説明

処理モジュールのためのプラグアンドプレイセンサインテグレーション

【課題】クライアント/サーバ関係にあるセンサとの間で情報を共有する処理システムを提供する。
【解決手段】処理チャンバを制御するコンピュータシステムを伴った処理チャンバを、処理チャンバでの処理を監視するために使用される1つまたはそれ以上のセンサに接続する。センサは、コンピュータシステムとともにクライアント/サーバ関係を構成し、センサがホットスワップ可能なプラグアンドプレイセンサになることができるような方法で、コンピュータシステムに接続される。コンピュータシステムは、センサとの間で様々なメッセージを交換し、センサと同期化し、センサから送信されたデータを統合および利用する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、半導体関連デバイスの製造に関する。本発明は、特に、半導体関連デバイスを製造するための改善された技術に関する。
【0002】
特定タイプの半導体デバイスを製造するにあたって、半導体デバイスは、エッチング用、デポジション用、研磨用などの処理モジュールの中に、様々な時点において配置される。今日では、半導体チップまたはフラットパネルディスプレイの許容誤差を小さくするために、様々なセンサによって処理モジュールを監視する必要がある。
【0003】
センサの中には、処理モジュールから切り離して良いものがある。この場合は、処理モジュールが第1のコンピュータシステムによって駆動され、センサが第2のコンピュータシステムによって駆動され、第1のコンピュータシステムと第2のコンピュータシステムとの間では、リアルタイムのデータ交換は行われない。処理モジュールとそれから切り離されたセンサとの間では、情報を同期化することが難しい。また、処理モジュールとそれから切り離されたセンサとの間では、データを交換することも難しい。
【0004】
センサの中には、処理モジュールと接続して良いものがある。これらのセンサは、処理モジュールに直接接続した自身のコンピュータシステムを有しても良いし、あるいは、処理モジュールのコンピュータシステムを自身のコンピュータシステムとして使用しても良い。このようなセンサは、処理モジュールとの間においてリアルタイムでデータを交換することができる。センサが異なると、プロトコルも異なる場合がほとんどである。処理モジュールのコンピュータシステムは、センサのプロトコルと適合するようにプログラムされるので、センサごとに異なるドライバの作成が必要とされる可能性がある。各ドライバは、アラームを発信する、処理モジュールを停止させる、各種処理工程の開始または中断を指示するなど、多数のコマンドに関する仕様を必要とする。また、センサが異なると、生成されるデータ型も異なるので、ドライバは、センサからの特定の型のデータを処理モジュールにおいてどのように使用するかを、指定する必要もある。センサごとにドライバを作成していると、非常に時間がかかり、を必要とする可能性もある。あるセンサ用のドライバが、処理モジュールのメーカによって作成されていないと、ユーザは、そのセンサを処理モジュールとともに使用することができない。また、そのセンサ用のドライバが存在するとしても、ユーザは、そのドライバを処理モジュールにインストールし、センサとの間で送受信されるデータを指定するために、様々な段階を踏む必要がある。そのセンサを処理モジュールから除去するためには、ユーザは、ドライバを取り出し、センサとの間で送受信される情報のためのコマンドを削除するなど、さらなるプログラミングの段階を踏む必要がある。
【0005】
以上からわかるように、複数のセンサと接続することができる処理モジュールなどの処理システムであって、様々なセンサの様々なプロトコルと整合させるためのプログラミングを必要としない処理システムを、用意することが望ましい。したがって、センサを処理モジュールに組み込むことによって、追加のプログラミングを最低限行うだけでセンサと処理モジュールとの間の情報交換を可能にすることができる処理システムを、用意することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、クライアント/サーバ関係にあるセンサとの間で情報を共有する処理システムであって、センサとの間でレシピおよび制御コマンドを交換する処理システムに関する。
【0007】
添付図面との関連で行う以下の本発明の詳細な説明から、本発明の上述したおよびその他の特徴が、さらに詳しく示される。
【0008】
添付図面において、限定的ではなく例示的に本発明を示す。なお、この添付図面においては、同様の構成要素には同様の番号体型が与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の好ましい一実施形態における処理モジュールおよびセンサの概略図である。
【図2A】本発明の一実施形態において使用して良いコンピュータシステムの斜視図である。
【図2B】図2Aに示したコンピュータシステムのブロック図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態を示した別の概略図である。
【図4】処理モジュールコンピュータシステムとセンサとの間で交換される情報のデータフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、添付図面に例示された幾つかの好ましい実施形態に関連させて、本発明の詳しい説明を行う。以下の説明では、本発明が完全に理解されるように多くの項目を特定している。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明は、これらの項目の一部または全てを特定しなくても実施することが可能である。そのほか、本発明が不必要に不明瞭となるのを避けるため、周知の処理工程および/または構造に関する詳細な説明は省略した。
【0011】
議論を容易にするため、図1に、処理モジュール12と、ネットワーク14と、複数のセンサ16とを備えるシステム10の概略を示した。この実施形態において、処理モジュール12は、処理チャンバ18と、処理モジュールコンピュータシステム20とを備える。この好ましい実施形態において、処理チャンバは、エッチングチャンバ、デポジションデバイス、または研磨デバイスなど、半導体関連デバイスの処理に使用される処理チャンバであり、半導体チップ、フラットパネルディスプレイ、ディスクドライバ、またはその他のコンピュータ部品の製造に使用される。ネットワーク14は、処理モジュールコンピュータシステム20内の内部バス、またはイーサネット(登録商標)などの外部ネットワークすなわちローカルエリアネットワーク、またはこれら両方の組み合わせであって良い。処理モジュールコンピュータシステム20は、サーバとして機能し、センサ16は、処理モジュールコンピュータシステム20とのクライアント/サーバ関係におけるクライアントとして機能する。センサ16は、センサと、ローカルエリアネットワークによって処理モジュールコンピュータシステム20に接続されたコンピュータデバイスと、の組み合わせであっても良いし、または、処理モジュールコンピュータシステム20の内部バスに接続されたセンサのみであっても良い。本発明の好ましい一実施形態において、処理モジュールコンピュータシステム20は、センサ16と残りのコンピュータシステム20との接続に、VMEバスを伴った入力ボードが使用されるVMEアーキテクチャを有する。この実施例において、第1のセンサ24はスペクトロメータで良く、第2のセンサ26はパーチクルモニタセンサで良く、第nのセンサ28はプラズマモニタで良い。他のタイプのセンサとしては、サーモスタット、ポンプセンサ、チラーセンサ、RF整合システムセンサ、終点システムセンサ、RGAセンサ、IR吸収センサ、RFプローブ、およびデータ分析ソフトウェアなど、やはり温度制御を提供するために使用できるサーモメータであって良い。他のセンサからのデータを分析するソフトウェアは、明細書および特許請求の範囲で規定されたセンサであって良い。各センサ16は、処理チャンバ18内のパラメータを測定することができる。例えば、スペクトロメータは、処理チャンバ18内のスペクトルを測定し、パーチクルモニタは、処理チャンバ18内の粒子密度を測定し、プラズマモニタは、処理チャンバ18内のプラズマを測定し、サーモメータは、処理チャンバ内の温度を測定する。
【0012】
図2Aおよび図2Bは、本発明の実施形態を実現するのに適したコンピュータシステム900を示している。図2Aは、コンピュータシステムとして可能な1つの物理的形状を示している。コンピュータシステムは、集積回路から始まってプリント基板、埋め込み式のリアルタイム制御システム、小型の携帯用デバイス、そして巨大なスーパーコンピュータに至る広範囲の物理的形状を有することが当然可能である。コンピュータシステム900は、モニタ902と、ディスプレイ904と、ハウジング906と、ディスクドライブ908と、キーボード910と、マウス912とを含む。ディスク914は、コンピュータシステム900との間でデータをやり取りするために使用されるコンピュータ読み取り可能な媒体である。
【0013】
図2Bは、コンピュータシステム900のブロック図の一例である。システムバス920には、各種のサブシステムが取り付けられている。プロセッサ922(中央演算処理装置すなわちCPUとも称される)は、メモリ924を含むストレージデバイスと結合している。メモリ924は、ランダムアクセスメモリ(RAM)と読み出し専用メモリ(ROM)とを含む。当該分野において周知のように、ROMは、CPUに対してデータおよび命令を双方向的に転送するように機能し、RAMは、一般に、データおよび命令を一方向的に転送するために使用される。いずれのタイプのメモリも、後述する任意の適切なコンピュータ読み取り可能媒体を含んで良い。CPU922には、固定ディスク926も双方向的に結合しており、追加のデータストレージ容量を提供するとともに、後述する任意のコンピュータ読み取り可能媒体を含んでも良い。固定ディスク926は、プログラムおよびデータなどを格納するために使用して良く、通常は、一次ストレージよりも低速な(ハードディスクなどの)二次ストレージ媒体である。なお、適切だと思われる場合には、固定ディスク926の中に保持される情報を、メモリ924内の仮想メモリとして標準的な方法で組み込んで良いことがわかる。取り外し可能ディスク914は、後述する任意のコンピュータ読み取り可能媒体の形態をとって良い。
【0014】
CPU922は、ディスプレイ904、キーボード910、マウス912、およびスピーカ930など、様々な入出力デバイスとも結合している。入出力デバイスは、一般に、ビデオディスプレイ、トラックボール、マウス、キーボード、マイクロフォン、タッチセンシティブディスプレイ、トランスデューサカードリーダ、磁気もしくは紙テープリーダ、タブレット、スタイラス、音声もしくは手書き文字認識装置、バイオメトリックスリーダ、または他のコンピュータのうち、任意のデバイスであって良い。CPU922は、ネットワークインターフェース940を使用して別のコンピュータまたは通信ネットワークと随意的に結合して良い。このようなネットワークインターフェースを有したCPUは、上述した方法工程を実施するにあたり、ネットワークに対する情報の送受信を行うことができると考えられる。さらに、本発明による方法の実施形態は、CPU922のみに対して実行しても良いし、または、処理の一部を共有する遠隔CPUとの関連のもとで、インターネットなどのネットワークに対して実行しても良い。
【0015】
本発明の実施形態は、さらに、コンピュータによって実行される各種の動作を実施するコンピュータコードを有したコンピュータ読み取り可能媒体を伴ったコンピュータストレージ製品に関する。媒体およびコンピュータコードは、本発明の目的のために特別に設計および構成されたものであっても良いし、または、コンピュータソフトウェアの分野の当業者にとって周知で且つ入手可能なタイプのものであっても良い。コンピュータ読み取り可能媒体の例は、ハードディスク、フロッピィディスク、および磁気テープなどの磁気媒体、CD−ROMおよびホログラフィックデバイスなどの光媒体、フロプティカルディスクなどの光磁気媒体、ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、およびROM/RAMデバイスなど、プログラムコードを格納および実行するために特別に構成されたハードウェアデバイスを含み、これらに限定されない。コンピュータコードの例は、コンパイラによって生成されるマシンコードや、コンピュータによってインタープリタを使用して実行される高水準コードを含んだファイルなどを含む。
【0016】
図2Aおよび図2Bに示したコンピュータシステム900が処理モジュールコンピュータシステム20として使用される場合は、コンピュータシステムバス920の一部がネットワーク14の一部を構成して良く、ネットワークインターフェース940に接続されたネットワークがネットワーク14の一部を構成して良い。また、処理モジュールコンピュータシステム20は、処理モジュールコンピュータシステム20がクライアントとして機能する他のコンピュータシステムに、ネットワークを通して接続して良い。
【0017】
図3は、図1に示したシステム10の通信の概略である。本発明の好ましい実施形態において、ネットワーク14はTCP/IPネットワークである。処理モジュールコンピュータシステム20は、IPアドレスと複数のポートとを有し、TCP/IPネットワークのサーバとして機能する。この実施例において、処理モジュールコンピュータシステム20のアドレスは、10.0.10.1であり、番号が10001、10002、および10003の3つのポートを有する。各センサ16は、IPアドレスと1つのポートとを有し、処理モジュールコンピュータシステム20のクライアントとして機能する。この実施例では、各センサ16がIPアドレスと1つのポートとを有しており、これは、センサ16が処理モジュールコンピュータシステム20のポートであることを示している。例えば、第1のセンサ24は、IPアドレス:10.0.10.11とポート番号:10001を有し、第2のセンサ26は、IPアドレス:10.0.10.12とポート番号:10002を有し、第nのセンサ28は、IPアドレス10.0.10.13とポート番号:10003を有する。
【0018】
図4は、処理モジュール12とセンサとの間における通信時間系列チャートであり、図中では、最上部からスタートして下向きに時間が進行する。この実施例では、処理モジュールコンピュータシステムと第1のセンサ24との間での通信に関して説明する。本発明の好ましい実施形態において、処理モジュールコンピュータシステム20と第1のセンサ24との間では、2タイプのメッセージ(データパケット)のみが送信される。これら2タイプのメッセージとは、「コマンド」メッセージと「肯定応答」メッセージである。コマンドは、制御コマンド、データ報告、アラーム報告、またはステータス報告であって良い。
【0019】
先ず、処理モジュールコンピュータシステム20および第1のセンサ24が、始動されて自己初期化される(ステップ402および404)。処理モジュールコンピュータシステム20はサーバとして機能し、第1のセンサ24はクライアントとして機能するので、処理モジュールコンピュータシステム20と第1のセンサ24のいずれが先に始動されるかは、問題にならない。処理モジュールコンピュータシステム20が自己初期化されると、図1に示すように、接続モニタタスクオブジェクト30が作成される。処理モジュールコンピュータシステム20が先に始動された場合は、処理モジュールコンピュータシステム20は、第1のセンサ24への接続待ちをする(ステップ406)。第1のセンサ24と処理モジュールコンピュータシステム20の両方が始動され自己初期化されたら、第1のセンサ24は、「処理チャンバと接続する」メッセージを処理モジュールコンピュータシステム20に送信する(ステップ408)。これは、第1のセンサ24によって発せられ、処理モジュールコンピュータシステム20にクライアント/サーバ関係で接続するように要求するリクエストである。処理モジュールコンピュータシステム20が第1のセンサ24から「処理モジュールと接続する」メッセージを受信したら、図1に示すように、接続モニタタスク30によって第1のセンサメッセージングタスク32が作成される。他のセンサが処理モジュール12と接続した場合は、他のセンサメッセージングタスク34が同様に作成される。
【0020】
第1のセンサ24は、次いで、「アラームテーブルを取得するコマンド」メッセージを処理モジュールコンピュータシステム20に送信する(ステップ410)。処理モジュールコンピュータシステム20は、「アラームテーブルを取得するコマンド」メッセージを受信したら、「肯定応答」メッセージでもって応答する(ステップ412)。第1のセンサ24は、「肯定応答」メッセージを受信してアラームテーブル待ちをする(ステップ414)。処理モジュールコンピュータシステム20は、処理モジュールが処理するアラームの数を指定する「アラームテーブル」メッセージを第1のセンサ24に送信する(ステップ416)。アラームテーブルは、アラームの識別番号と各アラームの記述とを提供する。「アラームテーブル」メッセージを受信した第1のセンサ24は、「肯定応答」メッセージでもって応答する(ステップ420)。
【0021】
第1のセンサ24は、次いで、「日付/時刻および初期化データを取得するコマンド」メッセージを処理モジュールコンピュータシステム20に送信する(ステップ422)。第1のセンサ24から「日付/時刻および初期化データを取得するコマンド」メッセージを受信した処理モジュールコンピュータシステム20は、「肯定応答」メッセージを第1のセンサ24に送信する(ステップ424)。「日付/時刻および初期化データ」メッセージは、処理モジュールコンピュータシステム20から第1のセンサ24へと送信され(ステップ426)、これによって、第1のセンサ24を処理モジュールコンピュータシステム20と同期化させることが可能になる。処理モジュールコンピュータシステムから「日付/時刻および初期化データ」メッセージを受信した第1のセンサ24は、「肯定応答」メッセージでもって応答する(ステップ428)。
【0022】
処理モジュールコンピュータシステム20は、次いで、「報告可能な仕様を取得するコマンド」メッセージを第1のセンサ24に送信する(ステップ430)。「報告可能な仕様を取得するコマンド」メッセージを受信した第1のセンサ24は、「肯定応答」メッセージでもって応答する(ステップ432)。第1のセンサ24は、次いで、第1のセンサ24によって提供されるデータ型を処理モジュールコンピュータシステム20に通知する「報告可能な仕様」メッセージを送信する(ステップ434)。処理モジュールコンピュータシステム20は、「肯定応答」メッセージでもって応じる(ステップ436)。センサが異なると、異なった型のデータを生成し得る。データ型は、ブール型、整数型、列挙型、浮動小数点型などで良い。データの型だけでなく、データとして可能な範囲も重要である。また、データの頻度すなわちデータがどれだけ頻繁に測定されるかも重要である。センサのなかには、自動的にデータを送信するものもあるし、要求された場合にのみデータを送信するものもある。「報告可能な仕様」メッセージは、データの型、範囲、頻度、および分布に関する情報を提供することによって、処理モジュールコンピュータシステム20が、追加のプログラミングを要することなく第1のセンサ24からのデータを使用できるようにする。追加のプログラミングが不要なので、センサのデータ型に応じて処理モジュールコンピュータシステム20をプログラムするユーザインターフェースも不要である。
【0023】
第1のセンサ24は、次いで、情報リクエスト待ちをする(ステップ438)。処理モジュールコンピュータシステム20が追加の情報を必要とする場合は、「要求された情報を送信する」メッセージが処理モジュールコンピュータシステム20から第1のセンサ24へと送信され、第1のセンサはこれに対して「肯定応答」メッセージでもって応答する(ステップ442)。
【0024】
次いで、処理関連のコマンドメッセージが、処理モジュールコンピュータシステム20から第1のセンサ24へと送信され(ステップ444)、第1のセンサ24は、「肯定応答」メッセージでもってこれに応答する(ステップ446)。処理関連のコマンドは、処理モジュールコンピュータシステム20による複数のコマンドであり、処理チャンバ18において生じる処理工程を開始および停止させる処置に関する。例えば、エッチングチャンバにおいて、第1のセンサ24にレシピを送信するために第1の処理関連コマンドが第1のセンサ24に送信され、応答として第1のセンサ24は「肯定応答」メッセージを送信する。ウエハが処理チャンバ18の中に入ったら、ウエハが処理チャンバ18の中にあることを示す第2の処理関連コマンドが第1のセンサ24に送信され、応答として第1のセンサ24は「肯定応答」メッセージを送信する。次いで、レシピ処理の開始を示す第3の処理関連コマンドが第1のセンサ24に送信され、応答として「肯定応答」メッセージが送信される。レシピ中の第1の工程が開始したら、第4の処理関連コマンドが第1のセンサ24に送信され、応答として第1のセンサ24は「肯定応答」メッセージを送信する。レシピ中の第1のステップが終了したら、第5の処理関連コマンドが第1のセンサ24に送信され、応答として第1のセンサ24は「肯定応答」メッセージを送信する。処理コマンドおよび肯定応答は、レシピの各工程を開始および停止させることを目的として作成される。レシピの終了時には、「レシピ終了」処理工程が第1のセンサ24に送信され、これに対して第1のセンサ24は肯定応答を送信する。最後に、ウエハが取り出されると、「ウエハ取り出し」処理コマンドが第1のセンサ24に送信され、これに対して第1のセンサ24は肯定応答を送信する。したがって、処理チャンバ内のある工程を開始または停止させる処置が、処理チャンバの中で実行されるときには、その処置に関する処理関連コマンドが、処理モジュールコンピュータシステム20から送信されることがわかる。
【0025】
処理中、第1のセンサ24は、「処理関連結果」メッセージを処理モジュールコンピュータシステム20に送信して良く(ステップ448)、処理モジュールコンピュータシステム20は、応答として「肯定応答」メッセージを第1のセンサ24に送信する(ステップ450)。「処理関連結果」メッセージは、処理モジュールコンピュータシステム20に処理を打ち切らせるアラームメッセージであって良い。「処理関連結果」メッセージは、温度などのフィードバック情報を提供し、処理モジュールコンピュータシステム20がこれにしたがって温度を調整できるようにして良い。「処理関連結果」メッセージは、処理完了後に分析を行うためのデータを提供して良く、このデータは、処理モジュールコンピュータシステム20に格納して良い。
【0026】
その結果、全てのセンサ16から、タイムスタンプされ処理チャンバと同期化されたリアルタイムのデータが提供される。同期化されたデータは、トラブルシューティングのための処理を徹底的に分析することを可能にする。リアルタイムデータは、処理中に処理チャンバ内での処理を調整するために使用して良い。センサ16からのデータは、全て、センサのサーバとして機能する処理モジュールコンピュータシステム20に格納して良い。これらのデータは、各センサの報告可能な仕様情報によって、使用可能フォームにして良い。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、コマンドメッセージは、リードメッセージとコマンドデータパケットとを備える。リードメッセージは、好ましい実施形態において2バイトの長さを有し、コマンドデータパケットの長さを含む。肯定応答メッセージは、リードメッセージと肯定応答データパケットとを備える。リードメッセージは、好ましい実施形態において2バイトの長さを有し、肯定応答データパケットの長さを含む。
【0028】
好ましい実施形態において、コマンドデータパケットの第1のバイトは、所定のレベル番号を保持する。さらに好ましくは、処理モジュールコンピュータシステム20とセンサとの間での通信は、全て、レベル番号3を有することが好ましい。この場合、処理モジュールコンピュータシステム20と、処理モジュールコンピュータシステムのクライアントセンサでない他のコンピュータシステムと、の間での通信は、3でないレベル番号を有する。処理モジュールコンピュータシステム20と他のコンピュータシステムとの間において、処理モジュールコンピュータシステム20とクライアントセンサシステムとの間におけるレベル番号とは異なる番号を使用することによって、センサおよび処理モジュールコンピュータシステム20は、クライアント/サーバ関係にある処理モジュールコンピュータシステム20およびセンサのためのメッセージがどれかを、容易に決定することが可能である。コマンドデータパケットの第2のバイトは、0から255までの値を提供する「コマンドID」を備えており、これは、開始レシピ、開始工程、終了レシピ、打ち切りレシピ工程、エラー条件を要因とする通知アラーム、クリア通知アラーム、およびステータス情報などの、コマンドタイプを指定するために使用される。コマンドデータパケットの第3のバイトは、コマンドのためのトランザクション番号を提供する。好ましい実施形態において、トランザクション番号は0から15である。コマンドデータパケットの残りのバイトは、コマンドデータを提供する。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、肯定応答データパケットはわずか3バイトの長さである。肯定応答データパケットの目的は、受信側が首尾よくコマンドデータパケットを受信したことを送信側に知らせることにある。本発明の好ましい実施形態において、肯定応答データパケットの第1のバイトは、コマンドデータパケットの所定のレベル番号と等しい所定のレベル番号である。肯定応答データバケットの第2のバイトは、データパケットが肯定応答データパケットであることを示すように設定された番号である。肯定応答データパケットの第3のバイトは、受信されたコマンドのコマンドIDである。
【0030】
他の実施形態では、プロトコルとしてTCP/IPを使用する代わりに、LONWORKS(ローカルオペレーションネットワーク)、Devicenet、およびRS485/422などの他の可能なプロトコルを、特定のカスタマイズプロトコルとともに使用して良い。これらのプロトコルは、全て、マルチドロップである。UDPプロトコルでは肯定応答を使用しない傾向にあるが、本発明の好ましい実施形態では肯定応答が使用されるので、UDPプロトコルは使用しないことが好ましい。
【0031】
指定されたタイムアウト期間のあいだ、センサからのメッセージが受信されなかった場合は、処理モジュールからセンサへとハートビートメッセージが送信される。肯定応答が受信されなかった場合は、センサの接続を断つ処理の一環として、センサメッセージングタスクが削除される。新しいセンサを追加したい場合、またはセンサメッセージングタスクを削除されたセンサが接続メッセージを送信する場合は、新しいセンサメッセージングタスクを作成する。したがって、処理モジュールコンピュータシステム20の実行中に、センサ16をネットワーク14に追加したりネットワーク14から除去したりすることが可能であるしたがって、センサ16は、ホットスワップが可能なプラグアンドプレイセンサである。
【0032】
以上では、本発明をいくつかの好ましい実施形態の形で説明したが、本発明の範囲内で、種々の代替、置き換え、および等価物が可能である。また、本発明による方法および装置を実現する代替の方法が数多く存在することにも注意が必要である。したがって、添付した特許請求の範囲は、このような代替、置き換え、および等価物の全てを、本発明の真の趣旨および範囲内に含むものとして、解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバを有した処理モジュールのコンピュータシステムと、第1のセンサと、の間で通信を行うための、コンピュータによって実行される方法であって、
前記処理モジュールの前記コンピュータシステムを初期化する工程と、
前記処理チャンバ内の第1のパラメータを測定することができる前記第1のセンサを初期化する工程と、
接続メッセージを、前記第1のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
報告可能な仕様を取得するコマンドを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第1のセンサへ伝送する工程と、
報告可能な仕様メッセージを、前記第1のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の、コンピュータによって実行される方法であって、さらに、
前記処理モジュールの前記コンピュータシステム内で、接続モニタタスクを作成する工程と、
前記処理モジュールの前記コンピュータシステム内での前記接続モニタタスクから、第1のセンサメッセージングタスクを作成する工程と、
報告可能な仕様を取得するコマンドに対する応答肯定を、前記第1のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
報告可能な仕様メッセージに対する肯定応答を、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第1のセンサへ伝送する工程と、
を備える方法。
【請求項3】
請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の、コンピュータによって実行される方法であって、さらに、
アラームテーブルコマンドを取得するコマンドを、前記第1のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
前記アラームテーブルを取得するコマンドに対する肯定応答を、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第1のセンサへ伝送する工程と、
アラームテーブルを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第1のセンサへ伝送する工程と、
前記アラームテーブルに対する肯定応答を、前記第1のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
を備える方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の、コンピュータによって実行される方法であって、さらに、
時刻および初期化データを取得するコマンドを、前記第1のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
時刻および初期化データを取得する前記コマンドに対する肯定応答を、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第1のセンサへ伝送する工程と、
時刻および初期化データを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第1のセンサへ伝送する工程と、
前記時刻および初期化データに対する肯定応答を、前記第1のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
を備える方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の、コンピュータによって実行される方法であって、さらに、
前記処理チャンバ内でのアクションの実行に関する処理関連コマンドを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第1のセンサへ伝送する工程と、
半導体関連デバイスの処理に関する前記アクションを、前記処理チャンバ内で実行する工程と、
前記処理関連コマンドに対する肯定応答を、前記第1のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
を備える方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の、コンピュータによって実行される方法であって、さらに、
前記処理チャンバ内の第2のパラメータを測定することができる第2のセンサを初期化する工程と、
接続メッセージを、前記第2のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
報告可能な仕様を取得するコマンドを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第2のセンサへ伝送する工程と、
報告可能な仕様メッセージを、前記第2のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
前記処理チャンバ内の第3のパラメータを測定することができる第3のセンサを初期化する工程と、
接続メッセージを、前記第3のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
報告可能な仕様を取得するコマンドを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第3のセンサへ伝送する工程と、
報告可能な仕様メッセージを、前記第3のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
を備える方法。
【請求項7】
請求項6に記載の、コンピュータによって実行される方法であって、さらに、
前記処理モジュールの前記コンピュータシステム内での前記接続モニタタスクから、第2のセンサメッセージングタスクを作成する工程と、
報告可能な仕様を取得するコマンドに対する肯定応答を、前記第2のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
報告可能な仕様メッセージに対する肯定応答を、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第2のセンサへ伝送する工程と、
前記処理モジュールの前記コンピュータシステム内での前記接続モニタタスクから、第3のセンサメッセージングタスクを作成する工程と、
報告可能な仕様を取得するコマンドに対する肯定応答を、前記第3のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
報告可能な仕様メッセージに対する肯定応答を、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第3のセンサへ伝送する工程と、
を備える方法。
【請求項8】
請求項6ないし請求項7のいずれかに記載の、コンピュータによって実行される方法であって、さらに、
アラームテーブルコマンドを取得するコマンドを、前記第2のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
前記アラームテーブルを取得するコマンドに対する肯定応答を、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第2のセンサへ伝送する工程と、
アラームテーブルを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第2のセンサへ伝送する工程と、
前記アラームテーブルに対する肯定応答を、前記第2のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
アラームテーブルコマンドを取得するコマンドを、前記第3のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
前記アラームテーブルを取得するコマンドに対する肯定応答を、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第3のセンサへ伝送する工程と、
アラームテーブルを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第3のセンサへ伝送する工程と、
前記アラームテーブルに対する肯定応答を、前記第3のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
を備える方法。
【請求項9】
請求項7ないし請求項8のいずれかに記載の、コンピュータによって実行される方法であって、さらに、
時刻および初期化データを取得するコマンドを、前記第2のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
時刻および初期化データを取得する前記コマンドに対する肯定応答を、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第2のセンサへ伝送する工程と、
時刻および初期化データを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第2のセンサへ伝送する工程と、
前記時刻および初期化データに対する肯定応答を、前記第2のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
時刻および初期化データを取得するコマンドを、前記第3のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
時刻および初期化データを取得する前記コマンドに対する肯定応答を、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第3のセンサへ伝送する工程と、
時刻および初期化データを、前記処理モジュールの前記コンピュータシステムから前記第3のセンサへ伝送する工程と、
前記時刻および初期化データに対する肯定応答を、前記第3のセンサから前記処理モジュールの前記コンピュータシステムへ伝送する工程と、
を備える方法。
【請求項10】
半導体関連デバイスを処理するための装置であって、
半導体関連デバイスを処理するための処理チャンバと、
前記処理チャンバに電気的に接続され、前記処理チャンバを制御するためのコンピュータシステムと、
前記コンピュータシステムに電気的に接続されたネットワークと、
前記ネットワークに電気的に接続された第1のセンサと、
前記コンピュータシステムが初期化された後に、前記コンピュータシステム内で作成される接続モニタタスクと、
前記第1のセンサが前記コンピュータシステムとの接続を開始した後に、前記処理モジュールの前記コンピュータシステム内で前記接続モニタタスクから作成される、第1のセンサメッセージングタスクと、
を備える装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、さらに、
前記ネットワークに電気的に接続された第2のセンサと、
前記第2のセンサが前記コンピュータシステムとの接続を開始した後に、前記処理モジュールの前記コンピュータシステム内で前記接続モニタタスクから作成される、第2のセンサメッセージングタスクと、
を備える装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、さらに、
前記ネットワークに電気的に接続された第3のセンサと、
前記第3のセンサが前記コンピュータシステムとの接続を開始した後に、前記処理モジュールの前記コンピュータシステム内で前記接続モニタタスクから作成される、第3のセンサメッセージングタスクと、
を備える装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記第1のセンサと、前記第2のセンサと、前記第3のセンサとは、クライアントとして前記処理モジュールの前記コンピュータシステムに接続される、装置。
【請求項14】
請求項12ないし請求項13のいずれかに記載の装置であって、
前記第1のセンサと、前記第2のセンサと、前記第3のセンサとは、ホットスワップが可能なプラグアンドプレイである、装置。
【請求項15】
請求項10ないし14のいずれかに記載の装置であって、
前記コンピュータシステムは、さらに、前記コンピュータシステムが一定期間のあいだ前記センサからメッセージを受信しない場合に、前記センサにハートビートメッセージを送信するハートビートメッセージツールを備える、装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−65880(P2013−65880A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−261914(P2012−261914)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2001−573229(P2001−573229)の分割
【原出願日】平成13年3月19日(2001.3.19)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION