説明

処理装置

【課題】装置の動作モードに応じて適切に消費電力を削減することができる処理装置の提供。
【解決手段】第1の動作モードと前記第1の動作モードよりも消費電力が小さい第2の動作モードとが制御部により切り替えられる処理装置において、前記処理装置の特定部品に電力を供給するための電源部品として、前記第1の動作モードの電流値において効率が高い第1の電源部品と、前記第2の動作モードの電流値において効率が高い第2の電源部品と、を備え、前記制御部は、前記処理装置が前記第1の動作モードで動作する時は、前記第1の電源部品を動作させ、前記処理装置が前記第2の動作モードで動作する時は、前記第2の電源部品を動作させ、前記処理装置の動作モードを切り替える時は、所定時間、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の双方を動作させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置に関し、特に、通常モードと通常モードよりも省電力のスリープモードとを備える画像形成装置などの処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種処理を実行する処理装置は、環境負荷を低減するために消費電力の低減が求められている。特に、画像形成装置のように、搬送部や露光部、現像部、定着部などの様々な機構部を備えた装置では、通常使用時の消費電力は必然的に大きくなるため、ジョブの処理を行っていないスリープ時の消費電力をいかに小さくするかが重要である。
【0003】
このような背景から、消費電力を小さくする様々な方法が提案されており、例えば、下記特許文献1には、画像形成のための操作が行われない時間を計時する手段と、所定の時間が経過した場合は、画像形成が可能な電力量の供給状態より消費電力が低い第1の電力モードを設定し、所定の時間を超える時間が経過した場合は、第1の電力モードより消費電力が低い第2の電力モードを設定する手段と、設定している電力モードを表示する手段とを備えた画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−188442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、画像形成が可能な電力量の供給状態より消費電力が低い第1の電力モードと、第1の電力モードより消費電力が低い第2の電力モードとを切り替え、各電子部品に供給する電流を抑えることにより消費電力の低減を図っている。
【0006】
ここで、一般的に、電子部品には電源の効率が存在し、効率は電流値により変化するため、通常使用時の電流値において効率が最も高くなるように電子部品を選定している。そのため、消費電力が低い動作モードに切り替えても、その時の電流値では電子部品の効率が低下してしまい、電子部品自体の消費電力が増加する。その結果、装置全体の消費電力を効果的に削減することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、装置の動作モードに応じて適切に消費電力を削減することができる処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の動作モードと前記第1の動作モードよりも消費電力が小さい第2の動作モードとが制御部により切り替えられる処理装置において、前記処理装置の特定部品に電力を供給するための電源部品として、前記第1の動作モードの電流値において効率が高い第1の電源部品と、前記第2の動作モードの電流値において効率が高い第2の電源部品と、を備え、前記制御部は、前記処理装置が前記第1の動作モードで動作する時は、前記第1の電源部品を動作させ、前記処理装置が前記第2の動作モードで動作する時は、前記第2の電源部品を動作させ、前記処理装置の動作モードを切り替える時は、所定時間、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の双方を動作させる制御を行うものである。
【0009】
本発明においては、前記特定部品は、前記処理装置の動作モードに応じて動作状態が変化する部品であり、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の動作を制御する制御回路を備え、前記制御部は、前記処理装置が前記第1の動作モードで動作する時は、前記制御回路を制御して前記第1の電源部品を動作させて、前記特定部品に所定電圧で電力を供給し、前記処理装置が前記第2の動作モードで動作する時は、前記制御回路を制御して前記第2の電源部品を動作させて、前記特定部品に前記所定電圧で電力を供給し、前記処理装置の動作モードを切り替える時は、前記制御回路を制御して、前記所定時間、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の双方を動作させる構成とすることができる。
【0010】
また、本発明においては、前記特定部品は、前記処理装置の動作モードに応じて動作する部品構成が変化する部品群を形成する部品であり、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の動作を制御する制御回路と、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品と前記第1の動作モードでのみ動作する特定部品とを繋ぐ経路を開閉する切替スイッチと、を備え、前記制御部は、前記処理装置が前記第1の動作モードで動作する時は、前記制御回路を制御して前記第1の電源部品を動作させると共に、前記切替スイッチを制御して前記経路を繋げて、前記部品群の全ての前記特定部品に所定電圧で電力を供給し、前記処理装置が前記第2の動作モードで動作する時は、前記制御回路を制御して前記第2の電源部品を動作させると共に、前記切替スイッチを制御して前記経路を遮断して、前記部品群の一部の前記特定部品のみに前記所定電圧で電力を供給し、前記処理装置の動作モードを切り替える時は、前記制御回路を制御して、前記所定時間、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の双方を動作させる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の処理装置によれば、装置の動作モードに応じて適切に消費電力を削減することができる。
【0012】
その理由は、装置の動作モードに応じて動作状態が変化する特定部品(例えば、CPU)に電力を供給する電源部品(例えば、1.0Vを出力するDC−DCコンバータ)として、第1のモードの電流値において効率が高い第1の電源部品と、第1のモードよりも消費電力が小さい第2のモードの電流値において効率が高い第2の電源部品の2種類の電源部品を設けると共に、その2種類の電源部品への電源供給を切り替える制御回路を設け、第1のモードでは第1の電源部品を用いて特定部品に電力を供給し、第2のモードでは第2の電源部品を用いて特定部品に電力を供給する制御を行うからである。
【0013】
また、装置の動作モードに応じて動作する特定部品の構成が異なる部品群(例えば、DDR2とASIC)に電力を供給する電源部品(例えば、1.8Vを出力するDC−DCコンバータ)として、第1のモードの電流値において効率が高い第1の電源部品と、第1のモードよりも消費電力が小さい第2のモードの電流値において効率が高い第2の電源部品の2種類の電源部品を設けると共に、その2種類の電源部品への電源供給を切り替える制御回路と第1のモード時のみに動作する部品への電源供給をON/OFFする切替スイッチとを設け、第1のモードでは第1の電源部品を用いて部品群の全ての特定部品に電力を供給し、第2のモードでは第2の電源部品を用いて部品群の中の一部の特定部品のみに電力を供給する制御を行うからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施例に係るプリンタの主要構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るプリンタのコントローラボードの一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るプリンタの処理を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るプリンタの処理(スリープコンバータへの切替処理)を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係るプリンタの処理(通常コンバータへの切替処理)を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係るプリンタのコントローラボードの一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係るプリンタの処理(スリープコンバータへの切替処理)を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第2の実施例に係るプリンタの処理(通常コンバータへの切替処理)を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般に、処理装置は、通常の動作モード(以下、通常モードと呼ぶ。)と、通常モードよりも消費電力の小さい動作モード(以下、スリープモードと呼ぶ。)などの複数の動作モードを備えている。また、処理装置を構成する電子部品は、電流値によって効率が変動することから、通常モードの電流値で効率がよくなるように設計されている。そのため、スリープモードでは電子部品の効率が低下してしまい、処理装置全体の消費電力を効率的に削減することができない。
【0016】
例えば、CPU(Central Processing Unit)は、処理装置の動作モードに応じて動作状態を変化させることができ、スリープモードではクロック周波数を下げたり、機能を制限することにより消費電力を抑えることができる。しかしながら、通常モード及びスリープモードにおいて、共通のDC−DCコンバータを使用してCPUに電力を供給しているため、通常モード時の電流値において効率が高いDC−DCコンバータを使用すると、スリープモード時の電流値では効率が低下してしまい、DC−DCコンバータの消費電力が大きくなってしまう。
【0017】
そこで、本発明では、処理装置に使用される電子部品の中で、処理装置の動作モードに応じて動作状態が変化する特定部品に電力を供給する電源部品(DC−DCコンバータ)に着目し、通常モードの電流値において効率が良くなる電源部品と、スリープモードの電流値において効率が良くなる電源部品の2種類の電源部品を設け、処理装置の動作モードを切り替える際に、電源部品も切換えるようにする。
【0018】
また、DDR2(Double-Data-Rate2 Synchronous Dynamic Random Access Memory)とASIC(Application Specific Integrated Circuit)は、同じDC電圧(1.8V)で動作するため、これらの部品には共通のDC−DCコンバータを使用して電力を供給している。しかしながら、ASICはスリープモードでは動作させる必要がなく、動作モードに応じて消費電力が変化するため、通常モードの電流値(すなわち、DDR2とASICの双方を動作させるときの電流値)において効率が良くなるDC−DCコンバータを使用すると、スリープモードの電流値(すなわち、DDR2のみを動作させるときの電流値)では効率が低下してしまい、DC−DCコンバータの消費電力が大きくなってしまう。
【0019】
そこで、本発明では、処理装置に使用される電子部品の中で、処理装置の動作モードに応じて動作する特定部品の構成が変化する部品群に電力を供給する電源部品(DC−DCコンバータ)に着目し、通常モードの電流値(部品群の全ての特定部品が動作する時の電流値)において効率が良くなる電源部品と、スリープモードの電流値(部品群の一部の特定部品のみが動作する時の電流値)において効率が良くなる電源部品の2種類の電源部品を設け、動作モードを切り替える際に、電源部品も切換えるようにする。
【0020】
これらにより、スリープモードにおいても電源部品の効率を高めることができ、スリープモード時の消費電力を確実に低減することができる。以下、上記のような特定部品を備える処理装置として、プリンタを例にして説明する。
【実施例1】
【0021】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る処理装置について、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本実施例のプリンタの主要構成を示すブロック図であり、図2は、プリンタのコントローラの構成を示すブロック図である。また、図3は、プリンタの全体処理を示すフローチャート図であり、図4及び図5は、DC−DCコンバータの切替処理を示すフローチャート図である。
【0022】
図1に示すように、本実施例のプリンタ10は、電源20と、コントローラボード30と、メカコンボード40と、機構部50などを備える。
【0023】
電源20は、AC電源をDC電源に変換して、コントローラボード30に、例えば3.3VのDC電力を供給すると共に、メカコンボード40に、例えば24VのDC電力を供給する。
【0024】
コントローラボード30は、プリンタ10全体、特にメカコンボード40を制御する。コントローラボード30の詳細は後述する。
【0025】
メカコンボード40は、機械の信頼性・性能を確保する上でメカコントロールを行っている制御系であり、コントローラボード30とビデオインタフェースにて通信を行い、機構部50の制御を行う。
【0026】
機構部50は、プリンタ10の各種機能を実行する部分であり、例えば、感光体に画像を形成する露光部や現像部、画像を用紙に転写する転写部、定着した画像を定着させる定着部、用紙トレイから用紙を取り出して転写部に供給し、定着後の用紙を排出部に排出する搬送部などである。なお、本実施例では、搬送部を例にして説明する。
【0027】
上記コントローラボード30には、CPUが含まれており、CPUは2種類の動作状態を持つ。第1の動作状態(マスターモードなどと呼ばれる動作状態)では、CPUはそのアーキテクチャの全ての操作が可能であり、任意の命令を実行でき、全メモリ空間にアクセス可能であることから、消費電流は大きくなる。一方、第2の動作状態(スレーブモードなどと呼ばれる動作状態)では、ハードウェアによってCPUの動作に制限が加えられ、一部の命令が実行できなくなり、メモリ空間の一部にアクセスできなくなることから、消費電流は小さくなる。
【0028】
ここで、プリンタ10を通常モードで動作させる場合は、CPUは第1の動作状態で動作させる必要があるが、プリンタをスリープモードで動作させる場合は、CPUは第2の動作状態で動作させれば十分である。従って、プリンタ10を通常モードで動作させる場合は、CPUの消費電流は大きくなり、スリープモードで動作させる場合は、CPUの消費電流は小さくなるため、CPUに電力を供給する電源部品をどのような電流値で最適化するかが問題となる。そこで、本実施例では、CPUに電力を供給する電源部品(DC−DCコンバータ)を2種類設け、通常モードの電流値とスリープモードの電流値の各々において効率が最適になるように切り替えて、電源部品の効率低下による消費電力の増加を抑制し、プリンタ10全体の消費電力の低減を図る。
【0029】
図2は、本実施例のコントローラボード30の一例であり、コントローラボード30は、通常使用時のDC−DCコンバータ31a及びスリープ時のDC−DCコンバータ31bと、逆流防止回路32a、32bと、DC−DCコンバータ制御回路33と、CPU(SOC:System-on-a-Chip)34と、RAM(Random Access Memory)35と、ROM(Read Only Memory)36と、インタフェース用デバイス37などで構成される。
【0030】
通常使用時のDC−DCコンバータ31a及びスリープ時のDC−DCコンバータ31bは、3.3VのDC電源を1.0VのDC電源に変換する回路であり、通常使用時のDC−DCコンバータ31aは、通常モードの電流値において、効率が最適になるように設計され、スリープ時のDC−DCコンバータ31bは、スリープモードの電流値において、効率が最適になるように設計されている。
【0031】
逆流防止回路32a、32bは、ダイオードなどで構成され、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、あるいは、スリープ時のDC−DCコンバータ31bの一方がONしている時に、他方への電流の逆流(流れ込み)を防止するための回路である。
【0032】
DC−DCコンバータ制御回路33は、CPU34からの制御信号により、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、あるいは、スリープ時のDC−DCコンバータ31bをON/OFFさせる制御を行う。
【0033】
CPU34は、ROM36に格納又はRAM35に展開されたプログラムを実行する制御部であり、ALU(Arithmetic Logic Unit)などの演算装置、データを一時記憶するレジスタ、メモリなどの記憶装置へのインタフェース、周辺機器との入出力装置へのインタフェース、CPU全体を制御する制御装置などで構成される。そして、CPU34は、プリンタ10の動作モードに応じて自らの動作状態を変える。また、通常モード時において、処理すべきジョブがなく、操作がされていない状態が予め定めた時間を超えたら、DC−DCコンバータ制御回路33に、通常使用時のDC−DCコンバータ31aをOFFに、スリープ時のDC−DCコンバータ31bをONにさせる制御信号を送り、動作モードをスリープモードに切り替える制御を行う。また、スリープモード時において、処理すべきジョブが発生、若しくは、操作がされたら、DC−DCコンバータ制御回路33に、通常使用時のDC−DCコンバータ31aをONに、スリープ時のDC−DCコンバータ31bをOFFにさせる制御信号を送り、動作モードを通常モードに切り替える制御を行う。
【0034】
RAM35は、アドレス信号によって番地情報を与えることにより任意の番地のメモリセルに対して読み出しや書き込みといった操作が出来る記憶装置であり、プログラムを展開する領域と、ライト/リードが可能な領域とを備える。
【0035】
ROM36は、読み出し専用の記憶装置であり、初期化プログラムやスリープ時に動作する(低速処理を行う)プログラム、印刷時に動作する(高速処理を行う)プログラムなどを格納する。
【0036】
インタフェース用デバイス37は、NIC(Network Interface Card)などであり、プリンタを通信ネットワークに接続し、クライアントのコンピュータ装置などとの通信を確立する。
【0037】
なお、図1及び図2は、本実施例のプリンタ10の一例であり、その構成は適宜変更可能である。
【0038】
次に、上記構成のプリンタ10の処理について、図3乃至図5のフローチャート図を参照して説明する。
【0039】
図3に示すように、CPU34は、通常モードからスリープモードに移行する時間をカウントするスリープタイマをリセットする(S101)。なお、通常モードからスリープモードに移行する時間は任意に設定することができる。
【0040】
次に、CPU34は、ユーザによって操作パネルが操作されたかを判断し(S102)、操作された場合は、プリンタ10がスリープモードであるかを判断する(S103)。スリープモードの場合は、CPU34は、通常モードに移行して通常使用時のDC−DCコンバータ31aへの切替処理を実行する(S104)。
【0041】
具体的には、図5に示すように、CPU34は、DC−DCコンバータ制御回路33に、通常使用時のDC−DCコンバータ31aをONにする制御信号を送り、DC−DCコンバータ制御回路33は、その制御信号に従って、通常使用時のDC−DCコンバータ31aをONにする(S301)。ここで、通常使用時のDC−DCコンバータ31aをONにした後、スリープ時のDC−DCコンバータ31bを直ちにOFFにすると、CPU34に供給される電源が不安定になる恐れがあることから、CPU34は、所定時間(例えば、1秒)が経過したかを判断し(S302)、所定時間が経過したら、DC−DCコンバータ制御回路33に、スリープ使用時のDC−DCコンバータ31bをOFFにする制御信号を送り、DC−DCコンバータ制御回路33は、その制御信号に従って、スリープ時のDC−DCコンバータ31bをOFFにする(S303)。
【0042】
図3に戻って、S103でプリンタ10がスリープモードでない場合、若しくは、S104で通常モードへの移行処理を行った後、CPU34は、スリープタイマをリセットする(S105)。
【0043】
次に、CPU34は、ジョブを監視し(S106)、ジョブが発生した場合は、プリンタ10がスリープモードであるかを判断する(S107)。スリープモードでない場合は、ジョブの処理を実行し(S108)、スリープモードの場合は、ジョブの種類を判別する(S109)。ジョブの種類がFAX受信の場合は、FAXデータを受信して記憶するのみ(すなわち、ユーザの操作や機構部50の動作が必要がない)ため、スリープモードのままジョブの処理(FAX受信)を行う(S112)。一方、ジョブの種類がFAX受信以外の場合(例えば、コピーやプリントの場合)は、機構部50を動作させる必要があるため、CPU34は、S104と同様に、通常モードに移行して通常使用時のDC−DCコンバータ31aへの切替処理を実行し(S110)、その後、スリープタイマをリセットする(S111)。
【0044】
ここで、機構部50(特に、搬送部)は、停止時間が長いと、スムーズに動作を開始することができなくなる恐れがあることか、物理的な歪みを解消するために、定期的に動作させることが好ましい。そこで、CPU34は、プリンタ10がスリープモードであるかを判断し(S113)、スリープモードの場合は、定期搬送用タイマが予め定めた時間(T2)を超えたかを判断する(S114)。そして、定期搬送用タイマが予め定めた時間(T2)を超えた場合は、スリープモードのまま(すなわち、スリープ時のDC−DCコンバータ31bを使用して)、定期的な動作(搬送部50の場合は定期搬送)を開始し、定期搬送用タイマをリセットする(S115)。そして、定期搬送用タイマが予め定めた時間(T2)を超えていない場合、若しくは、定期搬送を実行した後、S102に戻って同様の処理を繰り返す。
【0045】
一方、S113でプリンタ10がスリープモードでない場合は、CPU34は、スリープタイマが予め定めた時間(T1)を超えたかを判断し(S116)、予め定めた時間(T1)を超えた場合は、スリープモードに移行してスリープ時のDC−DCコンバータ31bへの切替処理を実行し、定期搬送用タイマをセットする(S117)。
【0046】
具体的には、図4に示すように、CPU34は、DC−DCコンバータ制御回路33に、スリープ時のDC−DCコンバータ31bをONにする制御信号を送り、DC−DCコンバータ制御回路33は、その制御信号に従って、スリープ時のDC−DCコンバータ31bをONにする(S201)。ここでも、スリープ時のDC−DCコンバータ31bをONにした後、通常使用時のDC−DCコンバータ31aを直ちにOFFにすると、CPU34に供給される電源が不安定になる恐れがあることから、CPU34は、所定時間(例えば、1秒)が経過したかを判断し(S202)、所定時間が経過したら、DC−DCコンバータ制御回路33に、通常使用時のDC−DCコンバータ31aをOFFにする制御信号を送り、DC−DCコンバータ制御回路33は、その制御信号に従って、通常使用時のDC−DCコンバータ31aをOFFにする(S203)。なお、上記所定時間は、通常使用時のDC−DCコンバータ31aとスリープ時のDC−DCコンバータ31bの双方を動作させることになるが、双方を動作させる時間が十分に短いため、その間の消費電力の増加は無視することができる。
【0047】
図3に戻って、スリープタイマが予め定めた時間(T1)を超えていない場合、若しくは、スリープモードへの移行処理を実行した後、S102に戻って同様の処理を繰り返す。
【0048】
このように、本実施例では、プリンタ10の動作モードに応じて動作状態が変化する特定部品(例えば、CPU34)に電力を供給する電源部品として、2種類の電源部品(例えば、通常使用時の電流値で効率が高いDC−DCコンバータ31aとスリープ時の電流値で効率が高いDC−DCコンバータ31b)を設けると共に、2種類の電源部品を切り替える制御回路(DC−DCコンバータ制御回路33)を設け、プリンタ10の動作モードに応じて、電源部品を切り替える制御を行うため、いずれの動作モードであっても、常に効率の高い電源部品を使用することができ、プリンタ10の消費電力を効率的に削減することができる。
【実施例2】
【0049】
次に、本発明の第2の実施例に係る処理装置について、図6乃至図8を参照して説明する。図6は、本実施例のプリンタのコントローラの構成を示すブロック図であり、図7及び図8は、本実施例のプリンタにおけるDC−DCコンバータの切替処理を示すフローチャート図である。
【0050】
前記した第1の実施例では、プリンタ10の動作モード応じて動作状態が変化する特定部品(CPU34)に対して電力を供給する電源部品(DC−DCコンバータ)を2種類設けたが、プリンタ10を構成する部品の中には、通常モード及びスリープモードのいずれの動作モードでも動作する部品(例えば、RAM)と、通常モード時のみ動作し、スリープモード時には動作させる必要がない部品(例えば、ASIC)とが存在する。
【0051】
そこで、本実施例では、通常モード及びスリープモードのいずれの場合も動作する部品(ここでは、DDR2)と通常モードの場合のみ動作する部品(ここでは、ASIC)の双方に同じ電源電圧(1.8VのDC電源)を供給する電源部品(DC−DCコンバータ)も、通常モードにおける電流値で効率が高い電源部品とスリープモードにおける電力値で効率が高い電源部品の2種類の電源部品を設ける。そして、この2種類の電源部品の切り替え制御を行う制御回路(DC−DCコンバータ制御回路)と、スリープモード時に、ASICへの電源供給を停止させるための切替スイッチを設ける。
【0052】
図6は、この場合のコントローラボード30の一例であり、コントローラボード30は、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、31c及びスリープ時のDC−DCコンバータ31b、31dと、逆流防止回路32a〜32dと、DC−DCコンバータ制御回路33と、CPU34と、RAM35と、ROM36と、インタフェース用デバイス37と、ASIC38と、切替スイッチ39などを備える。
【0053】
通常使用時のDC−DCコンバータ31a及びスリープ時のDC−DCコンバータ31bは、3.3VのDC電源を1.0VのDC電源に変換する回路であり、通常使用時のDC−DCコンバータ31aは、通常使用時の消費電流において、効率が一番良くなるように設計され、スリープ時のDC−DCコンバータ31bは、スリープ時の消費電流において、効率が一番良くなるように設計されている。また、通常使用時のDC−DCコンバータ31c及びスリープ時のDC−DCコンバータ31dは、3.3VのDC電源を1.8VのDC電源に変換する回路であり、通常使用時のDC−DCコンバータ31cは、通常使用時の消費電流において、効率が一番良くなるように設計され、スリープ時のDC−DCコンバータ31dは、スリープ時の消費電流において、効率が一番良くなるように設計されている。
【0054】
逆流防止回路32a〜32dは、通常使用時のDC−DCコンバータ31aや31c、あるいは、スリープ時のDC−DCコンバータ31bや31dの一方がONしている時に、他方への電流の逆流(流れ込み)を防止するための回路である。
【0055】
DC−DCコンバータ制御回路33は、CPU34からの制御信号により、通常使用時のDC−DCコンバータ31aや31c、あるいは、スリープ時のDC−DCコンバータ31bや31dをON/OFFさせる制御を行う。
【0056】
CPU34は、ROM36に格納又はRAM35に展開されたプログラムを実行する制御部であり、プリンタ10の動作モードに応じて自らの動作状態を変える。また、通常モード時において、処理すべきジョブがなく、操作がされていない状態が予め定めた時間を超えたら、DC−DCコンバータ制御回路33に、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、31cをOFFに、スリープ時のDC−DCコンバータ31b、31dをONにさせる制御信号を送ると共に、切替スイッチ39に、スリープ時のDC−DCコンバータ31dとASIC38との経路を遮断させる制御信号を送り、動作モードをスリープモードに切り替える制御を行う。また、スリープモード時において、処理すべきジョブが発生、若しくは、操作がされたら、DC−DCコンバータ制御回路33に、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、31cをONに、スリープ時のDC−DCコンバータ31b、31dをOFFにさせる制御信号を送ると共に、切替スイッチ39に、通常使用時のDC−DCコンバータ31cとASIC38との経路を繋ぐ制御信号を送り、動作モードを通常モードに切り替える制御を行う。
【0057】
RAM35は、アドレス信号によって番地情報を与えることにより任意の番地のメモリセルに対して読み出しや書き込みといった操作が出来る記憶装置であり、本実施例では、1.8VのDC電圧で動作するDDR2を用いる。
【0058】
ROM36は、読み出し専用の記憶装置であり、初期化プログラムやスリープ時に動作する(低速処理を行う)プログラム、印刷時に動作する(高速処理を行う)プログラムなどを格納する。
【0059】
インタフェース用デバイス37は、NICなどであり、プリンタを通信ネットワークに接続し、クライアントのコンピュータ装置などとの通信を確立する。
【0060】
ASIC38は、例えば、入力されるRGBの画像データをCMYに変換し,画素単位のCMYデータに基づいて領域分離、黒生成、色補正などの画像処理を行うための集積回路であり、1.8VのDC電圧で動作する。
【0061】
切替スイッチ39は、CPU34からの制御信号により、スリープ時のDC−DCコンバータ31dとASIC38との経路を遮断したり、通常使用時のDC−DCコンバータ31cとASIC38との経路を繋いだりする制御を行う。
【0062】
なお、図6では、コントローラボード30に、プリンタ10の動作モードに応じて動作状態が異なる特定部品(CPU34)と、プリンタ10の動作モードに応じて動作する特定部品の構成が異なる部品群(RAM35及びASIC38)と、を備える構成としたが、上記特定部品(CPU34)に電力を供給する電源部品(1.0Vを出力するDC−DCコンバータ)は1種類とし、部品群(RAM35及びASIC38)に電力を供給する電源部品(1.8Vを出力するDC−DCコンバータ)のみを2種類としてもよい。
【0063】
本実施例のプリンタ10の基本動作は前記した第1の実施例の図3と同様であるが、通常モードからスリープモードへの切替処理、及び、スリープモードから通常モードへの切替処理が異なる。以下、図7及び図8のフローチャート図を参照して説明する。
【0064】
スリープモードへの切替時は、図7に示すように、CPU34は、DC−DCコンバータ制御回路33に、スリープ時のDC−DCコンバータ31b、31dをONにする制御信号を送り、DC−DCコンバータ制御回路33は、その制御信号に従って、スリープ時のDC−DCコンバータ31b、31dをONにする(S401)。ここでも、スリープ時のDC−DCコンバータ31b、31dをONにした後、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、31cを直ちにOFFにすると、CPU34やRAM35に供給される電源が不安定になる恐れがあることから、CPU34は、所定時間(例えば、1秒)が経過したかを判断し(S402)、所定時間が経過したら、DC−DCコンバータ制御回路33に、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、31cをOFFにする制御信号を送り、DC−DCコンバータ制御回路33は、その制御信号に従って、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、31cをOFFにする。更に、CPU34は、切替スイッチ39に、スイッチをOFF(開)にする制御信号を送り、切替スイッチ39は、その制御信号に従って、スリープ時のDC−DCコンバータ31dからASIC38への経路を遮断する(S403)。
【0065】
一方、通常モードへの切替時は、図8に示すように、CPU34は、DC−DCコンバータ制御回路33に、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、31cをONにする制御信号を送り、DC−DCコンバータ制御回路33は、その制御信号に従って、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、31cをONにする。更に、CPU34は、切替スイッチ39に、スイッチをON(閉)にする制御信号を送り、切替スイッチ39は、その制御信号に従って、通常使用時のDC−DCコンバータ31cからASIC38への経路を繋ぐ(S501)。ここでも、通常使用時のDC−DCコンバータ31a、31cをONにした後、スリープ時のDC−DCコンバータ31b、31dを直ちにOFFにすると、CPU34やRAM35、ASIC38に供給される電源が不安定になる恐れがあることから、CPU34は、所定時間(例えば、1秒)が経過したかを判断し(S502)、所定時間が経過したら、DC−DCコンバータ制御回路33に、スリープ使用時のDC−DCコンバータ31b、31dをOFFにする制御信号を送り、DC−DCコンバータ制御回路33は、その制御信号に従って、スリープ時のDC−DCコンバータ31b、31dをOFFにする(S503)。
【0066】
このように、本実施例では、プリンタ10の動作モードに応じて動作する特定部品の構成が異なる部品群(例えば、RAM35とASIC38)に電力を供給する電源部品として、2種類の電源部品(例えば、通常モードの電流値で効率が高いDC−DCコンバータとスリープモードの電流値で効率が高いDC−DCコンバータ)を設けると共に、2種類の電源部品を切り替える制御回路(DC−DCコンバータ制御回路33)とスリープモードで動作しない部品とDC−DCコンバータとの経路を開閉する制御回路(切替スイッチ39)とを設け、プリンタ10の動作モードに応じて、電源部品を切り替える制御を行うため、いずれの動作モードであっても、常に効率の高い電源部品を使用することができ、プリンタ10の消費電力を効率的に削減することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適否変更可能である。
【0068】
例えば、第1の実施例では、CPU34に電力を供給する電源部品の制御に関して例示したが、プリンタ10の動作モードに応じて動作状態が変化する任意の特定部品に電力を供給する電源部品の制御に対して、同様に適用することできる。また、第2の実施例では、RAM(DDR2)35とASIC38に電力を供給する電源部品の制御に関して例示したが、プリンタ10の動作モードに応じて動作する特定部品の構成が異なる任意の部品群に電力を供給する電源部品の制御に対して、同様に適用することできる。
【0069】
また、上記実施例では、プリンタを例にして説明したが、スキャナ装置やFAX装置、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)などの画像形成装置全般に適用できるのは言うまでもなく、上記特定部品を備える任意の処理装置に対して、同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、装置の動作モードに応じて動作状態が異なる任意の部品、及び/又は、装置の動作モードに応じて動作する特定部品の構成が異なる任意の部品群を備える処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 プリンタ
20 電源
30 コントローラボード
31a、31c 通常使用時のDC−DCコンバータ
31b、31d スリープ時のDC−DCコンバータ
32a〜32d 逆流防止回路
33 DC−DCコンバータ制御回路
34 CPU(SOC)
35 RAM(DDR2)
36 ROM
37 インタフェース用デバイス
38 ASIC
39 切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の動作モードと前記第1の動作モードよりも消費電力が小さい第2の動作モードとが制御部により切り替えられる処理装置において、
前記処理装置の特定部品に電力を供給するための電源部品として、前記第1の動作モードの電流値において効率が高い第1の電源部品と、前記第2の動作モードの電流値において効率が高い第2の電源部品と、を備え、
前記制御部は、前記処理装置が前記第1の動作モードで動作する時は、前記第1の電源部品を動作させ、前記処理装置が前記第2の動作モードで動作する時は、前記第2の電源部品を動作させ、前記処理装置の動作モードを切り替える時は、所定時間、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の双方を動作させる制御を行う、
ことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記特定部品は、前記処理装置の動作モードに応じて動作状態が変化する部品であり、
前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の動作を制御する制御回路を備え、
前記制御部は、前記処理装置が前記第1の動作モードで動作する時は、前記制御回路を制御して前記第1の電源部品を動作させて、前記特定部品に所定電圧で電力を供給し、前記処理装置が前記第2の動作モードで動作する時は、前記制御回路を制御して前記第2の電源部品を動作させて、前記特定部品に前記所定電圧で電力を供給し、前記処理装置の動作モードを切り替える時は、前記制御回路を制御して、前記所定時間、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の双方を動作させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記特定部品は、CPUを含み、
前記電源部品は、DC−DCコンバータを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記特定部品は、前記処理装置の動作モードに応じて動作する部品構成が変化する部品群を形成する部品であり、
前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の動作を制御する制御回路と、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品と前記第1の動作モードでのみ動作する特定部品とを繋ぐ経路を開閉する切替スイッチと、を備え、
前記制御部は、前記処理装置が前記第1の動作モードで動作する時は、前記制御回路を制御して前記第1の電源部品を動作させると共に、前記切替スイッチを制御して前記経路を繋げて、前記部品群の全ての前記特定部品に所定電圧で電力を供給し、前記処理装置が前記第2の動作モードで動作する時は、前記制御回路を制御して前記第2の電源部品を動作させると共に、前記切替スイッチを制御して前記経路を遮断して、前記部品群の一部の前記特定部品のみに前記所定電圧で電力を供給し、前記処理装置の動作モードを切り替える時は、前記制御回路を制御して、前記所定時間、前記第1の電源部品及び前記第2の電源部品の双方を動作させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記特定部品は、前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードの双方で動作するRAMと、前記第1の動作モードでのみ動作するASICと、を含み、
前記電源部品は、DC−DCコンバータを含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記処理装置が前記第2の動作モードで動作中に、ユーザ操作を必要としない処理を実行する場合は、前記第2の動作モードを維持し、前記第2の電源部品を使用して、前記処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−173744(P2012−173744A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31640(P2011−31640)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】