説明

処理装置、画像形成システム、及び処理プログラム

【課題】第1の印刷データにない画像が存在する第2の印刷データの頁については、当該頁に限定して2色で画像形成できるようにする。
【解決手段】PDL比較部で、PDL蓄積部から取得した第1の印刷データとなる印刷データと、ステップS13で生成した第2の印刷データとなる印刷データとを比較し(ステップS16)、第1の印刷データとなる印刷データには含まれていないが第2の印刷データとなる印刷データには画像がある領域の存在する頁が存在するか否かを判断する。そして、当該頁のみを画像形成の対象とする(ステップS19)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、画像形成システム、及び処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、黒とハイライトカラーとの2色エンジンで、黒と、あるハイライトカラーとで印字可能なページのみプリントし、そのハイライトカラーで印字できないページは保留し、印字できるページのみ印刷を許可する技術について開示されている。他のハイライトトナーに交換した際、再度印字可能なページのプリント許可をすることにより、効率的なプリント環境を提示する。
【0003】
特許文献2においては、印刷色などによってきれいに印字できない色があると、その色を指定色と一括で置き換える技術について開示されている。印刷に時間がかかる写真、グラフなどは、簡易印刷モードでは、その部分を印字しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008‐93976号公報
【特許文献2】特開平07‐30773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、第1の印刷データにない画像が存在する第2の印刷データの頁については、当該頁に限定して2色で画像形成できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、第1の印刷データを格納している格納手段と、画像形成の対象となるデータを無彩色と1色の有彩色との2色から構成される第2の印刷データに変換する変換手段と、前記第1の印刷データと前記第2の印刷データとを頁ごとに比較し、前記第1の印刷データにはないが前記第2の印刷データには画像がある領域の存在する頁について前記第2の印刷データにつき画像形成装置に画像形成の要求をする要求手段と、を備えている処理装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の処理装置において、前記要求手段は、前記第1の印刷データと前記第2の印刷データとを頁ごとに比較して、内容が同じ頁の前記第2の印刷データについては削除する。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の処理装置と、前記要求手段の画像形成の要求により画像形成を行う画像形成装置と、を備えている画像形成システムである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、画像形成の対象となるデータを無彩色と1色の有彩色との2色から構成される第2の印刷データに変換する変換処理と、前記第1の印刷データと前記第2の印刷データとを頁ごとに比較し、前記第1の印刷データにはないが前記第2の印刷データには画像がある領域の存在する頁について前記第2の印刷データにつき画像形成装置に画像形成の要求をする要求処理と、をコンピュータに実行させるコンピュータに読み取り可能な処理プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、第1の印刷データにない画像が存在する第2の印刷データの頁については、当該頁に限定して2色で画像形成できる。
請求項2に記載の発明によれば、画像形成側で内容が同じ頁の削除等の処理をする必要がなくなる。
請求項3に記載の発明によれば、第1の印刷データにない画像が存在する第2の印刷データの頁については、当該頁に限定して2色で画像形成できる。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、第1の印刷データにない画像が存在する第2の印刷データの頁については、当該頁に限定して2色で画像形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態である画像形成システムの電気的な接続のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態である画像形成システムで処理プログラムに基づいてパーソナルコンピュータが実行する処理の機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態である画像形成システムで処理プログラムに基づいてパーソナルコンピュータの表示装置に表示される操作画面の例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態である画像形成システムで処理プログラムに基づいてパーソナルコンピュータの表示装置に表示される操作画面の例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態である画像形成システムで処理プログラムに基づいてパーソナルコンピュータの表示装置に表示される操作画面の例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態である画像形成システムで操作画面の操作によりアプリケーションソフトが実行する処理のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態である画像形成システムで処理プログラムに基づいてパーソナルコンピュータの表示装置に表示される操作画面の例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態である画像形成システムで操作画面の操作によりアプリケーションソフトが実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態である画像形成システムの電気的な接続のブロック図である。この画像形成システム1は、パーソナルコンピュータ(PC)2と、画像形成装置3とが、ネットワーク4を介して接続されてなる。
PC2は、各種演算を行い、各部を集中的に制御するCPU11と、CPU11の作業エリアとなるRAM12と、プログラムや各種データを記憶する磁気記憶装置13と、キーボード、マウスなどの入力装置14と、表示装置15と、ネットワーク3と通信を行うための通信制御装置16とを備えている。
【0013】
PC2には、処理プログラム17がセットアップされている。この処理プログラム17は、画像形成装置3を制御するドライバソフトであり、処理プログラム17が記憶された記憶媒体から読み取ってセットアップされていてもよいし、インターネットなどからダウンロードしてセットアップされていてもよい。
画像形成装置3は、PC2の印刷要求にしたがって用紙などの印刷媒体上に画像形成する装置である。画像形成装置3は、各部を集中的に制御するコントローラ21と、印刷媒体上に画像形成するプリンタエンジン22と、ネットワーク3と通信を行う通信制御装置23とを備えている。プリンタエンジン22の印刷方式は電子写真方式のほか、インクジェット方式など、様々な方式のものを用いることができる。プリンタエンジン22は、フルカラー画像の画像形成を行うことができる。
【0014】
ユーザがPC2から画像形成装置3に画像形成要求するデータとしては、予めユーザが作成した元データに第3者が赤字等で書込をしたデータである場合がある。このようなデータについて画像形成装置3に画像形成要求する場合には、第3者が赤字等で書込をした頁のみで十分であり、また、画像形成はフルカラー画像で行う必要はなく、2色で形成された画像で十分である。以下では、このような画像形成を可能とする技術について説明する。
【0015】
次に、処理プログラム17に基づいてPC2が実行する処理について説明する。
図2は、処理プログラム17に基づいてPC2が実行する処理の機能ブロック図である。アプリケーションソフト31は、PC2のオペレーティング・ソフト(OS)上で動作するワードプロセッサ、表計算等のソフトウエアである。アプリケーションソフト31で作成された元データについてユーザが画像形成要求を行なうと、その要求に応じて処理プログラム17が当該元データをページ記述言語(PDL)で表現した印刷データに変換し、当該データを画像形成装置3のコントローラ21に送信して画像形成を要求する。
【0016】
アプリケーションソフト31に基づいて、PC2では、PDL生成部41、PDL蓄積部42、PDL比較部43、PDL処理部44の機能を実行する。PDL生成部41は、アプリケーションソフト31で作成され、ユーザが画像形成要求を行なった元データをPDLで表現された印刷データに変換する。また、この場合にユーザの要求があれば、フルカラーで表現された元データを無彩色と、ユーザが指定した特定の1色の有彩色との2色で表現された印刷データに変換する。例えば、フルカラー画像を黒と赤の2色で表現された2色画像に変換するなどである。この場合の2色画像に変換する処理としては様々な周知技術があるが、例えば、フルカラー画像を白黒画像が有彩色画像かを領域判定し、白黒画像部分は黒の濃度値に変換し、有彩色の画像部分は1色の有彩色の濃度値に変換することにより、2色で構成された画像とすることができる。
【0017】
PDL蓄積部42は、PDL生成部41で生成されたPDLで表現されている印刷データを蓄積する。PDL比較部43は、PDL蓄積部42に蓄積されている印刷データ(第1の印刷データ)と、PDL生成部41で新たに生成されたPDLで表現されている印刷データ(第2の印刷データ)とを同ページ同士で比較し、PDL生成部41で新たに生成された印刷データに含まれているが、PDL蓄積部42に蓄積されている印刷データには含まれていない画像やテキスト等が存在する頁があるか否かを判断する。PDL処理部44は、PDL比較部43で、PDL生成部41で新たに生成された印刷データのうち、PDL蓄積部42に蓄積されている印刷データには含まれていない新たな画像やテキスト等が含まれている頁のデータは残し、含まれていないデータは破棄して、残った頁の印刷データのみの画像形成の要求を画像形成装置3のコントローラ21に行なう。
【0018】
図3〜図5は、処理プログラム17に基づいてPC2の表示装置15に表示される操作画面の例を示す説明図である。図3は、デフォルトのプリント設定を示す操作画面の例を示す説明図である。通常は、カラーモード選択欄51で図示のとおり「カラー(自動判別)」を選択する。「カラー(自動判別)」を選択すると、印刷要求の対象となるデータがカラーであるか否かを判断し、カラーの元データであればフルカラー画像の印刷データを生成し、画像形成装置3にフルカラー画像の画像形成を要求する。
【0019】
図4は、2色プリントの設定を示す操作画面の例を示す説明図である。無彩色と予め指定された1色の有彩色との2色で画像形成する場合は、カラーモード選択欄51で図示のとおり「2色プリント」を選択する。この場合は、フルカラーで表現されている元データであっても、PDL生成部41で、無彩色と、ユーザが指定した特定の1色の有彩色との2色で表現された印刷データに変換する。
【0020】
図5は、原稿蓄積の設定を示す操作画面の例を示す説明図である。原稿蓄積チェック欄52にユーザがチェックを入れると、PDL生成部41で生成された印刷データはPDL蓄積部42に蓄積される。この場合に、プリントしないチェック欄53にユーザがチェックを入れることで、PDL生成部41で生成された印刷データはPDL蓄積部42に蓄積しつつも、画像形成装置3に対する画像形成の要求は行なわないことを選択することもできる。
【0021】
図6は、操作画面の操作によりアプリケーションソフト31が実行する処理のフローチャートである。まず、操作画面の操作により、原稿蓄積チェック欄52にユーザがチェックを入れていないときは(ステップS1のN)、PDL生成部41でPDLにより記述された印刷データを生成し(ステップS2)、画像形成装置3に対する画像形成の要求を行なう、通常の画像形成動作を実行する(ステップS3)。
【0022】
原稿蓄積チェック欄52にユーザがチェックを入れているときは(ステップS1のY)、プリントしないチェック欄53にチェックを入れているか否か、すなわち、プリントするか否かを判断する(ステップS4)。プリントしないチェック欄53にチェックを入れているときは、すなわち、プリントしない場合は(ステップS4のY)、PDL生成部41でPDLにより記述された印刷データを生成し(ステップS5)、印刷データをPDL蓄積部42により蓄積する(ステップS6)。
【0023】
プリントしないチェック欄53にチェックを入れていないときは、すなわち、プリントする場合は(ステップS4のN)、PDL生成部41でPDLにより記述された印刷データを生成し(ステップS7)、印刷データをPDL蓄積部42により蓄積して(ステップS8)、画像形成装置3に対する画像形成の要求を行なう、通常の画像形成動作を実行する(ステップS9)。
【0024】
これにより、画像形成装置3に対する画像形成の要求を行なうのに伴い、又は、画像形成装置3に対する画像形成の要求を行なうことなく、第1の印刷データとなる印刷データをPDL蓄積部42により蓄積することができる。
図7は、カラーモード選択欄51で「2色プリント」を選択する場合の設定画面の説明図である。図8は、操作画面の操作によりアプリケーションソフト31が実行する処理のフローチャートである。カラーモード選択欄51で「2色プリント」を選択すると、赤入れチェックプリントチェック欄54にチェックを入れることができる。赤入れチェックプリントチェック欄54にチェックを入れず、すなわち、赤入れチェックプリントが選択されていないときは(ステップS11のN)、PDL生成部41でPDLにより記述された印刷データを2色(この場合は黒と赤の2色の画像)で生成し(ステップS12)、画像形成装置3に対する画像形成の要求を行なう、2色プリントの画像形成動作を実行する(ステップS13)。
【0025】
赤入れチェックプリントチェック欄54にチェックを入れ、すなわち赤入れチェックプリントが選択されたときは(ステップS11のY)、PDL生成部41でPDLにより記述された印刷データを2色で生成し(ステップS14)、また、PDL蓄積部42から印刷データを取得する(ステップS15)。この場合に取得する印刷データは、図7の操作画面で参照ボタン55を選択して、PDL蓄積部42に蓄積している印刷データの一覧を表示させ、その中からユーザが選択したものを取得する。
【0026】
そして、PDL比較部43で、PDL蓄積部42から取得した第1の印刷データとなる印刷データと、ステップS13で生成した第2の印刷データとなる印刷データとを比較し(ステップS16)、第1の印刷データとなる印刷データには含まれていないが第2の印刷データとなる印刷データには画像がある領域の存在する頁が存在するか否かを判断する。そして、ステップS13で生成した印刷データのうちで、このような差分の存在する頁にマークを設定する(ステップS17)。
【0027】
次に、ステップS14で生成した印刷データで差分の存在する頁以外の頁は削除し(ステップS18)、差分の存在する頁だけで構成された印刷データにする。そして、この印刷データに基づいて画像形成装置3に対する画像形成の要求を行なう、2色プリントの画像形成動作を実行する(ステップS19)。この場合は、差分の存在しない頁は予め削除されているので、当該削除頁に関する処理を画像形成装置3のコントローラ21等で行う必要はない。
【0028】
本例では、最初に作成した元データをPDL化した第1の印刷データとしてPDL蓄積部42で蓄積しておき、その後、この元データに赤字で書込をしたデータをPDL化した第2の印刷データとして、赤字で書込をしたデータのうち、赤字で書込をした頁だけを2色プリントすることを想定している。そのため、2色プリントも黒字と赤字で画像形成する。
【0029】
なお、本発明は、以上の本実施形態の例にのみ限定されるものではない。例えば、図2の機能ブロック図の各処理は、画像形成装置3のドライバソフトで実現せずに、画像形成装置3のコントローラ21で実現するようにしてもよい。
2色プリントも黒字と赤字の2色に限定されるものではなく、赤字に代えて青字、黄色字等、ユーザに選択させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 画像形成システム
2 パーソナルコンピュータ
3 画像形成装置
41 PDL生成部
42 PDL蓄積部
43 PDL比較部
44 PDL処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の印刷データを格納している格納手段と、
画像形成の対象となるデータを無彩色と1色の有彩色との2色から構成される第2の印刷データに変換する変換手段と、
前記第1の印刷データと前記第2の印刷データとを頁ごとに比較し、前記第1の印刷データにはないが前記第2の印刷データには画像がある領域の存在する頁について前記第2の印刷データにつき画像形成装置に画像形成の要求をする要求手段と、
を備えている処理装置。
【請求項2】
前記要求手段は、前記第1の印刷データと前記第2の印刷データとを頁ごとに比較して、内容が同じ頁の前記第2の印刷データについては削除する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の処理装置と、
前記要求手段の画像形成の要求により画像形成を行う画像形成装置と、
を備えている画像形成システム。
【請求項4】
画像形成の対象となるデータを無彩色と1色の有彩色との2色から構成される第2の印刷データに変換する変換処理と、
前記第1の印刷データと前記第2の印刷データとを頁ごとに比較し、前記第1の印刷データにはないが前記第2の印刷データには画像がある領域の存在する頁について前記第2の印刷データにつき画像形成装置に画像形成の要求をする要求処理と、
をコンピュータに実行させるコンピュータに読み取り可能な処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−201083(P2012−201083A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70233(P2011−70233)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】