説明

処理手順報知装置及び画像形成装置

【課題】短時間でジャム処理を行うことができる処理手順報知装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体1内の記録媒体通過部に残存する記録媒体の有無を検知する残存媒体検知手段30と、残存する記録媒体を画像形成装置本体から取り出すために必要となる開閉部材の開閉状態を検知する開閉検知手段31とを備えた処理手順報知装置である。残存媒体検知手段30の出力及び開閉検知手段31の出力の組み合わせと、夫々の組み合わせの際に次に必要となる操作とを対応づけて規定する参照テーブルを記憶する記憶手段32と、残存媒体検知手段30及び開閉検知手段31の出力の組み合わせを、記憶手段32の参照テーブルに対応させて決定する報知制御手段33と、報知制御手段33により、残存媒体検知手段30及び開閉検知手段31の出力の組み合わせを参照テーブルに対応させた結果、その組み合わせにおいて必要な操作を報知する報知手段34とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャム処理の操作手順を報知する処理手順報知装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの画像形成装置においてジャムが発生した場合には、ユーザがジャム除去の操作を行う。画像形成装置本体部には、カバーやノブ等の開閉部材が設けられており、ジャム除去の操作を行う際には、カバーやノブをどのように操作すべきかユーザに教示する必要がある。そこで、ジャム除去の操作手順を、画像形成装置本体部に設けられたディスプレイに図やアニメーションで表示して報知する技術が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
特許文献1のものは、ジャムが発生したときに、ジャム処理の操作手順を画面に図解してガイダンスするようになっている。ユーザは、ガイダンスに従って一つの操作手順を終える毎に、ガイダンス画面に表示されたNEXTキーに触れることにより、後の画面に表示を切換えて、次の操作手順を行う。
【0004】
特許文献2のものは、用紙通過部毎にジャムを検出するジャム検出手段と、用紙通過部毎のジャム処理手順についての動画を記憶する記憶手段を備えている。ジャムが発生すると、自動順送りキーを操作することにより、ジャム検出手段にて用紙の残存が検出されている用紙通過部毎のジャム処理手順についての動画が順次自動的に切り換えられて、ジャム処理の操作手順の動画が表示手段に表示されるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のものは、ユーザがある一つの操作を行っても、ガイダンス画面は変化しない。すなわち、ユーザがカバーを開閉したり、ユーザの操作によりジャムした記録媒体を取り除いたりして状況が変化しても、ガイダンス画面は同じであり、ユーザの操作に応じてガイダンス画面がリアルタイムに変化するものではない。特に、特許文献1のものでは、次のガイダンス画面を得るためにはボタン操作が必要で、ユーザの手間がかかり、ジャム処理に時間がかかる。また、例えばユーザがガイダンス画面を見ることなく、ボタン操作をせずに複数の操作を行ってから、その次の操作を確認したい場合、所望のガイダンス画面を得るためには、複数回のボタン操作が必要となる。このため、次に実施すべき操作がわからなくなって、ジャム処理がスムーズに行うことができなかったり、ドアやカバーを閉めた後で他の残存媒体を報知して、ユーザにストレスを与えたりするという問題があった。
【0006】
また、機内に残存する記録媒体を除去しても、操作手順がガイダンス画面に表示された状態が維持されるため、記録媒体が残存しているとユーザに誤解を生じさせるおそれがある。また、残存する記録媒体が除去されて開閉部材を開閉する必要がなくなっているにも拘らず、当該箇所の開閉部材の開閉操作をガイダンス画面に表示し、ユーザに不必要な操作を実施させ、機内に残存する記録媒体が存在するか疑問を持たせたり、不必要な操作を強いることで、ユーザにストレスを与えたりするという問題があった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑み、短時間でジャム処理を行うことができる処理手順報知装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の処理手順報知装置は、画像形成装置本体内の記録媒体通過部に残存する記録媒体の有無を検知する残存媒体検知手段と、残存する記録媒体を画像形成装置本体から取り出すために必要となる開閉部材の開閉状態を検知する開閉検知手段とを備えた処理手順報知装置において、前記残存媒体検知手段の出力及び開閉検知手段の出力の組み合わせと、夫々の組み合わせの際に次に必要となる操作手順とを対応づけて規定する参照テーブルを記憶する記憶手段と、前記残存媒体検知手段及び開閉検知手段の出力の組み合わせを、前記記憶手段の参照テーブルに対応させて決定する報知制御手段と、前記報知制御手段により、前記残存媒体検知手段及び開閉検知手段の出力の組み合わせを参照テーブルに対応させた結果、その組み合わせにおいて必要な操作手順を報知する報知手段とを備えたものである。
【0009】
本発明の処理手順報知装置は、残存媒体検知手段と開閉検知手段とから、画像形成装置本体内の記録媒体通過部に残存する記録媒体の検知と、残存する記録媒体へアクセスするのに必要な開閉部材の開閉状態の検知をリアルタイムに行うことができて、検知状態の組み合わせにより状態を一意に特定することができる。このため、検知状態を、記憶手段の参照テーブルに対応させると、次に必要となる操作手順が報知される。これにより、ジャムした記録媒体の有無や開閉部材の開閉状態の変化に応じてリアルタイムで次の操作手順を報知することができて、ユーザによる報知手段の操作が不要となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の処理手順報知装置及びこれを備えた画像形成装置では、ジャムした記録媒体の有無や開閉部材の開閉状態の変化に応じてリアルタイムで次の操作を報知するため、短時間でジャム処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の処理手順報知装置を備えた画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本発明の処理手順報知装置のブロック図である。
【図3】本発明の処理手順報知装置によりジャム処理の操作手順を報知する方法を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の処理手順報知装置の報知手段の一例を示す図である。
【図5】本発明の処理手順報知装置の報知手段によりジャム処理の操作手順を報知する方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0013】
図1に本発明の処理手順報知装置を適用した画像形成装置の概略を示す。本実施例の画像形成装置は、記録媒体の両面に画像形成可能な両面画像形成装置である。画像形成装置を構成する画像形成装置本体1は、画像形成部2と、その上部に配置されている画像読取部3と、画像形成部2に記録媒体を供給するための給紙搬送部5とを備えている。
【0014】
画像形成部2は、4つの作像装置としての画像形成ステーションである画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKと、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた転写ベルトユニット10と、図1における転写ベルト11の右側において転写ベルト11に対向して配設された2次転写装置4と、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKの下方に対向して配設された潜像形成手段としての光書込みユニットである光走査装置8とを有している。
【0015】
画像形成装置本体1内に、トナー像を転写された記録媒体に同トナー像を定着させるための定着ユニットとしての定着装置13と、正回転時に定着済みの記録媒体を画像形成装置本体1の外部に排出する排出ローラである排紙ローラ7と、転写ベルトユニット10の上方に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9M、9C、9BKと、画像形成装置本体1の上側に配設され排出ローラ7により画像形成装置本体1の外部に排出された記録媒体を積載する排紙トレイ41とを有している。
【0016】
給紙搬送部5は、記録媒体を積載可能な給紙ユニットとしての給紙トレイ51、52を備えている。この給紙トレイ51、52から給送ローラ53a、53b、搬送ローラ54a、54b、57a、57bを介して記録媒体が繰り出され、レジストローラ55によるレジストタイミング設定が行われた記録媒体が転写ベルト11と2次転写装置4との間の転写位置に向けて搬送される。
【0017】
給紙トレイ51、52から搬送されてきた記録媒体を、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、2次転写部に向けて繰り出すレジストローラ対55を有している。
【0018】
画像形成装置本体1は、さらに、図1における右側面に、反転搬送路21bを構成する開閉部(両面ドア)56が設けられている。開閉部56は、その下端部を揺動支点として、図1の矢印の方向に揺動する。反転搬送路21bは、定着装置13を経た記録媒体を排紙ローラ7の逆回転時に定着装置13を迂回しつつレジストローラ対55に向けて反転して搬送する経路である。排紙ローラ7が逆回転されるときに記録媒体を反転搬送路21bに案内する切換爪63と、反転搬送路21b中に配設され記録媒体をレジストローラ対55に向けて搬送する搬送ローラ23とを有している。本実施例では、胴内反転(第一面画像印刷後に両面印刷するために記録媒体を反転する際、機外に一部記録媒体が露出しスイッチバックを実施する)方式を採用している。
【0019】
給紙トレイ51、52から、レジストローラ対55、2次転写部、定着部、記録媒体通過部、及び排紙ローラ7までの経路21aと、反転搬送路21bとで記録媒体通過部21を構成する。
【0020】
反転搬送路21bには、両面ガイド板59が設けられている。両面ガイド板59は、両面ドア56を開放した後にさらに開放することができ、反転搬送路21b内の残存媒体を取り除くことができる。
【0021】
図1における2次転写装置4の右側には、2次転写装置4に隣接して配置された案内部材としての転写ガイド板58が設けられており、転写工程における記録媒体への転写効率を向上させる。転写ガイド板58は、両面ドア56を開放した後に開放することができ、両面経路内の残存媒体を取り除くことができ、レジストローラ対55から二次転写部までの経路21a内の残存媒体を取り除くことができる。
【0022】
画像読取部2の前面には図4や図5に示すような報知手段34(オペレーションパネル)が設置されている。この操作パネルは、後述する報知制御手段33の制御に基づいて、ジャム処理時に、ジャム処理の操作手順の報知等を行う。
【0023】
前記のように構成された画像形成装置本体1には、図2に示すように、記録媒体を画像形成装置本体1から取り出すために開閉が必要となる開閉部材の開閉状態を検知する開閉検知手段31が設けられている。開閉検知手段の構成としては、メカスイッチによる開閉検知や、両面ガイド板4の一部に透過型センサを遮蔽する形状を設け開閉検知を行う構成が考えられるが、開閉検知を行えるのであれば構成はこれに限るものではない。
【0024】
開閉検知手段31を構成する開閉検知センサSbには、Sb1〜Sb3等がある。図1において、第1開閉検知センサSb1は、両面ドア56の揺動側端部(上端部)に設けられており、両面ドア56の開閉状態を検知できるものである。第2開閉検知センサSb2は、転写ガイド板58の近傍に設けられ、転写ガイド板58の開閉状態を検知することができる。第3開閉検知センサSb3は、両面ガイド板59の近傍に設けられ、両面ガイド板59の開閉状態を検知することができる。この他、図示されていない開閉部材の近傍にも、その開閉状態が検知できるセンサが設けられており、全体としてn個の第1〜第n開閉検知センサSb1〜Sbnが設けられており、Sb1〜Sbnで、開閉検知手段31を構成している。
【0025】
記録媒体が通過する記録媒体通過部21には、図2に示すように、記録媒体通過部21に残存する記録媒体の有無を検知する複数の残存媒体検知手段30が設けられている。残存媒体検知手段30を構成する残存媒体検知センサSaには、Sa1〜Sa10等がある。なお、図1では、第1〜第10の残存媒体検知センサSa1〜Sa10を図示しているが、実際は全体としてn個の残存媒体検知センサSa1〜Sanが設けられており、Sa1〜Sanで、残存媒体検知手段30を構成している。
【0026】
画像形成装置本体1は、図2に示すように、記憶手段32及び報知制御手段33を備えている。記憶手段32は、表1に示すような、残存媒体検知センサSaの出力及び開閉検知センサSbの出力の組み合わせと、夫々の組み合わせの際に次に必要となる操作手順とを対応づけて規定する参照テーブルを記憶しているものである。残存媒体検知センサSaの出力及び開閉検知センサSbの出力の組み合わせごとに、ID0、ID1・・・と特定されている。表1において「右カバー」とは両面ガイド板59を示し、「2次転写」とは転写ガイド板58を示す。
【表1】

【0027】
表1のIDのSb1〜Sbnは、開閉部材の開閉状態を示すものであり、0が閉、1が開を示す。表1のIDのSa1〜Sanは、記録媒体の残存の有無を示すものであり、0が非検知(すなわち、記録媒体なし)、1が検知(すなわち、記録媒体あり)を示す。表1のIDのJ1〜Jlは、残存媒体位置を示すフラグであり、0が無、1が有を示す。残存媒体検知センサSaの出力及び搬送制御よりジャム発生時に機内のどの位置に記録媒体が残存しているのかがわかるため、このJ1〜Jlを別途設け、残存媒体の除去が完了すれば1から0に変更する。
【0028】
また、残存媒体位置を表すJ1〜Jlと開閉検知センサの出力Sb1〜Sbnと残存媒体検知センサSa1〜Sanの出力の組み合わせによって、画像形成装置本体1の開閉状態と残存する記録媒体の状態が特定されるため、その状態に行うべき処理手順は一意に定まる。なお、記録媒体通過部21において、残存媒体検知センサ間に記録媒体が停止してジャム発生時に残存媒体検知センサSaに記録媒体がかからずに検知できない場合においても、残存媒体位置を表すフラグJ1〜Jlにより画像形成装置本体1の残存媒体の位置が特定でき、必要な処理を報知することが可能となる。
【0029】
ID「k+1」〜ID「k+6」がひとまとまりのジャム処理を示し、ID「k+7」〜ID「k+12」、ID「k+13」〜ID「k+17」がひとまとまりのジャム処理を示している。ここで、ID「k+7」〜ID「k+12」とID「k+13」〜ID「k+17」の相違点について説明すると、残存媒体位置のフラグはどちらのグループもJ2で同じあるが、後者は残存媒体検知センサSaに記録媒体がかからず検知できないが、搬送制御より当該箇所に記録媒体が残存することがわかっているためJ2のフラグを立てて、J2が1となる場合を示している。残存媒体検知センサSaの出力が0から1に変化することにより、当該箇所のジャム処理完了が判断できないため開閉部材(両面ドア、両面ガイド板、及び転写ガイド板)の開閉検知をトリガーに状態変移させ、残存媒体位置を表すJ1〜Jlのフラグを変更させることとする。
【0030】
図2に示すように、報知制御手段33は、前記残存媒体検知手段30及び開閉検知手段31の出力の組み合わせを、表1のような参照テーブルに対応させて、現在の状態がいずれのIDに対応するか決定するものである。いずれのIDに対応するか決定されると、それを報知手段34により報知するように制御するものである。
【0031】
次に、本発明の処理手順報知装置を備えた画像形成装置において、レジストローラ対55近傍のジャム発生時におけるジャム処理操作の報知方法について、図1、図3、及び表1を用いて説明する。この場合、ジャム発生時点では、両面ドア56及び転写ガイド板58は閉状態となっているため、Sb1とSb2は0を検知する。また、レジストローラ対55近傍の残存媒体検知センサSa6が記録媒体ありとして1を検知する。
【0032】
まず、図3に示す制御フローにより、報知制御手段33は、IDの若い順から参照テーブルのどのIDと一致しているかのチェックを行う。すなわち、図3に示すように、開閉検知、残存媒体検知、残存位置情報の3つの情報を一塊の情報データとし、参照テーブルのID1と合致するか否かチェックする。一致しない場合は順次次のID(ID2)をチェックし、一致するまで次のIDをチェックしていく。本例ではID「k+1」の行と一致していることがわかり、報知する操作手順(以下、手順という)としては「手順k+1(右カバー開)」が決定され、報知手段34にそれを伝達すると、後述するように報知手段34としてのオペレーションパネルへ操作手順が表示される。
【0033】
ユーザはオペレーションパネルに表示された手順(右カバー開)に従い、両面ドア56を開放する操作を行う。両面ドア56が開放されると、両面ドア56の開閉検知センサであるSb1の出力が0から1に変化し、状態としてはID「k+2」へ状態が変移される。
【0034】
その後報知制御手段33は、図3に示す制御フローにより、残存媒体検知センサSa及び開閉検知センサSbの組み合わせを、参照テーブルに対応させると、状態が変移したID「k+2」と一致し、オペレーションパネルには「手順k+2(二次転写開)」の操作手順が表示される。同様に、ユーザがオペレーションパネルに表示された操作手順(二次転写開)に従い、転写ガイド板58を開放すると開閉検知センサSb2の出力が0から1に変化し、状態としてはID「k+3」へ状態が変移される。
【0035】
以下、順次オペレーションパネルへの操作手順の表示に従いユーザが操作すると、前記と同様に状態変移が検出されて順次オペレーションパネルへの表示が更新されていく。「手順k+3(紙除去)」がオペレーションパネルに表示され、ユーザがジャム紙を除去すると残存媒体検知センサSa6の出力が1から0に変化し、状態としてはID「k+4」へ状態が変移される。
【0036】
その後、「手順k+4(二次転写閉)」がオペレーションパネルに表示され、転写ガイド板58を閉じると、開閉検知センサSb2の出力が1から0に変化し、状態としてはID「k+5」へ状態が変移される。ID「k+5」において二次転写閉であるにもかかわらず「手順k+5(二次転写閉)」となっているのは、ID「k+6」において残存媒体位置のフラグを1から0へ変更(当該箇所のジャム除去完了)するためのみに便宜上一つ前の操作手順を表示している。ID毎に状態を一意に特定するために必要であり、実際には参照テーブルをチェックするソフト処理速度と制御上におけるチェック時間の間隔に影響されるが体感できる間もなくID「k+5」からID「k+6」は状態変移される。
【0037】
そして、IDp−1と合致せず、さらにIDpと合致しない場合、ジャム処理における操作手順が全て終了することになる。
【0038】
操作手順の表示は、図4に示すように、報知手段34としてのオペレーションパネルへ図示するものとしている。図4は両面ガイド板59を閉じる操作手順を示したものである。尚、動画データとして開閉動作をアニメーションにしておく方がよりユーザにとって操作手順が理解しやすいものとなる。また、周辺機を含めたそれぞれの操作箇所/手順に応じて図4のような動画データを用意し、参照テーブルと一致したIDに対応した報知する操作手順をオペレーションパネルに表示する。更に、音声ガイダンスにて操作手順を報知したり、動画データによる表示と音声ガイダンスを併用してもよい。
【0039】
このようにして、開閉検知、残存媒体検知、残存位置情報の3つの情報を一塊の情報データとし、検知状態の組み合わせを予め記憶した参照テーブルと比較して状態を一意に特定すべくID1〜IDpまでチェックを行い、IDと一致した操作手順をオペレーションパネルへ表示する。状態検知のサンプリング間隔は、センサのチャタリング等を考慮し適切な時間設定(例えば500msec)とするのが好ましい。
【0040】
本発明の処理手順報知装置は、ジャムした記録媒体の有無や開閉部材の開閉状態の変化に応じてリアルタイムで次の操作を報知するため、短時間でジャム処理を行うことができる。図5及び表2を用いて、ジャム処理手順の表示について従来と比較する。
【表2】

【0041】
(a)〜(c)のように1つのジャム部の処理手順は、従来でも本発明でも自動切替が行われる。本発明では、(a)〜(c)を一画面表示することもできる。(d)〜(e)、(e)〜(f)のように、1つのジャム部の処理手順単位において、(d)、(e)の右面は、従来では「次へ」ボタンで手動切替を行っていた。また、(e)のように、ジャム部の指定において、従来ではボタンを押して切替を行っていため、切り替えることなく作業を進めた場合に、次の作業を確認したい場合であっても、実施済みの手順が表示されたままであった。これに対し、本発明では、残存媒体検知センサSa及び開閉検知センサSbで検知して自動切替を行うため、次に実施すべき手順が必ず表示された状態となっている。
【0042】
(h)のように、ジャム箇所の表示において、従来では、(g)においてジャム紙を除去し、特定部位の閉状態で自動切替を行っていたため、ジャム紙を除去しても表示が変わらず、ジャム処理が完了したのか分からないため、記録媒体を除去したのにもかかわらず、ジャム除去を指示されてユーザのストレスとなっていた。これに対し、本発明では、左側アニメは、ジャム除去でジャム位置表示を消し、右側は「カバーを閉じてください」に画面を切替えるため、ジャム除去が完了してカバーを閉状態としてもよいことがユーザにわかる。
【0043】
第2実施例として、開閉部材(両面ドア、両面ガイド板、転写ガイド板)の開閉操作をせずに前記残存媒体検知手段30の出力の変化によって当該箇所の記録媒体の除去完了(残存無)と判断された際に、開閉部材(ドア、ガイド板)の開閉操作をすることなく当該箇所の操作完了とする構成としている。開閉部材の開閉操作をせずに前記残存媒体検知手段の出力の変化によって当該箇所の記録媒体の除去完了(残存無)と判断された際の操作処理方法を表3を用いて説明する。なお、表3は、表1の参照テーブルに含まれる一部を抜粋したものであり、表1では省略された部分である。
【0044】
ID「n+1」は、反転部の残存媒体検知センサSa1に記録媒体がかかった状態でジャム発生した場合を示す。本来であれば、ID「n+1」→ID「n+2」→ID「n+3」→ID「n+4」の順序に従い両面ドア56を開放しジャム処理する操作手順であるが、本実施例のような胴内反転方式の場合、反転部においてジャムが発生すると、反転口から記録媒体の一部が露出しているため露出している端部をつかみ、引き抜くようにジャム処理が実施されることがある。すなわち、オペレーションパネルに表示されているジャム処理操作と異なる順序でジャム処理が実施されることがある。その場合、開閉部材の開閉操作をジャムリカバリーの条件とする従来の構成であると、画像形成装置本体内の残存無(除去完了)と判断できる状態にもかかわらず、両面ドア56の開閉操作が必要となってしまう。
【0045】
そこで第2実施例は、ID「n+1」の状態から両面ドア56の開放操作をせずに記録媒体を引き抜いてジャム処理した場合は、残存媒体検知センサSa1の出力が1から0に変化し、ID(n+5)へ状態が変移される。つまり、ID「n+2」からID「n+4」は操作手順をスキップした状態となり、参照テーブルのID「n+5」へ状態変移する。第1実施例と同様に、ID「n+5」において両面ドア56閉であるにもかかわらず「手順n+5(右カバー閉)」となっているのは、ID「n+6」において残存媒体位置のフラグを1から0へ変更(当該箇所のジャム除去完了)するためのみに便宜上一つ前の操作手順を表示しているためである。また、体感できる間もなくID「n+5」からID「n+6」は状態変移される。尚、本例においてはジャム発生時に画像形成装置本体内に残存する記録媒体は反転部の1枚のみであるので、参照テーブルの最下段(END)にあるデフォルト状態のIDと一致し、ジャム除去が完了することになる。
【0046】
但し、前述した反転部や排紙部の残存媒体検知センサSa2に記録媒体がかかった状態の排紙途中(排紙口から記録媒体が露出)でジャム発生した場合の他、開閉部材(両面ドア、両面ガイド板、転写ガイド板)の開閉操作をせずに前記残存媒体検知センサSaの出力の変化によって当該箇所の記録媒体の除去完了(残存無)と判断できる場合は、ジャムの発生箇所及び状況に条件がある。すなわち、画像形成装置本体1内に別の残存媒体がある場合は、構成上両面ドア56を開閉する必要があり、残存媒体検知センサSaに記録媒体がかからない状態であれば、シャム処理操作手順が実施されたことを判断することができない。
【0047】
第3実施例として、ジャム発生時に画像形成装置本体内に複数の記録媒体が残存した場合で、ジャム処理操作を、その組み合わせよりも前に規定されている操作手順より先に実施した場合に、完了している操作手順に関して表示しないものとする。オペレーションパネルに表示した操作手順より後に処理を実施すべきものが先に処理された場合の一例について、表3を用いて説明する。ジャム発生時の状況としては、転写ガイド板58と両面ガイド板59を開放した箇所に記録媒体が残存し、画像形成装置本体1内の残存記録媒体は2枚であるとする。
【表3】

【0048】
この場合、本来の操作手順どおりであれば、転写ガイド板58を開放した箇所のジャム処理(ID「k+1」〜ID「k+6」)を実施し、続いて両面ガイド板59を開放した箇所のジャム処理(ID「k+7」〜ID「k+12」)が実施される。尚、参照テーブルにおいて「‐(ハイフン)」の箇所は比較チェックをしている際にはマスクしてその値は比較対象としておらず、本例のジャム発生時においての初期状態はSa6,Sa5,J1,J2は「1」の状態である。
【0049】
オペレーションパネル上は二次転写開(ID「k+2」)が表示されているが、ユーザが操作手順を無視して両面ガイド板59開(ID「k+8」)を実施し当該箇所のジャム処理を実施した場合について説明する。この場合、ユーザが両面ガイド板59開としても、オペレーションパネル上は依然参照している箇所のデータに変移がないため、二次転写開(ID「k+2」)を表示し続ける。ユーザが、両面ガイド板59を開放し、ジャム処理を終え両面ガイド板59を閉じる(ID「k+10」)操作手順を実施すると、Sa5,J2は1から0へ変化する。両面ガイド板59部のジャム処理を実施後、オペレーションパネルに表示されている転写ガイド板58を開放し、転写ガイド板58を開放した箇所のジャム処理を実施(2枚目の記録媒体除去)した後は、その後の操作手順であるID「k+7」〜ID「k+12」の操作手順の報知はスキップされることになる。このようにして、画像形成装置本体1内に残存する記録媒体はなくなり、ジャム処理を完了できる状態となる。
【0050】
前記実施例1は、残存媒体検知、残存位置情報の情報を一塊の情報データとし、検知状態の組み合わせを予め記憶した参照テーブルと対応させて状態を一意に特定し、それに紐付けられた操作手順の報知を行う構成である。これに対し、第2実施例及び第3実施例は、想定された通りにユーザが操作手順を実施しない場合(例えばジャム発生時にオペレーションパネルに表示されている箇所ではないジャム紙に気がつき、そのジャム紙を先に処理する場合)でも、第1実施例と同様の作用効果を奏することができる。特に、第2実施例及び第3実施例では、従来のように、処理済の操作手順であっても当該箇所の本来処理されるべき順になるとオペレーションパネル上に操作手順が報知され、ユーザにジャム除去された箇所についても再度処理操作を促すことになりユーザに不必要な処理操作(開閉操作)を強いる、ということがなくなる。また、画像形成装置本体1内にジャム紙が存在しないにもかかわらず、ユーザにカバー開閉操作を実施させることがなく、不必要な操作を行う必要がなくなる。
【0051】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。また、報知制御手段33は、ID1から対応させるのではなく、例えばIDxと一致した場合、以降の参照テーブルとの比較はIDxから行うような制御構成とし処理時間の効率化を図ってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置本体
21 記録媒体通過部
30 残存媒体検知手段
31 開閉検知手段
32 記憶手段
33 報知制御手段
34 報知手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開平10−107940号公報
【特許文献2】特開2000−79745号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体内の記録媒体通過部に残存する記録媒体の有無を検知する残存媒体検知手段と、
残存する記録媒体を画像形成装置本体から取り出すために必要となる開閉部材の開閉状態を検知する開閉検知手段とを備えた処理手順報知装置において、
前記残存媒体検知手段の出力及び開閉検知手段の出力の組み合わせと、夫々の組み合わせの際に次に必要となる操作手順とを対応づけて規定する参照テーブルを記憶する記憶手段と、
前記残存媒体検知手段及び開閉検知手段の出力の組み合わせを、前記記憶手段の参照テーブルに対応させて決定する報知制御手段と、
前記報知制御手段により、前記残存媒体検知手段及び開閉検知手段の出力の組み合わせを参照テーブルに対応させた結果、その組み合わせにおいて必要な操作手順を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする処理手順報知装置。
【請求項2】
前記開閉部材の開閉操作をすることなく、前記残存媒体検知手段の出力の変化によって当該箇所の記録媒体の除去完了と判断された際に、開閉部材の開閉操作をすることなく当該箇所の操作完了とすることを特徴とする請求項1に記載の処理手順報知装置。
【請求項3】
前記参照テーブルは、ジャム発生時に画像形成装置本体内に複数の記録媒体が残存した場合で、ジャム処理操作を、その組み合わせよりも前に規定されている操作手順より先に実施した場合に、完了している操作手順に関して表示しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の処理手順報知装置。
【請求項4】
前記報知手段は、ディスプレイ上に図示するものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の処理手順報知装置。
【請求項5】
前記報知手段は、音声であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の処理手順報知装置。
【請求項6】
前記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の処理手順報知装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−111919(P2013−111919A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261987(P2011−261987)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】