説明

凝血塊捕捉器、外部機能手段、血液回路、および処理装置

本発明は、篩面(1)を介して流れる流体中の凝血塊を捕集するための円板状の篩面(1)を備えた凝血塊捕捉器(100)に関する。本発明はさらに外部機能手段、血液回路、および処理装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の凝血塊捕捉器(clot trap)に関する。本発明はさらに、請求項19に記載の外部機能手段、請求項21に記載の血液回路のみならず、請求項22に記載の処理装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
凝血塊捕捉器は、体外血流に存在する凝血塊または血栓を捕捉または保留するために、とりわけ体外血液回路に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、さらなる凝血塊捕捉器を明確化することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する凝血塊捕捉器を介して達成される。
【0005】
本発明の凝血塊捕捉器は、篩面を介して流れる流体の凝血塊を捕集するのに適しかつ捕集するように意図された篩面または凝血塊捕捉面を備える。
【0006】
本明細書で使用する場合、「篩面」という表現は、凝血塊捕捉器を凝血塊が通過するのを防止するように意図された凝血塊捕捉器の手段または構成要素を表わす。
【0007】
好適には、篩面は、機械的に動作する篩または濾過効果を有する手段であるが、それに限定されない。
【0008】
さらに、篩面は、代替的にまたは追加的に、例えば物理的および/または化学的作用によって凝血塊を保留または溶解するのに適し、かつそうするように意図されている。
【0009】
本発明では、篩面は円板状の形状を有する。
【0010】
本明細書で使用する場合、「円板状」という表現は、篩面が好ましくは略円板の形状または完全に円板の形状に構成されることを意味する。
【0011】
本発明の有利な実施形態または展開は、添付するそれぞれの請求項の対象である。
【0012】
以下では、凝血塊捕捉器を介して流れる流体は、流入側で、凝血塊捕捉器内に完全にまたはその一部分に流入し、篩面を介して流れ、流出側で凝血塊捕捉器から流出する。本発明では、凝血塊は、例えば血栓や固体不純物等と理解される。
【0013】
本発明で使用する場合、「流体」という表現は、例えば血液、気体、乳濁液、懸濁液、分散系等の医療用液体、および、それらを組合せたもののような液体を包含するが、それらの液体に限定されない。
【0014】
本発明に係る全ての実施形態で、円板状の篩面は、凸凹および/または起伏、湾曲等があってもよい。あるいは、篩面は偏平であるかまたは平面内に含まれるという意味で平板状とすることができる。
【0015】
円板状とは、第1の寸法(主延長)が、この寸法に直交する方向の寸法より明らかに大きい構造を表わす。
【0016】
凝血塊捕捉器は、その利用中、またはその利用のために、例えば図6に示すように、篩面の主延長に対して略垂直に配置することが好ましい。
【0017】
本明細書で使用する場合、「略垂直」という表現は、垂直に対する凝血塊捕捉器の傾斜を任意の方向に最大で約15度とすることができるが、+/−15度の最大傾斜が特に好ましいことを意味する。+/−15度未満の傾斜も同様に好ましい。前部または後部に対して、または片側に対して、例えば時計方向に15度、または反時計方向に15度の傾斜の可能性は(いずれの方向においても)、図4および図7に部分的に示される。
【0018】
「垂直」および「水平」という表現は、地球の中心に対することが好ましい。
【0019】
使用中に、凝血塊捕捉器は、地球の中心に対して無作為の角度に、または無作為の傾斜に配置することができる。
【0020】
化学的濾過または篩分け効果は、凝血塊を篩面に対して、および/または、篩面内において、例えばその細孔内に化学的に結合させることによって達成される。凝血塊は可逆的に、または、不可逆的に篩面に結合させることができる。凝血塊は物理的作用によって篩面に吸収させることができる。凝血塊はさらに、篩面で完全にまたは部分的に溶解させることができる。
【0021】
好適な実施形態では、篩面は通流孔を含み、流体は通流孔を介して流入側から流出側に通流することができる。通流孔を用いて、機械的濾過または篩分け効果を達成することができる。通流孔の大きさまたは篩面のメッシュサイズは、凝血塊が流入流体の流入側で保留されるようなサイズに選択することができる。
【0022】
篩面の通流孔はまとめて篩面の通路の開口総表面積を形成する。
【0023】
通流孔の寸法は、流入流体または流体流内に存在する凝血塊、凝集体、固体粒子等が流体流から流体の流入側に保留され、凝血塊捕捉器の流出側に到達しないような大きさに選択することができる。
【0024】
別の好適な実施形態では、通流孔の全てが円上または円上の一部分に、特に同心円上に配置される。例示的配置を以下で図1に示す。
【0025】
代替例として、単に複数の通流孔だけが円上に、特に同心円上に配置される。
【0026】
さらなる好適な実施形態では、通流孔の全部または一部だけが凝血塊捕捉器または篩面の中心点に対し半径方向に配置される。
【0027】
「中心点」という表現は、円板形の篩面および/または凝血塊捕捉器の中心点または中心領域内の1点を指す。この中心点は、篩面および/または凝血塊捕捉器の重心または質量の幾何学的中心、および/または、円形篩面および/または凝血塊捕捉器の円心に相当することができる。
【0028】
通流孔の同心配置と比較して、「径方向」配置の通流孔は、それらが篩面または凝血塊捕捉器の中心点から半径方向に、特に篩面の主延長の平面と平行な1つまたは複数の平面内で、延びるように設けられる。
【0029】
好適な実施形態では、篩面上全体に多数の通流孔が配置される。
【0030】
通流孔は、篩面全体に互いにそれぞれ同一距離に分散されるように配置することができる。通流孔は、例えば図2に示すように、互いにずらして配置することができる。
【0031】
通流孔は篩面上に、篩面および/または凝血塊捕捉器の中心点に対して対称になるように配置することができる。しかし、通流孔は篩面上に非対称に配置することもできる。
【0032】
さらなる好適な実施形態では、篩面の少なくとも一部分は通流孔を含まないか、あるいは篩面の他の領域と比較して通流孔の数が少ない。
【0033】
そのような配置の1つの例を図3および図4に示す。
【0034】
通流孔を持たないか、または比較的少数の通流孔しか持たない部分は、凝血塊捕捉器または凝血塊捕捉器が収容された筐体の流出領域に対向することができる。
【0035】
この部分は扇形の形状を有することができる。凝血塊捕捉器の使用位置で、部分円弧の外周は、部分円弧の先端から下流に位置することが好ましい。
【0036】
通流孔は任意の所望の適切な幾何学的形状を有することができる。通流孔は例えば多角形、円形、および/または楕円形等の形状を有することができる。
【0037】
多くの通流孔は例えば、篩面の両面(流入側および流出側)の少なくとも一方に、例えば図8Aに示すように、鋭利なエッジを有するように設計することができる。
【0038】
代替的にまたは追加的に、篩面の少なくとも片側では多数の通流孔が、丸みを帯びるように、またはトリミングされるように設計することができる。例示的実施形態を図8Bに示す。
【0039】
通流孔は両側に丸みを帯びるように設計することができる。例示的実施形態を図8Cに示す。
【0040】
通流孔の長さおよび/または幅は、例えば半径方向の距離、すなわち中心領域から篩面の辺縁または境界までの距離に応じて変化することができる。例えば、外側に向かう半径方向の距離が増大するにつれて、通流孔の長さおよび/または幅も増大することができる。
【0041】
通流孔の長さおよび/または幅は、例えば角度方向に応じて変化することができる。
【0042】
「角度」とは、凝血塊捕捉器または篩面の円弧に沿って、凝血塊捕捉器または篩面の中心点または中心領域の1点を通過する直線と、篩面の中心点を通過する別の直線との間の扇形の角度である。
【0043】
凝血塊捕捉器は少なくともその一部分を血液適合性基材から作ることができる。凝血塊捕捉器は全体を血液適合性基材から作ることができる。
【0044】
適切な血液適合性基材の例として、特に血液適合性であることが好ましいPVP(ポリビニルピロリドン)の他に、PP(ポリプロピレン)も挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
さらなる好適な実施形態では、凝血塊捕捉器は基材から作られる。適切な基材として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
基材は、1つまたは複数の血液適合性材料で被覆することが好ましい。
【0047】
凝血塊捕捉器は、射出成形部品または射出成形素子とすることができる。
【0048】
篩面は、細目金網または篩用布とすることができる。篩面はほぼ、または完全にグリッド構造および/またはメッシュ構造として実現することができる。篩面は濾紙、濾過用不織布等から実現または作成することができる。
【0049】
篩面または凝血塊捕捉器は、筐体やグリッド等のような支持構造によって支持または担持することができる。支持構造は、同様に篩分け効果または濾過効果を有することができる。
【0050】
例えば、支持グリッドは篩面位置にまたは篩面の各面に設けることができる。さらなる好適な実施形態では、凝血塊捕捉器は筐体内部に配置される。
【0051】
筐体は、凝血塊捕捉器または篩面の保護体の役割を果たすことができ、かつ/または凝血塊捕捉器または篩面を他の構造に固定する役割を果たすことができる。
【0052】
好適な実施形態では、凝血塊捕捉器は筐体と連結される。
【0053】
凝血塊捕捉器は、解放可能に筐体に連結することができる。凝血塊捕捉器は、例えばスナップ留めまたは掛止によって筐体に連結することができる。
【0054】
代替例として、凝血塊捕捉器は筐体に解放不能に連結することもできる。凝血塊捕捉器は、例えば溶着または接着剤等で筐体に連結することができる。
【0055】
通路の開口総表面積と、篩面の総表面積または凝血塊捕捉器の総表面積との間の比率は、凝血塊捕捉器の使用前に変化させることができる。
【0056】
例えば、通路の開口総表面積と篩面の総表面積または凝血塊捕捉器の総表面積との間の比率は、異なる形状の場合、種々のまたは異なるサイズの通流孔を実現または形成することによって、かつ/または通流孔の無い部分を実現または配置または設けることによって、またはそのサイズおよび/または形状を変化させることによって、変化させることができる。
【0057】
凝血塊捕捉器は、凝血塊捕捉器および/またはその篩面が筐体の流入領域を流出領域から分離するように、筐体内に組み込むことができる。
【0058】
別の好適な実施形態では、凝血塊捕捉器は、その上側の少なくとも一部分にカバー手段を含むことができる。
【0059】
カバー手段は、例えば添付の図面の図7に示す通り、少なくとも1つのセンサ用の結合面の役割を果たすことができる。カバー手段はこの目的のために用意することができる。カバー手段は、クランプ、クリップ手段等のような、センサまたはセンサを具備したコネクタを受容するための対応手段を含むことができる。
【0060】
本発明の目的は、請求項19に記載の外部機能手段を介しても達成される。本発明の凝血塊捕捉器の全ての利点もまた、損なわれることなく、本発明の外部機能手段により達成することができる。
【0061】
本発明の外部機能手段は、本発明の少なくとも1つの凝血塊捕捉器を含む。「外部機能手段」は、単回使用部品または単回使用物品とすることができる。また、外部機能手段はプラスチック材から作成することができる。
【0062】
本発明の外部機能手段は、処理方法での使用を想定することができる。本発明の意味における処理方法は、医療または医療技術処理方法のみならず、検査技術の処理方法をも含む。
【0063】
好適な実施形態では、本発明の外部機能手段は血液カセットとして構成される。
【0064】
本発明の意味における血液カセットとは、例えば、ドイツ特許商標庁に2009年4月23日および2009年6月10日に本願の出願人によってそれぞれ出願された、各々「Externe Funktionseinrichtung,Blutbehandlungsvorrichtung zum Aufnehmen einer erfindungsgemaBen externen Funktionseinrichtung,sowie Verfahren」[外部機能手段、本発明に係る外部機能手段を受容するための血液処理装置、および方法]と称する、出願第10 2009 018 664.6号(代理人ファイルFM19A27)および(09/33−d01 DE;FM19A27)の明細書に記載されており、これらのそれぞれの開示を全て、参照によって本明細書に援用する。
【0065】
本発明の目的は、請求項21に記載の本発明に係る血液回路を介して同様に達成される。本発明の凝血塊捕捉器の全ての利点も、損なわれることなく、本発明の血液回路により達成することができる。
【0066】
本発明に係る血液回路は、本発明に係る少なくとも1つの凝血塊捕捉器を含む。
【0067】
本明細書で使用する場合、「血液回路」という表現は、体外血管回路の形体を有し、血液の処理に適した配管系を指す。
【0068】
外部機能手段および血液回路はともに、処理装置内または処理装置上で使用する目的で提供することができる。
【0069】
本発明の目的は、請求項22に記載の本発明に係る処理装置を介して同様に達成される。本発明の凝血塊捕捉器の利点は全て、損なわれることなく、本発明の処理装置により達成することができる。
【0070】
本発明に係る処理装置は、本発明の少なくとも1つの凝血塊捕捉器、および/または本発明の少なくとも1つの外部機能手段、および/または本発明の少なくとも1つの血液回路を含む。
【0071】
例えば、処理装置は、血液透析、血液濾過、血液透析濾過等のような透析処理を実行するための透析装置のような血液処理装置とすることができる。
【0072】
アクティブな篩面が円筒状または円錐状の形状を有する従来の凝血塊捕捉器と比較して、本発明の凝血塊捕捉器によって達成可能な流量の管理は有利に、凝血塊捕捉器またはその篩面それぞれの目詰まりをさらに防止することを可能にする。
【0073】
円板状の形状はさらに、例えば最初に示した従来の円筒状凝血塊捕捉器と比較して、空間を節約した形で凝血塊捕捉器内部の篩面の設置を可能にする。
【0074】
円板状の形状はさらに、小さな構造空間しか必要としない本発明の凝血塊捕捉器を設置するように適応された、例えば血液カセットまたは血液チューブ等を実現する可能性に有利に貢献する。
【0075】
特に、本発明の凝血塊捕捉器が、通流孔が無いか、または少数の通流孔しか無い部分的領域を含むように実現された場合、凝血塊捕捉器によって通過を阻止された凝血塊の量が増大する可能性があるときに、凝血塊捕捉器の裏面の流出領域の閉塞を有利に遅らせることができる。
【0076】
加えて、通流孔の長さおよび幅を変化させることによって、かつ/または通路の開口総表面積と篩面の総表面積または凝血塊捕捉器の総表面積との間の比率を変化させることによって、凝血塊捕捉器を通過する最適流量が得られるように、通流孔を通過する流量を有利に変化させ、かつ最適化させることができる。この目的のために、通流孔の通路の総表面積を最適化することも有利に可能である。最適化された流路は結果的に流動学的状態を改善し、とりわけ凝血塊捕捉器における凝血塊のさらなる増大に有利に影響する。
【0077】
通流孔の円形の形状は、通流孔を通過する流体のフローデラミネーション(flow delamination)または妨害を実質的に緩和または防止するのに有利に貢献することができる。
【0078】
このようにして、溶血および/または血液凝固活性化を低減することが有利に可能になる。
【0079】
本発明の凝血塊捕捉器を固定する筐体は、流体流の流入側に存在する気泡が浮上するように、有利に構成することができる。気泡はこうして凝血塊捕捉器の流入領域から有利に放出することができる。これは特に、凝血塊捕捉器の篩面が、水平線に対して充分な仰角で構成される場合にはいつでも有利に可能である。この目的のために、篩面は例えば45度〜90度傾斜することができる。篩面は垂直に配置することが好ましい。
【0080】
特定の構成では、篩面の垂直または略垂直配置は、水平配置と比較して、空間の節約にさらに貢献することができる。これは、垂直に配置された篩面が、それを組み込んだ血液カセットのカバー(フィルムのようなもの)と平行または略平行に配置された場合には、特に当てはまる。そのような血液カセットの例として、前掲の例に再び言及する。
【0081】
凝血塊捕捉器への流入は、流入側が可能な限り徹底的に洗浄されるように、有利に行なうことができる。例えば、これは可能な限り接線方向の流入により有利に達成することができる。
【0082】
本明細書で使用する場合、「接線方向」とは、篩面の主延長の平面と平行な平面内で、凝血塊捕捉器に実質的に衝突する流れを意味する。接線方向とは、図4、図5Aおよび図5B、ならびに図6に示される通りと理解することができる。同様に、図5Aおよび図5Bに示す通り、流出も接線方向または横方向に、または筐体の辺縁領域で、または非中心的に行なうことができる。
【0083】
加えて、通流孔を同心(部分)円上に配置することによって、特に接線方向に進入または流入する場合に、流体の回転運動が流出側まで続き、したがって流出側の洗浄が改善されることを、有利に達成することができる。
【0084】
本発明の凝血塊捕捉器はしたがって、ウィルヒョウの三主徴という意味で、単動式または複動式に血液凝固の形成に対抗するのに有利に適合させることができる。
【0085】
以下では、添付の図面を参照しながら本発明を説明する。図面において、同一参照番号は同一または同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1の実施形態に係る本発明の凝血塊捕捉器の正面図すなわち正面から見た図である。
【図2】第2の実施形態に係る凝血塊捕捉器の正面図すなわち正面から見た図。
【図3】第3の実施形態に係る本発明の凝血塊捕捉器の正面図である。
【図4】第1の筐体内に配置されたときの図3の凝血塊捕捉器の正面図である。
【図5A】第2の筐体内にある図2の本発明の凝血塊捕捉器の正面図である。
【図5B】第3の筐体内にある図2の本発明の凝血塊捕捉器の正面図である。
【図6】図4の凝血塊捕捉器の縦断面図である。
【図7】センサに結合された本発明の凝血塊捕捉器の縦断面図である。
【図8】A〜Cは篩面の通流孔のいくつかの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1は、篩面1を有する第1の実施形態に係る本発明の凝血塊捕捉器100を正面図で示している。
【0088】
篩面1には、通流孔3が同心部分円上に配置される。
【0089】
図2は、通流孔3が円上に、場合によっては再び部分円上に、互いにずらして篩面1に設けられた、第2の実施形態に係る本発明の凝血塊捕捉器100を示す。そのような位置ずれは結果的に半径方向の重複を生じてもよい。しかし、これは必須ではない。
【0090】
図3は、第3の実施形態に係る凝血塊捕捉器100を示す。
【0091】
凝血塊捕捉器100は同心配置された部分円上に位置する通流孔3を篩面1に含む。部分円は篩面1を扇形に細分する。通流孔3も扇形部分に分けて配置される。
【0092】
部分5には通流孔が設けられない。
【0093】
通流孔3の長さは、図1の通り、篩面1の中心点7からの通流孔3の半径方向の距離rによって変化する。
【0094】
通流孔3の長さは、篩面1の中心点7から通流孔3の角度方向φによって篩面1の周方向に変化する。
【0095】
図4は、ここでは第1筐体200内に配置された図3の凝血塊捕捉器100の正面図を示す。
【0096】
筐体200の流入領域9には、流体の接線方向に到来した流れ、すなわち篩面1の辺縁領域または外周(端部側と理解すべきではない)に向けられた流れが提供される。流体流またはその流動方向は、図4以降で矢印によって示される。
【0097】
流体または流体流は、流入領域9を介して凝血塊捕捉器100内に進入し、流出領域11で凝血塊捕捉器100から退出する。流体は通常、最高点13で凝血塊捕捉器に侵入し、最低点15で凝血塊捕捉器100から退出する。「最高」点13および「最下」点15という位置を示す表現が、凝血塊捕捉器100の使用中の向きを指すことが好ましい。
【0098】
破線N(傾斜)で示す通り、本発明の凝血塊捕捉器100は、その使用中またはその使用のために、好ましくは、地球の中心方向の垂直または垂直線に対して、または図面に対して、最高約15度まで傾斜することが許容される。
【0099】
図5Aは、第2筐体200内の本発明の凝血塊捕捉器100の正面図、すなわち正面から見た図を示す。
【0100】
例えば図4に示す第1筐体200とは異なり、図5Aの流出領域11は、中心軸線17、すなわち凝血塊捕捉器の中心点7を通る軸線に対して左側に偏位して配置される。
【0101】
流出は接線方向である。
【0102】
図5Bは、第3筐体200内にある本発明の凝血塊捕捉器100の正面図を示す。
【0103】
図5Aまたは図4の表現とは異なり、図5Bの表現に関連する流出領域11は、中心軸線17に対して右側に偏位して配置される。
【0104】
第5の実施形態でもまた、凝血塊捕捉器100を通流する流体の接線方向の流出が達成される。
【0105】
図6は、中心点7を通り図4のS1−S1に沿った矢状断面図または縦断面図を示す。図4に示す通り、線S1−S1は、凝血塊捕捉器100の中心を通る中心軸線17に相当する。
【0106】
凝血塊捕捉器100は筐体200内に垂直に配置される。
【0107】
通流孔の無い部分5は、図6で流出領域11に対向また隣接しながら底部に配置される。
【0108】
図7は、今度は異なる構成を有する筐体200内部にある本発明の凝血塊捕捉器100の縦断面図を示す。
【0109】
図7に示す通り、筐体200は段差または傾斜部分19を含む。
【0110】
凝血塊捕捉器100にはカバー手段、例えばフィルム21が設けられる。
【0111】
フィルム21は、凝血塊捕捉器100の上のセンサ23用の結合面としての役割を果たすことができる。センサ23は圧力センサとすることができる。センサ23によって、例えば凝血塊捕捉器100の流入領域9に存在する流体の圧力を測定することが可能である。
【0112】
センサ23はコネクタ25を介して、例えば処理装置(図示せず)またはその制御手段もしくは調整手段(図示せず)に接続される。
【0113】
図7でもまた、破線N(傾斜)は、本発明の凝血塊捕捉器100をその使用中またはその使用のために、垂直に対しまたは中心点に垂直な線に対し、好ましくは、最高約15度まで傾斜することができることを示す。
【0114】
図8のA〜Cは、篩面1の通流孔3の可能な実施形態を示す。
【0115】
図8のA〜Cは、図1に係る篩面を通る断面S2−S2に沿った通流孔3の構成を示す。
【0116】
図8のAの通流孔3は鋭利なエッジを有する形で実現される。
【0117】
図8のBの通流孔3は片側(図5Bの頂部)が丸みを帯びるように作成されている。
【0118】
図8のCでは、通流孔3は両側が丸みを帯びるように作成されている。
【符号の説明】
【0119】
100 凝血塊捕捉器
200 筐体
1 篩面
3 通流孔
5 通流孔の無い部分
7 篩面の中心点
9 流入領域
11 流出領域
13 凝血塊捕捉器の最高点
15 凝血塊捕捉器の最下点
17 中心軸線
19 傾斜部分
21 フィルム
23 センサ
25 コネクタ
N 傾斜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
篩面(1)を介して流れる流体中の凝血塊を捕集するための篩面(1)を備えた凝血塊捕捉器(100)において、
前記篩面(1)が円板状の形状を有することを特徴とする凝血塊捕捉器(100)。
【請求項2】
前記篩面(1)が流体を通流させる通流孔(3)を含む、請求項1に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項3】
多数の通流孔(3)が同心状の円または部分円上に配置される、請求項1または2に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項4】
多数の通流孔(3)が当該凝血塊捕捉器(100)または前記篩面(1)の中心点(7)に対して半径方向に配置された、請求項1〜3のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項5】
多数の通流孔(3)が前記篩面(1)全体にわたって配置された、請求項1〜4のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項6】
前記篩面(1)の一部分(5)に通流孔(3)が含まれない、請求項2〜5のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項7】
前記一部分(5)が当該凝血塊捕捉器(100)の流出領域(11)または当該凝血塊捕捉器(100)を収容した筐体(200)の流出領域に対向する、請求項6に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項8】
前記篩面(1)の両側の一方における多数の通流孔(3)が鋭利なエッジを有するように設計された、請求項2〜7のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項9】
多数の通流孔(3)が前記篩面(1)の片側で丸みを帯びるように設計された、請求項2〜8のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項10】
多数の通流孔(3)が両側に丸みを帯びるように設計された、請求項2〜7のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項11】
少なくとも1つの血液適合性基材から製造された、請求項1〜10のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項12】
少なくとも1つの血液適合性材料で被覆された、請求項1〜11のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項13】
筐体(200)内に配置された、請求項1〜12のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項14】
当該凝血塊捕捉器(100)が前記筐体(200)に接続された、請求項13に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項15】
当該凝血塊捕捉器(100)が前記筐体(200)にスナップ留めされた、請求項13に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項16】
当該凝血塊捕捉器(100)が前記筐体(200)に溶着された、請求項13に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項17】
当該凝血塊捕捉器(100)の上側の少なくとも一部分にカバー手段を備えた、請求項1〜16のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項18】
前記カバー手段が少なくとも1つのセンサ(23)のための結合面として機能する、請求項17に記載の凝血塊捕捉器(100)。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)を含む外部機能手段。
【請求項20】
前記外部機能手段が血液カセットである、前記外部機能手段。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)を少なくとも1つ含む血液回路。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の凝血塊捕捉器(100)、および/または、請求項19または20に記載の外部機能手段、および/または、請求項21に記載の血液回路を含む処理装置。
【請求項23】
前記処理装置が血液処理装置として構成された処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−524560(P2012−524560A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506377(P2012−506377)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002297
【国際公開番号】WO2010/121743
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(597075904)フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【Fターム(参考)】