説明

凹凸織編地

【課題】 タオル等に使用した場合に、拭き取り性能に方向性がなく、従来にない肌触りや風合い、吸水性能、拭き取り性能を併せ持った凹凸織編地を提供する。
【解決手段】 生地を構成する糸条の少なくとも30質量%が、長手方向に凹凸構造を有する糸条である織編地であって、前記糸条は、凸部の数が200個/m以上、総繊度が200dtex以上、凸部を構成する繊維の単糸繊度が1.0dtex以下である。また、凹凸構造を有する糸条の凸部の幅Wは、芯部の幅Dの1.5倍以上が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた拭き取り性能を有し、タオル等の家庭用品用途、工業用品用途、資材用途、副資材用途、介護資材用途、さらにはバスローブ等の衣料用途等に幅広く使用できる凹凸織編地に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、家庭用バスタオルやフェイスタオル等に使用する織編地については数多くの提案がなされているが、その多くは綿を主体とするものであり、その用途に応じて多種多様に商品化されている。
【0003】
また、近年では、拭き取り性をさらに向上させる目的で、合成繊維の極細繊維糸条を用いた織編地も提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
そして、これらの布帛では、表面に凹凸を形成する方法として、パイルを機械的に形成したり、凹凸感を発現する織編組織を採用するなどの方法が用いられている。
【特許文献1】特公昭61−10588号公報
【特許文献2】特公昭61−52257号公報
【特許文献3】実開平2−136085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの方法で形成される凹凸は規則的なものであり、そのためタオル等に使用した場合に立毛部(パイル)の毛倒れ等が発生し、拭く方向により十分に拭き取り性能が発揮されなかったり、体の垢等を擦る際には十分な擦り効果が得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決し、タオル等に使用した場合に、拭き取り性能に方向性がなく、従来にない肌触りや風合い、吸水性能、拭き取り性能を併せ持った凹凸織編地を提供することを技術的な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、織組織や編組織で凹凸を形成するのではなく、特定の凹凸構造を有する糸条を主成分として凹凸織編地を構成すればよいことを知見して本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の構成を有するものである。
(1)生地を構成する糸条の少なくとも30質量%が、長手方向に凹凸構造を有する糸条である織編地であって、前記糸条が下記式(1)〜(3)を満足することを特徴とする凹凸織編地。
≧200個/m…(1)
≧200dtex…(2)
≦1.0dtex…(3)
ただし、Aは1m当たりの凸部の数、Aは総繊度、Aは糸条中の凸部を構成する繊維の単糸繊度を表す。
(2)凹凸構造を有する糸条の凸部の幅Wが、芯部の幅Dの1.5倍以上であることを特徴とする上記(1)記載の凹凸織編地。
【発明の効果】
【0009】
本発明の凹凸織編地は、不規則な凹凸構造を有する糸条が生地の30質量%以上を占めているので、前記糸条の形状に由来する不規則な粒状の凹凸を有し、従来にない独特の肌触りと風合いを有している。
【0010】
また、凸部に極細糸を使用しているため、拭き取り対象物の汚れを捕捉して掻き落とす作用を有し、拭き取り性能に方向性がなく、吸水性、保水性にも優れているため、ボディタオル、タオル地等の洗体効果に優れており、さらに、ガラスやディスプレー等の表面の清掃操作が容易で、清掃作業の効率化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明の凹凸織編地は、生地を構成する糸条の少なくとも30質量%が、長手方向に凹凸構造を有する糸条であることが必要であるが、まず、この糸条について説明する。
【0013】
長手方向に凹凸構造を有する糸条は、図1でモデル的に示すように、長手方向に凸部と凹部とを交互に有しており、凸部の幅Wは、凹部の幅Dの1.5倍以上であることが好ましく、2〜10倍であることがより好ましい。凸部の幅Wが凹部の幅Dの1.5倍未満の糸条を用いた織編物は、凹凸が小さいため、本発明でいう不規則な粒状の凹凸が得られ難く、拭き取り性能や肌触り感が低下する場合がある。すなわち、この値が1.5倍以上になると、凹凸を明瞭に確認することが可能となり、製織や製編すれば、表面上に凹凸を有した生地を容易に得ることができる。
【0014】
また、糸条における凹凸構造の形態としては、図1(a)のように凸部が両側に突出したもの、(b)のように凸部が左右交互に片側だけに突出したもの、あるいはランダムに片側だけに突出したもの、さらにはこれらの組み合わせたものなど、長手方向に凹凸構造を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0015】
次に、本発明の凹凸織編地を構成する、凹凸構造を有する糸条の一例について説明する。
【0016】
本発明において、凹凸構造を有する糸条とは、インターレースやタスラン等の空気混繊により凸部がループ状に形成されたものではなく、リング撚糸機やトライツイスター等を用いて得られる凸部が塊状態の糸条が好ましい。
【0017】
図2に示す構造を有する糸条は、3本の糸からリング撚糸機により作られるリング糸であり、本発明における凹凸構造を有する糸条として好適なものである。この糸条は、芯糸1の周囲に、飾り糸2をオーバーフィード状態で撚回させて凹凸構造を形成し、さらに凸部を形成する飾り糸2を固定するため、押さえ糸3を、飾り糸2とは逆方向に撚回させて得られるものであり、この3本の糸から構成される複合糸を、凹凸構造を有する糸条として用いるものである。
【0018】
なお、芯糸1の周囲に飾り糸2を撚回させて凹凸構造を形成する際の飾り糸2のオーバーフィード率は20%以上が好ましく、より好ましくは30〜70%である。オーバーフィード率が20%未満では、前記した好ましい要件である凸部の幅Wを凹部の幅Dの1.5倍以上にすることが難しい場合がある。
【0019】
本発明の凹凸織編地を構成する、凹凸構造を有する糸条における凸部の数としては、前記(1)式のように1m中に200個以上であることが好ましく、500〜5000個/mであることがより好ましい。凸部の数が200個/m以上であると、生地にした際も表面に凸部が十分に存在し、特有の肌触り、風合い、そして清掃用途における操作性向上、汚れの掻き落とし効果を有するものが得られ、洗体用ボディタオルとして肌触りがよく、体の汚れや垢をよく落とす効果を有し、さらには凹凸構造による空隙により、石鹸等の界面活性剤使用時の泡立ちに優れた布帛が得られる。凸部の数が200個/m未満では、隣接する凸部間の距離が長すぎるため、生地にしても凹凸の出かたが少なく、汚れを掻き取る効果、さらにはその汚れを布帛中に保持する効果が不足したものとなり、平らな面上を拭く際の操作性や凹凸構造による汚れ掻き落とし効果が低下するため好ましくない。
【0020】
また、前記凹凸構造を有する糸条の総繊度としては、前記(2)式のように200dtex以上であり、1000dtex以下であることが好ましい。総繊度が200dtex未満では、凸部の幅Wが凹部の幅Dの1.5倍以上であっても、糸条が細すぎるため凸部、凹部ともに小さくなり、凸部を目視又は手触りで確認しづらく、生地にしても凹凸感が十分得られない。また、生地に厚みが得られず、ボリューム感に欠け、バスタオル等のタオル地の用途にしても吸水性・保水性に欠けたものになり、清掃用途で使用する際にも保水性能が低く、また拭き取る際の力が生地の拭き取り面全体に拡散されないため、汚れが拭き取り難くなる。
【0021】
さらに、前記凹凸構造を有する糸条において、凸部を構成する繊維(図2の飾り糸2)の単糸繊度は、前記(3)式のように1dtex以下であることが好ましく、0.001〜0.5dtexであることがより好ましい。凸部を構成する繊維として単糸繊度が1dtex以下の極細繊維を用いることで、細かい粒子による汚れや薄い油膜性の汚れの拭き取り性能が向上し、さらには、繊維間の空隙に起因する毛細管現象による吸水性の向上も期待でき、吸水性と保水性にも優れた性能も有しており、ボディタオルやタオル地、清掃用の布帛として好適な布帛が得られる。また、繊維間に細かい空隙ができるので、特にボディタオルやタオル地として用いる場合には、石鹸やボデイソープを用いる際にきめ細かな泡が得られ、洗顔時や体を洗う際に優れた洗浄効果を得ることができる。
【0022】
本発明の凹凸織編地を構成する、凹凸構造を有する糸条(図2の場合は芯糸、飾り糸、押さえ糸)を構成する素材は特に限定されるものではなく、綿等の天然繊維、合成繊維もしくはこれらを組み合わせたものが使用されるが、綿等の天然繊維を組み合わせた糸条は乾燥性が劣るため、夏場などの高温多湿状態になるとカビなどが発生する場合があって衛生面から好ましくなく、また、選択乾燥性も劣るため、合成繊維を組み合わせたものがこのましく使用される。
【0023】
合成繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオキシエトキシベンゾエート、ポリエチレンナフタレート、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリエステル、及びこれらのポリエステルに付加的部分としてさらにイソフタル酸等の酸成分、プロピレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールのようなジオール成分を共重合した共重合ポリエステルからなるポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン等のポリアミドからなるポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるポリオレフィン系繊維、アクリルニトリルからなるアクリル系繊維、さらにはポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の土壌中や水中に長時間放置すると微生物などの作用によって炭酸ガスと水に分解される脂肪族ポリエステル化合物からなる生分解性繊維等が挙げられる。
【0024】
合成繊維のラスターについては、ブライト、セミダル、フルダル等、酸化チタン等の添加物を繊維中に含有したものでもよいが、精密部品など傷が問題になる用途には、これらの含有量の少ないブライトもしくはこれらを含有していない純ブライトのものが好ましい。
【0025】
さらに、凹凸構造を有する糸条、特に凸部を構成する繊維(図2の飾り糸2)の単糸断面は、丸断面以外の異形断面が好ましい。この断面を異形にすることにより、生地表面にある凸部の繊維密度が大となり、かつ断面鋭角な角あるいは曲率半径の小さい角をもたせることにより、汚れなどをそぎ落とす効果が向上する。また、断面に凹部を有することで、拭き取った汚れの保持性がよくなり、再付着し難い等の効果があり、丸断面糸に比べて拭き取り性能を向上させることができる。
【0026】
異形断面形状としては、三角断面、四角断面、五角断面、扁平断面、楔形断面、あるいはアルファベットの各文字に類似したC型断面、H型断面、I型断面、W型断面等が挙げられる。異形断面糸を得る方法としては、溶融紡糸時に用いる口金の形状を異形にする方法、2種類以上のポリマーを複合紡糸して、染色加工時に分割することにより断面を異形にする方法等がある。
【0027】
本発明の凹凸織編地は、生地を構成する糸条の少なくとも30質量%が、長手方向に凹凸構造を有する糸条であり、このため、織編地の表面には、前記糸条の形態に由来する不規則で粒状の凹凸が存在する。そのため、従来にない独特の肌触りと風合いを有する。また、生地表面の凹凸により、凹凸のない平らな生地と比較してガラスやディスプレー等の表面の清掃操作がしやすくなり、さらには、凹凸構造が表面上の汚れを掻き落とす役目を果たすため、清掃効果に優れた生地となる。
【0028】
凹凸織編地における前記長手方向に凹凸構造を有する糸条の占める割合としては、30質量%以上であることが必要であり、50〜100質量%であることが好ましく、また、特にこの糸条が生地表面の30質量%以上を占めることが好ましい。すなわち、前記糸条からくる凹凸による独特の肌触りと風合いは及び拭き取り性能は、前記糸条の割合が多ければ多いほど強く出すことが可能である。
【0029】
前記糸条の割合が30質量%未満では、その肌触りと風合いの低下が著しい。また、拭き取り性能においても、凹凸構造によるガラスやディスプレー表面上における操作性向上の効果、凹凸構造による表面上の汚れを掻き取る効果、掻き取った汚れを布帛中に保持する効果のいずれもが低下する。
【0030】
本発明の凹凸織編地は、分光光度計により得られるオパンシテイ値(不透明度合い)を利用して算出される汚れ除去率において、1回目の拭き取りで好ましくは70%を超える高い拭き取り性能を有するものであることが好ましい。
【0031】
ここで、拭き取り性能の評価方法について説明する。
【0032】
まず、表面を純水洗浄した後にメタノール置換を行ったガラスプレートを用意し、分光光度計(マクベスCE−3100)によりオパンシテイ値[=不透明度合い](O)を測定する。次に、ガラスプレート表面(厚さ1mm)の半径1cmの範囲で汚染源として口紅を2mg塗布し、オパンシテイ値(O)を測定する。次いで、拭き取り面積7.07cm(半径1.5cm)の拭き取り荷重に生地を取り付け、拭き取り荷重14.1g/m、拭き取り速度3cm/秒の条件下で3度の拭き取り試験を実施し、各拭き取り後のオパンシテイ値(O、n=拭き取り回数)を測定して、下記数式により定義される汚れ除去率(%)を算出する。なお、一回の拭き取りごとに生地は新しいものに取り替える。
汚れ除去率(%)=(O−O)/(O−O)×100
なお、上記の汚れ除去率は、塗付されたガラスプレート上の汚染源を拭き取りに使用した生地が除去していく度合いを示すものであり、生地の拭き取り性能の定量的な尺度となる。本発明の目的を達成する上で、この汚れ除去率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0033】
凹凸織編地の組織としては、凹凸構造を有する糸条が生地の30質量%以上を占めるものであれば特に限定されるものではなく、織物としては平織り、平二重、経二重、ツイル等、編物としてはスムース、ポンチ等のような表裏組織に差がない組織を採用すると、清掃用途における作業性の観点から好ましい。
【実施例】
【0034】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0035】
なお、実施例における各物性値などの評価方法は、次のとおりである。
(1)織編地における凹凸構造を有する糸条の割合(質量%)
布帛を構成する糸条のうち、凹凸構造を有する糸条の質量を、全使用糸条の質量で除した値に100を掛けて算出する。
(2)凹凸構造を有する糸条における凸部の幅Wと凹部の幅Dの比(W/D)
糸条中の個々の凹凸がはっきり見える倍率まで拡大した顕微鏡写真(実施例1の糸条においては80倍)を撮影し、その写真上で図1における凸部の幅Wと凹部の幅Dを測定し、WをDで除して算出する。この作業を任意の5個所で繰り返し、その平均値を凸部の幅Wと凹部の幅Dの比とする。
(3)凹凸構造を有する糸条における凸部の数(個/m)
糸条の光学顕微鏡を用いて倍率20倍で写真撮影し、該写真上で糸条1cm間の凸部の数を数え、その値を100倍することで1m当たりの凸部の数とする。この作業を任意の5個所で繰り返し、その平均値を凸部の数とする。
(4)汚れ除去率(%)
前記のとおり。
(5)保水率(%)
生地を20cm×20cmに裁断したものを試験片として質量(W)を測定し、温度20±2℃、相対湿度65±2%に調温調湿された室内で、蒸留水中に10分間浸漬する。次いで、水中から取り出し、十分な高さで水平に支持された棒にピンで留めて広げた状態で吊るし、10分間放置した後に質量(W)を測定し、次式により保水率を算出する。
保水率(%)=(W−W)/W×100
(6)吸水率(%)
JIS−L1096(バイレック法)に準じ、10分間放置後の水の上昇した高さ(mm)を、経緯方向のそれぞれについて測定した。
(7)凹凸感
編物技術者、織物技術者、染色技術者からなるパネラー10人を選定し、目視、感触での官能検査によって、次の4段階評価を行った。
【0036】
◎:非常に良好 ○:良好 △:やや劣る ×:劣る
(実施例1)
図2に示すような凹凸構造を有する糸条を得るため、芯糸1と押さえ糸3としてそれぞれ83dtex/36fのポリエステル仮撚加工糸を用い、凸部用の飾り糸2として78dtex/48f(割繊後に単糸繊度が0.16dtex、フイラメント数が384本となる)のポリエステル割繊糸3本を500T/m(撚り方向S)で合撚した糸を用いた。リング撚糸機により、芯糸1に飾り糸2を撚数720T/m(撚り方向Z)、オーバーフィード率50%で巻付け、さらに飾り糸2を固定させるため押さえ糸3を撚数720T/m(撚り方向S)で撚り合わせ、2000個/mの凸部を有する535dtexの糸条を得た。
【0037】
このようにして得られた、長手方向に凹凸構造を有する糸条と、糸中の70質量%が割繊後に単糸繊度0.16dtex×768fとなるポリエステル割繊糸で構成される220dtex/120fの混繊糸とを経糸、緯糸共に1:1の配列で用いて経二重組織の生機を製織し、しかる後に通常の割繊処理を施して、経糸密度62本/2.54cm、緯糸密度85本/2.54cmの本発明の凹凸織編地を得た。
(参考例1)
糸中の70質量%が、割繊後に単糸繊度0.16dtex×384fとなるポリエステル割繊糸で構成された110dtex/60fの混繊糸を用いて鹿の子組織により凹凸感を発現する生機を製編し、しかる後に通常の割繊処理を施して、コース43本/2.54cm、ウエール58本/2.54cmの厚地織編地を得た。
(比較例1)
凹凸構造を有する糸条を用いず、156dtex/96fで割繊後に単糸繊度が0.16dtex×768fとなるポリエステル割繊糸を経緯に用いて平組織の生機を製織し、しかる後に通常の割繊処理を施して、経糸密度120本/2.54cm、緯糸密度64本/2.54cmの厚地織編地を得た。
(比較例2)
凹凸構造を有した糸条を用いず、84dtex/36f(単糸繊度2.33dtex)のポリエステル繊維を経緯に用いて平組織の生機を製織し、しかる後に通常の染色加工を施して、経糸密度170本/2.54cm、緯糸密度106本/2.54cmの薄地織編地を得た。
【0038】
実施例1、参考例1及び比較例1〜2で得られた糸条と織編地の物性及び評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1から明らかなように、実施例1の凹凸構造を有する糸条を用いて得られた凹凸織物は、参考例1及び比較例1〜2で得られた織編物に比較して凹凸感がはっきりと認められ、かつ保水性、吸水性において優れたものであった。さらに、拭き取り性に関しても高性能ワイピングクロスである参考例1に匹敵するものであった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の凹凸織編地を形成する凹凸構造を有する糸条のモデル図である。
【図2】本発明の凹凸織編地を形成する凹凸構造を有する糸条の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0042】
1 芯糸
2 飾り糸
3 押さえ糸
W 凸部の幅
D 凹部の幅


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地を構成する糸条の少なくとも30質量%が、長手方向に凹凸構造を有する糸条である織編地であって、前記糸条が下記式(1)〜(3)を満足することを特徴とする凹凸織編地。
≧200個/m…(1)
≧200dtex…(2)
≦1.0dtex…(3)
ただし、Aは1m当たりの凸部の数、Aは総繊度、Aは糸条中の凸部を構成する繊維の単糸繊度を表す。
【請求項2】
凹凸構造を有する糸条の凸部の幅Wが、芯部の幅Dの1.5倍以上であることを特徴とする請求項1記載の凹凸織編地。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−112001(P2006−112001A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300142(P2004−300142)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(399065497)ユニチカファイバー株式会社 (190)
【Fターム(参考)】