説明

処理装置、処理システム、座標補正方法および座標補正プログラム

【課題】スループットの低下を低減しつつ、レシピに登録された座標と実際の座標とのずれを自動的に補正する。
【解決手段】基板Wにおけるモデルの検査・測定座標を記憶したレシピに基づいて搬送ステージ13上に載置された基板Wにおけるモデルを検査・測定する基板検査・測定装置10は、搬送ステージ13上に載置された基板Wにおけるモデルの実座標を特定し、特定した実座標をレシピに登録する(ステップS114、S415)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理システム、座標補正方法および座標補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばガラス基板などの広い処理対象面を持つ基板に対して検査や測定などの処理を行う処理装置では、処理対象面の特定位置を検査/測定する際、レシピに登録された座標に基づいて、基板が載置されるステージや検査/測定ユニットを移動する。ただし、レシピに登録された対象パターンの座標と、ステージ上の実際の対象パターンの座標とは、必ずしも一致するものではない。そこで、例えば以下に示す特許文献1では、基板が載置された検査ステージのステージ原点からの移動量に応じた移動補正量を基板移動の際のレシピに記憶しておき、同一品種の基板については、指定された座標データに対して移動補正量を加えた座標データに従って基板を移動していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−107137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、レシピに登録された対象パターンの座標が実際の対象パターンの座標からずれていた場合、手動により実際の座標を特定して移動補正量を求める必要があった。このため、従来の技術では、処理工程の増大と煩雑化とが生じ易く、処理装置でのスループットが低下し易いという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、スループットの低下を低減しつつ、レシピに登録された座標と実際の座標とのずれを自動的に補正することが可能な処理装置、処理システム、座標補正方法および座標補正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明による処理装置は、基板における処理対象の座標を記憶したレシピに基づいてステージ上に載置された前記基板における前記処理対象に所定の処理を実行する処理装置であって、前記ステージ上に載置された前記基板における前記処理対象の実際の座標を特定する実座標特定手段と、前記実座標特定手段で特定された前記実際の座標を前記レシピに登録する実座標登録手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明による処理システムは、上記した本発明による処理装置と、複数の前記処理装置が接続されたネットワークと、よりなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による座標補正方法は、ステージ上に載置された基板における処理対象に所定の処理を実行する際に使用するレシピに登録された前記処理対象の前記基板上の座標を補正する座標補正方法であって、前記ステージ上に載置された前記基板における前記処理対象の実際の座標を特定する実座標特定ステップと、前記実座標特定ステップで特定された前記実際の座標を前記レシピに登録する実座標登録ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明による座標更新プログラムは、ステージ上に載置された基板における処理対象に所定の処理を実行する際に使用するレシピに登録された前記処理対象の前記基板上の座標を補正する処理をコンピュータに実行させるための座標補正プログラムであって、前記ステージ上に載置された前記基板における前記処理対象の実際の座標を特定する実座標特定処理と、前記実座標特定処理で特定された前記実際の座標を前記レシピに登録する実座標登録処理と、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステージ上に載置された基板における処理対象の実際の座標を特定してこの実際の座標をレシピに登録するため、スループットの低下を低減しつつ、レシピに登録された座標と実際の座標とのずれを自動的に補正することが可能な処理装置、処理システム、座標補正方法および座標補正プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態による基板検査・測定システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、本実施の形態による基板検査・測定装置の概略構成を示す外観図である。
【図3】図3は、本実施の形態における搬送ステージ上の基板と検査・測定ユニットとの関係を示す概略模式図である。
【図4】図4は、本実施の形態による基板検査・測定装置のレシピ作成動作の概略を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施の形態によるアライメント補正を説明するための概略図である。
【図6】図6は、本実施の形態におけるモデル検索処理の具体例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施の形態における周辺サーチ処理の具体例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施の形態におけるモデル引き込み処理を説明するための図である。
【図9】図9は、本実施の形態による基板検査・測定システムの概略構成を示す模式図である。
【図10】図10は、本実施の形態による検査・測定動作の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
【0013】
(一実施の形態)
まず、本発明の一実施の形態による処理装置、処理システム、座標補正方法および座標補正プログラムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、処理装置として、ガラス基板などの基板を検査・測定する基板検査・測定装置を例に挙げる。ただし、これに限定されず、たとえば基板における欠陥箇所をレーザ照射等によって修復する、いわゆるリペア装置など、基板に対する処理を実行する各種処理装置を適用することができる。
【0014】
図1は、本実施の形態による基板検査・測定システムの概略構成を示す模式図である。図1に示すように、基板検査・測定システムは、1つ以上の基板検査・測定装置10A、10B、…(以下、区別する必要が無い際の基板検査・測定装置の符号を10とする)と、基板検査・測定装置10A、10B、…へ基板を搬入出する基板搬入出部15A、15B、…(以下、区別する必要が無い際の基板検査・測定装置の符号を15とする)と、1つ以上の基板検査・測定装置10および1つ以上の基板搬入出部15が接続されたネットワーク110と、ネットワーク110に接続されたホストコンピュータ(PC)100と、を備える。なお、ネットワーク110には、ローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネットや専用回線など、種々のネットワークを適用することができる。
【0015】
個々の基板検査・測定装置10は、検査・測定対象の基板を搬送する搬送ステージ13と、搬送ステージ13を制御するステージコントローラ12と、搬送ステージ13上の基板を特定位置で検査・測定する検査・測定ユニット14と、ステージコントローラ12および検査・測定ユニット14を制御する制御コンピュータ(PC)11と、を備える。制御PC11は、検査・測定ユニット14で取得された検査・測定結果(たとえば画像)を処理する処理部11bと、画像データやレシピや各種プログラムおよびパラメータ等を記憶する記憶部11cと、他の基板検査・測定装置10や基板搬入出部15やホストPC100との通信を担う通信部11dと、制御PC11内の各部の動作や各種処理を実行する制御部11aと、を備える。
【0016】
レシピには、基板に対する検査・測定対象(モデル)の位置を示す座標(以下、検査・測定座標という)や、レシピ登録時の撮像における光量および倍率などの情報が、検査・測定時のパラメータとして登録される。このレシピは、たとえばホストPC100または他の基板検査・測定装置10からネットワーク110を介して各基板検査・測定装置10に送信される。すなわち、レシピは、複数の基板検査・測定装置10において共有される。各基板検査・測定装置10は、受信した、または、取得したレシピを記憶部11c内に保持しておき、必要に応じて読み出す。
【0017】
ここで、基板検査・測定装置10の概略構成を、図面を用いて詳細に説明する。図2は、本実施の形態による基板検査・測定装置の概略構成を示す外観図である。図2に示すように、基板検査・測定装置10では、搬送ステージ13が架台16に固定されている。架台16は、たとえばスチール材を組み合わせたフレームなどで構成することができる。ただし、ブロック状の大理石などを用いてもよい。また、架台16には、たとえば顕微鏡などの検査・測定ユニット14を検査・測定ラインL13に沿って移動可能に保持するガントリーステージ14aが固定される。架台16と設置面(たとえば床)との間には、たとえばスプリングや油圧ダンパなどで構成された振動吸収機構17が設けられてもよい。この構成により、搬送ステージ13および検査・測定ユニット14の振動を抑制することが可能になる。このような基板検査・測定装置10は、たとえば外装18およびファンフィルタユニット(FFU)19によって形成されるクリーンルーム内に収容される。
【0018】
つづいて、搬送ステージ13上の基板Wと検査・測定ユニット14との関係を、図面を用いて詳細に説明する。図3は、本実施の形態における搬送ステージ上の基板と検査・測定ユニットとの関係を示す概略模式図である。ただし、図3では、搬送ステージ13を簡素化して示す。
【0019】
図3に示すように、搬送ステージ13上の基板Wは、搬入出方向D1に沿って搬送ステージ13上を移動する。搬送ステージ13の上面には、たとえば無数の穴が設けられている。この穴から空気を吹き出すことで、搬送ステージ13上の基板Wを搬送ステージ13に直接接触させることなく移動させることが可能となる(浮上搬送)。搬送ステージ13上での基板Wの移動は、制御PC11からの制御の下で動作するステージコントローラ12によって制御される。たとえば、ステージコントローラ12は、搬送ステージ13の脇に隣接して配置され、制御PC11からの制御の下で搬入出方向D1へ移動する移送ユニット(不図示)を含む。基板Wは、たとえば端部もしくは中央部(重心位置)などの少なくとも1箇所が移送ユニットに担持されることで、制御PC11からの制御に従って搬送ステージ13上を搬入出方向D1に沿って移動する。また、この他にも、搬送ステージ13の上面に複数の駆動ローラまたはフリーローラを設け、このローラによって搬送ステージ13上の基板Wを搬送ステージ13に直接接触させることなく移動するように構成することもできる。
【0020】
一方、検査・測定ユニット14は、長手方向D2が搬入出方向D1に対して垂直となるように配置されたガントリーステージ14aの長手方向D2に沿って移動しつつ、搬送ステージ13上の基板Wを検査・測定する。したがって、検査・測定ユニット14は、検査・測定ラインL13上のある位置において基板Wを検査・測定する。検査・測定ユニット14の移動は、ガントリーステージ14aに実装されたリニアモータ駆動機構、または、検査・測定ユニット14に実装された自走機構によって実現される。リニアモータ駆動機構または自走機構の駆動は、制御PC11によって制御される。なお、ガントリーステージ14a自体が、基板Wに対して搬入出方向D1および/または長手方向D2に移動するように構成しても良い。この場合、ガントリーステージ14aを移動させるリニアモータ駆動機構または自走機構などの移動機構は、制御PC11によって制御される。
【0021】
ここで、レシピに登録され得る検査・測定座標には、基板設計情報に基づいた座標(以下、設計座標という)と、基板W上の実際の座標(以下、実座標という)と、の少なくとも2種類が存在する。設計座標は、基板Wにおける設計上のある位置(たとえばアライメントマーク位置)を原点とした設計段階での座標である。一方、実座標は、実際の基板Wのある位置(たとえばアライメントマーク位置)を原点として測定された座標である。ただし、実座標を直接含める代わりに、設計座標に対する実座標のずれ量(たとえば後述するモデル引き込み処理や周辺サーチ処理における基板および検査・測定ユニット14の移動量、または、設計座標と実座標との差等)を補正量としてレシピに登録しておくことで、実質上、実座標を登録した場合と同様の構成を得ることもできる。
【0022】
つぎに、本実施の形態による基板検査・測定装置10の動作について、図面を用いて詳細に説明する。本実施の形態による動作には、レシピを作成する動作(レシピ作成動作)と、レシピを用いて基板を検査・測定する動作(検査・測定動作)と、が含まれる。
【0023】
図4は、本実施の形態による基板検査・測定装置のレシピ作成動作の概略を示すフローチャートである。なお、レシピ作成動作において作成されるレシピには、検査・測定対象(モデル)の基板上の位置を示す座標(設計座標)が検査・測定座標としてあらかじめ登録されているものとする。以下の説明では、基板検査・測定装置10の制御PC11における制御部11aの動作に着目する。
【0024】
図4に示すように、本実施の形態によるレシピ作成動作では、制御部11aは、まず、たとえば外部のコンピュータ等から入力された基板設計情報に基づいて、検査・測定対象とするモデルの設計上の座標を検査・測定座標(設計座標)としてレシピに登録する(ステップS101)。なお、この検査・測定座標(設計座標)の登録は、自動登録であっても、ユーザの作業による手動登録であってもよい。また、レシピは、あらかじめ作成しておいたファイル(空ファイルを含む)であっても、このステップで新たに作成されたファイルであってもよい。
【0025】
つぎに、制御部11aは、ホストPC100からの指示に従って基板搬入出部15から基板Wを搬送ステージ13上に搬入し(ステップS102)、この搬入された基板Wを機械的に位置決め(基板アライメント)する(ステップS103)。これにより、ステージコントローラ12の移送ユニットに対する基板Wの位置が粗調整される。つぎに、制御部11aは、検査・測定ユニット14の光量および倍率を、基板Wの搬送ステージ13に対する位置ずれを補正するアライメント補正をする際の光量および倍率に切り換え(ステップS104)、つづいて、ステージコントローラ12を駆動することで基板Wを搬送ステージ13上の所定位置(アライメントマーク位置)に移動する(ステップS105)。つづいて、制御部11aは、ステージコントローラ12および検査・測定ユニット14を適宜駆動することで、基板Wに形成されたアライメントマークを測定し、この測定により得られたアライメントマークの位置から、移動後に基板Wがあるべき位置に対する基板Wの実際の位置のずれ量を算出し、このずれ量に基づいて、基板Wに対する座標系を補正(アライメント補正)する(ステップS106)。
【0026】
基板Wの座標系のずれは、基板Wを載置する際の位置決め精度や、ステージコントローラ12による移動の精度や、製造過程において基板W自体に生じた設計寸法に対するずれや、基板検査・測定装置10自体が持つ歪み(X−Y軸の直交性、回転度、各軸の伸縮、ピッチング、ヨーイングなど)等によって生じる。したがって、ステップS106のアライメント補正では、制御PC11による制御における座標系に対する、搬送ステージ13上に載置された基板W自体の座標系のずれが補正される。具体的な例を、図5に示す例を用いて説明する。図5は、本実施の形態によるアライメント補正を説明するための概略図である。図5に示す例では、基板Wの対角に位置する隅付近の所定位置に2つのアライメントマーク(M1、M2)が形成されている。たとえば移動後に基板Wがあるべき位置に存在する場合の基板を基板Wiとし、移動後の実際の基板Wを基板Wrとすると、制御部11aは、基板WiのアライメントマークM1iに対する基板WrのアライメントマークM1rのずれ量(Δx1,Δy1)を算出するとともに、基板WiのアライメントマークM2iに対する基板WrのアライメントマークM2rのずれ量(Δx2,Δy2)を算出する。つづいて、制御部11aは、各アライメントマーク(M1、M2)のずれ量(Δx1,Δy1)および(Δx2,Δy2)から、実際の基板Wrの理想的な位置(基板Wiの位置)に対するx方向のずれ量(Δx)とy方向のずれ量(Δy)と回転量(θ)とを算出し、この値(Δx,Δy,θ)に基づいて、実際の基板Wrの座標系を補正する。これにより、アライメントエラーによってオフセットとして生じる基板W自体の位置ずれを補正することが可能となる。なお、ステップS105の移動によっても検査・測定ユニット14によってアライメントマークを撮像できなかった場合、後述する周辺サーチ処理(図7参照)を行うことによって、アライメントマークを検索するようにしてもよい。
【0027】
図4に戻り説明する。以上のように基板Wの座標系を補正すると、つぎに制御部11aは、ユーザがレシピに登録された検査・測定座標を自動で補正する指示を不図示の入力部を介して入力したか否かを判定し(ステップS107)、入力されていない場合(ステップS107のNo)、そのまま本動作を終了する。一方、自動補正の指示が入力されていた場合(ステップS107のYes)、制御部11aは、検査・測定ユニット14の光量および倍率を検査・測定時の光量および倍率に切り換える(ステップS108)。つづいて、制御部11aは、レシピに登録された検査・測定座標(設計座標)のうち1つを選択し(ステップS109)、つづいて、ステージコントローラ12および検査・測定ユニット14を駆動することで、検査・測定領域のたとえば中央に選択した検査・測定座標(設計座標)を位置させる(ステップS110)。
【0028】
つぎに、制御部11aは、検査・測定対象のパターン(モデル)を検索するモデル検索処理を実行する(ステップS111)。図6に、このモデル検索処理の具体例を示す。図6に示すように、モデル検索処理では、制御部11aは、まず、検査・測定ユニット14を駆動して基板Wを撮像する(ステップS201)。この際、検査・測定ユニット14は、たとえば検査・測定時の光量および倍率と同じ光量および倍率で基板Wを測定する。つづいて、制御部11aは、ステップS201で得られた画像を処理部11bによって解析することで、この画像にモデルのパターンが含まれているか否かを検索する(ステップS202)。ステップS202のパターン検索の結果、画像に対象モデルのパターンが含まれている場合(ステップS203のYes)、制御部11aは、図4に示す動作へリターンする。一方、画像に対象モデルのパターンが含まれていない場合(ステップS203のNo)、制御部11aは、選択中の検査・測定座標を含む検査・測定領域に隣接する周辺領域をモデル検索する周辺サーチ処理を実行する(ステップS204)。
【0029】
ここで、図7に、この周辺サーチ処理の具体例を示す。図7に示すように、周辺サーチ処理では、制御部11aは、まず、選択中の検査・測定座標を含む検査・測定領域を取り囲むように隣接するたとえば8つの周辺領域のうち、あらかじめ定められた順序に従っていずれか1つを選択し、この選択した領域が映されるように、ステージコントローラ12および検査・測定ユニット14を駆動する(ステップS301)。つぎに、制御部11aは、検査・測定ユニット14を駆動して基板Wを撮像する(ステップS302)。この際、検査・測定ユニット14は、たとえば検査・測定時の光量および倍率と同じ光量および倍率で基板Wを測定する。つづいて、制御部11aは、ステップS302で得られた画像を処理部11bによって解析することで、この画像にモデルのパターンが含まれているか否かを検索する(ステップS303)。ステップS303のパターン検索の結果、画像に対象モデルのパターンが含まれている場合(ステップS304のYes)、制御部11aは、図6に示す動作へリターンする。一方、画像に対象モデルのパターンが含まれていない場合(ステップS304のNo)、制御部11aは、全ての周辺領域を選択済みであるか否かを判定し(ステップS305)、選択済みでない場合(ステップS305のNo)、ステップS301へ帰還して、あらかじめ定められた順序に従って次の周辺領域を選択する。一方、全ての周辺領域を選択済みである場合(ステップS305のYes)、制御部11aは、図6に示す動作へリターンする。
【0030】
図6に戻り説明する。以上のようにして、選択中の検査・測定座標に対応するモデルを特定すると、制御部11aは、図4に示す動作へリターンする。つづいて、図4に戻り説明する。ステップS111においてモデル検索処理を完了すると、つぎに制御部11aは、検査・測定領域内に映し出されたモデルを、この検査・測定領域の中央に引き込むモデル引き込み処理を実行する(ステップS112)。具体的には、たとえば図8に示す例のように、制御部11aは、画像に含まれる特定のモデルMDが(図8(a)参照)、検査・測定領域IGの中央に位置するように(図8(b)参照)、ステージコントローラ12および検査・測定ユニット14を駆動する。なお、図8は、本実施の形態におけるモデル引き込み処理を説明するための図である。図8において、BLは、たとえば基板Wに形成されたビットラインであり、WLは、たとえば基板Wに形成されたワードラインである。したがって、この例では、ビットラインBLとワードラインWLとを接続するノード部分のパターンを検査・測定対象のモデルとしている。
【0031】
図4に戻り説明する。図8を用いて説明したように、対象モデルを検査・測定領域IGの中央に引き込むと、つぎに制御部11aは、引き込み後に検査・測定ユニット14によって撮像された画像を処理部11bで解析することで、画像におけるパターンの線幅やオーバレイを測定する(ステップS113)とともに、引き込み後のモデルの実座標を特定し、この実座標を検査・測定座標としてレシピに登録する(ステップS114:実座標特定手段/ステップ/処理、実座標登録手段/ステップ/処理)。すなわち、図1における制御部11aは、引き込み後のモデルの実座標を特定し、この実座標を検査・測定座標としてレシピに登録する実座標特定手段、ならびに実座標登録手段として機能する。この際、解析により得られた線幅やオーバレイも併せてレシピに登録してもよい。つづいて、制御部11aは、レシピに登録されている全ての検査・測定座標についての補正が完了したか否かを判定し(ステップS115)、完了している場合(ステップS115のYes)、本動作を終了する。一方、完了していない場合(ステップS115のNo)、制御部11aは、ステップS109へ帰還し、以降、同様の動作を実行する。
【0032】
以上のようにして作成されたレシピRcpは、図9に示すように、ネットワーク110を介して他の基板検査・測定装置10に送られ、共有される。この際、図9において破線で示すように、ネットワーク110に接続されたホストPC100を介してレシピRcpが他の基板検査・測定装置10に配信されるようにしてもよい。なお、図9は、本実施の形態による基板検査・測定システムの概略構成を示す模式図である。
【0033】
つづいて、他の基板検査・測定装置10で作成されたレシピを用いて基板Wを検査・測定する際の基板検査・測定装置10の動作について、図面を用いて詳細に説明する。図10は、本実施の形態による検査・測定動作の概略を示すフローチャートである。なお、各基板検査・測定装置10は、いずれかの基板検査・測定装置10において作成されたレシピを保持しているものとする。
【0034】
図10に示すように、本実施の形態による検査・測定動作では、制御部11aは、図4のステップS102〜S106と同様の動作を実行することで、基板搬入出部15から搬入した基板Wのアライメント補正を行う(ステップS401〜S405)。つぎに、制御部11aは、図4のステップS108〜S115と同様の動作を実行することで、レシピに登録されている全ての検査・測定座標についての補正を完了する(ステップS406〜S413)。ただし、ステップS407に示す動作において、レシピに2種類の検査・測定座標(設計座標および実座標)が登録されている場合、制御部11aは、実座標を選択する。また、ステップS411に示す動作は、省略してもよい。さらに、ステップS412では、引き込み後のモデルの検査・測定座標(実座標)をレシピに登録するのではなく、記憶部11c(図1参照)等のメモリに一時的に記憶する。
【0035】
以上のように、レシピに登録された全ての検査・測定座標について補正が完了すると、つぎに、制御部11aは、レシピに登録された全ての検査・測定座標に対する処理において、たとえばモデルが検索できなかったなどのエラーが発生しなかったか否かを判定し(ステップS414)、エラーが存在しなかった場合(ステップS414のYes)、ステップS412で一時的に記憶した検査・測定座標(実座標)をレシピに登録し(ステップS415)、その後、本動作を終了する。一方、いずれかの検査・測定座標に対する処理においてエラーが発生していた場合(ステップS414のNo)、制御部11aは、ステップS412においてメモリ等に一時的に記憶しておいた検査・測定座標(実座標)を破棄し(ステップS416)、その後、本動作を終了する。このように、全ての検査・測定座標に対する処理においてエラーが発生しなかったことを条件として、新たに実測された検査・測定座標(実座標)をレシピに登録することで、誤りを含む検査・測定座標がレシピに登録されることを防止できる。なお、ステップS416の動作は、省略してもよい。
【0036】
以上のように、本実施の形態では、搬送ステージ13上に載置された基板Wにおけるモデルの実座標を自動的に特定してこの実座標をレシピに登録するため、スループットの低下を低減しつつ、レシピに登録された座標と実座標とのずれを自動的に補正することが可能となる。
【0037】
また、以上のように作成/補正したレシピを複数の基板検査・処理装置10において共有することは、各基板検査・測定装置10におけるレシピの更新処理(検査・測定座標の補正/更新)を省略することを可能にするため、スループットの低下を更に低減しつつ、レシピに登録された座標と実座標とのずれを自動的に補正することが可能となる。
【0038】
なお、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0039】
10、10A、10B、10C、10D、… 基板検査・測定装置
11 制御PC
11a 制御部
11b 処理部
11c 記憶部
11d 通信部
12 ステージコントローラ
13 搬送ステージ
L13 検査・測定ライン
14 検査・測定ユニット
14a ガントリーステージ
15A、15B、… 基板搬入出部
18 外装
19 FFU
100 ホストPC
110 ネットワーク
BL ビットライン
WL ワードライン
IG 検査・測定領域
MD モデル
D1 搬入出方向
D2 長手方向
M1i、M1r、M2i、M2r アライメントマーク
Rcp レシピ
W、Wi、Wr 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板における処理対象の座標を記憶したレシピに基づいてステージ上に載置された前記基板における前記処理対象に所定の処理を実行する処理装置であって、
前記ステージ上に載置された前記基板における前記処理対象の実際の座標を特定する実座標特定手段と、
前記実座標特定手段で特定された前記実際の座標を前記レシピに登録する実座標登録手段と、
を備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記レシピは、前記処理対象の前記基板における設計上の座標を登録し、
前記実座標登録手段は、前記設計上の座標に対する前記実際の座標の差分を前記レシピに登録することで該レシピに前記実際の座標を登録することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記実座標登録手段によって前記実際の座標が登録された前記レシピをネットワークへ送出する通信部をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載された処理装置と、
複数の前記処理装置が接続されたネットワークと、
よりなることを特徴とする処理システム。
【請求項5】
ステージ上に載置された基板における処理対象に所定の処理を実行する際に使用するレシピに登録された前記処理対象の前記基板上の座標を補正する座標補正方法であって、
前記ステージ上に載置された前記基板における前記処理対象の実際の座標を特定する実座標特定ステップと、
前記実座標特定ステップで特定された前記実際の座標を前記レシピに登録する実座標登録ステップと、
を備えたことを特徴とする座標更新方法。
【請求項6】
ステージ上に載置された基板における処理対象に所定の処理を実行する際に使用するレシピに登録された前記処理対象の前記基板上の座標を補正する処理をコンピュータに実行させるための座標補正プログラムであって、
前記ステージ上に載置された前記基板における前記処理対象の実際の座標を特定する実座標特定処理と、
前記実座標特定処理で特定された前記実際の座標を前記レシピに登録する実座標登録処理と、
を前記コンピュータに実行させるための座標補正プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−232298(P2011−232298A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105475(P2010−105475)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】