説明

凹部に滞留するガスのガス検知装置

【課題】 凹部に雨水が溜まり水位が上昇しても確実に滞留するガスを検知できるガス検知装置を提供する。
【解決手段】 凹部に設置されたガス検知器をフロートで支持し、凹部に水が溜まった場合、ガス検知器を水面に浮くようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピットなどの凹部に滞留するガスを検出するガス検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学プラントにおいては、屋外に地表レベルより低い凹部(通常ピットと言われる)を設けタンク等を設置し、このタンクに気化すると空気より重い可燃性ガスや毒性ガスとなる液体を貯蔵する場合がある。例えば、酢酸エチルの廃液を貯蔵するタンクがピットに設置される場合がある。このタンクにはバルブを備えた配管等が接続されており、溶接部分やフランジ取付部の健全性が損なわれてガスが漏れ、ピット底部に滞留する場合がある。この滞留ガスを検出するためガス検知器が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図2はガス検知器の設置位置によって生じる問題点を説明する図である。(A)はピット1の底部に滞留するガスを検知するためガス検知器2をピット1の底部に設置した場合である。いかし、(B)に示すように、ピット1に雨水4が溜まるとガス検知器2は水没してしまいガス3を検知できない。このため(C)に示すようにガス検知器2を水没しない位置に設定すると、ガスがこの位置まで溜まらないと検知できない。
【0004】図3はガス検知器に雨よけカバーを設けた場合を示す。(A)はガス検知器2を底部に置きこの上に雨よけカバー5を設けた場合を示す。この場合、(B)に示すように雨6の降り始めは良いが、(C)に示すように雨水4が溜まってくるとガス検知器2と雨よけカバー5は水没してしまい、ガス検知はできなくなる。
【0005】図4はガス検知器2をピット1の外に出し、吸引管7でガスを吸い出す場合を示す。(A)は吸引管7の先端をピット1の底部に設定した場合で、底部のガスを検知することができる。しかし、(B)に示すように雨水4が底部に溜まるとガスの吸引ができなくなる。また、(C)に示すように吸引管7の先端を高くして雨水4を吸引しないようにすると、ガスがこの位置まで溜まらないと吸引してガスを検知することはできない。
【0006】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、凹部に雨水が溜まり水位が上昇しても確実に滞留するガスを検知できるガス検知装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため請求項1の発明では、凹部に設置されたガス検知器をフロートで支持し、凹部に水が溜まった場合、ガス検知器を水面に浮くようにする。
【0008】ガス検知器をフロートで支持して底部に配置し、凹部に雨水が溜まってくるとガス検知器が水面に浮くようにする。ガスは水面より上に滞留するので、ガスを確実に検知することができる。
【0009】請求項2の発明では、前記ガス検知器に滑車を介してカウンターウエイトを取り付ける。
【0010】ガス検知器が重くフロートだけでは十分な浮力が得られない場合、ガス検知器に滑車を介してカウンターウエイトを取り付けることにより、ガス検知器を確実に水面に浮かせることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は実施形態のガス検知装置の構成と動作を示す図である。図1において、1はピットで屋外に設けられ、ピット1内には図示しないタンクが設置され、タンクに接続する配管に設けられた弁等から、空気より重い可燃性ガス等が漏洩し、ピット1底部に滞留するものとする。ガス検知器2はフロート10に取り付けられ、ピット1の底部に上下に浮遊できるように配置されている。ガス検知器2はロープ11によりカウンターウエイト12に接続され、ロープ11を滑車13にかけて、カウンターウエイト12の重みで、ガス検知器2がフロート10により浮揚するのを補助する働きをする。このためカウンターウエイト12の重さは、フロート10の浮力を考慮して決められる。なお、フロート10の浮力のみでガス検知器2を水面に浮揚できる場合は、ロープ11、カウンターウエイト12、滑車13は不要になる。
【0012】図1(A)はピット1に雨水4のない状態で、底部に滞留するガス3をガス検知器2で検知する状態を示す。(B)はピット1に雨水4が溜まり、ガス検知器2はフロート10とカウンターウエイト12の作用により水面に浮揚し、水面上に滞留するガスを検知する状態を示す。
【0013】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明は、凹部に配置されるガス検知器をフロートで浮揚させることにより、雨水で冠水してもこの雨水の上に滞留するガスを検知することができる。また、フロートの浮力が不足する場合はカウンターウエイトにより浮力を補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成と作用を示す図である。
【図2】ガス検知器の設置位置によって生じる問題点を説明する図である。
【図3】ガス検知器に雨よけカバーを設けた場合を示す。
【図4】ガス検知器2をピット1の外に出し、吸引管7でガスを吸い出す場合を示す。
【符号の説明】
1 ピット
2 ガス検知器
3 ガス
4 雨水
5 雨よけカバー
6 雨
7 吸引管
10 フロート
11 ロープ
12 カウンターウエイト
13 滑車

【特許請求の範囲】
【請求項1】 凹部に設置されたガス検知器をフロートで支持し、凹部に水が溜まった場合、ガス検知器を水面に浮くようにしたことを特徴とする凹部に滞留するガスのガス検知装置。
【請求項2】 前記ガス検知器に滑車を介してカウンターウエイトを取り付けたことを特徴とする請求項1記載の凹部に滞留するガスのガス検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2000−146741(P2000−146741A)
【公開日】平成12年5月26日(2000.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−315508
【出願日】平成10年11月6日(1998.11.6)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】