説明

処理器具

【課題】 処理対象面上の塵埃等の拭き取り損じ等を防ぎ得るように処理対象面に対し所望の処理を行うことができる処理器具の提供。
【解決手段】 処理器具における対象面押圧盤部Pの下面を、進行方向が主たる処理方向である短手方向の中央部に向かって下方に凸となる湾曲面とする。対象面押圧盤部Pの下面に、主たる処理方向に沿うと共にその方向に直交する方向の振幅を有する正弦波に近似した波形状をなす連続した畝状の同一波形の可撓性フィンFを、前記処理方向に直交する方向において多数並列状に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンFの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔がほぼ0であるように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等に対する拭き掃除等の清掃やその他の処理を行うための処理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9−206265号公報には、「ヘッド部(1)のシート(6)を巻くクッション部(5)の底面部(2)を凹(3)凸(4)に設けたシート式モップ」が開示されている。
【0003】
この発明は、シートと底面の凹部、又はふちが密着せず、空間ができ、シートは弾力をもってほこり、粗いゴミ、髪の毛などを吸着しやすい。そのため、髪の毛やほこり粗いゴミなどを底面全体で拾いやすく、また、髪の毛、粗いゴミ、砂などを押し出さず、粗いゴミを拾った場合、床が傷つきにくいという効果を奏するものとされている。
【0004】
しかしながら、この発明のシート式モップを用いた場合、逆に、クッション部(5)の底面部(2)に保持されたシートのうちクッション部(5)の底面部(2)に形成された凸(4)を縫うようにして凹(3)を通過する床面上の塵埃を拭き取り漏らすことにもなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−206265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的とするところは、例えば処理対象面上の塵埃等の拭き取り損じ等を防ぎ得るように処理対象面に対し所望の処理を行うことができる処理器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 上記目的を達成する本発明の処理器具は、
処理のために加えられた下方押圧力が対象面押圧盤部を経て処理対象面に作用する処理器具であって、
前記対象面押圧盤部の下面に、下向きに起立し畝状に伸びる多数の可撓性のフィンを備え、
前記対象面押圧盤部に加わった下方押圧力が前記フィンを介して処理対象面に作用するものであり、それにより、前記フィンは、畝状に伸びる方向に対し側方に屈曲し得るものであることを特徴とする。
【0008】
処理器具の対象面押圧盤部の下面に、畝状に伸びる弾性材料製の多数のフィンを備え、前記対象面押圧盤部に加わった下方押圧力が前記フィンを介して処理対象面に作用する。対象面押圧盤部に加わった下方押圧力がフィンを介して処理対象面に作用することにより、前記フィンは、畝状に伸びる方向に対し側方に屈曲し得、フィンの屈曲は、下方押圧力の解除により復元し得る。
【0009】
処理対象面に対し、直接又は清掃用シート体若しくはその他のシート体等を介して多数のフィンの各稜線部(又は各稜線部及び側面)が作用するので、処理対象面に対する作用が面的ではなく多数のフィンによる線的な作用が実現され、処理対象面に対する処理効果を高めることができる。
【0010】
また、対象面押圧盤部の特定部分に偏って比較的強く下方押圧力が加わった場合、その特定部分のフィンに比較的強い下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧され屈曲する。
【0011】
例えば、対象面押圧盤部の何れか一方の側に比較的強く下方押圧力が加わった場合、当該一方の側においてフィンに比較的強い下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧され屈曲する。そのため、対象面押圧盤部は、当該一方の側へやや下降傾斜し、他方の側へやや上昇傾斜するので、当該他方の側のフィンは、対象面に対し浮いた状態となったり、浮き気味又は弱く接することとなり易い。特に、各フィンの稜線が対象面押圧盤部の下面に沿ってその下面の下方に設定された平面状の仮想面に接するように形成されている場合にこのようになり易い。
【0012】
従って、対象面押圧盤部に作用させる下方押圧力の大きさと位置を適切に調整することによって、フィンを介して対象面に対し所望の処理を行うことができる。
【0013】
例えば対象面押圧盤部の底部を清掃用シート体で覆った状態においては、対象面押圧盤部に対し処理方向後方側において下方押圧力を比較的強く加え、処理方向前方において下方押圧力を実質上作用させずにフィンを対象面上に浮いた状態或いは浮き気味又は弱く接する状態として処理器具を前進させることにより、前方の対象面上の塵埃を清掃用シート体の下側に取り込み、その後、処理方向前方において対象面押圧盤部に対し十分な下方押圧力を作用させ処理方向後方において下方押圧力を実質上作用させずにフィンを対象面上に浮いた状態或いは浮き気味又は弱く接する状態として処理器具を後退させることにより、清掃用シート体の下側に取り込んだ塵埃を清掃用シート体により拭き取ることができる。
【0014】
(2) 本発明の処理器具は、上記各フィンの稜線が、対象面押圧盤部の下面に沿ってその下面の下方に設定された仮想面に接するように形成されているものとすることができる。
【0015】
この場合、各フィンは、それらの稜線が、対象面押圧盤部の下面に沿ってその下面の下方に設定された仮想面に接するように形成されている。
【0016】
そのため、処理対象面に対し多数のフィンの多数の稜線による線的な処理効果を高めることができる。
【0017】
また、対象面押圧盤部の特定部分に偏って比較的強く下方押圧力が加わった場合、その特定部分を中心とする比較的広い範囲のフィンに比較的強い下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧され屈曲することとなり易い。例えば対象面押圧盤部の何れか一方の側に比較的強く下方押圧力が加わった場合、当該一方の側において比較的広い範囲のフィンに比較的強い下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧され屈曲することとなり易く、他方の側においても、広い範囲のフィンが対象面に対し浮いた状態となったり、浮き気味又は弱く接することとなり易い。
【0018】
(2-1) 上記仮想面は、主たる処理方向の中間部に向かって下方に凸となる曲面であるものとすることができる。
【0019】
この場合、各フィンは、それらの稜線が、対象面押圧盤部における処理方向の中間部に向かって下方に凸となる曲面状の仮想面に接するように形成されている。そのため、対象面押圧盤部に対し下方押圧力が作用して対象面に対しフィンが押圧されて屈曲することにより、広い範囲にわたるフィンが対象面に接することとなる一方、対象面押圧盤部に対する下方押圧力が十分に作用していない場合は対象面に接するフィンが十分に屈曲しないので対象面に接するフィンの範囲は狭くなり、フィンが対象面から浮いている範囲が広くなる。
【0020】
従って、対象面押圧盤部に作用させる下方押圧力の大きさと位置を適切に調整することによって、フィンを介して対象面に対し所望の処理を適確に行うことをできる。
【0021】
(2-2) 上記仮想面は、主たる処理方向に直交する方向において一定高さであるものとすることができる。
【0022】
この場合、仮想面が、主たる処理方向に直交する方向において一定高さであるため、処理対象面に対する処理を、主たる処理方向に直交する方向において同等に行うことが可能である。
【0023】
(3) 本発明の処理器具は、上記フィンが、進行方向が主たる処理方向に沿い振幅が前記進行方向に直交する方向である波形状をなすものとすることができる。
【0024】
この場合の各フィンは、波形の進行方向が主たる処理方向に沿い波形の振幅が進行方向に直交する方向である波形状をなすので、各フィンがなす波形は周期的に繰り返される。
【0025】
そのため、対象面押圧盤部の下面側が処理対象面上に位置するようにして処理器具を主たる処理方向に移動させた場合に、処理作業中に生じ得る処理対象面に対する対象面押圧盤部の下面の傾斜の変化に応じて、主たる処理方向においてフィンが処理対象面に作用する位置が変化しても、各フィンは処理対象面に対しほぼ同様に作用する。
【0026】
(3-1) 上記フィンは、上記主たる処理方向に直交する方向において多数並列状に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔が上記振幅の4分の1以下であるか又は向かい合う山部の前記処理方向に直交する方向における位置が重複するものとすることができる。
【0027】
上記対象面押圧盤部の下面に、波形の進行方向が主たる処理方向に沿うと共に主たる処理方向に直交する方向の振幅を有する波形状をなす畝状の弾性材料製のフィンを、前記処理方向に直交する方向において多数並列状に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔が前記振幅の4分の1以下であるか又は向かい合う山部の前記処理方向に直交する方向における位置が重複するように有する。
【0028】
従って、畝状のフィンが多数並列した範囲における前記処理方向に直交する方向のほとんど何れの位置においても、前記処理方向において何れかのフィンが波形状に振れつつ存在し、前記処理方向における何れの位置にもフィンが存在しない部分があったとしても、そのような部分は、前記処理方向に直交する方向において、フィンの振幅の4分の1以下であるため、対象面押圧盤部の下面側が対象面上に位置するようにして処理器具を前記処理方向に移動させた場合に、処理器具が移動した対象面のほぼ全体に対し、何れかのフィンが作用し得る。例えば対象面押圧盤部の底部を清掃用シート体で覆った状態においては、並列隣接する波形状のフィンにより対象面上に押圧された清掃用シート体により、対象面上の塵埃が波形状フィンの何れかの位置において捕捉され易い。
【0029】
(4) 本発明の処理器具は、対象面押圧盤部の下側を覆うように対象面処理用シートを保持するための保持部を備えるものとすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の処理器具によれば、対象面押圧盤部に作用させる下方押圧力の大きさと位置を適切に調整することによって、フィンを介して対象面に対し所望の処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】床用清掃器具の斜視図である。
【図2】保持部を省略したヘッド部の破砕斜視図である。
【図3】格子状剛性構造部及び上盤部の底面図である。
【図4】クッション体の平面図である。
【図5】クッション体の短手方向垂直断面図である。
【図6】格子状剛性構造部及びクッション体の平面図である。
【図7】クッション体の底面図である。
【図8】クッション体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(1) 図面は何れも本発明の処理器具の実施の形態の一例としての床用清掃器具に関するものである。
【0033】
この床用清掃器具は、硬質合成樹脂製の上盤部Uの下方に、弾力性を有する材料としてのエラストマーからなる対象面押圧盤部Pを有してなる平面視長方形状のヘッド部Hと、上盤部Uの中央部に任意方向に回動し得るよう結合された柄Sからなる。対象面押圧盤部Pの下面には、下向きに起立し畝状に伸びる多数の可撓性のフィンFを有し、対象面押圧盤部PとフィンFは一体状をなす。
【0034】
上盤部Uの下側には、上下方向の多数の格子孔Glが隣接してなる硬質合成樹脂製の格子状剛性構造部Gを有し、格子状剛性構造部Gは、その上側の上盤部Uと一体状をなす。一体状をなす上盤部Uと格子状剛性構造部Gの四隅部には、保持部Mが嵌合保持される上方開口の保持部用開口部Qを有する
【0035】
格子状剛性構造部Gにおける多数の格子孔Glは、それぞれ硬質材料からなる板状の壁体Gwにより構成されており、格子孔Glの水平断面形状は、正方形であって、全ての格子孔Glは同一断面形状である。
【0036】
対象面押圧盤部Pの上側には、上下方向の多数の格子孔Elが隣接してなるエラストマー製の格子状弾性構造部Eを有し、対象面押圧盤部Pの全外周には、外方に張り出すエラストマー製の張出部Paを有する。格子状弾性構造部Eはその下側の対象面押圧盤部P及び外周側の張出部Paと一体状をなしてクッション体Cを構成する。
【0037】
張出部Paの下端位置は、対象面押圧盤部Pの底面部の上下方向位置よりも間隙を隔てて上方に位置し、対象面押圧盤部Pの底面部の外縁部と張出部Paの外側部との間の部分に、下方開口の内側凹部Pbと、内側凹部より下方開口部が上方に位置する外側凹部Pcが形成されている。
【0038】
格子状弾性構造部Eにおける多数の格子孔Elは、それぞれ弾性材料からなる板状の壁体Ewにより構成されている。格子孔Elの水平断面形状は、正方形であって、全ての格子孔Elは同一断面形状である。格子状弾性構造部Eは、上盤部Uと対象面押圧盤部Pの間の水平面積の実質上全部に有する。
【0039】
上盤部Uに下方押圧力が加えられることにより、格子状剛性構造部Gを介して、格子状弾性構造部Eの実質上全体に下方押圧力が加わる。格子状弾性構造部Eの全範囲の下方の部分の底面部は、対象面押圧盤部P全体の底面部の実質上全部である。
【0040】
格子状剛性構造部Gの下側部と格子状弾性構造部Eの上側部は、それぞれの格子孔Glと格子孔Elが互いにずれることによりそれぞれの壁体Gwと壁体Ewが交差する状態で接する。
【0041】
上盤部Uに対する下方押圧力は、柄Sを介して加えることができる。上盤部Uに加えられた下方押圧力は、格子状剛性構造部G及び格子状弾性構造部Eを経、対象面押圧盤部Pを介して清掃対象の床面に作用する。
【0042】
上盤部Uの上側には、対象面押圧盤部Pの下側を覆うように拭き掃除のための不織布シートNを保持するための保持部Mを備える。保持部Mは、合成ゴム等の弾性材料製の板状部に設けられた切れ目により形成された相対する舌片部Maにより保持するものである。
【0043】
対象面押圧盤部Pの下面は平面状であり、波形の進行方向が主たる処理方向である短手方向(平面視における長方形状の短辺に平行な方向)に沿うと共にその方向に直交する方向の振幅を有する正弦波に近似した波形状をなす連続した畝状の同一波形の可撓性のフィンFを、前記処理方向に直交する方向において多数並列状に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンFの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔がほぼ0であるように有する。前記各フィンFは、それらの稜線(図5におけるフィンFの下端縁)が、対象面押圧盤部Pにおける前記処理方向の中央部に向かって下方に凸となる曲面状の仮想面に接するように形成されている。フィンFの断面形状は、稜線に向かって次第に薄肉となる薄板状である。
【0044】
(2) 拭き掃除のための不織布シートNを、対象面押圧盤部Pの下側を覆った状態で上盤部Uの上側の保持部Mにより保持すると、不織布シートNは、張出部Paにおける内側凹部Pbの下方開口及び外側凹部Pcの下方開口を覆う状態となる。この状態で柄Sを介して上盤部Uに下方押圧力を加えつつ床用清掃器具を操作することにより、床面に対し不織布シートNによる拭掃除を行うことができる。
【0045】
上盤部Uに加えられた下方押圧力は、格子状剛性構造部Gの多数の格子孔Glの壁体Gwを介して、それらの壁体Gwとそれぞれ交差する格子状弾性構造部Eの多数の格子孔Elの壁体Ewに加わる。
【0046】
そのため、格子状剛性構造部Gを介して格子状弾性構造部Eに加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれる。
【0047】
更に、その格子状弾性構造部Eを介して対象面押圧盤部Pに作用する下方押圧力は、格子状弾性構造部Eが、弾性材料製であり、上下方向の多数の格子孔Elが隣接してなるものであるため、水平方向における偏りが生じにくい。そのため、格子状弾性構造部Eの下側の対象面押圧盤部Pに加わる下方押圧力に偏りが生じることが防がれるので、対象面押圧盤部Pの下側を覆った不織布シートNによる床面の拭掃除を偏りなく行うことができる。
【0048】
また、対象面押圧盤部Pの下面における前記処理方向に直交する方向の実質上何れの位置においても、前記処理方向において何れかのフィンFが存在するため、対象面押圧盤部Pの下側を不織布シートNで覆った床用清掃器具を前記処理方向に移動させた場合に、床用清掃器具が移動した床面のほぼ全体に対し、何れかのフィンFが作用し得る。そのため、並列隣接する波形状のフィンFにより床面上に押圧された不織布シートNにより、床面上の塵埃が波形状フィンFの何れかの位置において捕捉され易い。
【0049】
各フィンFは、それらの稜線が、対象面押圧盤部Pにおける前記処理方向の中間部に向かって下方に凸となる湾曲状の仮想面に接するように形成されている。そのため、対象面押圧盤部Pに対し下方押圧力が作用して床面に対し不織布シートNを挟んでフィンFが押圧されて側方へ屈曲することにより、広い範囲にわたるフィンFが床面に接することとなる一方、対象面押圧盤部Pに対する下方押圧力が十分に作用していない場合はフィンFが十分に屈曲しないので不織布シートNを挟んで床面に接するフィンFの範囲は狭くなり、フィンFが床面から浮いている範囲が広くなる。
【0050】
従って、対象面押圧盤部Pに作用させる下方押圧力の大きさと位置を適切調整することによって、フィンFを介して床面に対し所望の清掃処理を行うことができる。例えば対象面押圧盤部Pに対し処理方向前方において下方押圧力を実質上作用させずに広い範囲のフィンFを床面上に浮いた状態として床用清掃器具を前進させることにより、前方の床面上の塵埃を不織布シートNの下側に取り込み、その後、処理方向前方において対象面押圧盤部Pに対し十分な下方押圧力を作用させつつ床用清掃器具を後退させることにより、不織布シートNの下側に取り込んだ塵埃を不織布シートNにより拭き取ることができる。
【0051】
なお、比較的細かい塵埃は、床面上でのヘッド部Hの移動に伴い対象面押圧盤部Pの底面部の上下方向位置よりも間隙を隔てて上方に位置する張出部Paの下端位置と床面との間を通過して対象面押圧盤部Pの底面部を覆う不織布シートNにより拭き取られ得る。
【0052】
一方、比較的大きな塵芥は、床面上をヘッド部Hが移動するに従って、張出部Paの下端位置と床面との間を通過するか、或いは、張出部Paが塵芥により上方に変形しつつ、不織布シートNのうち内側凹部Pbの下方開口又は外側凹部Pcの下方開口を覆う部分に捕捉され得る。このような塵芥を対象面押圧盤部Pの底面部が乗り越えて後方に取り残したり、前方へ弾いたり、取り込んだものの拭材保持具を後方に移動させると前方へ離脱してしまうことが効果的に防がれ、清掃効果が高まる。また張出部は、ヘッド部Hと家具や壁面等との緩衝効果を発揮し得る。
【0053】
(3) 本発明の処理器具は、処理のために加えられた下方押圧力が対象面押圧盤部を経て処理対象面に作用する処理器具であって、前記対象面押圧盤部の下面に、畝状に伸びる多数の可撓性のフィンを備え、前記対象面押圧盤部に加わった下方押圧力が前記フィンを介して処理対象面に作用することにより、拭き掃除等の清掃やその他の処理を行うために使用し得るものであり、前記下方押圧力により、前記フィンは、畝状に伸びる方向に対し側方に屈曲し得る。
【0054】
処理対象面は、床面、壁面、家具その他の物の種々の面であってよい。処理対象面の処理としては、拭き掃除等の清掃、ワックス若しくはその他の処理剤の塗布、床面等の処理対象面磨き等を例示することができる。
【0055】
(3-1) 処理器具の平面視の形状は、長方形状であることが好ましいが、これに限るものではない。
【0056】
(3-2) 対象面押圧盤部は、弾力性を有する材料(例えば合成ゴム等のエラストマー)からなるものが好ましい。処理のために加えられた下方押圧力(主に操作者の人力であるが、人力に限るものではない。)は、少なくとも対象面押圧盤部を経て処理対象面に作用する。
【0057】
(3-3) 本発明の処理器具は、対象面押圧盤部の上側に、例えば直接に又は別部材を介して間接に、上盤部が結合されてなるものとすることができる。
【0058】
このような上盤部は、処理器具による対象面の処理のために加えられた下方押圧力を、下側の対象面押圧盤部に対し、直接に又は別部材を介して関節に伝えるものであり、好ましくは硬質材料製(例えば硬質合成樹脂又はその他の硬質材料製)である。
【0059】
上盤部に対する下方押圧力は、例えば、上盤部に柄や把手を結合し、その柄や把手等を介して加えることができる。
【0060】
なお、対象面押圧盤部に直接に柄や把手を結合し、その柄や把手等を介して下方押圧力を対象面押圧盤部に加えるものとすることもできる。
【0061】
(3-4) 対象面押圧盤部の下面は、例えば、水平面、下に凸の各種湾曲面、主たる処理方向の中間部(例えば中央部)に向かって下方に凸となる湾曲面又は平面同士若しくは平面と湾曲面の組み合わせ等とすることができる。
【0062】
主たる処理方向というのは、例えば対象面押圧盤部の下面が平面視において長方形状である場合は、通常、短辺に平行な方向であるが、平面視において正方形の場合は、通常、何れかの辺に平行な方向である。主たる処理方向が複数存在する場合は何れか一つのみを主たる処理方向として扱うものとしてもよい。
【0063】
(3-5) 対象面押圧盤部の下面には、畝状に伸びる多数の可撓性のフィンを備える。フィンは、畝状に伸びる方向に対し側方に屈曲し得、フィンの屈曲は、下方押圧力の解除により復元し得る。
【0064】
フィンの材料としては、例えば合成ゴムや合成樹脂エラストマー等の各種エラストマーを含む弾性材料を用いることができる。
【0065】
フィンの断面形状は、薄板状とすることができる。好ましくは、稜線に向かって次第に薄肉となる薄板状である。
【0066】
前記各フィンは、それらの稜線が、対象面押圧盤部の下面に沿ってその下面の下方に設定された仮想面に接するように形成されているものとすることが好ましい。
【0067】
このような仮想面は、主たる処理方向の中間部(例えば中央部)に向かって下方に凸となる曲面であることが好ましいが、これに限るものではない。例えば、下に凸のその他の各種湾曲面、その他の湾曲面、水平面、平面同士の組み合わせにより下に凸に形成された面、平面と湾曲面の組み合わにより下に凸に形成された面等とすることもができる。
【0068】
対象面押圧盤部の下面と仮想面は、例えば平行状とすることができるが、これに限らない。例えば、対象面押圧盤部の下面を処理方向の中間部に向かって下方に凸となる面(或いはその他の面)に形成し、各フィンの高さは一定とする(対象面押圧盤部の下面と仮想面は平行状)ことや、対象面押圧盤部の下面を水平面(或いはその他の面)として、各フィンの高さを変化させる(対象面押圧盤部の下面と仮想面は非平行状)ことができる。
【0069】
前記仮想面は、主たる処理方向に直交する方向において一定高さであることが好ましい。
【0070】
また前記フィンは前記処理方向に沿って連続したものであることが好ましい。
【0071】
(3-6) 前記各フィンが畝状に伸びる方向は、例えば主たる処理方向に対し断続的又は連続的に傾斜状をなすものとすることができる。
【0072】
また前記フィンは、進行方向が主たる処理方向に沿い振幅が前記進行方向に直交する方向である波形状をなすものとすることができる。
【0073】
前記フィンの好ましい例としては、主たる処理方向に沿うと共に前記処理方向に直交する方向の振幅を有する波形状をなす畝状の弾性材料製のフィンを、前記処理方向に直交する方向において多数並列状(好ましくは同一波形のものが多数並列状)に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔が前記振幅の4分の1以下(好ましくは5分の1以下、より好ましくは10分の1以下。或いは、例えば1mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0以上0.2mm以下)であるか又は向かい合う山部の前記処理方向に直交する方向における位置が重複(例えば、半波長毎に、振幅の0乃至90%重複)するように有するものを挙げることができる。
【0074】
前記の、並列隣接する波形状のフィンの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔というのは、並列隣接する波形状のフィンにおける向かい合う山部の頂点の前記処理方向に直交する方向における位置が離隔している場合に、一方のフィンの山部の頂点と他方のフィンの山部の頂点の前記処理方向に直交する方向における距離を意味する。
【0075】
(3-7) 対象面押圧盤部の下側を覆うように対象面処理用シート(例えば、拭き掃除のための不織布シート又はその他のシート)を保持するための保持部を備えるものである場合、保持部としては、相対する弾性舌片により保持するものや、クリップ部等の挟圧部等を適宜採用し得る。保持部の位置としては、上盤部の上側が好ましいが、これに限るものではない。
【符号の説明】
【0076】
C クッション体
E 格子状弾性構造部
El 格子孔
Ew 壁体
F フィン
G 格子状剛性構造部
Gl 格子孔
Gw 壁体
H ヘッド部
M 保持部
Ma 弾性片
N 不織布シート
P 対象面押圧盤部
Pa 張出部
Pb 内側凹部
Pc 外側凹部
Q 保持部用開口部
S 柄
U 上盤部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理のために加えられた下方押圧力が対象面押圧盤部を経て処理対象面に作用する処理器具であって、
前記対象面押圧盤部の下面に、下向きに起立し畝状に伸びる多数の可撓性のフィンを備え、
前記対象面押圧盤部に加わった下方押圧力が前記フィンを介して処理対象面に作用するものであり、それにより、前記フィンは、畝状に伸びる方向に対し側方に屈曲し得るものであることを特徴とする処理器具。
【請求項2】
上記各フィンは、それらの稜線が、対象面押圧盤部の下面に沿ってその下面の下方に設定された仮想面に接するように形成されている請求項1記載の処理器具。
【請求項3】
上記仮想面が、主たる処理方向の中間部に向かって下方に凸となる曲面である請求項2記載の処理器具。
【請求項4】
上記仮想面が、主たる処理方向に直交する方向において一定高さである請求項2又は3記載の処理器具。
【請求項5】
上記フィンが、進行方向が主たる処理方向に沿い振幅が前記進行方向に直交する方向である波形状をなす請求項1乃至4の何れか1項に記載の処理器具。
【請求項6】
上記フィンが、上記主たる処理方向に直交する方向において多数並列状に、且つ、それらの並列隣接する波形状のフィンの向かい合う山部の頂点同士の前記処理方向に直交する方向における間隔が上記振幅の4分の1以下であるか又は向かい合う山部の前記処理方向に直交する方向における位置が重複する請求項5記載の処理器具。
【請求項7】
対象面押圧盤部の下側を覆うように対象面処理用シートを保持するための保持部を備える請求項1乃至6の何れか1項に記載の処理器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−13633(P2013−13633A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149604(P2011−149604)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】