説明

処理装置及び処理方法

【課題】複数の半導体ウエハ等といった複数の被処理物を処理液に浸漬するに際して、これら被処理物の間で処理具合にばらつきが生じないようにする。
【解決手段】処理装置1が、処理液30が貯留される処理槽2と、処理槽2内に配置され、処理槽2内で回転する回転車4と、被処理物32をそれぞれ保持し、回転車4に取り付けられ、回転車4の第1の回転軸6を中心にした円周方向に沿って配列された複数の保持具10と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の中には、処理液に半導体ウエハを浸漬する処理工程がある。処理工程としては、無電解メッキ工程、レジストの現像工程、レジストの剥離工程及びエッチング工程等があり、それぞれ無電解メッキ液、現像液、剥離液、エッチング液を処理液として用いる。
【0003】
引用文献1には、バッチ方式の処理装置が記載されている。引用文献1の処理装置では、複数枚の半導体ウエハが水平状態で浴槽内の処理液に浸漬される。この処理装置は処理液の循環装置を有し、浴槽内の処理液が循環装置によって吸い込まれるとともに、吸い込まれた処理液が循環装置のノズルによって半導体ウエハの横から水平方向に噴き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−311023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に記載の技術では、ノズルから噴き出された処理液の流速は、ノズル近傍で高く、ノズルから離れるにつれて低くなる。また、半導体ウエハ同士の間隔や、浴槽の壁面から半導体ウエハまでの間隔も処理液の流速に影響を与える。更には、ノズルの位置・大きさ・向き等も処理液の流速に影響を与える。
それゆえ、浴槽内での位置が変わると、処理液の流速も変化してしまい、浴槽内の処理液の流速が均一にならない。処理液の流速が不均一であると、半導体ウエハごとに処理具合が異なってしまう。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、複数の半導体ウエハ等といった複数の被処理物を処理液に浸漬するに際して、これら被処理物の間で処理具合にばらつきが生じないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための本発明に係る処理装置は、処理液が貯留される処理槽と、前記処理槽に配置された回転車と、前記回転車に取り付けられ、被処理物をそれぞれ保持する複数の保持具と、
を備える。
【0007】
好ましくは、前記処理装置が、前記回転車を等速度で回転させる駆動部を更に備え、前記保治具は、前記処理槽に設けられた第1の回転軸を中心とした円周方向に沿って配列され、前記処理液と各前記被処理物との接触時間は互いに等しい。
好ましくは、前記保持具は、前記回転車に取り付けられた第2の回転軸から垂下しており、前記第2の回転軸に回転可能に取り付けられている。
好ましくは、前記第1の回転軸は水平であり、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、互いに平行に設けられている。
好ましくは、前記保持具は、前記被処理物が載置される受部と、前記回転車に回転可能に取り付けられたアームと、を有する。
好ましくは、前記アームは、第2の回転軸から垂下している。
【0008】
以上の課題を解決するための本発明に係る処理方法は、処理槽内に処理液を貯留し、前記処理槽内に配置された回転車に取り付けられた保持具に被処理物を保持させる方法である。
【0009】
好ましくは、前記被処理物は複数有り、前記回転車の回転軸を中心にした円周方向に沿って配列され、前記被処理物を前記処理液に浸漬した状態で前記回転軸を中心にして前記被処理物を旋回させる。
好ましくは、前記回転車を等速度で回転させることによって前記保持具及び前記被処理物を等速度で旋回させ、前記処理液と各前記被処理物との接触時間は互いに等しい。
好ましくは、前記複数の保持具の旋回中に前記複数の保持具の幾つかを前記処理液から引き上げ、前記複数の保持具のうち、前記処理液から引き上げられた保持具に保持された被処理物を新たな被処理物に交換する。
好ましくは、前記被処理物は、板状、シート状又は棒状の部材であり、前記被処理物を常に水平な状態にして旋回させる。
好ましくは、前記回転軸が水平である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の被処理物を同一の軌跡で処理液内を旋回させるから、被処理物ごとに処理具合がばらつくことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る処理方法に用いる処理装置を正面に向かって示した概略断面図。
【図2】同処理装置を側面に向かって示した概略断面図。
【図3】半導体装置を製造するのに用いる半導体ウエハの断面図。
【図4】図3に示された半導体ウエハを用いた半導体装置の製造方法の一工程における断面図。
【図5】図4の後の工程における断面図。
【図6】図5の後の工程における断面図。
【図7】図6の後の工程における断面図。
【図8】図7の後の工程における断面図。
【図9】図8の後の工程における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
図1、図2は、処理装置1の概略断面図である。図1の見る方向は、図2の見る方向に対して垂直である。
図1、図2に示すように、処理装置1は、処理槽2、回転車4、駆動部8、保持具10及びコントローラ18等を有する。
【0014】
処理槽2内には、内部空間が形成されている。処理槽2の上面が開放されている。処理槽2内には、処理液30が貯留されている。処理液30は、露光済みレジスト(感光材)を現像するための現像液、現像済みレジストを剥離するための剥離液、無電解メッキ液、エッチング液その他の処理液である。
【0015】
回転車4の全体又は下部が、処理槽2内に配置されている。回転車4の中心には第1の回転軸6が設けられている。第1の回転軸6は、軸受等を介して処理槽2に連結されている。回転車4及び第1の回転軸6のラジアル荷重が処理槽2に受けられ、回転車4が第1の回転軸6を中心にして回転可能に設けられている。第1の回転軸6が水平に設けられ、回転車4の回転面(第1の回転軸6に垂直な面)が鉛直に立てられている。回転車4は骨組であってもよいし、ディスクホイールであってもよい。なお、第1の回転軸6が水平面に対して傾斜し、回転車4の回転面が鉛直面に対して傾斜していてもよい。
【0016】
駆動部8は、回転車4を第1の回転軸6の回りに回転させる動力源である。駆動部8は、モータ等を有する。駆動部8は、回転車4を一定の回転速度で回転させるものでもよいし、回転車4の回転速度を可変制御することができるものでもよい。駆動部8の制御は、コントローラ18によって行われる。なお、駆動部8及びコントローラ18が設けられずに、手動で回転車4を回転させるものとしてもよい。
【0017】
回転車4の外周寄り部分(例えば、回転車4のリム部分)には、被処理物32をそれぞれ保持する複数の保持具10が取り付けられている。被処理物32がシート状、板状又は棒状である場合、保持具10は被処理物32を水平な状態で保持するものが好ましい。
これら保持具10は、回転車4の外周に沿って、第1の回転軸6を中心にした円周方向に配列されている。図1では保持具10の数が8であったが、2〜7であってもよいし、9以上であってもよい。
【0018】
それぞれの保持具10の上端部には、第2の回転軸16が設けられている。これら第2の回転軸16は、軸受等を介して回転車4の外周寄り部分に連結されている。これら第2の回転軸16は、第1の回転軸6を中心にした円周方向に配列されている。
【0019】
保持具10の第2の回転軸16と回転車4の第1の回転軸6は互いに平行であり、保持具10が第2の回転軸16を中心にして回転可能に設けられている。第1の回転軸6が水平であれば、第2の回転軸16と第1の回転軸6が互いに平行であるから、第2の回転軸16も水平である。なお、第2の回転軸16と第1の回転軸6が平行でなくもよい。また、第1の回転軸6と第2の回転軸16が平行でない場合、第1の回転軸6と第2の回転軸16のどちらか一方が水平に設けられ、他方が水平面に対して傾斜していてもよいし、第1の回転軸6と第2の回転軸16の両方が水平面に対して傾斜していてもよい。
【0020】
保持具10が第2の回転軸16によって回転車4に回転可能に連結されているから、第2の回転軸16を中心とした円周方向に沿う保持具10の位置が回転車4の回転によって変化しても、保持具10が常に第2の回転軸16から垂下した状態となっている。そのため、保持具10は被処理物32を常に水平な状態に保持することができる。なお、保持具10がボールジョイントによって回転車4に連結されていてもよい。
【0021】
保持具10の一例について具体的に説明する。保持具10は、一対のアーム12及び受部14を有する。アーム12の基端部が第2の回転軸16に連結され、アーム12が第2の回転軸16を中心にして回転可能に設けられている。第2の回転軸16を中心とした円周方向に沿う保持具10の位置が回転車4の回転によって変化しても、アーム12が第2の回転軸16から垂下した状態となっている。アーム12がクランク状に設けられ、アーム12の先端部に受部14が連結されている。受部14がアーム12の先端からもう一方のアーム12に向けて延出し、アーム12が受部14に対して立てた状態に設けられている。一方のアーム12及び受部14と、他方のアーム12及び受部14とは、側面に向かって見て、面対称となっている。受部14がメッシュ状の板材であってもよいし、網材であってもよい。受部14に穴が形成されていなくてもよい。
【0022】
被処理物32が一対の受部14を跨るようにしてこれら受部14の上に載置されることによって、被処理物32が保持具10に保持される。被処理物32がシート状、板状又は棒状である場合、被処理物32は伏せた状態で受部14上に載置されることが好ましい。被処理物32がシート状、板状又は棒状である場合、被処理物32の被処理面が上に向いた状態で被処理物32が受部14上に載置さてもよいし、被処理物32の被処理面が下に向いた状態で被処理物32が受部14上に載置されてもよい。被処理物32としては、半導体ウエハ、プリント基板、ガラス基板、ガラスシート、樹脂基板、樹脂シート等が挙げられる。なお、受部14の代わりに吸着部又は把持部がアーム12の先端部に設けられていてもよい。吸着部は、被処理物32を吸着するものであり、把持部は、被処理物32を挟み込むようにして被処理物32を把持するものである。被処理物32が吸着部に吸着され、又は把持部に把持される場合でも、被処理物32が水平な状態であることが好ましい。
【0023】
保持具10が回転車4に回転可能に取り付けられているのではなく、保持具10が回転車4に固定されていてもよい。つまり、アーム12の上端が回転車4の外周寄り部分に固定されていてもよい。この場合、アーム12の先端部に受部14が設けられているのではなく、把持部又は吸着部がアーム12の先端に設けられていることが好ましい。
【0024】
図1、図2に示された保持具10は一例であり、被処理物32の形態・大きさ等に応じて保持具10を適宜変更してもよい。例えば、保持具10が網状の籠であり、その籠が6によって回転車4に連結され、その籠内に被処理物32が収容されるものとしてもよい。また、保持具10がアタッチメントであり、被処理物32の形態・大きさ等に応じて保持具10を交換できるものとしてもよい。
【0025】
処理槽2内に収容された回転車4の下部が処理液30に浸漬されている。また、これらの保持具10のうち、下方の幾つか(図1では、5つ)の保持具10が処理液30に浸漬され、上方の他の幾つか(図1では、3つ)の保持具10が処理液30から上げられている。なお、保持具10の数が3以上であれば、回転車4が回転している際に、同時に処理液30に浸漬されている保持具10の数は2以上であり、回転車4が回転している際に、同時に処理液30から引き上げられている保持具10の数は1又は2以上である。同時に処理液30から引き上げられている保持具10の数は、同時に処理液30に浸漬されている保持具10の数よりも少ないことが好ましい。
【0026】
処理装置1を用いた処理方法について説明する。
まず、処理液30を処理槽2内に注入して、処理槽2内に処理液30を貯留する。
次に、回転車4を駆動部8によって一方向に(図1では、反時計回りに)回転させる。回転車4の回転速度は等速度であることが好ましい。回転車4の回転速度を等速度とする場合には、駆動部8がコントローラ18によって等速度制御されることが好ましい。また、回転車4の回転によって、処理液30の上にある保持具10が図1中の左側で処理液30に浸漬され、処理液30に浸漬された保持具10が図1中の右側で処理液30から引き上げられる。
【0027】
被処理物32を保持具10の受部14上に載置する。特に、処理液30から引き上げられた保持具10の受部14に被処理物32を載置する。処理液30から引き上げられた保持具10の受部14に処理済みの被処理物32が載置されている場合には、処理済みの被処理物32を新たな未処理の被処理物32に交換する。被処理物32の交換タイミングは、保持具10が第1の回転軸6の回りに一回旋回する毎でもよいし、保持具10が二回以上旋回する毎でもよい。被処理物32を載置する時や被処理物32を交換する時に、回転車4の回転が一時的に停止してもよい。回転車4の一時的な停止は、コントローラ18が駆動部8を間欠的に停止させることによって行われる。被処理物32がシート状、板状又は棒状である場合、被処理物32の載置に際して被処理物32を伏せた状態にする。
【0028】
受部14に載置された被処理物32は、保持具10とともに、第1の回転軸6の回りを旋回する。駆動部8がコントローラ18によって等速度制御されていれば、受部14に載置された被処理物32が等速度で旋回する。
【0029】
受部14に載置された被処理物32が保持具10とともに処理液30に浸漬されると、その被処理物32が保持具10とともに処理液30から引き上げられるまでの間に、以下の(1)〜(4)等のような処理が被処理物32に施される。
【0030】
(1)現像処理
処理液30が現像液である場合には、被処理物32の表面(surface)に形成された露光済みレジストが現像され、露光済みレジストに形成された潜像が顕在化する。これにより、レジストに所定パターンの開口が形成される。レジストは、ドライフィルムレジストでもよいし、レジストが硬化したものでもよい。
【0031】
(2)剥離処理
処理液30が剥離液である場合には、被処理物32の表面(surface)に形成された現像済みレジストが剥離される。レジストは、ドライフィルムレジストでもよいし、レジストが硬化したものでもよい。なお、剥離処理の場合、保持具10及び被処理物32が処理液30に浸漬されてから保持具10及び被処理物32が処理液30から引き上げられるまでの接触時間が20〜30分であり、保持具10が第1の回転軸6の回りに一回旋回する毎に被処理物32の交換を行うことが好ましい。
【0032】
(3)無電解メッキ処理
処理液30が無電解メッキ液である場合には、被処理物32の表面(surface)にメッキ(例えば、導体膜)が成長する。
【0033】
(4)エッチング処理
処理液30がエッチング液である場合には、被処理物32の表面(surface)に形成された膜(例えば、導体膜、金属膜、金属酸化物膜、絶縁膜、有機膜、無機膜等。その膜の上に更に現像済みレジストが形成されていてもよい。)がエッチングされる。
【0034】
以上のような処理方法によれば、複数の保持具10が回転車4の外周に沿って円周方向に配列されているから、何れの被処理物32も同一の軌跡で処理液30中を旋回する。そのため、処理液30の濃度が均一でなく、場所ごとに濃度が異なっていても、何れの被処理物32も平均的な濃度に曝されることになる。従って、被処理物32ごとに処理具合(現像性・解像度、剥離具合、メッキ成長具合、エッチング具合)がばらつくことはない。
【0035】
また、回転車4の回転速度が等速度であれば、何れの被処理物32でも、処理液30に浸漬される接触時間が概ね等しい。そのため、被処理物32ごとに処理具合がばらつくことはない。
【0036】
また、複数の被処理物32が同時に処理液30に浸漬され(図1の場合、同時に浸漬される被処理物32の数は5である。)、複数の被処理物32が順次処理されるから、スループットの向上が図れる。
【0037】
また、保持具10が回転車4に回転可能に取り付けられているから、保持具10はその自重によって常に垂下した状態になっている。そうすると、被処理物32が板状、シート状又は棒状であり、その被処理物32が常に伏せた状態で処理液30に浸漬される。被処理物32が常にほぼ水平になっていると、被処理物32の処理具合が被処理物32内の位置ごとにばらつくことはない。
【0038】
このことについて、更に具体的に説明する。被処理物が立てられた状態であるとする。その場合に、被処理物の表面に形成されたレジストを剥離液に浸漬すると、被処理物の表面のレジストがその自重で下に落下するように剥離する。そのため、被処理物の上の部分と下の部分では、レジストの剥離具合が異なってしまう。特に、被処理物の上の部分でのレジストの剥離タイミングと、被処理物の下の部分でのレジストの剥離タイミングがずれてしまう。従って、剥離液がレジストの下地部分をエッチングする性質を有すると、被処理物の上の部分と下の部分では、下地部分のエッチング具合が異なってしまう。
しかし、本実施形態では、被処理物32が常に伏せられた状態であるから、被処理物32の表面に形成されたレジストが概ね水平になっており、レジストの剥離具合はどの位置でも均一になる。特に、被処理物32に形成されたレジストは、どの位置でもほぼ同時に剥離される。従って、剥離液が、被処理物32のレジストの下地部分をエッチングする性質を有していてもと、被処理物の上の部分と下の部分では、被処理物32の表面に形成されたレジストの下地部分はどの位置でも均一にエッチングされる。
【0039】
また、回転車4の回転面が水平でないから、処理液30の量を調整すれば、幾つかの保持具10を処理液30に浸漬していない状態とすることができる。そのため、処理液30に浸漬していない保持具10に対して被処理物32の交換を行えば、その交換を容易に行える。
【0040】
なお、上記実施形態では、回転車4の下部が処理液30に浸漬され、幾つかの保持具10が処理液30から上げられている。それに対して、回転車4の全体が処理液30に浸漬され、全ての保持具10が浸漬されていてもよい。この場合、回転車4の回転中では、最も上に位置する保持具10に対して被処理物32の交換を行うとよい。
【0041】
また、上記実施形態では、回転車4が等速度で回転するものとしたが、回転車4の回転速度が等速度である必要はない。回転車4の回転速度が変化するものとしても、何れの被処理物32でも、処理液30に浸漬された時から処理液30から引き上げられる時までの接触時間が等しいことが望ましい。
【0042】
また、上記実施形態では、受部14がアーム12の先端部に連結されていた。それに対して、吸着部がアーム12の先端部に連結され、被処理物32が吸着部に吸着されることによって被処理物32が保持具10に保持されるものとしてもよい。吸着部や受部14でなく、被処理物32を把持する把持部がアーム12の先端部に連結されていてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、処理液30として、現像液、剥離液、無電解メッキ液、エッチング液を一例として挙げたが、これらに限るものではない。更に、本出願の出願時に公知でない処理液も処理液30として用いることができる。
【0044】
〔応用例〕
半導体装置の製造方法について説明する。
半導体装置の製造方法は幾つかの工程からなり、これらの工程には処理工程がある。その処理工程に上述の処理装置1を用いる。
【0045】
図3に示された半導体ウエハ101から半導体装置を製造する。半導体ウエハ101は、分割予定線としての格子状の境界線(ダイシングストリート)102によって複数のチップ領域103に区画されている。これらチップ領域103がマトリクス状に配列されている。半導体ウエハ101の表側の面には、集積回路層104が形成されている。集積回路層104には、チップ領域103ごとに集積回路が形成されている。集積回路層104上には、複数のパッド109が形成されている。パッド109は、集積回路層104に形成された導電性パターン(配線)の一部である。集積回路層104の上にパッシベーション膜105が成膜され、パッシベーション膜105の上に絶縁膜107が成膜されている。パッシベーション膜105のうちパッド109に重なる位置には、開口106が形成されている。絶縁膜107のうちパッド109に重なる位置には、開口108が形成されている。パッシベーション膜105は、無機材料(例えば、酸化シリコン若しくは窒化シリコン又はこれらの両方)を含有する。絶縁膜107は、例えばポリイミド、エポキシ、フェノール、ビスマレイミド、アクリル、合成ゴム若しくはポリベンゾオキサイド又はこれらのうち2以上の組合せを主成分とした有機材料を含有する。なお、絶縁膜107は、無くてもよい。
【0046】
図4に示すように、無電解メッキ法若しくは気相成長法(例えば、スパッタ法)又はこれらの組合せによって、絶縁膜107(絶縁膜107が無い場合には、パッシベーション膜105)の上全体や開口106,108内にシード層110を成長させる。無電解メッキ法では、図1に示された処理装置1を用いて、被処理物32である半導体ウエハ101を処理液30に浸漬する。処理液30には、無電解メッキ液を用いる。形成されたシード層110は、銅(Cu)の薄膜、チタン(Ti)の薄膜、チタンに銅を積層した薄膜その他の金属薄膜である。
【0047】
次に、図5に示すように、感光材であるレジスト111をシード層110の上全体に形成した後、そのレジスト111を露光することによってレジスト111に潜像を形成する。そして、その露光済みレジスト111を現像することによって、潜像に従った開口112をレジスト111に形成する。現像に際しては、図1に示された処理装置1を用いて、被処理物32であるレジスト111及び半導体ウエハ101を処理液30に浸漬する。処理液30には、現像液を用いる。
【0048】
現像後、半導体ウエハ101をリンス液で洗浄し、半導体ウエハ101を乾燥させる。
次に、シード層110を電極として電解メッキを行う。これにより、開口112内であってシード層110の上に所定形状の導体層(導体パターン)113を成長させる。導体層113は、シード層110よりも厚く成長させる。導体層113は、銅その他の金属からなる。
【0049】
次に、レジスト111を剥離する。剥離に際しては、図1に示された処理装置1を用いて、被処理物32であるレジスト111及び半導体ウエハ101を処理液30に浸漬する。処理液30には、剥離液を用いる。
【0050】
次に、図6に示すように、シード層110及び導体層113の上全体にドライフィルムレジスト115を貼り付けた後、ドライフィルムレジスト115を露光することによってドライフィルムレジスト115に潜像を形成する。ドライフィルムレジスト115は、導体層113よりも厚い。なお、ドライフィルムレジスト115の代わりに、厚膜のレジストを形成してもよい。
【0051】
次に、ドライフィルムレジスト115を現像することによって、潜像に従った開口116をドライフィルムレジスト115に形成する。ここで、鉛直方向に見た場合、開口116は円形状又は多角形状であることが好ましい。開口116が形成される位置は導体層113の一部114の上である。その部分114はランドである。現像に際しては、図1に示された処理装置1を用いて、被処理物32であるドライフィルムレジスト115及び半導体ウエハ101を処理液30に浸漬する。処理液30には、現像液を用いる。
【0052】
次に、シード層110及び導体層113を電極として電解メッキを行う。これにより、開口116内であって導体層113の上に柱状電極117を成長させる。柱状電極117の高さ(厚さ)は、導体層113の厚さよりも充分に大きくする。柱状電極117は、銅その他の金属からなる。
【0053】
次に、ドライフィルムレジスト115を剥離する。剥離に際しては、図1に示された処理装置1を用いて、被処理物32であるドライフィルムレジスト115及び半導体ウエハ101を処理液30に浸漬する。処理液30には、剥離液を用いる。
【0054】
次に、図7に示すように、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、滴下法その他の塗布法によって封止樹脂を絶縁膜107(絶縁膜107が無い場合には、パッシベーション膜105)上に塗布し、その封止樹脂によって導体層113、柱状電極117及び絶縁膜107を覆って、その封止樹脂を硬化させる。これにより、封止層119を形成する。封止層119は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂その他の絶縁性樹脂を含有し、好ましくは、絶縁性樹脂(エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等)にフィラー(例えば、ガラスフィラー、シリカフィラー)又は繊維(例えば、ガラス繊維)を配合した強化樹脂からなる。なお、プリプレグを絶縁膜107に貼り付けて、そのプリプレグを硬化させて、そのプリプレグから封止層119を形成してもよい。
【0055】
次に、図8に示すように、封止層119を研削し、柱状電極117の頭頂面を露出させる。柱状電極117の頭頂面も研削される。必要に応じて、半導体ウエハ101の裏側も研削し、柱状電極117の頭頂面を軽くエッチングする。
【0056】
次に、図9に示すように、半田バンプ120を柱状電極117の頭頂面に形成した後、半導体ウエハ101、集積回路層104、パッシベーション膜105、絶縁膜107及び封止層119の積層体を境界線102に沿って切断する。これにより、複数の半導体装置130が完成する。
【符号の説明】
【0057】
1 処理装置
2 処理槽
4 回転車
6 第1の回転軸
10 保持具
12 アーム
14 受部
16 第2の回転軸
30 処理液
32 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液が貯留される処理槽と、
前記処理槽に配置された回転車と、
前記回転車に取り付けられ、被処理物をそれぞれ保持する複数の保持具と、
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記回転車を等速度で回転させる駆動部を更に備え、
前記保治具は、前記処理槽に設けられた第1の回転軸を中心とした円周方向に沿って配列され、前記処理液と各前記被処理物との接触時間は互いに等しいことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記保持具は、前記回転車に取り付けられた第2の回転軸から垂下しており、前記第2の回転軸に回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記第1の回転軸は水平であり、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸は、互いに平行に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記保持具は、
前記被処理物が載置される受部と、
前記回転車に回転可能に取り付けられたアームと、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項6】
前記アームは、第2の回転軸から垂下していることを特徴とする請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
処理槽内に処理液を貯留し、
前記処理槽内に配置された回転車に取り付けられた保持具に被処理物を保持させることを特徴とする処理方法。
【請求項8】
前記被処理物は複数有り、前記回転車の回転軸を中心にした円周方向に沿って配列され、前記被処理物を前記処理液に浸漬した状態で前記回転軸を中心にして前記被処理物を旋回させることを特徴とする請求項7に記載の処理方法。
【請求項9】
前記回転車を等速度で回転させることによって前記保持具及び前記被処理物を等速度で旋回させ、前記処理液と各前記被処理物との接触時間は互いに等しいことを特徴とする請求項8に記載の処理方法。
【請求項10】
前記複数の保持具の旋回中に前記複数の保持具の幾つかを前記処理液から引き上げ、
前記複数の保持具のうち、前記処理液から引き上げられた保持具に保持された被処理物を新たな被処理物に交換することを特徴とする請求項9に記載の処理方法。
【請求項11】
前記被処理物は、板状、シート状又は棒状の部材であり、前記被処理物を常に水平な状態にして旋回させることを特徴とする請求項8から10の何れか一項に記載の処理方法。
【請求項12】
前記回転軸が水平であることを特徴とする請求項8から11の何れか一項に記載の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−36467(P2012−36467A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179102(P2010−179102)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(311014314)株式会社テラミクロス (42)
【Fターム(参考)】