説明

処理、包埋、およびミクロトームによる切片化手順中に組織標本をハンドリングし保持するカセット及び包埋アセンブリ、そのための載置装置、およびそのための方法

【課題】製作能力の向上、ならびに包埋組織標本の質、およびその後で得られる、診断にかけられることになる包埋組織のスライスまたはリボンの質を向上させ、かつばらつきをより少なくするカセットを提供する
【解決手段】ミクロトーム内で切片化可能なカセット(10)は、その第1および第2の側壁(22a〜22c)が概ねV形であり、カセット(10)の蓋(32)は、カセット(10)の底壁(24)よりも剛性が高い。このカセットの側壁(22a〜22d)には、穴が開けられている。また、1つの側壁(124a)上のリブ(128)は、反対側の側壁(124b)上のリブ(128)に対して相対的に長手方向にオフセットされる。このカセットの上部フランジ(140)は、フレーム(12)内の移動止め(54、56および58、60)と位置が合うように構成されたくぼみ(142a〜142f)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、病理分析用の組織標本をハンドリングし包埋する支持体に関し、より詳細には、1つまたは複数の組織標本を受け取り、包埋され、その後、この1つまたは複数の組織標本とともにミクロトームにより切片にし得るカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
組織の様々な疾患および状態を正確に診断するために、医療従事者は、患者の身体から1つまたは複数の組織標本を取り出さなければならない。身体から組織を採取するこの工程は、生検として知られている。1つまたは複数の組織標本が取り出され、病理検査室に送られると、この組織は、組織学技師、および最終的には病理学者によって実施される一連の手順を経て診断されることになる。本発明は一般に、1つまたは複数の組織標本を病理学者が顕微鏡下で分析し得るスライドの形で準備するために、組織学技師によって通常実施される手順に関係するものである。
【0003】
本明細書全体を通じて単数形の「標本」という用語を用いるが、この用語は、「複数の標本」という複数形も同様に含むことを理解されたい。患者の身体から組織標本が取り出されると、この組織標本は典型的には、組織固定溶液が入った試料容器中に置かれ、次いで、この容器は病理検査室に移される。この組織は、病理検査室では「グロスイン(grossing−in)」として知られる工程にかけられることになる。この工程中に、組織学技師は、容器から組織標本を回収し、典型的にはこの組織を、組織処理を行うのに適切なサイズに切断し、個々の標本を適切に寸法設定された小型のプラスチック製組織カセット内に置き、各カセットに追跡番号を割り当てる。次いで、これらの追跡番号を検査室で使用する追跡システムに記録する。単に断片であり得る最小の組織標本用のカセットは、側面および底面に微細なメッシュ状の開口を有する。極めて小さい組織標本が関与する他の状況では、これらの標本を、ティーバッグに似たバッグ内に置き、これら最小の組織標本がなくなることを防ぐ。比較的大きな組織標本は、いくらか大型のスロット開口を有するカセット内に置く。この場合も、これらの開口は、カセット内の組織標本よりも小さい。
【0004】
次いで、これらのカセットをステンレス綱製の穴あきバスケット内に置き、多くの場合一晩中、組織処理機にかける。この機械は、真空、熱、および化学物質の組合せを利用して間質液を除去する。組織標本からこれらの液を除去した後で、この処理機は、この組織標本を溶融パラフィン浴に浸して、組織内の隙間をパラフィンで置き換える。次いで、組織学技師は、機械からバスケットを取り出し、個々の組織カセットを取り出す。溶融パラフィン溜めおよび分注器を有する包埋ステーションで、組織学技師は、各カセットから組織を個々に取り出す。組織学技師は、組織カセットとほぼ同じサイズで、溶融パラフィンが部分的に充填されたステンレス綱製ベースモールド内に、組織のタイプに基づいて、組織標本の向きに注意して入れなければならない。この組織標本は、典型的にはピンセットを使用して手作業で、このモールドの底部に押し付けて保持しなければならない。組織標本がこのように保持されない場合、後でミクロトーム内でこの組織を適切なスライスにしにくくなる恐れがある。次いで、この溶融パラフィンを、TEC(熱電式冷却器)とし得る冷却プレート上で急速に冷却させ、パラフィンを部分的に凝固させ、それによって、正しい向きでモールドの底部に押し付けて組織標本を保持する。その後、カセットをベースモールドの上部に置き、カセットの上部開口を通してベースモールド内にパラフィンを注ぐ。この手順のこの時点で、カセットの機能が、組織保持コンポーネントから、ミクロトーム内で凝固したパラフィンから削り出す断片すなわちスライスを取得する際に後で使用する固定化装置に変わる。このベースモールドを、溶融パラフィンがすべて凝固するまで冷却し、組織学技師は、包埋されたパラフィンのブロックからステンレス綱製ベースモールドを取り出す。こうすると、プラスチック製組織カセットが反対側にある状態で、組織標本が矩形のパラフィンブロック内に包埋される。この組織カセットは、その後、ミクロトームのチャック内でホルダとして使用することになる。組織処理機の場合と同様に、この包埋工程はバッチで実施され、この工程中に、平均的な組織学技師は、1時間当たり約40〜60個のカセットを包埋することができる。
【0005】
この時点で、包埋された組織標本を含む硬化したパラフィンブロックを、顕微鏡スライド上に配置するために極めて薄い切片にスライスする準備が整っている。組織学技師は、包埋された組織ブロックを、包埋されたプラスチックカセットを有するブロック面を受けるように寸法設定されたミクロトーム上のチャック内に取り付ける。次いで、組織学技師は、プラスチックカセット表面の反対側に包埋された組織標本を含むパラフィンブロックのスライス処理を開始することができる。これにより、パラフィン内に包埋された組織のリボン状の個々のスライスが得られる。ミクロトームの動作が正常に行われると、個々のスライスは互いにくっついている。その後、これらの極めて薄いリボン状のスライスを水浴中に浮かべ、このスライスの下に、ガラススライドを注意深く置く。こうすると、薄い切片にされた組織標本が中に包埋されたスライスが、スライドの上面に付着する。
【0006】
組織学技師により組織標本から十分な数のスライドが得られると、これらのスライドは自動染色機内に配置される。この染色機では、一連の浸潤ステップを経て、このスライドの異なる組織および細胞が異なる色に染色される。こうすると、病理学者が異なる構造を識別する助けになり、組織中の異常を発見することがより容易になる。この染色手順が完了した後で、これらのスライドにカバーガラスを載せ、それらを病理学者が顕微鏡下に置いて分析する準備が整えられる。
【0007】
上記で示した手順の概要に基づいて、従来方式の組織標本のハンドリングおよび処理が、組織学技師が実施するいくつかの手作業のステップを伴う極めて労働集約的な工程であることが理解されよう。このため、手根管症候群など、繰り返し圧迫を受けることによる障害が蔓延している。これは、組織標本を包埋する工程に特に当てはまる。これら複数の手作業の操作および組織を繰り返しハンドリングすることにより、人的ミスの確度が高くなり、さらに、病理学者が分析を行うスライドに最終的に付着させる組織標本を最適な状態かつ向きにして正確な診断が行われるようにするために、高度な訓練を受けた熟練組織学技師が必要になる。
【0008】
特許文献1は、グロスイン、包埋、およびミクロトームによる切片化すなわちスライスの手順中に、組織標本を保持する新しいやり方を含めて、この領域の技術に対する様々な改善点を開示している。より詳細には、特許文献1は、組織を閉じ込め支持する装置に関係するものである。この装置は、カセットとすることができ、これをミクロトームで切削し得る。カセットを使用する場合、このカセット内で組織標本を固定し、組織液をパラフィンで置き換える工程にかける。次いで、この組織標本およびカセットを同時にスライスして、顕微鏡スライドに載せる。この組織標本は、それを組織処理機で処理するときから、ミクロトームで切削するときまで、カセットから取り出さないので、かなりの長さのハンドリング時間が節約される。さらに、別々の組織ハンドリングステップが不要になるために、人的ミス、または、例えばハンドリング中に組織を落として組織がなくなる可能性がかなり小さくなる。この特許は、全手順中のハンドリングステップを新規な組織カセットと組み合わせてさらに少なくする自動化工程も、概略的に論じている。
【特許文献1】米国特許第5,817,032号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この分野では様々な進歩がなされているが、製作能力の向上、ならびに包埋組織標本の質、およびその後で得られる、診断にかけられることになる包埋組織のスライスまたはリボンの質を向上させ、かつばらつきをより少なくすることに関係するさらなる改善がますます求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は一般に、包埋、およびミクロトームによる切片化すなわちスライスの工程中に組織標本を保持するカセットに関係するものである。このカセットは、組織標本を受け取る内部スペースを画定するための、底壁およびこの底壁に対して上向きに延びる複数の側壁を備えた本体を含む。この底壁および複数の側壁は、ミクロトーム内で切片にし得る材料から構成される。このカセット材料は、カセットが本発明に従って機能しにくくなる、処理中のいかなるタイプの劣化にも耐えることが好ましい。本発明の第1の態様では、これら複数の側壁は、底壁の両側に第1および第2の側壁を含む。各側壁は、第1および第2の側壁のほぼ中点から、底壁の反対側の第1および第2の側壁に向かって曲がった部分を含む。好ましい実施形態では、矩形のカセットを構成する4つの側壁のうち最も長い2つの側壁は、カセット内部から離れる方向にほぼV形である。こうすると、包埋工程が完了した後で、ミクロトームの刃にはV形の頂点が向けられ、これが切削動作の助けとなる。具体的には、この形状により、ミクロトーム内でのスライスの作製中に、硬化したパラフィンがカセットの側壁材料から破壊または割れによりとれることが少なくなるか、あるいはなくなることがわかっている。
【0011】
好ましくは、このカセットはさらに、本体に結合されて、開位置と閉位置との間で移動するように構成された蓋を含む。この蓋は、カセット内部の組織標本の上部を下向きに押すことができる。この蓋は、カセットの底壁よりも剛性が高いことが好ましい。この特徴により、包埋工程中にこの蓋は、カセット内の組織標本をモールドの底部に平行に位置決めすることができる。より具体的には、溶融パラフィンが凝固する間、このより剛性が高い蓋は、組織標本およびカセットのより可撓性が大きい底壁を、ベースモールドの剛体の底部に押し付ける。こうすると確実に、組織標本をスライスする前のミクロトーム内での面出し操作中にカセットの底壁全体を取り除くことができ、かつカセットの底壁に対して組織を平らに位置決めする助けとなる。
【0012】
本発明の別の態様では、カセットの側壁は、開口区域と中実材料区域とが少なくとも約2.5:1の比になるように穴が開けられ、そのため、凝固したパラフィンが側壁の開口区域を占める。この比は、カセットおよび/またはパラフィン包埋媒質に異なる材料を使用することによって変更し得る。例えば、分子量がより大きいパラフィンまたは分子量がより小さいカセットにより、この比をいくらか変えることができる。現在、業界標準のパラフィン(例えば、SakuraVIPの処理/包埋媒質)は、少なくとも約3.0:1、より好ましくは少なくとも約3.5:1の比で最も良好に機能する。こうすると、組織のスライスを取得する間に、ミクロトームの刃によって切り出さなければならないカセット材料の量が少なくなり、したがって、刃の寿命が延び、得られるリボン状の包埋組織標本の質が高くなる。さらに、上記の比を用いることによって確実に、パラフィンが、ミクロトームの刃によって切り出されるときに破砕しない十分な強さが得られる。別の特徴により同様の利点が得られる。これは、リブから側壁を形成し、第1および第2の側壁の一方のリブを、側壁の長さに沿って、反対側の側壁のリブに対してオフセットすることに関係するものである。こうすると、ミクロトームの刃は、各切出し操作中に、その長さに沿ってより均一な量のカセット材料に接触することになる。こうすると、カセット材料を切り出す間の刃の摩耗がかなり少なくなる。用いられる大部分の刃は使い捨てなので、刃の摩耗が少なくなると、刃のコストを管理するのに有利である。
【0013】
本発明の別の態様では、カセットはさらに、少なくとも2つの側壁の上側部分に沿って延びるフランジを含む。このフランジは、組織包埋工程中に、フレーム内の移動止めと位置が合うように構成されたくぼみを含む。これにより、カセット内部の有効高さ寸法が大きくなり、それによって、より多くの組織がカセット内に置かれ、ミクロトーム内でより多くの切出し操作を行うことができる。この点について、ミクロトームの各切出し動作により取得されるスライスは、たかだか5ミクロンにすぎないことがある。したがって、例えば、深さが0.14インチのくぼみを使用すると、ミクロトーム内で取得し得るスライスの数は、約70枚よりも多くなることがある。
【0014】
本明細書で開示するように、本発明ではさらに、2つ以上の組織カセット、フレーム、およびベースモールドからなる様々な独特のアセンブリが企図されている。フレームおよびベースモールドに関して、例えば、フレームをベースモールドに物理的に押し付けて保持する構造が提供される。好ましい実施形態では、このような保持機能を実施し、かつベースモールドから液体パラフィンの漏れをも防ぐシールが設けられる。
【0015】
本発明の別の態様では、フレーム内の組織包埋工程中に使用する上側位置から、このフレーム内の下側位置に組織標本カセットを載置する装置が企図されている。この装置は、ハンドルと、このハンドルに結合され、カセットの上面と係合するように構成された載置機構と、このハンドルに動作可能に結合され、カセットがフレーム内の下側位置に達したときに載置機構の垂直移動を止めるように構成されたストッパとを含む。この載置機構はさらに、複数のフィンガを備える。これら複数のフィンガは、カセットの上面の対応する複数の区域と係合するように構成される。例えば、カセット上の4つのコーナ区域と係合させるために、4本のフィンガを提供し得る。こうすると確実に、カセットが、カセットのコーナ部分に近接して配置された少なくとも4対の移動止めと係合し、それによって、カセットの底壁が、ベースモールドの底壁に平行に、かつ押し付けられて位置決めされる助けとなる。
【0016】
一実施形態では、載置装置は剛体部材であり、ストッパは、固定ストッパ部材を含む。この固定ストッパ部材は、移動できるように載置機構に結合され、フレームの上面に当たって止まるように構成される。別の実施形態では、この装置は安定化機構を含む。この安定化機構は、ハンドルに結合され、載置機構に対して相対的に移動可能である。この安定化機構は、載置機構がカセットをフレーム内で上側位置から下側位置に移動させるときに、フレームの上面と係合するように構成される。この実施形態では、載置機構は、通常はばねで付勢されて上方位置にあり、カセットを上側位置から下側位置に移動させるときに、このばねによる付勢に対して下向きに力が加えられる。この実施形態のストッパはさらに、ハンドルおよび安定化機構のそれぞれの表面を含み、これらの表面は、載置機構によりカセットが下側位置に置かれたときに互いに係合する。本発明の載置装置は、このカセットが押されてフレームを貫通して先に行きすぎないようにしながら、確実にカセットをベースモールド内に完全に載置する。この載置装置はさらに、カセットの底壁、したがって組織標本が、ベースモールドの底部に押し付けられて平らになるようにする。こうすると、後でミクロトーム内で作製される組織の削り出す効率および削り出された断片の質が改善する。
【0017】
本明細書で開示するように、本発明は、組織カセットを使用する様々な方法およびカセット/フレーム/ベースモールドのアセンブリも含む。
【0018】
本発明の上記その他の目的、利点、および特徴は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せ読めば、当業者にはより容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
まず図1〜図3に移ると、本発明に従って構成された組織カセット10をフレーム12内で受け取り、次いで、組織カセット10およびフレーム12をベースモールド14内で位置決めする。載置操作の後で、以下でさらに説明するように、ベースモールド14に液体パラフィンを充填する。組織カセット10は、4つの側壁22a、22b、22c、22dと底壁24とによって形成された、穴が開いた本体20を含む。好ましくは、各壁は、穴または開口26とリブ28とを有するように構成される。上部フランジ30は、それぞれの側壁22a〜dを取り囲み、かつこれらの側壁から外向きに延びる。蓋32は、ヒンジ34によって本体20に取り付けられる。ヒンジ34により、蓋32を垂直に移動させて本体20の内部に入れ、それによって、1つまたは複数の組織標本を底壁24に押し付けて保持することができる。蓋32は同様に、穴36を有するように形成される。穴36は、細長くし、かつリブ38によって全体的に分離し得る。図1に最もよく示されるように、底壁24および蓋32上の細長い穴26、36はそれぞれ、底壁24および蓋32の中央区域24a、32aに向かって延びる。こうすると、カセット10の成型工程中に、(図示しない)モールドにPFAなどの材料を充填する助けになる。
【0020】
蓋32は、その周囲に沿って側壁22a〜dの形状にぴったり合う形状で形成される。この点について、蓋32の長手方向のそれぞれの側縁部40a、40bは、浅い「V」形状で形成され、各側縁部は、そのほぼ中央部分に頂点42a、42bを有する。この形状は同様に、側壁22aおよび反対側の側壁22cの長手方向の浅い「V」形状に対応する。そのため、後で包埋された組織カセットがミクロトーム内に置かれ、この包埋された組織カセットから切片がスライスされるときに、ミクロトームの刃は最初に、ミクロトーム内でいずれの側面が上を向いているか応じて、側壁22aまたは22cの対応する頂点に接触することになる。こうすると、包埋された組織カセットから作製されるリボン状のスライスの質が向上することがわかっている。すなわち、パラフィン/カセット界面で、パラフィンの破砕がほとんど、あるいは全く生じない。
【0021】
フレーム12は、より具体的には、カセット10を受け取る開いた内部50、および患者のデータなどの印を記録するのに使用し得る角度の付いた前壁52を含む。上部および下部の移動止めのそれぞれの組54、56および58、60は、フレーム12の開いた内部50に内向きに延びる。まず、1つまたは複数の組織標本をカセット本体20内に配置し、蓋32を閉めた後で、上部フランジ30を下向きに、上部の移動止めの組54を通過させ、下部の移動止めの組56に押し付けることによって、上部の移動止めの対54、56の間で組織カセット10を保持する。蓋32がスナップ止めされ、閉じた位置で保持されるように、それぞれの移動止め61が側壁22a〜dから内向きに延びる。載置操作中、組織カセット10は、フランジ30が移動止め58をカチッと通過して、下側位置の移動止め60に支えられるまで(図5)、フレーム12を貫通して垂直下向きに移動することになる。自動ハンドリング/包埋操作中に、グリッパ機構のフィンガがアセンブリに位置が合うように、必要に応じて、陥凹部62、64が少なくとも2つの対向する側壁に形成される。好ましくは、側壁66a、66bは、これらの陥凹部62、64を含み、追加の側壁66c、66dは、自動ハンドリングを可能にし、また必要に応じて他の機能を可能にする追加の構造を含み得る。ベースモールド14は、フレーム12を受け取る開いた内部70を含み、弾性エラストマシール72によって周囲を囲うことができる。弾性エラストマシール72は、包埋工程中に液体パラフィンが漏れるのを防ぐ。こうすると、包埋工程が完了した後で、フレーム12から硬化した余分なパラフィンを削り落とす追加のステップがなくなる。このような余分なパラフィンがあると、フレームがミクロトームのチャックに正しく嵌らないことがある。
【0022】
図2および図3と図4および図5とを比較することによって、載置工程中に、組織カセット10が、垂直下向きに移動してベースモールド14の内部70に入り、それによって、組織カセット10の底部24がベースモールド14の底部74に接触することが理解されよう。この位置で、それぞれの移動止め58、60の間で組織カセット本体20のフランジ30が受けられ、この下側位置に保持される。フレーム12は、好ましくは圧入され、ベースモールド14内で1つまたは複数の弾性シール72によって摩擦により保持される。この実施形態では、シール72は2種類の機能を果たす。第1に、シール72は、ベースモールド14内で摩擦によってフレーム12を物理的に保持する。こうすると、ベースモールド14にパラフィンを充填する間に、フレーム12およびそれに取り付けられたカセット10が浮くか、またはそれ以外の形で動くことが防止される。第2に、シール72は、ベースモールド14から、フレーム12の外壁12aとベースモールド14の内部70との間の区域に液体パラフィンが漏れるのを防ぐ。フレーム12をベースモールド14に押し付けて物理的に保持する代わりに、シール72以外の保持部材を使用し得ることを理解されたい。この場合、シール72は必要でないことがある。いくつかの例として、このような保持部材は、クランプ、止め金具、ばね部材、または重りとし得る。これらの図では、見やすいように、カセット10内の1つまたは複数の組織標本を割愛してある。ただし、カセット本体20の内部に収容された1つまたは複数の組織標本80の上で蓋32を下向きに押すことになることが理解されよう(図6)。カセット10、フレーム12、およびベースモールド14のアセンブリは、図4および図5に示す載置された構成になり、フレーム12の開いた内部およびカセット10の穴26、36を通して、ベースモールド14の内部70に液体パラフィンが導入される。好ましくは、次いでこの液体パラフィンを、TECなどの適当な冷却装置上で冷却し、図6に示すように、組織カセット10、フレーム12、包埋された組織標本80、および硬化したパラフィン82のアセンブリをベースモールド14から取り出す。その後、ミクロトームのチャック内でこのアセンブリを固定する装置としてフレーム12を使用し、次いで、パラフィン82の底面82aからスライスを取得する。まず、面出し用の刃を使用して、パラフィン82の初期層および組織カセット10の底壁24を除去する。この時点で、異なるミクロトームの刃を使用して、組織標本80および周囲のパラフィン82、ならびに組織カセット本体20の側壁22a〜dのリボン状のスライスすなわち削り出した断片を取得し得る。多くの場合、面出し用に使用するのと同じ刃を切片化用にも使用することができる。
【0023】
図7および図8に、上記で説明した組織カセット10、フレーム12、およびベースモールド14とともに使用し得る1つのタイプの載置装置100を示す。載置装置100は、上端にハンドル102を、下端に載置機構104を含む。載置機構104は、中空のシリンダ106に結合される。シリンダ106は、上向きに延びてハンドル102に剛体結合されたシュラウド108に入る。4つの複数の安定器部材110がシリンダ106に剛体結合され、複数の好ましくは移動可能な載置フィンガ112が、シリンダ106を貫通して延びる往復運動シャフト114に結合される。シャフト114は、ハンドル102に剛体結合され、ハンドル102の底面102aとシリンダ106の上面106aの間に位置するばね116によって、ハンドル102とともに上方位置に付勢される。そのため、安定器部材110をフレーム12の上側に押し付けて置いて安定させ、次いで、矢印118で示すようにハンドル102を下向きに押すことができることを理解されたい。こうすると、往復運動シャフト114およびそれに取り付けられた載置フィンガ112が下向きに移動して組織カセット10に押し付けられ、それによって組織カセット10が、フレーム12に対して相対的に、図3示すその上側位置から、図5 に示すその下側の載置位置に移動する。カセット100が押されてフレーム12を貫通して先に行きすぎないように、フランジ30が、移動止め58、60の間のその下側位置に達したときに、表面108aが表面110aに当たって止まる。
【0024】
図9および図10に、組織カセットの第2実施形態120を示す。組織カセット120は、4つの側壁124a〜dを有するカセット本体122を含む。側壁124a〜dは、開いた内部を取り囲み、底壁126によって底面上で境界づけられる。側壁124a〜dは、穴130によって分離したリブ128から構成され、底壁126は、穴134によって分離したリブ132によって構成される。側壁124aのリブ128は、反対側の側壁124bのリブ128に対して相対的に、図10の距離「d」で示すように長手方向にオフセットされる。ただしこの実施形態では、距離「d」は、変化し得る。距離「d」は平均で、約0.015インチ〜0.030インチである。リブ128をこのようにオフセットすると、壁124aおよび124bを通過するミクロトームの刃が、その長さに沿ってより均一な量のカセット材料に接触するようになる。こうすると、刃の寿命がより長くなり、刃の摩耗がより均一になり、包埋組織のスライスが、よりばらつきのない高品質なものになる。リブ132および穴134は、それらの長手方向に、底壁126の中央区域126aに向かって延びる。この好ましい実施形態では、側壁124a〜dは、PFAなどのプラスチックカセット材料と、穴130によって形成された開いた区域の比が、約3.7:1になるように構成される。好ましい実施形態で少なくともこの比を実現するために、リブ128の幅w1を約0.010インチ〜0.014インチとし、穴130の幅w2を約0.040インチ〜0.050インチとする。側壁の中実部分136の下にあるこの穴の開いた区域は、組織標本80の包埋後(図6)、ミクロトームの刃によって切り出されることになる区域である。特に、カセット120の材料としてPFAを48〜55のショアD硬さで、上記で述べた業界標準のパラフィン包埋材料と組み合わせて使用するとき、カセット材料と開いた区域をこの比にすると、包埋されたカセットを貫通してなされる切削の質を向上させ、刃の寿命が大きく延びることがわかっている。包埋材料およびカセット材料のそれぞれの分子量に応じて、この比を増減し得る。
【0025】
フランジ140は、カセット本体122の上面を取り囲み、それぞれの上向きのくぼみ142a、142b、142c、142dを含む。フランジ140は、いくつかの下向きのくぼみ142e、142fも含む(いくつかのくぼみのうち2つだけを参照する)。これらのくぼみはそれぞれ、フレーム12の少なくとも54、56および58、60の移動止め(図3および図5参照)と位置が合う。フレーム12に追加の下部移動止めを形成して、さらなる支持を提供し、かつ、カセット10が押されてフレーム12を貫通して先に行きすぎないようにし得ることを理解されたい。このような場合、これらの追加の支持移動止めを受け入れるように、追加のくぼみがフランジ140の下面に形成される。これらのくぼみにより、フレーム12からのカセット本体120の有効外側延長部が長くなり、それによって、ミクロトーム内で包埋カセットから取得し得るスライスの数が増える。これは、病理学検査用の所望のスライドを得るための多くの状況において重要であり得る。
【0026】
側壁124a〜d上には、蓋150を定位置に保持するための移動止め144も形成される。蓋150は、ヒンジ152によってカセット本体122に結合される。蓋150は、カセット本体122の底壁126よりも剛性が高くなるように形成し、それによって、蓋150を使用して、組織標本を底壁126に押し付け、底壁126をベースモールド14の剛体の底部74に押し付けることができる(図5)。蓋150は、穴156によって全体的に分離した複数のリブ154によって形成され、それぞれ、蓋150の中央区域150aに向かって長手方向に細長く延びる。蓋150はさらに、その上を長手方向に延びる側縁部158a、158bを含む。これらの側縁部は、中央頂点160a、160bを有する浅い「V」形である。好ましくは、角度α(図10)は約4°である。第1実施形態の場合と同様に、側縁部158a、158bの形状は、カセット本体122の側壁124a、124bの同様の形状にぴったり合う。この点について、これらの側壁124a、124bは、それぞれの頂点162、162bを含み、これらの側壁のいずれか一方が、ミクロトーム内で最初に切削される壁になる。蓋150のそれぞれの端部164a、164bも、カセット本体の側壁124c、124dの同様の形状にぴったり合い、それによって、カセット本体122内で蓋150が緊密に嵌合する。フレーム12内での載置工程およびベースモールド14内での包埋すなわち成型の工程を含めて、1つまたは複数の組織標本を包埋する工程でカセット120を使用することは、図1〜図8に関して上記で説明したものと同じである。
【0027】
図11および図12に、第2実施形態による手動の載置装置200を示す。載置装置200は、シャフト206によって互いに剛体結合された上部ハンドル202および下部載置機構204を備える。図12では、見やすいように、ハンドル202およびシャフト206を割愛する。好ましくは、載置機構204は、4つの複数の載置部材210、212、214、216を備える。これらの載置部材は、シャフト206から概ね半径方向外向きに延び、それぞれがフィンガ部分210a、212a、214a、216aを含む。これらのフィンガ部分210a〜216aはそれぞれ、カセット10(図1)またはカセット120(図9)の上部コーナ部分と係合する。次いで、使用者が、ハンドル202を下向きに押すと、フィンガ部分210a〜216aは、カセット10またはカセット120を下向きに付勢し、カセットが下側載置位置に至る(図5)。カセットが下に行きすぎないように、載置機構204に1対のストッパ218、220が設けられる。この実施形態では、カセット10またはカセット120が下側載置位置に達したときに(図5)、ストッパ表面218a、220aは、フレーム12の上面に当たって止まる。そのため、フィンガ部分210a〜216aの下端とストッパ表面218a、220aの間隔は、上部移動止め対54、56と下部移動止め対58、60の間隔と等しくなる。本発明の趣旨および範囲に含まれる他の形態の載置機構およびストッパを設けることができることを理解されたい。
【0028】
本発明の様々な実施形態を説明することによって本発明を示し、これらの実施形態をかなり詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の範囲を、このような細部に限定、あるいはいかなる形でも制限することを意図するものではない。追加の利点および改変が当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、本発明はそのより広い態様において、特定の細部、代表的な機器および方法、ならびに上記で示し説明した実施例に限定されるものではない。したがって、本出願人の全体的な発明の概念の範囲または趣旨から逸脱することなく、このような細部から逸脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】組織カセット、このカセットが挿入されるフレーム、およびフレーム/カセットアセンブリが挿入されるベースモールドを含むアセンブリの斜視分解図である。
【図2】組織カセット、フレーム、およびベースモールドの斜視組立図である。
【図3】図2の線3−3に沿って切断した断面図であり、組織カセットをその初期上側位置で示す。
【図4】組織カセットの第2載置位置を示す、図2に類似の斜視組立図である。
【図5】図4の線5−5に沿って切断した断面図であり、組織カセットをその第2下側位置で、ベースモールドの底部に押し付けて載置したところを示す。
【図6】ベースモールドからはずした後の、パラフィンなどの材料の中に包埋されたフレームおよび組織カセットの断面図である。
【図7】ばねで付勢された手動載置装置の斜視図である。
【図8】フレームを貫通してベースモールド内に組織カセットを載置するのに使用する図7の載置装置の縦断面図である。
【図9】本発明の第2 実施形態に従って構成された組織カセットの斜視図である。
【図10】図9の線10−10に沿って切断した断面図である。
【図11】第2実施形態に従って構成された手動載置装置の斜視図である。
【図12】図11の載置装置に関連する載置機構の斜視底面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 組織カセット
12 フレーム
20 本体
22a,22b,22c,22d 側壁
24 底壁
26 穴、開口
28 リブ
30 上部フランジ
32 蓋
36 穴
38 リブ
100 載置装置
120 組織カセット
122 カセット本体
124a,124b,124c,124d 側壁
126 底壁
128 リブ
130 穴
132 リブ
134 穴
140 フランジ
150 蓋
154 リブ
156 穴
200 載置装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織標本を保持するカセットであって、
前記組織標本を受け取る内部スペースを画定するための、底壁および該底壁に対して上向きに延びる複数の側壁を含む本体を備え、前記底壁および前記複数の側壁は、ミクロトーム内で確実に切片にし得る材料から構成され、前記カセットはさらに、
前記本体に結合されるように構成され、かつ開位置と閉位置との間で移動可能な蓋を備え、該蓋は、前記底壁よりも剛性が高い、カセット。
【請求項2】
前記複数の側壁は、開口区域と中実区域との比が少なくとも約3.5:1である穴の開いた壁を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記複数の側壁は、開口区域と中実区域との比が少なくとも約3.0:1である穴の開いた壁を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項4】
前記複数の側壁は、開口区域と中実区域との比が少なくとも約2.5:1である穴の開いた壁を含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項5】
前記第1および第2の側壁は、ある長さを有し、離間したリブによって構成された穴の開いた壁を含み、前記第1の側壁の前記リブは、前記長さに沿って、前記第2の側壁の前記リブに対してオフセットされる、請求項1に記載のカセット。
【請求項6】
少なくとも2つの前記側壁の上側部分に沿って延びるフランジをさらに備え、前記フランジは、組織包埋工程中に、フレーム内の移動止めと位置が合うように構成されたくぼみを含む、請求項1に記載のカセット。
【請求項7】
前記底壁は、中央区域を有し、離間したリブによって構成された穴の開いた壁を含み、前記リブは、前記中央区域に向かって角度が付けられる、請求項1に記載のカセット。
【請求項8】
組織標本を保持するカセットであって、
前記組織標本を受け取る内部スペースを画定するための、底壁および該底壁に対して上向きに延びる複数の側壁を含む本体を備え、前記底壁および前記複数の側壁は、ミクロトーム内で確実に切片にし得る材料から構成され、
前記複数の側壁は、開口区域と中実区域との比が少なくとも約2.5:1である穴の開いた壁を含む、カセット。
【請求項9】
前記複数の側壁は、開口区域と中実区域との比が少なくとも約3.0:1である穴の開いた壁を含む、請求項8に記載のカセット。
【請求項10】
前記複数の側壁は、開口区域と中実区域との比が少なくとも約3.5:1である穴の開いた壁を含む、請求項8に記載のカセット。
【請求項11】
前記第1および第2の側壁は、ある長さを有し、離間したリブによって構成された穴の開いた壁を含み、前記第1の側壁の前記リブは、前記長さに沿って、前記第2の側壁の前記リブに対してオフセットされる、請求項8に記載のカセット。
【請求項12】
少なくとも2つの前記側壁の上側部分に沿って延びるフランジをさらに備え、前記フランジは、組織包埋工程中に、フレーム内の移動止めと位置が合うように構成されたくぼみを含む、請求項8に記載のカセット。
【請求項13】
前記底壁は、中央区域を有し、離間したリブによって構成された穴の開いた壁を含み、前記リブは、前記中央区域に向かって角度が付けられる、請求項8に記載のカセット。
【請求項14】
組織標本を保持するカセットであって、
前記組織標本を受け取る内部スペースを画定するための、底壁および該底壁に対して上向きに延びる複数の側壁を含む本体を備え、前記底壁および前記複数の側壁は、ミクロトーム内で確実に切片にし得る材料から構成され、前記複数の側壁は、前記底壁の両側に第1および第2の側壁を含み、該第1および第2の側壁は、ある長さを有し、離間したリブによって構成された穴の開いた壁を含み、前記第1の側壁の前記リブは、前記長さに沿って、前記第2の側壁の前記リブに対してオフセットされる、カセット。
【請求項15】
前記複数の側壁は、開口区域と中実区域との比が少なくとも約3.5:1である穴の開いた壁を含む、請求項14に記載のカセット。
【請求項16】
前記複数の側壁は、開口区域と中実区域との比が少なくとも約3.0:1である穴の開いた壁を含む、請求項14に記載のカセット。
【請求項17】
少なくとも2つの前記側壁の上側部分に沿って延びるフランジをさらに備え、前記フランジは、組織包埋工程中に、フレーム内の移動止めと位置が合うように構成されたくぼみを含む、請求項14に記載のカセット。
【請求項18】
前記底壁は、中央区域を有し、離間したリブによって構成された穴の開いた壁を含み、前記底壁の前記リブは、前記中央区域に向かって角度が付けられる、請求項14に記載のカセット。
【請求項19】
組織標本を保持するカセットであって、
前記組織標本を受け取る内部スペースを画定するための、底壁および該底壁に対して上向きに延びる複数の側壁を含む本体を備え、前記底壁および前記複数の側壁は、ミクロトーム内で確実に切片にし得る材料から構成され、前記カセットはさらに、
少なくとも2つの前記側壁の上側部分に沿って外向きに延びるフランジを備え、前記フランジは、組織包埋工程中に、フレーム内の移動止めと位置が合うように構成されたくぼみを含む、カセット。
【請求項20】
包埋された組織標本のスライスを得るのに使用するミクロトームによる切片化手順の前に、組織標本を包埋するアセンブリであって、
前記組織標本を保持するカセットを備え、前記カセットは、
1)前記組織標本を受け取る内部スペースを画定するための、底壁および該底壁に対して上向きに延びる複数の側壁を含む本体を有し、前記底壁および前記複数の側壁は、ミクロトーム内で確実に切片にし得る材料から構成され、前記カセットはさらに、
2)少なくとも2つの前記側壁の上側部分に沿って外向きに延びるフランジを有し、前記フランジは複数のくぼみを含み、該アセンブリはさらに、
前記カセットを受け取るように構成されたフレームを備え、該フレームは、前記フレーム内で前記カセットの上側および下側の位置を画定するための、前記フランジに係合可能な上部移動止めおよび下部移動止めを含み、前記下部移動止めは前記くぼみと位置が合う、アセンブリ。
【請求項21】
前記くぼみは、前記フランジの上面および下面にあり、前記くぼみはそれぞれ、前記フレームの別々の移動止めと位置が合う、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
包埋された組織標本のスライスを得るのに使用するミクロトームによる切片化手順の前に、組織標本を包埋するアセンブリであって、
前記組織標本を保持する、ミクロトームにより切片化可能なカセットと、
前記カセットを受け取り保持するように構成されたフレームと、
包埋材料を受け取るように構成された内部を有するベースモールドと、
前記包埋材料が前記ベースモールド内に導入される間、前記ベースモールドに押し付けて前記フレームを保持するように構成された保持部材とを備える、アセンブリ。
【請求項23】
前記フレームは外壁を含み、前記保持部材はさらに、
前記カセットおよびフレームを通して液体包埋材料を導入した後で、前記ベースモールドから前記液体包埋材料の漏れを防ぐために、前記外壁と係合可能な弾性シールを含む、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
フレーム内の組織包埋工程中に使用する上側位置から、前記フレーム内の下側位置に組織標本カセットを載置する装置であって、
ハンドルと、
前記ハンドルに結合され、前記カセットの上面と係合するように構成された載置機構と、
前記ハンドルに動作可能に結合され、前記カセットが前記フレーム内の前記下側位置に達したときに前記載置機構の垂直移動を止めるように構成されたストッパとを備える、装置。
【請求項25】
前記ストッパは、移動できるように前記載置機構に結合され、かつ前記フレームの上面に当たって止まるように構成された固定ストッパ部材を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記載置機構は複数のフィンガをさらに備え、該複数のフィンガは、前記カセットの上面の対応する複数の区域と係合するように構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記ハンドルに結合され、かつ前記載置機構に対して相対的に移動可能な安定化機構をさらに備え、該安定化機構は、前記載置機構が前記カセットを前記上側位置から前記下側位置に移動させるときに、前記フレームの上面と係合するように構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記載置機構は、通常はばねで付勢されて上方位置にあり、前記カセットを前記上側位置から前記下側位置に移動させるときに、前記ばねによる付勢に対して下向きに力が加えられる、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記ストッパはさらに、前記ハンドルおよび前記安定化機構のそれぞれの表面を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
ミクロトームにより切片化可能なカセット内に収容され、硬化した包埋材料内に包埋された組織標本からスライスを切り出す方法であって、前記カセットは、前記組織標本を受け取る内部スペースを画定するための、底壁および該底壁から延びる複数の側壁を含む本体を備え、前記底壁および前記複数の側壁は、ミクロトーム内で確実に切片にし得る材料から構成され、前記複数の側壁は、前記底壁の両側に第1および第2の側壁を含み、該第1および第2の側壁は、ある長さを有し、離間したリブによって構成された穴の開いた壁を含み、前記第1の側壁の前記リブは、前記長さに沿って、前記第2の側壁の前記リブに対してオフセットされ、前記方法は、
刃を有するミクロトーム内で、前記ミクロトームにより切片化可能な包埋されたカセットを、前記第1および第2の側壁の1つが前記刃に対向する状態で保持するステップと、
前記カセット、硬化した包埋材料、および組織標本のスライスを前記刃によって切り出すステップとを含む、方法。
【請求項31】
組織標本を保持するカセットであって、
前記組織標本を受け取る内部スペースを画定するための、底壁および該底壁に対して上向きに延びる少なくとも1つの側壁を含む本体を備え、前記本体は、ミクロトーム内で切片にすることができ、
前記底壁は、丸みが付けられた湾曲部によって前記側壁に移行する、カセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−102158(P2008−102158A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8364(P2008−8364)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【分割の表示】特願2004−539746(P2004−539746)の分割
【原出願日】平成14年9月26日(2002.9.26)
【出願人】(505077404)バイオパス・オートメーション・エル・エル・シー (8)
【Fターム(参考)】