説明

処理水を利用した熱交換器の冷却方法

【課題】経済的に採算のとれる水源を安定的に確保し、かつ資源の有効利用を図ることができ、さらに消費電力を著しく抑制することができ、熱交換器の寿命も散水しない場合と同等にすることができる、熱交換器の冷却方法を提供する。
【解決手段】室内機と室外機を組み合わせた冷房装置の運転時において、前記室外機が有する熱交換器に対して散水して熱交換器を冷却する方法であって、前記散水に使用する水が、全蒸発残留物もしくはTDS(全溶解固形物)が100〜1500ppmの原水を処理する工程と、前工程で得られた処理水を精製する工程により精製された水であり、前記原水を処理する工程が、殺菌剤の添加、限外濾過膜処理、精密濾過膜処理、MBR膜処理の何れかから選ばれる膜処理、及び活性炭処理を含む工程であり、前記処理水を精製する工程が、2段階の逆浸透膜処理と紫外線処理を含む工程である、熱交換器を冷却する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場排水等の活性汚泥処理等の処理水を原水として利用し、逆浸透膜処理等による精製を行い空調室外機の散水に適した水質の精製水を供給して、必要量の処理原水を安価に確保すると共に水資源の有効利用を図ることができ、さらに冷房効率を上げて消費電力を著しく減少させることができる熱交換器の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷房装置は、室内機と、室内の熱を外に放熱するための室外機の組み合わせからなっており、室外機には、放熱のための熱交換器が備えられている。
【0003】
通常、都会のオフィスビル等の大型ビルでは、屋上に室外機が設置されていることが多く、大型のビルでは、屋上の限られたスペース内に多数の室外機(熱交換器)が集中した状態で配置されていることが多い。屋上は、夏季には強い日差しに曝されることから、室外機(熱交換器)自体の温度が上昇して、放熱特性が低下する。特に多数の室外機(熱交換器)が狭いスペースに集中配置されているような場合には、各室外機から発せられる熱が狭い空間にこもり室外機設置場所雰囲気の更なる温度上昇を招くため、放熱特性が大きく低下する。また、他の設置物等が近接配置されており、空気の流通が悪くなっているような場合には、室外機全体から発せられる熱により、設置雰囲気の温度がより上昇して、放熱特性が大きく低下するという問題もある。このようにして放熱特性が低下すると、室内での冷房が不十分となり、更に冷房能力を上げて消費電力を増加させるという悪循環を招く。
【0004】
また大規模工場では、建物の北側に室外機を設置していたとしても、冷房空間が余りに大きいため、やはり夏季には冷房効率が落ちてしまうことがあり、食品加工や食品材料加工の工場のように、一定温度に維持する必要がある場合には、冷房設定温度を低くして冷房運転しなければならないこともある。
【0005】
特許文献1の発明には、室外機(熱交換器)に水を噴霧することで、冷房効率を高めるための制御装置が開示されており、特許文献2の発明には、同様に室外機(熱交換器)への水の噴霧を制御できる冷房装置が開示され、特許文献3の発明には、同様に室外機(熱交換器)に軟水を噴霧する冷房システムが開示されている。その他、特許文献4〜7の発明においても、水を噴霧することによる熱交換器を冷却する技術が開示されている。
【0006】
従来技術では、散水用の原水として水道水や地下水を使用しているが、都市部においては水道水の使用料金が高く、水噴霧による消費電力削減よりも散水設備費と使用水道料金のコスト負担によって経済的に採算の取れないケースも起こりうる。地下水使用の場合も井戸水供給設備の設備コスト等がある。このため、安価な水源の確保が望まれ、採算性と節水の観点からも、水道水や地下水に頼らない、原水の安定的な確保が重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−65409号公報
【特許文献2】特開2001−317821号公報
【特許文献3】特開2004−317064号公報
【特許文献4】特開平5−223364号公報
【特許文献5】特開平10−213361号公報
【特許文献6】特開平11−142022号公報
【特許文献7】特許第3739530号公報
【特許文献8】特開平8−173962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の発明では、使用する水源についての記載は全くないが、常識的には水道水であると考えられる。例えば、夏季中、水道水を熱交換器に噴霧し続ければ、熱交換器の表面には、水道水に含まれるCaイオンやMgイオン、シリカ成分等に由来する多量のスケールが付着してしまう。そうすると、熱交換器の放熱特性が低下し正常に機能しなくなることから、それを防止するために、引用文献1の発明では、水の噴霧に際して厳密な制御が必要となっているのであり、そのための装置も複雑なものとなっている。このため、装置自体の価格も高くなるほか、装置を運転するための消費電力も大きくなってしまう。また、熱交換器にスケールが付着したり、水道水中の塩素イオンにより熱交換器が腐食されたりするという問題も残っている。
【0009】
特許文献2の発明では、段落〔0027〕、〔0039〕に水道代についての記載があることから考えて、熱交換器に水道水を噴霧することは明らかである。そうすると、既に述べたとおり、スケールが付着する問題のほか、水道水中の塩素イオンにより熱交換器が腐食するという問題もある。
【0010】
特許文献3の発明では、熱交換器に対して、軟水生成器により得られた軟水を噴霧することが記載されているから、CaイオンやMgイオンに由来するスケールの問題はある程度解決できるがシリカ成分によるスケール付着問題は解消されず、更に、前記軟水生成器はイオン交換樹脂を用いたものであるため、生成した軟水中のCaイオンやMgイオン量は減少されるものの、イオン交換により生じたCaイオンとMgイオンの合計モル等量のNaイオンが混入し、塩素イオンと結合して生成した塩(NaCl)の作用により、より高い腐食が進行するおそれがある。
【0011】
以上のとおり、特許文献1〜3の発明では、熱交換器に対するスケールの付着や熱交換器の腐食の問題が解決できておらず、消費電力の削減効果にも悪影響を及ぼす。また、スケールの除去や錆落としの維持管理も煩雑となり、熱交換器の寿命を短くすることから、全体のコスト削減にも十分な寄与ができていない。
【0012】
上記の特許文献1〜7の発明は、いずれも温度や電力等の各種センサーにより所定要素を検出し、間歇的に水(水道水)を噴霧し、熱交換器を個別に冷却するものである。しかしながら、このような冷却方法では、特許文献2の段落番号38に記載され、図5に示されているとおり、水量を増加して行った場合、ある特定量に到達すると、そこで冷却効果がそれ以上向上されず、横這い状態になることが知られている。
【0013】
特許文献8の発明では、排水を高次処理して逆浸透膜を用いて再利用しているが、利用目的が公共施設の親水利用のため、本願発明の空調室外機の散水用に適した水を得る方法が開示されているわけではなく、スケール分の除去も不十分である。
【0014】
さらに従来技術では、水源として水道水や地下水を利用しているため、状況によっては安定的な水源の確保が難しくなることがあるほか、節水や資源の有効利用の観点からも改善の余地がある。また、都市部においては水道水の使用料金が高く、水噴霧による消費電力削減メリットよりも散水装置の設備コストと使用する水道料金を加えた全散水コストの方が高くなり、経済的に採算性のとれないケースも起こりうる。地下水もスケール問題に加えて室外機への散水のために新たに井戸水供給設備を建設した場合は、その設備費が電力削減メリットを大きく上回ることになる。
【0015】
本願発明は、経済的に採算のとれる水源を安定的に確保し、かつ資源の有効利用を図ることができ、さらに消費電力を著しく抑制することができ、熱交換器の寿命も散水しない場合と同等にすることができる、熱交換器の冷却方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、課題の解決手段として、
室内機と室外機を組み合わせた冷房装置の運転時において、前記室外機が有する熱交換器に対して散水して熱交換器を冷却する方法であって、
前記散水に使用する水が、全蒸発残留物、もしくはTDS(全溶解固形物)が100〜1500ppmの原水を処理する工程と、前工程で得られた処理水を精製する工程により精製された水であり、
前記原水を処理する工程が、殺菌剤の添加、限外濾過膜処理及び活性炭処理を含む工程であり、
前記処理水を精製する工程が、2段階の逆浸透膜処理と紫外線処理を含む工程である、熱交換器を冷却する方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の熱交換器の冷却方法を適用することにより、原水を工場排水等から安定かつ安価に確保することができるほか、節水による水資源の保護ができ、排水を再利用することで、水資源の有効利用ができるようになる。
【0018】
比較的規模の大きな工場の場合は、工場の生産プロセスで生じた排水処理のために活性汚泥処理法による排水処理設備を既設で備えている場合が多い。このため、活性汚泥処理された曝気槽、沈殿槽、処理水放流槽等の水を原水として利用することにより、上記したように節水と水資源の有効利用ができるようになる。
【0019】
また、食品加工や食品材料加工の工場のような場合、生産工程で生じた排水は、工場内の活性汚泥処理装置で浄化して下水放流することが一般的である。その場合には下水放流費用が加算されるが、その一部を空調室外機への散水に使用することで下水放流費用が削減されることから、工場全体の電力デマンドの大幅削減と消費電力削減のメリットにより、都市部水道水・井水使用に比較してその経済効果は多大である。電力デマンドと消費電力削減のメリットは、電力料金の削減のほか、二酸化炭素の発生量も大幅に削減できるという効果も得られる。
【0020】
さらに熱交換機にスケールが付着することがなく、熱交換機を腐食させることもないため、散水しない場合と同程度の装置寿命が得られる。
【0021】
さらに熱交換機の冷却と同時に、熱交換機を備えた室外機の周辺も散水による冷却で、室外機設置場所全体の温度を低下させることができる。このため、ビル屋上等に多数台の室外機が集中配置されている場合は、設置場所雰囲気の温度低下効果も大きく、都会におけるヒートアイランド現象の緩和にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の熱交換器の冷却方法を実施するためのフロー図と、実施するための装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1に示す実施フローにより説明する。なお、図1中、破線で囲まれた範囲が実施装置を示す。また、図1中のP1〜P8はポンプを意味する。
【0024】
<原水の処理工程>
原水は、全蒸発残留物、もしくはTDSが100〜1500ppmの範囲のものであり、例えば工場排水を活性汚泥法により処理した処理水(曝気槽、沈殿槽、処理水放流槽等から採水される処理水)を用いることができる。
TDSの測定は、
【0025】
原水は、原水ライン11により、水中ポンプ2を備えた原水タンク1に送られる。なお、この原水タンク1は省略して、直接に上記した処理水放流槽等から原水を供給することもできる。
【0026】
原水タンク1内の原水は、ライン12により砂濾過器3に送られ、濾過される。砂濾過器3では、主として50μm以上の大きさの異物(ゴミ等)が除去される。砂濾過器3の設置は任意であり、原水の汚濁状態の程度に応じて省略することもできる。
【0027】
砂濾過器3にて濾過された水は、ライン13によりプレフィルター4に送られ、主として10μm以上の異物(ゴミ等)が除去される。プレフィルター4の設置は任意であり、原水の汚濁状態の程度に応じて省略することもできる。
【0028】
プレフィルター4で濾過された水は、ライン14aによりUF膜モジュール5又はMF膜モジュール5に送られる。
ライン14aの途中にはライン14bが接続されており、殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウム水溶液)タンク6から、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入される。このとき、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.1〜1ppm程度になるように調整する。
【0029】
UF膜モジュール5又はMF膜モジュール5で用いるUF膜、MF膜は公知のものを用いることができ、UF膜の場合、分画分子量が20,000〜2,000,000の範囲のもの、MF膜の場合、孔径が0.05〜0.5μmの範囲のものを用いることができる。
なお、UF膜モジュール又はMF膜モジュールに代えて、公知のメンブレンバイオリアクター(MBR)(例えば、特開2009−183246号公報、特開2009−34049号公報参照)を用いることもできる。
【0030】
UF膜モジュール5又はMF膜モジュール5における処理水量は、必要な散水量に応じて適宜設定できるが、例えば1〜20m3/hrの範囲にすることができる。
またUF膜モジュール5又はMF膜モジュール5における処理は、ファウリングインデックス(FI)が3以下になるようにすることが好ましい。
【0031】
UF膜モジュール5又はMF膜モジュール5で処理した水は、ライン15により中間タンク7に送られて貯水される。
中間タンク7は省略することもできるが、UF膜を使用した場合は、中間タンク7に貯水された処理水を用い、ライン(逆圧洗浄ライン)22により、UF膜モジュール5を逆圧洗浄することができるので、設置することが好ましい。
中間タンク7の水は、ライン16により活性炭フィルター8に送り、活性炭処理することで、主として殺菌剤の塩素が除去される。
【0032】
<原水を処理した水を精製する工程>
活性炭フィルター8で処理された水は、ライン17により1段目のRO膜モジュール9に送られて濾過される。
1段目のRO膜モジュール9における処理水量は、必要な散水量に応じて適宜設定できるが、例えば1〜10m3/hrの範囲にすることができる。
1段目のRO膜モジュール9の処理で、残存する各種イオン(Caイオン、Mgイオン、Naイオン、Clイオン、イオン状シリカ等)の大部分が除去される。
【0033】
1段目のRO膜モジュール9で濾過処理された水は、ライン18により2段目のRO膜モジュール10に送られて濾過される。
1段目のRO膜モジュール9で生じた濃縮水は、ライン19により原水タンク1に返送される。
【0034】
2段目のRO膜モジュール10における処理水量は、必要な散水量に応じて適宜設定できるが、例えば1〜10m3/hrの範囲にすることができる。
2段目のRO膜モジュール10の処理で、1段目のRO膜処理水中に依然として残存する各種イオン(Caイオン、Mgイオン、Naイオン、Clイオン、イオン状シリカ等)の60%以上が除去される。RO膜モジュール10にて生じた濃縮水は、ライン20により中間タンク7に返送される。
【0035】
RO膜モジュール9、10は、公知のものを用いることができ、例えば、ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社より販売されている、SV08−DRA981、−DRA991シリーズ、SV04−DRA981、−DRA991シリーズ等を用いることができる。
【0036】
2段目のRO膜モジュール10で処理した水は、電気伝導度が20μS/cm未満であることが好ましく、より好ましくは10μS/cm以下、さらに好ましくは4〜10μS/cmであり、Caイオン、Mgイオン、Naイオン、Clイオン、イオン状シリカ等が実質的に除かれたものである。
2段目のRO膜モジュール10で処理した水は、ライン21により貯水タンク11に送られて貯水される。貯水タンク11内にはUV殺菌灯12が設置されており、貯水タンク11内の水はUV殺菌される。
【0037】
<熱交換器への散水方法>
貯水タンク11にて貯水された水(UV殺菌された水)は、散水ライン30により室外機の熱交換器に散水する。
このとき、少なくとも熱交換器のフィンに対して散水するが、室外機全体に対して散水することもできる。また、室外機(熱交換器)と共に、室外機が設置された床面を含む周辺に散水することで、熱交換器が設置された場所全体を冷却することができるので、熱交換器自体の冷却効果も高めることができる。
また屋上に設置された室外機(熱交換器)に散水するときは、ライン31から屋上に設置した屋上タンクに貯水した後、前記屋上タンクから散水する方法を適用することもできる。
【0038】
散水状態は、シャワー状や霧状に散水することができる。本発明の方法は、無機イオンを実質的に含有しない精製水を散水する方法である。このため、冷却効果をより高くする観点から、シャワー状にして散水発停時間(散水する時間と散水を停止する時間)を調節して蒸発量を増やしたり、さらには、より蒸発しやすい霧状にして連続噴霧したりすることが望ましい。
【0039】
本発明の熱交換器の冷却方法は、都会のビルのように、建物の屋上に集中設置された多数の室外機を冷却する場合(特に10台以上の室外機が2列又は3列以上で集中配置されている場合)、大規模工場等の大きな空間を冷房するような冷房装置の室外機を冷却する場合において特に適している。
【実施例】
【0040】
実施例1
図1に示すフローにて、熱交換器の冷却を実施した。
<原水の処理工程>
原水タンク1内の原水(TDS800〜900ppm)を砂濾過器3に送り、50μm以上の大きさの異物(ゴミ等)を除去した。
次に、砂濾過器3にて濾過した水をプレフィルター4に送り、10μm上の異物(ゴミ等)を除去した。
【0041】
プレフィルター4で濾過された水に次亜塩素酸ナトリウムを濃度0.2〜0.5ppmになるように添加したのち、UF膜モジュール5(FN20−FUS1582:ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)に送った。
UF膜モジュール5では、処理水量5m3/hrで処理した
【0042】
UF膜モジュール5で処理した水は、中間タンク7に送って貯水した後、活性炭フィルター8に送り、活性炭処理して塩素を除去した。
【0043】
<原水を処理した水を精製する工程>
活性炭フィルター8で処理された水は、1段目のRO膜モジュール9(SV08GP−DRA991E)に送って膜処理した。このときの処理水量は2.5m3/hrであり、残存する各種イオンの96%を除去した(TDS:60〜70ppm)。処理水回収率は約66%であった。
【0044】
1段目のRO膜モジュール9で濾過処理された水は、2段目のRO膜モジュール10(SV08GP−DRA991E)に送ってさらに濾過した。このときの処理水量は2.0m3/hrであった。2段目のRO膜モジュール10の処理で、残存する各種イオンの90%を除去した(TDS:3〜6ppm、電気伝導度:4〜9μS/cm)。処理水回収率は約85%であった。
【0045】
2段目のRO膜モジュール10で処理した水は、貯水タンク11に送って貯水した。貯水タンク11内の水はUV殺菌した。
【0046】
<散水方法>
図1に示すフローの散水ライン30から散水した。散水の詳細は以下のとおりであった。
期間:2010年4月〜9月の約6ヶ月間
散水対象:食品工場に設置された空調機の室外機80台(1列40台で2列配置)
散水方法:1列40台の室外機に20秒間散水した後、他の1列の室外機40台に20秒間散水することを繰り返した。
散水時間:毎日午前6時から午後10時の16時間(但し、雨天の場合には散水せず)
室外機1台当たりの散水量:1.2L/分(散水ノズル2個/台)
【0047】
<結果>
本発明の実施例(2010年4月〜9月の約6ヶ月間)の電力使用量(図1に示すフローの運転による電力使用量を含む)と、前年の同時期(2009年4月〜9月の同期間)の電力使用量(本発明の実施をせず)を比較した。
2010年4月〜9月の電力使用量:2,764,000kWh
2009年4月〜9月の電力使用量:2,966,000kWh
電力削減量:−202,000 kWh
削減率:−6.8%
削減された電気使用料:2,420,000円
【0048】
なお、6ヶ月間の散水終了後、80台の室外機の全部についてフィンの状態を目視観察したが、スケールに由来する付着物は全く認められなかった。このように室外機のフィンのスケールを除去するというメンテナンスが全く不要になることから、それに伴う費用の削減効果も非常に大きくなる。
さらに電力使用料やメンテナンス費用の大幅な削減は、二酸化炭素排出量の大幅な削減にもなる。
【符号の説明】
【0049】
1 原水タンク
3 砂濾過器
4 プレフィルター
5 UF膜モジュール
6 殺菌剤タンク
7 中間タンク
8 活性炭フィルター
9 1段目のRO膜モジュール
10 2段目のRO膜モジュール
11 貯水タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と室外機を組み合わせた冷房装置の運転時において、前記室外機が有する熱交換器に対して散水して熱交換器を冷却する方法であって、
前記散水に使用する水が、全蒸発残留物もしくはTDS(全溶解固形物)が100〜1500ppmの原水を処理する工程と、前工程で得られた処理水を精製する工程により精製された水であり、
前記原水を処理する工程が、殺菌剤の添加、限外濾過膜処理、精密濾過膜処理、MBR膜処理の何れかから選ばれる膜処理、及び活性炭処理を含む工程であり、
前記処理水を精製する工程が、2段階の逆浸透膜処理と紫外線処理を含む工程である、熱交換器を冷却する方法。
【請求項2】
前記原水を処理する工程において、限外濾過膜処理、精密濾過膜処理、MBR膜処理の何れかから選ばれる膜処理、及び活性炭処理した後の処理水に対して、2段階の逆浸透膜処理をした後の精製水の電気伝導度が20μS/cm未満である、請求項1記載の熱交換器を冷却する方法。
【請求項3】
室外機が有する熱交換器と、室外機が設置された床面を含む周辺に散水する、請求項1又は2記載の熱交換器の冷却方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−112565(P2012−112565A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260997(P2010−260997)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(508365768)株式会社ウオーターテクノカサイ (7)
【出願人】(509112844)日本クッカリー株式会社 (3)
【出願人】(594152620)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】