説明

凹凸補正化粧料

【課題】肌上の小皺や毛穴などの好ましくない凹凸を目立たなくする凹凸補正性能に優れ、また凹凸補正効果の持続性に優れた凹凸補正化粧料を提供する。
【解決手段】ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末を含有する凹凸補正化粧料である。上記ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の平均粒子径は1〜30μmが好ましい。また、上記ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の含有量は10〜95質量%が好ましい。また、上記ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末は、不定形が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌上の小皺や毛穴などの好ましくない凹凸を目立たなくするために有効な凹凸補正化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
肌上の凹凸を目立たなくするための凹凸補正化粧料には、従来から、粉体の光散乱特性を利用して、肌の凹凸をぼかしたり、見えにくくする方法が採用されている。このような方法には、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、二酸化ケイ素などの球状粉末、或いは球状粉末で被覆した板状粉体、もしくは特定の屈折率を持つ粉体等が用いられ、これらの粉体が持つ光散乱特性を利用して、化粧料の凹凸補正効果を向上している。例えば、平均粒子径1.0〜15.0μmのオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、揮発性シリコーン、及びシリコーン樹脂を配合したメーキャップ化粧料(特許文献1)、また、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合体、屈折率1.3〜1.5の粉体、シリコーン油及び水を含有する凹凸補正化粧料(特許文献2)が提案されている。
【0003】
また、デキストリン脂肪酸エステル、揮発性油分、屈折率が1.4〜1.6の油分、及び屈折率が1.3〜1.6であり、平均粒子径3〜30μmの球状粉末を含有する透明固形組成物(特許文献3)、雲母チタンと有機高分子微粒子からなる複合化板状粒子及び平均粒子径1〜20μmの球状粉体を含有するメークアップ化粧料(特許文献4)が提案されている。また、ポリエチレンナフタレート末を含有する、べたつきがなく、透明感に優れ、広い領域における紫外線の遮断効果を有する紫外線防御化粧料(特許文献5)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−319215号公報
【特許文献2】特開2002−322030号公報
【特許文献3】特開2005−213145号公報
【特許文献4】特開2005−263708号公報
【特許文献5】特開2007−269754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、肌上の小皺や毛穴などの好ましくない凹凸を目立たなくする凹凸補正効果に優れ、また凹凸補正効果の持続性にも優れた凹凸補正化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、屈折率が1.66であるポリエチレンナフタレートについて、これを粉砕して得たポリエチレンナフタレート微粉砕粉末が、付着性に優れ、入射光を様々な方向に拡散反射させるという光散乱性特性を示すことを見出し、また、これを配合した化粧料が、優れた凹凸補正効果を発揮し、その持続性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末を含有することを特徴とする凹凸補正化粧料である。また、上記ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の含有量は10〜95質量%が好ましく、平均粒子径は1〜30μmが好ましい。また、ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の形状は不定形が好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の凹凸補正化粧料は、ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末が凹凸補正効果を発揮するものであり、特に、目立つ毛穴(毛穴の上面の面積が0.1〜0.6mm程度の毛穴)に対する毛穴隠し効果に優れる。また本発明の凹凸補正化粧料は、化粧膜の密着性がよく、また凹凸補正効果の持続性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いるポリエチレンナフタレート微粉砕粉末は、パウダー、ペレット、フレークなどの形状のポリエチレンナフタレートを粉砕して得られる。殊に、ポリエチレンナフタレートの非晶質部分を溶解除去した、主として結晶質からなるポリエチレンナフタレートを粉砕して製造したポリエチレンナフタレート微粉砕粉末が好ましく用いられる。このポリエチレンナフタレート微粉砕粉末は、粉砕により微細な粉末にしたものであるから、粒子の形状が一定していない、すなわち不定形である。
【0010】
ポリエチレンナフタレートの粉砕は、例えば、次のようにして行う。ペレット状のポリエチレンナフタレートを、エチレングリコールと接触せしめ、その非晶質部分を溶出させ、多孔質状ポリエチレンナフタレートとなす。この多孔質状ポリエチレンナフタレートを洗浄、乾燥し、その後、ロッドミル、ボールミル、ハンマーミル、円盤型ミル、ジェットミルなどの粉砕機で微粉砕し、好ましくは平均粒子径1〜30μmに調整する。具体的には、特開2009−40806号公報に開示される方法で製造したものを用いることができる。
【0011】
ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の含有量は、好ましくは10〜95質量%(以下、「質量%」を「%」で表わす)、さらに好ましくは20〜50%である。含有量が10%未満では、凹凸補正効果が十分得られない場合があり、95%を超えると、メークアップ化粧料の場合は化粧効果が劣ることがある。ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の平均粒子径は1〜30μmが好ましく、さらに好ましくは5〜10μm、特に好ましくは6〜7μmである。ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の平均粒子径が1μm未満の場合、30μmを超える場合は、粉末の良好な感触、滑らかな使用感に劣ることがある。なお、この平均粒子径は、コールターカウンター(ベックマン・コールター株式会社製:サブミクロン粒子アナライザーN5)による測定値である。
【0012】
本発明の凹凸補正化粧料には、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、上記成分の他に、通常、化粧料に使用される成分、例えば、例えば、油剤、界面活性剤、アルコール類、水、ゲル化剤及び増粘剤、粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、保湿剤、美容成分、香料等を配合することができる。
【0013】
油剤としては、固形油、半固形油、液状油、揮発性油等が挙げられ、天然動植物油及び半合成油、炭化水素類、エステル類、グリセライド類、シリコーン類、高級アルコール類等が例示される。具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、トリイソステアリン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等のグリセライド類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン等のシリコーン類、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、モクロウ等の油脂類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。本発明の凹凸補正化粧料に、これらの油剤を配合する場合の配合量は、特に限定されないが、概ね0.1〜25%が好ましい。
【0014】
界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0015】
アルコール類としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール等の多価アルコール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0016】
水系の増粘剤、ゲル化剤としてはアラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系増粘剤、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等がある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【0017】
油ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物が挙げられる。
【0018】
粉体としては、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、カオリン、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、珪ソウ土、ヒドロキシアパタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、酸化鉄・酸化チタン被覆合成金雲母、魚燐箔、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体類、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機粉体類、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化ケイ素、酸化亜鉛含有二酸化ケイ素等の複合粉体等が挙げられ、これらを必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。これらの粉体はそのまま使用してもよいが、2種以上の粉体を複合化したものを用いてもよく、油剤、シリコーン化合物、フッ素化合物、リン脂質等で表面処理を施してもよい。
【0019】
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリアニリノ−パラ−(カルボ−2'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン等のベンゾフェノン系、サリチル酸−2−エチルヘキシル等のサリチル酸系、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のPABA系、パラメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル等の桂皮酸系、4−tert−4'−メトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0020】
本発明の凹凸補正化粧料の具体的な形態としては、粉末化粧料、油性化粧料、水中油型または油中水型等の乳化化粧料などが挙げられ、特に限定されないが、本発明の効果をより顕著に発揮するという観点で、粉末化粧料が好ましい。ここでいう粉末化粧料とは、粉体を主成分とし、粉末状、もしくは、これを公知の方法により成型して固形状にした化粧料のことであり、固形状のものは、粉体に油剤等を分散させた組成物を、皿等の容器に充填しプレスする圧縮成形法や、溶媒を用いる湿式充填法(いわゆるスラリー充填法等)等により固形状に成形した化粧料である。用途としては、凹凸補正効果を期待できる化粧料、例えば、ファンデーション、白粉、コンシーラー、化粧下地等に適用することができる。
【実施例】
【0021】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
製造例1:ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末
ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(TN−08060 帝人化成社製)60重量部とエチレングリコール90重量部を窒素雰囲気下の反応装置に投入し、温度198℃、常圧下、4時間で反応させた。反応終了後のポリエチレンナフタレンジカルボキシレートと、エチレングリコールを主たる成分とする液相を、85℃まで冷却した後、20メッシュのフィルターを用いて濾別した。濾別したポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを180重量部のエチレングリコールで濯いだ。その後、85℃の水90重量部に浸漬し15分間撹拌洗浄した。この水洗浄を4回繰り返した後、真空乾燥機により圧力500Pa、180℃で10時間かけて乾燥した。得られたポリエチレンナフタレンジカルボキシレートをジェットミル(セイシン企業社製)により粉砕し、平均粒径6.2μmの微粉砕粉末を得た。
【0022】
実施例1〜3及び比較例1〜5:固形パウダーファンデーション
表1に示す成分を用いて、下記の製造方法により固形パウダーファンデーションを製造した。そして、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」及び「化粧膜の均一性」を、下記の官能評価法で評価した。また、下記の測定方法で「目立つ毛穴」の総数を実測した。それらの結果を併せて表1に示した。
【0023】
【表1】

【0024】
(製造方法)
A.成分(1)〜(14)をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一に分散する。
B.成分(15)〜(17)を均一に混合する。
C.Aをヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、Bを添加し、均一に混合する。
D.Cをパルベライザーにて粉砕する。
E.Dを金皿に充填、圧縮成形し、固形パウダーファンデーションを得た。
【0025】
(官能評価方法)
専門パネル員20名により、前記製造方法で得られた各パウダーファンデーションを顔に使用し、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」及び「化粧膜の均一性」について、パネル各人が下記絶対評価にて6段階に評価し評点を付け、パウダーファンデーションごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
[絶対評価基準]
(評点): (評価)
6点 : 非常に良好
5点 : 良好
4点 : やや良好
3点 : 普通
2点 : やや不良
1点 : 不良
[4段階判定基準]
(判定):(評点の平均値):(評価)
◎ :5点を超える:非常に良好
○ :3点を超え5点以下:良好
△ :1点を超え3点以下:やや不良
× :1点以下:不良
【0026】
(測定方法)
専門パネルから1名を選び、Skin Analyzer Clinical Suite RSA−100(インフォワード社製)を用いて、顔全体の「目立つ毛穴」の総数を実測し、未塗布の値とした。ここでいう「目立つ毛穴」とは、前記装置でモノクロ写真を撮影し、このモノクロ画像中で、周辺部位に比べて「やや暗い部分」と「暗い部分」として縁辺を検出できる対象物(毛穴)のうち、丸みを帯びていて、かつ大きさ(毛穴上面の面積)が0.1〜0.6mmの連続した領域を検出し、これを「目立つ毛穴」と称した。次に、実施例2及び比較例1〜4の各パウダーファンデーションを顔の素肌に塗布し、同じく顔全体の「目立つ毛穴」の総数を実測し、塗布後の値とした。更に、塗布後4時間経過後に、同じく顔全体の「目立つ毛穴」の総数を実測した。
【0027】
表1から明らかなように、本発明のポリエチレンナフタレート微粉砕粉末を配合した実施例1〜3は、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」及び「化粧膜の均一性」が、いずれも非常に良好であった。これに対し、ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の代わりに他の球状粒子を配合した比較例1〜4は、いずれも、「毛穴隠し効果」及び「毛穴隠し効果の持続性」が劣っていた。また、ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末に代えてタルクを配合した比較例5は、いずれも、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」及び「化粧膜の均一性」が劣っていた。また、「目立つ毛穴」の実測値から考察される「毛穴隠し効果」及び「毛穴隠し効果の持続性」の評価も、上記官能評価と一致していた。
【0028】
実施例4:白粉(粉末状)
(成分) (%)
1.水素添加リン脂質1%処理雲母(注6) 残量
2.水素添加リン脂質1%処理合成金雲母(注6) 10.0
3.製造例1のポリエチレンナフタレート微粉砕粉末 30.0
4.水素添加リン脂質1%処理タルク(注6) 30.0
5.雲母チタン 10.0
6.香料 0.01
注6:ニッコールレシノールS−10EZ(PC純度約65% 日光ケミカルズ社製)処理
【0029】
(製造方法)
A:1〜6をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一分散する。
B:Aをパルベライザーにて粉砕し、容器に充填する。
(結果)
得られた白粉は、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」が非常に良好で、「化粧膜の均一性」にも優れていた。
【0030】
実施例5:フェイスカラー(固形粉末状)
(成分) (%)
1.マイカ 2.0
2.合成金マイカ 20.0
3.タルク 残量
4.酸化チタン 0.5
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
6.製造例1のポリエチレンナフタレート微粉砕粉末 20.0
7.トリイソオクタン酸グリセリル 5.0
8.ワセリン 0.5
9.香料 0.01
【0031】
(製造方法)
A.成分1〜6をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一分散する。
B.成分7〜9を均一分散する。
C.Aをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、Bを添加し、均一混合する。
D.Cをパルベライザーで粉砕する。
E.Dを樹脂皿に充填し、圧縮成型する。
(結果)
得られたフェイスカラーは、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」が非常に良好で、「化粧膜の均一性」にも優れていた。
【0032】
実施例6:コンシーラー(固形粉末状)
(成分) (%)
1.水素添加リン脂質2%処理合成金マイカ(注7) 20.0
2.酸化チタン 20.0
3.タルク 残量
4.赤色226 0.1
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
6.製造例1のポリエチレンナフタレート微粉砕粉末 20.0
7.2−エチルへキサン酸グリセリル 5.0
8.流動パラフィン 2.0
9.ジメチルポリシロキサン(10cs) 2.0
10.ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(注8) 2.0
11.香料 0.1
注7:ベイシスLS−60HR(PC純度約57% 日清オイリオグループ社製)処理
注8:コスモール168ARNV(日清オイリオグループ社製)
【0033】
(製造方法)
A.成分1〜6をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一分散する。
B.成分7〜11を均一分散する。
C.Aをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、Bを添加し、均一混合する。
D.Cをパルベライザーで粉砕する。
E.Dを樹脂皿に充填し、圧縮成型する。
(結果)
得られたコンシーラーは、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」が非常に良好で、「化粧膜の均一性」にも優れていた。
【0034】
実施例7:ファンデーション(固形粉末状)
(成分) (%)
1.パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン3%
処理酸化チタン(注9) 10.0
2.パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン3%
処理タルク(注9) 20.0
3.パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン3%
処理セリサイト(注9) 残量
4.セリサイト 10.0
5.製造例1のポリエチレンンフタレート微粉砕粉末 10.0
6.ベンガラ 0.5
7.黄酸化鉄 2.0
8.黒酸化鉄 0.2
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
10.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(注10) 0.5
11.流動パラフィン 10.0
12.ワセリン 3.0
注9:FHS処理(大東化成工業社製)
注10:ルーセンタイトSAN(コープケミカル社製)
【0035】
(製造方法)
A.成分1〜9をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一分散する。
B.成分10〜12を均一分散する。
C.Aをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、Bを添加し、均一混合する。
D.Cをパルベライザーで粉砕する。
E.前記組成物100部に対して、揮発性溶剤(IPソルベント1620(出光興産社製))65部を添加し、混合してスラリー状にする。
F.Eを金皿に圧縮充填し、70℃にて一昼夜乾燥し、揮発性溶剤を除去する。
(結果)
得られたファンデーションは、「毛穴隠し効果」、「毛穴隠し効果の持続性」が非常に良好で、「化粧膜の均一性」にも優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末を含有することを特徴とする凹凸補正化粧料。
【請求項2】
ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の含有量が10〜95質量%である請求項1に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項3】
ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の平均粒子径が1〜30μmである請求項1又は2に記載の凹凸補正化粧料。
【請求項4】
ポリエチレンナフタレート微粉砕粉末の形状が不定形である請求項1〜3のいずれかに記載の凹凸補正化粧料。

【公開番号】特開2011−225556(P2011−225556A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77847(P2011−77847)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】