説明

処理設備

【課題】処理装置の制御負荷の増加を回避しながらも、処理作業効率の向上を図ることができる処理設備を提供する。
【解決手段】複数の処理装置1及び処理対象物を貯留する貯留装置Qを経由する搬送ラインに沿って走行して処理対象物を搬送する搬送車3を管理する搬送管理手段HCが、処理装置1から主管理手段JCに対して通信される処理進行情報を監視して、複数の処理装置1のうちで、処理対象物の処理が終了した又は終了間近である処理装置1を、主管理手段JCから搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元として抽出し、その処理装置1から処理対象物を搬出するために、事前搬送元として抽出した処理装置1に対して搬送車3を走行させる事前搬送制御を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象物に対して異なる複数工程の処理を行う複数の処理装置及び前記処理対象物を貯留する貯留装置を経由する搬送ラインに沿って走行して前記処理対象物を搬送する搬送車が設けられ、前記複数の処理装置の夫々が、前記処理対象物の搬入を要求する搬入要求情報及び前記処理対象物の搬出を要求する搬出要求情報を含む処理進行情報を、主管理手段に対して通信するように構成され、前記主管理手段が、前記搬入要求情報及び前記搬出要求情報が通信されると、前記処理対象物の搬送元及び搬送先を示す搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を、搬送管理手段に対して通信するように構成され、前記搬送管理手段が、前記搬送指令情報に基づいて、前記搬送車の走行を制御するように構成されている処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる処理設備は、例えば、半導体基板に対して、洗浄工程、乾燥工程、エッジング工程等の異なる複数工程の処理を順次行わせるための設備であり、複数の処理装置としては、一般に、処理対象物に対して異なる工程の処理を行う複数種の処理装置が、複数ずつ装備されることになる。
ちなみに、半導体基板に対して処理する設備の場合には、複数枚の半導体基板を収納する半導体収納容器が、処理対象物に相当することになる。つまり、半導体基板を処理する処理装置は、半導体収納容器から半導体基板を順次取り出して処理し、処理済みの半導体基板を順次半導体収納容器に収納することになる。
【0003】
そして、この処理設備では、処理対象物が、搬送車によって、異なる工程の処理を行う複数の処理装置に順次搬送されることになる。
すなわち、処理装置は、運転開始時や処理対象物が搬出された直後で処理対象物が存在しないときには、処理対象物の搬入要求情報を、処理進行情報として主管理手段に通信することになる。
主管理手段は、搬入要求情報を受信すると、搬入要求情報があった処理装置に搬入するための処理対象物を抽出することになる。この処理対象物の抽出は、貯留装置に貯留されている処理対象物のうちから抽出されることが多く、主管理手段は、貯留装置に対して、該当する処理対象物を出庫することを指令することになる。
【0004】
そして、処理対象物を抽出すると、主管理手段は、その処理対象物を受け取る箇所を搬送元とし、処理対象物の搬入要求情報があった処理装置を搬送先とする搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を搬送管理手段に対して通信することになる。
【0005】
搬送管理手段は、搬送指令情報を受信すると、搬送元の処理対象物を搬送先の処理装置に搬送すべく、搬送車の走行を制御することになる。つまり、処理対象物を受け取る箇所に搬送車を走行させて、処理対象物を受け取り、次に、搬送車を搬送先としての処理装置に走行させて、搬送先としての処理装置に処理対象物を受け渡すことになる。
ちなみに、一般には、搬送車として、複数台が装備されて、非作業中等の搬送可能な搬送車が対象処理物を搬送するための搬送車として選択されることになる。
【0006】
そして、処理装置は、一般に、処理中の処理対象物に対する処理の進捗情報を、処理進行情報として主管理手段に対して通信することになり、そして、処理対象物に対する処理が終了すると、処理対象物の搬出要求情報を、処理進行情報として主管理手段に通信することになる。
【0007】
主管理手段は、搬出要求情報を受信すると、搬出要求情報を通信した処理装置を搬送元として、その処理装置からの処理対象物を搬送すべき箇所を搬送先とする搬送指令情報を作成して、搬送管理手段に通信することになる。
処理装置からの処理対象物を搬送すべき箇所としての搬送先を設定するには、搬送する処理対象物に対して次に処理する工程がどのような工程であるかを、その処理対象物についての複数の処理工程の進行情報に基づいて確認し、複数の処理装置の現在の処理状況を確認し、加えて、貯留装置の処理対象物の貯留状況を確認した上で、複数の処理装置の稼動率を向上する等の条件を鑑みながら、処理対象物を搬送すべき箇所として適正な箇所を設定することになる。
【0008】
ちなみに、実際の稼動中においては、処理対象物を搬送すべき箇所として設定される箇所は、貯留装置に定められることが多いと考えられるが、貯留装置以外の箇所が、搬送すべき箇所として定められ場合もある。
例えば、搬送指令情報の作成中やその直前において、他の処理装置から搬入要求情報が通信され、しかも、その処理装置が、処理対象物に対して次に行う工程の処理を行うものである場合には、その処理装置が、処理対象物を搬送すべき箇所として定められることもある。
【0009】
また、貯留装置以外の箇所が、搬送すべき箇所として定められる他の例として、処理装置に対応して、処理対象物の仮置き部が装備されているときには、次に行う工程の処理を行う処理装置が、現在処理中であっても、その処理装置の仮置部を、搬送すべき箇所として定める場合もある。
【0010】
ちなみに、搬送指令情報の作成において、他の処理装置が、処理対象物を搬送すべき箇所として定められるということは、上述した搬入要求情報を通信する処理装置に対して、処理対象物を搬入することに相当する。
また、処理装置に対応して仮置部が装備される場合においては、上述した搬入要求情報を通信する処理装置に対して搬入する処理対象物を抽出する際に、その処理装置に対応する仮置部に処理対象物が存在するときには、その処理対象物が優先して抽出されることになる。
つまり、搬入要求情報を通信する処理装置には、上述の如く、貯留装置に貯留されている処理対象物が搬入されることが多いが、他の処理装置や仮置部からの処理対象物が搬入される場合もある。
【0011】
主管理手段は、処理対象物を搬送すべき箇所としての搬送先を定めると、その処理対象物を受け取る処理装置を搬送元とし、処理対象物を搬送すべき箇所を搬送先とする搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を搬送管理手段に対して通信することになる。
【0012】
このような処理設備において、従来では、搬送管理手段は、処理装置からの搬出要求情報に基づいて作成された搬送指令情報が主管理手段から通信されてくると、搬出要求情報を通信した処理装置の処理対象物を搬送するために、搬送車の走行制御を開始するように構成されていた。
つまり、従来では、搬送管理手段は、主管理手段からの搬送指令情報を受信すると、搬送車の走行制御を開始して、処理対象物を受け取ることになる搬送元の処理装置に搬送車を走行させて、処理対象物を受け取り、次に、処理対象物を搬送すべき箇所に搬送車を走行させて、処理対象物を受け渡すように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
ちなみに、特許文献1の処理設備においては、ホストコンピュータが、主管理手段に相当し、ストッカが、貯留装置に相当し、搬送装置が、搬送管理手段と搬送車とに相当することになり、また、処理着工可能信号が、搬入要求情報に相当し、処理終了報告信号が、搬出要求情報に相当することになる。
【0014】
特許文献1の処理設備においては、搬送管理手段が、搬出要求情報に基づいて作成された搬送指令情報が主管理手段から通信されてくると、搬送車の走行制御を開始するものであるため、搬出要求情報を通信した処理装置が、処理対象物の処理を終了したのち、搬送車の到着を待つ時間が長くなる虞があった。
【0015】
すなわち、処理進行情報として、搬出要求情報が、処理装置から主管理手段に通信されると、主管理手段は、搬出要求情報を通信する処理装置を搬送元とし、その処理装置からの処理対象物を搬送すべき箇所を搬送先とする搬送指令情報を作成して、搬送管理手段に通信することになるが、処理装置からの処理対象物を搬送すべき箇所としての搬送先を定めるには、搬送する処理対象物に対して次に処理する工程がどのような工程であるかを、その処理対象物についての複数の処理工程の進行情報に基づいて確認し、複数の処理装置の処理状況を確認し、かつ、貯留装置の処理対象物の貯留状況を確認した上で、複数の処理装置の稼動率を向上する等の条件を鑑みながら、処理対象物を搬送すべき箇所として適正な箇所を設定することになるため、搬送要求情報に基づいて搬送指令情報を作成するには、かなりの長時間(例えば、30〜60秒)を必要とするものである。
【0016】
したがって、搬送車が搬出要求情報を通信した処理装置に到着するのに要する時間は、主管理手段が搬送指令情報を作成する時間と、搬送車が現在位置から搬出要求情報を通信した処理装置に走行する時間とを加えた時間となるため、搬出要求情報を通信した処理装置が、処理対象物の処理を終了したのち、搬送車の到着を待つ時間が長くなる虞があり、設備の処理作業効率を向上し難いものとなっていた。
【0017】
このような処理設備の問題点を解消する従来例として、処理装置が、現在処理中の処理対象物に対する処理がまもなく終了する時刻になると、その処理がいつ終了するかを表す終了予告信号を、主管理手段としての仕掛かりコンピュータに通信するように構成され、そして、仕掛かりコンピュータが、その終了予告信号を受信すると、終了予告信号を通信した処理装置を搬送元とし、その処理装置に存在する処理対象物を搬送すべき箇所を搬送先とする搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を、搬送管理手段としての自動搬送車コントローラに通信するように構成したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−19911号公報
【特許文献2】特開2000−156398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記した特許文献2の処理設備においては、処理装置が、現在処理中の処理対象物に対する処理がまもなく終了する時刻になると、その処理がいつ終了するかを表す終了予告信号を、主管理手段としての仕掛かりコンピュータに通信することにより、処理装置が、現在処理中の処理対象物に対する処理が終了する以前から、主管理手段としての仕掛かりコンピュータが、搬送指令情報の作成を開始することになるので、終了予告信号を通信した処理装置が、処理対象物の処理を終了したのち、搬送車としての自動搬送車の到着を待つ時間を減少させることができるため、処理設備の処理作業効率を向上できるものである。
【0020】
しかしながら、処理装置が、現在処理中の処理対象物に対する処理がまもなく終了する時刻になると、その処理がいつ終了するかを表す終了予告信号を、主管理手段としての仕掛かりコンピュータに通信するように構成されるものであるため、処理装置の制御負荷が増加する不都合がある。
【0021】
つまり、処理装置には、処理対象物の処理を実行するために備える機器類の作動を制御するコントローラが装備されて、そのコントローラにて、機器類の制御作動や主管理手段との通信制御が実行されることになるが、そのコントローラは、機器類の制御作動を管理しながら、主管理手段との通信を行うものであるために、その作業負荷が大きいものであるが、そのようなコントローラにて、終了予告信号を通信させるようにすると、処理装置の制御負荷が増加するため、処理装置に装備するコントローラとしては、大きな容量を備えた高価なコントローラが必要となる不利があり、処理装置の制御負荷の増加を避けることが望まれるものであった。
【0022】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、処理装置の制御負荷の増加を回避しながらも、処理作業効率の向上を図ることができる処理設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の処理設備は、処理対象物に対して異なる複数工程の処理を行う複数の処理装置及び前記処理対象物を貯留する貯留装置を経由する搬送ラインに沿って走行して前記処理対象物を搬送する搬送車が設けられ、
前記複数の処理装置の夫々が、前記処理対象物の搬入を要求する搬入要求情報及び前記処理対象物の搬出を要求する搬出要求情報を含む処理進行情報を、主管理手段に対して通信するように構成され、
前記主管理手段が、前記搬入要求情報及び前記搬出要求情報が通信されると、前記処理対象物の搬送元及び搬送先を示す搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を、搬送管理手段に対して通信するように構成され、
前記搬送管理手段が、前記搬送指令情報に基づいて、前記搬送車の走行を制御するように構成されているものであって、その第1特徴構成は、
前記搬送管理手段が、前記処理装置から前記主管理手段に対して通信される前記処理進行情報を監視して、複数の前記処理装置のうちで、前記処理対象物の処理が終了した又は終了間近である処理装置を、前記主管理手段から前記搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元として抽出し、前記事前搬送元として抽出した前記処理装置に対して前記搬送車を走行させる事前搬送制御を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0024】
すなわち、搬送管理手段が、処理装置から主管理手段に対して通信される処理進行情報を監視して、複数の前記処理装置のうちで、処理対象物の処理が終了した又は終了間近である処理装置を、主管理手段から搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元として抽出し、事前搬送元として抽出した処理装置に対して搬送車を走行させる事前搬送制御を実行することになる。
【0025】
つまり、例えば、処理進行情報としての、搬出要求情報が、処理装置から主管理手段に通信されれば、その搬出要求情報を通信する処理装置を、処理対象物の処理が終了した処理装置として、主管理手段から搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元としての処理装置として抽出することができるのである。
また、処理装置が、処理進行情報として、処理進捗情報を通信するように構成される場合においては、その処理進捗情報に基づいて、その処理装置における処理の進捗状況を認識できるため、処理対象物の処理が終了間近である処理装置を、主管理手段から搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元としての処理装置として抽出することができるのでる。
そして、搬送管理手段は、事前搬送元とする処理装置を抽出すると、その処理装置から処理対象物を搬出するために、事前搬送元として抽出した処理装置に対して搬送車を走行させることを開始する。
【0026】
また、搬送車が処理装置に到着したのちは、搬送管理手段は、主管理手段にて作成されて通信されてくる搬送指令情報に基づいて、搬送先を設定して、処理装置から受け取った処理対象物を搬送先に搬送するように、搬送車の走行を制御することになる。
ちなみに、搬送管理手段は、主管理手段にて作成される搬送指令情報を、搬送車が処理装置に向けて走行する途中で受信することになるが、その受信前に、搬送車が処理装置に到着した場合には、搬送車を待機させながら、搬送指令情報を受信することになる。
【0027】
このように、搬送管理手段は、事前搬送元とする処理装置を抽出すると、その処理装置から処理対象物を搬出するために、事前搬送元として抽出した処理装置に対して搬送車を走行させることを開始するため、処理装置が、処理対象物の処理を終了したのち、搬送車の到着を待つ時間を減少させることができるものとなり、その結果、処理設備の処理作業効率を向上できるものである。
【0028】
説明を加えると、処理進行情報としての、搬出要求情報が、処理装置から主管理手段に通信されると、主管理手段は、搬出要求情報を通信する処理装置を搬送元とし、その処理装置からの処理対象物を搬送すべき箇所を搬送先とする搬送指令情報を作成して、搬送管理手段に通信することになるが、処理対象物を搬送すべき箇所として適正な箇所を設定するための時間が掛かることに起因して、搬送要求情報に基づいて搬送指令情報を作成するには、かなりの長時間(例えば、30〜60秒)を必要とする。
【0029】
このように、搬出要求情報に基づいて主管理手段が搬送指令情報を作成するには、長時間を必要とするが、搬送管理手段が、事前搬送制御を実行して、主管理手段からの搬送指令情報を受信する前に、搬送車を搬送元となる処理装置に向けて走行させるものであるから、主管理手段が搬送指令情報を作成するのに必要な時間を利用して、搬送車を搬送元となる処理装置に向けて走行させることができるため、処理装置が、処理対象物の処理を終了したのち、搬送車の到着を待つ時間を減少させることができるのであり、その結果、処理設備の処理作業効率を向上できるのである。
【0030】
また、処理装置は、単に、処理進行情報を主管理手段に通信するものであるから、処理装置の制御負荷が、搬送管理手段が実行する事前搬送制御のために増加することはない。
ちなみに、搬送管理手段の制御負荷は、処理装置から主管理手段に通信される処理進行情報を監視しながら事前搬送制御を実行することにより増加することになるが、搬送管理手段の制御負荷は、多量の情報を管理する必要がある主管理手段や処理装置に較べて、本来的に小さな負荷であるため、搬送管理手段を構成するコントローラとしては、事前搬送制御を実行させるようにしても、容量の小さな安価なもので済ませることができるものである。
【0031】
要するに、本願発明の第1特徴構成によれば、処理装置の制御負荷の増加を回避しながらも、処理作業効率の向上を図ることができる処理設備を提供できる。
【0032】
本発明の処理設備の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記搬送管理手段が、前記処理進行情報としての前記搬出要求情報に基づいて、前記処理対象物の処理が終了した処理装置を、前記事前搬送元として抽出するように構成されている点を特徴とする。
【0033】
すなわち、搬送管理手段が、処理装置から主管理手段に対して、処理進行情報として通信される搬出要求情報に基づいて、処理対象物の処理が終了した処理装置を、事前搬送元として抽出することになる。
【0034】
そして、処理進行情報として、処理装置から主管理手段に対して通信される搬出要求情報は、処理装置が処理対象物の搬出を直接的に要求する情報であるから、この搬出要求情報の存在があれば、直ちに、処理対象物を搬出することになる処理装置を、事前搬送元として抽出することができるため、搬送管理手段は、単に、搬出要求情報の存否を監視すればよく、事前搬送制御を実行させることにより、搬送管理手段の制御負荷が増加することを抑制できることになる。
【0035】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、事前搬送制御を実行させることにより、搬送管理手段の制御負荷が増加することを抑制できる処理設備を提供できる。
【0036】
本発明の処理設備の第3特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記複数の処理装置が、前記処理対象物の処理進捗情報を、前記処理進行情報として前記主管理手段に通信するように構成され、
前記搬送管理手段が、前記処理進行情報としての前記処理進捗情報に基づいて、前記処理対象物の処理が終了間近である処理装置を、前記事前搬送元として抽出するように構成されている点を特徴とする。
【0037】
すなわち、搬送管理手段が、処理装置から主管理手段に対して、処理進行情報として通信される処理進捗情報に基づいて、処理対象物の処理が終了間近の状態である処理装置を、事前搬送元として抽出することになる。
【0038】
つまり、処理進捗情報は、処理装置における処理対象物に対する処理の進み具合を示す情報であるから、その処理進捗情報に基づいて、処理装置における処理対象物に対する処理が、終了間近であるか否かが判断することができるので、終了間近である処理装置を、事前搬送元として抽出することができるのである。
【0039】
このように、処理対象物に対する処理が終了間近である処理装置を、事前搬送元として抽出することができるため、その終了間近の時点から処理装置が処理を完了する時点までの時間と、主管理手段が搬送指令情報を作成するのに要する時間とを加えた時間を、搬送車を事前搬送元の処理装置に搬送するための時間として用いることができるため、処理装置が、処理対象物の処理を終了したのち、搬送車の到着を待つ時間を的確に減少させることができるものとなる。
【0040】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、処理装置が、処理対象物の処理を終了したのち、搬送車の到着を待つ時間を的確に減少させることができる処理設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】処理設備の概略平面図
【図2】搬送車を示す正面図
【図3】第1実施形態の制御構成を示すブロック図
【図4】通信状態を示すタイミングチャート
【図5】第2実施形態の制御構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0042】
〔第1実施形態〕
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、複数の処理装置1及び複数の貯留装置Qを経由する状態で走行レール2が天井側に設置され、その走行レール2に沿って形成される搬送ラインSに沿って走行する天井搬送式の複数台の搬送車3が装備されて、収納容器内に複数枚の半導体基板を収納した処理対象物4を、搬送車3によって搬送しながら処理する処理設備が構成されている。
【0043】
図2に示すように、走行レール2が、吊下げ支持用ブラケット5により天井部に固定状態で設置され、また、搬送車3が、走行レール2に吊り下げ支持された状態で、搬送ラインSに沿って一方向に走行するように構成され、そして、処理装置1や貯留装置Qに対する移載箇所に停止した状態で、処理対象物4の受け取りや受渡しを行うように構成されている。
【0044】
複数の処理装置1は、半導体基板の洗浄処理、乾燥処理、エッジング処理等の異なる複数の工程の処理を行う複数種のものがあり、本実施形態においては、複数の処理装置1のうちには、同じ工程の処理を行うものが複数存在する。
また、複数の処理装置1の夫々には、図1及び図2に示すように移載ステーション1Aが設けられている。
この移載ステーション1Aは、処理装置1にて処理を行う処理対象物4を搬送車3から受け取ることや、処理装置1にて処理を行った処理対象物4を搬送車3に受け渡すことを行うためのものであり、例示はしないが、処理装置1には、移載ステーション1Aに載置された処理対象物4における収納容器から半導体基板を取り出し、処理後の半導体基板を収納容器に収納する基板移載装置が装備されている。
【0045】
貯留装置Qは、処理対象物4を一時的に保管するために用いられるものであって、処理装置1と同様に、貯留装置Qにも、図1に示すように、移載ステーションQaが設けられている。
ちなみに、貯留装置Qは、処理対象物4の収納部を縦横に備えるものであって、例示はしないが、移載ステーションQaと収納部との間で処理対象物4を搬送する搬送手段が装備されている。
【0046】
搬送車3には、図2に示すように、走行レール2上を走行する走行駆動部3Aと、走行レール2の下方に位置する状態に走行駆動部3Aに吊り下げ支持された支持部3Bとが備えられ、支持部3Bには、処理対象物4を吊り下げ状態で把持する把持部6が昇降操作自在に備えられている。
把持部6は、ワイヤやベルト等にて構成される索状体7にて、支持部3Bに対して吊下げ支持されるものであり、索状体7の巻き取りにより上昇され、索状体7の繰り出しにより下降されるように構成され、また、把持部6は、把持作用状態と把持解除状態とに切換え自在に構成されている。
【0047】
したがって、搬送車3は、処理装置1及び貯留装置Qに対する移載箇所に停止した状態で、把持部6を昇降させ、かつ、把持部6を把持作用状態と把持解除状態とに切換えることにより、処理装置1の移載ステーション1Aや貯留装置Qの移載ステーションQaに対して、処理対象物4を受け渡すことや、受け取ることを行うように構成されている。
【0048】
搬送ラインSが、環状のメイン経路10と、複数の環状のサブ経路11と、メイン経路10とサブ経路11とを連結して搬送車3のメイン経路10からサブ経路11への分岐走行やサブ経路11からメイン経路10への合流走行を行わせるための連結経路12とを備える状態に形成されている。
【0049】
そして、処理装置11が、環状のサブ経路11の経路方向に沿って並ぶ状態で設けられ、貯留装置Qが、環状のメイン経路10と環状のサブ経路11との連結箇所に位置する状態で設けられている。
【0050】
したがって、本実施形態の処理設備では、処理対象物4における半導体基板に対して、複数の異なる処理工程を順次行うために、処理対象物4を異なる工程の処理を行う複数種の処理装置1に対して順次搬送することになり、そして、処理対象物4の次の工程の処理を行う処理装置1が、他の処理対象物4に対する処理を実行している場合等においては、処理対象物4を貯留装置Qに一旦貯留することになる。
【0051】
次に、処理対象物4を搬送するための制御構成について説明する。
図3に示すように、処理設備全体を管理する主管理手段としての、上位コントローラJC、及び、搬送車3を管理する搬送管理手段としての、搬送コントローラHCが設けられている。
本実施形態においては、搬送コントローラHCが、搬送車3に加えて、複数の貯留装置Qをも管理するようになっている。
【0052】
上位コントローラJC、搬送コントローラHC、及び、複数の処理装置1が、通信LAN等を用いて、相互に通信可能に接続され、搬送コントローラHCと搬送車3とが、無線通信等により、相互に通信可能に構成され、搬送コントローラHCと貯留装置Qとが、通信ケーブル等により、相互に通信可能に接続されている。
【0053】
ちなみに、複数の処理装置1には、機器類の作動を制御し、且つ、上位コントローラJCとの間の通信を実行するコントローラが装備されている。
したがって、処理装置1が通信するとは、このコントローラが通信制御を実行することである。
【0054】
また、複数の貯留装置Qには、上述した搬送手段の作動を制御し、且つ、搬送コントローラHCとの通信を実行するコントローラが装備されている。
したがって、貯留装置Qが通信するとは、このコントローラが通信制御を実行することであり、貯留装置Qが処理対象物4を入庫及び出庫するとは、このコントローラが搬送手段の作動を制御することである。
【0055】
さらに、複数の搬送車3には、走行作動、把持部6の昇降作動、及び、把持部6を把持作用状態と把持解除状態とに切換える把持状態切換え作動を制御し、加えて、搬送コントローラHCとの通信を実行するコントローラが装備されている。
したがって、搬送車3が通信するとは、このコントローラが通信制御を実行することであり、搬送車3が走行するとは、このコントローラが、走行制御を実行することであり、さらに、搬送車3が処理対象物4を移載するとは、このコントローラが、把持部6の昇降作動、及び、把持部6の把持状態切換え作動を実行することである。
【0056】
複数の処理装置1の夫々が、処理対象物4に対する処理進捗状況に基づいて、処理対象物の搬入を要求する搬入要求情報及び前記処理対象物の搬出を要求する搬出要求情報を含む処理進行情報を、上位コントローラJCに対して通信するように構成されている。
すなわち、処理装置1は、運転開始時や処理対象物4が搬出された直後で処理対象物4が存在しないときには、処理対象物4の搬入要求情報を、処理進行情報として上位コントローラJC通信することになる。
【0057】
また、複数の処理装置1の夫々が、処理対象物4に対する処理進捗状況に基づいて、処理中の処理対象物4に対する処理の進捗情報を、処理進行情報として上位コントローラJCに対して通信するように構成され、さらに、処理対象物4に対する処理が終了すると、処理対象物の搬出要求情報を、処理進行情報として主管理手段に通信することになる。
ちなみに、処理装置1が通信する処理の進捗情報とは、処理対象物4における収納容器の蓋を開いた、収納容器から半導体基板を取出すことを開始した、半導体基板の取出しが終了した、処理が終了した一枚目の半導体基板を収納容器に収納した、処理が終了したn枚目の半導体基板を収納容器に収納した、処理が収納した最後の半導体基板を収納容器に収納した、収納容器の蓋を閉じた等の情報である。
【0058】
上位コントローラJCは、処理対象物についての複数の処理工程の進行情報、複数の処理装置1の処理状況、及び、貯留装置4における処理対象物の貯留状況を管理し、そして、複数の処理装置1から搬入要求情報及び搬出要求情報が通信されてくると、処理対象物についての複数の処理工程の進行情報、複数の処理装置1の処理状況、及び、貯留装置4における処理対象物の貯留状況等に基づいて、処理対象物4の搬送元及び搬送先を示す搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を搬送コントローラHCに通信するように構成されている。
【0059】
すなわち、上位コントローラJCは、搬入要求情報を受信すると、搬入要求情報があった処理装置1に搬入するための処理対象物4を抽出することになる。この処理対象物4の抽出は、貯留装置Qに貯留されている処理対象物4のうちから抽出されることが多く、上位コントローラJCは、貯留装置Qに対して、該当する処理対象物4を出庫することを指令することになる。
尚、本実施形態においては、搬送コントローラHCが、貯留装置Qを管理するものであるため、上位コントローラJCは、貯留装置Qから処理対象物4を出庫することを指令する場合には、搬送コントローラHCに対して、貯留装置Qから処理対象物4を出庫することを指令することになり、その指令に基づいて、搬送コントローラHCが貯留装置Qに対して出庫を指示することになる。
【0060】
そして、上位コントローラJCは、搬送すべき処理対象物1を抽出すると、その処理対象物4を受け取る箇所を搬送元とし、処理対象物4の搬入要求情報があった処理装置1を搬送先とする搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を搬送コントローラHCに対して通信することになる。
【0061】
搬送コントローラHCは、搬送指令情報を受信すると、搬送元の処理対象物4を搬送先の処理装置1に搬送すべく、搬送車3の走行を制御することになる。つまり、処理対象物4を受け取る箇所に搬送車3を走行させて、処理対象物4を受け取り、次に、搬送車3を搬送先としての処理装置1に走行させて、搬送先としての処理装置1に処理対象物4を受け渡すことになる。
ちなみに、一般には、搬送車として、複数台が装備されて、非作業中等の搬送可能な搬送車が対象処理物を搬送するための搬送車として選択されることになる。
【0062】
上位コントローラJCは、搬出要求情報を受信すると、搬出要求情報を通信する処理装置1を搬送元として、処理装置1からの処理対象物4を搬送すべき箇所を搬送先とする搬送指令情報を作成して、搬送コントローラHCに通信することになる。
処理装置1からの処理対象物4を搬送すべき箇所としての搬送先の設定は、搬送する処理対象物4に対して次に処理する工程がどのような工程であるかを、その処理対象物についての複数の処理工程の進行情報に基づいて確認し、複数の処理装置1の現在の処理状況を確認し、加えて、貯留装置Qの処理対象物の貯留状況を確認した上で、複数の処理装置1の稼動率を向上する等の条件を鑑みながら、処理対象物4を搬送すべき箇所として適正な箇所を設定することになる。
【0063】
ちなみに、実際の稼動中においては、処理対象物4を搬送すべき箇所は、貯留装置Qに定められることが多いが、貯留装置以外の箇所が、搬送すべき箇所として定められ場合もある。
例えば、搬送指令情報の作成中やその直前において、他の処理装置1から搬入要求情報が通信され、しかも、その処理装置1が、処理対象物4に対して次に行う工程の処理を行うものである場合には、その処理装置1が、処理対象物を搬送すべき箇所として定められることもある。
【0064】
そして、上位コントローラJCは、処理対象物4を搬送すべき箇所を定めると、その処理対象物4を受け取る処理装置1を搬送元とし、処理対象物4を搬送すべき箇所を搬送先とする搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を搬送管理手段に対して通信することになる。
【0065】
搬送コントローラHCは、処理装置1から上位コントローラJCに対して通信される処理進行情報を監視して、複数の前記処理装置1のうちで、処理対象物4の処理が終了した処理装置1を、上位コントローラJCから搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元として抽出し、事前搬送元として抽出した処理装置1に対して搬送車3を走行させる事前搬送制御を実行するように構成されている。
【0066】
つまり、処理進行情報としての、搬出要求情報が、処理装置1から上位コントローラJCに通信されると、その搬出要求情報を通信する処理装置1を、処理対象物4の処理が終了した処理装置1として、上位コントローラJCから搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元としての処理装置1として抽出するように構成してある。
【0067】
ちなみに、上位コントローラJCと各処理装置1との通信は、通信先、通信元、及び、伝達情報を含む通信情報を、通信元から送信する形態で行われものであり、搬送コントローラHCは、上位コントローラJCと各処理装置1との間で通信される通信情報を監視して、通信元が処理装置1であり、通信先が上位コントローラJCであり、伝達情報が搬出要求情報である通信情報を抽出することにより、搬出要求情報を通信する処理装置1を抽出するように構成されている。
【0068】
そして、搬送コントローラHCは、事前搬送元とする処理装置1を抽出すると、その処理装置1から処理対象物4を搬出するために、事前搬送元として抽出した処理装置1に対して搬送車3を走行させることを開始する。
ちなみに、複数の搬送車3のうちのいずれの搬送車3を、事前搬送元として抽出した処理装置1に走行させるかについては、複数の搬送車3のうちの、搬送作業を割り当てていない搬送車3であって、事前搬送元として抽出した処理装置1に近いものが選択されることになる。
【0069】
また、搬送コントローラHCは、事前搬送元として抽出した処理装置1に対して搬送車3の走行を開始させたのちにおいては、搬送車3が処理装置1に到着したか否かの確認、処理装置1に到着した搬送車3が処理装置1から処理対象物4を受け取ることを終了したことの確認等を行い、搬送車3が処理装置1から処理対象物4を受け取ると、上位コントローラJCから通信されてくる搬送指令情報に基づいて、搬送先を特定して、処理装置から受け取った処理対象物4を搬送先に搬送するように、搬送車3の走行を制御することになる。
ちなみに、搬送コントローラHCは、上位コントローラJCにて作成される搬送指令情報を、搬送車3が処理装置1に向けて走行する途中で受信することになるが、その受信前に、搬送車3が処理装置1に到着した場合には、搬送車3を待機させながら、搬送指令情報を受信することになる。
【0070】
このように、搬送コントローラHCは、事前搬送元とする処理装置1を抽出すると、その処理装置1から処理対象物4を搬出するために、事前搬送元として抽出した処理装置1に対して搬送車3を走行させることを開始するため、処理装置1が、処理対象物4の処理を終了したのち、搬送車3の到着を待つ時間を減少させることができるものとなり、その結果、処理設備の処理作業効率を向上できるものである。
【0071】
次に、上位コントローラJC、処理装置1、及び、搬送コントローラHCの間での通信の流れについて、図4に基づいて説明する。
ちなみに、以下の説明においては、通信内容の概要のみを説明して、通信内容の詳細については省略する。
また、上位コントローラJC、処理装置1、及び、搬送コントローラHCの間の通信においては、送信された通信情報を受信すると、受信したことを示す応答情報を通信することにより、送信された通信情報が適正通り受信されたことを確認し、応答情報が通信されてこない場合には、通信情報を再度送信することが行われることになるが、以下の説明においては、応答情報の通信についての記載は省略する。
【0072】
先ず、処理装置1から搬入要求情報が上位コントローラJCに通信されると、上位コントローラJCは、上述の如く、搬入要求があった処理装置1に搬送する処理対象物4の搬送元を抽出する。
そして、その抽出した処理対象物4を受け取る箇所を搬送元とし、処理対象物4の搬入要求情報があった処理装置1を搬送先とする搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を搬送コントローラHCに対して通信することになる。
ちなみに、搬送元が貯留装置Qである場合には、上位コントローラJCは、上述の如く、搬送コントローラHCに対して出庫指令情報を指令することになる。
【0073】
搬送コントローラHCは、搬送指令情報が通信されてくると、選択した搬送車3を搬送元に走行させ、搬送元にて処理対象物4を受け取ったのち、搬送車3を搬送先に走行させることになり、搬送車3が搬送先に到着すると、処理対象物4を搬送先に受け渡すことになる。
そして、処理対象物4の搬送が完了すると、搬送コントローラHCは、搬送が完了したことを示す搬送完了情報を上位コントローラJCに通信することになる。
【0074】
上位コントローラJCは、搬送完了情報を受信すると、処理開始指示情報を処理装置1に通信することになり、処理開始情報を受信した処理装置1は、処理を開始し、そして、上述した処理の進捗情報を上位コントローラJCに通信することになる。
上位コントローラJCは、処理装置1から通信されてくる処理の進捗情報に基づいて、処理装置1の処理状況を管理する管理処理を行うことになる。
【0075】
処理装置1は、現在処理中の処理対象物4に対する処理が終了すると、処理進行情報としての、搬出要求情報を、上位コントローラJCに通信することになる。
上位コントローラJCは、処理装置1から搬出要求情報が通信されてくると、搬出要求情報を通信する処理装置1からの処理対象物4を搬送すべき箇所としての搬送先を設定することになる。
そして、搬送先を設定すると、上位コントローラJCは、搬出要求情報を通信する処理装置1を搬送元とし、その処理装置1からの処理対象物を搬送すべき箇所を搬送先とする搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を、搬送コントローラHCに通信することになる。
【0076】
処理装置1が、搬出要求情報を、上位コントローラJCに通信すると、上位コントローラJCと各処理装置1との間で通信される通信情報を監視している搬送コントローラHCが、搬出要求情報を通信する処理装置1を事前搬送元として抽出することになる。
そして、搬送コントローラHCは、事前搬送元とする処理装置1を抽出すると、その処理装置1から処理対象物4を搬出するために、事前搬送元として抽出した処理装置1に対して搬送車3を走行させることを開始する。
【0077】
そして、搬送コントローラHCは、事前搬送元として抽出した処理装置1に対して搬送車3が到着して、搬送車3が処理装置1から処理対象物4を受け取ると、上位コントローラJCから通信されてくる搬送指令情報に基づいて、搬送先を特定して、処理装置1から受け取った処理対象物4を搬送先に搬送するように、搬送車3の走行を制御することになる。
ちなみに、搬送コントローラHCは、上位コントローラJCにて作成される搬送指令情報を、搬送車3が処理装置1に向けて走行する途中で受信することになるが、その受信前に、搬送車3が処理装置1に到着した場合には、搬送車3を待機させながら、搬送指令情報を受信することになる。
【0078】
処理対象物4が搬出された処理装置1は、搬入要求情報を上位コントローラJCに通信することになり、また、搬送コントローラHCは、処理対象物4の搬送が完了すると、搬送が完了したことを示す搬送完了情報を上位コントローラJCに通信することになる。
【0079】
搬入要求情報や搬送完了情報を受信した上位コントローラJCは、前述の通り、搬入要求があった処理装置1に搬送する処理対象物4の搬送元を抽出して、その抽出した処理対象物4を受け取る箇所を搬送元とし、処理対象物4の搬入要求情報があった処理装置1を搬送先とする搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を搬送コントローラHCに対して通信することになるのである。
【0080】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明するが、この第2実施形態は、搬送コントローラHCの構成が第1実施形態と異なるが、その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、以下の説明においては、第1実施形態と異なる部分のみについて説明する。
【0081】
図5に示すように、この第2実施形態においては、搬送コントローラHCが、上位コントローラJCと通信する物流コントローラ15と、この物流コントローラ15と通信しかつ搬送車3の運転を管理する搬送制御コントローラ16と、物流コントローラ15と通信しかつ貯留装置Qの運転を管理する貯留コントローラ17とから構成されている。
【0082】
物流コントローラ15は、上位コントローラJCからの搬送指令情報を搬送制御コントローラ16に通信し、上位コントローラJCから通信されてくる出庫指令情報等の、貯留装置Qに関する情報を貯留コントローラ17に通信することになる。
また、物流コントローラ15は、処理装置1から上位コントローラJCに通信される処理進行情報を監視して、複数の処理装置1のうちで、処理対象物の処理が終了した処理装置1を、上位コントローラJCから搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元として抽出し、前記事前搬送元として抽出した処理装置1に対して搬送車を走行させる事前走行指令を、搬送制御コントローラ16に指令することになる。
【0083】
そして、搬送制御コントローラ16は、事前走行指令が物流コントローラ15から指令されると、指令された処理装置1に向けて搬送車3を走行させることを開始し、また、搬送指令情報が物流コントローラ15から通信されると、事前走行指令にて走行した処理装置1から受取った処理対象物4を、搬送指令情報にて指定された搬送先に搬送すべく、搬送車3を作動させることになる。
【0084】
ちなみに、この第2実施形態は、処理装置1、貯留装置Q、及び、搬送車3の設置数を増加させた大型の設備を構成する場合に好適な構成である。
そして、このように大型の設備を構成する場合には、上位コントローラJCと通信し、かつ、複数の処理装置1の夫々と通信する中継コントローラを装備して、この中継コントローラを経由して、上位コントローラJCと複数の処理装置1の夫々との間での通信を行わせるようにしてもよい。
【0085】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記第1及び第2実施形態では、搬出要求情報に基づいて、事前搬送元とする処理装置を抽出する場合を例示したが、処理装置が、処理進行情報として、処理進捗情報を通信する場合においては、その処理進捗情報に基づいて、その処理装置における処理の進捗状況を認識できるため、処理対象物の処理が終了間近である処理装置を、主管理手段から搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元としての処理装置として抽出する形態で実施してもよい。
【0086】
すなわち、上記第1及び第2実施形態においては、処理進捗情報として、処理対象物4における収納容器の蓋を開いた、収納容器から半導体基板を取出すことを開始した、半導体基板の取出しが終了した、処理が終了した一枚目の半導体基板を収納容器に収納した、処理が終了したn枚目の半導体基板を収納容器に収納した、処理が終了した最後の半導体基板を収納容器に収納した、収納容器の蓋を閉じた等の情報が、処理装置から通信されるが、この場合、例えば、最後の半導体基板を収納容器に収納したとの情報を監視しておき、この情報を通信する処理装置を、処理対象物の処理が終了間近である処理装置として検出して、この処理装置を、主管理手段から搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元としての処理装置として抽出する形態で実施してもよい。
【0087】
(2)上記第1及び第2実施形態では、天井側に設置した走行レールに沿って走行する吊下げ式の搬送車を例示したが、搬送車としては、床面を走行する床面走行式の台車等、種々の形態の搬送車を適用できる。
【0088】
(3)上記第1及び第2実施形態では、搬送ラインが、環状のメイン経路と、複数の環状のサブ経路と、メイン経路とサブ経路とを連結する複数の連結経路12とから構成される場合を例示したが、搬送ラインの具体構成は、各種変更できるものである。
【0089】
(4)上記第1及び第2実施形態では、半導体基板を収納する収納容器を処理対象物として搬送する場合を例示したが、処理対象物としては、半導体基板を収納する収納容器に限定されるものではなく、本発明は、種々の処理物を、処理対象物をして搬送するのに適用できるものである。
【0090】
(5)上記第1及び第2実施形態では例示しないが、処理装置に対応して、処理対象物の仮置き部を装備する形態で実施してもよい。この場合、搬出要求情報に基づいて処理対象物の搬送先を設定するにあたり、次に行う工程の処理を行う処理装置が、現在処理中であっても、その処理装置の仮置部を、搬送すべき箇所として定めることができる。
この場合、仮置部を装備する処理装置が搬入要求情報を通信した際に、その処理装置に対応する仮置部に処理対象物が存在するときには、その処理対象物が搬送元の処理対象物として優先して抽出されることになる。
【符号の説明】
【0091】
1 処理装置
3 搬送車
4 処理対象物
HC 搬送管理手段
JC 主管理手段
Q 貯留装置
S 搬送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物に対して異なる複数工程の処理を行う複数の処理装置及び前記処理対象物を貯留する貯留装置を経由する搬送ラインに沿って走行して前記処理対象物を搬送する搬送車が設けられ、
前記複数の処理装置の夫々が、前記処理対象物の搬入を要求する搬入要求情報及び前記処理対象物の搬出を要求する搬出要求情報を含む処理進行情報を、主管理手段に対して通信するように構成され、
前記主管理手段が、前記搬入要求情報及び前記搬出要求情報が通信されると、前記処理対象物の搬送元及び搬送先を示す搬送指令情報を作成して、その搬送指令情報を、搬送管理手段に対して通信するように構成され、
前記搬送管理手段が、前記搬送指令情報に基づいて、前記搬送車の走行を制御するように構成されている処理設備であって、
前記搬送管理手段が、前記処理装置から前記主管理手段に対して通信される前記処理進行情報を監視して、複数の前記処理装置のうちで、前記処理対象物の処理が終了した又は終了間近である処理装置を、前記主管理手段から前記搬送指令情報が通信されてくる以前に、事前搬送元として抽出し、前記事前搬送元として抽出した前記処理装置に対して前記搬送車を走行させる事前搬送制御を実行するように構成されている処理設備。
【請求項2】
前記搬送管理手段が、前記処理進行情報としての前記搬出要求情報に基づいて、前記処理対象物の処理が終了状態である処理装置を、前記事前搬送元として抽出するように構成されている請求項1記載の処理設備。
【請求項3】
前記複数の処理装置が、前記処理対象物の処理進捗情報を、前記処理進行情報として前記主管理手段に通信するように構成され、
前記搬送管理手段が、前記処理進行情報としての前記処理進捗情報に基づいて、前記処理対象物の処理が終了間近の状態である処理装置を、前記事前搬送元として抽出するように構成されている請求項1記載の処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−30003(P2013−30003A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165761(P2011−165761)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】