説明

処置方法

【課題】急性鼻副鼻腔炎を処置する新規かつ改良された方法を提供すること。
【解決手段】鼻副鼻腔炎を罹患した患者における上部気道通路の鼻副鼻腔炎を処置する方法が開示され、この方法は、この患者の上記通路の表面に、少なくとも一日一回、この疾患を処置するために単独療法として有効なフランカルボン酸モメタゾンのエアロゾル化粒子の量を投与する工程を包含する。抗生物質を同時投与せずに、鼻副鼻腔炎に罹患した患者における上部気道の急性鼻副鼻腔炎を処置する方法もまた開示され、この方法は、患者の上記通路の表面に、少なくとも一日一回、この疾患を処置するために有効な量のコルチコステロイドのエアロゾル化粒子を投与する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
事実上すべての人々は、時折、急性上気道感染、鼻の急性または慢性アレルギー発症、および/または急性または慢性の非アレルギー性鼻副鼻腔炎に襲われる。このような症状を罹患した人々によって、通常、顕著な不快および不自由が被られる。これらの疾患のすべては、鼻粘膜の強い炎症によって特徴付けられる。一般に風邪またはその他の副鼻腔炎症状をともなう不快および不自由に少なくとも一部寄与する多くの症状としては、しばしば、以下の1つ以上が挙げられる:鼻づまり、後部鼻汁、臭覚減少、耳つまり(ear fullness)、頭痛、咽頭炎、倦怠感、筋肉および関節の痛み、疲労、咳、胸部鬱血、熱、悪寒および消化管疾患。
【0002】
アレルギーおよび一般の風邪にともなう症状の発症および持続時間を減少すること、およびそれらの付随する症状を抑制または排除することを狙うかなりの研究が、長年にわたって実施されている。
【0003】
急性の鼻副鼻腔炎の最も一般的な原因は、上部気道に感染し、そして障害を引き起こすウイルス性風邪またはインフルエンザである。この障害は、しばしば、細菌に快適である環境を生成する。細菌性鼻副鼻腔炎は、通常、ウイルス感染またはアレルギー性鼻炎の後に起こる。抗細菌治療は、この炎症が通常ウイルス病原体によって引き起こされるという事実にかかわらず、急性の鼻副鼻腔炎の標準的な処置である。アモキシリン(Amoxicillin)またはその他の抗生物質が、急性の鼻副鼻腔炎に対する第一線の治療として慣習的に用いられる。
【0004】
急性市中感染鼻副鼻腔炎に対する付加的療法としては、経口的または局所的に送達される、経口うっ血除去薬、咳止め、抗ヒスタミン剤および非ステロイド系抗炎症剤が挙げられる。1つの研究では、経口抗生物質との付加的処置として、フランカルボン酸モメタゾンの鼻内噴霧が、鼻副鼻腔炎の症状を顕著に改善した。非特許文献1;非特許文献2もまた参照のこと。
【非特許文献1】Nayakら、Ann.All.Asthma Immunol.2002 9月:89(3):271〜8
【非特許文献2】Charousら、J.All.Clin.Immunology、(2000)、(105)S210
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
急性鼻副鼻腔炎の複雑かつ多様な原因に起因して、この疾患を処置する新規かつ改良された方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
上部気道通路の急性鼻副鼻腔炎を罹患した患者において、抗生物質の併用投与なくしてその疾患を処置する方法であって、その患者のその通路の表面に、少なくとも一日1回、その疾患を処置するために有効な量のフランカルボン酸モメタゾンのエアロゾル化粒子を投与する工程を包含する、方法。
(項目2)
上記フランカルボン酸モメタゾンの量が、フランカルボン酸モメタゾンのエアロゾル化粒子の約25μg〜約1600μgのほぼ範囲である、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記フランカルボン酸モメタゾンの量が、約25μg〜約800μgの範囲である、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記フランカルボン酸モメタゾンの量が、約25μg〜約400μgの範囲である、項目3に記載の方法。
(項目5)
上記フランカルボン酸モメタゾンの量が、約25μg〜約200μgの範囲である、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記フランカルボン酸モメタゾンの量が、約25μg〜約100μgの範囲である、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記フランカルボン酸モメタゾンの量が、約100μg、200μgまたは400μgである、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記フランカルボン酸モメタゾンが、一日2回投与される、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記フランカルボン酸モメタゾンが、フランカルボン酸モメタゾン一水和物である、項目1に記載の方法。
(項目10)
上記フランカルボン酸モメタゾンが、水性懸濁物の形態で投与される、項目1に記載の方法。
(項目11)
上記フランカルボン酸モメタゾンが、乾燥粉末の形態で投与される、項目1に記載の方法。
(項目12)
上記フランカルボン酸モメタゾンが、無水物である、項目11に記載の方法。
(項目13)
上部気道通路の急性鼻副鼻腔炎を罹患した患者において、抗生物質の併用投与なくしてその疾患を処置する方法であって、その患者のその通路の表面に、少なくとも一日1回、その疾患を処置するために有効な量のコルチコステロイドのエアロゾル化粒子を投与する工程を包含する、方法。
(項目14)
上記コルチコステロイドが、デキサメタゾン、ブトキシカント、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコルト、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノルまたはトリアムシノロンからなる群から選択される、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記コルチコステロイドが、水性懸濁物の形態で投与される、項目13に記載の方法。
(項目16)
上記コルチコステロイドが、乾燥粉末の形態で投与される、項目13に記載の方法。
(項目17)
上記コルチコステロイドが、フルチカゾンである、項目13に記載の方法。
(項目18)
上記フルチカゾンの投与される投薬量が、毎日1回各外鼻孔に各々プロピオン酸フルチカゾンの50μgの2スプレーである、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記フルチカゾンの投与される投薬量が、毎日1回各外鼻孔に各々プロピオン酸フルチカゾンの50μgの1スプレーである、項目17に記載の方法。
(項目20)
上記コルチコステロイドが、トリアムシノロンである、項目13に記載の方法。
(項目21)
上記トリアムシノロンの投与される投薬量が、毎日1回各外鼻孔に2スプレーとして一日あたり220μgである、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記トリアムシノロンの投与される投薬量が、毎日1回各外鼻孔に一日あたり110μgである、項目20に記載の方法。
(項目23)
上記コルチコステロイドが、ブデノニドである、項目13に記載の方法。
(項目24)
上記ブデノニドの投与される投薬量が、毎日1回外鼻孔あたり32μgの1スプレーとして投与される一日あたり64μgである、項目23に記載の方法。
【0007】
(発明の要旨)
従って、抗生物質を同時投与せずに、鼻副鼻腔炎に罹患した患者における上部気道の急性鼻副鼻腔炎を処置する方法が開示され、この方法は、患者の上記通路の表面に、少なくとも一日一回、この疾患を処置するために有効な量のフランカルボン酸モメタゾンのエアロゾル化粒子を投与する工程を包含する。
【0008】
抗生物質を同時投与せずに、鼻副鼻腔炎に罹患した患者における上部気道の急性鼻副鼻腔炎を処置する方法がまた開示され、この方法は、患者の上記通路の表面に、少なくとも一日一回、この疾患を処置するために有効な量のコルチコステロイドのエアロゾル化粒子を投与する工程を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
フランカルボン酸モメタゾンは、コルチコステロイド応答性の皮膚疾患の炎症性および/またはかゆみ性症状を処置するための局所的皮膚科使用のために認可されたコルチコステロイドである。この化合物は、米国特許第4,472,393号、同第4,731,447号、同第4,873,335号、同第5,837,699号および同第6,127,353号に開示される手順に従って調製され得、これらはすべて、本明細書によって、それらの全体が参考として援用される。モメタゾンは、容易に生体利用可能でない局所的に活性なステロイドであり、より全身的に生体利用可能であるその他の局所的に活性であるコルチコステロイドに対し治療的利点を提供し、そしてそれはまた、例えば、溶液、錠剤またはカプセルの経口嚥下によって経口的に投与される任意のコルチコステロイドより優れている。それは、Nasonex(登録商標)の名の下、鼻内投与のためのスプレーとして市販される。気道および肺疾患の処置のためのモメタゾンの使用は、米国特許第6,677,323号、同第6,677,322号、同第6,365,581号、同第6,187,765号、同第6,068,832号、同第6,057,307号、同第5,889,015号、同第5,837,699号、および同第5,474,759号に開示され、これらのすべては、それらの全体が参考として援用される。
【0010】
コルチコステロイド類は、喘息のような気道通路疾患を処置する際に有用であるが、コルチコステロイド類を用いるこのような処置は、しばしば、コルチコット(corticot)(ACTH)産生を減少することによって、視床下部−下垂体−副腎皮質(「HPA」)軸機能の抑制のような全身的副作用をしばしば引き起こし得る。これは、次に、副腎によるコルチゾール分泌減少に至る。
【0011】
フランカルボン酸モメタゾンは、実質的に最小の全身的作用を有しながら、上部気道通路の表面に作用することにより、アレルギー性鼻炎のような気道通路疾患を処置する際に優れた抗炎症効果を示す。鼻内に投与されたフランカルボン酸モメタゾンの全身的作用の実質的最小性は、フランカルボン酸モメタゾンの血漿放射活性の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)代謝物プロファイリング、肝臓における実質的に完全な(>98%)初回通過代謝およびコルチゾール分泌レベルにおける最小減少によって測定されている。
【0012】
本明細書で用いられるとき、用語「治療指標」は、全身的安全性に対する局所的効目の比を意味する。このようなコルチコステロイド類の全身的安全性は、通常、HPA−軸機能によって測定され;全身的作用のその他の測定としては、例えば、成長抑制、骨密度、および皮膚厚測定が挙げられる。
【0013】
本発明に従って急性鼻副鼻腔炎の患者に投与されたフランカルボン酸モメタゾンによって示される優れた安全性プロフィールに加え、フランカルボン酸モメタゾンはまた、急性鼻副鼻腔炎の処置において、この優れた安全性プロフィールが示唆し得るより高い、予期せぬ高レベルの効果を示す。
【0014】
経口吸入による、または鼻内の吸入による口腔気道通路および肺への送達のための、エアロゾル化フランカルボン酸モメタゾンまたはそのエアロゾル化薬学的組成物の測定された実質的に非全身的な生体利用可能量を提供するために有用であると見出されたデバイスとしては、クロロフルオロカーボン推進剤(例えば、CFC−11、CFC−12)、あるいはその他の非クロロフルオロカーボン類または代替の推進剤(例えば、フロオロカーボン、HFC−134AもしくはHFC−227)中に、界面活性剤および適切な架橋剤と一緒にかまたはなしで懸濁されたエアロゾル化粒子を送達する加圧計測投与量吸入器(「MDI」);単独、またはある薬学的に受容可能なキャリア(例えば、ラクトース)と組み合わせてのいずれかで、大きな凝集物中の微細に粉砕された粉末としてエアロゾル化フランカルボン酸モメタゾンを送達するために用いられ得る、1993年1月7日に公開されたSchering Corporationの国際特許出願番号PCT/US92/05225に開示される乾燥粉末吸入器、ならびにTURBUHALER(登録商標)(Astra Pharmaceutical Products,Inc.から入手可能)またはROTAHALER(登録商標)(Allen&Hanburysから入手可能)のような呼吸で能動化されるか、または空気またはガス圧いずれかで送達される乾燥粉末吸入器;および噴霧器が挙げられる。Nasonex(登録商標)吸入エアロゾル(Schering Corporation、Kenilworth、N.J.から入手可能)を送達するために用いられるような、噴霧器および計測投与量吸入器の使用によるエアロゾル化薬物の吸入は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.Easton、Pa.、第15版、99章、1910〜1912頁に開示されている。
【0015】
フランカルボン酸モメタゾンはまた、NASONEX(登録商標)鼻内噴霧を送達するために用いられる瓶、および1993年6月1日に、the Hague Unionによって登録された、Schering Corporationの工業的デザイン寄託DM/026304に開示されるスプレー瓶のようなポンプスプレー瓶の使用によって水性懸濁液の形態で特定の計測量で投与され得る。本発明の水性懸濁組成物は、フランカルボン酸モメタゾン(これは、フランカルボン酸モメタゾン一水和物の形態であり得る)を、水およびその他の薬学的に受容可能な賦形剤と混合することにより調製され得る。国際出願番号第PCT/US91/06249号、フランカルボン酸モメタゾン一水和物およびそれを含む水性懸濁物の調製について特に実施例1〜5を参照のこと。
【0016】
本発明の水性懸濁物は、1gの懸濁物あたり、約0.01〜10.0mg、好ましくは0.1〜10.0mgのフランカルボン酸モメタゾン一水和物を含み得る。本発明による水性懸濁物組成物は、特に、水、補助剤および/または1以上の賦形剤;例えば、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピル−メチルセルロースのような懸濁剤;湿潤剤(例えば、グリセリンおよびプロピレングリコール);pHを調節するための酸、塩基または緩衝物質(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウムならびにクエン酸およびリン酸緩衝液の混合物);界面活性剤(例えば、Polysorbate 80);ならびに抗微生物保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコールおよびソルビン酸カリウム)、を含み得る。上記スプレーは、芳香であっても芳香でなくてもよい。
【0017】
担当臨床医の判断に基づき、投与されるフランカルボン酸モメタゾンの量および用いられる処置レジメンは、もちろん、処置されている患者の年齢、性別および病歴、特定の症状の重篤度、ならびに局所的毒性(例えば、鼻炎症および/または出血)および全身的副作用(例えば、コルチゾールレベル)によって証明された処置レジメンに対する患者の耐性に依存する。コルチゾール(ヒドロコルチゾンともまた称される)は、副腎皮質によって合成される主要な天然グルココルチコステロイドである。
【0018】
急性の鼻副鼻腔炎の処置のために、水性懸濁物または乾燥粉末として投与され得るフランカルボン酸モメタゾンの実質的に非全身的生体利用可能な量は、単回投薬または分割投薬で、約10〜5000μg(「μg」)/日、10〜4000μg/日、10〜2000μg/日、25〜1000μg/日、25〜400μg/日、25〜200μg/日、25〜100μg/日または25〜50μg/日の範囲にある。
【0019】
アレルギー性鼻副鼻腔炎および非アレルギー性鼻副鼻腔炎の処置において、フランカルボン酸モメタゾンの水性懸濁物は、適切なデバイス(例えば、NASONEX AQ(登録商標)鼻スプレーを送達するために使用されるポンプスプレー瓶および1993年6月1日に登録されたSchering Corporationの工業デザイン寄託DM/026304に開示されるスプレー瓶)を、各外鼻孔中に挿入することにより鼻内に投与され得る。活性薬物が、次いで、粉末として発射されるか(鼻スプレーデバイス)または鼻に吸入される(鼻で吸う)。効果は、一般に、鼻の症状(例えば、くしゃみ、かゆみ、鬱血、および排出)における減少によって、二重盲検様式で評価される。その他の客観的測定(例えば、鼻のピークフロー(nasal peak flow)および抵抗性)が、効果の支持的指標として用いられ得る。
【0020】
以下の投薬量範囲のフランカルボン酸モメタゾンが用いられ得る:(1)標準的なCFCまたは代替の推進剤との計測投薬量吸入器には、約10〜5000μg/日もしくは10〜4000μg/日もしくは10〜2000μg/日、または50〜1000μg/日もしくは25〜100μg/日、または25から400μg/日、または25から200μg/日、または25〜50μg/日;好ましい投薬量範囲は、一日あたり、50〜1000μgであり、そして好ましい投薬量は、1〜4服で投与される25、100、200および250μgであり;好ましくは1〜3服を一日一回;(2)乾燥粉末吸入器には−約10〜5000μg/日または10〜4000μg/日または10〜2000μg/日または25〜1000μg/日または25〜400μg/日または25〜200μg/日または50〜200μg/日または25〜50μg/日の無水フランカルボン酸モメタゾン;乾燥粉末吸入器中の無水フランカルボン酸モメタゾンの好ましい投薬量範囲は、一日あたり50〜600μg、より好ましくは一日あたり100〜600μg/日であり、そして好ましい投薬量範囲は、1〜3服を一日一回で投与される50、100、200および250μgであり;代表的には、計測投薬量吸入器単位は、120の投薬量を含み;(3)吸入のための水性懸濁液には、好ましい投薬量範囲は、25〜800μg/100μLであり、そして投薬量は、25、50、100、125、150、175、200、225、250、300、400、500および800μg/100μLの単回投薬または分割投薬のフランカルボン酸モメタゾンである。フランカルボン酸モメタゾンの水溶液は、アレルギー性鼻副鼻腔炎、例えば、季節的アレルギー性鼻副鼻腔炎を処置する際に、一日一回で投与される25μgから1600μgまで安全かつ有効であることが見出された;好ましい投薬量範囲は、一日あたり25〜800μgであるが、一日400μgを超えると処置における改善は代表的には見出されない。最も好ましい投薬量は、各鼻孔に2回投与される25、50および100μgであり、100、200および400μgの一日に一回の総投薬量について一日一回である。代表的には、2〜4の懸濁フランカルボン酸モメタゾンが、プラスチック噴霧器コンテナ中に配置され得、そして患者は、2〜10分間の間吸入し得る。このようなコンテナに配置される総投薬量は、300〜3000μgの範囲であり得る。
【0021】
本発明の好ましい局面では、無水フランカルボン酸モメタゾンは、乾燥粉末吸入器における使用のために、乾燥賦型剤、例えば、乾燥ラクトースと混合され得る。このフランカルボン酸モメタゾン:乾燥ラクトースの比は、1:19から1:0まで広範に変動し、そして好ましくは、それは1:19〜1:4である。代表的には、適切な無水フランカルボン酸モメタゾン投薬量範囲は、一日一回投与される25〜600μgである。乾燥ラクトースとの混合のための好ましいフランカルボン酸モメタゾン投薬量は、一日に1〜3服で投与される25、100、200および250μgである。好ましい組み合わせのフランカルボン酸モメタゾン:ラクトース投薬量は各投薬について500μgである。例えば、好ましい1:19比については、25μgの無水フランカルボン酸モメタゾンが475μgの無水ラクトースと混合され、そして好ましい1:4比については、100μgの無水フランカルボン酸モメタゾンが400μgの無水ラクトースと混合され、500μg投薬量のフランカルボン酸モメタゾン:ラクトース混合物を生じる。
【0022】
投薬レジメンは、一日4回から一日2回、一日1回まで変動し得る。しかし、フランカルボン酸モメタゾンの優れた治療指標は、本発明の方法の吸入でなお、一日1回投薬することによって患者の有効な処置をもたらす。
【0023】
投与の任意の経路に対し、分割投薬または単回投薬が用いられ得る。例えば、計測投薬量吸入器を用いて、例えば、500μgのエアロゾル化フランカルボン酸モメタゾンを送達する場合、通常、一日に1回250μgがこのエアロゾル化薬物を送達するために用いられ得る。
【0024】
噴霧器コンテナを用いて、一日に例えば200μgのフランカルボン酸モメタゾンの水性懸濁物を送達する場合、各外鼻孔中への50μgの2つの押し込みがこの薬物を送達するために用いられ得る。
【0025】
計測投薬量吸入器を用いて、例えば200μgの無水フランカルボン酸モメタゾンを送達するとき、一日1回の100μgのフランカルボン酸モメタゾンと400μgのラクトースとの混合物500μg2服が通常用いられ、エアロゾル化薬物を送達し得る。本発明を、以下の非制限的な実施例についてさらに説明する。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
4つの平行する群で、フェーズ2、投薬量範囲、二重盲検、二重ダミー、ランダム化、複数中心、多国籍研究を実施した。3つの処置レジメンが存在した:フランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μgを一日1回投与;フランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μgをまた一日2回投与;アモキシリン500mgを一日3回投与。3つすべてを、偽薬に対して投与した。これらのレジメンは、年齢12才またはそれ以上の、7日以上および28日以下で存在する症状を有すると臨床的に診断された急性鼻副鼻腔炎の被験体に投与された。5以上そして12以下の主要症状スコア(症状の合計−顔の痛み、鼻漏、後部鼻汁、鼻風邪にともなう頭痛、鼻鬱血−各々は0−なし〜3−重篤でスコアされた)の被験体を、重篤とスコアされた3以下の症状ベースラインで含めた。101゜F/38.3℃以上の熱、持続する重篤な片側顔面痛/歯痛、眼窩または眼窩周囲顔面の腫れ、歯痛併発の存在について疑われる細菌性鼻副鼻腔炎;および/または初期改善の後、悪化する症状をもつ被験体を、この研究から排除した。
【0027】
この研究の主要な効目変数は、実際の主要症状スコアであった(15日の処置に亘って、AMおよびPM評価について毎日平均した)。被験体は、可能な再発を評価するためにさらに14日間の間追跡された。
【0028】
以下の結果が得られた。
【0029】
【表1】

被験体の65%は女性であり、42%は、コーカサス人で、年齢は、12〜76才であった。主要症状スコアについて、一日2回のフランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μgは、対偽薬(p<0.001)および対アモキシリン(p=0.002)で優れた効目を示した。一日1回のフランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μgは、対偽薬(p=0.018)で優れた効目を示したが、対アモキシリンではなかった。アモキシリンは、偽薬(p=0.275)とは異ならなかった。一日2回のフランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μgは、2日目で始まる対偽薬(p<=0.037)および4日目で始まる(p<=0.012)対アモキシリンで症状スコアにおける改善を示した。
【0030】
処置は、一日2回のフランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μgで(n=11)処置された被験体より多くの、偽薬で処置された被験体(n=27)において失敗した(p=0.017)。フォローアップフェーズに入った951の被験体のうち、63の被験体が再発を経験し、処置群間で有意な差はなかった。再発率は、一日2回のフランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μg、偽薬およびアモキシリン(それぞれ7、7および8%)間でほとんど同じであった。終了時の治療応答は、偽薬(p=0.001)で、またはアモキシリン(p=0.013)でより、一日2回のフランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μgでより良好であった。
【0031】
155の被験体(15.8%)が、群間で差異はなく、重篤度において主に穏やか〜中程度の処置関連の副作用事象を経験した。鼻出血が、最も共通の副作用(3.2%〜5.1%)であり、頭痛(1.2%〜3.6%)が続いた。
【0032】
結論として、一日2回のフランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μgは、臨床的に診断された市中獲得急性鼻副鼻腔炎の処置において偽薬およびアモキシリンに対して優れた効目を示し、その一方、アモキシリンは偽薬と異ならなかった。一日2回のフランカルボン酸モメタゾン鼻内スプレー200μgは、偽薬およびアモキシリンに対して、それぞれ2日および4日早く症状軽減における改善を示した。フォローアップフェーズの間に、再発率は、処置群間で類似していた。報告された副作用は、穏やか〜中程度であり、発生率は低く、そして群間で類似の率であった。
【0033】
その他のコルチコステロイドが本発明の範囲内で用いられ得ることが当業者によって認識され得る。本発明における使用のためのその他のコルチコステロイドとしては、ブトキシカート(butoxicart)、ロフレポニド(rofleponide)、ブデソニド(budesonide)、デフラザコルト(deflazacort)、シクレソニド(ciclesonide)、フルチカゾン(fluticasone)、ベクロメタゾン、ロテプレドノル(loteprednol)またはトリアムシノロンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、コルチコステロイドがフルチカゾンのとき、それは、毎日1回各鼻孔に50μgのプロピオン酸フルチカゾンの2スプレーの各々の投薬量で投与され得る。あるいは、それは、毎日1回各鼻孔に50μgのプロピオン酸フルチカゾンの1スプレーの各々の投薬量で投与され得る。コルチコステロイドがトリアムシノロンのとき、それは、毎日1回各鼻孔に220μgのトリアムシノロンの2スプレーの各々の投薬量で投与され得る。あるいは、それは、毎日1回各鼻孔に110μgのトリアムシノロンの1スプレーの各々の投薬量で投与され得る。コルチコステロイドがブデソニドのとき、ブデノニドの投与される投薬量は、毎日1回鼻孔について32μgの1スプレーとして1日あたり64μgであり得る。
【0034】
本発明の種々の実施形態の先行する記載は、本発明の種々の局面の代表であり、そして開示される正確な形態に排他的または制限するものではないことが意図される。多くの改変および変更が当業者に起こることに疑いはない。本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ完全に規定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の、発明。

【公開番号】特開2008−110991(P2008−110991A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16970(P2008−16970)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【分割の表示】特願2006−551345(P2006−551345)の分割
【原出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】