説明

処方

【課題】活性化合物の経口投与のための安定な医薬組成物の提供。
【解決手段】少なくとも2つの別の処方を含む経口医薬組成物であって、2−[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]−酢酸及びそれらのアミドから選ばれた活性化合物を含む第一の処方であって、その第一の処方は、ラクトースは例外として、950未満の分子量のポリオールを式Iの活性化合物の10を超すモル比で含まない、第一の処方と、分子量が3000未満の1つ又はそれ以上の固体ポリオールを含み、如何なる薬物も含まない第二の処方と、を含み、該組成物はドライシロップである組成物とすることによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性化合物の経口投与のための医薬組成物に関する。
【0002】
本発明において、考察される活性化合物は、一般式Iを有する2−[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]−酢酸及びそれらのアミドである。
【化1】


式中、
は−COOH基又はCONH基であり、
及びXは、独立して、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、直鎖又は分枝C−Cアルコキシ基又はトリフルオロメチル基並びにそれらの医薬品的に許容できる塩、幾何学的異性体、鏡像異性体、ジアステレオマ及びそれらの混合物である。
【0003】
式Iに示した化合物は、経口投与で活性で、選択的なヒスタミンH受容体拮抗剤である。それらは欧州特許第0,058,146号に記載されており、その内容を本明細書に参考文献として組み入れる。これらの化合物の例には、そのジハイドロクロライドが商品名Zyrtec(登録商標)で販売されているセチリジン、その(S)鏡像異性体で、そのジハイドロクロライドが商品名Xyzal(登録商標)で販売されているレボセチリジン及びそのジハイドロクロライド形のエフレトリジンが含まれる。
【0004】
これらの活性化合物の経口処方(oral formulations)で遭遇する重大な問題は、式Iの活性化合物の苦味によって生じる味である。これは、特に噛むことができる速溶解性の製剤で顕著である。
【0005】
従来の技術で、活性剤一般の苦味をマスクするいくつかの試みがなされている。
【0006】
米国特許第5,244,881号は、例えば、サイクロデキストリンへの封入によって、活性剤イミプラミン又はその誘導体のトリミプラミンの苦い味をマスクできることを教示している。封入複合体は、イミプラミン又はトリミプラミンとサイクロデキストリンを少量の水又は溶媒中に溶解し、得られた混合物を注意深く混合し、その混合物を蒸発することによって、調製される。
【0007】
しかしながら、味をマスクすることで、味のよい医薬組成物を得るのは、かならずしも十分ではない。良好な味には通常、組成物に更にポリオールの添加が必要である。用語「ポリオール」は本明細書で用いられるように、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、スクロース、ラクトース、マルトデキストリン、アルファサイクロデキストリン、べータサイクロデキストリン、ガンマサイクロデキストリン及び多糖類を含むが、これらに限定されない。マンニトールは、特に式Iの活性化合物を含む製剤の味を改善するのに適した物質であることが証明されている。しかし、そのような組成物には重要な欠点がある。式Iの化合物は、マンニトールを含むあるポリオールの存在下で、例えば、欧州特許第0811374A1号に開示されているような、望ましくない反応生成物を生じる。この副反応は、水の存在下及び/又は温度の上昇で増加する。マンニトール及び他のポリオールの存在は、従って、式Iの化合物の安定性の問題を生じる可能性がある。
【0008】
これまで、望ましくない反応生成物を避けるためには、組成物中のこれらのポリオールの存在を避けるか、又は、配合前に式Iの活性化合物を、例えばセルロース又はアクリレートポリマーでコーティングする以外に選択枝はなかった。
【0009】
第一の場合は、微結晶セルロースのような他の賦形剤を使用すると、微結晶セルロースが水に完全に溶解せず、従って口の中で砂のような感じを残すことで、錠剤の味を損なう。
【0010】
第二の場合は、式Iの活性化合物とポリオールの間の相互作用を避けるために必要なコーティングの厚みが、医薬品の剤型からの薬物の速い遊離を妨げる。
【0011】
欧州特許第0811374A1号は剤型全体が、ポリオールを含む反応性アルコールを含んではならないことを教示している。従って、この開示によれば、味改善ポリオールは経口組成物全体に使用できない。好ましい実施の形態を示すと述べている欧州特許第0811374号の実施例2は、明らかに味改善ポリオールが存在しないことを示す。この組成物中に存在する唯一のポリオールは、味のマスキングと異なる機能を有する高分子量ポリオール(MW3350)である、ポリエチレングリコールである。
【0012】
本発明の目的は、ポリオールの存在下での安定性の喪失の欠点を、味が良く、製品の性能の不利な変化を避ける仕方で克服することである。
【0013】
本発明によって解決すべき問題は、従って、式Iの活性化合物と味を改善するポリオールを含む経口組成物の味を改善し、同時に、活性化合物の安定性の損傷を避け、至適放出動態を維持することである。
【0014】
味マスキングポリオールは一般に、固体であり、分子量は3000未満である。
【0015】
本発明者らは、式Iの活性化合物とポリオールとの相互作用によって生じる安定性の喪失は、ポリオールの分子量の減少と相関することを見出した。
【表1】

【0016】
一般に、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、デキストロース又はサッカロース(表1参照)のような低分子量ポリオールは、反応性又は非常に反応性であり、望ましくない大量の反応生成物を生じる。他方、サイクロデキストリン(表1参照)のような高分子量ポリオールは反応性が非常に低い。
【0017】
驚くべきことに、分子量と反応性のこの相関はラクトースには当てはまらない。ラクトースの分子量はスクロースと同じであるが、式Iの活性化合物と実際上、反応性を示さない。
【0018】
従って、非常に反応性のポリオールは、300未満の分子量を有するポリオールと定義されるべきである。ラクトースは例外として、反応性ポリオールは300から950の間の分子量を有するポリオールである。
【0019】
発明者らは、反応性又は非常に反応性のポリオールは、もしもこれらのポリオールと活性化合物のモル比が10を超えなければ、式Iの活性化合物と望ましくない反応生成物の許容できない量を生じない。もしも、反応性又は非常に反応性のポリオールと式Iの活性化合物のモル比が5を超えなければ、望ましくない副生成物の割合は更に小さくなる。
【0020】
これらの所見に基づいて、第一の処方(formulation)に、単に臨界的なレベルまでの一般式Iの活性化合物と反応性又は非常に反応性のポリオールを含み、且つ第二の処方に、良い味を達成するのに必要なポリオールを含むが、薬物を含まない、2つの処方から調製された組成物を提供する、本発明によって技術上の問題が解決される。それによって、望ましくない反応生成物の形成が大幅に取り除かれ、不愉快な味が効率的に削減され、マスクされる。
【0021】
この問題の解決は、欧州特許第0811374A1号の教示と非常に異なる。この文書は、中間の放出セチリジン成分が剤型に導入される時、及びその後に、剤型が本質的に反応性アルコールを含んではならないことを教示し、従って、反応性ポリオールは全成分から排除されなければならないことを教示している。欧州特許第0811374A1号に開示されたアルコールは、本発明と完全に異なった機能、即ち、偽エフェドリンの放出を容易にするために、溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール及びグリセリンのような低分子量アルコール)として、又は高分子量化合物(ポリエチレングリコール)として機能する。低分子量アルコールは、望ましくない反応生成物を防止するために、セチリジンが添加される前に取り除かれる。
【0022】
本発明によれば、反応性ポリオールは第二の層中に任意の量で存在してもよい。勿論、本発明によれば、噛むことができ、速く溶解する医薬組成物に必須である味の改良には、第二の処方中に、3000未満の分子量の固体ポリオールの存在が必要である。
【0023】
欧州特許第0811374A1号は、剤型が口の中で分散することを意図したものでなく、全体が飲み込まれる剤型であるので、味のマスキングと関係がない。
【0024】
従って、本発明は、
一般式Iを有する2−[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]−酢酸及びそれらのアミドを含む第一の処方
【化2】


式中、
は−COOH基又は−CONH基であり、
及びXは、独立して、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、直鎖又は分枝C−Cアルコキシ基又はトリフルオロメチル基並びにそれらの医薬品的に許容できる塩、幾何学的異性体、鏡像異性体、ジアステレオマ及びそれらの混合物であり、その第一の処方が、300未満の分子量のポリオールを、ポリオールと式Iの活性化合物の10を超すモル比で含まず、
分子量が3000未満の1つ又はそれ以上の固体ポリオールを含み、如何なる薬物も含まない第二の処方、
の少なくとも2つの別の処方を含む経口医薬組成物に関する。
【0025】
固体ポリオールは、大気圧下、室温で液体でないポリオールとして定義される。
【0026】
好ましい態様では、第一の処方が、ラクトースは例外として、ポリオールと式Iの活性化合物の10を超すモル比で、分子量950未満のポリオールを含まない。ラクトースは式Iの活性化合物と顕著な反応性がないので、高い割合で存在してもよい。
【0027】
本発明の他の好ましい態様では、第一の処方が、ポリオールと式Iの活性化合物の5を超すモル比で、分子量300未満のポリオールを含まない。
【0028】
本発明のより好ましい態様では、ラクトースは例外として、第一の処方が、ポリオールと式Iの活性化合物の5を超すモル比で、分子量950未満のポリオールを含まない。
【0029】
本発明の更に好ましい態様では、第一の処方が、分子量300未満のポリオールを含まない。
【0030】
本発明の他のより好ましい態様では、ラクトースは例外として、第一の処方が、分子量950未満のポリオールを含まない。
【0031】
本発明で用いられるように、式Iの活性化合物という用語は、上に定義したように、一般式Iを有する2−[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]−酢酸及びそれらのアミド、及びそれらの毒性のない、医薬品的に許容できる塩、幾何学的異性体、鏡像異性体、ジアステレオマ及びそれらの混合物(ラセミ体)に関係する。好ましい態様では、第一の処方中の活性化合物はセチリジンジハイドロクロライド、レボセチリジンジハイドロクロライド又はエフレトリジンジハイドロクロライドである。
【0032】
薬物という用語は式Iの活性化合物及び任意の他の薬物を含む。
【0033】
好ましくは、経口組成物は、ただ1つの活性成分を含む。
【0034】
第二の処方中に使用されるポリオールは通常、式Iの活性化合物の苦い味を減らし、製剤の味を改善する能力を有するものである。例としては、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、デキストロース、サッカロース、多糖類が含まれるが、マンニトールが好ましい。
【0035】
処方は粉末、顆粒、溶液又は懸濁液の形で調製される。
【0036】
コーティングを行うには溶液と懸濁液が使われる。
【0037】
第一及び/又は第二の処方はアルカリ化剤も含むことができ、好ましくはクエン酸ナトリウムである。この薬剤はポリオールと式Iの活性化合物の間の望ましくない反応生成物の産生を減らす。
【0038】
第一の処方はコロイド状無水シリカ、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、フレーバー又は着色剤又はその混合物のような1つ又はそれ以上の追加の賦形剤を含むことができる。
【0039】
第一の処方は、上に規定したように、特別なモル比での、特別な分子量の条件に該当しなければ、ポリオールを含んでもよい。第一の処方は、更に、アセサルフエームK、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム又はシクラメートのような非ポリオール甘味剤を含むことができる。
【0040】
本発明での使用に適したフレーバーには、精油及びミカン油、果実エッセンス、ペパーミント油、スパーミント油、クローブ油、ウインターグリーン油、アニス、ユーカリプタス及び類似物のような合成フレーバーが含まれる。当業者に周知の他の合成フレーバーもまた本発明の範囲内である。
【0041】
本発明によって、錠剤、チューインガム、沸騰錠剤又はドライシロップを含む、あらゆる形の経口組成物が考えられる。
【0042】
ドライシロップは、例えば、この形で、又は液体に添加後、経口で投与する目的の粉末又は顆粒のような固体の処方として定義される。
【0043】
従って、本発明は、特別な態様において、それぞれの層が処方の1つから調製される、二重層の錠剤に関する。
【0044】
粉末の両処方は別々に混合され、ついで二重層回転錠剤プレスで圧縮される。
【0045】
圧縮という用語は、応力をかけることによる、粉末床の容量の減少として定義される(Goran Alderborn及びChryster Nystrom編“Pharmaceutical powder compaction Technology”、p.vii,Marcel Dekker,Inc.,New York参照)。
【0046】
他の態様で、本発明は、不活性な層が2つの処方から調製された層を分離する、三重層錠剤に関する。
【0047】
同様に本発明による更なる錠剤のデザインには、例えば、1つの処方から作られる内部層が両側が、他の処方で作られた層によってコーティングされた「サンドイッチ」デザイン、又は1つの処方で調製された内部コアと他の処方で作られた外部殻を有する二重錠剤、又は第一と第二の処方から調製された第一と第二の層に加えて更なる層を含む多重層錠剤が含まれる。
【0048】
本発明の更なる態様は、1つが式Iの活性化合物を含み、1つがポリオールを含む、顆粒の形に調製される2つの処方の混合物から作られたドライシロップに関する。
【0049】
この場合、粉末処方は別々に混合され、ついで、別々に閉め固め、粉砕し及び篩い分けられ、2種類の顆粒が得られる。これらの顆粒を共に混合し、最終製品が得られる。
【0050】
ドライシロップの効果的な調製のためには、それぞれの処方の別々の閉め固めが好ましい。
【0051】
閉め固めの用語は、粉末圧縮によって、決められた形の密着性標本への、粉末の変形と定義される(Goran Alderborn及びChryster Nystrom編“Pharmaceutical powder compaction Technology”、p.vii,Marcel Dekker,Inc.,New York参照)。
【0052】
本発明の更なる態様は、例えば、第一の処方から作られ、更にガム基材を含むコアと第二の処方から作られたコーティングから作られたチューインガムに関係する。替わりに、チューインガムは、第二の処方から作られ、更にガム基材を含むコアと第一の処方から作られたコーティングから作られてもよい。
【0053】
本発明においてチューインガムを調製するために用いられるガム基材は、天然及び合成基材を含む従来の技術で周知の任意の適したガム基材であってもよい。
【0054】
本発明によるすべての組成物は、更に1つ又はそれ以上の外部コーティングを含んでもよい。
【0055】
サイクロデキストリンが存在する場合は、サイクロデキストリンと式Iの活性物質とのモル比は10:1から1:1の範囲である。第一の処方と第二の処方の重量比は1:20から20:1である。
【0056】
本発明による組成物は口の中で分散可能で、欧州特許第0811374A1号に開示された、水とともに飲み込まなければならない剤型と対照的に、水を取り込む必要がない。本発明の組成物は、例えば、口腔分散性の錠剤(飲み込む前に、速く分散する、口の中に入れる錠剤)の形であり、それらは噛むことができ、又は、がりがり噛む又はしゃぶってもよい。
【0057】
実験結果は、口の中で分散する、本発明による組成物は、飲み込んむ剤型と生物学的に同等であることを証明している。本発明による組成物は中間放出性処方、即ち、作用部位に対する活性成分の配置速度に影響がないか、又は少ない医薬品処方であることが好ましい。
【0058】
他の態様は、本発明によって、第一の処方と第二の処方を別々に調製し、2つの処方を組み合わせることによって、組成物を調製する方法に関する。処方は、圧縮、直接圧縮、顆粒化、湿式顆粒化、コーティング等の通常の技術によって得られる。技術は当業者に周知である。
【0059】
本発明と共に、更に味マスキング技術を用いることができる。マスキング技術を1つ又は両方の処方に適用して、マスキングの性質が得られる。
【0060】
本発明を次の実施例によって説明する。
【実施例1】
【0061】
セチリジン二重層の噛める錠剤
2つの処方を別々に調製した。これらの処方の組成を表2と3に示す。

表2.二重層錠剤のためのセチリジン2塩酸の組成

成分 組成(mg/錠)

セチリジン2塩酸 10.00
βサイクロデキストリン 82.50
アセサルフエームK 3.50
コロイド状無水シリカ 1.10
微結晶性セルロース 43.86
フレーバー 0.80
ラクトース一水和物 55.00
染料 0.48
ステアリン酸マグネシウム 2.76

表3.二重層錠剤のためのマンニトール処方の組成

成分 組成(mg/錠)

マンニトール 241.21
アセサルフエームK 4.69
フレーバー 1.00
染料 0.60
ステアリン酸マグネシウム 2.50

【0062】
ついで、セチリジン及びマンニトール処方を回転二重層錠剤プレス(例えばCourtoy292/43)で圧縮した。
【0063】
錠剤を25℃−60%相対湿度(RH)、30℃−60%RH及び40℃−75%RHでアルミニウム/アルミニウムブリスター(Alu/Aluブリスター)中及び高密度ポリエチレン(HDPE)瓶中に3ヶ月間に置いた。表4にこの安定性試験の結果を示す。

表4.セチリジン二重層の噛める錠剤の安定性試験

包装 条件 セチリジン(%) 反応生成物(%)

HDPE瓶 25℃−60%RH 100.50 0.10
30℃−60%RH 100.00 0.20
40℃−75%RH 99.27 0.29

Alu/Alu 25℃−60%RH 96.28 0.10
ブリスター 30℃−60%RH 99.32 BLQ
40℃−75%RH 99.99 0.22

BLQ:定量の下限(=0.1%)

【0064】
水分含量、粉砕抵抗、崩壊時間、溶出速度も測定し、すべての錠剤は保存条件に関係なく、すべての規格に適合した。
【実施例2】
【0065】
セチリジンドライシロップ
2つの処方を別々に調製した。表5と6にこれらの処方の組成を示す。

表5.ドライシロップのためのセチリジン2塩酸処方の組成

成分 組成(mg)
A B C

セチリジン2塩酸 10.00 10.00 10.00
βサイクロデキストリン 82.50 82.50 82.50
アセサルフエームK 3.00 3.00 3.00
微結晶性セルロース 279.00 83.70 0.00
ラクトース一水和物 0.00 195.30 0.00
クエン酸ナトリウム 25.50 25.50 0.00

合計 400.00 400.00 95.50

表6.ドライシロップのためのマンニトール処方の組成

成分 組成(mg)


マンニトール 399.60
フレーバー 0.40

合計 400.00

【0066】
処方A,B,C及びDを別々に閉め固め、粉砕し及び篩い分けし、顆粒A’、B’、C’及びD’を得た。ドライシロップの最終の組成は、顆粒A’、B’、C’及びD’を表7に記載した割合に従って混合して得た。

表7.ドライシロップの組成

組成 成分(mg)
A’ B’ C’ D’

E 400.00 0.00 0.00 400.00
F 0.00 400.00 0.00 400.00
G 0.00 0.00 95.50 404.50
H 100.00 0.00 0.00 200.00

【0067】
ドライシロップを25℃−60%RH、30℃−60%RH及び40℃−75%RHで、アルミニウム/アルミニウムブリスター中に10週間に置いた。表8に製剤中に検出された、望ましくない反応生成物の割合を示す。

表8.10週後のドライシロップ中の望ましくない反応生成物の割合

組成 条件 反応生成物(%)

E 25℃−60%RH 0.00
30℃−60%RH 0.00
40℃−75%RH 0.26

F 25℃−60%RH 0.00
30℃−60%RH 0.00
40℃−75%RH 0.31

G 25℃−60%RH 0.00
30℃−60%RH 0.06
40℃−75%RH 0.34

H 25℃−60%RH 0.03
30℃−60%RH 0.04
40℃−75%RH 0.30


すべての処方が規格に適合する。
【実施例3】
【0068】
セチリジンチューインガム
圧縮によって得られた、セチリジンを含むコアで作られたチューインガムとポリオールを含むコーティングの組成を表9に示す。

表9.チューインガムの組成

成分 組成(mg)

コア:
セチリジン塩酸 10.00
βサイクロデキストリン 100.00
ガム基材 660.00
アスパルテーム 3.00
アセサルフエームK 2.00
コロイド状シリカ 30.00
タルク 30.00
ステアリン酸マグネシウム 20.00
甘味料 65.00
フレーバー 80.00

コーティング:
キシリトール 382.50
マンニトール 85.00
ポリエチレングリコール 6000 10.00
二酸化チタン 10.00
アラビアゴム 10.00
フレーバー 2.50
カーナバ蝋 0.0015

これは二重錠及びドライシロップの場合であるので、チューインガムは安定性の要求に適合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの別の処方を含む経口医薬組成物であって:
一般式Iを有する2−[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]−酢酸及びそれらのアミドから選ばれた活性化合物
【化1】


式中、
は−COOH基又は−CONH基であり、
及びXは、独立して、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、直鎖又は分枝C−Cアルコキシ基又はトリフルオロメチル基並びにそれらの医薬品的に許容できる塩、幾何学的異性体、鏡像異性体、ジアステレオマ及びそれらの混合物、を含む第一の処方であって、その第一の処方が、ラクトースは例外として、950未満の分子量のポリオールをポリオールと式Iの活性化合物の10を超すモル比で含まない;及び
分子量が3000未満の1つ又はそれ以上の固体ポリオールを含み、如何なる薬物も含まない第二の処方;
を含み、
該組成物がドライシロップである、上記組成物。
【請求項2】
第一の処方が、ラクトースは例外として、分子量950未満のポリオールをポリオールと式Iの活性化合物の5を超すモル比で含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
第一の処方が、ラクトースは例外として、分子量950未満のポリオールを含まない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
第一の処方が、シクロデキストリンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
第二の処方中のポリオールがマンニトールである請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの処方が、更にアルカリ化剤を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
アルカリ化剤がクエン酸ナトリウムである請求項6記載の組成物。
【請求項8】
第一の処方が、サイクロデキストリン、コロイド状無水シリカ、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、フレーバー又は着色剤から選ばれた1つ又はそれ以上の賦形剤を更に含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
第一の処方が、アセサルフエームK、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム又はシクラメートのような非ポリオール甘味剤を更に含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
第一の処方の活性化合物がセチリジンジハイドロクロライド、レボセチリジンジハイドロクロライド又はエフレトリジンジハイドロクロライドである請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
第一の処方がサイクロデキストリン、ラクトース一水和物、クエン酸ナトリウムを含み;第二の処方がマンニトールを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
第一の処方がサイクロデキストリン、微結晶セルロース、ラクトース一水和物を含み;第二の処方がマンニトールを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
第一の処方がサイクロデキストリン、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウムを含み;第二の処方がマンニトールを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
第一の処方がサイクロデキストリン、微結晶セルロース、ラクトース一水和物、クエン酸ナトリウムを含み;第二の処方がマンニトールを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
1つの型の顆粒が、第一の処方の閉め固めで作られ、他の型の顆粒が、第二の処方の閉め固めで作られる、2つの型の顆粒の混合物から調製されたドライシロップである請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。

【公開番号】特開2010−120963(P2010−120963A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35633(P2010−35633)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【分割の表示】特願2003−559491(P2003−559491)の分割
【原出願日】平成15年1月14日(2003.1.14)
【出願人】(504000041)ユセベ ファルシム ソシエテ アノニム (9)
【Fターム(参考)】