説明

処置具およびこれを用いた内視鏡

【課題】処置部に陰影が生じるのを抑えることができる処置具およびこれを用いた内視鏡を提供する。
【解決手段】光源から入射した光を面状光として出射する出射面を有する面発光手段5と、前記面発光手段5の出射面側に形成され、生体組織に所定の処置を行うための処置部6と、を備えているものである。導光板8の面状光として出射する出射面8cに、処置部6の刃部10および圧迫面11を一体形成した。処置部6の陰影が発生するのを抑えることができ、生体組織の処置を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体に対して処置を行うための処置具およびこれを用いた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内視鏡には、可撓性を有するシース(管)の先端部に、生体組織を撮像するCCD等の撮像素子を備えた撮像部とともに、生体組織に所定の処置を行うための鉗子等の処置部、およびこの処置部と生体組織とを照明する照明部が取り付けられている。これにより、照明部が生体組織および処置部を照明することによって、生体組織に適切な処置を行うことができるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−87687号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記内視鏡にあっては、照明部は処置部の一方向から照明するため、処置部に陰影が生じ易く、生体組織の処置を行うことが困難な場合があった。
そこで、本発明は、処置部に陰影が生じるのを抑えることができる処置具およびこれを用いた内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明の処置具は、光源から入射した光を面状光として出射する出射面を有する面発光手段と、前記面発光手段の出射面側に形成され、生体組織に所定の処置を行うための処置部と、を備えているものである。
この処置具によれば、面状光を出射する面発光手段の出射面側に、生体組織を処置する処置部を取り付けるようにしたので、処置部の陰影が発生するのを抑えることができ、生体組織の処置を容易に行うことができる。
【0006】
また、前記処置部は、当該処置部を形成する形成面が前記出射面を構成していることが好ましい。これによれば、処置部自体が発光するため、処置部に陰影が生じるのを効果的に抑えることができ、生体組織の処置をさらに容易に行うことができる。
また、前記面発光手段が、前面に前記出射面が形成されている導光板を有し、前記導光板は、側面に前記光源の光を入射する入射面が形成されているとともに、後面に当該入射面から入射した光を反射させる反射面が形成されていてもよい。これによれば、導光板から出射される面状光により、処置部に陰影が生じるのを抑えることができ、生体組織の処置を容易に行うことができる。
【0007】
また、前記反射面が、当該反射面側から前記生体組織を視認可能な程度に透過性を有することが好ましい。これによれば、導光板の反射面側から生体組織を視認しながら処置を行うことができる。
また、前記面発光手段の出射面に、前記生体組織の表面で反射した表面反射光を反射するとともに前記生体組織内で反射した内部反射光を透過するノイズ光反射パターンが形成されていてもよい。これによれば、透過した内部反射光の反射成分を分析することにより、生体組織の内部状態を把握することができる。
【0008】
また、前記処置部が、前記生体組織に刺し込まれる刃部を有していてもよく、また、前記処置部が、前記生体組織に刺し込まれる針部を有していてもよい。この場合は、刃部および/または針部を生体組織に刺し込むことにより、生体組織の処置を行うことができる。
また、前記処置部が、前記生体組織を圧迫する圧迫面を有し、前記刃部および/または針部が、前記圧迫面上に形成されていることが好ましい。これによれば、刃部および/または針部が刺し込まれた生体組織を圧迫面により圧迫することにより、生体組織内の体液を外部へ容易に流出させることができる。
【0009】
また、前記処置部に、前記刃部および/または針部を刺し込むことによって前記生体組織から流出する体液を吸引するための吸引孔が形成されていることが好ましい。これによれば、生体組織から流出する体液を、吸引孔から吸引することにより容易に吸い出すことができる。
また、前記処置部が、前記生体組織から流出する体液を前記吸引孔へ導くためのガイド部を有することが好ましい。これによれば、生体組織から流出する体液はガイド部により吸引孔へ導かれるので、体液を効率良く吸い出すことができる。
また、前記吸引孔が、前記刃部および/または針部に形成されていることが好ましい。これによれば、刃部および/または針部に吸引孔を形成するようにしたので、生体組織から流出した体液を吸引孔へ導くガイド部が不要になる。このため、処置具の製造を容易に行うことができる。
【0010】
また、本発明の内視鏡は、可撓性を有する可撓管と、前記可撓管の先端部に装着された請求項1〜11のいずれか一項に記載の処置具と、前記生体組織を撮像する撮像部と、を備えているものである。このように構成された内視鏡によれば、可撓管の先端部に取り付けた処置具を、その面発光手段から出射される面状光により、処置部に陰影が生じるのを抑えることができる。したがって、撮像部により撮像した生体組織の処置を容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明の内視鏡は、可撓性を有する可撓管と、前記可撓管の先端部に装着された透過性を有する反射面を備えた処置具と、前記処置具の反射面の後方に配置され、当該反射面を透過して前記生体組織を撮像する撮像部と、を備えているものである。このように構成された内視鏡によれば、撮像部を処置具の後方に配置することができるので、可撓管が小径に形成されていても処置具を装着することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、面状光を出射する面発光手段の出射面側に、生体組織を処置する処置部を取り付けるようにしたので、処置部の陰影が発生するのを抑えることができ、生体組織の処置を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る処置具を備えた内視鏡を示す斜視図である。
【図2】上記処置具を示す斜視図である。
【図3】上記処置具の導光板を示す斜視図である。
【図4】上記導光板の入射光反射パターンを示す要部拡大断面図である。
【図5】上記処置具の使用方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る処置具の斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る処置具の斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る処置具の斜視図である。
【図9】上記処置具の導光板を示す要部拡大断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る処置具の断面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係る処置具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る処置具を備えた内視鏡の斜視図である。図において、この内視鏡1は、生体の体腔内に挿入して該体腔内のリンパ節等の生体組織A(図5参照)を処置するものであり、可撓管2と、この可撓管2内の先端部に着脱可能に装着された処置具3と、可撓管2内の先端部であって処置具3の後方(図1の右側)に配置された撮像部4とを備えている。
可撓管2は、可撓性を有する長尺のものであり、例えば、薄いステンレス鋼帯からなる螺旋管(図示せず)の外周に網状管(図示せず)を被覆して、その外面に可撓性の外皮チューブ(図示せず)を被覆して構成されている。撮像部4は、その先端部に設けた対物レンズ4aを介して生体組織Aを撮像するCCD等の撮像素子(図示せず)、およびこれに接続された画像信号ケーブル(図示せず)等を備えている。
【0015】
図2は、処置具3を拡大した斜視図である。処置具3は、光源から入射された光を面状光として出射する面発光手段5と、この面発光手段5に形成された処置部6と、を備えている。
面発光手段5は、光源としての発光部7と、この発光部7から入射した光を面状光として出射する導光板8とを備えた、フロントライト型のものである。発光部7は、後述する入射面8aに取り付けられており、図示しないLED(発光ダイオード)の光を、可撓管2内に挿入された光ファイバ9を介して発光するようになっている。
【0016】
図3は、導光板8を示す斜視図である。導光板8は、アクリル樹脂やメタクリル樹脂などの透明で屈折率の大きな樹脂によって略平板状に形成されており、一側面には発光部7の光を入射する平坦な入射面8aが形成されている。また、後面(図3の上側)には入射面8aから入射した光を反射させる反射面8bが形成されているとともに、前面(図3の下側)には反射面8bで反射された光を面状光として出射する出射面8cが形成されている。
【0017】
反射面8bには、その全体に複数の微小な入射光反射パターン8b1が形成されている。この入射光反射パターン8b1は、図4に示すように、所定の傾斜角を有する丸穴により構成されており、この丸穴は、発光部7を中心として同心円状に穿設されている。これにより、入射面8aから入射した光は、複数の入射光反射パターン8b1により反射面8b全体で均一に反射されるようになっている。なお、図1〜図4では、反射面8bの全面に対して入射光反射パターン8b1が形成されている密度は低いが、実際には、反射面8b全体で均一に反射されるように高密度に形成されている(後述する図5〜図8および図11おいても同様である。)。
また、反射面8bは、反射面8b側に配置される撮像部4により、出射面8c側に配置される生体組織Aを視認可能な程度の透過性を有している。すなわち、入射光反射パターン8b1が、撮像部4による生体組織Aの視認を阻害しない程度に、その大きさおよび上記密度を考慮して反射面8bに形成されている。
【0018】
出射面8cには、図2に示すように、凹状の窪み部8c1が形成されており、この窪み部8c1に上記処置部6が一体的に設けられている。処置部6は、生体組織Aに刺し込まれる複数の刃部10と、この刃部10が刺し込まれた状態で生体組織Aを圧迫する圧迫面11と、この圧迫面11の圧迫により生体組織Aの切り口から流出した体液(図示せず)を吸引するための吸引孔12と、上記体液を吸引孔12へ導くガイド部13とを備えている。
圧迫面11は、窪み部8c1の底部に形成された平坦面によって構成されており、この圧迫面11に上記複数の刃部10が突設されている。刃部10は、微小に形成されたものであって、その刃先は図2の左右方向に延びるように形成されている。
【0019】
ガイド部13は、窪み部8c1の図2の右側に隣接して一体形成されたコ字形の溜まり部13aと、窪み部8c1の右側面の上端および下端からこの溜まり部13aに向かって傾斜する上下一対のガイド面13bとを有している。溜まり部13bの底部には、反射面8bまで貫通する上記吸引孔12が穿設されている。吸引孔12の反射面8b側の開口には、可撓管2内に装着された中空のチューブ14の一端が接続されており、このチューブ14の他端側は、生体外に設置された吸引装置(図示せず)に接続されている。これにより、吸引装置を作動させるとチューブ14内が陰圧となり、ガイド面13bによって溜まり部13aに集められた上記体液を、吸引孔12から吸引することができる。
上記刃部10、圧迫面11およびガイド部13によって形成された処置部6の形成面6aは、いずれも導光板8と同一材料である透明の樹脂によって導光板8に一体形成されており、出射面8cの一部として構成されている。
【0020】
次に、本実施形態の内視鏡1の使用方法について、図1,図2および図5を参照しながら説明する。
図1において、まず、可撓管2の先端部に処置具3を装着し、発光部7を発光させ導光板8を面発光させる。その際、刃部10、圧迫面11およびガイド部13も導光板8とともに面発光する。そして、この状態で処置具3を可撓管2とともに体腔内に挿入し、撮像部4により導光板8の反射面8b側から出射面8cの前方を確認しながら処置具3を生体組織Aに近づける。
【0021】
次に、図5に示すように、処置具3の窪み部8c1を生体組織Aに押し付けて複数の刃部10を生体組織Aに刺し込み、複数の微小な切り口を形成する。この状態から、さらに窪み部8c1を押し付け、生体組織Aを圧迫面11により圧迫する。すると、生体組織Aの切り口から、生体組織A内の体液が外部へ流出する。外部へ流出した体液は、ガイド部13により吸引孔12に導かれ(図2参照)、陰圧により吸引孔12からチューブ14を介して体腔外へ吸い出される。
【0022】
以上の構成により、第1の実施形態に係る処置具3を備えた内視鏡1によれば、面状光を出射する導光板8の出射面8cに、生体組織Aを処置する処置部6を取り付けるようにしたので、上記面状光により処置部6に陰影が生じるのを抑えることができる。したがって、撮像部4により撮像された生体組織Aの処置を容易に行うことができる。特に、生体組織Aがリンパ節である場合に有効である。
また、上記処置部6は、当該処置部6を形成する形成面6aが前記出射面8cを構成しているため、処置部6自体を発光させることができる。このため、処置部6に陰影が生じるのを効果的に抑えることができ、生体組織Aの処置をさらに容易に行うことができる。
【0023】
さらに、導光板8の反射面8bは、撮像部4により出射面8c側に配置される生体組織Aを視認可能な程度の透過性を有しているため、撮像部4により導光板8を透過して生体組織Aを視認しながら処置を行うことができる。また、上記透過性を有することにより撮像部8を導光板8の後方に配置することができるので、可撓管2が小径に形成されていても処置具3を装着することができる。
また、処置部6は、刃部10および圧迫面11を有しているため、刃部10により生体組織Aに切り口を形成した状態で、生体組織Aを圧迫面11により圧迫することができる。このため、生体組織A内の体液を切り口から外部へ容易に流出させることができる。特に、生体組織Aがリンパ節である場合に有効である。
また、処置部6は、吸引孔12およびガイド部13を有しているため、生体組織Aから流出した体液を、ガイド部13によって吸引孔12へ導き、この吸引孔12から吸引することができる。したがって、上記体液を容易にかつ効率良く吸い出することができる。
【0024】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る処置具の斜視図である。第2の実施形態は、第1の実施形態における刃部10の変形例を示すものである。なお、第2の実施形態のその他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、以下の説明では、第1の実施形態と同一符号で示す。
第2の実施形態において、導光板8の窪み部8c1の底部(圧迫面11)には、生体組織Aに刺し込まれる単一の針部15が突設されている。この針部15は、略三角柱状に形成された微小なものであり、先端部の三つの角部のうち一つの角部15a(図6左側の角部)は、他の角部より前方に突出して先鋭に形成されている。
また、針部15は、導光板8と同一材料である透明の樹脂によって導光板8に一体形成されており、針部15によって形成される処置部6の形成面6aは、出射面8cの一部として構成されている。
【0025】
これにより、針部15の角部15aを生体組織Aに刺し込むとともに、生体組織Aを圧迫面11により圧迫すると、針部15によって形成された生体組織Aの切り口から生体組織A内の体液を外部へ流出させることができる。流出した体液は、ガイド部13により吸引孔12に導かれ、陰圧により吸引孔12からチューブ14を介して体腔外へ吸い出される。
以上の構成により、第2の実施形態に係る処置具によれば、処置部6が針部15を有しているため、第1の実施形態の刃部10を用いる場合と比べると、生体組織Aに形成される切り口を小さくすることができる。
【0026】
[第3の実施形態]
図7は、本発明の第3の実施形態に係る処置具の斜視図である。第3の実施形態は、第2の実施形態における処置部6の変形例を示すものである。なお、第3の実施形態のその他の構成は、第2の実施形態と同様であるため、以下の説明では、第2の実施形態と同一符号で示す。
第3の実施形態において、導光板8の出射面8cは、その平坦面全体が圧迫面16として構成されており、この圧迫面16に単一の針部17が突設されている。針部17は、第2の実施形態の針部15と同一材料および同一の外形であるため、その詳細な説明は省略する。
【0027】
針部17の先端面17bには、生体組織Aの体液を吸引するための吸引孔18が形成されている。吸引孔18は、導光板14の反射面8bまで貫通しており、この反射面8b側の開口にはチューブ14が接続されている。
これにより、針部15の先端面17bの角部17aを生体組織Aに刺し込むとともに、生体組織Aを圧迫面16により圧迫すると、生体組織A内の体液は、吸引孔18内に入り込むとともに、陰圧によって吸引孔18からチューブ14を介して体腔外へ吸い出される。
以上の構成により、第3の実施形態に係る処置具によれば、針部17に吸引孔18を形成するようにしたので、第1および第2の実施形態のように、生体組織Aから流出した体液を吸引孔12へ導くガイド部13が不要になる。このため、処置具の製造を容易に行うことができる。
【0028】
[第4の実施形態]
図8は、本発明の第4の実施形態に係る処置具の斜視図であり、図9は、その処置具の導光板の要部拡大断面図である。第4の実施形態は、第3の実施形態における導光板8の変形例を示すものである。なお、第4の実施形態のその他の構成は、第3の実施形態と同様であるため、以下の説明では、第3の実施形態と同一符号で示す。
図8において、第4の実施形態において、導光板19は、アクリル樹脂やメタクリル樹脂などの透明で屈折率の大きな樹脂によって略平板状に形成されており、一側面に形成され発光部7の光を入射する平坦な入射面19aと、後面に形成され入射面19aから入射した光を反射させる反射面19bと、前面に形成され反射面19bで反射された光を面状光として出射する出射面19cとを有している。
【0029】
反射面19bには、その全体に複数の微小な入射光反射パターン19b1が形成されている。この入射光反射パターン19b1は、図9に示すように、鋸刃状に形成された溝により構成されており、入射面8aから入射した光は、複数の入射光反射パターン19b1により反射面19b全体で均一に反射されるようになっている。
出射面19cには、その全体に複数の微小なノイズ光反射パターン19c1が形成されている。このノイズ光反射パターン19c1は、図9に示すように、鋸刃状に形成された溝により構成されており、出射面19cから出射した光が生体組織Aの表面で全反射した表面反射光L1(ノイズ光)を反射するとともに、その表面から入射して生体組織A内部で反射した内部反射光L2を透過するようになっている。
【0030】
以上の構成により、第4の実施形態に係る処置具によれば、出射面19cに形成されたノイズ光反射パターン19c1により、出射面19cから出射した光が生体組織Aの表面で反射した表面反射光L1を全反射するとともに、生体組織A内で反射した内部反射光L2を透過することができる。このため、透過した内部反射光L2の反射成分を分析することにより、生体組織Aの内部状態を把握することができる。
【0031】
[第5の実施形態]
図10は、本発明の第5の実施形態に係る処置具の斜視図である。
第5の実施形態は、第1の実施形態における面発光手段5の変形例を示すものである。なお、第5の実施形態のその他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、以下の説明では、第1の実施形態と同一符号で示す。
第5の実施形態において、面発光手段20は、光源としての上下一対の発光部21と、この発光部21の光を反射する反射板22と、この反射板22により反射された光を拡散して出射する拡散板23とを備えた、いわゆるエッジライト方式のバックライト型のものである。
発光部21は、図10の紙面垂直方向に延びる線光源としての直管型の蛍光等により構成されており、反射板22と拡散板23との間に配置されている。
【0032】
反射板22は、その前面(図10の左側)にV字形に形成された上下一対の反射面22aを有している。これらの反射面22aは、光反射シートの貼り付け、または光反射塗料の塗布等によって形成されており、発光部21の光を反射するようになっている。また、両反射面22aの間には、平坦に形成されるとともに、反射板22の後方からその前方を視認可能な程度に透過性を有する透過部22bが形成されており、この透過部22bの後方に撮像部4が配置されている。
【0033】
拡散板23は、透明で光を透過するアクリル樹脂板またはガラス板などによって略平板状に形成されており、その後面(図10の右側)に反射板22で反射された光を透過させる入射面23aが形成されるとともに、前面(図10の左側)には入射面23aから入射された光を拡散して出射する出射面23bが形成されている。この出射面23bには、複数の微小な凹凸形状の拡散パターン(図示せず)が形成されており、この拡散パターンにより、入射面23aから入射した光を出射面23bから拡散して出射するようになっている。出射面23bには、拡散板23と同一材料からなる刃部24、圧迫面25等の処置部26が一体的に設けられている。処置部26の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。なお、処置部26の形成面26aは、上記刃部24、圧迫面25等により形成されている。
【0034】
以上の構成により、第5の実施形態に係る処置具によれば、反射板22および拡散板23により面状光を出射するエッジライト方式のバックライト型からなる面発光手段20に、生体組織Aを処置する処置部26を取り付けるようにしたので、上記面状光により処置部26に陰影が生じるのを抑えることができ、生体組織Aの処置を容易に行うことができる。
【0035】
[第6の実施形態]
図11は、本発明の第6の実施形態に係る処置具の斜視図である。
第6の実施形態は、第1の実施形態における面発光手段5の変形例を示すものである。なお、第6の実施形態のその他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、以下の説明では、第1の実施形態と同一符号で示す。
第6の実施形態において、面発光手段27は、光源としての単一の発光部28と、この発光部28から入射した光を面状光として出射する導光板29と、この導光板29により反射された光を拡散して出射する拡散板30とを備えた、いわゆる直下型方式のバックライト型のものである。
発光部28は、図11の紙面垂直方向に延びる線光源としての直管型の蛍光等により構成されており、導光板29の一側面側に配置されている。
【0036】
導光板29は、アクリル樹脂やメタクリル樹脂などの透明で屈折率の大きな樹脂によって略平板状に形成されており、一側面には発光部28の光を入射する平坦な入射面29aが形成されている。また、導光板29の後面(図11の右側)には入射面29aから入射した光を反射させる反射面29bが形成されているとともに、前面(図11の左側)には反射面29bで反射された光を出射する出射面29cが形成されている。
反射面29bには、その全体に複数の微小な入射光反射パターン29b1が形成されている。この入射光反射パターン29b1は、第1の実施形態と同一の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
また、反射面29bは、反射面29b側に配置される撮像部4により、出射面29c側に配置される生体組織Aを視認可能な程度の透過性を有している。すなわち、入射光反射パターン29b1が、撮像部4による生体組織Aの視認を阻害しない程度に、その密度および大きさを考慮して反射面29bに形成されている。
【0037】
拡散板30は、透明で光を透過するアクリル樹脂板またはガラス板などによって略平板状に形成されている。拡散板30の後面(図11の右側)には、導光板29の出射面29cから出射された光を透過させる入射面30aが形成されているとともに、前面(図11の左側)には入射面30aから入射された光を拡散して出射する出射面30bが形成されている。この出射面30bには、複数の微小な凹凸形状の拡散パターン(図示せず)が形成されており、この拡散パターンにより、入射面30aから入射した光を出射面30bから拡散して出射するようになっている。
また、出射面30bには、拡散板30と同一材料からなる刃部31、圧迫面32等の処置部33が一体的に設けられている。処置部33の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。なお、処置部33の形成面33aは、上記刃部31、圧迫面32等により形成されている。
【0038】
以上の構成により、第6の実施形態に係る処置具によれば、導光板29および拡散板30により面状光を出射する直下型方式のバックライト型からなる面発光手段27に、生体組織Aを処置する処置部33を取り付けるようにしたので、上記面状光により処置部33に陰影が生じるのを抑えることができ、生体組織Aの処置を容易に行うことができる。
【0039】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。
例えば、第1〜第4実施形態では、光源としての発光部7は、LEDの光を光ファイバ9を介して発光させているが、LEDを導光板8(19)に直接取り付けて発光させるようにしてもよい。また、発光部7は、点光源であるLEDの光を用いているが、線光源である蛍光灯等の光を用いることも可能である。また、発光部7は導光板8(19)の入射面8a(19a)側に複数個取り付けるようにしてもよい。
【0040】
また、第2〜第4の実施形態では、針部15(17)を略三角柱状に形成しているが、円柱状に形成することも可能である。また、針部は1個だけに限らず、複数個の針部を突設させることも可能である。
さらに、上記各実施形態では、処置部6(26,33)として刃部10(24,31)および針部15(17)のいずれか一方のみを設けているが、刃部および針部を両方設けることも可能である。また、刃部または針部以外に鉗子等の他の処置部を設けるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、処置具3を内視鏡1に用いているが、手術室等において体外へ摘出された生体組織を処置する器具に用いることも可能である。
また、上記各実施形態では、処置具3の後方に撮像部4を配置しているが、処置具3の側方に撮像部3を配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 内視鏡
2 可撓管
3 処置具
4 撮像部
5,20,27 面発光手段
6,26,33 処置部
6a,26a,33a 形成面
7,21,28 発光部(光源)
8,19,29 導光板
8a,19a,29a 入射面
8b,19b,29b 反射面
8c,19c,29c 出射面
10,24,31 刃部
11,16,25,32 圧迫面
12,18 吸引孔
13 ガイド部
15,17 針部
19c1 ノイズ光反射パターン
A 生体組織
L1 表面反射光
L2 内部反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から入射した光を面状光として出射する出射面を有する面発光手段と、
前記面発光手段の出射面側に形成され、生体組織に所定の処置を行うための処置部と、
を備えていることを特徴とする処置具。
【請求項2】
前記処置部は、当該処置部を形成する形成面が前記出射面を構成している請求項1に記載の処置具。
【請求項3】
前記面発光手段が、前面に前記出射面が形成されている導光板を有し、
前記導光板は、側面に前記光源の光を入射する入射面が形成されているとともに、後面に当該入射面から入射した光を反射させる反射面が形成されている請求項1または2に記載の処置具。
【請求項4】
前記反射面が、当該反射面側から前記生体組織を視認可能な程度に透過性を有する請求項3に記載の処置具。
【請求項5】
前記面発光手段の出射面に、前記生体組織の表面で反射した表面反射光を反射するとともに前記生体組織内で反射した内部反射光を透過するノイズ光反射パターンが形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の処置具。
【請求項6】
前記処置部が、前記生体組織に刺し込まれる刃部を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の処置具。
【請求項7】
前記処置部が、前記生体組織に刺し込まれる針部を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の処置具。
【請求項8】
前記処置部が、前記生体組織を圧迫する圧迫面を有し、
前記刃部および/または針部が、前記圧迫面上に形成されている請求項6または7に記載の処置具。
【請求項9】
前記処置部に、前記刃部および/または針部を刺し込むことによって前記生体組織から流出する体液を吸引するための吸引孔が形成されている請求項6〜8のいずれか一項に記載の処置具。
【請求項10】
前記処置部が、前記生体組織から流出する体液を前記吸引孔へ導くためのガイド部を有する請求項9に記載の処置具。
【請求項11】
前記吸引孔が、前記刃部および/または針部に形成されている請求項9に記載の処置具。
【請求項12】
可撓性を有する可撓管と、
前記可撓管の先端部に装着された請求項1〜11のいずれか一項に記載の処置具と、
前記生体組織を撮像する撮像部と、
を備えていることを特徴とする内視鏡。
【請求項13】
可撓性を有する可撓管と、
前記可撓管の先端部に装着された請求項4に記載の処置具と、
前記処置具の反射面の後方に配置され、当該反射面を透過して前記生体組織を撮像する撮像部と、
を備えていることを特徴とする内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−187854(P2010−187854A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34272(P2009−34272)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業、 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】