説明

処理装置

【課題】装置の大型化および複雑化や消費電力の増大などを回避しつつ検査等の処理に要求される環境を得る。
【解決手段】FPD検査装置1は、ワークWを搬送する搬送ステージ14〜16と、搬送ステージ14〜16上を移動するワークWに検査ラインL15(処理部)で検査する検査ユニット10と、搬送ステージ14〜16と検査ユニット10とを収容する搬送部外装17および19ならびに検査部外装18と、外装(17〜19)内にクリーンエアを送出するFFU101と、FFU101から送出されたクリーンエアを検査ユニット10に導く風洞Cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置に関し、特にフラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体基板やプリント基板などの処理対象基板における処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、フラットパネルディスプレイ(FPD)基板や半導体ウエハなどの欠陥検査は、空間内のクリーン度が高い、いわゆるクリーンルーム内で行われる。一般的に、クリーンルームは、立方体をした検出空間の天井に略等間隔に配置された複数のファンフィルターユニット(Fan Filter Unit:FFU)を備える。このFFUが送出するクリーンなエアによって検出空間内にダウンフローが形成されることで、クリーンルーム内がパーティクルなどのダストの少ないクリーンな状態に保たれる。また、たとえば以下に示す特許文献1には、床側に複数の気流調整ファンを設けることで、クリーンルーム内の気流を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−114342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のクリーンルームでは、検査等の処理に要求される環境を得るためには、検出空間全体にダウンフローを形成することで、検出空間内全体をクリーンな状態に保つ必要があった。このため、同時に複数のFFUを稼働しなければならず、結果、装置の大型化および複雑化や消費電力の増大などの問題が存在した。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、装置の大型化および複雑化や消費電力の増大などを回避しつつ検査等の処理に要求される環境を得ることが可能な処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明の一態様による処理装置は、対象基板を搬送する搬送ステージと、該搬送ステージ上を移動する前記対象基板に所定の処理を施す処理ユニットと、を備えた処理装置であって、前記搬送ステージと前記処理ユニットとを収容する外装と、前記外装内に集塵処理後の空気を送出する送風部と、前記送風部から送出された前記空気を前記処理ユニットに導く風洞と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、送風部から送出されるクリーンな空気を処理ユニット近傍に集中して流すことで特に高いクリーン度が要求される処理ユニット近傍を効率的にクリーンな状態とすることが可能となるため、装置の大型化および複雑化や消費電力の増大などを回避しつつ検査等の処理に要求される環境を得ることが可能な処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1によるフラットパネルディスプレイ(FPD)検査装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1において搬送経路上にワークが載置されていない場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1において搬送経路上にワークが載置されている場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す模式図である。
【図4】図4は、図1に示すFPD検査装置の搬送部外装の天井部分にスライドすることで開閉する扉を設けた場合の例を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態2によるFPD検査装置の概略構成を示す模式断面図であって、本実施の形態2において上流の搬送空間から検査空間にかけての搬送経路上にワークが存在する場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2によるFPD検査装置の概略構成を示す模式断面図であって、本実施の形態2において検査空間から下流の搬送空間にかけての搬送経路上にワークが存在する場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態3によるFPD検査装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態4によるFPD検査装置の概略構成を示す模式断面図であって、本実施の形態4において上流の搬送空間から検査空間にかけての搬送経路上にワークが存在する場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態4によるFPD検査装置の概略構成を示す模式断面図であって、本実施の形態4において検査空間から下流の搬送空間にかけての搬送経路上にワークが存在する場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
【0010】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1による処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、FPD用のガラス基板や半導体基板やプリント基板などの処理対象基板(以下、ワークという)がインライン型の検査装置を例に挙げて説明する。ただし、これに限定されず、オフライン型の検査装置であってもよい。
【0011】
図1は、本実施の形態1によるフラットパネルディスプレイ(FPD)検査装置の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、FPD検査装置1は、ワークを搬送する搬送ステージ14〜16と、搬送ステージ14〜16上を移動するワークの欠陥を検出する検査ユニット10と、を備える。なお、検査ユニット10は、たとえばワークの欠陥部分に対して行うレーザ照射修復や塗布修正等の修復ユニット、観察・画像保存する撮像ユニット、配線等の寸法測定、膜厚測定、色測定などを行う測定ユニットなどの処理を所定の位置(処理部)で施す他の処理ユニットに置き替えることもできる。すなわち、処理ユニットには、検査ユニット、修復ユニット、撮像ユニット、測定ユニット等が含まれる。
【0012】
搬送ステージ14〜16は、たとえば長方形の板がワークの搬送方向Dと垂直な方向にすのこ状に組み合わされた構造を有する。この搬送ステージ14〜16を搬送方向Dに並べることで、ワークの搬送経路が形成される。ワークの搬送方法としては、搬送ステージに浮上プレートを設けて基板をエア浮上させるとともに基板の端部を吸着保持して搬送させる吸着搬送や、搬送ステージに複数のローラを設けてローラの回転により基板を搬送するローラ搬送等がある。
【0013】
検査ユニット10は、搬送ステージ14〜16が形成する搬送経路上に設定された検査ラインL15(処理部)を通過するワークを撮像する。この検査ユニット10によって取得された画像を解析することで、ワークに欠陥が存在するか否かを検出することができる。検査ラインL15は、たとえば搬送ステージ15に設けられる。検査ユニット10は、検査ラインL15を上方から撮像するように設けられる。本説明では、検査ユニット10が設けられる領域を検査空間PRという。また、検査空間PR以外の領域を搬送空間TRという。
【0014】
搬送ステージ14〜16および検査ユニット10は、たとえば架台11に固定される。架台11は、たとえばブロック状の大理石やスチール材を組み合わせたフレームなど、耐震性の高い部材によって構成される。加えて、架台11と設置面(たとえば床)との間には、たとえばスプリングや油圧ダンパなどで構成された振動吸収機構12が設けられる。これにより、搬送ステージ14〜16および検査ユニット10の振動がさらに防止される。
【0015】
また、FPD検査装置1は、検査空間PRを囲む検査部外装18と、上流および下流の搬送空間TRをそれぞれ囲む搬送部外装17および19と、を備える。検査部外装18ならびに搬送部外装17および19は、組み合わされることで1つの空間(クリーンルーム)を形成する。すなわち、搬送ステージと検査ユニットとを収容する外装を形成する。このクリーンルームは、ワークの搬入口および搬出口ならびに下部のダクト以外、密閉された空間である。
【0016】
上記構成において、搬送部外装17および19ならびに検査部外装18の一部は、FFU101から送出されたクリーンエアを検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺に導く風洞Cを形成する。この風洞Cは、開口が検査ユニット10へ向く、もしくは、検査ユニット10の一部を上方から覆う形状であればよい。本実施の形態1では、検査部外装18の天井を搬送部外装17および19の天井に対して突出させることで、検査ユニット10の一部を上方から覆う風洞Cが形成されている。したがって、風洞Cは、搬送部外装17および19ならびに検査部外装18が形成する天井における突出した部分の側壁によって構成される。また、この突出した部分、すなわち検査部外装18の天井には、パーティクルなどのダストが除去されたクリーンな空気(以下、クリーンエアという)を送出するFFU101が設けられる。すなわち、FFU101は、集塵処理後の空気(クリーンエア)を送出する送風部として機能する。したがって、FFU101から送出されたクリーンエアは、風洞Cによって流れが制限されることで、検査ユニット10に向けて集中して流れ、その後、検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺に集中して流れる。この結果、検査空間PRの特に検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺を、ダストの少ないクリーンな状態とすることができる。また、検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺に集中して送出されたクリーンな空気は、クリーンルーム内でダウンフローを形成したのち、主に下部の排気口から排気される。
【0017】
ここで、検査部外装18と搬送部外装17および19とが形成するクリーンルーム内での空気の流れを、図面を参照して詳細に説明する。図2は、本実施の形態1において搬送経路上にワークが載置されていない場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す模式図である。図3は、本実施の形態1において搬送経路上にワークが載置されている場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す模式図である。
【0018】
図2に示すように、搬送ステージ14〜16上にワークWが載置されていない場合、FFU101から送出されたクリーンエアは、まず、風洞Cによって集中的に検査ユニット10へ流れるダウンフローFL0を形成する。つづいて、クリーンエアは、検査ユニット10を包み込むようにダウンフローFL1を形成する。これにより、検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺にクリーンエアが行き渡り、この領域の高いクリーン度が得られる。なお、ダウンフローFL1を形成するクリーンエアは、その後、すのこ状の搬送ステージ15のすき間を抜けて、クリーンルーム内の下側へ流れ込む。また、ダウンフローFL1を形成するクリーンエアの一部は、検査部外装18内から搬送部外装17または19内に流れ込む。流れ込んだクリーンエアは、同じくすのこ状の搬送ステージ14または15および16のすき間を抜けるダウンフローFL2を形成して、クリーンルーム内の下側へ流れ込む。ダウンフローFL1およびFL2によってクリーンルームの下側に流れ込んだクリーンエアは、図2のダウンフローFL3に示すように、その後、クリーンルーム、すなわち検査部外装18の床面ならびに搬送部外装17および19の床面にそれぞれ形成されたダクトを介して外部へ排気される。ただし、クリーンエアの一部がワークWの搬入口または搬出口から排気されるような構成であってもよい。
【0019】
一方、図3に示すように、搬送ステージ14〜16上にワークWが載置されている場合、FFU101から送出されたクリーンエアは、まず、風洞Cによって集中的に検査ユニット10へ流れるダウンフローFL0を形成する。つづいて、クリーンエアは、検査ユニット10を包み込むようにダウンフローFL4を形成し、搬送ステージ14〜16上のワークWに吹きかけられる。その後、ワークWによって下方への流れが遮られたクリーンエアは、ワークWの上面に沿って端部まで向かうフローFL5を形成する。これにより、検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺だけでなく、ワークWの上面側も、ダストの少ないクリーンな状態とすることができる。その後、ワークWの上面に沿って流れたクリーンエアは、ワークWの端部でワークWの下方へ流れ込むフローFL6を形成した後、図3のダウンフローFL3に示すように、検査部外装18の床面ならびに搬送部外装17および19の床面にそれぞれ形成されたダクトを介して外部へ排気される。
【0020】
以上のように、本実施の形態1では、FFU101から送出されたクリーンエアが特に高いクリーン度が要求される検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺に集中して流れるように構成される。この結果、本実施の形態1では、特に高いクリーン度が要求される領域を少ないFFU(1つのFFU)を使用して効率的にクリーンな状態とすることが可能となるため、装置の大型化および複雑化や消費電力の増大などを回避しつつ検査等に要求される環境を得ることが可能となる。
【0021】
また、検査ユニット10が設けられていない領域、すなわち搬送空間TRでは、搬送ステージ14〜16上のワークWの上面と搬送部外装17および19の天井との間の空間を狭くしておくことで、検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺に流れたクリーンエアが効率的にワークW上面を伝ってワークW端部まで流れる。この結果、搬送時の発塵などによるワークW表面へのダストの付着を効率的に防ぐことが可能となる。すなわち、検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺のみならず、ワークW上の空間までも効率的にクリーンな状態に保つことが可能となる。
【0022】
また、メンテナンス時に装置内部に入るために外装部に扉を設けてもよい。この扉は、例えば搬送部外装17および19の天井部分を開閉可能にする扉であってもよい。図4は、図1に示すFPD検査装置の搬送部外装の天井部分にスライドすることで開閉する扉を設けた場合の例を示す模式図である。図4に示すように、搬送部外装17の天井部分に設けられた扉は、シート状のシャッタ112と、シャッタ112を巻き取ることで収容する巻取り機構111と、を備える。同様に、搬送部外装19の天井部分に設けられた扉は、シート状のシャッタ114と、シャッタ114を巻き取ることで収容する巻取り機構113と、を備える。巻取り機構111/113が回転することで、シャッタ112/114が搬送部外装17/19の天井部分を矢印D1/D2方向に移動する。これにより、搬送部外装17/19の天井部分が開閉される。この他、例えば、外部駆動により開閉できる構造の扉や、その他蛇腹方式や、ロール方式の扉を採用してもよい。このような構成にすることで、ゴミの除去や搬送中に破損したワークの始末等のメンテナンスが行い易くなる。
【0023】
また、外装部の強度には、FFU101が取り付けられる処理部周辺の外装部分にのみ高い強度が要求される。それ以外の外装部については、高い強度が必要とされない。すなわち、検査部外装18に対して搬送部外装17および19の強度は低いものでよい。搬送部外装17および19に用いる材料としては、伸縮・弾性部材であってもよい。このような構成にすることで、装置の簡易化・軽量化を図ることが可能になる。
【0024】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2による検査装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
図5および図6は、本実施の形態2によるFPD検査装置の概略構成を示す模式断面図である。なお、図5では、本実施の形態2において上流の搬送空間から検査空間にかけての搬送経路上にワークが存在する場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す。また、図6では、本実施の形態2において検査空間から下流の搬送空間にかけての搬送経路上にワークが存在する場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す。
【0026】
図5および図6に示すように、本実施の形態2によるFPD検査装置2は、図1〜図3に示すFPD検査装置1と同様の構成において、上流の搬送空間TRにおける搬送ステージ14下側に、クリーンルーム内のエアを能動的に外部へ排気する排気口として例えば排気ファン21aを備えるとともに、下流の搬送空間TRにおける搬送ステージ16下側に、クリーンルーム内のエアを能動的に外部へ排気する排気ファン21bを備える。また、FPD検査装置2は、上流の搬送空間TR側と下流の搬送空間TRとのいずれの側にワークWが存在するかを検知するセンサ22aおよび22bを備える。
【0027】
センサ22aおよび22bは、たとえば光学センサまたは赤外線センサによって構成され、自身の上方にワークWが存在するか否かを検出する。このセンサ22aおよび22bは、ワークWの搬送経路上であって、たとえば検査空間PRもしくはFFU101の送風口の中心を通り且つ搬送方向Dと垂直な面と搬送経路との交点を中心とした点対称の位置に配置される。ただし、これに限らず、上流の搬送空間TR側と下流の搬送空間TRとのいずれの側にワークWが存在するかを検知できればよい。また、センサ22aおよび22bの検出結果は、不図示の制御部に入力される。制御部は、入力された検出結果に基づいて、排気ファン21aおよび21bを制御する。
【0028】
たとえばセンサ22aによって上方のワークWが検出された場合、すなわち上流の搬送空間TR側にワークWが存在することが検出された場合、図5に示すように、制御部は、排気ファン21aを駆動する。これにより、FFU101からダウンフローFL0およびFL4を形成して検査ユニット10近傍に流れたクリーンエアが、ワークWの上面に沿うフローFL5およびワークWの下方へ流れ込むフローFL6を形成した後、排気ファン21aによって積極的にダウンフローFL7を形成してクリーンルームから排気される。なお、この際、ワークWが存在しない下流の搬送空間TR側の排気ファン21bは、駆動されない。このため、FFU101からダウンフローFL0を形成して検査ユニット10に吹きかけられたクリーンエアは、実施の形態1と同様に、すのこ状の搬送ステージ15および16それぞれのすき間を抜けるダウンフローFL1およびFL2を形成して搬送ステージ14〜16の下側へ流れた後、ダクトを介するダウンフローFL3を形成してクリーンルームから排気される。
【0029】
一方、センサ22bによって上方のワークWが検出された場合、すなわち下流の搬送空間TR側にワークWが存在することが検出された場合、図6に示すように、制御部は、排気ファン21bを駆動する。これにより、FFU101からダウンフローFL0およびFL4を形成して検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺に流れたクリーンエアが、ワークWの上面に沿うフローFL5およびワークWの下方へ流れ込むフローFL6を形成した後、排気ファン21bによって積極的にダウンフローFL8を形成してクリーンルームから排気される。この際、ワークWが存在しない上流の搬送空間TR側の排気ファン21aは、駆動されないため、FFU101からダウンフローFL0を形成して検査ユニット10に吹きかけられたクリーンエアは、図5と同様に、すのこ状の搬送ステージ14のすき間を抜けるダウンフローFL1およびFL2を形成して搬送ステージ14〜16の下側へ流れた後、ダクトを介するダウンフローFL3を形成してクリーンルームから排気される。
【0030】
なお、センサ22aとセンサ22bとの間の距離は、たとえばワークWの搬送方向Dにおける長さに対して長くても短くてもよい。2つのセンサ22aおよび22b間の距離をワークWの搬送方向Dの長さよりも長くした場合、制御部は、たとえば2つのセンサ22aおよび22bの間にワークWが存在するのであれば、排気ファン21aおよび21bの双方を駆動するようにしてもよい。一方、2つのセンサ22aおよび22b間の距離をワークWの搬送方向Dの長さよりも短くした場合、制御部は、たとえば2つのセンサ22aよび22bの双方でワークWを検出している期間、排気ファン21aおよび21bの双方を駆動するようにしてもよい。
【0031】
以上のように、本実施の形態2は、排気ファン21aまたは21bを駆動してワークWが存在する側に多くクリーンエアを流すことが可能な構成を備える。これにより、本実施の形態2では、特に高いクリーン度が要求される検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺のみならず、ワークWの位置に応じてワークWの上面にも効率的にクリーンエアを流すことが可能となる。この結果、搬送時の発塵などによるワークW表面へのダストの付着を的確且つ効率的に防ぐことが可能となる。すなわち、検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺のみならず、ワークW上の空間までも的確且つ効率的にクリーンな状態に保つことが可能となる。
【0032】
なお、上述では、2つのセンサ22aおよび22bを用いてワークWの存在を検出する場合を例に挙げたが、これに限定されず、たとえば不図示の位置センサによってワークWの位置を常時監視する場合、この位置センサによって検出された位置に基づいて排気ファン21aおよび21bを駆動するように構成してもよい。なお、上述のセンサ以外にも、ワーク搬送駆動の制御部(PLC)からワーク位置を特定してもよい。なお、本実施の形態2の検査ユニット10は、たとえばワークの欠陥部分に対して行うレーザ照射修復や塗布修正等の修復ユニット、観察・画像保存する撮像ユニット、配線等の寸法測定、膜厚測定、色測定などを行う測定ユニットなどの処理を所定の位置(処理部)で施す他の処理ユニットに置き替えることもできる。すなわち、処理ユニットとして検査ユニット、修復ユニット、撮像ユニット、測定ユニット等が含まれる。また、その他の構成および効果は、上述の実施の形態1と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0033】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3による検査装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
図7は、本実施の形態3によるFPD検査装置の概略構成を示す模式断面図である。図7に示すように、本実施の形態3によるFPD検査装置3は、図1〜図3に示すFPD検査装置1と同様の構成において、検査空間PRを形成する検査部外装18が、検査部外装28に置き替えられている。検査部外装28は、開口が検査ユニット10へ向く、もしくは、検査ユニット10の一部を上方から覆う風洞C1が、クリーンエアの送出口に対して胴部がくびれた、絞り部CCを備えた形状を備えている。風洞C1に絞り部CCを設けることで、検査ユニット10付近でのクリーンエアの風速を大きくすることが可能となる。これにより、検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺において風速の大きなダウンフローFL9が形成されるため、特に高いクリーン度が要求される検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺を、より効率的にクリーンな状態に保つことが可能となる。なお、実施例3の検査ユニット10は、たとえばワークの欠陥部分に対して行うレーザ照射修復や塗布修正等の修復ユニット、観察・画像保存する撮像ユニット、配線等の寸法測定、膜厚測定、色測定などを行う測定ユニットなどの処理を所定の位置で施す他の処理ユニットに置き替えることもできる。すなわち、処理ユニットとして検査ユニット、修復ユニット、撮像ユニット、測定ユニット等が含まれる。なお、その他の構成および効果は、上述の実施の形態1または2と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0035】
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4による検査装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の実施の形態1〜3のいずれかと同様の構成については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0036】
図8および図9は、本実施の形態4によるFPD検査装置の概略構成を示す模式断面図である。なお、図8では、本実施の形態4において上流の搬送空間から検査空間にかけての搬送経路上にワークが存在する場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す。また、図9では、本実施の形態4において検査空間から下流の搬送空間にかけての搬送経路上にワークが存在する場合のクリーンルーム内での空気の流れを示す。
【0037】
図8および図9に示すように、本実施の形態4によるFPD検査装置4は、図1〜図3に示すFPD検査装置1と同様の構成において、FFU101から送出されたクリーンエアがダウンフローFL0を形成した後に流れる導風路を選択的に制限する導風路制御弁41aおよび41bを備える。また、FPD検査装置4は、図5および図6に示すFPD検査装置2と同様に、上流の搬送空間TR側と下流の搬送空間TRとのいずれの側にワークWが存在するかを検知するセンサ22aおよび22bを備える。
【0038】
この構成において、導風路制御弁41aおよび41bは、通常、検査部外装18の風洞Cにおける内壁面に沿った位置に収容される。ここで、たとえばセンサ22aによって上方のワークWが検出された場合、すなわち上流の搬送空間TR側にワークWが存在することが検出された場合、図8に示すように、制御部は、不図示の駆動部を制御することで、下流側の導風路制御弁41aを制御する。これにより、FFU101からダウンフローFL0を形成して検査ユニット10に吹きかけられたクリーンエアの下流への流れ込みが制限される。この結果、FFU101から送出された大部分のクリーンエアが、ダウンフローFL4およびフローFL5を形成して上流に位置するワークWの上面を流れた後、ワークWの端部でワークWの下方へ流れ込むフローFL6を形成して、搬送ステージ14〜16の下側へ流れ込む。その後、図8のダウンフローFL3に示すように、検査部外装18の床面ならびに搬送部外装17および19の床面にそれぞれ形成されたダクトを介して外部へ排気される。
【0039】
一方、たとえばセンサ22bによって上方のワークWが検出された場合、すなわち下流の搬送空間TR側にワークWが存在することが検出された場合、図9に示すように、制御部は、不図示の駆動部を制御することで、上流側の導風路制御弁41bを制御する。これにより、FFU101からダウンフローFL0を形成して検査ユニット10に吹きかけられたクリーンエアの上流への流れ込みが制限される。この結果、FFU101から送出された大部分のクリーンエアが、ダウンフローFL4およびフローFL5を形成して下流に位置するワークWの上面を流れた後、ワークWの端部でワークWの下方へ流れ込むフローFL6を形成して、搬送ステージ14〜16の下側へ流れ込む。その後、図9のダウンフローFL3に示すように、検査部外装18の床面ならびに搬送部外装17および19の床面にそれぞれ形成されたダクトを介して外部へ排気される。
【0040】
以上のように、本実施の形態4は、導風路制御弁41aおよび41bを開閉してワークWが存在する側に多くクリーンエアを流すことが可能な構成を備える。これにより、本実施の形態4では、特に高いクリーン度が要求される検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺のみならず、ワークWの位置に応じてワークWの上面にも効率的にクリーンエアを流すことが可能となる。この結果、搬送時の発塵などによるワークW表面へのダストの付着を的確且つ効率的に防ぐことが可能となる。すなわち、検査ユニット10近傍および検査ラインL15周辺のみならず、ワークW上の空間までも的確且つ効率的にクリーンな状態に保つことが可能となる。なお、実施例4の検査ユニット10は、たとえばワークの欠陥部分に対して行うレーザ照射修復や塗布修正等の修復ユニット、観察・画像保存する撮像ユニット、配線等の寸法測定、膜厚測定、色測定などを行う測定ユニットなどの処理を所定の位置で施す他の処理ユニットに置き替えることもできる。すなわち、処理ユニットとして検査ユニット、修復ユニット、撮像ユニット、測定ユニット等が含まれる。なお、その他の構成および効果は、上述の実施の形態1〜3のいずれかと同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0041】
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。例えば各実施の形態に対して適宜例示した変形例は、他の実施の形態に対して適用することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1、2、3、4 FPD検査装置
10 検査ユニット
11 架台
12 振動吸収機構
14〜16 搬送ステージ
17、19 搬送部外装
18、28 検査部外装
21a、21b 排気ファン
22a、22b センサ
41a、41b 導風路制御弁
101 FFU
111、113 シャッタ
112、114 巻取り機構
C、C1 風洞
CC 絞り部
D 搬送方向
FL0、FL1、FL2、FL3、FL4、FL7、FL8、FL9 ダウンフロー
FL5、FL6 フロー
L15 検査ライン
PR 検査空間
TR 搬送空間
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象基板を搬送する搬送ステージと、該搬送ステージ上を移動する前記対象基板に所定の処理を施す処理ユニットと、を備えた処理装置であって、
前記搬送ステージと前記処理ユニットとを収容する外装と、
前記外装内に集塵処理後の空気を送出する送風部と、
前記送風部から送出された前記空気を前記処理ユニットに導く風洞と、
を備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記風洞は、前記送風部から送出された前記空気を前記処理ユニットが処理を施す処理部に導くことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記風洞は、前記空気の送出口が前記処理ユニットへ向く、または、前記処理ユニットの少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記風洞は、前記空気の送出口に対して胴部がくびれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の処理装置。
【請求項5】
前記外装は、一部が突出した天井を備え、
前記送風部は、前記天井の前記突出した部分に設けられ、
前記風洞は、前記突出した部分の側壁によって構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の処理装置。
【請求項6】
前記外装の内部は、前記処理ユニットが配置された検査空間と、該検査空間以外の搬送空間と、からなり、
前記突出した部分は、前記外装の前記天井のうち前記検査空間に位置する部分であることを特徴とする請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記搬送空間から前記空気を前記外装外へ排気する排気部をさらに備え、
前記排気部は、前記対象基板の少なくとも一部が前記搬送空間内に位置する場合、前記搬送空間から前記空気を排気することを特徴とする請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記送風部から送出された前記空気の流れる方向を制御する導風路制御弁をさらに備え、
前記搬送空間は、前記対象基板を前記検出空間内へ搬入する側の上流搬送空間と、前記検出空間内を通過した前記対象基板を搬出する下流搬送空間と、を含み、
前記導風路制御弁は、前記対象基板の少なくとも一部が前記上流搬送空間内に位置し且つ前記下流搬送空間内に位置しない場合、前記空気が前記上流搬送空間へ流れるように制御し、前記対象基板の少なくとも一部が前記下流搬送空間内に位置し且つ前記上流搬送空間内に位置しない場合、前記空気が前記下流搬送空間へ流れるように制御することを特徴とする請求項6に記載の処理装置。
【請求項9】
前記処理ユニットは、前記対象基板の欠陥を検査する検査ユニットであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の処理装置。
【請求項10】
前記外装の前記搬送ステージ上面部に開閉式の扉を設けたことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−220631(P2011−220631A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91608(P2010−91608)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】