にインナ側ボルテックス羽根36を設けたので、すなわち湯水14の流れと対向しない湯水14の流れの中にインナ側ボルテックス羽根36を配置したインナボルテックスポンプ15であるので、本体吸込口17と相対するアウタ側円盤31に羽根を設けた一般的なボルテックスポンプと比べて、湯水14へのエネルギ伝達効果が高いとともに、本体吸込口17から流入した直進性を有するボール23がインナ側ボルテックス羽根36に当たりにくくなり、インナ側ボルテックス羽根36とボール23との干渉による、これらの摩耗、損傷が少なくなる。
【0029】
さらに、インナ側円盤33は、円板形のアウタ側円盤31に対し、平行でなく、アウタ側円盤31から最も離れた中央部に本体吸込口17と対応する吸込開口34を有し、この吸込開口34からアウタ側円盤31に最も接近する周縁にわたって傾斜状に形成され、これにより、羽根が摩耗、損傷しやすいアウタ側円盤31・インナ側円盤33間の吸込部分(曲り部)での通路断面積が大きくなるので、その分、この吸込部分での流れの速さが小さくなりボール23を円滑に搬送でき、ボール23と円盤31,33およびインナ側ボルテックス羽根36との干渉が少なく、これらの摩耗、損傷を少なくできるとともに、ポンプ性能の低下を抑えることができる。
【0030】
また、ポンプ室26の中央部から円盤周縁に向って移動する湯水14を、アウタ側円盤31とインナ側円盤33とにより徐々に絞ることで、湯水14を所定の吐出速度まで増速できる。
【0031】
さらに、回転軸27の駆動速度を可変制御して、インナーボルテックスポンプ15から吐出される湯水の水量および水圧などを調整することで、吐出配管21の先端開口から湯水14とともに吐出されるゴム製のボール23が筋肉凝り部Bを叩く際の力の入れ具合などを容易に調整できるとともに、インナーボルテックスポンプ15、管18,21およびゴム製のボール23により、簡単な構造の凝りほぐし装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る凝りほぐし方法および凝りほぐし装置の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】同上凝りほぐし装置に用いられるインナーボルテックスポンプを示す軸方向断面図である。
【図3】同上ポンプの径方向断面図である。
【図4】同上ポンプの斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
B 筋肉凝り部
12 液槽としての浴槽
14 液としての湯水
15 ポンプとしてのインナーボルテックスポンプ
16 ポンプ本体
17 本体吸込口
19 本体吐出口
21 管としての吐出配管
23 弾力性体としてのゴム製のボール
26 ポンプ室
27 回転軸
31 アウタ側円盤
33 インナ側円盤
34 吸込開口
36 インナ側羽根としてのインナ側ボルテックス羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液とともに液中の弾力性体を筋肉凝り部に次々と当てることで筋肉の凝りをほぐす
ことを特徴とする凝りほぐし方法。
【請求項2】
液槽内の液を汲み上げて循環させるポンプと、
このポンプから吐出される液を筋肉凝り部に導く管と、
この管の先端開口から液とともに吐出されて筋肉凝り部に次々と当たることで筋肉の凝りをほぐす複数の弾力性体と
を具備したことを特徴とする凝りほぐし装置。
【請求項3】
ポンプは、
一側部が周縁から中心に向って膨出形成されたポンプ室を有するポンプ本体と、
ポンプ室の膨出頂部に対応するポンプ本体の一側中央部に開口された本体吸込口と、
ポンプ本体の外周部に開口された本体吐出口と、
本体吸込口の正面側に位置するポンプ本体の他側中央部からポンプ室の中央部に挿入された回転軸と、
ポンプ室内にて本体吸込口と相対する側に配置され回転軸により回転される円板形のアウタ側円盤と、
ポンプ室内にて本体吸込口を設けた側に配置されアウタ側円盤から最も離れた中央部に本体吸込口と対応する吸込開口を有しこの吸込開口からアウタ側円盤に最も接近する周縁にわたって傾斜状に形成されアウタ側円盤と一体的に回転されるインナ側円盤と、
インナ側円盤におけるアウタ側円盤との対向面に設けられ吸込開口から周縁にわたって液を移送するインナ側羽根とを具備したインナーボルテックスポンプである
ことを特徴とする請求項2記載の凝りほぐし装置。
【請求項4】
弾力性体は、ゴム製のボールである
ことを特徴とする請求項2または3記載の凝りほぐし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−101984(P2006−101984A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290158(P2004−290158)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000226002)株式会社ニクニ (25)
【Fターム(参考)】