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処理済み脂肪吸引細胞で患者を治療するためのシステムと方法
説明

処理済み脂肪吸引細胞で患者を治療するためのシステムと方法

【課題】処理済み脂肪吸引組織内に存在する細胞を用いて患者を治療する。
【解決手段】患者の治療方法は、脂肪組織を処理して該脂肪組織から得られる濃縮量の幹細胞を患者に送達する工程を含む。本方法は閉鎖系内で実施できるので、幹細胞は患者に投与される前に外部環境にさらされない。患者に投与される組成物は脂肪組織と幹細胞の混合物を含むので、該組成物は脂肪組織を患者から除去したときよりも高濃度の幹細胞を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスレファレンス)
この出願は、2001年12月7日に提出した表題“処理済み脂肪吸引細胞と脂肪由来幹細胞のベッドサイド装置、システム及び使用”の米国仮出願第60/338,856号(参照によってそのすべての内容が本明細書に取り込まれる)の利益を主張する。
(発明の背景)
1.発明の分野
この発明は、一般的に脂肪組識由来の細胞に関し、さらに詳細には、脂肪由来幹細胞、脂肪由来幹細胞の使用方法、脂肪由来幹細胞を含有する組成物、並びに脂肪由来幹細胞を調製及び使用するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
再生医療は、正常な治癒機構の一部ではない仕方で、或いは正常な機構を人工的に増強することで体の再生機構を使用する、臨床的に目標とした様式で体の再生機構を利用することとして定義することができる。このプロセスの1つの規範となる例は、骨髄移植に見られ、造血幹細胞と前駆細胞をドナーから収集し、正常な造血再生機構が除去され、或いは実質的に欠失又は損なっているレシピエント中に置くことによって、レシピエントの造血能力を元に戻し又は再生する(Thomas 1994)。最近の臨床又は前臨床研究では、このアプローチは骨(Connolly 1998:Horwitz, Prockopら 1999;Horwitz, Prockopら 2001)、心臓(Fukuda 2001;Orlic, Kajsturaら 2001;Orlic, Kajsturaら 2001;Struer, Brehmら 2002)、及び肝臓(Avital, Inderbitzinら 2001)を含む組織を再生する(又は再生を試みる)研究によって、骨髄の非造血幹細胞成分に拡張されてきた。これら研究は、骨髄内における非造血幹細胞及び内皮前駆細胞の存在の検出に基づいている(Prockop, Aziziら 2000)(Pittenger, Mackayら 1999)(Shi, Rafiiら 1998;Carmeliet及びLuttun 2001)。
【0003】
これら研究は骨髄移植レシピエント動物を用い、ドナー細胞と宿主細胞を遺伝子マーカーで区別してレシピエント内における新しい血管の発生のいくらかのフラクションがドナーの骨髄細胞から誘導されることを示すことができた(Carmeliet及びLuttun 2001)(Takahashi, Kalkaら 1999;Murayama, Tepperら 2002)。この研究は明確に骨髄がこのような細胞を含むことを実証しており、それゆえに骨髄は、研究者が循環内で内皮前駆細胞(EPCs)又は骨髄幹細胞(MSCs)を検出したとき、これら細胞は必然的に骨髄由来であると自動的に仮定される程度まで適切な数の該細胞を含む唯一の組織であることを意味すると一般的に拡張されている。従って、他組織由来の細胞集団が治療的に適切な細胞集団の代替え或いはもしかしたら優位な起源に相当するかもしれないという概念は提言されない。
【0004】
脂肪組織が集団多能性幹細胞を含むことは実証されている(Huang, Beanesら 2002;Mizuno, Zukら 2002)(Zuk, Zhuら 2001)。Zukら(Zukら, (プレスで)ヒト脂肪組織は多能性幹細胞の起源である, Molecular Biology of the Cell)及び他の研究者は、以前、この組織が内皮細胞の起源であることを示したが(Kern, Knedlerら 1983;Hutley, Heringtonら 2001)[米国特許第5,372,945号 Alchasら, 1994]、これら後者の文書は、内皮前駆細胞を試験せず、かついかなる方法でも内皮前駆細胞について論じていない。
【0005】
幹細胞は、体の主細胞である。胚由来の幹細胞、つまりは胚幹細胞(ESCs)は、体の細胞及び組織型のすべてでないにしても多くになることが分かっている。これら早期胎児細胞は、個体の遺伝情報のすべてを含むばかりでなく、体のいずれの200+細胞及び組織にもなる発生期能力をも含む。継続中の研究は、これら細胞が莫大な科学的及び臨床的可能性を有することを示唆している。
【0006】
しかし、ESCsはその使用に理論的限界がある。臨床的に使用する場合、それらは必然的に別の個体である胚から誘導されるだろう。別の胚由来の幹細胞又は組織を別の人に移植する場合、拒絶反応を防ぐため細胞レシピエントは有毒な免疫抑制薬物を必要とするだろう。さらに、別の個体の細胞は、ウイルス又は他のまれであるが重大な病気を保有しているかもしれず、レシピエントに伝達されうる。また、ESC様細胞(例えば、奇形腫)は腫瘍を形成することが分かっている。
【0007】
最近、非胚又は成人幹細胞が同定され、ESCsの臨床的使用に対する重要な可能性のある代替えという意味をもっている。これら細胞は、全組織ではないが多くの組織内に静かに備わっており、おそらく外傷又は他の破壊的な病気プロセスに応答するため、その損傷した組織を治癒できるように待っている。明らかになっている科学的証拠は、各個体が、すべてではないが多くの細胞及び組織になる能力をESCsと共有しうる幹細胞のプールを保有していることを示している。
【0008】
成人幹細胞集団は皮膚、筋肉、骨髄、肝臓、脳、及び脂肪組織の1つ以上の中に存在することが分かっている。組織工学で現在までに提案された該細胞の用途は、細胞精製と細胞培養のプロセスによって細胞の数、純度、及び成熟度を高めることを含む。これら工程は、ほとんどの組織内での幹細胞の希薄性を補う必要がある。例えば、骨髄中の間充織幹細胞頻度は、有核細胞100,000個中1個〜有核細胞100万個中1個と推定されている。同様に、皮膚由来の幹細胞の抽出は数週間に及ぶ複雑な一連の細胞培養工程を含む。心臓病の臨床試験における骨格筋由来幹細胞の使用は、2〜3週間の培養段階を利用し、細胞数を臨床に適した数に増やし、かつ筋肉中への細胞分化を促す。
【0009】
これら膨張及び分化工程は、細胞の数、純度、及び成熟度を高めうるが、コスト的にはそうでない。このコストは、以下の1つ以上を含みうる:細胞エイジングによる細胞機能の損失、潜在的に有用な非幹細胞集団の損失、患者に対して可能性のある細胞の適用の遅延、金銭的コストの増加、及び培養中の環境的な微生物による細胞汚染の危険の増加。現在、操作するのではなく、むしろ本質的に全骨髄として使用している骨髄由来細胞についてヒトデータが利用可能になっているが(Horwitz, Prockopら 1999;Horwitz, Prockopら 2001)(Strauer, Brehmら 2002)、導かれる臨床的な利益は、ほとんど確実に骨髄から入手可能な限定された細胞用量及び純度に関連した最適以下の結果である。
【0010】
脂肪組織から細胞を収集するために多くの装置が開発されているが、これら装置は、脂肪組織の除去用吸引装置を最適に適応させる能力の無さ、脂肪組織の収集段階から組織の処理段階の部分的又は全体的自動化の欠如、100mlより多量の脂肪組織の体積引受能力の欠如、脂肪組織の収集段階から組織の処理段階を通じた部分的又は完全な閉鎖系の欠如、及びある試料から別の試料への物質の随伴性交差汚染の危険を減じるための部品の使い捨て性の欠如の1つ以上で悩まされるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
高い収率、一貫性及び/又は純度の活性細胞集団を迅速かつ確実に調製でき、ひいては細胞の抽出後操作の必要性を減らし、或いは排除できる代替アプローチが要望されている。理想的には、この細胞集団は、レシピエント内に直接配置するのに適した様式で得られる。
【0012】
(発明の概要)
本発明は、治療的、構造的、又は美容的な利益を高め、生じさせ、又は維持するのに必要な添加剤と共にレシピエント内に直接置かれる脂肪組織から誘導される細胞を使用するための組成物、方法、及びシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態では、脂肪組織処理は、閉じた無菌流体/組織経路を維持する系内に存在する。これは、組み立て前の、閉じた無菌容器と閉じた経路内での組織及び流体エレメントの移動を可能にする配管との連結セットを用いて達成される。この処理セットを試薬の添加、温度、及び処理のタイミングを制御しうる装置内に挿入した一連の処理試薬(例えば、食塩水、酵素など)に連結して、プロセスを手動で管理するために必要なオペレーターを解放することができる。好ましい実施形態では、組織抽出から処理及びレシピエント内への配置を通じた全手順が同一の設備内ですべて行われ、実際に、該手順を受ける患者の同一室内でさえ行われる。
【0014】
本発明の一局面により、生の脂肪組織を処理し、実質的に成熟脂肪細胞と結合組織を除去し、それによってレシピエントの体内に配置するのに適した不均一の多数の脂肪組織由来細胞を得る。細胞は、他の細胞、組織、組織断片、又は他の細胞成長及び/又は分化の刺激因子と組み合わせてレシピエント内に置くことができる。好ましい実施形態では、上記添加物のいずれかと共に、レシピエントに対して治療的、構造的、又は美容的な利益を引き出すという意図で単一の操作手順という状況で細胞を得た人内に細胞を置く。
【0015】
一実施形態では、患者の治療方法は、以下の工程:a)組織除去システムを供給する工程;b)この組織除去システムを用いて、ある濃度の幹細胞を有する脂肪組織を患者から除去する工程;c)この脂肪組織の少なくとも一部を処理し、処理前の脂肪組織の幹細胞の濃度以外の濃度の幹細胞を得る工程;及びd)この幹細胞を患者に投与する前に組織除去システムから除去せずに、該幹細胞を患者に投与する工程を含む。
【0016】
別の実施形態では、患者の治療方法は、以下の工程:a)脂肪組織除去システムを供給する工程;b)この脂肪組織除去システムを用いて、ある濃度の幹細胞を有する脂肪組織を患者から除去する工程;c)この脂肪組織を処理して、該脂肪組織内の幹細胞の濃度を高める工程;d)この濃縮幹細胞を有する脂肪組織を、他の単位分の脂肪組織と混合する工程;及びe)この幹細胞の濃度が高められた脂肪組織を患者に投与する工程を含む。
【0017】
本明細書で開示される本発明のシステムは、a)組織収集容器であって、i)患者から除去した脂肪組織を受ける構造の組織収集入口ポート;及びii)該容器内に配置され、患者から除去した脂肪組織を保持し、かつ患者から除去した非脂肪組織を通す構造のフィルターを含む容器;b)組織収集容器に連結され、脂肪組織から得た幹細胞を、組織除去システムから除去せずに受ける混合容器であって、この中に含まれる幹細胞と混合するための少なくとも1種の添加剤を投与するための添加ポートを含む混合容器;及びc)混合容器内の細胞を患者に投与するために組織収集システムから除去可能な構造の出口を含む。
【0018】
本発明の組成物は、ある濃度の幹細胞を有する患者から除去した第1部分の脂肪組織と、該第1部分の脂肪組織より高い濃度の幹細胞を有する患者から除去した第2部分の脂肪組織とを含む。
本明細書で述べるいずれの特徴又は特徴の組合せも、いずれの該組合せに含まれる特徴が、文脈、この明細書、及び本技術の当業者の知識から明かなように相互に矛盾しないことを条件として本発明の範囲内に包含される。本発明のさらなる利点及び局面は、以下の詳細な説明で明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】脂肪組織を処理するための組織除去システムを示す。
【図2】図1の組織除去システムの組織収集容器を示す。
【図3】図2の組織収集容器の部分横断面図を示す。
【図4】組織除去システムの操作を自動化するための処理装置を示す。
【図5】移植片重量対細胞用量を示すグラフである。
【図6】アルコール処置マウスについて処理済み脂肪吸引物の効果を示すグラフである。
【図7】処理済み脂肪吸引物を受けたアルコール処置マウスの肝臓組織の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(現在好ましい実施形態の詳細な説明)
以下、実施例が添付図面に示されている本発明の現在好ましい実施形態について詳細に言及する。可能な限り、同一又は同等の部分を言及するため図面と説明で同一又は同様の参照番号を使用する。図面は単純化した形態であり、正確な寸法でないことに留意すべきである。本明細書の開示に関しては、便宜と明瞭さだけの目的で、頂、底、左、右、上へ(up)、下へ(down)、上方(over)、上に(above)、下に(below)、下に(beneath)、後ろ(rear)及び前(front)のような方向を示す用語が添付図面について用いられる。このような方向を示す用語は、いかなる様式でも本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0021】
本明細書の開示は、特定の図解した実施形態に言及しているが、これら実施形態は例として示したものであり、限定としてでないことを理解すべきである。典型的な実施形態について論じているが、以下の詳細な説明の意図は、添付の請求項で定義されるとおりの本発明の精神及び範囲内にありうる実施形態のすべての変形、代替物、及び均等物を包含するものと解釈すべきである。本発明は、本技術で便利に使用されている種々の細胞又は組織分離法と共に実施することができ、かつ普通に実施される処理工程は、本発明の理解を与えるために必要なだけ本明細書に含まれる。
【0022】
本発明は、脂肪組織内に存在する細胞集団、及びヒト又は動物患者に該細胞集団を投与するためのシステムと方法に関する。脂肪組織の細胞集団は、治療及び美容用途のための細胞源として使用することができる。例えば、本細胞を再生細胞で治療しうる病気のような再生医療のために使用できる。該集団の細胞は、他の脂肪細胞又は結合組織なしで患者に投与することができ、或いは本明細書で論じるように、脂肪組織と一緒に濃縮量で混合して投与することができる。
【0023】
脂肪組織が特に幹細胞に富む起源であることが発見された。この発見は、少なくとも部分的に、脂肪組織の主要な非幹細胞成分、脂肪細胞の除去の容易さによるだろう。従って、ヒトと動物の両研究で、処理済み脂肪吸引物(processed lipoaspirate(PLA))は、少なくとも0.1%、さらに典型的には0.5%より高頻度で幹細胞を含有する。本発明の特定の実施形態では、約2〜12%の幹細胞を含有するPLAが得られた。なおさらなる実施形態では、PLAを処理して、該集団中の細胞の100%までを幹細胞が構成する細胞集団を得る。本明細書で開示される本発明によって得られる幹細胞の量は、骨髄内で100,000中の1(0.001%)という公表されている頻度より実質的に高い(Castro-Malaspina, Ebellら 1984)(Muschler, Nittoら 2001)。さらに、脂肪組織の収集は、同量の骨髄の収集より低い病的状態を伴う(Nishimori, Yamadaら 2002)。さらに、脂肪組織は、患者に治療法を提供できる内皮前駆細胞を含有している(例えば、Masuda, H., C. Kalka,及びT. Asahara,再生用内皮前駆細胞,Hum Cell, 2000. 13(4):p.153-60;Kaushal, S.ら,生体外膨張した内皮前駆細胞を用いて創造された機能性の小径新生血管, Nat Med, 2001. 7(9):p.1035-40;及びKawamoto,A.ら, 生体外膨張した内皮前駆細胞の心筋虚血の治療可能性,Circulaion, 2001. 103(5):p.634-7参照)。
【0024】
本明細書で使用する場合、“脂肪組織”は、脂肪細胞と微小血管細胞を含む複数の細胞型を含有する組織を意味する。脂肪組織は、幹細胞と内皮前駆細胞を含む。従って、脂肪組織は脂肪を貯蔵する結合組織を含む脂肪を意味する。
本明細書で使用する場合、“脂肪組織の単位”は、脂肪組織の分離した或いは測定できる量を意味する。1単位の脂肪組織は、該単位の重量及び/又は体積を決定することで測定することができる。上で同定したデータに基づき、患者から除去したような1単位の処理済み脂肪吸引物は、少なくとも0.1%の細胞成分が幹細胞である細胞成分を有する。本明細書の開示に関しては、1単位の脂肪組織は患者から除去した脂肪組織の全量、又は患者から除去した脂肪組織の全量より少ない量を指す。従って、1単位の脂肪組織は、別単位の脂肪組織と組み合わせて、個々の単位の合計である重量又は体積を有する脂肪組織の単位を形成することができる。
【0025】
本明細書で使用する場合、“部分”は、全体より少ないある物質の量を意味する。少部分は50%より少ない量を指し、主部分は、50%より多い量を指す。従って、患者から除去した脂肪組織の全量より少ない脂肪組織の単位は、除去した脂肪組織の部分である。
本明細書で使用する場合、“幹細胞”は、1つ以上の特有機能を果たし、かつ自己複製能力を有する種々の他の細胞型に分化する可能性を有する多能性細胞を意味する。本明細書で開示される幹細胞のいくらかは多分化能性でありうる。
本明細書で使用する場合、“処理済み脂肪吸引物(processed lipoaspirate)”(PLA)は、成熟脂肪細胞と結合組織から活性細胞成分(例えば、幹細胞を含有する成分)を分離するために処理した脂肪組織を意味する。典型的に、PLAは、脂肪組織由来の細胞を洗浄かつ分離して得られる細胞ペレットを指す。ペレットは、典型的に、遠心容器の底に細胞が凝集するように、細胞の懸濁液を遠心分離機にかけることによって得る。
【0026】
本明細書で開示する方法の実施では、患者に投与する細胞は脂肪組織から得る。脂肪組織は、本技術の当業者に公知のいずれの方法によっても得ることができる。例えば、脂肪組織は、吸引補助脂肪形成術、超音波補助脂肪形成術、及び切除脂肪形成術によって患者から除去することができる。さらに、手順は、切除脂肪形成術と吸引補助脂肪形成術の組合せのように、このような手順の組合せを含むことができる。組織又はその断片を患者に再移植することを意図している場合、細胞成分の生存力を保存し、かつ細菌及び/又はウイルスのような潜在的に感染性の生物による組織の汚染の可能性を最少にするやり方で、脂肪組織を収集すべきである。従って、殺菌又は無菌様式で組織抽出を行い、汚染を最少にすべきである。吸引補助脂肪形成術は、超音波補助脂肪形成術のような他の方法で付随しうる幹細胞損傷の可能性を最少にして組織を収集する最小限の侵襲的方法を提供するので、患者から脂肪組織を除去するのに望ましい。
【0027】
吸引補助脂肪形成術手順では、患者内に存在する脂肪組織蓄積所の中又は近くにカニューレを挿入後、吸引装置中に脂肪を吸引することによって脂肪組織を収集する。一実施形態では、小さいカニューレを注射器に連結して、脂肪組織を手の力で吸引することができる。注射器又は他の同様の装置を使用することは、相対的に中程度の量の脂肪組織(例えば、0.1ml〜数百mlの脂肪組織)を収集するのに望ましいだろう。これら比較的小さい装置を利用する手順は、全身麻酔とは対照的に、局所麻酔だけで手順を遂行できるという利点がある。この範囲より大量の(例えば、数百mlを超える)脂肪組織は、ドナーと収集手順を行う人の裁量で全身麻酔を必要としうる。より大量の脂肪組織の除去が望ましい場合、該手順では相対的に大きいカニューレと自動吸引装置を利用することができる。
【0028】
切除脂肪形成術手順としては、限定するものではないが、脂肪組織含有組織(例えば、皮膚)を該手順の付随的部分として除去する、すなわち、手術の主目的が組織(例えば、肥満又は美容手術における皮膚)の除去であり、かつ主要な関心の組織と共に脂肪組織を除去する手順が挙げられる。
患者から除去した脂肪組織は、さらなる処理のために装置内に集められる。本明細書で論じるように、また一実施形態では、装置は、幹細胞及び/又は内皮前駆細胞を含む、処理した脂肪組織細胞集団の製造用組織を収集する目的のために設計され、かつその目的専用である。他の実施形態では、装置は抽出措置を行う医者によって組織収集用に典型的に使用されるいずれの従来型装置でもよい。
【0029】
収集される組織の量は、限定するものではないが、ドナーの肥満度指数、アクセス可能な脂肪組織収集部位のアベイラビリティ、併用及び先在する投薬療法と条件(抗凝血療法のような)、及び組織を収集すべき臨床目的を含む多くの変量によって決まる。造血性幹細胞(レシピエントの血液細胞形成能力を再生するために用いられる骨髄又は臍帯由来幹細胞)の移植による経験は、移植が、閾値効果による細胞用量依存性であることを示している。従って、“多い方が良い”という一般原則は、他の変量によって定まる限度内で当てはまり、かつ可能な場合、収穫はできる限り多くの組織を収集するようだ。
【0030】
痩せた個体から抽出した脂肪組織100mlの幹細胞の割合は、肥満ドナーから抽出した場合より高いことを発見した(表1)。これは、肥満個体内の高い脂肪含量の希釈効果を反映している。従って、本発明の一局面によれば、過体重ドナーからは、より痩せた患者から引き出す量に比し、多量の組織を得ることが望ましい。この観察は、この発明の用途が大量の脂肪組織を有する個体に限定されないことをも示している。
【0031】
【表1】

【0032】
本明細書の開示に従って治療を受ける患者は、脂肪組織又は脂肪組織由来幹細胞を利用する他の治療とは異なる濃度の幹細胞を受ける。従って、患者から除去した脂肪組織を処理して、患者に投与する幹細胞の濃度を変える。本発明の好ましい実施形態では、患者は、脂肪組織移植及び他の同様の幹細胞を基礎とした療法で典型的に存在する幹細胞の濃度より高濃度の幹細胞を受ける。濃縮幹細胞は、実質的に成熟脂肪細胞と結合組織のない脂肪由来幹細胞及び/又は内皮前駆細胞を含む組成物で投与され、或いは、別の例として、濃縮幹細胞は、幹細胞の量が増えた脂肪組織の単位を含む組成物で投与される。本発明の組成物は、等単位の未処理脂肪組織内で見られる幹細胞の濃度より高い濃度の幹細胞を含む。特定の実施形態では、組成物は、細胞の少なくとも0.1%が幹細胞である細胞成分を有する。他の実施形態では、組成物は、細胞成分の約2%〜12%を幹細胞が構成する細胞成分を有する。100%までのようなより高濃度の幹細胞も、異なる組成物中に含まれる。組成物は、本明細書で論じるように、細胞分化因子、成長プロモーター、免疫抑制剤、又は医用デバイスのようなさらなる成分を含むことができる。組成物が主として1つの型の細胞(例えば、脂肪由来幹細胞又は脂肪由来内皮前記細胞)を含有する特定の組成物を得るため、幹細胞又は内皮前駆細胞のどちらかに存在する抗原を認識かつ結合する細胞特異性抗体の使用のような異なる細胞型を分離するためのいずれの適切な方法をも利用することができる。
【0033】
多くの用途で、活性細胞集団の調製は脂肪組織の成熟した脂肪沈着脂肪細胞成分の消耗が必要だろう。これは、典型的に、まず組織をすすいで遊離脂質(破裂した脂肪細胞から遊離した)と末梢血エレメント(組織収集中に切断された血管から遊離した)を減らし、次いで結合組織マトリックスから遊離の無傷の脂肪細胞と他細胞集団に脱凝集させる一連の洗浄及び脱凝集工程で達成される。特定の実施形態では、脂肪組織の幹細胞成分から全脂肪細胞成分、又は非幹細胞成分を分離する。他の実施形態では、幹細胞から脂肪細胞成分の一部分又は数部分だけを分離する。従って、特定の実施形態では、内皮前駆細胞と共に幹細胞を投与することができる。
【0034】
すすぎは任意的であるが好ましい工程であり、組織を溶液と混ぜ合わせて、遊離の脂質と、血液中の当該成分のような単一の細胞成分を洗い流して、後に無傷の脂肪組織断片を残す。一実施形態では、患者から除去した脂肪組織を等張食塩水又は他の生理溶液(例えば、Baxter IncのPlasmalyte(登録商標)又はAbbott LabsのNormoso(登録商標))と混合する。無傷の脂肪組織断片は、限定するものではないが、ろ過、デカンテーション、沈降、又は遠心分離を含む本技術の当業者に公知のいずれの手段によっても遊離の脂質及び細胞から分離することができる。本発明の図解した実施形態では、本明細書で論じるように、組織収集容器内に配置したフィルターを利用して脂肪組織を非脂肪組織から分離する。他の実施形態では、デカンテーション、沈降、及び/又は遠心分離法を利用して物質を分離する組織収集容器を用いて脂肪組織を非脂肪組織から分離する。
【0035】
そして、機械的力(切り刻む力又はせん断力)、コラゲナーゼ、トリプシン、リパーゼ、米国特許第5,952,215号に開示されているようなリベラーゼ(liberase) H1、及びペプシンのような単一又は組合せタンパク質分解酵素による酵素的消化、或いは機械的方法と酵素的方法の組合せを含む、いずれかの従来の技術又は方法を用いて無傷の組織断片を脱凝集させる。例えば、米国特許第5,372,945号で開示されているような脂肪組織内の微小血管内皮細胞を収集する方法と同様の、脂肪組織のコラゲナーゼ媒介解離を用いる方法によって、無傷の組織断片の細胞成分を脱凝集させることができる。本発明の実施で使用しうるコラゲナーゼを用いるさらなる方法は、米国特許第5,830,714号及び第5,952,215号、及びWilliams, S. K., S. McKenneyら(1995),“脂肪組織消化用のコラゲナーゼロット選択と精製”,Cell Transplant 4(3):281-9に開示されている。同様に、Twentyman, P. R.及びJ. M. Yuhas(1980),“マウス腫瘍及び多細胞腫瘍球状体の脱凝集のための細菌中性プロテアーゼの使用”,Cancer Lett 9(3):225-8に開示されているように、コラゲナーゼの代わりに中性プロテアーゼを使用することができる。さらに、方法は、Russell, S. W., W. F. Doeら(1976),“固体マウス新生物内の炎症細胞。I.腫瘍脱凝集と構成性炎症細胞の同定”,Int J Cancer 18(3):322-30に開示されているようなコラゲナーゼとトリプシンの組合せのような酵素の組合せ;又はEngelholm, S. A., M. Spang-Thomsenら(1985),“機械的方法と酵素的方法の組合せによるヒト固体腫瘍の脱凝集”,Br J Cancer 51(1):93-8に開示されているようなトリプシンのような酵素と機械的解離の組合せを利用することができる。
【0036】
そして、成熟脂肪細胞の存在を減らすことによって、脱凝集した組織断片から活性細胞集団(処理済み脂肪吸引物)を得ることができる。脂肪組織が脱凝集されている処理済み脂肪吸引物と液体の懸濁液を、細胞収集容器のような別の容器に通す。懸濁液を組織収集容器から取り除いてそれを細胞収集容器に進めるぜん動ポンプのようなポンプを用いて、1つ以上の導管を通じて懸濁液を細胞収集容器に流すことができる。他の実施形態は、閉鎖系を維持しながら重力又は真空の使用を採用することができる。懸濁液中の細胞の分離は、浮遊密度沈降、遠心分離、懸濁分離、差次的な固相成分への付着と固相成分からの溶離、抗体媒介選択、電荷の相異、免疫磁気ビーズ、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)、又は他の手段によって達成することができる。これら種々の方法及びその方法を実施する装置の例は、Hemstreet, G. P., 3rd, P. G. Enochら(1980),“ヒト腎臓細胞癌のさらなる等密度及び等速性勾配精製による組織脱凝集”,Cancer Res 40(4):1043-9;Schweitzer, C. M., vanら(1995),“ヒト骨髄内皮細胞の単離と培養”,Exp Hematol 23(1):41-8;Gryn, J., R. K. Shadduckら(2002),“Baxter Isolex 300iによるCD34(+)末梢血幹細胞の精製に影響する因子”,J Hematother Stem Cell Res 11(4):719-30;Prince, H.M., J. Bashfordら(2002),“高用量療法の多サイクルを支持するためのIsolex 300i CD34-選択細胞”,Cytotherapy 4(2):137-45;Watts, M. J., T. C. Somervailleら(2002),“CD34選択後の可変性産物純度と作用能力:CliniMACS(v2.1)とIsolex 300i(v2.5)臨床スケール装置の直接比較”,Br J Haematol 118(1):117-23;Mainwaring, G.及びA.F.Rowley(1985),“密度勾配遠心分離とカバーガラスへの差次的付着を用いたサメ(Scyliorhinus canicula)中の白血球の分離”,Cell Tissue Res 241(2):283-90;Greenberg, A. W.及びD. A. Hammer(2001),“差次的ローリング付着によって媒介される細胞分離”,Biotechnol Bioeng 73(2):111-24;及び米国特許第6,277,060;6,221,315;6,043,066;6,451,207;5,641,622;及び6,251,295号に開示されている。図解した実施形態では、スピニング膜フィルターを用いて懸濁液の無細胞成分から懸濁液中の細胞を分離する。他の実施形態では、遠心分離で無細胞成分から懸濁液中の細胞を分離する。このような典型的な実施形態の1つでは、細胞収集容器は遠心分離機内に置かれる(例えば、手動又はロボットによって)構造のフレキシブルバッグでよい。他の実施形態では、フレキシブルバッグは使用しない。本明細書で述べるように、遠心分離後、細胞成分はペレットを形成してから緩衝溶液で再懸濁させられるので、細胞は1本以上の導管を通じて混合容器に進むことができる。再懸濁流体はいずれの適切な手段によって与えてもよい。例えば、緩衝液を細胞収集容器上のポート内に注入するか、或いは細胞収集容器が緩衝液の貯蔵部を含み、該貯蔵部を破壊することによって細胞のペレットと混ぜ合わせることができる。スピニング膜フィルターを使用する場合、分離手順後、細胞は多量の液体中に残存するので、再懸濁は任意である。
【0037】
本発明の特定の実施形態は、脂肪組織を完全に脱凝集させて成熟脂肪細胞と結合組織から活性細胞を分離する方法に関するが、本発明のさらなる実施形態は、脂肪細胞を部分的にだけ脱凝集させる方法に関する。例えば、部分的な脱凝集は、1種以上の酵素で達成することができ、該酵素は、除去しなければ少なくとも一部の脂肪組織上に残って該組織を完全に脱凝集させたであろう量の時間と比較して早期に該少なくとも一部の脂肪組織から除去される。このような方法は、より短い処理時間しか必要としない。
【0038】
1つの特定実施形態では、組織を無菌緩衝等張食塩水で洗浄し、コラゲナーゼと共に、適切な脱凝集を与えるのに十分なコラゲナーゼ濃度、温度、及び時間インキュベートする。好ましい実施形態では、使用するコラゲナーゼ酵素は、関連権威者(例えば、米国食品医薬品局)によってヒト用に承認されている。好適なコラゲナーゼ製剤は、組換え及び非組換えコラゲナーゼを含む。非組換えコラゲナーゼは、F. Hoffmann-La Roche Ltd, Indianapolis, IN及び/又はAdvance Biofactures Corp., Lynbrook, NYから入手できる。組換えコラゲナーゼは米国特許第6,475,764号に開示されているように得ることもできる。
【0039】
一実施形態では、溶液は約10μg/ml〜約50μg/mlの濃度のコラゲナーゼを含み、約30℃〜約38℃で約20分〜約60分間インキュベートする。これらパラメーターは、コラゲナーゼ酵素の起源によって変わり、該システムが適切な時間枠内で所望の細胞集団を抽出するのに効率的であることを確証するため、経験的な研究によって最適化される。特に好ましい濃度、時間及び温度は、20μg/mlのコラゲナーゼ(Blendzyme 1, Roche)を45分間約37℃でインキュベートする。特に好ましい実施形態で用いるコラゲナーゼ酵素は、関連権威者(例えば、米国食品医薬品局)によってヒト用に承認されている物質である。使用するコラゲナーゼは、微生物及び内毒素のような汚染物質があってはならない。
【0040】
脱凝集後、活性細胞集団を洗浄/すすいで脱凝集プロセスの添加物及び/又は副生物(例えば、コラゲナーゼ及び新しく放出された遊離脂質)を除去しうる。そして、上述したように、遠心分離又は本技術の当業者に公知の他の方法で活性細胞集団を濃縮することができる。これらの後処理洗浄/濃縮工程は、別々に又は同時に施すことができる。
一実施形態では、例えば、米国特許第5,034,135号及び第5,234,608号に開示されているシステムのような連続流れスピニング膜システムなどを介して細胞集団を通過させて、細胞を濃縮し、コラゲナーゼを除去する。
上述の方法に加え、活性細胞集団をさらに精製するために適用できる多くの後洗浄法がある。これらの方法としては、ポジティブ選択(標的細胞を選択する)、ネガティブ選択(不要細胞の選択的除去)、又はその組合せが挙げられる。
【0041】
一実施形態では、細胞洗浄工程後、処理済み脂肪吸引物内における細胞の亜集団の差次的な付着及び/又は溶離を可能にするように選ばれた付着特性を有する固相物質をシステムに挿入する。この一般的なアプローチは、白血球を差次的に捕獲するフィルターを用いて、白血球を汚染する輸血赤血球を減らす臨床的輸血法で行われている(Soli, M.ら,自動血液収集システムによって収集された高ヘマトクリット赤血球の白血球消耗のための新しいろ過プロトコルの多施設評価, Vox Sang, 2001. 81(2):p.108-12;Smith, J.W., アフェレーシス法と細胞性免疫調節, Ther Apher, 1997. 1(3):p.203-6)。このタイプのフィルターは、Pall Bedical(Leukogard RS and Purecell RCQ)及びAsahi(RS2000)によって配給されている。差次的付着は、単球(Berdel, W.E.ら, ポリマーフルオロカーボンに対する付着によるヒト単球の精製。単球に富む細胞フラクションの特徴づけ,Immunobiology, 1982. 163(5):p.511-20)及び表皮幹細胞(Bickenbach, J.R.及びE. Chism, 培養内のマウス表皮幹細胞の選択と持続型成長, Exp Cell Res, 1998. 244(1):p.184-95)のポジティブ選択にも適用されている。この実施態様では、処理済み脂肪吸引物を、標的細胞と不要細胞集団の差次的付着を促すように予め決定された流れ及び緩衝条件下、ろ過材を通す。ポジティブ選択では、ろ過材及び条件は標的細胞を優先的に付着させる一方、不要物質は自由にフィルターを通して過剰の緩衝液で洗い流される。流速、pH、イオン強度、及び/又は付着に必要なカチオンの存在のような条件を変えることによって、標的細胞がフィルターから溶離される。ろ過材は、3次元メッシュ、小粒子の充填カセット、中空繊維、又は他の高表面積機構の形態でよい。好ましい実施形態では、このろ過装置は、図1に示される使い捨てセットの必須部分で、図4に示される装置内に挿入される。セットと装置は両者とも指定図中で示される当該例から、図1はフィルターとハウジングを含めるため、かつ図4は閉じた無菌流体経路の維持のために必要なフィルターハウジングと配管(バルブを含む)の挿入を可能にするため、わずかに修正しなければならない。代わりに混合チャンバー(図4の部品108;図1の部品30)をそれぞれ装置取付け部品及びフィルター/ハウジングと交換することができる。
【0042】
この差次的付着アプローチの代替実施態様は、標的と不要細胞上で差次的に発現される表面分子を認識する抗体及び/又は抗体の組合せの使用を含むだろう。特異的な細胞表面マーカー(又はその組合せ)の発現を基礎とした選択は、別の普通に適用されている方法であり、固相支持体構造に抗体が(直接又は間接的に)付着する(Geiselhart, A.ら,磁気細胞ソーティングによるCD56+リンパ球のポジティブ選択, Nat Immun, 1996. 15(5):p.227-33;Rormanek. M.ら,ヒト口腔ケラチノサイト精製のための磁気的細胞分離:前細胞継代培養のない機能研究に有効な方法, Eur Arch Otorhinolaryngol, 1998. 255(4):p.211-5;Grapler, F., U. Lauer,及びM. Gregor, 新しいモノクロナール抗体を用いた、細胞機能に影響のない壁細胞精製のための磁気細胞ソーティング, J Biochem Biophys Methods, 1998. 36(2-3):p.143-55;Kobari, L.ら, CD133+細胞選択は造血幹細胞の生体外膨張のCD34+細胞選択に対する代替である, J Hematother Stem Cell Res, 2001. 10(2):p.273-81:Mohr, M.ら,B-細胞非ホジキンリンパ腫を患っている患者の末梢血前駆細胞内における同時免疫磁気CD34+細胞選択とB-細胞消耗, Clin Cancer Res, 2001. 7(1):p.51-7;及びPugh, R.E.ら,CD19選択はB細胞リンパ腫検出の選択性を改良する,J Hematother, 1998. 7(2):p.159-68)。このアプローチは、ポジティブ及びネガティブ選択の両者で明白な用途があり、例えば、残存白血球はCD45抗体の使用によって除去できるだろう。同様に、Reyesらは、ヒト骨髄由来の多能性成人前駆細胞の選択で抗体の複合ブレンドを適用した(Reyes, M.ら, 出生後のヒト骨髄中胚葉細胞の精製と生体外膨張, Blood, 2001. 98(9):p.2615-25)。例えば、特異的に脂肪細胞に結合するAP2(Joyner, C.J.ら, 脂肪分化の腫瘍内脂肪細胞前駆体の同定のためのAP2タンパク質に対するモノクロナール抗体の開発, Pathol Res Pract, 1999. 195(7):p.461-6)のような抗体を用いて残存脂肪細胞(未成熟脂肪細胞及び脂肪芽細胞を含む)を優先的に減らすことができる。ポジティブ選択は、標的細胞集団に特異的な抗体の使用によって与えることができる。例えば、Quiriciらは、神経成長因子受容体に対する抗体を用いて骨髄由来の間充織幹細胞を濃厚にした(Quirici, Nら, 抗-神経成長因子受容体抗体による骨髄間充織幹細胞の単離, Exp Hematol, 2002. 30(7):p.783-91)。
【0043】
抗体を基礎としたアプローチの一実施態様では、抗体(例えばAP2)又は抗体の反応混液(例えば、AP2、CD3、CD19、CD11b)を処理済み脂肪吸引物に添加する。多くの他の抗体及び抗体の組合せが、本技術の当業者によって認識されるだろうからこれらの例は単に例として与えたものである。インキュベーション後、これら抗体のその同族抗原に対して最適に結合できるように予め決定された条件下、スピニング膜フィルター又は細胞洗浄チャンバーの他の実施態様を通すことで細胞を洗浄し、不要な過剰抗体を除去する。上記実施形態で述べたのと同様であるが、固相が、細胞表面に現在結合している一次抗体に対して高アフィニティー付着できる二次抗体を付着させている固相構造上を細胞が通過する。標的細胞、例えば脂肪組織由来の幹細胞は、選択抗体(抗体反応混液)によって認識される細胞表面抗原の発現がないため、このフィルターを自由に通過し、それによってネガティブ選択システムが生成する。この実施形態では、使い捨てセット(図3)と装置(図4)は、上記実施形態で述べたのとほとんど同様の少しの修正を受けるだろう。
抗体媒介ポジティブ選択実施形態は、細胞の固相支持体からの脱着を促す第3添加剤を含めることによって、ほとんど同様に達成できる。この実施形態では、酵素パパイン又はシモパパインを添加して抗体分子を切断し、かつ固相支持体から細胞を離すことができる(Civin, C.I.ら, ポジティブ幹細胞選択基礎科学, Prog Clin Biol Res, 1990. 333(38):p.387-401;考察402)。別の代替は、Tseng Lawら,米国特許第6,017,719号に記載されているような、抗体に対する結合性について細胞表面抗原と競合する特異的ペプチドの使用である。
【0044】
別の実施形態では、細胞ペレットを再懸濁させ、連続又は不連続な密度勾配に形成されている流動物質の上(又は下)に層にし、かつ細胞密度を基礎とした細胞集団の分離用遠心分離機内に置くことができる。このような勾配の形成に好適な媒体の例としては、PercollとFicoll-Paque(Qian, X., L. Jin,及びR.V. Lloyd, ラット下垂体細胞のPercoll密度勾配-濃厚集団:インターロイキン6分泌、増殖活性、及び酸化窒素シンターゼ発現, Endocr Pathol,1998. 9(1):p.339-346;Smits, G., W. Holzgreve,及びS. Hahn, 母体血液由来の胎児赤芽球の濃厚化のための異なるPercoll密度勾配と磁気活性化細胞ソーティング(MACS)の検査, Arch Gynecol Obset, 2000. 263(4):p.160-3)又はFicoll-Paque(Lehner, M.及びW. Holter, 希釈Ficoll-Paque Plusに基づいた不連続密度勾配遠心分離による樹状細胞生成用単球の内毒素のない精製, Int Arch Allergy Immunol, 2002. 128(1):p.73-6)が挙げられる。Van Merrisら(Van Merris, V.ら, ウシ骨髄の成熟関連骨髄性細胞フラクションへの分離,Vet Immunol Immunopathol, 2001. 83(1-2):p.11-7)は不連続の3段階Percoll勾配を利用してこの基礎に基づくその成熟状態によってウシ骨髄性細胞を分離した。この実施態様は、細胞集団から特定の残存血液細胞集団と未成熟脂肪細胞(プレ脂肪細胞)を分離することができる。
【0045】
同様の実施態様では、アフェレーシス(Smith, J.W., アフェレーシス法と細胞性免疫調節, Ther Apher, 1997. 1(3):p.203-6)及び懸濁分離法(逆流あり又はなし)(Lasch, J., G. Kullertz,及びJ.R. Opalka, 密度又は大きさによる年齢関連フラクションへの赤血球の分離? 逆流遠心分離, Clin Chem Lab Med, 2000. 38(7):p.629-32;Ito, Y.及びK.Shinomiya, 細胞密度に基づいた新しい連続流細胞分離法:原理、装置、及びヒトバフィコートの分離への予備適用, J Clin Apheresis, 2001. 16(4):p.186-91;Dlubek,D.ら, 新鮮な慢性骨髄性白血病産物の逆流遠心懸濁分離(CCE)フラクション中の正常な前駆体の濃厚化, Eur J Haematol, 2002. 68(5):p.281-8)のような連続流アプローチも利用することができる。このような機構を用い、年齢に基づいた赤血球の分離(Lasch, J., G. Kullertz,及びJ.R. Opalka, 密度又は大きさによる年齢関連フラクションへの赤血球の分離? 逆流遠心分離, Clin Chem Lab Med, 2000. 38(7):p.629-32)を含め、血液細胞を分画することができ、この一般的アプローチを処理済み脂肪吸引物から関心のある細胞をさらに精製するのに適用することは、本技術の当業者には容易に分かるだろう。この実施形態では、装置にアフェレーシス又は懸濁分離できる第2装置を組み込むように、図4中の装置と使い捨てセット(図3)を修正する必要がある。
【0046】
プラスチックへの付着後短期間の細胞膨張が骨髄由来成人幹細胞集団に適用されている(Jaiswal, N.ら,インビトロ精製、培養-膨張したヒト間充織幹細胞の骨原性分化, J Cell Biochem, 1997. 64(2):p.295-312;Hou, L.ら, ヒト臍帯血液間充織幹細胞のインビトロ膨張とニューロン様細胞への分化の研究, Zhonghua Xue Ye Xue Za Zhi, 2002. 23(8):p.415-9)。このアプローチは、1つの集団を優先的に膨張させる一方、他の集団は維持し(それによって選択細胞の成長による希釈で減少する)又は必要な成長条件の非存在によってなくす培養条件を使用する。Sekiyaらは、この考えで骨髄由来の幹細胞に利用可能な条件について記載している(Sekiya, I.ら, 骨髄間質由来のヒト成人幹細胞の膨張:初期前駆体の収量を最大にする条件及びその質の評価, Stem Cells, 2002. 20(6):p.530-41)。このアプローチ(組織培養プラスチックへの差次的付着あり又はなし)は、この発明のさらなる実施形態に適用することができる。この実施形態では、図4に示される装置から細胞を除去し、細胞培養成分を与える第2装置に入れる。これは、従来の実験室用組織培養インキュベーター又はTasoら,米国特許第6,001,642号、又はArmstrongら,米国特許第6,238,908号によって記述されているようなバイオリアクター型装置の形態でよい。代替実施形態では、混合部品(図4に示される装置の部品108;図3の部品30)をバイオリアクター部品と交換して、処理済み脂肪吸引物の短期間付着及び/又は細胞培養を可能にする。この代替実施形態は、バイオリアクター部品の装置への組み込みを可能にし、かつこの装置から細胞を除去して別の装置に置く必要がなくなる。
【0047】
特定の実施形態では、活性細胞集団を直接患者に投与する。他言すれば、患者に投与する前にシステムから除去せずに、或いはシステムの外部環境にさらさずに、活性細胞集団(例えば、幹細胞及び/又は内皮前駆細胞)を患者に投与する。閉鎖系を提供するので、患者に投与する物質の汚染の可能性を減らす。従って、閉鎖系内での脂肪細胞の処理は、活性細胞集団がより無菌であると思われるので、現存する方法を超えた利点を提供する。このような実施形態では、幹細胞及び/又は内皮前駆細胞が外部環境にさらされ、或いはシステムから除去されるのは、細胞を適用装置内に取り出して患者に投与する時だけである。一実施形態では、適用装置も閉鎖系の一部でありうる。従って、これら実施形態で用いる細胞は培養、又は凍結保存用に処理されない。
【0048】
上述したように、濃縮した活性細胞は、さらに処理せずに患者に投与することができ、或いは他の組織又は細胞と混合後、患者に投与することができる。特定の実施形態では、濃縮活性細胞(例えば、幹細胞又は内皮前駆細胞)は、同様に処理していない1単位又は複数単位の脂肪組織と混合する。従って、本発明の方法を実施することによって、活性細胞の濃度が増強された脂肪組織を含む組成物を患者に投与することができる。種々の単位の脂肪組織の体積は異なりうる。例えば、ある体積は、別の単位の脂肪組織の体積より少なくとも25%多い。さらに、ある体積は、別の単位の脂肪組織の体積より少なくとも50%、例えば、少なくとも100%、さらに150%以上であってもよい。さらに、所望の組成物は、第1単位の脂肪組織を濃縮活性細胞集団と混合することによって得られ、1以上の他の単位の脂肪組織を有する、活性細胞を含有する細胞ペレットでよい。特定の実施形態では、これら他の単位は、増強された濃度の幹細胞を持たず、つまり他言すると、第1単位の脂肪組織中に含まれるより活性細胞濃度が低い。他の実施形態では、該単位の1つは、例えば、増強された濃度の活性細胞を含有する凍結保存物質である。
【0049】
他の実施形態では、活性細胞集団の少なくとも一部分を後の移植/注入用に貯蔵する。集団を1アリコート又は単位より多くに分割して、幹細胞及び/又は内皮前駆細胞の集団の一部を後で使用するために保持し、一部は即座に患者に適用することができる。2002年9月12日に提出した表題“非造血組織由来の非胚細胞の保存”の米国特許出願番号10/242,094(2001年9月14日に提出した米国仮特許出願60/322,070の利益を主張しており、共通に譲渡され、かつその内容は参照によって明確に本明細書に取り込まれる)に開示されているように、細胞銀行内の全細胞又は一部の細胞の適度な貯蔵から長期貯蔵もこの発明の範囲内である。このような実施形態では、細胞を1単位又は複数単位の新鮮な又は保存していた脂肪細胞と混合して、処理前の単位の脂肪細胞より高濃度で幹細胞を含有する組成物を与えることができる。
【0050】
処理の最後に、皮下、静脈内、筋肉内、又は腹腔内法によってレシピエント内に置くため、注射器のような送達装置中に濃縮細胞を装填する。他言すれば、本技術の当業者に公知のいずれの手段によっても細胞を患者に入れることができ、例えば、全身又は局所送達のため血管内に、組織(例えば、心筋、又は骨格筋)内に、真皮内(皮下)に、組織空間(例えば、心膜又は腹膜)内に、或いは組織(例えば、尿道周囲位置)内に、或いは他の位置に注射することができる。好ましい実施形態としては、針又はカテーテル、或いはプレフォームマトリックスのような添加物と共に直接手術移植による配置が挙げられる。
【0051】
活性細胞集団は、単独又は他の細胞、組織、組織断片、脱塩骨、インシュリンのような成長因子又はチアグリタゾンファミリーのメンバーのような薬物、生物活性又は不活性化合物、再吸収性成形的骨格、又は集団の送達、効力、耐容性、若しくは機能を高めることを意図した他の添加物と組み合わせて適用することができる。細胞集団は、美容、構造、又は治療目的の誘導のため、DNAの挿入又は細胞の機能を変え、強め、又は補充するようなやり方で細胞培養内に入れることによって修飾してもよい。例えば、Mosca, J. D., J. K. Hendriksら(2000),“遺伝子送達用媒体としての間充織幹細胞”, Clin Orthop(379 Suppl):S71-90に開示されているように、幹細胞について遺伝子伝達法は、本技術の当業者に公知であり、ウイルス形質移入法、さらに具体的には、Walther, W.及びU. Stein(2000),“遺伝子伝達用ウイルスベクター:ヒト疾患の治療におけるその使用のレビュー”,Drugs 60(2):249-71、及びAthanasopoulos, T., S. Fabbら(2000),“アデノ関連ウイルスに基づいた遺伝子療法ベクター:特徴づけと後天性及び先天性疾患への適用(レビュー)”, Int J Mol Med 6(4):363-75に開示されているようなアデノ関連ウイルス遺伝子伝達法が挙げられる。Muramatsu, T., A. Nakamuraら(1998),“インビボエレクトロポレーション:生きている動物の組織への非ウイルス遺伝子伝達の強力かつ便利な手段(レビュー)”, Int J Mol Med 1(1):55-62に開示されているように、ウイルスに基づかない方法も行うことができる。
【0052】
一局面では、脂肪組織の未処理断片と細胞を混合し、非常に大きいゲージの針又は脂肪吸引カニューレでレシピエントに戻すことができる。処理細胞で補充しない自己脂肪の伝達は、形成及び再構成外科手術で一般的な手順である。しかし、伝達物質は急速に再吸収し、その結果不安定な移植片になりやすいので結果を予測できない。例えば、実質的に成熟脂肪細胞が欠乏している本発明の脂肪組織由来細胞は、移植片の持続的な生存と機能を保つ環境を与えることができる。
【0053】
別の局面では、細胞集団をレシピエントに入れ、MacroPore Biosurgery, Inc(米国特許第6,269,716号及び第5,919,234号)によって製造されるような再吸収性プラスチック鞘で取り囲むことができる。この設定では、鞘は筋肉及び他の軟組織の骨折領域中への脱出を防ぎ、それによって定置された処理済み脂肪組織由来の細胞が骨折の修復を促すことを可能にする。この局面では、後骨形成タンパク質成長因子又は生物若しくは人工骨格のような追加成分による補充によって有利な効果を高めることができる。
【0054】
別の局面では、骨の治癒又は融合時に成長因子のそれ自体の起源として細胞を作用させるだろう後骨形成性成長因子をコードする遺伝子と細胞を結合させることができる。限定するものではないが、アデノウイルス伝達、“遺伝子銃”、リポソーム媒介伝達、及びレトロウイルス若しくはレンチウイルス媒介伝達を含む本分野で公知のいずれの技術によっても遺伝子を付加することができる。
【0055】
特に、細胞及び/又は細胞を含有する組織を、その細胞及び/又は組織を得た患者以外の患者に投与する場合、その細胞及び/又は組織を受ける患者に1種以上の免疫抑制剤を投与して、移植片の拒絶反応を減じ、好ましくは妨げることができる。本明細書で開示する方法で好適な免疫抑制剤としては、米国特許公開番号20020182211で開示されているような、CTLA4及びB7経路によってT細胞とB細胞の結合を妨げる薬剤のようなT細胞/B細胞副刺激経路を阻害する薬剤が挙げられる。他の例としては、シクロスポリン、ミオフェニレートモフェティル(myophenylate mofetil)、ラパマイシン、及び抗-胸腺細胞グロブリンが挙げられる。
【0056】
本発明の特定の実施形態では、サイトカイン及び成長因子のような1種以上の細胞分化剤と共に細胞を患者に投与する。種々の細胞分化剤の例は、Gimble, J.M., C. Morgenら(1995),“骨形態形成タンパク質は、骨髄間質細胞による脂肪細胞分化を阻害する”,J Cell Biochem 58(3):393-402;Lennon, D. P., S. E. Haynesworthら(1995),“化学的に定義された媒体はラット骨髄由来間充織幹細胞のインビトロ増殖を保持し、かつ骨軟骨性ポテンシャルを維持する”, Exp Cell Res 219(1):211-22;Majumadar, M. K.,M. A. Thiedeら(1998),“骨髄由来の間充織幹細胞(MSCs)と間質細胞の培養の表現型と機能の比較”, J Cell Physiol 176(1):57-66;Caplan, A. I.及びV. M. GoldBerg(1999),“骨格組織の組織操作再生の原理”,Clin Orthop(367 Suppl):S12-6;Ohgushi, H.及びA. I. Caplan(1999),“幹細胞技術とバイオセラミックス:細胞から遺伝子操作”, J Biomed Mater Res 48(6):13-27;Pittenger, M. F., A. M. Machkayら(1999),“成人ヒト間充織幹細胞の多血統の可能性”, Science 284(5411):143-7;Caplan,A. I.及びS. P. Bruder(2001),“間充織幹細胞:21世紀の分子医療用ビルディングブロック”, Trends Mol Med 7(6):259-64;Fukuda, K.(2001),“心臓血管組織操作用の間充織幹細胞からの再生心筋細胞の開発”, Artif Organs 25(3):187-93;Woster, A. A., B. D. Brower-Tolandら(2001),“単球中の形質転換成長因子-β1及び三次元マトリックス中のインシュリン様成長因子-Iに連続してさらした間充織幹細胞の軟骨細胞分化”, J Orthop Res 19(4):738-49;Zuk, P. A., M. Zhuら(2001),“ヒト脂肪組織由来の多血統細胞:細胞を基礎とした療法の含意”, Tissue Eng 7(2):211-28;及びMizuno, H. A. Zukら(2002),“ヒトの処理済み脂肪吸引細胞による筋原性分化”,Plast Reconstr Surg 109(1):199-209;考察210-1に開示されている。
【0057】
幹細胞及び/又は内皮前駆細胞を患者に投与することで、限定するものではないが、緩徐/非-癒着骨折、骨粗しょう症(年齢関連又は化学療法誘発)、骨の先天性疾患(骨形成不全症)を含む骨関連障害、疾患、又は損傷;脂肪関連障害又は疾患;肝臓不全、B型肝炎、及びC型肝炎を含む肝臓関連疾患、障害、又は損傷;心臓発作又は慢性心不全を含む心筋梗塞;腎臓病又は腎臓損傷;網膜疾患又は障害又は壊死;創傷治癒(例えば、手術又は糖尿病性潰瘍から);外傷及び遺伝性の両方の骨格筋障害;外傷及び自己免疫性の両方の軟骨及び関節修復;肺損傷;糖尿病;腸障害;脊髄損傷、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び脳卒中を含む中枢神経系障害、疾患、又は損傷のような神経系障害、疾患、又は損傷を含む多くの病気を治療することができる。
しわの低減、器官量の増強などを含む物理的特徴を増強又は改良することによってのような美容目的で患者に幹細胞を投与することもできる。
【0058】
図1に、患者から脂肪組織を除去するための組織除去システムを示す。広い実施形態では、組織除去システム10は組織収集容器12と、この組織収集容器12に連結された混合容器30を含む。混合容器30と組織収集容器12との連結は、好ましくは閉鎖系を画定し、組織収集容器12から混合容器30に向かう組織は外部環境にさらされない。システム10は、濃縮幹細胞を組織収集システム10から除去して患者に投与させる構造の出口32をも含む。組織収集容器12は、組織収集入口ポート14とフィルター16を含む。フィルター16は該容器内に配置され、かつ例えば患者から組織を除去するとき、脂肪組織は保持し、非脂肪組織は通す構造になっている。さらに明確には、フィルター16は、脂肪組織の初期収集時、或いは別の実施形態ではその後に、遊離脂質、血液、及び食塩水は通すが、脂肪組織の断片を保持する。その点において、フィルター16は、同一若しくは異なるが、約20μm〜5mmの範囲の大きさの多数の孔を含む。好ましい実施形態では、フィルターは、約200μmの厚さ、約265μmの孔サイズ及び約47%の開口面積の医用グレードポリエステルメッシュである。この物質は、すすぎ時は組織を保持するが、組織脱凝集後は該メッシュから細胞を通す。従って、組織を患者から吸引する時、非脂肪組織を脂肪組織から分離することができる。混合容器30は、使用者が混合容器30に添加剤を投与して、混合容器30内に含まれている幹細胞と混合できる構造の添加ポート31を含む。好ましい実施形態では、組織収集容器12は、フィルター内に約1リットルの組織断片を保持できるような寸法を有するべきである。他の実施形態では、組織収集容器12は、より大量又はより小量の組織断片を保持する大きさでよく;例えば、組織収集容器は、少なくとも100mLの脂肪組織断片、また約2Lまでの脂肪組織断片を蓄える大きさでよい。
【0059】
図1のシステム10にあるさらなる特徴について述べると、組織入口ポート14は、配管22によってカニューレ24に連結され、組織除去ラインを画定している。図解した実施形態では、カニューレ24は、組込型の単使用の脂肪吸引カニューレであり、配管はフレキシブル配管である。カニューレは、患者に挿入して患者から脂肪組織を除去するような寸法である。本システムで使用する配管22は、吸引補助脂肪形成術に付随する負圧に耐えて圧潰の可能性を減らすことができなければならない。組織収集容器12は、フィルター16の組織入口ポート14と反対側に配置された吸引ポート18をも含む。吸引ポート18は、手動又は自動的に操作しうる吸引装置20に連結される構造である。吸引装置20は注射器でよく、或いは電気バキューム等でよい。吸引装置20は、患者から組織を吸引するのに十分な負圧を容器12とカニューレ24に与えることができなければならない。図示されるように、吸引装置20は、配管22によって吸引ポート18に連結されている。
【0060】
組織除去システム10は、組織収集容器12と混合容器30との間に配置された細胞収集容器26をも含むように示されている。細胞収集容器26は、幹細胞のような細胞が組織収集容器12から混合容器30に進む前に該細胞収集容器26に通るようにシステム10内に配置される。図示した実施形態では、細胞収集容器26は細胞収集ポート48によって組織収集容器12に連結されている。システム10の一実施形態では、細胞収集容器26は、懸濁液内の細胞の分離を容易にする細胞濃縮器(図示せず)を含む。細胞濃縮器の例は、例えば細胞の大きさ又は密度に基づいて他の物質から細胞を分離しうる遠心分離装置である。別の例は、上述したようなスピニング膜フィルターである。システム10は、細胞収集容器26から混合容器30に細胞を通し、かつ例えば細胞より大きい物質の通過を妨げる構造のフィルター28を含むようにも示されている。細胞収集容器26は、廃棄物容器36への出口をも含む。細胞収集容器26内に含まれる物質の流れの方向は、該物質が廃棄物容器36又は混合容器30のどちらかに流れるように制御できる1つ以上のバルブの位置調整によって決定される。
【0061】
図示した実施形態では、細胞フィルター28は、200μm未満の直径、又は長さを有する多数の孔を含む。特定の実施形態では、孔は200μmより小さい直径を有する。他の実施形態では、孔は20〜200μmの直径を有する。細胞フィルター28は、細胞収集容器26から間隔を置いて離れていてよく、或いは細胞収集容器26内に包含されていてもよい。細胞フィルター28は、細胞収集容器26内に組み込んで形成されていてもよい。システム10のさらなる実施形態はフィルター28を含まない。細胞収集容器は、いずれれの適切な材料からも製造されうる。例えば、細胞収集容器26は血液銀行で血液を処理するのに通常使用されているようなプラスチックバッグでよく;或いは他の実施形態では、それは構造的に硬くてよい。特定の実施形態では、細胞収集容器26は、成分調製チャンバー及び細胞洗浄/分離チャンバーを含みうる。
【0062】
特定の実施形態では、成分調製チャンバーは、上述したように、成長因子又は細胞を再懸濁させるための緩衝液のような患者に投与するために幹細胞を分離するプロセスを促進できる薬剤添加用の1つ以上のポートを含む。これら実施形態では、成分調製チャンバーは、好ましくは容器内の細胞と添加剤を混合又は撹拌するための混合装置を含む。成分調製チャンバーは、その中に収集された細胞を除去するための1つ以上のポートをも含む。1つのポートは細胞を混合容器30の方へ進めるように設けられる。他のポートは、細胞又は一部の細胞を、骨断片を含む移植材料のような他の標的に、或いは細胞培養又は精製装置に方向づけるように設けられる。一実施形態では、細胞洗浄/分離チャンバーは、スピニング膜フィルター部品を含み、遠心分離装置に加え、或いは好ましくはその代替として細胞濃縮器として使用しうる。
【0063】
システム10は、組織収集容器12から混合容器30への導管を与えるように位置づけられた組織回収ライン34を含むとしても示されている。従って、組織回収ライン34は、組織収集容器12内に含まれる組織を混合容器30に進め又は方向づけ、細胞収集容器26から得られた細胞と組織が混合しうる。図示した実施形態では、組織回収ライン34は、フィルター16内に含まれる脂肪組織を除去するための組織容器12内に伸長している。すすいだが、必ずしも脱凝集していない脂肪細胞を通すため、1つ以上のポンプ又は吸引装置を用いて組織回収ライン34を介して組織を通し、或いは方向づける。
【0064】
一実施形態では、システム10は、組織収集容器12内に含まれる物質の温度を調整するようにシステム10に対して位置づけられた温度制御装置を含む。特定の実施形態では、温度制御装置が加熱器であり、他の実施形態では、温度制御装置が冷却器である。さらなる実施形態では、温度制御装置が加熱器と冷却器とを切り替え可能でよい。温度制御装置は、組織収集容器12内に含まれる脂肪組織の温度を調整する装置でよく、或いは組織収集容器12に送達される流体の温度を変えるように配置される装置でよい。脂肪組織の加熱は、組織の脱凝集を促進して活性細胞成分の分離を促すことが分かった。さらに、特定の実施形態では、組織、好ましくは活性細胞成分の一部を冷却して細胞に保護を与えることが望ましい。細胞の穏やかな冷却でさえ適切な保護を与え、処理中の細胞生存を高めることができる。
【0065】
組織除去システム10の出口32は、混合容器30の部品として示されている。さらなる実施形態では、出口32は混合容器30から離れている。出口32は、好ましくは組織除去システム10の密封構成を維持する蓋を含み、特定の実施形態では、出口32は流体不浸透性膜(例えば、液体又は空気に不浸透性の膜)を含む。出口32は、適切な条件下で、混合容器30内の組成物を患者に通す構造であるべきだ。例えば、注射器を用いて組成物を取り出す場合、出口32は、システム又は組成物の無菌性を損なうことなく、注射器の針を蓄積できるべきだ。さらなる実施形態では、カニューレのような、正の圧力を加えることによって組成物を投与して該カニューレを介して組成物を追い出す、組成物を投与するが、組成物を取り出さない構成の装置に出口を連結する場合、出口32は混合容器30内に含まれる組成物をカニューレ内に進める構成であるべきだ。他の実施形態では、出口32は、注射器の針、又は正の圧力を加えることによって組成物を投与するカニューレのような、組成物を投与するための装置を含み、或いは閉鎖系様式でそのような装置に連結されていてもよい。
【0066】
組織除去システム10は、組織収集容器12から廃棄物を収集するように配置された廃棄物容器36をも含むとして示されている。図示した実施形態では、細胞収集容器26から廃棄物を受けるように、廃棄物容器36も連結かつ配置されている。洗浄容器38は、洗浄ライン39と流体連絡して備えられ、洗浄ポート46経由で組織収集容器12に、食塩水又は他の適切な緩衝液のような洗浄流体を送達する。組織収集容器12は、組織収集容器12内の圧力量を制御するための空気入口40をも含む。組織収集容器12上には、組織収集容器12に添加剤を添加させるための添加ライン42を備える。本明細書で開示される方法に関しては、1種以上の酵素を組織収集容器12に送達して、フィルター16内に含まれる脂肪組織の残りからの活性細胞成分の分離を容易にするために添加ライン42を備える。図示されるように、添加ライン42は、適切な容器から酵素を受けるために使用可能な針44を含む。
【0067】
組織除去システム10の特定実施形態の部品を図2及び3に示し、同様の符号は同様の部分を表す。図2及び3の特定実施形態では、組織収集容器12は、該容器に吸引が施される時にその形態を保つ本体を含む。さらに詳しくは、組織収集容器12は、例えば、メッシュサイズ275μmの医用グレードポリエステルの略円錐状フィルターポケットを含有する医用グレードポリカーボネートで構成された本体のような剛体を含む。この剛性組織収集容器は、高さ約20cm(約8インチ)、直径約13cm(約5インチ)の大きさであり;壁厚は約3mm(約0.125インチ)でよい。シリンダーの内部は、吸引配管用の2つのポートと、無菌ドッキング技術による接続用配管を有する2つのポートと、ゴム隔壁による針穿刺アクセス用の2つのポートを通じてアクセスされる。異なる材料、メッシュサイズ、及びポートの数とタイプで同一の機能を達成できる。例えば、100μm未満又は数千ミクロン程度のメッシュ孔サイズは、食塩水と血液細胞を通すが、脂肪組織の凝集体と断片を保持するという同じ目的を達成するだろう。同様に、装置の目的は、代替の剛性プラスチック材料の使用により、使い捨てカニューレを非使い捨ての多使用無菌カニューレと交換することで、或いは本技術の当業者に知られている他の多くの変形によって達成できるだろう。しかし、組織除去システム10の他の実施形態では、組織収集容器12は、組織収集バッグのような折り畳み可能な本体を含むことができる。このようなシステムでは、バッグは、好ましくは内部又は外部枠のような、バッグに吸引力を加える時にバッグがくずれる可能性を減らす支持体を備える。
【0068】
組織除去システム10内の汚染を減じるため、種々のライン又は導管上に1つ以上のクランプ23を設け、該システムの種々の部品へのラインを通る物質の流れを制御することができる。クランプ23は、組織除去システム10の種々の領域を使用者が効率的に封鎖できるようにする。好ましい実施形態では、システム10の1つ以上の部品は使い捨てである。この実施形態では部品の再使用を避けることが種々の部品の繰返し使用で付随しうる汚染の低減に役立つ。さらに、使い捨てセットの部品を提供すると、一度にすべての部品を殺菌できるという利点を与え、本明細書で開示される方法の実施に必要な時間を実質的に減らすことができる。全体的又は部分的に自動化した実施形態では、クランプ23に加え、或いはその代替としてコンピュータ制御バルブを実行することができる。
【0069】
さらに、組織除去システム10は、とりわけ、フィルター16内に保持される物質の量の決定を可能にし、抽出又は処理手順に関する書かれた情報を記録できるように、或いは操作中のスタンド又は土台を装置に取る付けることのような他の補充機能を果たす追加の装置又は部品を含むことができる。
【0070】
組織除去システム10の部品は、生物流体又は組織と反応せず、かつ生物流体及び組織の処理に用いる薬剤と反応しない材料で作るべきである。さらに、種々の部品が製造される材料は、オートクレーブ処理、及び限定するものではないが、β-又はγ-放射線を含む放射線によってのような滅菌法に耐えられなければならない。配管及びカニューレハンドルは、ポリエチレンのようないずれの適切な材料によっても作ることができる。カニューレはステンレススチール製でよい。
【0071】
本明細書で開示される発明によって、組織除去システム10は、脂肪組織内に見られる幹細胞の除去、処理、及び投与に便利な閉鎖系を提供する。本システムは、脂肪組織の除去のため患者の近くに置くことができ、かつ該システムから組織を除去することを要せずに組織を処理することができる。従って、提供されるシステムは、新鮮な幹細胞強化組成物を患者に与えることができ、かつ幹細胞の培養及び/又は保存に付随する可能性のあるリスクを軽減する。
【0072】
本明細書の開示によれば、患者から組織を抽出する方法は以下の工程を含みうる:(i)伝統的な脂肪形成術用として患者を準備する工程;(ii)梱包材料からカニューレと組織除去システムを無菌領域に移す工程;(iii)脂肪吸引ポンプ(通常のトラップとインライン微生物フィルターを有する)を、組織収集容器から通じるホースアダプターに接続する工程;(iv)配管ネジクランプが組織収集容器の吸引ポート上をふさがないことを確実にする工程;(v)カニューレを通常の脂肪吸引カニューレのように使用して不要脂肪組織を除去する工程;(vi)組織収集容器によって所望量の脂肪組織が収集された後、手動操作態様で2つの配管ネジクランプを利用して組織収集容器を封鎖する工程;及び(vii)施設慣行に従って、組織収集容器に患者識別ラベルを正確に貼り、かつラベル上に他の情報を記録することを確実にする工程。
【0073】
図示した組織除去システム10によれば、インライン流体トラップで配管22を吸引源20に取り付け、かつ収集部位内にカニューレ24を挿入することによって、組織が直接処理部品内に収集される。そして、脂肪組織が組織収集容器12内に吸引され、組織収集容器12内に支持されているフィルター16によって脂肪組織が保持される。組織収集後、収集された脂肪組織は、洗浄ライン39によって組織収集容器12に加えられている洗浄容器38内に含まれる無菌等張食塩水のような洗浄流体で洗浄される。図解した実施形態で組織収集容器12が剛性材料で製造され、吸引下で収集を支持する場合、食塩水の添加中にハウジングから追い出された空気は空気入口ポート40を介して排気することができる。代わりに、空気を廃棄物容器36又は同様の保持場所に追い出してもよい。組織をすすいだら、廃棄物質は廃棄物容器36中に流すことができる。
【0074】
特定の実施形態では、組織収集容器12内の脂肪組織を脱凝集させる前に、無傷の脂肪組織の単位を組織収集容器12から除去しうる。無傷の脂肪組織の単位は組織回収ライン34に沿って進むので、この単位を混合容器30に送達することができる。これら実施形態では、患者に投与する前に無傷の組織を幹細胞と混合することができる。
【0075】
組織収集後、針44をコラゲナーゼ含有酵素溶液の無菌バイアル中に挿入し、組織収集容器12中に通してほぼ37℃で30〜60分間脂肪組織と混ぜ合わせることができる。洗浄工程は必要に応じて繰り返すことができ、かつ収率を最大にするため活性細胞集団の溶離後、脱凝集した組織を洗浄してよい。組織の脱凝集の最後に、組織収集容器12を直立させて脂肪細胞の浮上分離を可能にする。すると、活性細胞集団は細胞収集容器26内に流れ、そこで細胞がコラゲナーゼ及び残りの遊離脂質から分離される。限定するものではないが、逐次的な遠心分離/再懸濁洗浄法又は連続的な流れ機構を含む本技術の当業者に公知のいずれの方法によっても細胞を洗浄及び/又は濃縮することができる。濃縮、洗浄した細胞を混合容器30内に流し、患者に投与するために出口32から取り出す前に、組織回収ライン34からの無傷組織及び/又は何らかの意図した添加剤とも混合することができる。細胞収集容器26内に含まれる物質は、洗浄後細胞フィルター28でろ過して、適用時に塞栓形成をもたらしうる望ましくない残留細胞や組織アグロメレートの除去を促すことができる。
【0076】
処理中、必要に応じて1種以上の添加剤を種々の容器に添加して、その結果を向上させることができる。添加剤の例としては、洗浄及び脱凝集を最適化する物質、処理中の活性細胞集団の生存度を高める添加剤、抗細菌剤(例えば、抗生物質)、脂肪細胞及び/又は赤血球を溶解させる添加剤、又は関心のある細胞集団を濃厚にする添加剤(固相成分への差次的付着によって、或いは別のやり方で細胞集団の実質的な減少又は濃縮を促すため)が挙げられる。
【0077】
上記実施形態では、組織収集容器12は組織除去システム10の処理部品に本来備わっている。これとは別に、2002年9月12日に提出した表題“非造血組織由来の非胚細胞の保存”の米国特許出願番号10/242,094(2001年9月14日に提出した米国仮特許出願60/322,070の利益を主張しており、共通に譲渡され、かつその内容は参照によって明確に本明細書に取り込まれる)に記載されているような分離組織収集容器は、脱凝集した物質を引き続き処理部品へ移すのに全体的又は部分的に利用することができる。さらに可能な組織収集容器は、米国特許第6,316,247号及び第5,372,945号に開示されている。
【0078】
上述したように、本発明の特定の実施形態では、本方法の工程を自動的に実行できる1つ以上の追加装置を供給することによって本方法を自動化することができる。このような実施形態では、処理装置(例えば、マイクロプロセッサー又はパーソナルコンピュータ)が上記工程を部分的又は完全に自動化するための装置である。このような自動化に適用できる工程の例としては、限定するものではないが、システム又は処理装置のポンプ又はバルブを制御することによる特定の配管経路に沿った流体及び組織の出入りを制御する工程;圧力センサーによる妨害物を検出する工程;容積測定機構を用いて、特定経路に沿って移動する組織及び/又は流体の量を測定するミキシング機構;熱制御装置を用いて種々の部品の温度を維持する工程;細胞を洗浄及び濃縮する工程、並びにタイミング及びソフトウェア機構でプロセスを統合する工程が挙げられる。一実施形態では、ソフトウェアは、オペレーターが定義した特有のパラメーターに整えた細胞集団の生産を可能にするプロセスのパラメーターを制御することができる。従って、自動装置は、手順の性能を高め、かつ脂肪組織の自動収集と、患者への投与用脂肪組織の自動処理を提供する。
【0079】
図4には1つの特定の自動装置が示される。組織除去容器(図示せず)を装置100内に置き、色分けしたガイドマーク112〜118を用いて、適切な経路内に配管を正確に配列かつ挿入する。装置100は、複数のバルブ105と110、及び複数のポンプ104と109を含む。統合マイクロプロセッサーシステムで制御され、ユーザーが定義したプログラムに従って流体と組織の流れを調整する一連のバルブ105、110及びポンプ104、109内に配管を入れる。プログラムの選択は、ユーザーインタフェースパネル106によって仲介される。食塩水容器は保持構造101上に置き、組織収集容器に取り付ける。コラゲナーゼ又は他の組織解離媒体又は混合物(図示せず)のバイアル又はチューブはポイント103で組織収集容器内に挿入する。廃棄物バッグ(図示せず)は保持構造111内に、細胞分離チャンバー/細胞収集容器は保持構造107内に、かつ組織/細胞混合容器は保持構造108内に配置する。組織収集容器は撹拌/インキュベーションチャンバー102内に配置する。
【0080】
脂肪組織は、組織収集容器が装置内の適所にある間に、或いは装置内に配置される前に組織収集容器内に収集される。本装置は、任意的な透明インサート119又は組織収集容器内の組織の体積を決定できる他の装置を含むことができる。代わりに、撹拌/インキュベーションチャンバー102(組織収集容器12に相当)内に含まれる物質の重量を測定するこっとによって体積を決定することができる。この体積は、ユーザーインタフェーススクリーン106上に表示することができる。
【0081】
そして、マイクロプロセッサーがライン114及び115上のバルブ105を開き、収集チャンバー102内への食塩水の導入用ライン114及び廃棄物バッグ111への廃棄物質の除去用ライン115上のポンプ104を作動させる。このプロセスの間、収集チャンバーは揺り動かすことによって撹拌され、かつチャンバー102内に組み込まれた加温装置によって、プログラムされた温度で維持される。特定の実施形態では、組織処理は予備加温した食塩水を使用することができ、この場合、撹拌/インキュベーションチャンバーの加温装置の役割は、温度を上げることではなく、所定の予めプログラムされた点で温度を維持することである。
【0082】
組織が洗浄されると、無傷の洗浄された脂肪組織の0%〜100%の数フラクションは、ライン116上のポンプ109とバルブ110の作動によってインキュベーションチャンバー102から除去されうる。この時点で取り除かれる物質は、混合チャンバー108内に保持される。ライン113上のバルブ105を開き、他のバルブを閉じ、かつライン113上のポンプ104を作動させて、チャンバー102内に残存している物質に解離媒体103を加える。解離媒体の添加後、チャンバー102を上述したような温度で撹拌かつ維持する。プログラムされたインキュベーション時間の終わりに、撹拌を停止して脂肪細胞を浮上分離させる。追加の食塩水を添加してこのプロセスを容易にすることができる。脂肪細胞の浮上分離後、ライン112と115上のバルブを開き、チャンバー102から細胞洗浄チャンバー107内へ標的細胞集団を移動させる。洗浄された細胞はライン117を通って混合チャンバー108に移動し、上清と洗浄溶液はライン118を通って廃棄物チャンバー111内に除去される。追加の食塩水はライン114を通ってシステム内に進み、洗浄プロセスを完了する。処理の初期にライン116を通じて除去されたいずれの無傷の組織とも細胞がチャンバー108内で混合される。混合は、限定するものではないが、チャンバーの撹拌揺動/反転を含む本技術の当業者に公知のいずれの手段によっても行うことができ、或いは圧縮脈動化又は移動ローラーによって達成することができる。混合された物質は、使い捨てセットの混合チャンバー内のポートを通って除去されうる。
【0083】
本装置は、予めプログラムしたパラメーター106に従ってプロセスを自動化するためのマイクロプロセッサー制御機構を含む。このシステムは、障害物の検出用の圧力センサーと、同様の安全及び品質制御機構の使用をも含むだろう。好ましい実施形態では、システムのソフトウェア部品は、例えば、使い捨て部品のロット番号、温度と体積の測定値、組織体積と細胞数パラメーター、適用する酵素の用量、インキュベーション時間、オペレーターアイデンティティー、日付と時間、患者アイデンティティー等を含む“実行データ”の自動収集を含む。本装置の好ましい実施形態では、バーコード読取りシステムを組み込んで、処理の文書化の一部として装置コントローラーへのこれら変量(例えば使い捨てセットロット番号と有効期限、コラゲナーゼのロット番号と有効期限、患者/試料アイデンティティー等)のデータ入力を可能にする。これは、データ入力エラーの機会を低減するだろう。この装置は、USB又は他のインタフェースポートを用いる制御システム及び技術的に公知のシステムに容易に組み込むことができる。このように、本装置はデータ入力とプロセスの文書化の統合制御を提供する。これらパラメーターのプリントアウトレポートは、装置のプログラムされた操作のユーザー定義パラメーターの一部である。もちろんこれはプリンター部品(ハードウェアとドライバー)又はソフトウェア内のプリンタードライバーと装置のハードウェア内のプリンター用インタフェース出力コネクター(例えば、USBポート)の組込みを必要とするだろう。
【0084】
さらなる実施形態では、コントローラー内に組み込まれたソフトウェアは、装置内への配管及び他要素の適切な挿入に必要なステップを通じてユーザーを促す。また、ソフトウェアは自動試験を開始し、配管の正確な挿入、障害物がないこと等を確認する。
この装置内の処理への一般的アプローチは、手動の細胞処理についてのこの開示の他の箇所で述べたのと同一パラメーターを使用するだろう。
【0085】
細胞処理用に計画される機構の他の多くの形態は、本技術の当業者には明かであり、かつ本記述は単なる一例として挙げられている。例えば、洗浄及び脱凝集時の組織と食塩水の混合は本実施例におけるように撹拌によって、或いは流体再循環によって起こりうる。細胞洗浄は、スピニング膜アプローチ、差次的付着、差次的遠心分離(限定するものではないが、差次的遠心沈降、速度、又は勾配分離を含む)のような連続的な流れ機構によって或いは手段の組合せによって媒介されうる。同様に、成長因子又は他の生物応答モデイファイヤーの添加(Lind, M., 骨治癒の成長因子刺激。造骨細胞、骨の手術(osteomies)、及びインプラント固定化に及ぼす効果,Acta Orthop Scand Suppl, 1998. 283:p.2-37;Hanada, K., J.E. Dannis,及びA.I. Caplan, ラット骨髄由来の間充織幹細胞の骨原性分化に及ぼす塩基性線維芽細胞成長因子及び骨形態形成タンパク質-2の刺激効果,J Bone Miner Res., 1997. 12(10):p.1606-14;Lieberman, J.R.ら, BMP-2-産生マウス間質性細胞系による局所遺伝子療法はげっ歯類の異所性及び同所性骨形成を誘発する,J Orthop Res., 1998. 16(3):p.330-9)、細胞と他の構造成分(例えば、骨断片(Jean, J.L., S.J. Wang,及びM.K. Au, 同種移植片及び自生骨髄移植片による大区分骨欠陥の治療,J Formos Med Assoc, 1997. 96(7):p.553-7)、コラーゲン(Saadeh, P.B.ら, 同種I型コラーゲンによるラット下顎骨の臨界サイズ欠陥の修復,J Craniofac Surg, 2001. 12(6):p.573-579)及び/又はレシピエント内に細胞と共に移植することを意図した合成成分(Petite, H.ら, 組織操作骨再生, Nat Biotechnol, 2000. 18(9):p.859-63.
taf/dynapage.taf?file=/ncb/biotech/v18/n9/full/nbt0900_959.html
taf/dynapage.taf?file=/ncb/biotech/v18/n9/abs/nbt0900_959.html;Gao, J.ら,ラット骨髄由来の間充織幹細胞による骨軟骨性複合移植片の組織操作製作, Tissue Eng, 2001. 7(4):p.363-71;Ohgushi, H.及びA.I. Caplan, 幹細胞技術とバイオセラミックス:細胞から遺伝子操作,J Biomed Mater Res, 1999. 48(6):p.913-27;Caplan, A.I.及びV.M. Goldberg, 骨格組織の組織操作再生の原理,Clin Orthop, 1999(367 Suppl):p.S12-6)との混合を含む細胞のさらなる操作を可能にする追加成分を添加することができる。後処理操作は、細胞培養(Caplan, A.I.及びS.P. Bruder,間充織幹細胞:21世紀の分子医学用基礎単位,Trends Mol Med, 2001. 7(6):p.259-64;Petite,既出;Zuk, P.A.ら,ヒト脂肪組織由来の多血統細胞:細胞を基礎とした療法の含意)、遺伝子伝達(Luskey, B.D.ら, マウス造血幹細胞及び骨髄間質細胞中への遺伝子伝達,Ann N Y Acad Sci, 1990. 612(398):p.398-406;Grompe, M.ら, 遺伝性I型チロシン血症のマウスモデルでの治療試験:進行レポート,J Inherit Metab Dis、1998. 21(5):p.518-31;Gazit, D.ら,操作した多分化能性間充織細胞は骨の再生で統合かつ分化する:新規な細胞媒介遺伝子療法,J Gene Med, 1999. 1(2):p.121-33;Mosca, J.D.ら,遺伝子送達用媒体としての間充織幹細胞,2000(379 Suppl):p.S71-90)、又はさらなる細胞精製(Greenberg, A.W.及びD.A. Hammer,差次的回転付着によって媒介される細胞分離,Biotechnol Bioeng, 2001. 73(2):p.111-24;Mainwaring, G.及びA.F. Rowley, 密度勾配遠心分離及びカバーガラスへの差次的付着を用いた小型サメ(Scyliorhinus canicula)の白血球の分離,Cell Tissue Res, 1985. 241(2):p.283-90;Schweitzer, C.M.ら,ヒト骨髄内皮細胞の単離と培養,Exp Hematol, 1995. 23(1):p.41-8)を含む。このような機能を実行するための機構は、図4に示される装置内に組み込むことができ、或いは別個の装置内に組み込んでもよい。
【0086】
本発明のさらなる実施形態では、通常の脂肪組織トラップ内に集められた組織を他の組織を処理するために設計した処理セット内に移すことができる。例えば、Baxter Inc.は、骨髄移植収穫物の凝固で使用することを意図した一連のプラスチックバッグ及びフィルターを製造販売している(“フレキシブルプレ-フィルターとインラインフィルターを備えた骨髄収集キット(Bone Marrow Collection Kit with Flexible Pre-Filters and Inline Filters)”, 製品コード, 4R2107, 米国特許第4,346,703号及び第5,724,988号)。このバッグセットは800μmフィルターが組み込まれた大きい円錐状バッグを含み、集めた脂肪組織の洗浄に使用できる。この例では、800μmより大きい脂肪組織断片がバッグ内に保持される。そして、これら断片は食塩水(又は他の洗浄溶液)を繰返し加えて洗浄後、フィルター下のポートを通じて廃棄物質を除去することができる。手動又はベンチトップ揺動装置を用いてミキシングを行い、加熱パッドを用いて加温することができる。脱凝集は、このバッグの穴内で起こりうる。脱凝集後、細胞は、組み込まれた800μmフィルターを通って(及び任意に、キットに備えられているより小さいメッシュサイズの1つ以上のフィルターを通って)進み、収集バッグ(これも備えられている)内に収集される。このバッグを遠心分離機内(例えば、Sorval RC-3C)に入れて、細胞を連続的に洗浄かつ濃縮することができる。Baxter Inc(Cytomate又はBaxter CS3000)又はCobe Inc.(Cobe Spectra)によって販売されている装置のような既存の細胞洗浄装置(主としてヒト血液産物を洗浄するために開発された)を用いて細胞を洗浄することもできる。使い捨て要素は、製造業者が提供した取付け部品を用いて組み込むことができ、或いはTerumo Inc.製装置のような無菌接続装置を用いて連結してもよい。同様に、このあまり統合されていないアプローチで述べた機構は、より統合された装置のセントラルコントローラーに連結し、部品として組み立てることができる。ぜん動ポンプ又はポンプのバッテリーを用いて、流体経路を開閉するための手動又は自動締付けによる流体の流れを自動化することができる。
【0087】
本発明の好ましい実施形態では、組織除去システム及び処理セットは、操作室又は外来患者処置室(効率的には患者の近くで)のように、治療を受ける患者の近傍に存在する。これは、迅速で効率的な組織収集と処理を可能にし、試料の取扱い/ラベリングエラーの機会を排除し、ひいては単一の外科的手順の過程で全プロセスの遂行を可能にする。
以下の実施例は、この技術を適用しうる特定の状況及びセッティングを示すために提供されたものであり、本発明及びこの開示に包含される特許請求の範囲を制限することを意図していない。
【実施例】
【0088】
実施例1:自家脂肪転移
自家脂肪転移は、同一個体内のある位置から脂肪組織を収集し、別の位置に再移植することを含む比較的普通の美容及び構造的措置である(Coleman, S.R.(1995),“脂肪移植片の長期生存:対照つき実証”, Aesthetic Plast Surg 19(5):421-5;Coleman, S.R.(2001),“構造的脂肪移植片:理想のフィラー?”Clin Plast Surg 28(1):111-9;Coleman, W.P.,3版(1991),“自家脂肪移植”,Plast Reconstr Surg 88(4):736)。しかし、上述したように、この措置は、移植した物質が全体的又は部分的に再吸収され、或いは瘢痕組織によって置換されるといった矛盾する移植によって損なわれることが多い(Eremia, S.及びN. Newman(2000),“自家脂肪移植後の長期追跡検査:最少2回治療の最後の治療を受けて少なくとも12カ月後の116人の患者の結果の分析”, Dermatol Surg 26(12):1150-8)。新しい血管が生成して移植片を養うのにかかる時間中、機能の損失の少なくとも一部は、移植した脂肪組織の壊死に起因しうる。従って、筋肉基盤のような高度に血管性の領域内に移植した組織は、あまりよく潅流されない組織内に移植した場合より良い移植を示す(Guerrerosantos, J., A. Gonzalez-Mendozaら(1996),“筋肉内の遊離脂肪移植片の長期生存:ラットでの実験的研究”, Aesthetic Plast Surg 20(5):403-8)。
【0089】
この開示で述べたとおりに調製した処理済み脂肪吸引物は、追加の内皮前駆細胞と幹細胞で移植片を補充することによってこの問題を取り扱う。本明細書で開示した方法によって、近交系Wistarマウスから抽出した脂肪組織断片を処理済み脂肪吸引物と混合した。この組成物をレシピエントラットの大腿内と頭皮下に皮下移植した。対照として同等数の動物が頭皮下に脂肪組織のみ(処理済み脂肪吸引物ではない)を受け、大腿内に移植片を受けた動物は、脂肪組織のみで中枢外側の大腿を移植した。移植1カ月後に移植片を収集した。
【0090】
結果(図5)は、大腿移植の移植片の重量は処理済み脂肪吸引物の用量の増加につれて増加する傾向を示す。移植片の組織学検査は、処理済み脂肪吸引物で補充した移植片の改良された血管分布を示した。これらラットの背側頭蓋の低い血管分布のため低い全保持率にもかかわらず、同様の関係が頭皮移植片でも観察された。
この技術の臨床適用では、この開示によって誘導される処理済み脂肪吸引物を調製し、上記開示どおりの無傷(非脱凝集)脂肪組織断片と混合する。脂肪組織と幹細胞の混合物を含む組成物は、輪郭欠陥の補正用の自家軟組織フィラーを供給するため(しわ、“ディヴォット(divots)”、あばた、及び大きい欠損)(Coleman,S.R.(2001),“構造的脂肪移植片:理想のフィラー?”,Clin Plast Surg 28(1):111-9)、又は尿道のような損傷構造に支持体を供給するため(Palma, P.C., C. L. Riccettoら(1997),“圧迫尿失禁のための反復脂肪注入”, J Endourol 11(1):67-70;Lee, P.E., R. C. Kungら(2001).“女性の圧迫尿失禁の治療としての尿道周囲自家脂肪注入:ランダム化二重盲検対照つき試験”, J Urol 165(1):153-8)レシピエント内に移植することができる。
【0091】
実施例2:急性肝臓損傷
アリルアルコールによる腹腔内注射によって誘発された肝臓障害は、門脈周囲の急性肝臓損傷の一般モデルである(Lee, J. H., Z. Ilicら(1996),“マウスにおけるアリルアルコール誘発肝臓壊死後の修復の細胞キネティクス”, Int J Exp Pathol 77(2):63-72;Werlich, T., K. J. Stillerら(1999),“肝臓再生の幹細胞概念に関する実験的研究II”, Exp Toxicol Pathol 51(1):93-8;Yin, L., D. Lynchら(1999),“アリルアルコールによって誘発された門脈周囲損傷に対するラット肝臓の復旧反応における異なる細胞型の関与”, J Hepatol 31(3):497-507)。このモデルは、肝臓再生に重大な意味をもつ幹細胞集団の存在を実証するために使用されてきた(Yavorkovsky, L., E. Laiら(1995),“アリルアルコールによって誘発された門脈周囲壊死に対するラット肝臓の復旧反応における小さい門脈内幹細胞の関与”,Hepatology 21(6):1702-12;Werlich, T., K. J. Stillerら(1999),“肝臓再生の幹細胞概念に関する実験的研究II”,Exp Toxicol Pathol 51(1):93-8)。我々は、Swiss Websterマウスのこのモデルを改変し、アルコール誘発損傷後処理済み脂肪吸引物を注入した。動物を1週間で犠牲にし、肝臓を除去し、秤量し、かつ組織学検査用に調製した。結果(図6及び7)は、処理済み脂肪吸引物を受けた当該動物における肝臓重量が実質的に向上したことを示す。組織学分析は、白血球浸潤物又は肝臓の重量を異常に増やしうる他のいずれの機構の証拠もない、処理動物内の正常な組織構造を示した。
臨床セッティングでは、肝臓損傷のある患者は、この開示に従って抽出かつ処理した脂肪組織を有する。そして、処理済み脂肪吸引物を全身送達のため静脈内注射し、或いは肝循環系を通じて肝臓を標的にすることができる。
【0092】
実施例3:急性心臓損傷
急性心筋梗塞(心臓発作)は心筋に対する虚血性損傷という結果になる。損傷した組織の再潅流及び心筋組織の再生によって組織損傷を最小にすることができる(Murry, C. E., R. W. Wisemanら(1996),“心筋壊死の修復のための骨格筋芽細胞移植術”, J Clin Invest 98(11):2512-23;Orlic, D., J. Kajsturaら(2001),“骨髄細胞は閉塞した心筋を再生する”, Nature 410(6829):701-5;Rajnoch, C.、J. C. Chachquesら(2001),“細胞療法は心筋機能障害を逆転させる”, J Thorac Cardiovasc Surg 121(5):871-8;Struer, B. E., M. Brehmら(2002),“ヒトの閉塞した心筋の自家冠内単核骨髄細胞移植による修復”, Circulation 106(15):1913-8)。この開示で述べたベッドサイドアプローチは、骨髄収集に付随する病的状態なしで、より多くの数と高純度の細胞を供給できるという点で、再生細胞の潜在的に優れた起源を供給するだろう。
【0093】
実施例4:遺伝病に対する同種異系適用
Horwitzらは、骨髄由来の幹細胞が、非造血性障害、特に骨形成不全症の患者に対して臨床的利益を提供できることを実証した(Horwitz, E. M., D. J. Prockopら(1999),“骨形成不全症の子供における骨髄由来間充織細胞の移植可能性及び治療効果”, Nat Med 5(3):309-13;Horwitz, E. M., D. J. Prockopら(2001),“重篤な骨形成不全症の子供の骨髄移植に対する臨床反応”Blood 97(5):1227-31)。これら研究では、著者は、培養内で細胞を成長させてMSC成分を膨張させて精製することによって、骨髄内の非造血性幹細胞の低い数と頻度を補うことを試みた。しかし、上述したように、培養内で細胞を成長させることは実質的な技術的及び臨床的な問題を伴い、かつこの開示に従って処理した脂肪組織の、細胞培養を必要とせずに多数の幹細胞の起源を供給する可能性は患者ケアにおける強力な現実的改善を意味する。血縁でないドナーの使用はこの発明の範囲内であるが、このモデルでは、遺伝病(正常な遺伝子型又は無症候性保有者)によって影響を受けない適切に調和したドナー、好ましくは兄弟又は他の第1度の親類が、ドナー細胞の起源である。妥協した組織機能又は再生をもたらす遺伝病の患者内に注入するため細胞を脂肪組織から抽出する。例としては、限定するものではないが、骨形成不全症、デュシュネ筋ジストロフィー(及び他の筋ジストロフィー)、遺伝性網膜変性疾患、遺伝性チロシン血症、及び多くの遺伝病が挙げられる。
【0094】
この結果は、幹細胞区画内への遺伝子の挿入によって自家(自己)処理済み脂肪吸引物を修飾する遺伝子療法アプローチの適用が同種異系(非自己)ドナーの必要性を取り除くことである。このようなアプローチは、新規遺伝子を幹細胞内に挿入する感染症の治療でも使用できる。例えば、アンチセンス又はリボザイム構成物を用いて抗-HIV効果を供与可能な細胞を生成できる。このアプローチを用いて、薬物送達媒体として作用可能な幹細胞をも生成できる。
【0095】
引用文献







【0096】
本明細書で述べたいずれの特徴又は特徴の組合せも、該組合せに含まれる特徴が、文脈、この明細書、及び本技術の当業者の知識から明らかなように、相互に矛盾しないことを条件として本発明の範囲内に包含される。本発明の概要を述べる目的のため、本発明の特定の局面、利点及び新規な特徴について述べた。当然、このような局面、利点又は特徴のすべてが、必ずしも本発明のいずれの特定の実施形態でも具体化されるものでないことを理解すべきである。本発明のさらなる利点及び局面は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲で明白である。
【0097】
上記実施形態は、例として提供したものであり、本発明は、これら実施例に限定されない。前記述を考慮すれば、相互に排他的でない程度まで、開示した実施形態の多くの変形及び変更が、本技術の当業者には想起されるだろう。さらに、本明細書の開示に照らして他の組合せ、省略、置換及び修正が当業者には明かだろう。従って、本発明は、開示した実施形態によって制限されるものでないが、添付の特許請求の範囲との関係で定義されるものである。
本明細書では、多くの出版物及び特許を引用した。引用した出版物及び特許はそれぞれその全体が参照によって本明細書に取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の治療方法であって、以下の工程:
(a)組織除去システムを供給する工程;
(b)この組織除去システムを用いて、ある濃度の幹細胞を有する脂肪組織を前記患者から除去する工程;
(c)この脂肪組織の少なくとも一部を処理し、処理前の該脂肪組織の幹細胞の濃度以外の濃度の幹細胞を得る工程;及び
(d)この幹細胞を患者に投与する前に前記組織除去システムから除去せずに、該幹細胞を前記患者に投与する工程
を含む方法。
【請求項2】
工程(b)で、前記脂肪組織を患者から前記組織除去システム内に方向づけ;
工程(c)で、前記脂肪組織を前記組織除去システム内で処理し;かつ
工程(d)で、前記幹細胞を前記組織除去システムから患者に投与する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)が、除去すべき脂肪組織に近接して前記患者内にカニューレを挿入する工程と、前記患者から脂肪組織を吸引する工程の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに以下の工程:
(e)前記患者から除去した前記脂肪組織をろ過して、非脂肪組織から脂肪組織を分離する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(e)が、脂肪組織を保持し、かつ非脂肪組織を通す大きさの多数の孔を有する容器に、前記除去した脂肪細胞を送達する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)が、前記患者から除去した脂肪組織を分解して、該組織内に含まれる細胞を実質的に傷つけずに該組織を分解する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(c)が、前記脂肪組織を、細胞間接触を破壊する少なくとも1種の酵素と混合する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
コラゲナーゼ、ディスパーゼ、リパーゼ、リベラーゼ H1、及びトリプシンから成る群より選択される酵素と前記脂肪組織を混合する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酵素は、除去しなければ前記脂肪組織上に残って該組織を完全に脱凝集させたであろう量の時間と比較して早期に該脂肪組織から除去される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)が、前記幹細胞は実質的に成熟脂肪細胞と結合組織がないように、前記除去した脂肪組織から該幹細胞を分離する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)が、遠心分離を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(c)が、スピニング膜フィルターを使用する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに以下の工程:
(e)遠心分離後、前記幹細胞を再懸濁させる工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
工程(c)が、前記脂肪組織を処理して、より高濃度の幹細胞を得る工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)が、前記少なくとも一部の脂肪組織を分解して前記濃度の幹細胞を生成する工程を含み、かつ工程(d)が、前記濃度の幹細胞を、前記脂肪細胞の他の部分と結合させて、この結合物を前記患者に投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも一部の脂肪組織の体積が、該脂肪組織の他の部分の体積と25%より多く異なる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも一部の脂肪組織の体積が、該脂肪組織の他の部分の体積と100%より多く異なる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記分解工程が、1種以上の酵素によって達成され、該酵素は、除去しなければ前記少なくとも一部の脂肪組織上に残って該組織を完全に脱凝集させたであろう量の時間と比較して早期に該少なくとも一部の脂肪組織から除去される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
工程(c)の後に、前記少なくとも一部の脂肪組織からの前記濃度の幹細胞を、該脂肪組織の他の部分と混合し、かつ工程(d)が、この混合物を患者に投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記分解工程が、1種以上の酵素によって達成され、該酵素は、除去しなければ前記少なくとも一部の脂肪組織上に残って該組織を完全に脱凝集させたであろう量の時間と比較して早期に該少なくとも一部の脂肪組織から除去される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも一部の脂肪組織の体積が、該脂肪組織の他の部分の体積と50%より多く異なる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも一部の脂肪組織の体積が、該脂肪組織の他の部分の体積と150%より多く異なる、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
さらに以下の工程:
(e)前記患者由来の前記幹細胞の拒絶反応を阻害する免疫抑制剤を投与する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
工程(e)が、シクロスポリン、ミオフェニレートモフェティル、ラパマイシン、抗-胸腺細胞グロブリン、及び前記患者のB細胞とT細胞の副刺激を減少させる薬剤から成る群より選択される免疫抑制剤を投与する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに以下の工程:
(e)前記患者に投与したときの前記幹細胞の分化を特定するため、該患者に細胞分化因子を投与する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
工程(c)が、前記少なくとも一部の脂肪組織を部分的にだけ脱凝集させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
工程(c)が、前記脂肪組織を処理して複数部分の脂肪組織にする工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
工程(c)が、前記複数部分の脂肪組織の少なくとも一部分を部分的にだけ脱凝集させる工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記部分の少なくとも二部分の脂肪組織を一緒に混合する工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記部分の少なくとも一部分の脂肪組織を処理して、幹細胞を含有するペレットを形成する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
工程(d)が、前記脂肪組織を除去した前記患者に前記幹細胞を投与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
さらに以下の工程:
(e)前記脂肪組織から得た前記幹細胞を冷却する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
さらに以下の工程:
(e)前記脂肪組織から得た前記幹細胞の一部分を前記組織除去システムから除去する工程;及び
(f)前記組織除去システムから除去した前記部分の幹細胞を保存する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
工程(f)が、前記システムから除去した前記部分の幹細胞を凍結保存する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記幹細胞を患者に投与して病気を治療する、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記幹細胞を患者に投与して、該患者の美容特徴を治療する、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記幹細胞を患者に投与して、骨関連障害、疾患、又は損傷、脂肪関連障害又は疾患;肝臓関連疾患、障害、又は損傷、心筋梗塞、腎臓病又は腎臓損傷;網膜疾患又は障害又は壊死;創傷治癒;骨格筋障害;軟骨及び関節修復;肺損傷;糖尿病;腸障害;及び神経系障害、疾患、又は損傷を治療する、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
工程(b)と(c)を自動化した、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
さらに、(e)前記幹細胞を前記患者に投与した後に、体液と接触した前記組織除去システムの部分を処分する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
患者を治療するための組織除去システムであって、
(a)以下の部品:
(i)患者から除去した脂肪組織を受ける構造の組織収集入口ポート;及び
(ii)該容器内に配置され、患者から除去した脂肪組織を保持し、かつ該患者から除去した非脂肪組織を通す構造のフィルター
を含む組織収集容器、
(b)前記組織収集容器に連結され、前記脂肪組織から得た幹細胞を、該組織除去システムから除去せずに受ける混合容器であって、この中に含まれる前記幹細胞と混合するための少なくとも1種の添加剤を投与するための添加ポートを含む混合容器、及び
(c)前記混合容器内の幹細胞を患者に投与するために該組織収集システムから除去可能な構造の出口
を含むシステム。
【請求項41】
前記組織収集入口ポートが、患者内に挿入されて該患者から脂肪組織を除去するカニューレに連結されている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記組織収集容器が、吸引装置に連結される構造の吸引ポートを含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
さらに、前記組織収集容器と前記混合容器との間に配置された細胞収集容器を含むので、前記幹細胞は、前記組織収集容器から前記混合容器に進む前に該細胞収集容器に進む、請求項40に記載のシステム。
【請求項44】
前記細胞収集容器が、懸濁液内の前記幹細胞の該懸濁液の流体からの分離を容易にする細胞濃縮器を含む、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記細胞収集容器がスピニング膜フィルターを含む、請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記細胞収集容器がフレキシブルバッグを含む、請求項43に記載のシステム。
【請求項47】
さらに、前記幹細胞を前記細胞収集容器から前記混合容器に通し、かつ少なくともその中に含まれる前記幹細胞より大きい物質の通過を妨げる構造の他のフィルターを含む、請求項43に記載のシステム。
【請求項48】
前記他のフィルターが直径約200μm未満の多数の孔を含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記他のフィルターが直径約20μm〜200μmの多数の孔を含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
前記他のフィルターが前記細胞収集容器から間隔を置いて離れている、請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
前記他のフィルターが前記細胞収集容器の部品である、請求項47に記載のシステム。
【請求項52】
さらに、前記組織収集容器内に保持されている組織を前記混合容器に通すための前記組織収集容器から前記混合容器への導管を与える組織回収ラインを含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項53】
さらに、該システム内の前記脂肪組織の除去と処理を自動化する構造の処理装置を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項54】
前記組織収集容器が、吸引装置によって該容器に吸引力が加えられたとき、その形態を保持する本体を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項55】
前記組織収集容器が剛性体を含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記組織収集容器がフレキシブルバッグを含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
第1フィルターが約20μm〜5mmの範囲の大きさの多数の孔を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項58】
さらに、前記組織収集容器内に含まれる物質の温度を調整する温度制御装置を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項59】
前記温度制御装置が加熱器である、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記温度制御装置が、前記組織収集容器に送達される流体の温度を調整するように配置される、請求項58に記載のシステム。
【請求項61】
前記出口が前記混合容器の部品である、請求項40に記載のシステム。
【請求項62】
前記出口が前記混合容器から間隔を置いて離れている、請求項40に記載のシステム。
【請求項63】
前記出口が流体不浸透性膜である、請求項40に記載のシステム。
【請求項64】
前記組織収集容器と、前記混合容器と、前記出口とが、外部環境に開放していない閉鎖系を画定する、請求項40に記載のシステム。
【請求項65】
さらに、前記出口に連結された、前記混合容器内に含まれる幹細胞を患者に送達するための組織投与装置を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項66】
該組織除去システムの、体液に接触した部分が、1回の使用後に処分される構造である、請求項40に記載のシステム。
【請求項67】
患者に投与するための組成物であって、以下の成分:
a)ある幹細胞濃度を有する第1部分の脂肪組織;
b)前記第1部分の脂肪組織より高い濃度の幹細胞を有する第2部分の脂肪組織
を含む組成物。
【請求項68】
前記第1及び第2部分が一緒に混合される、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記第2部分の脂肪組織が、実質的に成熟脂肪細胞と結合組織のない幹細胞を含む、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記第2部分内の幹細胞の量が、該第2部分内に存在する細胞の総量の約0.1%より多い、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
前記第2部分内の幹細胞の量が、該第2部分内の細胞の総量の約0.1%〜約100%である、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
前記第2部分内の幹細胞の量が、該第2部分内の細胞の総量の約20%より多い、請求項70に記載の組成物。
【請求項73】
前記混合した部分の幹細胞の濃度が、前記第1部分の幹細胞の濃度より少なくとも50%多い、請求項69に記載の組成物。
【請求項74】
前記混合した部分の幹細胞の濃度が、前記第1部分の幹細胞の濃度より少なくとも2倍多い、請求項69に記載の組成物。
【請求項75】
前記混合した部分の幹細胞の濃度が、前記第1部分の幹細胞の濃度より少なくとも3倍多い、請求項69に記載の組成物。
【請求項76】
さらに、前記幹細胞の分化を制御するための量で存在する細胞分化因子を含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項77】
前記第2部分が、少なくとも部分的に解離した脂肪組織を含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項78】
前記第2部分の脂肪組織が、少なくとも2つの別個部分の脂肪組織の組合せを含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項79】
前記第2部分の脂肪組織が、培養又は凍結保存以外によって処理された、請求項67に記載の組成物。
【請求項80】
患者の治療方法であって、以下の工程:
a)脂肪組織除去システムを供給する工程;
b)この脂肪組織除去システムを用いて、ある濃度の幹細胞を有する脂肪組織を患者から除去する工程;
c)この脂肪組織を処理して、該脂肪組織内の幹細胞の濃度を高める工程;
d)この濃縮幹細胞を有する脂肪組織を、他の部分の脂肪組織と混合する工程;及び
e)この幹細胞の濃度が高められた脂肪組織を患者に投与する工程
を含む方法。
【請求項81】
工程(b)が、前記患者から脂肪組織を吸引する工程と、前記患者から脂肪組織を切除する工程の少なくとも1つを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
工程(c)が、さらに、ろ過した脂肪組織を脱凝集させ、次いでスピニング膜フィルターを使用する工程を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
工程(c)が、前記脂肪組織を部分に分け、かつ少なくとも一部分の脂肪組織内の幹細胞の濃度を高める工程を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記少なくとも一部分の脂肪組織を部分的にだけ脱凝集させる、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
工程(c)が、さらに、高められた濃度の幹細胞を有する前記少なくとも一部分の脂肪組織を、幹細胞の濃度が高められていない部分の脂肪組織と混合する工程を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
高められた濃度の幹細胞を有する前記少なくとも一部分の脂肪組織が、凍結保存した組織から得られる、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記組織除去システムが閉鎖系であり、かつこの閉鎖系内で工程(c)が全体的に行われる、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
工程(b)及び(c)が自動化されている、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
工程(b)、(c)、及び(d)が自動化されている、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記少なくとも一部分の脂肪組織の体積が、該脂肪組織の他の部分の体積と25%より多く異なる、請求項80に記載の方法。
【請求項91】
前記少なくとも一部分の脂肪組織の体積が、該脂肪組織の他の部分の体積と100%より多く異なる、請求項80に記載の方法。
【請求項92】
さらに、(f)前記患者に前記幹細胞を投与した後に、体液に接触した前記組織除去システムの部分を処分する工程を含む、請求項80に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−149088(P2012−149088A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91080(P2012−91080)
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【分割の表示】特願2010−1420(P2010−1420)の分割
【原出願日】平成14年12月9日(2002.12.9)
【出願人】(503077877)サイトリ セラピューティクス インコーポレイテッド (32)
【Fターム(参考)】