説明

処理の方法

【課題】従来の人手による検査の欠点を軽減することができる薬剤処理などの処理の方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】処理装置は、材料を受け入れるように構成された処理構造内を少なくとも1つの信号が伝播するように構成され、伝播した信号が受信され、そのパラメータ値が基準値と比較される。この比較に基づいて、処理構造内における材料の存在又はその他の何らかの幾何学的な変化が評価される。信号は、例えばマイクロ波などの電磁波の形態のものであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤処理等の処理の方法に関するものである。本発明はまた、薬剤処理装置等の処理装置に関するものであり、かつ薬剤処理容器又はこの種の容器に接続されたパイプ等の処理容器の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長手のパイプ又はパイプ配管構造を備えた製造ラインは、製薬工業、化学工業、食品工業などといった多数の工業部門で一般的に用いられている。このようなパイプ配管構造は、一般に、容器に材料を輸送し又は容器から材料を輸送するのに用いられ、また2つの容器間で材料を輸送するのに用いられる。例えば、錠剤又はカプセルなどといった形態の投与用薬剤の製造においては、原料は異なる処理構造物で処理され、又は異なる処理構造物に輸送される。この場合、1つの処理構造物は造粒容器であり、もう1つの処理構造物は乾燥容器であり、さらにもう1つの構造物は、造粒容器から乾燥容器に材料又は物質を導くためのパイプである。また、いくつかの容器及び/又はパイプからなるシステムも、処理構造物ということができる。
【0003】
薬剤の製造においては、異なる回分生産において互いに材料が混入する危険性を低減するのが望ましく、また処理構造物内に、危険性の高い物質、例えば高力価の薬物、化学的又は微生物学的な活性を有する材料が残留する危険性を低減するのが望ましい。また、処理構造物の内部における幾何学的な変化、例えば処理構造物の損傷部又は破断部を検出して、製造要員が早期段階で適切な処置を行うことができるようにするのも望ましい。現実の処理構造物又はその部品の変化のほかにも、処理構造物の内部の所定量の材料における変化もこのような幾何学的状態の変化ということができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状においては、製造要員は、人手による清浄度検査又は損傷検査を実施するために、処理構造物の内部に接近(アクセス)しなければならない。この場合、例えば処理構造物の寸法、処理構造物の位置、又は、処理構造物の内部において清浄化しもしくは検査する部位によっては、このような検査の実施が困難な場合もある。また、処理構造物に材料が残留しているか否か、又は、その他の幾何学的状態の変化が生じているか否かが分からない場合、製造要員は、必要限度を超えて頻繁に処理構造物の検査を行う傾向があり、このため不必要な時間損失(タイムロス)と製造費用の増加とを招く結果となるであろう。
【0005】
したがって、容易で信頼性の高い態様で、異なる回分生産における処理において残留している材料を検出し、又は、処理構造物の内部におけるその他の幾何学的状態の変化を検出するのが望ましい。また、可能な限り時間損失及び製造費用を低減するのも望ましい。本発明の1つの目的は、従来の人手による検査の欠点を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的及びその他の目的は、以下の説明により明確となるであろう。そして、これらの目的は、独立形式の請求項に規定された方法、装置及びこれを使用する方法により達成されるであろう。
【0007】
本発明は、構造物の内部に残留している材料(原料)の存在、又は、構造物の内部のその他の幾何学的状態の変化を決定するための既存の構造物を用いることができるという技術思想に基づいている。既存の処理構造物を、該処理構造物の内部の環境又は幾何学的状態に関連する情報を伝送する検出装置の一部として機能させることを可能にすることにより、製造要員(personal)は、情報を取得するために処理構造物を開いてその内部に接近(アクセス)する必要はなくなる。かくして、既存の処理構造物を情報の伝達媒体(carrier)として利用することにより、残留している材料又はその他の幾何学的状態の変化の検出を、実質的に非侵襲的及び/又は非破壊的に実施することができる。
【0008】
本願においては、「処理構造物(processing structure)」との語は、材料(原料)を処理する容器(vessel)、乾燥機、混合機等だけでなく、特別な処理を行うことなく材料を輸送し又は収容する、製造ラインに設けられたパイプ又はその他の管状構造物、あるいはコンテナ(container)をも含む概念であるということに注目すべきである。さらに、「処理構造物」との語は、単一のパイプ又は単一の容器を意味するものと限定されるわけではなく、パイプ又は容器の組み合わせ、又はこれらの要素(items)のその他の組み合わせをも含むものと解釈されるべきである。換言すれば、「処理構造物」との語は、ここでは、1つの容器又は1つのパイプなどといった単一の要素と、システム構造体(system configuration)におけるこれらの要素の組み合わせとを含む概念である。
【0009】
本発明は、種々のタイプの工業、限定されるわけではないが、例えば製薬工業、化学工業、食品工業、金属工業及び農芸工業などに応用することができる。しかしながら、本発明は、その他のタイプの工業にも応用することができることはいうまでもない。かくして、本発明は、特定の処理分野又は特定の処理装置に限定されるわけではないが、典型的な目的を示すとともに理解を容易にするために、以下では主として製薬工業について説明を行うということを理解すべきである。
【0010】
ここでは、「材料(material)」、「医薬材料(pharmaceutical material)」又は「医薬物質(pharmaceutical substance)」との語は、粉体、水又はその他の液体と組み合わせられた粉体、固体、水又はその他の液体と組み合わせられた固体、スラリー、液体、及び、懸濁物(suspension)からなる群(グループ)の中の少なくとも1つを含む概念と解釈すべきであり、また、これらの要素の組み合わせも含む概念であると解釈すべきである。また、医薬材料及び医薬物質は、1つ又は複数の活性成分(active component)を意味するものと限定すべきではなく、一般に賦形剤と称されている1つ又は複数の非活性成分(non-active component)、又は、活性成分と非活性成分の組み合わせをも意味するものと理解すべきである。
【0011】
構造物の内部の幾何学的状態に関連する情報は、処理構造物内に導入された信号により適切に伝送される。この信号は、情報を伝送することができる検出可能な物理量又はインパルス(impulse)である。構造物の内部の幾何学的状態、対象物の存在又は不存在等に対応して、信号は異なる方法で影響を受ける。信号がどのような影響を受けるかを解析することにより、処理構造物の内部状態が時間の経過に伴って変化したか否かを決定することができる。
【0012】
本発明の1つの態様によれば、薬剤処理(pharmaceutical processing)等の処理の方法が提供される。この方法は、容器(vessel)、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等で構成される処理構造物(processing structure)に医薬材料(pharmaceutical material)等の材料(原料)を供給する過程(ステップ)と、上記処理構造物から材料を除去する過程と、この後に上記処理構造物内を伝播し(propagate)、上記処理構造物によって適切に導かれる少なくとも1つの信号を送信(transmit)する過程と、上記の伝播した信号を受信する(receive)過程と、受信された信号の少なくとも1つのパラメータ値を基準値(reference value)と比較し、上記処理構造物内に材料が残留しているか否か、又は、上記処理構造物内に幾何学的状態の変化(geometrical change)があるか否かを評価する過程とを含んでいる。
【0013】
同様に、本発明の第2の態様によれば、薬剤処理装置等の処理装置が提供される。この処理装置は、容器、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等で構成された処理構造物であって、該処理構造物内に収容され、又は該処理構造物内を流通する材料(例えば、医薬材料)を処理し又は輸送するようになっている処理構造物と、上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの信号を送信(伝送)する少なくとも1つの送信機と、上記の伝播した信号を受信する少なくとも1つの受信機と、上記受信機に動作的に接続され、受信された信号に関連するパラメータを決定するコンピュータ又はマイクロプロセッサ等の解析ユニットとを備えている。この解析ユニットは、送信機に機能的ないしは動作的に(operatively)接続されているのが好ましい。
【0014】
情報を搬送している(carrying)信号は、異なるパラメータを有していてもよい。例えば、信号が波を含んでいる場合は、位相、振幅、電力ないしはパワー(power)及び周波数などをパラメータとすることができる。この波は、処理構造物を通って伝播する音響波又は電磁波であってもよい。ここで、波の位相、振幅、電力、及び/又は周波数は、医薬材料の存在もしくは不存在、又は、処理構造物内のその他の幾何学的変化に依存して異なる形態で影響を受ける。これに代えて、信号は、電磁波と音響波とを組み合わせたものであってもよい。音響波(圧力波とも称される)は、可聴音であることは必要ではなく、伝播した障害(disturbance)が媒体の圧力の変化(変動)である波であれば、どのようなものでもよい。これに代えて、信号は、処理構造物の内部における変化に起因して、抵抗、電気容量(キャパシタンス)等の変化によって影響を受ける電流であってもよい。この場合、処理構造物は適切に絶縁されてもよい。
【0015】
前記のとおり、電磁波は、処理構造物の内部の状態に関連する情報を搬送するために用いられる。それゆえ、本発明の少なくとも1つの実施態様によれば、上記処理構造物は導波路として用いられる。その結果、この実施態様は、上記処理構造物を伝播する少なくとも1つの電磁波を送信する過程と、上記の伝播した電磁波を受信する過程と、受信した電磁波の少なくとも1つのパラメータ値を上記基準値と比較する過程とを含んでいる。
【0016】
少なくとも1つの実施の形態によれば、処理構造物は、金属、又は電磁波を導く(案内する)のに適したその他の材料で形成される。
【0017】
前記のとおり、パラメータは、例えば波の振幅、電力、位相又は周波数であってもよい。例えば、処理構造物の内部の状態に関する情報は、受信された信号の振幅の検出値を、振幅の基準値又は設定値と比較することにより得ることができる。検出値と基準値との間の差が予め設定された差を超えている場合は、処理構造物の内部の状態が変化したことを示しているものと考えるのが適切である。上記の予め設定された差は、ゼロであってもよく、またゼロでない値であってもよい。この場合、状態の変化は、信号が受信された時点における処理構造物の内部の状態は、その前の時点における状態とは異なっているということを意味する。この変化した状態は、処理構造物内に存在する医薬材料の量の変化、又は、損傷に起因する壁部の幾何学的状態の変化であってもよい。この変化した状態は、変化した誘電率、又は、少なくともその実部(real part)又は虚部(imaginary part)のいずれかに基づいて検出するのが好ましい。例えば、処理構造物が空状態である場合は、空気の誘電率は既知である。処理構造物の内部に、医薬材料又はその他の異物が残留している場合は、誘電率は前記の場合とは異なり、伝播している信号の振幅及び/又は位相に影響を与える。変化した状態が存在すると判定された(established)場合、製造要員は、処理構造物を再び使用する前に、例えば処理構造物を清浄化(清掃、洗浄)し、又は修理するなどして、適切な処置を講じることができる。変化した状態が存在しないと判定された場合、製造要員は、処理構造物の内部に接近(アクセス)する時間が不要となる。
【0018】
例えば、変化した状態が検出され何らかの種類の処置を必要とする場合、処理工程(処理プロセス)の中断(interruption)又は処理工程のその他の一般的な制御を、人手で又は自動的に実施することができる。それゆえ、一般的には、本発明の少なくとも1つの実施態様は、少なくとも部分的には検出されたパラメータ又はパラメータ値に基づいて処理工程を制御する過程を含んでいる。処理工程の制御動作は、例えば、少なくとも処理工程の停止動作を含んでいる。しかしながら、取得されたパラメータ又はパラメータ値が処置を行うことを要求していない場合、処理工程の制御動作は、例えば、少なくとも処理工程を続行する動作、又は、新たに処理すべき材料等を供給する動作を含んでいる。この制御は、例えば、後で説明する解析・制御ユニットにより自動的に実施するのが好ましい。この制御は、フィードバックループを有するフローチャートに従って行うことができ、又は、その他の一般的な制御手法(control scheme)に従って行うことができる。制御された処理工程は、1回分の材料を一時にまとめて処理する回分処理工程であってもよく、また材料を連続的に処理する連続処理工程であってもよい。連続処理工程の場合は、好ましく、信号の送信動作、信号の受信動作及び情報の評価動作は、処理工程の進行を監視するために連続的に実施される。しかしながら、これらの動作はまた、1回の回分工程において連続的に実施してもよい。「連続的に」との語は、複数の離散的な(discrete)時点における測定を含むということに注目すべきである。しかしながら、この場合、測定は、ランダムではなく、実質的に一定の時間間隔で行われ、又は、ある一定の繰り返し頻度で行われる。ある期間にわたって集積された信号のパラメータ値は、連続的な測定における基準値として用いることができる。処理工程の制御動作は、前記の制御動作のほかに、修理作業の実施過程を含んでいてもよい。
【0019】
基準パラメータ値は、医薬材料が処理構造物内に導入される前に、すなわち処理構造物が清浄な状態又は態様にあるときに決定するのが好ましい。清浄な状態における1つ又は複数の信号の送信及び受信は、この後において処理構造物に変化した状態が生じたときにおける送信及び受信に対応する態様で実施される。かくして、「清浄な」処理構造物に1つ又は複数の特定のパラメータ値を有する信号を送信し、伝播した信号を受信し、1つ又は複数のパラメータ値を決定することにより、最初の応答情報(response)が得られ、較正(calibration)が行われる。この後に医薬材料が導入され、そして除去されたときに、好ましく、較正の時点で送信された信号と同一のパラメータ値を有する信号を送信することにより、較正された状態からの変化を検出することができる。受信された信号が最初の応答情報と異なる場合、この信号は、医薬粒子の残留、あるいは損傷した壁部等のその他の幾何学的状態の変化などといった、処理構造物の内部の変化が存在することを示している。基準値を設定するための代替的な手法は、理論的・数学的な計算を行うことである。もう1つの代替的な手法は、「清浄な」処理構造物に対する基準値を決定するために、シミュレーション、例えばコンピュータシミュレーションを行うことである。さらなる代替的な手法は、以下で説明するように、予め設定された充填レベル(filling level)などといったゼロでない量に対して較正することが望ましい場合における手法である。一般的な意味では、較正は、例えばゼロ又はゼロでない値である既知の量の医薬材料が処理構造物内に存在するときに該処理構造物を伝播する少なくとも1つの信号を送信し、伝播した信号を受信し、受信した信号に関連する少なくとも1つのパラメータの値を決定することにより、基準値を決定することであるということができる。
【0020】
既存の処理構造物によって搬送された情報は、印加されたマイクロ波放射線に含まれている。本発明の少なくとも1つの実施態様によれば、上記信号は、少なくとも1つの電磁波を含んでいる。ここで、上記電磁波は、100MHzないし3THzの範囲内の周波数を有し、例えばマイクロ波の場合は300MHzないし300GHzの範囲内の周波数を有している。薬剤製造ラインにおいて、管状の構造物及び容器の寸法は、一般的に、マイクロ波の波長のオーダーである。マイクロ波の領域(帯域)は既知であり、それらの波長と同程度の部品が用いられる。マイクロ波放射線は、その他のタイプの放射線、例えばNIRと比べて、良好な透過能力(penetrating capacity)を有している。マイクロ波は、粉体の薬剤を透過するが、該薬剤によって影響を受け、変形し又は歪み(distort)、例えば振幅又は位相が変化し、これにより検出が可能となる。マイクロ波は、該マイクロ波が導入されるすべてのキャビティ(空隙部)に入る(fill out)ように制御することができる。すなわち、マイクロ波は、角部(隅部)や小空間にも到達することができる。マイクロ波は、円形の輪郭(profile)又は断面(cross-section)をもつ処理構造物に対して有効に作用する(function)ともに、矩形の輪郭又は断面をもつ処理構造物に対しても有効に作用するということが注目されるべきである。処理構造物全体が単一で連続的な断面を有しない場合、該処理構造物は、計算する上においては、輪郭又は断面が異なる複数の部分で構成されるものとすればよい。
【0021】
直径がdである円形の輪郭又は断面をもつパイプの形態の処理構造物については、使用されるマイクロ波の波長λは、単一モードの電磁波の伝播を生じさせるために、おおむね1.3d≦λ≦1.7dの範囲内で好ましく選択することができる。単一モードの伝播により、システムにおける測定に予測可能性(predictability)及び再現性(repeatability)をもたせることができる。このシステムは、λ<1.3dの場合に生成される高次(high order)の伝播モード利用することができる。ただし、これは、共存している伝播モードの相互干渉(mutual interference)に起因して、システムの変化に対する感度を低下させるとともに、性能の予測可能性を低下させることになる。a・bの寸法をもつ輪郭ないしは断面が矩形のパイプの場合、用いられる波長は、a≦λ≦2aの間であるのが好ましい。なお、ここでは、a>bであると仮定している。これにより取得することができる単一モードの伝播によっても、測定に、良好な予測可能性及び再現性をもたせることができる。a=b(ただしa≦λ≦2a)の場合又はλ<aの場合、高次の伝播モードをもつ円形パイプの場合と同様の結果を生じさせる高次の伝播モードが生じることになる。処理構造物が製造容器の形態である場合、用いられる1つ又は複数の周波数の選択は、シミュレーションを用いて行うことができる。なぜなら、より複雑な電磁的環境が、より多くの仕様(specific)及び状況(situation)と、1つ又は複数の周波数の選択の調整とを要求するからである。要するに、ここで提案している手法の適用範囲(applicability)は、1つ又は複数の周波数(又は波長)の選択によるものに限定されるわけではなく、特定のシステムのセットアップを考慮した調整/考察が行われる場合には、性能及び予測可能性を改善することができる。本願では、主として少なくとも1つの信号を用いるものについて説明を行っているが、本発明、その態様及び実施態様は単一の波長又は周波数のみを用いるものに限定されるわけではないということが注目されるべきである。したがって、本発明は、複数の周波数をもつ複数の電磁波の形態である、処理構造物を伝播する信号を送信することも含んでいる。換言すれば、複数の情報を含む信号を用いることも、本発明の範囲内である。
【0022】
本発明の少なくとも1つの実施態様によれば、送信モードもしくは反射モードの操作、又は、上記モードを組み合わせた動作が用いられる。送信モードにおいては、好ましくは、電磁波の形態の信号は、該信号が送信された処理構造物の第1の位置から、処理構造物の第2の位置まで進行する。例えば、これらの2つの位置は、処理構造物の背向する2つの側部であってもよい。しかしながら、これに代えて、その他の形態であってもよい。第1の位置から第2の位置へ信号が伝播する間に、該信号は、処理構造物の内部における材料の存在又は幾何学的状態により影響を受ける。その結果、第2の位置で検出される信号に変形ないしは歪みが生じる。反射モードにおいては、伝播した信号は、処理構造物の内表面に到達しようとしたときには、受信される前に反射される。反射された信号は、該信号が送信されたのと同一の位置で好ましく受信される。これは、まず1つのアンテナを信号を送信するために用い、この後に同一のアンテナを用いて反射された信号を受信することにより実現することができる。これに代えて、又は補助として、他の位置に配置されたもう1つのアンテナで反射された信号を受信するようにしてもよい。
【0023】
本発明の少なくとも1つの実施態様によれば、好ましくは少なくとも1つの電磁波を含んでいる少なくとも1つの送信された信号が、2つ又はこれより多い位置の各々において、好ましくは受信アンテナ等の2つ又はこれより多い受信機により、2つ又はこれより多い位置で受信される。かかる1つ又は複数の信号は、送信アンテナ等の単一の送信機から送信され、あるいは、少なくとも2つの送信機から送信される。複数の送信機が設けられる場合、各送信機は、これに対応する受信機を有していてもよい。異なる指定位置に、対をなす送信機/受信機を配置するとともに、これらの対の各応答を解析ないしは吟味することにより、処理構造物の内部のどの領域に残留医薬材料が存在しているかを検出することができる。
【0024】
複数の送信機及び受信機を用いる場合のもう1つの利点は、とくに測定が長距離にわたって行われる場合に、小粒子等の小さい対象物の検出が容易であるということである。それゆえ、測定を行うことを希望する1つ又は複数の領域と、検出を希望する対象物の寸法とに応じて、用いるべき送信機及び受信機の数を決定すればよい。一般的に材料が残留しないということが知られている無関係な(irrelevant)領域にセンサ(送信機/受信機)を配置せず、該センサを、検出すべき材料が残留する可能性がより高い領域に配置してもよい。要望があれば、センサは、異なる方法により識別又は測定するものであってもよい。例えば、各送信機又は唯一の(unique)信号の符号化(encoding)を用いる各送信機に関連づけられた唯一(unique)の周波数を用いるもの、あるいは、その他の適切な多重アクセス方法(multiple access method)を用いるものであってもよい。例えばマイクロ波の周波数領域を含む、予め決定された周波数の帯域で信号を出力するただ1つの送信機と、各周波数の部分帯域を検出するように構成された複数の受信機とを用いてもよい。
【0025】
代替的に、又は補助として、異なる位置に複数の送信機と複数の受信機とを設け、受信機及び/又は送信機の配列を1つの共通モジュールに設けてもよい。このような送信機及び/又は受信機の配列は、送信機及び/又は受信機が1本の線に沿って配列される1次元形態のものであってもよく、また送信機及び/又は受信機が矩形のマトリクス状に配列される2次元形態のものであってもよい。その他の形態を用いることも可能である。モジュールとして設けられるこのタイプの配列は、複数の部分アンテナ(sub-antenna)からなる大きなアンテナとみなすことができ、また、モジュール内の各送信機及び/又は受信機は、複数の単独のアンテナであるとみなすことができる。それゆえ、上記複数のアンテナは、処理構造物に対して基本的には同一の位置に配置されているものとみなすことができ、又は、比較的短い距離を隔てて「異なる」位置に配置されているものとみなすことができる。複数の配列は、同時に処理構造物の測定に用いることができるということが理解されるべきである。
【0026】
本発明の少なくとも1つの実施態様によれば、送信された信号伝播を少なくとも部分的に遮断し、かつ、送信された信号を少なくとも部分的に反射させるために、送信された信号の伝播経路中に、1つ又は複数の反射器が配置される。反射器を用いることにより、大量の異なる測定を行うことが可能となる。例えば、処理構造物の内部における信号の伝播経路に反射器を配置することにより、信号は反射器の同一の側において部分的に反射され、適切に受信される。これにより、1つの可能な測定モードを得ることができる。そして、反射器を除去することにより、信号がその経路に沿って伝播し、さらに離れた位置で受信され、別の測定モードを設けることが可能となる。また、反射器が信号に対して少なくとも部分的に透過性である場合、信号の反射された部分は反射器の一方の側で受信され、他方信号の透過した部分は、反射器の他方の側で受信される。例えば反射器の有効遮断面積(effective blocking area)を変化させることにより、信号の反射率を変化させることが可能な反射器を用いてもよい。
【0027】
当業者であれば、用いる反射器の数を変えることにより、又は、1つ又は複数の反射器の位置を変えることにより、例えば残留材料などに関するさらなる情報を得ることができるということが理解できるであろう。とくに、複数の反射器を用いることにより、このような残留材料が存在する近似位置の検出を促進することができる。
【0028】
反射器は、処理構造物の少なくとも一部を、少なくとも部分的に閉じ又は密封(シール)するために用いられる。かくして、本発明の少なくとも1つの実施態様によれば、反射器は、バルブ、スライド式ゲートなどといった1つ又は複数の囲繞部材(closure)又はシール部材の形態のものである。処理構造物を閉じることにより、測定のための限定された空間部を得ることができる。これは、例えば、処理構造物内の残留材料又は損傷の近似位置を決定するのに用いられる。かくして、異なる部分を密封するとともに、該密封部内において測定を実施することにより、処理構造物の1つ又は複数の部分的空間部の基準状態と比較したときに、該処理構造物の1つ又は複数の部分的空間部に変化が生じているか否かを決定することができる。しかしながら、前記のとおり、反射器が信号の伝播を完全に遮断することは必要ではない。前記の部分的空間部についての原理は、部分的に透過性の反射器についても同様に当てはまる。
【0029】
囲繞部材又はシール部材の形態の反射器は、処理構造物にすでに設けられている既存のバルブであってもよい。このバルブは、材料が該バルブを通って輸送されるときに開かれ、残留材料が存在するか否かを検査するための測定を実施する前に閉じられる。あるいは、例えば残留材料又はその他の内部の幾何学的状態の変化の形態の障害(intrusion)の位置の検出を促進するために、複数の、ないしは小さい部分的空間部を設けることが望ましい場合は、既存の処理構造物に追加の反射器を設けるのが好ましい。
【0030】
さらに、反射器を用いることは、単一ユニット又は少数の送信機及び受信機を処理構造物における測定のために用いることを可能にする。例えば、処理構造物の一方の端部に配置された1つのユニットが送信機及び受信機の両方として用いられる場合、反射器は、異なる部分的空間部において反射モードの測定を実施するために、ある一定の順序で駆動される。かくして、信号は、少なくとも部分的に該信号を反射させる第1の反射器に向かって送信され、反射され受信された信号は基準値と比較される。この後、上記反射器が開かれ又は駆動が停止され、送信機/受信機ユニットの近傍の又は該ユニットと離間したもう1つの反射器が、新たな測定等を実施する前に駆動(運転)される。このようにして、どの測定結果が残留材料の存在の可能性を示し、どの測定結果が残留材料の存在を示していないのかを検査することにより、例えば残留材料の近似位置を検出することができる。
【0031】
また、パイプの形態である第1の処理構造物は、より大型の処理容器などの第2の処理構造物電磁エネルギを結合(供給)するのに用いることができる。この構成の利点は、第1の処理構造物に既に設けられている既存のプローブを、第2の処理構造物の内部の状態についての情報を得るのに用いることができることである。かくして、第1の処理構造物は、送信機及び/又は受信機のアンテナと考えることができる。
【0032】
本願明細書は、製造ラインにおける1つの処理構造物について実施される測定に焦点を合わせているが、本発明に係る方法は、複数の処理構造物においても用いることができる。この場合、例えば造粒容器に一対又は一連の送信機及び受信機が配設され、乾燥容器に別の一対又は一連の送信機及び受信機が配設され、そして2つの容器を接続しているパイプにさらなる一対又は一連の送信機及び受信機が配設される。あるいは、第1の処理構造物に1つの送信機を配設し、第2の処理構造物に1つの受信機を配設してもよい。これらの受信機、好ましくはこれら送信機も、各処理構造物において、コンピュータ又はマイクロプロセッサなどの単一の共通な解析ユニットに動作的に接続されている。あるいは、各処理構造物がそれ自体に割り当てられた解析ユニットを有していてもよい。
【0033】
前記の説明によれば、本発明は、異なる位置又は同一の位置(例えば1つのユニットとして)に配置された送信機及び受信機の使用も意図しているということは明らかである。本発明はまた、単一又は複数の送信機及び受信機を用いて、これらを製造システムに沿って配列することが可能なものとすることも意図している。
【0034】
本発明の少なくとも1つの実施態様を実施するために、上記の1つ又は複数の送信機及び受信機を、処理構造物の外部に配置してもよい。この場合、処理構造物には、好ましく、送信された信号を少なくとも部分的に透過させる窓部又はその他の壁部を設けてもよい。これにより、送信された信号が処理構造物内に入ることを可能にし、また、伝播した信号が、1つ又は複数の受信機による検出のために、処理構造物から出ることを可能にする。あるいは、壁部の一部は、1つ又は複数の送信機及び/又は受信機が、処理構造物内にプローブとして導入されることを可能にするように開くことができる。これらのプローブは、好ましく、例えば医薬材料が処理構造物から除去された後に、自動的に導入される。
【0035】
前記のとおり、処理構造物は、本発明を実施するための導波路として用いられる。処理構造物は、例えば、処理システムの既存の一部であってもよい。しかしながら、処理構造物をその他の方法で新たに設けてもよい。すなわち、処理システムに導波路を組み込んでもよい。ただし、場合によっては、導波路は、該システムの他の部分の供給者とは異なる供給者から入手することになる可能性がある。導波路が組み込まれた後、該導波路は、医薬材料を受け入れ、収容し、輸送し及び/又は処理するための処理構造物として用いることができる。このような実施態様は本発明の第3の態様に含まれる。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、薬剤処理等の処理の方法が提供される。この方法は、マイクロ波等の電磁波の伝播を導く(directing)ように構成されるとともに寸法が設定された導波路を設ける過程と、上記導波路に材料を供給する過程と、上記導波路内の材料又は上記導波路内を流通している材料を処理又は輸送する過程と、上記導波路から材料を除去する過程と、上記導波路を伝播する、電磁波の形態の少なくとも1つの信号を送信する過程と、上記の伝播した電磁波を受信する過程と、受信された電磁波に関連する少なくとも1つのパラメータを用いて、上記導波路内に材料が残留しているか否か、又は、上記導波路内に幾何学的状態の変化があるか否かを評価する過程とを含んでいる。
【0037】
本発明の第3の態様に係る方法に対応して、本発明の第4の態様によれば、薬剤処理装置等の処理装置が提供される。この処理装置は、マイクロ波等の電磁波の伝播を導くように構成されるとともに寸法が設定された導波路を備えている。ここで、導波路は、材料を該導波路に導入するための入口部と、好ましくは上記入口部とは分離され(別体形成され)該導波路から材料を除去するための出口部とを有する。一般的には、入口部は、出口部とは別体であるが、同一のポートを、入口部及び出口部として兼用するようにしてもよい。この処理装置は、さらに、上記導波路内を伝播する電磁波の形態の少なくとも1つの信号を送信するための少なくとも1つの送信機と、上記の伝播した電磁波を受信するための少なくとも1つの受信機とを備えている。そして、この処理装置はまた、上記受信機に動作的に接続され、受信された電磁波に関連するパラメータを決定するコンピュータ又はマイクロプロセッサ等の解析ユニットとを備えている。解析ユニットは、製造要員に、可視又は可聴の情報を提供し、これにより製造要員は、処理構造物に対して何らかの処置(action)をとるべきか否かの決定を行うことができる。例えば、製造要員は、処理構造物の修理を行ったり、処理構造物の内の材料の清掃を行ったり、又は、後で説明するように逆により多くの材料を追加したりすることができる。ある種の動作、例えば、1回分の材料が除去され、かつ、残留材料が検出されなかった後において、解析ユニットにより制御されるバルブが処理構造物に新たな回分の材料を導入することを可能にするために開かれる場合の動作は、製造要員に通知することは必ずしも必要ではない。したがって、製造要員に通知することなく、上記動作を自動的に行ってもよい。
【0038】
本発明の第3及び第4の態様は、本発明の第1及び第2の態様に係る実施態様ないしは特徴を、第3及び第4の態様に係る導波路の使用と両立する限度ないしは矛盾しない限度において、含むということが理解されるべきである。
【0039】
導波路は電磁波の伝播を制御し、その結果電磁波は、導波路の物理的構造によって定まる経路を進むことを強制されるということが理解されるべきである。ある任意の寸法の導波路は、ある所定の周波数より低い電磁波は伝播させないであろう(遮断周波数。カットオフ周波数)。本発明の少なくとも一部の態様及び実施態様は、処理構造物を、該処理構造物に沿って電磁波を案内するための案内手段として利用する。
【0040】
本発明の前記の態様及びこれらの態様の実施態様は、主として、処理構造物から材料を除去した後における、残留医薬材料などの残留材料の検出に関して説明が行われ、又は、処理構造物の損傷部、ゆるみ部、断絶部などといったその他の内部における幾何学的状態の変化の検出に関して説明が行われている。しかしながら、内部の幾何学的状態の変化はまた、ある時点(時刻)から他の時点までにおける材料の量の変化であってもよい。例えば、残留材料を検出するようになっている場合、処理構造物に材料が導入される前においては、上記量はゼロである。材料の除去に着手した後においては、残留材料の量はゼロでない値となるであろう。別の状況においては、処理構造物に材料を予め設定されたレベル、すなわち予め設定された量となるまで充填するのが望ましいであろう。ある程度充填された後、測定結果は、材料の量は予め設定されたレベルにまだ到達していないこと、すなわち測定値は予め設定された量と同一でないことを示すであろう。それゆえ、材料供給源に動作的に接続された、さらなる材料の追加を制御するための解析ユニットによって、さらなる充填が、好ましくは自動的に行われるであろう。この後、内部の幾何学的状態に変化が生じたか否か、例えば予め設定された所望の量に到達したか否かを検出するために新たな測定が行われる。かくして、このタイプの内部の幾何学的状態の変化の検出も、構造の変化に関連するだけでなく、内容物又はその量の変化にも関連し、したがって本発明の前記の各態様に含まれるものである。さらに、前記のすべてのタイプの検出は、本発明の第5の態様に含まれるものである。
【0041】
本発明の第5の態様によれば、薬剤処理等の処理の方法が提供される。この方法は、材料(例えば、医薬材料)を受け入れるように構成された、容器、パイプ、又は、これらの組み合わせ、例えば1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等である処理構造物を設ける過程を含んでいる。この処理構造物は、該処理構造物に沿って伝播しかつ該処理構造物によって導かれる(案内される)少なくとも1つの電磁波の形態の少なくとも1つの信号を送信することにより、導波路として用いられる。上記の伝播した電磁波は受信され、このように受信された電磁波の少なくとも1つのパラメータ値は、上記処理構造物の内部の基準状態に関連する基準値と比較される。上記値の比較に基づいて、上記処理構造物の内部の現在の状態が上記基準状態と異なるか否かが評価される。
【0042】
「現在の状態」との語は、伝播した信号が受信され、測定された時点における状態と解釈されるという意味であるというこが注目されるべきである。それゆえ、「現在の状態」は、信号の評価又は解釈が行われる正確な時点における処理構造物の状態に限定されるべきではなく、これより後の段階であってもよい。
【0043】
前記のとおり、処理構造物の内部における材料の量の変化を検出するのが望ましい。かくして、本発明の少なくとも1つの実施態様によれば、基準状態と現在の状態とは、処理構造物内の内容物である材料に関連する。ここで、処理構造物は、基準状態における第1の量の材料と、現在の状態における第2の量の材料とを収容している。それゆえ、上記少なくとも1つの実施態様は、上記第2の量が上記第1の量と異なるか否かを評価する過程を含んでいる。
【0044】
前記のとおり、第1の量はゼロであってもよく(空状態の処理構造物)、またゼロでない量であってもよい。そして、同様に、第2の量もゼロであってもよく、またゼロでない量であってもよい(ゼロでない量の場合、材料の物性の変化はすべて無視しうるものと過程している。)。基準状態が、予め設定されたゼロでない量の材料が処理構造物内に存在している状態である場合、製造要員は、現在の状態を測定することができ、例えば実際の量が予め設定された量より少ない状態に留まることを確実にしたり、又は実際の量が予め設定された量に到達することを確実にしたり、あるいは実際の量が予め設定された量を超えることを確実にしたりすることができる。これは、所望の(望ましい)基準状態とは別の、複数の追加の予め設定された基準状態を用いることによって実現することができる。追加の基準状態は、所望の基準状態に比べて高いレベル又は低いレベルの材料の存在を示すであろう。かくして、本発明の少なくとも1つの実施態様に係る方法は、第2の量が第1の量と異なるか否かの評価に基づいて、処理構造物の内部の材料の量を、例えば材料の追加又は除去を行うことにより、変化させる過程を含んでいる。これは、好ましくは、フィードバックシステム又は制御システムにより自動的に実施することができる。
【0045】
前記の説明に加えて、本発明の第5の態様は、実施態様又は特徴が、処理構造物を導波路として利用することと両立する限りにおいて、ないしは矛盾しない限りにおいて、本発明の前記の各態様に係る実施態様又は特徴を含むということが注目されるべきである。
【0046】
さらに、既存の処理構造物を導波路として用いるといった技術思想は、本発明の第6の態様においても適用される。すなわち、本発明の第6の態様は、処理容器(例えば、医薬材料処理容器)、又は、上記処理容器に接続されたパイプを、材料(例えば、医薬材料)の存在を検出するための導波路として用いる方法を提供する。同様に、本発明の第7の態様によれば、処理容器(例えば、医薬材料処理容器)、又は、上記処理容器に接続されたパイプを、処理容器内又はパイプ内に収容されている材料(例えば、医薬材料)の量の経時変化を検出するための導波路として用いる方法が提供される。かくして、処理構造物を導波路として用いることにより、好ましくは前記の方法により第1の時点で測定を行い、第2の時点でもう1つの測定を行い、そして上記両測定間において上記量が変化しているか否かを決定するために応答結果を比較することができる。
【0047】
処理構造物(例えば、パイプ又は容器)をマイクロ波の案内装置として用いるさらなる手法は共鳴モードの操作を用いることである。マイクロ波の共鳴器(レゾネータ)は、インピーダンスの不連続性により結合された伝達線断面(section of transmission line)として定義することができる(インピーダンス遷移境界(impedance transition border))。パイプ構造においては、不連続性は、パイプの両端部に形成される。これらは、開回路−導波路構造から空気への遷移部(例えば、開かれたバルブ)、又は短絡回路−金属板によって閉じられた導波路構造内における遷移部(例えば、閉じられたバルブ)である。容器構造の場合、容器構造自体は全体として中空の共鳴器と考えることができる。共鳴器の内部の場(電磁場)は、前記又は後記の場合と同様の手法で、送信機/受信機システムを結合することにより励起される(excited)。励起された場がインピーダンス遷移境界で反射した場と同一位相であれば、共鳴が生じるであろう。共鳴の状態ないしは条件(condition)は、不連続性のタイプ(空気、金属等)、用いられる共鳴構造のタイプ(導波路、同軸等)、その寸法、及び、用いられる周波数に応じて変化する。しかし、一般論としては、入力エネルギと反射エネルギとの間の位相差は、伝播するエネルギの有効波長に対してn×2πであるべきである(nは整数)。共鳴に関連するパラメータは、共鳴周波数及び/又はQファクタ(共鳴器内に蓄積されたエネルギと、1サイクルの間に散逸するエネルギの比)である。本発明の応用例によれば、共鳴を生じさせるのに用いられる周波数が調整される。最初に設定された基準状態に関するQファクタ(Q-factor)及び/又は共鳴周波数の変化の測定結果は、残留材料の存在又はその他の特徴の変化を示すのに用いることができる。例えば、残留材料を決定する場合においては、予め設定された共鳴周波数及び/又はQファクタの基準値に到達したことは、予め設定された状態(空状態の処理構造物)にと到達したことを示すであろう。同様に、材料のある所定の量の存在が基準状態である場合においては、予め設定された共鳴周波数/Qファクタの基準値に到達したことは、上記基準状態が達成されたことを示すであろう。共鳴モードの操作を用いることの利点は、単一の送信機/受信機ユニットを用いだけで測定を実施することができることである。もう1つの利点は、測定された処理構造物内における環境の変化に対する感度が高いことである。しかしながら、要望があれば、これに代えて、複数のユニットを用いることも可能である。
【0048】
ある処理構造物においてある処理工程が実施された後に例えば残留材料の検出を可能にすることに加えて、本発明はまた、処理工程を連続的に監視するのに応用してもよい。かくして、本発明の第8の態様によれば、容器、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等で構成される処理構造物(例えば、薬剤処理構造物等)を介して所定の量の材料を輸送する過程を監視する方法が提供される。この所定の量の材料を輸送する過程を監視する方法は、処理構造物に沿って伝播するとともに処理構造物によって導かれる電磁波の形態の信号を繰り返して又は連続的に送信することにより、処理構造物を導波路として用いる過程と、上記の伝播した電磁波を受信する過程と、受信された電磁波の少なくとも1つのパラメータ値を、上記所定の量の材料が処理構造物内に導入される前に、処理構造物の内部の基準状態を示す基準値と比較する過程とを含んでいる。上記所定の量の材料が処理構造物内に導入されるときには、上記パラメータ値が上記基準値と異なるようになり、上記所定の量の材料が処理構造物を介して輸送され、又は、処理構造物から外部に輸送されたときには、上記パラメータ値が復帰して上記基準値に実質的に対応する。
【0049】
かくして、監視している間に応答結果がどのように変化したかを通知することにより、製造要員は、材料が処理構造物に加えられたとき、又は加えられているときのほか、材料が処理構造物から除去されたとき、又は除去されているときを知ることができる。基準レベルとして空状態の処理構造物を用いるのが実用的であるが、部分的に材料が充填された処理構造物もまた、基準レベルとして用いることができる。後者は、例えば、実質的に均一な量の材料が処理構造物を流通しているか否かを監視する場合に用いることができる。この場合、応答結果は、材料の流れの増加又は減少があるか否かを示す。
【0050】
前記の説明に加えて、本発明の第8の態様は、実施態様又は特徴が、処理構造物を導波路として利用することと両立する限りにおいて、ないしは矛盾しない限りにおいて、本発明の前記の各態様に係る実施態様又は特徴を含むということが注目されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1a】本発明の少なくとも1つの実施の形態の基礎となっている原理を模式的に示す図であり、異なる誘電率が、処理構造物又は導波路を通って伝播している電磁力の流れにどのような影響を及ぼすかを示している。
【図1b】本発明の少なくとも1つの実施の形態の基礎となっている原理を模式的に示す図であり、異なる誘電率が、処理構造物又は導波路を通って伝播している電磁力の流れにどのような影響を及ぼすかを示している。
【図2】本発明の少なくとも1つの実施の形態を実施した薬剤処理システムの一部を模式的に示す図である。
【図3】本発明の少なくとも1つの実施の形態を実施した処理構造物を模式的に示す図である。
【図4】本発明の少なくとも1つの実施の形態を実施したさらなる処理構造物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明のいくつかの実施の形態を非制限的な例として説明する。
【0053】
図1a及び図1bは、本発明の少なくとも1つの実施の形態の基礎となっている原理を模式的に示している。これらの図は、誘電率の相違が、処理構造物(パイプ)又は導波路10を通って伝播している電磁パワー(electromagnetic power)の流れにどのような影響を及ぼすかを示している。図1a及び図1b中では、導波路10は、矩形の断面形状を有しているが、上記原理はその他の断面形状を有する導波路にも応用することができる。
【0054】
図1aに示す導波路10は空状態である。すなわち、導波路10の内部には、誘電体媒体としては空気が入っているだけである。電磁エネルギ、例えばマイクロ波エネルギは、導波路10の入力端12を通って導波路10内に送信(発信)される。ここでは、入力端12における電磁エネルギの結合(coupling)は理想的なものであり、単一モードの伝播が生じるものと仮定している。導波路10を通る電磁パワーの流れの分布は、電磁パワー強度をあらわすグレースケール(grey scale)の異なる影(shade)で示されている。ここで、白はパワー強度が高いことを示し、黒は低いパワー強度又はパワー強度ゼロの状態を示している。図1aから明らかなとおり、伝播した電磁波は、導波路10の他端14に到達したときに、その電磁パワーを失っていない。図1aによれば、電磁パワー強度は同一であることが分かるであろう。電磁パワーの流れの分布は、導波路10の全体についてほぼ一定である。
【0055】
図1bに示す状態においては、導波路10は、例えば粉体等からなる、空気とは誘電率が異なる少量の医薬材料16を収容している。医薬材料16は、導波路10の側に輪郭(contour)が示されているように、導波路10の入力端12の近傍に位置している。医薬材料16の誘電率に起因して、入力端12を通って送信される電磁波は、導波路10の内部に空気だけが存在すると仮定した場合とは異なる態様で影響を受けるであろう。図1bに示すように、電磁波が医療材料16を通って伝播する際に実質的な電磁パワー損失が生じる(図1bでは、医薬材料16に沿って、明るい影から暗い影に急激に変化している)。ここで、図1aと図1bとでは、それらの導波路10における電磁パワーの流れに明確な差がある。導波路10に沿った、出力部14又はその他の部位におけるこの検出可能な差は、残留材料の存在を検出するのに用いることができる。
【0056】
また、この検出可能な差についての原理は、例えば、容器等の処理構造物の中に存在する材料の量を決定するのにも用いることができるということが理解されるべきである。伝播している電磁エネルギの減衰は、該電磁エネルギが伝播している材料の量に実質的に比例するものと認められる。それゆえ、ここでは、例えば造粒容器等の容器などの処理構造物には、所定の量の材料が充填され、上記量は、該材料を通って伝播する電磁エネルギの電磁パワーの50%を減衰させると予測されるものと仮定する(ここでは、単純化するため、場分布効果(field distribution effect)は無視する)。処理構造物内に最初に材料が供給された後に、材料を通って伝播した電磁エネルギの電磁パワーが、送信された電磁パワーの50%より高いことが検出された場合、上記所定の量の材料はまだ到達していないと解釈されるであろう。なお、図1a及び図1bはパイプの形態の処理構造物又は導波路10を示しているだけであるが、上記の説明によれば、この原理は容器又は容器の一部分などといった他の処理構造物にも適用することができるということは明らかである。
【0057】
また、空気又はその他の材料によって異なる態様で影響を受ける音響波又はその他の信号も、残留材料の存在又は該材料の量を検出するのに用いることができる。
【0058】
さらに、処理構造物の損傷部又は断絶部もまた、無傷ないしは正常な処理構造物に比べて、電磁エネルギパワーに異なる減衰を生じさせる。これに関して、本発明は、2つの処理構造物が少なくとも部分的に断絶しているか否かを検出するのにも用いることができるということが理解されるべきである。
【0059】
図2は、本発明の少なくとも1つの実施の形態を実施した製薬処理システム20の一部を模式的に示している。この製薬処理システム20中の図示された部分の1つは、活性原料(active ingredient)を、充填材と水等の結合物質(binding substance)とに混合させる造粒容器22(granulation vessel)である。もう1つの部分は、混合された医薬材料を乾燥させて所望の低含水率にする乾燥容器24である。パイプ26の形態の接続部は、造粒容器22内の混合された材料を乾燥容器24に輸送することを可能にする。造粒容器22は、混合されるべき材料を受け入れるための1つ又は複数の入口部(図示せず)を有するとともに、混合された材料をパイプ26に導入するための出口部28を有している。同様に、乾燥容器24は、パイプ26に接続され、混合された材料を受け入れる入口部30と、十分に乾燥した材料を更なる処理部に送るための1つ又は複数の出口部(図示せず)とを有している。造粒容器22の出口部28は、乾燥容器24の入口部30よりも鉛直方向にみて高い位置に配置され、これにより混合された材料に重力が作用し、該材料を、傾斜したパイプ26を通って輸送することが可能となっている。しかしながら、パイプを通しての輸送を促進するために、その他の装置を設けてもよい。
【0060】
パイプ26には、2つのセンサないしはプローブ32、34が設けられている。この実施の形態においては、センサないしはプローブは、好ましくはマイクロ波の形態の電磁波(電磁放射線)を送信し及び/又は受信するためのアンテナを備えている。しかしながら、他の実施の形態においては、それらは音響プローブであってもよい。アンテナ32、34は、パイプ26にその壁部を貫通して挿入され、又は、電磁波を少なくとも部分的に透過させる窓部を通してパイプ26の外部に対して、電磁波を送信し及び受信するように構成されている。
【0061】
造粒容器22の出口部28には第1のバルブ36が設けられ、乾燥容器24の入口部30には第2のバルブ38が設けられている。両バルブ36、38の1つの機能は、材料の流れを制御することである。例えば、造粒容器22内の材料が所望の度合いに混合される前には、少なくとも第1のバルブ36は閉じられ、材料が造粒容器22から出るのを防止する。両バルブ36、38のもう1つの機能は、電磁波の測定を促進するための空間部の範囲を定めて、伝播している電磁波を反射させる反射器として機能することである。これらのバルブ36、38を反射器として用いることにより、単一のユニットが送信機及び受信機の両方として機能することを可能にする。また、システムが適切に調整され、かつ障害(disturbance)が存在する(例えば、材料の残留)場合は、信号はより大きく減衰するであろう。なぜなら、信号は、上記障害を2回又はこれより多数回通り、このため基準信号に対して、より大きい検出可能な差が生じるからである。さらに、前記のとおり、共鳴モードを用いてもよい。
【0062】
また、本発明の少なくとも1つの実施の形態によれば、伝播した電磁波を受信するアンテナ32、34のうちの少なくとも1つに、解析ユニット40が接続されている。パイプ26の状態を決定するために、例えば材料がパイプ26から乾燥容器24内に流れることが可能となった後において残留材料が存在するか否かを決定するために、振幅又は位相などといったパラメータ値が、該パラメータについての基準値と比較される。しかしながら、図2に示すように、解析ユニット40はまた、その他の部品、例えばその他のアンテナやバルブ36、38に動作的に(operatively)接続されてもよい。それゆえ、以下では、これを包括的に解析・制御ユニット40ということにする。ここでは、解析・制御ユニット40は、異なる部品に接続されたワイヤ42を伴った形態で示されている。しかしながら、解析・制御ユニット40は、その他の手段により、例えばマイクロ波を解析・制御ユニット40への全経路にわたって導く同軸線(coaxial line)又は無線制御により、上記部品に動作的に接続してもよい。
【0063】
少なくとも1つの操作モードにおいては、十分に混合された材料が、造粒容器22からパイプ26を通って、乾燥容器26に送られる。この後、解析・制御ユニット40から指令信号(command signal)が送信されてバルブ36、38が閉じられ、又は手動でバルブ36、38が閉じられる。次に、解析・制御ユニット40は、アンテナ32、34のうちの一方を起動して、1つ又は複数の電磁波の形態の電磁放射線を送信する。ここで、電磁波は、パイプ26の内部を伝播し、アンテナによって受信される。解析・制御ユニット40は、例えば電磁波の振幅を、空状態のパイプ26に対して予測される応答振幅と比較することにより、受信された電磁波の内容を解析する。パイプ26内に医薬材料が残留していることを示す差、又は、パイプ26が損傷を受け又は断絶していることを示す差が存在する場合、解析・制御ユニット40は製造要員にその旨の警告を行い、製造要員はこれにより適切な行動を起こすことができる(例えば、清浄化又は修理)。しかしながら、解析・制御ユニット40によって行われた評価が、パイプ26は十分に清浄であることを示している場合、解析・制御ユニット40は、新たな材料が造粒容器22内で十分に混合された後、直ちにバルブ36、38を開く。
【0064】
電磁波を送信するときに、図2に示すバルブ36、38を閉じる必要はないということが注目されるべきである。この場合でも、測定値は、十分に区別することができる情報を提供することができる。かくして、電磁波がパイプ26の内部を伝播している間、両バルブ36、38を開くことができ、又は、一方のバルブを開き他方のバルブを閉じることができる。
【0065】
2つのアンテナ32、34の一方は、受信用及び/又は送信用アンテナとして機能することができるということも注目されるべきである。したがって、一方が送信し、他方が受信するものである必要はない。また、1つのアンテナ、例えばアンテナ32だけを用いて、該アンテナが電磁波の送信及び受信の両方を行うようにしてもよい。あるいは、両アンテナ32、34が電磁波を同時に送信し、かつ受信するようにしてもよい。また、アンテナの一方、例えばアンテナ32を送信用及び受信用のアンテナとして機能させるとともに、他方のアンテナ34を送信専用アンテナ又は受信専用アンテナとして機能させてもよい。アンテナ32、34の配置位置は、構成上の障害についての一般的な電磁学的な事情を考慮して選択すればよい。バルブ又は同様の反射器の反射機能を有利にするためには、例えば、アンテナを、バルブからnλ/4の距離の位置に配置するのが好ましいということが判明した。ここで、nは正の奇数(n=1、3、5……)である。用いられる1つ又は複数の周波数は、パイプ26の幾何学的状態に応じて選択すればよい。
【0066】
図2に示す例においては、2つのアンテナ32、34が設けられているだけであるが、その他の数のアンテナを設けてもよい。例えば、反射モードで動作する単一のアンテナを設けてもよく(バルブは適切に閉じられている)、また2つより多いアンテナを、例えば数個の群又は配列の形態で設けてもよい。
【0067】
図3は、本発明の少なくとも1つの実施の形態を実施した処理構造物を模式的に示している。この処理構造物は、長手のパイプ50を備えた形態のもの、又は、数個(複数)のパイプが互いに接続されたシステムを備えた形態のものである。数個(複数)のパイプが互いに接続されている場合、これらのパイプは、小径のパイプと、これに接続された大径のパイプとを備えていてもよい。また、これらのすべてのパイプが同一径であってもよい。パイプ50は、図2に示すようなパイプと同様のタイプの接続パイプであってもよく、また薬剤処理システムにおける原料の供給パイプ又は排出パイプと同様のその他のタイプのパイプであってもよい。図3では解析・制御ユニットは示していないが、この処理構造物にもこのようなユニットが適切に設けられている。
【0068】
湾曲しているパイプ50が長いので、複数のアンテナを設けてもよい。図3に示す実施の形態では、4つのアンテナ52、54、56、58が設けられている。これらのアンテナは、任意の組み合わせ形態において、送信機及び/又は受信機として機能する。パイプ50の一方の端部には第1のバルブ60が設けられ、パイプ60の他方の端部には第2のバルブ62が設けられ、パイプ60の途中には第3のバルブ64が設けられている。これらのバルブ60、62、64は、開閉されることができ、閉じられた位置では反射器として機能する。ここで、入射される電磁波は、閉じられたバルブによって少なくとも部分的に反射される(部分的に透過することは可能である)。測定は、バルブ60、62、64がすべて閉じられた状態、すべて開かれた状態、又は、1つもしくは2つのバルブが開かれた状態で実施することができる。
【0069】
異なるアンテナ52、54、56、58での測定を組み合わせることにより、残留医薬材料又は損傷が存在している部位を推定する(approximate)ことができる。第3のバルブ64を閉じることにより、該バルブ64のどちら側に残留材料が存在するかを決定することができる。これらのアンテナにうちのいずれか1つのみ、例えばアンテナ52を送信機及び受信機として用いること、また図示されたバルブ60、62、64又はこれより多いバルブを順次閉じることも可能である。これにより、パイプ50内の複数の部分的空間部(sub-space)において測定を実施することができる。これは、残留材料の形態の侵入物(intrusion)の位置、又は、損傷した壁部などといったパイプ50内のその他の幾何学的変化の近似位置を発見するために行われる。当業者であれば、残留材料の近似位置を発見するために、アンテナ52、54、56、58とバルブ60、62、64とを用いた、その他の複数の方法及び変形例を認識することができるであろう。また、前記のすべての可能な測定の組み合わせでもって、例えばバルブ62とバルブ64との間のパイプ部分に代えて、容器を配置することも可能である。また、アンテナ52を送信機として用い、バルブ64の後に配置された容器のアンテナ(56又は58に対応する)を受信機として用いてもよい。
【0070】
図4は、本発明の少なくとも1つの実施の形態を実施したさらなる処理構造物70を示している。この処理構造物70は、封じ込められた空間部(contained space)を画成している。後記のように行われる測定は、あらゆるタイプの薬剤製造容器に応用することができる。しかし、この図4においては、造粒容器70における測定を意図している。造粒容器70の壁部には、アンテナ72、74を備えた2つのプローブが設けられている。しかしながら、これ以外の数のプローブを設けてもよい。これらのアンテナのうちの1つ、例えばアンテナ72が送信機であり、他方のアンテナ74が受信機であってもよい。あるいは、アンテナ72、74のうちの1つ又は両方が、送信機及び受信機の両方として機能するものであってもよい。周波数及びアンテナの位置の選択は、一般的な電磁理論を応用することにより決定することができる。
【0071】
図4はまた、2つの材料の供給源76、78も示している。これらの供給源76、78から、それぞれの供給配管80、82を介して製造容器に異なる医薬材料が供給される。両供給源76、78と両アンテナ72、74とに、例えばワイヤ86により又は無線制御により、解析・制御ユニット84が動作的に接続されている。受信された電磁波に含まれている情報に基づいて、解析・制御ユニット84は、供給源76、78を、容器70に多くの材料を供給するように制御することができる。この制御は、受信された電磁波が、1つ又は複数の対応する基準値と比較されたときに適切なパラメータ値をもつまで行われる。解析・制御ユニット84はまた、容器70から材料が排出された後、容器70内に残留材料が存在するか否かを検出するための操作モードにおいても用いることができる。
【0072】
図2、図3及び図4における構成(set-up)は、互いに組み合わせて用いることができ、またその他の構成と組み合わせて用いることができる。例えば、図2に示すシステムの一部の構成において、造粒容器22に、図4に示すプローブ72、74を設けてもよい。この場合、これらのプローブは、特定の解析・制御ユニット84に動作的に接続することができ、又は、図2中のプローブ32、34のように同一の解析・制御ユニット40に接続してもよい。さらに、図2中の乾燥容器24を上記プローブに適応(fit)させ、排出後における残留医薬材料の検出を可能にし、又は、充填レベルに到達したか否かの検出を可能にし、あるいは、乾燥容器24に損傷が生じたか否かの検出を可能にしてもよい。かくして、プローブは、製造容器に設けてよく、またこのような製造容器に接続されたパイプに設けてもよい。さらに、本発明は、これらの図2〜図4に示す薬剤処理装置とは異なるタイプの薬剤処理装置に適用してもよい。本発明は、異なるタイプの薬剤処理プロセスにも適用することができるということも理解されるべきである。例えば、本発明は、回分処理及び/又は連続処理の両方に適用することができる。
【0073】
(1) 薬剤処理等の処理の方法であって、
容器、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等で構成される処理構造物に材料を供給する過程と、
上記処理構造物から材料を除去する過程と、
上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの信号を送信する過程と、
上記の伝播した信号を受信する過程と、
受信された信号の少なくとも1つのパラメータ値を基準値と比較する過程と、
上記の値の比較に基づいて、上記処理構造物内に材料が残留しているか否か、又は、上記処理構造物内に幾何学的変化があるか否かを評価する過程とを含んでいることを特徴とする方法。
(2) 上記処理構造物を導波路として用いる過程をさらに含んでいて、
上記の信号を送信する過程は、上記処理構造体を伝播する少なくとも1つの電磁波を送信する過程を含み、上記の信号を受信する過程は、上記の伝播した電磁波を受信する過程を含み、
上記の受信された信号の少なくとも1つのパラメータ値を比較する過程は、受信された電磁波に関連する少なくとも1つのパラメータ値を上記基準値と比較する過程を含んでいることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3) 薬剤処理等の処理の方法であって、
マイクロ波等の電磁波の伝播を導くように構成されるとともに寸法が設定された導波路を設ける過程と、
上記導波路に材料を供給する過程と、
上記導波路内の材料又は上記導波路内を流通している材料を処理又は輸送する過程と、
上記導波路から材料を除去する過程と、
上記導波路を伝播する、電磁波の形態の少なくとも1つの信号を送信する過程と、
上記の伝播した電磁波を受信する過程と、
受信された電磁波に関連する少なくとも1つのパラメータを用いて、上記導波路内に材料が残留しているか否か、又は、上記導波路内に幾何学的変化があるか否かを評価する過程とを含んでいることを特徴とする方法。
(4) 薬剤処理等の処理の方法であって、
材料を受け入れるように構成された、容器、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等である処理構造物を設ける過程と、
上記処理構造物に沿って伝播しかつ上記処理構造物によって導かれる少なくとも1つの電磁波の形態の少なくとも1つの信号を送信することにより、上記処理構造物を導波路として用いる過程と、
上記の伝播した電磁波を受信する過程と、
受信された電磁波の少なくとも1つのパラメータ値を、上記処理構造物の内部の基準状態に関連する基準値と比較する過程と、
上記値の比較に基づいて、上記処理構造物の内部の現在の状態が上記基準状態と異なるか否かを評価する過程とを含んでいることを特徴とする方法。
(5) 容器、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等で構成される薬剤処理構造物等の処理構造物を介して所定の量の材料を輸送する過程を監視する方法であって、
上記処理構造物に沿って伝播するとともに上記処理構造物によって導かれる電磁波の形態の信号を繰り返して又は連続的に送信することにより、上記処理構造物を導波路として用いる過程と、
上記の伝播した電磁波を受信する過程と、
受信された電磁波の少なくとも1つのパラメータ値を、上記所定の量の材料が上記処理構造物内に導入される前に、上記処理構造物の内部の基準状態を示す基準値と比較する過程とを含んでいて、
上記所定の量の材料が上記処理構造物内に導入されるときには、上記パラメータ値が上記基準値と異なるようになり、上記所定の量の材料が上記処理構造物を介して輸送され、又は、上記処理構造物から外部に輸送されたときには、上記パラメータ値が復帰して上記基準値に実質的に対応することを特徴とする方法。
(6) 上記電磁波は、その周波数が100MHz〜3THzの範囲内のものであり、好ましくは、周波数が300MHz〜300GHzの範囲内のマイクロ波であることを特徴とする、(2)〜(5)のいずれか1つに記載の方法。
(7) 上記の受信された電磁波は、該電磁波が送信された位置と実質的に同一の位置で受信された反射波であり、
上記送信及び受信は、好ましくは単一のアンテナにより行われることを特徴とする、(2)〜(6)のいずれか1つに記載の方法。
(8) 電磁波を送信するために第1のアンテナが用いられ、伝播した電磁波を受信するために第2のアンテナが用いられることを特徴とする、(2)〜(7)のいずれか1つに記載の方法。
(9) 少なくとも2つのアンテナにより2つ又はこれより多い位置で少なくとも1つの電磁波を受信する過程を含んでいることを特徴とする、(2)〜(8)のいずれか1つに記載の方法。
(10) 少なくとも2つのアンテナにより2つ又はこれより多い位置から電磁波を送信する過程を含んでいることを特徴とする、(2)〜(9)のいずれか1つに記載の方法。
(11) 共通のモジュールに設けられた送信機及び/又は受信機の配列について、少なくとも1つの電磁波の送信及び/又は受信を行う過程を含んでいることを特徴とする、(2)〜(10)のいずれか1つに記載の方法。
(12) 上記の信号を送信する過程は、上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの音響波を発信する過程を含み、上記の信号を受信する過程は、上記の伝播した音響波を受信する過程を含み、
上記の受信された信号の少なくとも1つのパラメータ値を比較する過程は、受信された音響波に関連する少なくとも1つのパラメータ値を上記基準値と比較する過程を含んでいることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(13) 上記少なくとも1つのパラメータ又はパラメータ値に少なくとも部分的に基づいて上記処理の制御を行う過程を含み、
上記制御における処理動作は、少なくとも上記処理を停止させる動作又は上記処理を継続させる動作を含んでいることを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1つに記載の方法。
(14) 少なくとも上記送信、上記受信及び上記評価を連続的に行って、上記処理の進行を監視することを特徴とする、(1)〜(13)のいずれか1つに記載の方法。
(15) ゼロ又はゼロでない既知の量の材料が処理構造物内に存在するときには、上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの信号を送信し、このように伝達された信号を受信し、受信された信号に関連する少なくとも1つのパラメータの値を決定することにより、基準値を決定する過程を含んでいることを特徴とする、(1)〜(14)のいずれか1つに記載の方法。
(16) 上記少なくとも1つのパラメータは、受信された信号の振幅、位相、電力及び周波数で構成される群のうちのいずれか1つであることを特徴とする、(1)〜(15)のいずれか1つに記載の方法。
(17) 送信された信号の伝達を少なくとも部分的に遮断し、かつ送信された信号を少なくとも部分的に反射させるために、送信された信号の伝播経路中において少なくとも1つの反射器を用いる過程を含むことを特徴とする、(1)〜(16)のいずれか1つに記載の方法。
(18) 上記状態は上記処理構造物内の材料の内容量に関連し、上記処理構造物は基準状態における第1の量の材料と、現在の状態における第2の量の材料とを収容し、
該方法は、上記の値の比較に基づいて、上記第2の量が上記第1の量と異なるか否かを評価する過程を含んでいることを特徴とする、(4)に記載の方法。
(19) 材料の上記第1の量は実質的にゼロであり、
該方法は、例えば材料が上記処理構造物内に供給され、この後において少なくとも部分的に除去された後に、上記処理構造物内に材料が存在するか否かを評価する過程を含んでいることを特徴とする、(18)に記載の方法。
(20) 材料の上記第1の量はゼロでない量であり、
該方法は、所定の充填水準に到達したか否かを決定する過程を含んでいることを特徴とする、(18)に記載の方法。
(21) 上記第2の量が上記第1の量と異なるか否かの評価に基づいて、例えば材料を所定量追加又は除去することにより、上記処理構造物内の材料の量を変化させることを特徴とする、(18)〜(20)のいずれか1つに記載の方法。
(22) 上記状態は上記処理構造物の内部の幾何学的状態に関連するものであり、
上記処理構造物は、第1の時点における基準状態において第1の内部幾何学的状態を有し、第2の時点における現在の状態において第2の内部幾何学的状態を有し、
該方法は、上記の値の比較に基づいて、上記第1の時点と上記第2の時点との間で、上記処理構造物の内部の幾何学的変化、例えば上記処理構造物の損傷部又は断絶部が生じたか否かを評価する過程を含んでいることを特徴とする、(4)に記載の方法。
(23) 上記処理構造物内に共鳴が生じるように、送信されるべき信号の周波数を調整する過程を含んでいて、
測定は操作が共鳴モードにあるときに実施されることを特徴とする、(1)〜(22)のいずれか1つに記載の方法。
(24) 上記1つ又は複数の材料が、1つ又は複数の薬剤であることを特徴とする、(1)〜(23)のいずれか1つに記載の方法。
(25) 薬剤処理装置等の処理装置であって、
容器、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等で構成された処理構造物であって、該処理構造物内に収容され、又は該処理構造物内を流通する材料を処理し、保持し又は輸送するようになっている処理構造物と、
上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの信号を送信する少なくとも1つの送信機と、
上記の伝播した信号を受信する少なくとも1つの受信機と、
上記受信機に動作的に接続され、受信された信号に関連するパラメータを決定するコンピュータ又はマイクロプロセッサ等の解析ユニットとを備えていることを特徴とする処理装置。
(26) 上記少なくとも1つの送信機は、上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの電磁波の形態の上記少なくとも1つの信号を送信する少なくとも1つのアンテナを有し、
上記少なくとも1つの受信機は、上記の伝播した電磁波を受信する少なくとも1つのアンテナを有し、
上記解析ユニットは、上記受信機に動作的に接続されていて、受信された電磁波に関連するパラメータを決定するようになっていることを特徴とする、(25)に記載の処理装置。
(27) 薬剤処理装置等の処理装置であって、
マイクロ波等の電磁波の伝播を導くように構成されるとともに寸法が設定された導波路であって、材料を該導波路に導入するための入口部と、好ましくは上記入口部とは分離され該導波路から材料を除去するための出口部とを有する導波路と、
上記導波路内を伝播する電磁波の形態の少なくとも1つの信号を送信するための少なくとも1つの送信機と、
上記の伝播した電磁波を受信するための少なくとも1つの受信機と、
上記受信機に動作的に接続され、受信された電磁波に関連するパラメータを決定するコンピュータ又はマイクロプロセッサ等の解析ユニットとを備えていることを特徴とする処理装置。
(28) 上記少なくとも1つの送信機は、上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの音響波の形態の上記少なくとも1つの信号を送信するように構成され、
上記少なくとも1つの受信機は、上記の伝播した音響波を受信するように構成され、
上記解析ユニットは、上記受信機に動作的に接続され、受信された音響波に関連するパラメータを決定するようになっていることを特徴とする、(25)に記載の処理装置。
(29) 上記少なくとも1つの送信機と受信機とが単一のユニットとして設けられていることを特徴とする、(25)〜(28)のいずれか1つに記載の処理装置。
(30) 上記少なくとも1つの送信機と受信機とが個別のユニットとして設けられていることを特徴とする、(25)〜(28)のいずれか1つに記載の処理装置。
(31) 1つの共通のモジュールに配設された受信機及び/又は送信機の配列を備えていることを特徴とする、(25)〜(30)のいずれか1つに記載の処理装置。
(32) 送信された信号の伝播を少なくとも部分的に遮断し、かつ送信された信号を少なくとも部分的に反射させるために、送信された信号の伝播経路中に配置することができる少なくとも1つの反射器を備えていることを特徴とする、(25)〜(31)のいずれか1つに記載の処理装置。
(33) 上記1つ又は複数の材料が、1つ又は複数の薬剤であることを特徴とする、(25)〜(32)のいずれか1つに記載の処理装置。
(34) 処理容器、又は、上記処理容器に接続されたパイプを、材料の存在を検出するための導波路として用いることを特徴とする方法。
(35) 処理容器、又は、上記処理容器に接続されたパイプを、処理容器内又はパイプ内に収容されている材料の量の経時変化を検出するための導波路として用いることを特徴とする処理容器又はパイプを使用する方法。
(36)(1)〜(24)のいずれか1つに記載の方法に係る動作を実施する過程を含むことを特徴とする、(34)又は(35)に記載の方法。
(37) 上記処理容器又はパイプが、(25)〜(33)のいずれか1つに記載の処理装置の一部を形成することを特徴とする、(34)又は(35)に記載の方法。
(38) 上記処理容器が製剤処理容器であり、上記材料が薬剤であることを特徴とする、(34)〜(37)のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0074】
10 導波路、12 入力端、14 出力端、16 医薬材料、20 薬剤処理システム、22 造粒容器、24 乾燥容器、26 パイプ、28 出口部、30 入口部、32 アンテナ、34 アンテナ、36 バルブ、38 バルブ、40 制御ユニット、42 ワイヤ、50 長手のパイプ、52 アンテナ、54 アンテナ、56 アンテナ、58 アンテナ、60 バルブ、62 バルブ、64 バルブ、70 造粒容器、72 アンテナ、74 アンテナ、76 供給源、78 供給源、80 供給配管、82 供給配管、84 制御ユニット、86 ワイヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤処理の方法であって、
容器、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等である処理構造物に薬剤材料を供給する過程と、
上記処理構造物から薬剤材料を除去する過程と、
上記処理構造物から薬剤材料が除去された後に、上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの信号を送信する過程と、
上記の伝播した信号を受信する過程と、
受信された信号に関連する少なくとも1つのパラメータ値を基準値と比較する過程と、
上記の値の比較に基づいて、上記処理構造物内に薬剤材料が残留しているか否か、又は、上記処理構造物内に幾何学的変化があるか否かを評価する過程とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記処理構造物を導波路として用いる過程をさらに含んでいて、
上記の信号を送信する過程は、上記処理構造体を伝播する少なくとも1つの電磁波を送信する過程を含み、上記の信号を受信する過程は、上記の伝播した電磁波を受信する過程を含み、
上記の受信された信号に関連する少なくとも1つのパラメータ値を比較する過程は、受信された電磁波に関連する少なくとも1つのパラメータ値を上記基準値と比較する過程を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
薬剤処理の方法であって、
マイクロ波等の電磁波の伝播を導くように構成されるとともに寸法が設定された導波路を設ける過程と、
上記導波路に薬剤材料を供給する過程と、
上記導波路内の薬剤材料又は上記導波路内を流通している薬剤材料を処理又は輸送する過程と、
上記導波路から薬剤材料を除去する過程と、
上記導波路から薬剤材料が除去された後に、上記導波路を伝播する電磁波を送信する過程と、
上記の伝播した電磁波を受信する過程と、
受信された電磁波に関連する少なくとも1つのパラメータを基準値と比較して、上記導波路内に薬剤材料が残留しているか否か、又は、上記導波路内に幾何学的変化があるか否かを評価する過程とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項4】
薬剤処理の方法であって、
薬剤材料を受け入れるように構成された、容器、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等である処理構造物を設ける過程と、
上記処理構造物から薬剤材料が除去された後に、上記処理構造物に沿って伝播しかつ上記処理構造物によって導かれる電磁波を送信することにより、上記処理構造物を導波路として用いる過程と、
上記の伝播した電磁波を受信する過程と、
受信された電磁波の少なくとも1つのパラメータ値を、上記処理構造物の内部の基準状態に関連する基準値と比較する過程と、
上記の値の比較に基づいて、上記処理構造物の内部の現在の状態が上記基準状態と異なるか否かを評価する過程とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項5】
上記電磁波は、その周波数が100MHz〜3THzの範囲内のものであり、好ましくは、周波数が300MHz〜300GHzの範囲内のマイクロ波であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
上記の受信された電磁波は、該電磁波が送信された位置と実質的に同一の位置で受信された反射波であり、
上記送信及び受信は、好ましくは単一のアンテナにより行われることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
電磁波を送信するために第1のアンテナが用いられ、伝播した電磁波を受信するために第2のアンテナが用いられることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2つのアンテナにより2つ又はこれより多い位置で上記電磁波を受信する過程を含んでいることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つのアンテナにより2つ又はこれより多い位置から電磁波を送信する過程を含んでいることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
共通のモジュールに設けられた送信機及び/又は受信機の配列について、上記電磁波の送信及び/又は受信を行う過程を含んでいることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
上記少なくとも1つのパラメータ又はパラメータ値に少なくとも部分的に基づいて上記処理の制御を行う過程を含み、
上記制御における処理動作は、少なくとも上記処理を停止させる動作又は上記処理を継続させる動作を含んでいることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
少なくとも上記送信、上記受信及び上記評価を連続的に行って、上記処理の進行を監視することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
ゼロ又はゼロでない既知の量の薬剤材料が処理構造物内に存在するときには、上記処理構造物内を伝播する信号を送信し、このように伝達された信号を受信し、受信された信号に関連する少なくとも1つのパラメータの値を決定することにより、基準値を決定する過程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
上記少なくとも1つのパラメータは、受信された信号の振幅、位相、電力及び周波数で構成される群のうちのいずれか1つであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
送信された信号の伝達を少なくとも部分的に遮断し、かつ送信された信号を少なくとも部分的に反射させるために、送信された信号の伝播経路中において少なくとも1つの反射器を用いる過程を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
上記状態は上記処理構造物内の薬剤材料の内容量に関連し、上記処理構造物は基準状態における第1の量の薬剤材料と、現在の状態における第2の量の薬剤材料とを収容し、
該方法は、上記の値の比較に基づいて、上記第2の量が上記第1の量と異なるか否かを評価する過程を含んでいることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
薬剤材料の上記第1の量は実質的にゼロであり、
該方法は、上記処理構造物内に薬剤材料が存在するか否かを評価する過程を含んでいることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
薬剤材料の上記第1の量はゼロでない量であり、
該方法は、所定の充填水準に到達したか否かを決定する過程を含んでいることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
上記第2の量が上記第1の量と異なるか否かの評価に基づいて、上記処理構造物内の薬剤材料の量を変化させる過程を含むことを特徴とする、請求項16〜18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
上記状態は上記処理構造物の内部の幾何学的状態に関連するものであり、
上記処理構造物は、第1の時点における基準状態において第1の内部幾何学的状態を有し、第2の時点における現在の状態において第2の内部幾何学的状態を有し、
該方法は、上記の値の比較に基づいて、上記第1の時点と上記第2の時点との間で、上記処理構造物の内部の幾何学的変化、例えば上記処理構造物の損傷部又は断絶部が生じたか否かを評価する過程を含んでいることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項21】
上記処理構造物内に共鳴が生じるように、送信されるべき信号の周波数を調整する過程を含んでいて、
測定は操作が共鳴モードにあるときに実施されることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
薬剤の処理装置であって、
容器、パイプ、又は、1つもしくは複数の容器及び/又はパイプの組み合わせ等である処理構造物であって、該処理構造物内に収容され、又は該処理構造物内を流通する薬剤材料を処理し、保持し又は輸送するようになっている処理構造物と、
上記処理構造物から薬剤材料が除去された後に、上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの信号を送信する少なくとも1つの送信機と、
上記の伝播した信号を受信する少なくとも1つの受信機と、
上記受信機に動作的に接続され、受信された信号に関連するパラメータ値を決定するコンピュータ又はマイクロプロセッサ等の解析ユニットとを備えていて、
上記解析ユニットは、上記パラメータ値を基準値と比較し、上記の値の比較に基づいて、上記処理構造物内に薬剤材料が残留しているか否か、又は、上記処理構造物内に幾何学的変化があるか否かを評価することを特徴とする処理装置。
【請求項23】
上記少なくとも1つの送信機は、上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの電磁波の形態の上記少なくとも1つの信号を送信する少なくとも1つのアンテナを有し、
上記少なくとも1つの受信機は、上記の伝播した電磁波を受信する少なくとも1つのアンテナを有し、
上記解析ユニットは、上記受信機に動作的に接続されていて、受信された電磁波に関連するパラメータ値を決定するようになっていることを特徴とする、請求項22に記載の処理装置。
【請求項24】
薬剤の処理装置であって、
マイクロ波等の電磁波の伝播を導くように構成されるとともに寸法が設定された導波路であって、薬剤材料を該導波路に導入するための入口部と、好ましく上記入口部とは分離され該導波路から薬剤材料を除去するための出口部とを有する導波路と、
上記導波路から薬剤材料が除去された後に、上記導波路内を伝播する電磁波の形態の少なくとも1つの信号を送信するための少なくとも1つの送信機と、
上記の伝播した電磁波を受信するための少なくとも1つの受信機と、
上記受信機に動作的に接続され、受信された電磁波に関連するパラメータを決定するコンピュータ又はマイクロプロセッサ等の解析ユニットとを備えていて、
上記解析ユニットは、上記パラメータを基準値と比較し、上記導波路内に薬剤材料が残留しているか否か、又は、上記導波路内に幾何学的変化があるか否かを評価することを特徴とする処理装置。
【請求項25】
上記少なくとも1つの送信機は、上記処理構造物内を伝播する少なくとも1つの電磁波の形態の上記少なくとも1つの信号を送信するように構成され、
上記少なくとも1つの受信機は、上記の伝播した電磁波を受信するように構成され、
上記解析ユニットは、上記受信機に動作的に接続され、受信された電磁波に関連するパラメータを決定するようになっていることを特徴とする、請求項22に記載の処理装置。
【請求項26】
上記少なくとも1つの送信機と受信機とが単一のユニットとして設けられていることを特徴とする、請求項22〜25のいずれか1つに記載の処理装置。
【請求項27】
上記少なくとも1つの送信機と受信機とが個別のユニットとして設けられていることを特徴とする、請求項22〜25のいずれか1つに記載の処理装置。
【請求項28】
1つの共通のモジュールに配設された受信機及び/又は送信機の配列を備えていることを特徴とする、請求項25〜27のいずれか1つに記載の処理装置。
【請求項29】
送信された信号の伝播を少なくとも部分的に遮断し、かつ送信された信号を少なくとも部分的に反射させるために、送信された信号の伝播経路中に配置することができる少なくとも1つの反射器を備えていることを特徴とする、請求項25〜28のいずれか1つに記載の処理装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−64740(P2013−64740A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−223559(P2012−223559)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2007−548147(P2007−548147)の分割
【原出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG