説明

凹形状部および/または凸形状部を含む記憶ディスク

【課題】磁気記憶ドライブにおいて、ディスク上のピットによる望ましくない影響および熱の発生を低減すること。
【解決手段】本発明によれるデータ記憶ディスクは、凹形状部(215)または凸形状部を含み得る。これら形状部は、種々の材料(630)で充填すること、および/または研磨することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、記憶媒体に関するものであり、特に凹形状部および/または凸形状部を使用した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
回転記憶媒体上にデータを記憶するには、媒体の表面の一部に記録される位置検知情報が必要であり、それによってデータは媒体を用いて正確にアクセスされ得る。従来技術のデバイスでは、この位置検知情報をコード化および記憶するために、種々の方法を用いてきた。
【0003】
従来のウィンチェスター磁気記憶システムは、この目的のために、薄膜媒体表面に記録された磁気信号を用いている。通常、位置検知情報は、サーボ書込みとして知られる工程中にその表面にデータを書き込むために用いるシステム装置と同じシステム装置によって記録される。位置検知情報は、トラックの識別と位置情報とを供給するために、外部サーボ書込み装置によって媒体上に記録される。その後、この位置検知情報は書込みプロセスおよび読出し工程中に使用されて、これらの工程中に浮揚ヘッドを正確に位置決めする。データは、通常、一連の同心トラック内に配置される。各トラックは多数のセクター(領域)からなり、各セクターは複数の2進データを含む。位置検知情報は、一枚のディスク記憶媒体の各記録面上に一度に記録されるので、サーボ書込み処理を完了するのに必要な時間は、ディスク、セクター、およびトラックの全数が増えるにつれて長くなる。
【0004】
例えば、CD等の光学ディスクを用いた光学データ記憶システムの場合、ディスクの反射する光から入手した回折情報を位置検知情報の供給のために利用することができる。
【0005】
他の光学データ記憶システムでは、エンボシング・プロセス(型押し処理)を用いることができる。この場合に、サーボ・セクター情報は、光学リソグラフィ・システムを用いて書き込むことができる。金属の型の表面上に一連のピットを形成および複製することができる。このパターンの正確なコピーを有する多数のプラスチック・ディスクを射出成形プロセスによって製造することができる。成形動作は高速で安価であるので、安価なプロセスで全ディスク面上に完全なサーボ情報が記録され、ディスク上に個々のセクター情報を書き込む必要をなくしている。
【0006】
このような光学システム装置では、通常、ピットは、目的とする使用の際に適切に作用するように、非常に厳格な寸法上の許容公差を守る必要がある。例えば、ピットの深さは、非常に微小な、例えば650ナノメートルの光の波長の1/4といった、使用する光の波長の特定の値に制御されていなければならない。観測されるサーボ信号は、複数のピットから反射した光の間で生じる破壊干渉によるものであり、このためピットの深さが変化すると反射した光学的信号の大きさも変化する。信号を発生させるために干渉を用いているので、スポットのサイズが横方向に有意に変化すると、隣接するピットの縁部を事実上オーバーラップさせ、サーボ信号の大きさを小さくし、その形を歪ませる。それ故、ピット内に汚染物質が蓄積すると、反射信号の振幅を小さくする。また、ピットはディスクの平滑性を損ね、そのため媒体の表面付近を飛ぶようにされたヘッドに対しては、ヘッドの飛行性能に問題を引き起こす。
【0007】
磁気技術と光学技術と結合することが可能であり、その場合に光学系は光を伝達するために使用されて、記憶ディスク上のデータの熱的に補助された記録および読み出しを提供する。このタイプの磁気光学システムでも、前記のように、サーボ・トラッキング(サーボ制御された追跡)のためにピットが形成されてもよい。しかしながら記憶ディスクへ光を当てることは、記憶ディスク内に不必要な熱的影響を引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、従来技術の磁気記憶ドライブでは、ピットの望ましくない影響および熱の発生を低減する方法および装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、関連する読出し/書込みヘッドの、光学通路における光学系、エレクトロニクス、および/または質量および複雑さを軽減しながら、データ・ディスク・ドライブの記憶容量を向上する。このシステムは、データの書込みおよび読出し動作中に、データ・ディスクをサーボ・トラックし、データ・ディスクを加熱するために、光学素子、および実際の書込みおよび読出しのための誘導および磁気素子によって伝達される光を使用する。
【0010】
データ記憶ディスクは、種々の材料で充填し、および/または研磨することができる凹形状部および/または凸形状部を含むことができる。このようにして、データ・ディスク面に非常に近接して、空力的に浮揚状態に維持されている読出し/書込みヘッドに対して平滑な面が供給される。平滑な面を供給することにより、汚染物質の蓄積を低減または根絶することができる。凹形状部および/または凸形状部から反射した光学信号を大きな振幅で供給することができるように、充填材料は光を反射するようにすることができる。凹形状部および/または凸形状部を充填するために使用した材料からの光の反射は、セクターの識別およびトラックの追跡のために使用することができる。さらに、凹形状部および/または凸形状部は、これらの部分が配置されるデータ・ディスクの半径に比例する反射領域を供給するように形成することができる。従って、反射した光学的信号の周波数内容および/または振幅の変化は、データ・ディスクの半径全体にわたって最小化されている。
【0011】
本発明の場合には、データ記憶ディスクは、さらに、データ記憶ディスクを含むデータ・トラックの間に配置されている一組の溝および/またはメサ(mesa)を含むことができる。データ・トラックに沿ってデータを記憶するために使用されるデータ領域マークの形状がトラックの方向を横切る方向に限定され且つ好適な長方形または正方形をより正確に規定するように、データ・ディスクに当てられた光の影響を熱的に伝達し且つ方向づけるために、前記溝および/またはメサを使用することができる。従って、記憶密度およびSNRは改善する。溝および/またはメサも充填材料で充填することができる。
【0012】
本発明は、凹形状部または凸形状部のマスタ・パターンの形成と、その後で行われるディスク基板への該パターンの転写を含む。前記基板の頂面には、比較的硬質の層の上に少なくとも一つの犠牲層が形成される。犠牲層という用語は、その層が、制御されたプレーナ・ステップ(平坦化段階)において、比較的容易にエッチングすることができること、また他の方法で除去することができることを意味する。硬質の層という用語は、その層が比較的研磨またはエッチングしにくいことを意味する。データ記憶層は、この硬質の層として機能する。
【0013】
例えば、磁気光学設計の場合には、記録スタックは、窒化シリコンの頂層、および二酸化シリコンの頂層の両方を備えることができる。この場合、二酸化シリコン層は、窒化シリコンの硬質の層が、プロセスの終了時に必ず残留するようにするための犠牲層として機能する。別の方法としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金の層を形成することもできる。この場合、アルミニウム・プラグは、(エンボシングによるサーボ情報により形成された)凹形状部または凸形状部を、二酸化シリコン、窒化シリコン、または類似のそのダイ電気層の隣接する層のどれよりも高くなるように充填する。アルミニウムの研磨速度は、二酸化シリコンの研磨速度より遥かに速いので、平らな面と等しいか、または若干低いレベルまで、エッチングまたは他の方法により除去することができる。この場合、二酸化シリコン、二酸化シリコン層は、過度の研磨レベルより少し低いレベルにすることができる。それ故、好適には、窒化シリコン層が保護され、二酸化シリコン層の一部が残り、一部が除去されることが好ましく、ピットを充填しているアルミニウム金属は、二酸化シリコンの非常に平らな頂面とほぼ同じ高さに隆起する。
【0014】
十分な選択性により、適当な選択的除去プロセスを行うことができるのであれば、別の充填材料を類似のプロセスで使用することができる。この例の場合、アルミニウムは、犠牲層として機能する。シリコンの背面は、硬質の層として効果的に機能し、もっとゆっくりと除去される。他の実施形態の場合には、二酸化シリコン層を省略することができる。この場合、窒化シリコン層が、硬質の層として機能する。従来の磁気記録ディスクの場合には、凹形状部または凸形状部は、アルミニウム、ガラス、またはポリアミドのようなポリマ(重合体)といった非磁気材料、またはもっと高いか、または低い透磁性、飽和保磁力または磁化率を持つ磁気材料で充填して平滑に研磨することができる。この充填材料もまた、磁気記録ディスクの基本的な硬質の材料に対する、その除去可能な選択性に基づいて選択される。
【0015】
本発明は、記憶ディスクと、少なくとも1つの層状第1材料と、層状第2材料と、層状第3材料とを備えることができる。この記憶ディスクは、基板を有する。この基板は、頂面と底面を備える。この頂面および底面は、凸状表面部分および凹表面状部分によって規定されている。この頂面の凸状表面部分および底面の凸状表面部分は、実質的に互いに平行な面に沿って配置されている。凹状表面部分は、前記平面の間に位置している。前記少なくとも1つの層状第1材料は、頂面と底面を備える。少なくとも1つの層状第1材料の底面は、凸状表面部分および凹状表面部分の上に位置している。前記少なくとも1つの層状第1材料の頂面は、凸状表面部分および凹状表面部分の上に位置していて、前記部分の上に延びている。前記層状第2材料は、頂面と底面を備える。層状第2材料の底面は、少なくとも2つの層状第1材料の頂面の上、および凹状表面部分の上に位置している。前記層状第2材料の頂面は、凸状表面部分および凹状表面部分の上に位置している。層状第3材料について説明すると、この層状第3材料は、頂面と底面を備える。層状第3材料の底面は、層状第2材料の頂面の上、および凹状表面部分の上に位置している。層状第3材料の頂面は、層状第2材料の頂面の高さに位置している。層状第3材料は、金属材料、ポリマ材料、または透明な材料を含むことができる。本発明の場合には、好適には、記憶ディスクは、最上(一番上の)層と最下(一番下の)層とを含むことが好ましい。この場合、一番上の層および一番下の層は、その全表面にわたってほぼ平らである。少なくとも1つの層状第1材料は、記憶層と読出し層を含むことができる。少なくとも1つの層状第1材料は、磁気材料を含むことができる。凸状表面部分および凹状表面部分は、サーボ・パターンを含むことができる。記憶ディスクは、複数のデータ・トラックを含むことができる。この場合、凸形状部は、メサまたは溝を備え、メサまたは溝は、複数のデータ・トラックの間に位置している。
【0016】
本発明は、ディスク基板を有するディスク・ドライブと、充填材料とを含むことができる。ディスク基板は表面を備える。前記表面は、凸形状部および凹形状部を備える。前記凸形状部は一番上の高さ位置(レベル)を含む。充填材料は、凹形状部において、凸形状部の一番高いレベルと等しいレベルに充填される。前記ディスク・ドライブは、さらに、光源を含むことができる。この場合、光は、前記基板からの光の反射により、前記光源とディスク基板との間の光学通路に沿って伝播する。凸形状部および凹形状部は、サーボ・パターンを含むことができる。この場合、光は、サーボ・パターンから反射される。ディスク・ドライブは、さらに、記憶層および光源を含むことができる。この場合、光は、光源とディスク基板との間の光学通路に沿って伝播して記憶層を加熱する。
【0017】
本発明は、ディスク基板を含む記憶ディスクを備えることができる。前記ディスク基板は表面を備える。該表面は、複数のサーボ・パターンを備える。このサーボ・パターンは、サーボ・パターンが位置するディスク基板の半径に比例する寸法を持つ。
【0018】
凸形状部および凹形状部を含む記憶ディスク基板を使用する方法は、以下のステップを含む。すなわち、凸形状部および凹形状部を持つように前記基板を形成するステップと、前記凹形状部が、前記エッチング停止面とほぼ等しいか、またはそれより高い位置まで充填されるように、充填材料をエッチング停止面上に十分な厚さに形成するステップと、前記充填材料と前記エッチング停止面からなるほぼ平らな面を残すように、前記エッチング停止面を少し除去するか、または全然除去することなく、前記エッチング停止面上の前記充填材料を除去するように、前記充填材料を差動的に除去するステップである。
【0019】
前記方法は、さらに、充填材料層を形成する前に、エッチング停止面の上に犠牲層を形成するステップを含む。 この場合、エッチング・ステップにより、充填材料および犠牲層は、ほぼエッチングされ、エッチング停止面と充填材料からなるほぼ平らな面が残る。エッチング停止面は、窒化シリコンを含むことができ、犠牲層は、二酸化シリコンを含む。
【0020】
本発明は、ディスク基板を含む記憶ディスクを備えることができる。前記ディスク基板は表面を備える。前記表面は、凸形状部と凹形状部を含む。前記凸形状部は一番上のレベルを備える。本発明は、また、凹形状部を凸形状部の一番高いレベルとほぼ等しいレベルまで高くするためのディスク基板水準調整装置も備える。
【0021】
当業者であれば、本発明の下記の説明を読めば、本発明の他の特徴および利点を理解することができるだろう。本発明は、本明細書に開示する特定の実施形態またはその任意の同等物に制限されない。何故なら、本明細書に記載した通り、本発明は、この時点で、既知および未知の多数の方法の中の任意の方法により使用することができるからである。
【実施例】
【0022】
本発明は、関連する読出し/書込みヘッドの光学的経路の光学系、エレクトロニクスおよび/または質量および複雑さを軽減する一方で、データ・ディスク・ドライブの記憶容量を向上する。このシステムは、データの書込みおよび読出し動作中に、データ・ディスクをサーボ・トラックし、データ・ディスクを加熱するために、光学的素子が伝達する光、および実際の書込みおよび読出しのための誘導および磁気素子が伝達する光を使用する。
【0023】
データ記憶ディスクは、種々の材料で充填され、および/または研磨することができる凹形状部および/または凸形状部を含むことができる。このようにして、データ・ディスク面に非常に近接して、空力的に浮揚状態に維持されている読出し/書込みヘッドに対して平滑な面が供給される。平滑な面を供給することにより、汚染物質の蓄積を低減または根絶することができる。凹形状部および/または凸形状部から反射した光学的信号を大きな振幅で供給することができるように、充填材料を光を反射するようにすることができる。凹形状部および/または凸形状部を充填するために使用した材料からの光の反射は、セクター識別およびトラック追跡のために使用することができる。さらに、凹形状部および/または凸形状部は、これらのパターンが配置されるデータ・ディスクの半径に比例する反射領域を供給するように形成することができる。従って、反射した光学的信号の周波数内容および/または振幅の変化を、データ・ディスクの半径全体にわたって、最小化することができる。
【0024】
本発明の場合には、データ記憶ディスクは、さらに、データ記憶ディスクを含むデータ・トラックの間に配置されている一組の溝および/またはメサを含むことができる。データ・トラックに沿って、データを記憶するために使用するデータ領域マークの形状が、トラックの方向を横切る方向に限定され、好適な長方形または正方形にもっと正確に一致するように、熱により溝を形成し、データ・ディスクに当てられた光の効果を方向づける目的で、前記溝および/またはメサを使用することができる。従って、記憶密度およびSNRは改善する。溝および/またはメサも充填材料で充填することができる。
【0025】
本発明は、本願に開示する特定の実施形態またはその任意の同等物に制限されない。何故なら、本明細書に記載した通り、本発明は、この時点で、既知および未知の多数の方法の中の任意の方法により使用することができるからである。
【0026】
図1について説明すると、この図は、本発明の一部として内蔵されているデータ記憶システムの基本素子である。図1は、少なくとも1つの回転データ記憶ディスク107上の、複数の半径方向に間隔を持つ、同心で円形のデータ・トラック103へデータの書き込みを行い、また前記トラックからデータの読出しを行うための、浮揚読出し/書込みヘッド106を移動させるアクチュエータ組立体120を備える記憶システム100である。
【0027】
図2aについて説明すると、この図は、本発明のディスクのより詳細な図面である。本発明のある実施形態を説明するために、ディスク107の特定のデータ構造を説明する。
【0028】
ディスク107の円周は、中心から、隣接して外側に向かって延びる、複数の、均一で、円周方向に間隔を持つ楔形のサーボ・セクター212に分割される。
【0029】
対応する複数の楔形で間隔を持つデータ・セクター216が、サーボ・セクター212の各組の間に、円周方向に隣接して配置されている。データ・セクター216は、ディスク107の上に情報を記憶するために使用される磁気領域281からなる複数のデータ・ビット(マーク)を含む。磁気データ領域281マークは、データ・トラック103に沿って一定の直線間隔で分離している。データ・トラック103は、公称の一定の半径方向のデータ・トラック・ピッチTpにより、半径方向に間隔をおいて配置されている。
【0030】
図1から図4a〜fを参照しながら、本発明のデータ記憶システムについて説明する。図1から図4a〜fは、サーボ・セクター212を読み出すための光学的素子、およびデータ・セクター216へデータを書き込み、データ・セクター216からデータ・ビットを読み出すための、光学的、誘導性の、磁気素子を備える、例示としての記憶システム100の全体の構造を示す。
【0031】
図1を見れば分かるように、システム100は、一組の両面ディスク107と一緒に使用することができる一組の浮揚ヘッド106を含む。1つの浮揚ヘッド106は、ディスク107の各面用である。ヘッド106は、サスペンション130およびアクチュエータ・アーム105により、回転アクチュエータ・マグネットおよびコイル組立体120に接続していて、それにより、前記ヘッドは、ディスク107の面上に位置する。動作中、ディスク107は、浮揚ヘッド106と回転ディスク107との間に空力浮揚力を発生するために、スピンドル・モータにより回転する。空力は、各浮揚ヘッド106を、各ディスク107の面上で浮揚状態に維持する。浮揚力は、サスペンション130が供給する、等しくて、方向が反対のスプリングの力により対向している。動作していない場合には、各浮揚ヘッド106は、ディスク107の面から離れて、通常、ディスク107の面から離れている傾斜面(図示せず)上に、保管状態で静止している。
【0032】
システム100は、さらに、レーザ光学系組立体101、光学的スイッチ104、および一組の光ファイバ102を含む。光ファイバ102の各組は、一組のアクチュエータ・アーム105およびサスペンション130のそれぞれに沿って一組の各浮揚ヘッド106に接続している。
【0033】
レーザ光学系組立体101は、当業者であれば周知のタイプのダイオード・レーザ源131を含む。前記レーザ光学系組立体101は、出力レーザ・ビーム191をレーザ源131から光学的スイッチ104の方向に向ける。レーザ光学系組立体101は、反射したレーザ・ビーム192を受信し、信号149として出力するために前記信号を処理する。
【0034】
図3について説明すると、この図は、システム100の代表的な光学通路のより詳細な図面である。好適な実施形態の場合には、代表的な光学通路は、光学的スイッチ104、一組の光ファイバ102の一方、および一組の浮揚ヘッド106の一方を含む。光学的スイッチ104は、出力レーザ・ビーム191を光ファイバ102の近い方の各端部の方向に向けるのに十分な選択性を供給する。出力レーザ・ビーム191は、光ファイバ102により、浮揚ヘッド106を各ディスク107上に沿って通過させるために、遠い方の各端部から出るような方向に向ける。
【0035】
前記光学通路は、本来二方向性のものである。従って、反射したレーザ・ビーム192は、浮揚ヘッド106を通して、光ファイバ102の遠い方の端部の方向に向けられる。反射したレーザ・ビーム192は、光ファイバ102に沿って伝播し、その近い方の端部から出て、光学的スイッチ104により、選択的に転送され、レーザ光学系組立体101に送られ、その後で、サーボ・セクター212内に埋設されているサーボ情報を表わす信号に変換される。
【0036】
図2bについて説明すると、この図は、通常のサーボ・セクターである。図2bは、通常のサーボ・セクター212の一部を拡大したものである。以下に、サーボ・セクター212を含む選択的にアクセス情報に、出力レーザ・ビーム191を供給する理由を簡単に説明する。サーボ・セクター212は、ディスク107のデータ・セクター216内のデータにアクセスすることができるようにする座標参照システムを含むコード化したサーボ情報を含む。好適な実施形態の場合には、各サーボ・セクター212を接続しているデータ・トラック103は、三種類のコード化された情報、すなわち、サーボ・タイミング・マーク(STM)217、データ・トラック・アドレス・マーク232、および精密円周位置エラー信号(PES)サーボ・バースト・マーク252を含む。以下に説明するように、サーボ・セクター212は、ディスク107を含む基板245(図2c)の表面上にエンボスすることもできるし、凹形状部または凸形状部を含むように他の方法で形成することもできる。ディスク107のエンボシングおよび/または成形は、製造およびコストの点で有利であると思われている。ディスクを形成することができる材料のタイプは、当業者であれば周知のように、多数の刊行物に記載されている。
【0037】
ある実施形態の場合には、サーボ情報は、凸形状部と凹形状部との組合せを含む。この場合、図の代表的な凹形状部をピット215で示す。他の実施形態の場合には、ピット215が供給する機能は、凸形状部により供給することができることを理解されたい。さらに、図では、ピット215は細長い形をしているが、ピット215は、例えば、円形または類似の形のような他の形をとることができることを理解されたい。好適な実施形態の場合には、ピット215は、複数のマスタ・トラック210m、210m+1、210m+2……の中のいくつかのトラックに沿って書き込まれる。マスタ・トラックは、同心的に配置され、中心をもち、間隔が等しく、トラック・ピッチTp/2により分離している。この場合、データ・トラック103は、複数のマスタ・トラックを1つおきに含む。
【0038】
サーボ・タイミング・マークは、外径から内径に書き込まれたピット215の第1のパターンを含み、連続している半径方向のラインを形成するために、マスタ・トラック210m、210m+1、210m+2……の中のあるものを含む。ディスク・ドライブ100のディスク・ドライブ制御システム(DDCS)は、第1のパターンを検出する度に、サーボ・セクター212の開始をマークしている第1のパターンを認識するように構成することができる。
【0039】
好適な実施形態の場合には、データ・トラック・アドレス・マーク232は、個々のピット215の第2のパターンを含む。第2のパターンは、DDCSにより解読され、特定のデータ・トラック103を識別するためのアドレス・ポインタとして使用することができる。
【0040】
好適な実施形態の場合には、位置エラー・マーク252は、個々のピット215の第3のパターンを含む。第3のパターンは四つの同心的に配置されている、セグメント211、212、213、214を含む。第3のパターンは、当業者であれば周知のようにトラック探索およびその後のプロセス中に、特定のデータ・トラック103上で、読出し/書込みヘッド106の位置を調整するために、位置エラー信号を入手するために使用される。
【0041】
各ピット215は、制御される3つの寸法、すなわち、半径方向のピット幅(erpw)、円周方向のピット幅(ecpw)およびピットの深さ(epd)を特徴とする。ピットの位置および大きさを制御し均一にすると、適当な制御アルゴリズムにより、ユーザが記録したデータの変動を補償するために、DDCSに対するバイアスが確立される。
【0042】
本発明のサーボ・セクター212は、自動利得制御フィールド(AGC)を使用することもできるし、使用しないこともできる。好適には、サーボ・セクターのサイズを最も小さくするか、または同じように、データ・セクター216の記憶容量を増大するために、AGCフィールドは使用しないことが好ましい。
【0043】
従来技術の場合には、ディスクの特定のデータ・トラック上にヘッドの位置を維持するために、回折情報を使用することができた。しかし、光ファイバを使用するシステムにおいては、回折情報は、光ファイバの光学的特性により、非常に大きく劣化する場合がある。本発明は、代わりに、ピット215からの反射率情報を使用する。ピット215は、ビームの振幅が、ディスク107から反射した光に比例して変化するように、反射したレーザ・ビーム192と打ち消し合うように干渉する。振幅の変化は、反射したレーザ・ビーム192内で起こり、信号149として出力するために、レーザ光学系組立体100上で、周知の光学的および電気的検出技術により合計される。信号149は、ディスク107上のヘッド106の位置を維持するために、位置エラー信号(PES)として使用される。もちろん、光ファイバを使用しないシステムの場合には、データ・ディスクからの回折情報は、サーボ・トラッキング用に使用することができる。それ故、本発明は、ピット215に限定されずに、ピットの代わりに、例えば、溝等のような、他のサーボ・トラッキング・パターンからの回折情報を使用することもできる。
【0044】
図4a〜nについて説明すると、これらの図は、本発明のヘッドの種々の図面である。図4a〜gの場合には、浮揚ヘッド106は、一組のディスク107の一方の記録/記憶層355上で使用されている。浮揚ヘッド106は、スライダ本体444、空気支持面447、反射性基板400、および対物光学系446を含む。スライダ本体444は、対物光学系446、光ファイバ102、および反射性基板400との間の作業距離を収容できる大きさを持つ。反射性基板400は、例えば、精密トラッキングのために、レーザ・ビーム191、192をディスク107へ、またはディスク107から向けるように整合している反射面を含むことができる。ある実施形態の場合には、反射性基板は、共通譲渡の1997年4月18日付の、「改良形の表面をミクロ機械加工したミラーを有するデータ記憶システム(Data Strage System Having An Improved Surface Micro−Machined Mirror)」という名称の、米国特許出願第08/844,207号に記載してあるような、ミクロ機械加工したミラーを備えることができる。前記米国特許出願は、引用によって本明細書の記載に援用する。好適な実施形態の場合には、反射性基板400は、(見ることができる部分に対向する、操作可能なミクロ機械加工したミラー組立体の、一方の側面上の反射性中央ミラー部分を表わす鎖線により、図4a内に示す)小型の(ある実施形態の場合には、300平方ミクロン以下の)操作可能な反射性中央ミラー部分420を含む。ミクロ機械加工したミラーが小型で、軽量なので、軽量でプロファイルの低い浮揚ヘッド106を設計することができる。本発明で使用するように、回転軸を中心にして、操作可能な反射性中央ミラー部分420を回転することにより、一連の近接しているトラックを精密にトラッキングし、短時間で探索することことができるので、対物光学系446に伝達する前に、出力レーザ・ビーム191および反射したレーザ・ビーム192の伝播角度が変化する。横方向のトラックのデータ・トラック密度が増大するにつれて、ミクロ機械加工したミラーが供給するような精密なトラッキングの高い帯域幅で、低い質量の手段は有用であると考えられている。低質量で、高い帯域幅のミラーである、反射性中央ミラー部分420は、差動電圧を一組の駆動電極404、405に供給することにより回転する。前記電極上の差動電圧は、一組の軸方向のヒンジ410を中心にして、反射性中央ミラー部分420を回転させる静電力を発生し、焦点の合った光学的点348をディスク107の半径方向450に移動させる。例示としての実施形態の場合には、操作可能な反射性中央ミラー部分420の、約±2度の回転(約±4トラックに等しい)が、情報の記憶および読出しのための焦点の合った光学的点348の移動、トラックの追跡、およびあるデータ・トラックから他のデータ・トラックへの探索のために使用される。他の実施形態の場合には、操作可能な反射性中央ミラー部分420を他の範囲内で回転させることができる。回転アクチュエータ・マグネット、およびコイル組立体120(図1)への電流を調整することにより、おおまかなトラッキングを維持することができる。従来技術の場合には、従来の複数の円盤状のウィンチェスター磁気ディスクは、一組の各サスペンションおよび一つの一体のユニットとして、縦に1列に並んで移動するアクチュエータ・アームを使用する。一体のユニットとしての各浮揚磁気ヘッドは、他の浮揚磁気ヘッドに対して固定されているので、特定の磁気ディスク面のトラック追跡中に、他の磁気ディス面のトラック追跡を同時に行うことはできない。対照的に、本発明のある実施形態の場合には、一組のアクチュエータ・アーム105、および一組のサスペンション130の運動とは無関係に、本発明の一組の操作可能なミクロ機械加工したミラー組立体を独立して操作するために使用することができ、それにより、任意の所与の時点に、1つ以上のディスク面を使用して、情報を読み出したり、および/または書き込んだりするために、トラック追跡および探索を行うことができる。一組の同時に動作する、操作可能なミクロ機械加工した組立体400によるトラック追跡および探索は、好適には、一組の別々の各精密トラッキングおよびミラー駆動エレクトロニクスを使用することが好ましい。
【0045】
スライダ本体444は、工業規格の「ミニ」、「ナノ」または「ピコ」スライダを含むことができるけれども、別の大きさのスライダ本体444を使用することもできる。
【0046】
光ファイバ102は、軸方向の開口部443に沿ってスライダ本体444に接続していて、対物光学系446は、垂直な隅の開口部411に沿ってスライダ本体444に接続している。開口部443および441は、溝、V形溝、または任意の他の適当な整合パターン、または光ファイバ102および対物光学系446を浮揚ヘッド106に接続し、整合するための手段として設計することができる。レーザ・ビーム191および192は、光ファイバ102、反射性基板400および対物光学系446を含む、(ディスク107への、またはディスク107からの)光学的経路を横断する。光ファイバ102および対物光学系446は、焦点を結んだ光学的な点348としての問題の点の中に出力レーザ・ビーム191の焦点を結ぶように配置されている。その後で、光ファイバ102および対物光学系446を、紫外線硬化エポキシまたは類似の接着剤により、正しい位置に固定することができる。図の場合、光ファイバ102からなる光学的素子、対物光学系446、および反射性基板400は、浮揚ヘッド106の縦の中央軸からずれている光学的経路に沿って整合しているが、他の実施形態の場合には、これらの光学的素子は、例えば、図4gに示すように、縦の中央軸のような、ある他の光学的経路任意の沿って整合させることもできる。
【0047】
図4h〜nについて説明すると、これらの図は、本発明のヘッドを備える追加の素子の平面断面図および側断面図である。本発明の好適な実施形態の場合には、浮揚ヘッド106は、さらに、導体素子C、シールド素子S1、シールド素子S2、およびパーマロイ極片P1、パーマロイ極片P2、磁気抵抗素子MR、およびプリ/消去マグネット1064を含む磁気素子を含むことができる。好適な実施形態の場合には、素子MRは、従来の磁気抵抗素子よりも感度が高く、もっと狭いデータ領域マーク、それ故に、例えば、巨大磁気抵抗(GMR)素子のような、狭いデータ・トラック・ピッチを読み出すことができるようにすることができる、ある種の磁気抵抗素子を備えることができる。GMRヘッド技術は当業者にとって周知のものであり、例えば、1992年9月発行の、磁気学に関するIEEE会報28巻、5号掲載の、ロバート・ホワイトの「巨大磁気抵抗:プライマー(Giant Magnetoresistance:A Primer)」に記載されている。前記論文は引用によって本明細書の記載に援用する。例示としての実施形態の場合には、素子MRは、GMR技術を使用しているが、本発明は、この実施形態により制限されるものではなく、例えば、回転弁素子等のような他のタイプの素子も、本発明の範囲に含まれることを理解されたい。
【0048】
好適な実施形態の場合には、磁気極片P1、P2により、導体Cが発生する磁束を使用してデータを書き込み、素子S1、MR、S2によりデータを読み出す。例示としての実施形態の場合には、前記素子は、点348により、記録/記憶層355内に形成されている、横方向の温度プロファイル279上を延びるように、正しく位置している1ミクロンの厚さ、および光学的点348が、反射性基板400により前後に走査される場合に、前記素子により、読出しおよび書込みを行うことができる8ミクロンの幅を持つ。
【0049】
狭いデータ・トラック・ピッチを読み出すために、本発明は、多数の問題を解決する。第一の問題は、データ・トラックが近接している場合には、データ・トラッキングに対して、例えば、非常に高いサーボ・トラッキング・エラー拒否を実行しなければならないという問題である。例えば、トラック・ピッチが1ミクロンである場合には、2kHz以上の分割周波数を必要とする場合がある。本発明の場合には、この問題は、前記の反射性基板400のある実施形態のところで説明した、ミクロ機械加工したミラーの精密トラッキング機能により解決した。その結果、従来技術の少なくとも10倍程度の改善により、高速精密トラッキングを達成する。
【0050】
第二の問題は、ディスクがフラッタを起こしても、スピンドル・ベアリングが反復できない心振れを起こしても、半径方向および直径方向の位置サーボ・パターンの書込み(サーボ書込み)を正確に行わなければならないという問題である。0.8ミリの厚さの3.5インチのディスクの場合には、サーボ書込み精度は、約0.2ミクロン程度と予想することができる。本発明の場合には、この問題は、サーボ・パターンのほぼ完全なパターンを、少なくとも5ナノメートルの精度で、達成することができるように、前記ピット215の説明を参照して解決した。
【0051】
第三の問題は、データを書込むと約0.3ミクロン程度のデータ・トラックの面消去が行われる場合があるという問題である。記録/再生の正しい動作の場合には、古い情報を消去するために、面消去は望ましいものである。しかし、面消去は書込み素子のギャップ幅内でスケールし、ギャップ幅は、好適には、できるだけ高いことが好ましい、必要な磁気データ領域密度により決まる。
【0052】
最後の問題は、ヘッド設計は、許容誤差に関連する問題を引き起こすという問題である。磁気ヘッド素子を製造する際のフォトリソグラフィの許容誤差は、素子の厚さの約10%である。ヘッド素子の厚さが4ミクロンである場合には、許容誤差は0.4ミクロンになる。
【0053】
前記の最後の2つの問題は、以下に説明するように、本発明により解決される。
【0054】
図5a〜cについて説明すると、これらの図は、本発明はの記録層および読出し層である。以下に、ディスク107のデータ・セクター216を含むデータ・トラック103から情報に選択的にアクセスするためには、出力レーザ・ビーム191をどのように使用したらいいのかを簡単に説明する。
【0055】
好適な実施形態の場合には、ディスク107は、記録層202および読出し層204を有する相互に作用する少なくとも2つの磁気層を含む、ある種の媒体を備える。例示としての媒体は、磁気静電媒体または媒体に接続している交換機を備えることができる。記録層202は、好適には、必要なデータ・ビット密度をサポートする、飽和保磁力の高い材料であることが好ましい。飽和保磁力の高い記録層の利点は、この層が超常磁性制限(すなわち、領域領域が、相互に消磁する傾向)に打ち勝つための電位を持っていることである。好適には、飽和保磁力は、65℃以下の温度において、記録層202内の磁気領域マークに、書き込みを行うことができない程度に、十分高いことが好ましい。しかし、記録層202を出力レーザ・ビーム191により加熱することによって、好適には、記録層202の飽和保磁力が、ビットを、素子P1,P2、Cにより、記録層202内の(以後、データ領域マーク281と呼ぶ)磁気領域を含む記録位置に、書き込むことができる程度に十分低下することが好ましい。記録層202が、(例えば、CoCrのように)水平方向に異方性を持っている実施形態の場合には、P1、P2、C素子は、平面配向(図5b)により、データ領域マーク281を縦方向に配向することを理解されたい。その場合、記録層202が、(例えば、TbFeCoのような)、垂直方向に異方性を持っている材料を含む場合には、データ領域マーク281は、平面配向(図5c)からずれて、垂直方向に配向される。
【0056】
好適な実施形態の場合には、読出し層204は、その磁気結晶の異方性の関数である、温度依存性を持つある種の媒体を含むことができる。しかし、層204は、また、熱に応答し、読出し層204は、記録層202とは異なる方法で応答する。
【0057】
ある実施形態の場合には、読出し層204は、例えば、引用によって本明細書の記載に援用する、議事録SPIE1499.209(1991年)掲載の、K.アラタニ等が報告しているように、加熱しない場合、下に位置する、記録層202内のデータ領域マーク281から出ている磁束を、読み出すことができないように磁化される。この実施形態の場合には、データ領域マーク281を読み出すために、読出し層204は、出力レーザ・ビーム191により、記録層202が書込みのために加熱される温度以下の温度に加熱される。このような加熱の際に、ディスク107が回転するにつれて、温度プロファイル279が、出力レーザ・ビーム191により、読出し層204内に形成される。この実施形態の場合には、温度プロファイル279に沿った特定の温度において、読出し層204内に開口部580が形成される。この開口部を通して、開口部の下のデータ領域マーク281から出ている磁束が、結合して、上の位置する読出し層204内の磁気領域と垂直方向に整合し、読出し層204内の磁気領域マークを、その後で、ヘッド106の素子S1、MR、S2により検出することができる。読出し層204の熱時定数は、好適には、光学的点348が発生した熱が、時間の経過につれて発散しないで、ヘッド素子MR、S1、S2が前記点を通過するように、長いことが好ましい。この実施形態の場合には、データ領域マーク281からの磁束は、開口部を形成するために、出力レーザ・ビーム191により照射されている間だけアクセスすることができると理解されたい。好適には、開口部は、点348の直径より小さく、それ故、出力レーザ・ビーム191が、トラック方向の解像度を制限しないが、横方向のデータ・トラック103の方向(半径方向)の読出し解像度を定義することが好ましい。
【0058】
他の実施形態の場合には、媒体107は、光学点348により適当な温度に加熱された場合、記録層202内の、下に位置するデータ領域マーク281からの磁束が、結合して、読出し層204内の磁気領域を整合するが、前記の実施形態とは異なり、出力レーザ・ビーム191への電力の供給をストップした場合、転写層204内の磁気領域が、整合した配向のまま残る。この実施形態の場合には、プリ/消去マグネット1064を、転写層204内の磁気領域の以降の再整合/消去のために、ヘッド106の後縁部上に位置させることができる。例示としての実施形態の場合には、プリ/消去マグネット1064は、前記再整合/消去のために十分な磁界強度を供給するような、希土材料を含む。他の実施形態の場合には、同様に、プリ/消去マグネット1064を、ヘッド素子106の前縁部、またはヘッド106の上、またはヘッド106の外側に、位置させることができることを理解されたい。消去されるまで、磁気領域は、読出し層204内で配向されたままの状態でいるので、この実施形態の場合には、読出しの際に、前記熱的開口部580に依存しないですむことを理解することができるだろう。読出し層204の室温での飽和保磁力は、記憶層202には影響を与えないが、プリ/消去マグネット1064により、消去することができるように選択される。何故なら、読出し層204内の磁気領域は、消去されるまで配向状態で残り、素子S1、MR、S2の製造が容易になるからである。何故なら、前記素子は、光学系446に近接して設置する必要がないからである。
【0059】
他の実施形態の場合には、媒体107は、使用することができるアモルファス磁気材料の1つの層を含むことができる。この実施形態の場合には、比較的厚い(〜100ナノメートル)適当な希土遷移金属(RE−TM)の1つの層を、レーザの助けを借りる熱磁気書込み、およびヘッド106を含む素子による読出しの両方のために調整することができる。フェリ磁性RE−TMフィルムの組成は、補償温度が室温に近く、媒体107を安全に記憶するためには、高い飽和保磁力を供給し、書込みを行うことができるように、高い温度では低い飽和保磁力を供給するように選択される。これと同じ設計は、室温の近くで、ゼロに近い残留磁化(そして、読出し信号なし)、読出しビームのかなり高い温度において、(小さな隣接するトラック・クロストークを伴う)データ・トラックの選択的読出しのために十分な磁化を持つ。このような媒体については、米国、カリフォルニア州モンテレーで、1999年1月10〜13日に開催された、MORIS磁気光学的記録国際シンポジウムで発表された論文13−B−05、カタヤマ他の、「レーザの力を借りる読出し/書込み技術を使用する、新しい磁気記録媒体(New Magnetic Recording Media Using Laser Assisted Read/Write Technologies)」という名称の論文に記載されている。
【0060】
要するに、出力レーザ・ビーム191および反射したレーザ・ビーム192は、浮揚ヘッド106を特定のデータ・トラック上の中心に維持するために、光学的サーボ・システムの一部として使用される。従来技術の光学的ドライブとは異なり、出力レーザ・ビーム191は、記録層202および読出し層204を加熱するために使用される。読出し層は、書込み温度より低い温度に加熱された場合、浮揚ヘッド106が、開口部58内の磁気領域の配向を検知することができるように、データ領域マーク281を記録層202から読出し層204にコピーする。ヘッド106を備える素子の大きさは、トラック103のピッチより広いけれども、出力レーザ・ビーム191が形成する温度プロファイルは、好適には、(トラックを横断する方向に)書き込んだデータ領域マーク281の縁部を形成することが好ましい。それ故、データ領域マーク281を、前記マークを書き込むことができる幅よりも狭く読み出すことができ、システム100のトラック記憶密度が増大する。
【0061】
しかし、実際には、出力レーザ・ビーム191が、層202、204に供給する熱は、加熱された領域が、熱素子P1、P2、C、S1、MR、S2の縁部の下を通過する、遷移時間中に拡散する傾向がある。熱は、開口部580が、読出しおよび書込みのための素子である、ヘッド素子P1、P2、C、S1、MR、S2の下を十分遠くまで延びるように形成することができるように、拡散することが望ましい。しかし、熱拡散のために、開口部580を形成する熱勾配は、傾斜の急なものであってはならないし、そのためデータ領域マーク281の縁部は、うまく制御できないし、形成することができない。ヘッド素子S1、MR、S2によりデータを読み出すために、データ領域マーク281は、好適には、まっすぐな縁部を持つことが好ましく、データ・トラック103の間に重複があってはならない。
【0062】
通常、層202、204は、垂直(軸)方向、および横(平面)方向に、異なる熱拡散速度を持つ。
【0063】
横方向への拡散加熱プロセスを理解するために、出力レーザ・ビーム191によるディスク107の表面の加熱を、平らな移動する面上に粘性流体を注ぐプロセスに例えることができる。この場合、前記面上の流体の高さは温度に対応する。この例えから、流体は、一定の高さの横方向の温度プロファイルの等斜褶曲は、広がる涙のように見えるように広がる。図4hは、出力レーザ・ビーム191により形成された、例示としての横方向の温度プロファイル279を示す。
【0064】
垂直拡散プロセスを理解するために、温度プロファイル279は、図5aに示すようなものであり、ディスク107は、そこを通して流体が流れることができるスクリーンと見なすことができる。垂直方向の流れは、もっと急な勾配(流体の高さの変化)を形成する。垂直方向の流れが高いと、ディスク107上の隣接するデータ・トラック103は、少し加熱されるが、これは流体の高さと見なされる。それ故、垂直方向から水平方向への拡散速度を調整できないと、隣接するデータ・トラック103は、重ね書きされ、および/または不規則な形のデータ領域マーク281が形成される恐れがある。それ故、素子S1、MR、S2により正しく読み出すためには、データ領域マーク281の形成を制御することが望ましい。
【0065】
本発明は、ディスク107のデータ・トラック103の間に、溝またはメサ266を供給することにより、前記の垂直方向および水平方向の熱の拡散の望ましくない影響を最小限度に少なくするか、および/またはディスク107の、データ・トラック103の間の熱伝導を阻止しおよび/または方向を変えることにより制御し、それにより、ヘッド106の素子による書込みおよび読出しを改善する。溝またはメサ266の使用については、以下に説明するが、まず、ピット215についてさらに説明する。
【0066】
図6a〜dについて説明すると、これらの図は、凸形状部および凹形状部の形成、およびディスク107の基板245への前記形状部の以降の転写のためのステップを示す。前記ステップは、ポリカーボネートのような材料のプラスチック基板を作るための従来の射出成形技術、または研磨したガラスまたはアルミニウムの基板の上の比較的薄いポリマ層のエンボシングのような他の技術の使用を含む。別の方法としては、ガラスまたはアルミニウムのような基板上に感光性マスク層を塗布し、必要な領域および感光層をフォトリソグラフィにより形成し、反応性イオン・エッチングまたはイオン・ミリングを行い、その後で、感光層を除去することにより、パターンを形成することができる。もう1つの別の方法としては、必要な厚さの感光層を基板材料の上に塗布し、フォトリソグラフィ・ステップにより、感光層内に直接ピットを形成する方法もある。磁気光学、光学または磁気を含む、他のタイプのドライブの基板に、ピット・パターンを形成する他の方法を定義することができ、またはすでに定義したが、本発明およびその一部を拘束しない。
【0067】
上記のすべての技術および他の類似の技術の場合には、ガラス基板内への差動エッチングを除けば、例えば、ピット215を使用する実施形態の場合のように、通常は、プラスチックまたはアルミニウムまたは相当物のような、比較的柔らかい基板に前記パターンを形成することができる。後者の差動除去ステップの場合には、例としては、化学的機械的研磨(CMP)があるが、準備中のディスクの仕上げにできるだけ近く形成するために、基板上に比較的硬く、研磨に抵抗性を持つ層が必要になる。
【0068】
例えば、図6a〜dの場合には、本発明のディスク107において、記録層の熱的性能、磁気的性能、光学的性能を制御するために、一連の層を使用することができる。通常の第一の面設計の際の前記一連の層は、例えば、アルミニウムのような熱拡散のための下の層610、一番下の誘電層612、記録層202、読出し層204、および頂部誘電層620を含むことができる。例示としての実施形態の場合には、これら各層の厚さは、約50ナノメートルである。以下に説明するように、誘電層620は、窒化シリコン層699および/または比較的研磨に強く、そのため、差動除去プロセスに対して硬い層として機能することもできる、スパッタされた二酸化シリコン層618を含むことができる。図6bは、このステップ後の断面図である。もう一度、これは単なる例示としての一連の層であること、本発明は、前記の一連の層の使用に制限されるものではなく、他の磁気光学的、または磁気記録ディスクと一緒に使用するために、容易に修正することができることを思いだしてほしい。例えば、基板が比較的柔らかいある実施形態の場合には、窒化シリコン層(図示せず)を、基板245と熱拡散層610との間に使用することができる。
【0069】
光学的データ記憶ディスクのための従来のエンボシング・プロセスの場合には、各ピットの深さは、通常、例えば、赤色光の波長の約1/4、または約160ナノメートルである。それ故、従来のピットを使用した場合には、ピットの深さの許容誤差の変化により、検出された反射信号が変動することになる。対照的に、本発明の場合には、ピット215からの信号149(図1)は、充填材料の反射率の関数になり、従来技術のピット深さに対して必要な比較的厳格な許容誤差は要求されない。
【0070】
好適な実施形態の場合には、二酸化シリコン層618および窒化シリコン層699の両方が使用される。二酸化シリコン層は、化学的研磨または下記の他のエッチング・プロセス終了後に層の厚さが必ず正しくなるように、犠牲層として使用される。好適な実施形態の場合には、充填材料630が塗布され、または他の方法により、層610、612、202、204、618、699の頂部上に形成される。例えば、ある充填材料630を、アルミニウムまたはアルミニウム合金スパッタすることができる。例示としての厚さは、各ピット215の深さの約2倍である。例えば、ピットの深さ約160ナノメートルである場合、充填材料630の厚さは約300ナノメートルである。図6cは、充填材料630で塗布された基板245の断面図である。次のステップにおいて、ディスク107に対して差動除去プロセスが行われる。このステップにおいて、充填材料630が除去されるが、もっと硬い二酸化シリコン層618により除去プロセスは停止するか、ほぼ停止する。半導体インターナショナル、1/95において、ワング(WANG)他の論文「二重ダマシーン・アルミニウム相互接続構造体の化学的機械的研磨(Chemical−Mechanical Polishing Of Dual Damascene Alminum Interconnects Structures)」に記載されているように、集積回路産業用に開発されたCMPプロセスによる研磨は、有用なプロセスである。このプロセスは、充填材料630と二酸化シリコン層618との間に、約100の研磨選択性を供給するために、市販の装置および材料を使用する。それ故、この特定の実施形態の場合には、充填材料300ナノメートルすべて、および研磨上の50%を研磨する際には、好適には、犠牲層である二酸化シリコン層618の2ナノメートル以下を除去することが好ましい。結果として得られる面は、ほぼ平らであるが、ピット215は充填材料630で充填されている。次に、二酸化シリコン層618が、湿式化学的エッチング剤によりエッチングされる。このエッチング剤は、好適には、下に位置する窒化シリコン層699を目に見えるほどにはエッチングしないことが好ましい。
【0071】
好適には、この最後のステップの後で、図6dに示すように、ディスク107の表面は、層620の厚さ(恐らく、10〜15ナノメートル)または例示としての実施形態の場合には、従来技術より10以下の係数にほぼ等しい最大高さの外乱を持っていなければならない。それ故、従来技術とは対照的に、本発明のディスク107は、外乱を持たない浮揚ヘッド106に表面を示し、それにより、ヘッドは安定に浮揚し、および/または浮揚の高さが低くなる。このことは、当業者であれば、近傍タイプの光学的データ記憶用途および本発明の浮揚ヘッド106に有利であることを理解することができるだろう。ピット215は、反射性材料により充填されているので、反射した信号192は、従来技術の回折サーボ・トラッキング方法と比較した場合、より大きな振幅を持つ。例えば、例示としての実施形態の場合には、振幅は3倍になる。さらに、本発明のピット215は、例えば、その堆積により時間の経過につれて信号149が劣化する、ディスク潤滑油のような、ディスク107自身からの粒子状の物質のようなソースから汚染を受ける凹部を持っていない。
【0072】
他の改良について説明すると、窒化シリコン層699の厚さの少しの減少は許容することができる場合には、犠牲層である二酸化シリコン層618を必要としないし、頂面はさらに平らで、平滑である。
【0073】
図7aについて説明すると、この図は、一定の半径を持つピットからの信号である。既に説明したように、本発明のサーボ・セクター212は、自動利得制御フィールド(AGC)を使用しても、使用しなくてもよい。AGCフィールドを使用しない場合で、ピットが、対応するディスクの半径上で一定の大きさである場合には、ディスクの外径よりも内径のところでの速度が遅いために、ピットからの信号が変化する恐れがある。図7aは、代表的な充填していないピット、および対応するディスクの外径および内径のところからの、代表的なサーボ信号を示す。図を見れば分かるように、前記信号のパルス幅は変化する場合があり、その特性は、ディスク上でのヘッドの正確な位置決めに影響を与える恐れがある。
【0074】
図7bについて説明すると、この図は、一定でない半径を含むピットからの信号である。好適な実施形態の場合には、ピット215は、ピット215が配置されている、ディスク107の半径に比例する大きさ、例えば、ある半径の反射性面の領域を含む大きさを持つことができる。それ故、好適には、図7bのピット215からの信号149は、ディスク107上のピット215の位置に無関係に、類似のパルス幅を持つことが好ましい。従って、ピット215からのパルスからのサーボ信号149の変動は、最小限度に小さくなる。パルスがサンプリングされ、積分されるデジタル・サーボ・チャネルを使用するシステム100のある実施形態の場合には、低速のサンプリング速度を使用することができる。何故なら、外径から入手するパルス幅は、好適には、ディスク107の内径から入手する、もっと幅の広いパルス幅と同じにすることができるからである。ピットが配置されているディスク107の半径に比例する大きさを持つピットも、ピットからの反射ではなく、回折を使用するドライブでのように、ピットが充填材料で充填されていない実施形態の場合には、役に立つことを理解されたい。
【0075】
図8aについて説明すると、この図は、凹形状部および凸形状部を含む基板を通して見た端部である。図8aは、ピット215を充填するためのプロセスを、同様に、溝266を充填するために、使用することができることを示す。それ故、ピット215を充填材料630で充填することから得られる同じ利点の中のあるものを、同様に、溝266を充填するのにも使用することができる。例えば、浮揚ヘッド106をディスク107上に浮揚状態に維持するために、平らな面を形成することによる利点、および汚染物質の蓄積を低減することによる利点を使用することができる。
【0076】
ディスク107のデータ・トラック103の間の充填された溝またはメサ266により、本発明は、その他の利点を持つことができる。データ・トラック103の間の溝266の、アルミニウムまたは金属のような、導電性が高く、熱容量の高い充填材料は、ヒートシンクのような働きをし、以下に説明する導電性が低く、熱容量の低い充填材料は、半径方向の熱の流れを阻止するために、データ・トラック103の間の垂直な壁のような働きをすることができるという例えから、上記利点について理解することができるだろう。
【0077】
シミュレーションにより、アルミニウムのような導電性高い充填材料630が、点348が発生した熱を拡散し、この拡散により、データ領域マーク681の幾何学的形状が、マークの書込み動作中、その好適な長方形または正方形の形を失うことがわかった。一方、導電性の低い充填材料は、データ領域マークの縁部をもっと真っ直ぐにし、そのため、溝266に垂直になり、これらの溝のところで止まっている。従って、アルミニウムは充填材料630としては最適なものではない。
【0078】
例示としての実施形態の場合には、データ・トラック103の間の溝266は、比較的狭い幅を持ち、5:1を超えるアスペクト比を持ち、それにより、溝266の垂直方向の長さが、100〜1000ナノメートルに制限される場合がある。薄い層として塗布された場合、反射性を持ち、前記寸法およびアスペクト比をサポートすることができる、ある既知のタイプの充填材料としては、金属(すなわち、前記アルミニウム)およびある種のタイプのダイ・ポリマ等がある。しかし、すでに説明したように、金属は、ヒートシンクとしては、望ましくない働きをする。ダイ・ポリマは、低い導電性を持ち、そのため、充填材料として使用することができるが、研磨するのが困難である。ガラスは低い導電性を持っているので、使用可能なもう一つの材料である。しかし、ガラスは、例えば、サーボ・トラッキング用に回折情報を使用する光学的ドライブでのように、高い反射率が望ましくない実施形態で使用することができる。
【0079】
図8b〜eについて説明すると、これらの図は、溝を持つおよび溝を持たない媒体に出力レーザ・ビームを照射した場合の、熱の拡散のシミュレーションである。すでに説明したように、従来技術の媒体に光のビームを照射すると、データ領域マーク281の形成に悪影響を与える温度プロファイルが形成される場合がある。図8b〜cは、従来技術により形成される通常の開口部の熱プロファイルを示す。一方、図8d〜eは、溝266を含むディスク107を使用した場合に形成される温度プロファイルを示す。図8fの重複している各温度プロファイルから分かるように、本発明の溝266を含むディスクでの方が、温度勾配は急である。従って、データ領域マーク281は、トラック方向およびトラックを横断する方向によりよく形成されている。それ故、本発明の溝266は、データの読出し動作中、ヘッド106のS1、MR、S2素子に、より密な磁束密度が供給されるように、データ領域マーク281が、好適な長方形および正方形の幾何学的形状を持つように、熱の拡散を方向づけ、制御する働きをする。トラックを横断する方向に、データ領域マーク281を封入することにより、広い幅での書込み、および狭い幅での読出し中に、ヘッド素子MRへの均一な背景ノイズを最小にすることができる。それにより、従来技術のそれと比較した場合、データ記憶密度をより高くすることができる。
【0080】
図9a〜eについて説明すると、これらの図は、メサおよび凸部パターンを含むディスクを示す。図9a〜eは、光学的点348が発生した熱を運ぶ別の方法を示す。この場合、データ・トラック103は、溝の間ではなく、メサ266の間に配置される。この実施形態の場合には、メサ266は、例えば、ガラスのような基板245と同じ材料を含むことができる。メサ266を形成中、プロセスは、サーボ・セクター212のパターンおよびメサ266の形成を一緒に行うために、ディスク・フォーマットを逆マスタするために、負のレジストの使用を含むことができる。この実施形態の場合には、サーボ・セクター212のパターンは、ピットではなく、凸状のパターン215を含むことができることを理解されたい。
【0081】
上記説明を思いだしてほしい。ディスク107は、下記の順序、すなわち、アルミニウム、一番下の誘電層、記憶層、読出し層、頂部誘電層の順序で形成される材料の複数の層を含むことができる。それ故、メサ266を含むディスク107の例示としての製造プロセスは、メサ266およびサーボ・パターンが、50〜100ナノメートルのパターン深さを持つように、ガラス基板245をマスタするステップと、基板245の上にアルミニウムまたはパーマロイ(ニッケルおよび鉄)の層610を形成し、ガラス基板245の面をエッチング停止面として使用して、アルミニウムまたはパーマロイを、化学的機械的に研磨するステップと、誘電層を形成するステップと、記憶層202および読出し層204を形成するステップと、窒化シリコン層699の不動態化層を形成するステップとを含むことができる。
【0082】
メサ266は、好適には、熱伝導アルミニウム層610の半径方法の熱の伝導を中断するような働きをすることが好ましい。記録層202、204は、比較的薄く、下に位置する層として、熱の伝導率が約20%低いので、これらの層は、熱的にアルミニウム層610に接続している。それ故、記録層202、204を通して、半径方向にある程度の熱の伝導が行われても、熱に対する優れたバリヤを形成するためのトラックの間のメサ266の縁部のところで熱の伝導は中断される。
【0083】
出力レーザ・ビーム191の約50%は、記録層202、204を通過するものと予想される。出力レーザ・ビーム191は、トラック103の中央のアルミニウムにより反射されるか、基板245により吸収される。通常、入射光の約20%は、トラック103の中央部で反射され、入射光の約10%だけがメサ266のところで反射される。それ故、要件により、入射光の吸収対サーボ信号149の間で折り合いをつけなければならない。反射のこの差は、回折情報を使用する実施形態の場合、サーボ・トラッキング用に使用することができることを理解されたい。
【0084】
図9b〜eについて説明すると、これらの図は、メサを含む、およびメサを含まないディスクの熱プロファイルを示す。図9c〜eは、トラックの中央部(各グラフの左上の隅)のところで、全幅が最大高さの半分(FWHM=550ナノメートル)の1ミリワットの焦点スポット348である出力レーザ・ビーム191を3ナノ秒照射した後、60ナノ秒、90ナノ秒および150ナノ秒の時点での、三つのスナップショットのディスク107の、例示としての温度プロファイル分布である。媒体107の深さは、Y方向のものであり、ディスクの半径方向はX方向である。グラフの左の縁部は、350ナノメートルのトラックの1/2の点である。ディスク107のフィルム構造体は、ポリカーボネート基板上の、85ナノメートルの窒化シリコン、20ナノメートルの記憶および読出し層、55ナノメートルのアルミニウムである。基板のメサ266の延長部は、記憶および読出し層の底部の方向に隆起していて、そのため、アルミニウム層が破壊される。メサの幅は、約80ナノメートルであり、その中心は、図9c〜eの右の縁部から約20%中央よりである。
【0085】
図9eは、出力レーザ・ビームを照射してから、60ナノ秒後の、溝またはメサを含まないディスクの垂直温度プロファイル分布である。ディスクの熱の勾配は非常にゆるやかである。図9dの温度およびステップ当りの温度は、前の図9aのそれの約1/3であることに留意されたい。このことは、メサ266を含むディスク107の場合には、記憶および読出し層のところの温度プロファイル分布は、トラック103の中心部において非常に均一であること、およびトラックの縁部のところでの熱の勾配が急であることを示す。
【0086】
熱を発生するために電力が連続的に供給される例示としての実施形態の場合には、熱は、波として、メサ266の間を伝播し、この場合、点348の後ろ4ミクロン、または1マイクロ秒のところのメサ266の間に残留する熱は、必要な場合には、ヘッド106の読出し/書込み素子の下を通過する。
【0087】
当業者であれば、本明細書を読めば、本発明の他の特徴および利点を理解することができるだろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】データ記憶システムの基本的な素子である。
【図2a】本発明のディスクの詳細図である。
【図2b】通常のサーボ・セクターである。
【図2c】本発明の記憶層および読出し層である。
【図3】代表的な光学的経路である。
【図4a】本発明のヘッドの図面である。
【図4b】本発明のヘッドの図面である。
【図4c】本発明のヘッドの図面である。
【図4d】本発明のヘッドの図面である。
【図4e】本発明のヘッドの図面である。
【図4f】本発明のヘッドの図面である。
【図4g】本発明のヘッドの図面である。
【図4h】本発明のヘッドの図面である。
【図4i】本発明のヘッドの図面である。
【図4j】本発明のヘッドの図面である。
【図4k】本発明のヘッドの図面である。
【図4l】本発明のヘッドの図面である。
【図4m】本発明のヘッドの図面である。
【図4n】本発明のヘッドの図面である。
【図5a】本発明の記憶層および読出し層である。
【図5b】本発明の記憶層および読出し層である。
【図5c】本発明の記憶層および読出し層である。
【図6a】サーボ・パターンの形成ステップである。
【図6b】サーボ・パターンの形成ステップである。
【図6c】サーボ・パターンの形成ステップである。
【図6d】サーボ・パターンの形成ステップである。
【図7a】サーボ・パターンからの信号である。
【図7b】サーボ・パターンからの信号である。
【図8a】凸状および凹形状部を含む基板である。
【図8b】溝を含まない、および溝を含む媒体に出力レーザ・ビームを当てた場合の熱の拡散のシミュレーションである。
【図8c】溝を含まない、および溝を含む媒体に出力レーザ・ビームを当てた場合の熱の拡散のシミュレーションである。
【図8d】溝を含まない、および溝を含む媒体に出力レーザ・ビームを当てた場合の熱の拡散のシミュレーションである。
【図8e】溝を含まない、および溝を含む媒体に出力レーザ・ビームを当てた場合の熱の拡散のシミュレーションである。
【図8f】重複している温度プロファイルを示す図である。
【図9a】メサおよび凸形状部を含むディスクの形成を示す図である。
【図9b】メサおよび凸形状部を含むディスクの形成を示す図である。
【図9c】メサおよび凸形状部を含むディスクの形成を示す図である。
【図9d】メサおよび凸形状部を含むディスクの形成を示す図である。
【図9e】メサおよび凸形状部を含むディスクの形成を示す図である。
【図9f】メサを含む、およびメサを含まないディスクの温度プロファイルである。
【図9g】メサを含む、およびメサを含まないディスクの温度プロファイルである。
【図9h】メサを含む、およびメサを含まないディスクの温度プロファイルである。
【図9i】メサを含む、およびメサを含まないディスクの温度プロファイルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光磁気ディスクであって、
基板と、
データを記憶するため、および光磁気フォーマットのために選択および適合された光磁気記録層と、
前記光磁気記録層の上の誘電層と、
サーボ情報を光学読み取り装置に伝達するための複数のピットおよび/または溝を含む一連の凹形状部を有している前記ディスクの表面と、
実質的に前記誘電層の高さまで前記凹形状部内に堆積された充填材料であって、前記サーボ情報を読み取る光学読み取りヘッドに対して実質的に透明に見える充填材料と
を有する光磁気ディスク。
【請求項2】
前記充填材料が金属である請求項1に記載のディスク。
【請求項3】
磁気記録ディスクであって、
サーボ情報を記憶するために表面に複数の溝を有するディスク基板と、
誘電材料の薄い層を有する前記溝の内部壁を含む、前記基板の表面と、
前記溝内の充填材料であって、前記溝内のサーボまたはデータ情報を読み取るトランスデューサに対して実質的に透明な充填材料と
を有する磁気記録ディスク。
【請求項4】
前記充填材料が、高いまたは低い透磁率、磁化率、または飽和保磁力を有するアルミニウム、ガラス、ポリマまたは磁気材料である請求項3に記載の磁気記録ディスク。
【請求項5】
前記誘電材料が窒化シリコンを含む請求項3に記載の磁気記録ディスク。
【請求項6】
前記誘電材料が窒化シリコンを含む請求項1に記載のディスク。
【請求項7】
磁気記録ディスクであって、
サーボ情報を記憶するために複数の形状部が上面に形成されたディスク基板と、
前記上面および前記形状部上に配置される誘電材料の薄い層と、
前記誘電材料の上で前記形状部内に配置される充填材料であって、前記形状部内のサーボまたはデータ情報を読み取るトランスデューサに対して実質的に透明な充填材料と
を有する磁気記録ディスク。
【請求項8】
前記充填材料が、アルミニウム、ガラス、ポリマまたは磁気材料のうちの少なくとも1つである請求項7に記載の磁気記録ディスク。
【請求項9】
前記充填材料が、高いまたは低い透磁率、磁化率、または飽和保磁力を有する磁気材料である請求項7に記載の磁気記録ディスク。
【請求項10】
前記誘電材料が窒化シリコンを含む請求項7に記載の磁気記録ディスク。
【請求項11】
前記形状部が、溝、ピット、凹形、またはエンボスのうちの少なくとも1つである請求項7に記載の磁気記録ディスク。
【請求項12】
前記形状部が、前記上面にエンボシングまたは成形されている請求項7に記載の磁気記録ディスク。
【請求項13】
前記充填材料および前記誘電層が、同一平面内にある上面を有している請求項7に記載の磁気記録ディスク。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図4g】
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【図4h】
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【図4i】
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【図4j】
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【図4k】
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【図4l】
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【図4m】
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【図4n】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図8f】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図9e】
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【図9f】
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【図9g】
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【図9h】
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【図9i】
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【公開番号】特開2008−251157(P2008−251157A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133001(P2008−133001)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【分割の表示】特願2000−543965(P2000−543965)の分割
【原出願日】平成11年3月29日(1999.3.29)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】